良かったら見ていって下さい。
1
「お二人とも知ってるのですか ?」
克弘の名に反応した2人を、鳩が豆鉄砲食らったような顔の、ジェフリーが交互に見やる。
ジェフリーだけでなく、ジェニファーも、2人の方を見ている。
「弟だ!!」 「ここにいる政彦君の弟さんじゃ」
ジェフリーの問いに、2人がそれぞれ素早く答えてくる。
「そうですか。
確かに同じ名字ですし、うっかりしてました」
思案顔をした、ジェフリーが、後頭部を抑えたまま、政彦たちに頭を下げる。
「でしたら、話が早い」
下げた頭を、戻したジェフリーは、早足で政彦に近づいて、左手を掴んで握り、その上からもう片方の手で、政彦の握った手を包み込み、眼前に持ち上げる。
「是非とも弟さんに、ご協力してほしいのです」
ジェフリーは真剣な顔で、そう言った。
2
「協力だと? 」
政彦は、自分の手を縋(すが)るように握る、ジェフリーを見下ろす。
【そっち系の趣味はあまりないが】
と掠れるような声で言ったが、ジェフリーには聞こえなかったようだ。
「はい協力です」
強い口調でそう言うと、ジェフリーは
テーブルの上にある、ジェラルドに見せていた資料をかき集めると、それを政彦に見せる。
「これは……有袋類mo用の新薬」
資料の内容を見た政彦は、目を見開き唸る。
その顔は驚きに満ちている。
「こんなものを部外者に見せていいのか ?」
試すように、政彦はジェフリーを鋭く見据える。
「構いません。
ドイツからの技術提供で得た、哺乳類型moの変身薬は、有袋類型moには、あわないんです」
ジェフリーは、つらそうに顔を歪めて語る。
彼の話によると、ドイツから提供された新技術mo手術。
そのための専用変身薬、フィルム状の哺乳類用の変身薬が、他の哺乳類はともかく一部の有袋類型には、うまく機能しないそうなのだ。
他の哺乳類型moは、問題ないのだが、
哺乳類型のMOの薬を使って変態しても、体の一部(例右手のみ、右足のみ変態)また変身効果時間が短いなどの
弊害があるそうなのだ。
ただアメリカのクルーの全ての有袋類型MO手術者全てが、薬が駄目と言う訳ではないそうだ。
「コアラのベース持ちの1人だけが、薬での変態が上手くいかないのです」
「それは妙だな」
首を傾げる政彦
「はい、その通りです。
何故そうなるのか、全くわからなくて」
ジェフリーは困ったような顔で言う。
「薬で人為変態してれる、時間はただでさえ少ないんです。
それがさらに短くなっては、火星での任務に差し支えます」
「なるほど事情はわかった。
つまり克弘が協力すれば、薬の改善が
出来るというんだな」
政彦は腕を組み頷(うなず)く。
「断言は出来ませんが、とても参考になるとおもいます」
ジェフリーは、顔を綻ばす。
表情に期待感が溢れてる。
「わかった。
克弘に協力を頼もう。
戦闘中に薬切れなど、目も当てられん」
政彦は淡々とそう言い、入り口の方に歩いていく。
ついて来いとばかりに、手でジェフリーに合図を送る。
合図を見たジェフリーが、慌ててその後をついていく。
すると突然政彦が立ち止まる。
「! 」
立ち止まったのに気づいた、ジェフリーは慌てて手を前に突き出し、顔がぶつからないようにする。
突き出した手が政彦の背中に、当たる。
「太田さんいきなり、危ないではないですか?! 」
ちょっと怒ったような、声でジェフリーが吠える。
「すまない。
ところで、克弘はどこにいるんだ ?」
政彦が振り返りながら、呟く。
知ってるか?とジェフリーに問う。
「知りませんよ」
「そうか。
まぁ施設内をくまなく探せば、見つかるな」
政彦はジェフリーの肩を叩く。
行くぞと首を入り口に向ける。
「ちょっと待って下さい」
たんまとばかりに、政彦に手のひらを向ける。
「この施設を、探し回るんですか ?」
「そうだが、居場所を知らないのなら
探すしかないだろ」
さも当然だとばかりに、政彦は返す。
「いや。
弟さんの連絡先知らないんですか ?」
気まずそうに、ジェフリーが指摘する。
言われた、政彦は無言でジェフリーを
しばらく見続ける。
(怒らしたでしょうか?)
「そうか。
その手があったな」
政彦は、ポンと手を拳槌にして手のひらを、叩くと
すかさず携帯を取り出して、弟に電話したのだった。
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