それではどうぞ。
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1
「それで教授、アルバルドさんの新薬についてなのですが」
政彦と握手を交わし終えた、ジェフは
気を取り直して、仕事の話を再びしだす。
「ああ。
この新薬のレシピは君が作ったんだったな」
机に広げられてる資料の1つを手に取って、内容を見ながら、ローレンス教授はこたえる。
顔はキリリと引き締まり、資料を見る
眼光は鋭い。
とても先ほどまで、親バカ全開だった
人間とは思えない、変わりようだ。
「悪くないな、君の予測だと、効果持続時間。
ツノゼミによる身体強化度、共に従来の哺乳類型変新薬の1・5倍になるとその上薬のコストダウンも可能とは
見事だ」
「ありがとうございます」
ローレンス教授の、手放しでの高評価に、ジェフは喜ぶ。
「 なぁ。
ミスローレンス少し聞きたいのだが? 」
「はい、なんでしょう」
仕事の打ち合わせの邪魔にならないように、囁くような声で、ジェニファーの耳に声を政彦は送り込む。
一瞬体をビクッと、ジェニファーは
震わせたが、政彦の呼び掛けにちゃんと応じる。
「 さっきから、出てくるアルバルド
さんとは誰の事なんだ?
後新薬とはいったい何の事だ」
口元に手を当てながら、ジェニファーの耳に息を吹き掛けるように、話す。
「わかりました。
順番に答えるので、息を吹き掛けるのをやめてくれませんか、こそばゆいので」
胸に手を当てながら、心を落ち着かせるジェニファー。
「えっとですね。
まずアルバルド兄さん、の事からですね
」
「兄さんと言ってるが、兄妹なのか ?」
「兄妹ではないです。
兄さんは私の従姉(いとこ)の ダーラ姉さんの旦那さんで、姉さんの旦那さんなので兄さんと呼んでるんです」
「なるほど、そう言う事か」
ジェニファーの説明を聞いて、ようやく政彦は合点が言った。
「はい。
2人はラブラブの夫婦なんですよ、姉さん達には2人のお子さんがいてですね」
「そうか。
それは羨ましいな」
政彦はふっと、軽い笑みを浮かべる。
「はい。
そうそう、うちは一番上の、レイチェル姉さんの夫婦も仲がとてもいいんですよ」
姉夫婦の仲むつまじさを思いだし、
ジェニファーは憧れますーとばかりに
目をキラキラさせる。
「それはいい。
うちは最初から、夫婦間に愛はなかったからな」
「えっ ? 」
政彦の自嘲するような、声が聞こえてきたジェニファーは、思わず絶句する。
「母は父の研究者としての才能に、目をつけていて、父は同時進行で付き合ってた、複数の相手のうちの一人が
妊娠したから、責任取っただけだしな」
冷めた目で遠くを見るような、眼差しで政彦は呟く。
「そんなまさか」
「親父殿が、飲んだ時に愚痴っていたからな。
母は、俺が物心ついた時から、愛人こさえてたし」
「そうなんですか……あっそうそう、
新薬の事でしたねぇ」
パンッとジェニファーがわざとらしく、手を叩いて大きな声を上げながら、政彦の話を遮(さえぎ)り話題をかえる。
「ミス・ローレンスそんな、大声を出さなくても聞こえてるが」
政彦が、諭すように言う。
「なんじゃ ?」
大声に反応した、ローレンス教授と
ジェフが、ジェニファーの顔をみやる。
「いえ。
何でもありません」
恥ずかしそうに俯きながら、蚊の鳴くような声で、ジェニファーは取り繕ったのだった。
2
「つまりそのローマで手術を受けた
男性が、同じオーストラリア産の
哺乳類をベースにしていると、言うのかね」
「そうです。
有袋類でないとはいえ、同じオーストラリア原産種のベース、参考にはなるかと」
娘の大声に反応して、振り返った教授とジェフの2人だったが、何でもないと言われたので、仕事の話に戻る。
「オーストラリ原産種と、それで
ベースは何かね」
教授が、興味深そうな顔で先を聞きたがる。
研究者として、他国の技術が気になって仕方ないのだ。
「カモノハシです。
ベース所有者の名は太田克弘というそうです」
事務的な調子で、ジェフが話す。
「何克弘君だと!!」
「克弘がどうかしたのか?」
予想外な名前を聞いた、教授と政彦は
2人揃って、驚きの声を上げるのだった。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
そうそう、来月テラフォーマーズの新刊発売するそうですね。
そろそろミラクルジャンプに載った番外編、掲載されるのかなぁー。
そうでなくとも楽しみ。
(^_^)