異端の科学者と忘れられた技術 (凍結)   作:翔馬

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こんばんは最新話投稿します。
今回はちょっと長いです。



第1話最強の0%太田政彦

『あの本当に宜しいんですか?』

 

緊張に震えた声で、研究員の男はマイクを使って訓練場内にいる男に告げる。

 

男の放送の声に、訓練場の中央に立つ男が首を素早く振ってうなずく。

 

若い男である。

身長は175㎝ぐらいだろうか。

上半身裸で迷彩柄のズボンを履いている。

首は太く、腕もゴツく引き締まった体をして右手にナイフを握り締めている。

鍛え抜かれた、胸や腹には切り傷は

おろか銃創までもある。

だがそれよりも目立つのが、男の左腕だ。

右手は素手にナイフなのに、左手の方は黒い腕カバーに、黒い手袋をしているからだ。

 

鋭い眼光で、訓練場にある大きなシャッター扉を見つめている。

仁王立ちする男、名は太田政彦

(まさひこ)という。

 

2

 

 

 

ここは、国連航空宇宙局日本支部にある案内板にも載っていない、地下10階の第5特殊訓練場である。

何故案内板に載せていないのか?

それはこの訓練場が、特殊な手術を受けた者のみしか使えない、訓練場だからだ。

 

また訓練内容が過酷なために、重傷者や場合によっては死者が出る事もある

ので、とても表沙汰には出来ないのだ。

訓練場内は大体、中学校の体育館くらいの大きさで二階にモニター等を設置した記録室がある。研究員はそこから訓練場内を観察している。

訓練場使用時には、管理を任されている研究員が必ず立ち合う、それが決まりである。

 

 

 

『決心は……変わらないのですね』

 

研究員の男が、訓練場の中央に立つ男に思いとどまるように言う。

 

それもそのはず、その訓練場に立つ男

政彦は訓練場使用の必須条件である特殊手術。

つまりMO手術を受けていないからだ。

 

だがそれが理由で研究員は、止めさせようとしている訳ではない。

 

条件を果たしていない。

政彦がこの訓練場を使うのはこれで四度目である。

 

無論違反である。

バレたら研究員も太田政彦も減給は確実下手したら、免職もありうるのだ。

当たり前であるMO手術を受けた

被験者、人を超えた力を持つ者でも

死ぬ事があるほど、ハードな訓練内容なのである。

手術を受けてない、人間など論外どころか、狂気の沙汰である。

 

だが大恩ある上司の息子の頼みを

研究員は断れなかった。

しかし今回はやり過ぎだ。

 

『政彦さん……私が手元にあるスイッチを押したら、訓練場内には3体の

テラフォーマーが出てきます』

 

研究員は体をぶるぶる震わせながら、

政彦に伝える。

恐ろしいのだ。

 

 

「当然だ。

それが俺が指定した訓練内容だからな

シャッター扉を無言でずっと見ていた

政彦が研究員に答える。

だが、視線はシャッターからは離さない。

 

親の仇でも見るような、殺気のこもった目でシャッター扉を凝視している。

 

 

『 わかっています。政彦さんが指定した訓練内容は、武装したクローンテラフォーマー3体との戦闘訓練です』

 

 

「わかっているのなら、早くしてくれ

時間が惜しい。

それに長時間使用すれば、他の者にバレる恐れがある」

 

政彦はまたも、振り向きもせずに答える。

 

淡々と言ってるが、その低い声に彼の

苛立ちが現れている。

さっさとしろと言わんばかりだ。

 

 

『しかし何もわざわざ武装させなくても』

 

「こっちが武装しているのだ、

あちらが非武装なのは、不公平だろ」

 

 

『ではせめて、テラフォーマーは一体だけにしてください!!』

 

研究員は、大声をあげながら記録室の机を拳で叩く。

 

 

「くどいぞ星野さん!!

訓練内容は先にも説明した通り。

武装したクローンテラフォーマー3体

と俺の戦闘だ変更はない」

 

星野研究員の懇願を一蹴した政彦は

左手を顔の前にだし、右手のナイフを

逆手に握り、顎の前で刃を下にする

縦向きに持つ。

 

『死ぬかも知れませんよ』

 

星野研究員は、諦めた声で言う。

 

政彦が頑固な性格だと知っているからだ。

 

「死ぬような訓練をしなければ強くなれん。

それにこのドイツの技術を用いたナイフの性能を確認するには、これぐらいが丁度良い」

 

政彦はそう言うと、好戦的な笑みを浮かべながら、右手に掲げるナイフを見つめる。

刃長20センチだろうか、グリップに何かのスイッチがある以外は大型のシースナイフの一種ボウイナイフだ。

銘を雷獣という。

ドイツが産み出した世界初のMO手術の専用装備の技術を盗用して作った代物だ。

 

『確か電気を起こす事ができるナイフでしたね』

 

 

 

 

星野が政彦の手元のナイフを遠目に見る。

 

「そうだ。

ドイツのアドルフ・ラインハルトの

専用装備をモチーフに造った試作品だまぁただ電気を出すだけの武器ではないがな」

 

ナイフを天高く突き上げながら、政彦は説明する。

 

『どうやって手に入れたのか、すごく気になりますが、詮索はやめておきます。心臓に悪そうなので』

 

「そうか。

あなたには世話になってる、気が変わったら言ってくれいつでも教えるぞ」

 

政彦は、星野のがいる記録室を笑いながら見上げた。

 

ビービー!!

突然ブザー音が訓練場内に響き渡る。

 

 

 

 

「何だ?」

 

政彦は鳴り響くブザー音を聞きながら、首を左右に動かし辺りを見渡す。

 

『しまった!!』

 

「星野さんどうした?」

 

政彦は記録室にいる星野に気になって問う。

 

『すみません。シャッターを時間が来たら自動で開くようにセットしていたのを忘れていました。

後1分もしないうちに、テラフォーマーはシャッターの外から出てきます』

 

星野は頭を抱えながら、泣きそうな声で言う。

 

 

「そうか。ようやく訓練開始というわけか」

 

政彦は星野心配そっちのけで、不敵な笑みを浮かべ

 

「いや戦闘開始か」

 

戦いを宣言した。

 

 

 

 

戦闘開始を宣言した、政彦は

肩幅に両足を開き、ナイフを右手に逆手握りして、顔の前に構える。

腕カバーを着けた左手はブランと垂らしている。

 

しばらくすると、ブザー音が小さくなっていき、やがて音がなくなる。

 

音が無くなるのと前後して、シャッターが全開に開いてしまう。

 

政彦の目に、シャッターの奥に黒い人影が見える。

 

人影を確認した政彦は、ファイティングポーズを取ったまま、その人影を凝視する。

やがて人影が動き出して、その姿があらわとなる。

 

「ジョウジ」

 

「ジョウ」

 

「ジョジョ」

 

 

シャッターから出てきたのは、人間並に巨大でありながら、小さかった頃のゴキブリの特性を持つ、超生物テラフォーマーのクローンである。

火星にいるオリジナルには劣るとはいえ、それでも恐ろしい力を秘めている事に変わりはない。

そのクローンが、ある一体は拳銃を

ある一体は巨大なノコギリ否チェーンソーを最後の一体はハンマーを持っている。

 

「ジョウ」

 

「ジジョ」

 

「ジョー」

 

テラフォーマー達は、独特の鳴き声を

出しながら、ジリジリと三匹で包囲するように歩いてくる。

ハンマーを片手で振り回しながら

拳銃を片手に持ちながら、チェーンソーを両手に持ちながら、それぞれ

政彦に近づいてくる。

 

「ふん!」

 

政彦はそれらを一瞥(いちべつ)すると

右手に持つナイフのスイッチを押す。

するとバチバチと電気の流れる音がしてきて、刃を電流が流れる。

政彦はそれをオバースローで投げつける。

帯電したナイフは、拳銃を持つテラフォーマー目指して突き進んでいく。

バチバチと帯電したナイフは、吸い込まれるように拳銃を持つテラフォーマーの目に刺さる。

 

そして感電。

 

目に刺さったナイフから電気が、テラフォーマーの体を血流のように全身に流れて痺れさせる。

 

「じょ」

 

「じょう」

 

ドドッドッ

 

仲間が攻撃を受けたのを見た、残りのテラフォーマー達は、大きな足音をたてながら政彦に迫る。

 

だが政彦はナイフを投げつけると同時に既にそこから移動していた。

投げたナイフの後を追うように。

 

走りながら、政彦は左腕を右手で掴む。

 

「この数相手だと使うしかないか」

 

政彦はそう言うと、腕カバーを右手で勢いよく、外すとそれを後方に投げ捨てる。

コツンと追ってきた残り二匹のテラフォーマーのうち、ハンマー持ちの方に当たるが、首を一瞬かちあげただけで、直ぐに元に戻る。

 

だが政彦は別に攻撃のつもりで投げた

訳ではない。

ただの時間稼ぎ見たいなものだ。

 

腕カバーを外した政彦は、次に手袋を脱ぎ捨てる。

 

これにより政彦な異様な腕が白日の元にさらされる。

 

それは、人の腕とは言えなかった。

 

灰色の毛が生えており、5本の鋭い黒い爪がある、人の腕と言うより動物の腕である。

 

そんな動物の腕としか、言いようのない自身の左腕を頼もしげに政彦は見る。

 

その、異様な本来なら人にはないはずのこの腕は彼に取って唯一と言っていい牙、MO手術適性0%の彼に取って

友が残してくれたテラフォーマーと

戦える力。

 

 

政彦は灰色の左手で拳を強く握り締める。

 

そしてその左腕を野球のピッチャーの投球のように大きく振りかぶり勢いよく拳を叩きつけた。

 

感電している、拳銃を持つテラフォーマーの目に刺さっているナイフのグリップに。

 

刹那。

突き刺さったナイフが、背後に弾丸の如く突き抜けテラフォーマーの顔が刺さってる目のところを中心に、縦半分にちぎれとぶ。

 

政彦は、叩きつけた拳を素早く顔に戻すと次にボディに左ストレートを叩き込む。

ズドーン

 

まるでロケットランチャーでも撃ったような轟音がとどろき、テラフォーマーが訓練場の壁にめり込んでしまう。

 

 

「握力×体重×スピード=破壊力だ。

俺の握力は異常だからな、効いたろゴキブリ」

 

オーストラリア大陸それは、他の大陸から隔離されてきたため、生態系が全く異なる形で進化した生物が多くいる。

その中でもカンガルーを始めとする

有袋類がその代表といえるだろう。

その有袋類の中にとてつもない握力を持つと言われる生物がいる。

それは特殊な生き残り戦術を取る生物

他の生物が嫌う食物を食べる事で過酷な生存競争から、解放された生物

皆が嫌う毒を喰らい、外敵に狙われないように、一日中樹上で生活する。

 

その木をしっかりと掴むためまた、非常に掴みやすい形の手をしてるため

その握力は1トンにも達するほどと言われている。

 

有袋類カンガール目コアラ科コアラ属

唯一の現存種

 

コアラ

 

 

カンガルーと並ぶ有袋類の代表

 

 

 

太田政彦

23歳

マーズランキング計測不能

175センチ、60キロ

 

ベースMO(左腕のみ)

コアラ(移植)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




最後まで読んで頂きありがとうございました。
主人公のベース一応判明です。
自分の買った動物の本にコアラの握力は1トンという
記事を見た時、これだと思いました。
まぁ、その後調べていったらガセの可能性が出てきたのですが、買った本2冊1トンあると書いてたし、握りやすい作りの手をしていると 書いていたし、また体に比べて1トンじゃないけど、かなりの握力あるとも書いてる本もあったので、だったら人の大きさになればその相乗効果でいけるだろと、言うことで採用の運びになりました。(貴家先生も墨吐かないはずのヒョウモンダコに墨吐かせてるし、いいよね?(-.-))
最後まで読んで頂きありがとうございました。
(^_^)
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