異端の科学者と忘れられた技術 (凍結)   作:翔馬

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最新話投稿します。



第23話逆鱗

「おやこれは心外な、私もUNASAの

研究員ですが」

 

大げさに、手のひらを広げ肩をすくめ左右に首をグレアムは振る。

 

その態度をまるで演技でもしてるようだと、政彦は思った。

 

グレアム・バンディの登場により、場の空気が明らかに変わった。

さっきまでと違い空気が重くなっている。

見た目好青年に見える、グレアムだが、得体の知れない妙な不気味さがある。

 

その妙に不気味なグレアムを、親の敵でも見るような、憎しみのこもった目でジェニファーが見る。

視線だけで、射殺せそうなほどだ。

 

「そんなに睨まないでください。

あなたに、憎まれるような事はしてないはずですが」

 

ジェニファーの鋭い眼光を、特に気にする事もなく、グレアムは白い歯を見せ笑いながら、近寄っていく。

 

「ッ!! 」

 

近寄ってくる、グレアムから飛びすさって、ジェニファーは離れる。

近づくなと、その顔は言っている。

 

自然とかやの外になった政彦は、明らかにおかしいジェニファーの行動を不思議そうに見ていた。

 

(意外だな。ミス・ローレンスのような聡明な女性がここまで感情をあらわにするとは)

 

政彦は、ジェニファーをここまで警戒いや、憤怒させるグレアムと烈火のごとく怒るジェニファーの2人を興味深そうに観察した。

 

 

「今は、謹慎中でしょう。

自分が何をしたのか判ってるのですか?

本来なら刑務所に入っててもおかしくないんですよ!! 」

 

近づいてくる、グレアムから、後ろに歩いて離れながら、ジェニファーが指を突きつける。

 

「それをお父様が、自身の監督不行き届きだと、言って庇って賠償金も払って停職で済んだと言うのに」

 

信じられないものを見るかのように、見開くジェニファー。

 

「そう言いますが、ジェニファーさん。

全てはMO研究の発展のためですよ。

ドイツに先をこされた、我らステイツが、追い越す為には仕方なかったのです」

 

「仕方ないですって……」

 

俯きながら、体を激しく震わせながら、ジェニファーはゆっくりとそう一言だけ言うと、沈黙する。

 

やがて、ゆっくりと壊れたブリキ玩具みたいに、きしみ音でも聞こえてきそうな、のろさでジェニファーが首を持ち上げる。

 

首を上げたジェニファーは無表情で、その顔には何の感情も見られない。

 

それから、信じられない行動に出る。

あれほど距離を離そうとしてた、ジェニファーが、早足でグレアムに近づいていく。

 

「ご理解頂けたようで、何よりです」

 

胸の前に腕を振り下ろしながら、グレアムはお辞儀する。

客を出迎えるウェイターのようだ。

誤解が解けたと思ったのだろうか。

 

「いかに死刑囚とはいえ、お父様に無断で勝手にIMO手術を施して実験台にして、死なせた上、その家族にまでI同じ手術を行い死なせる事のどこが仕方ない事だぁー !! 」

 

誤解は解けてるどころか、逆鱗に触れていた。

 

あまりの他人事みたいな発言にジェニファーがきれたのだ。

 

顔を真っ赤にしながら、歯を食いしばり、腕を振りかぶるジェニファー。

 

殴る気だ。

 

「落ち着けミス・ローレンス」 

 

そう思った政彦が、慌てて止めようと手を伸ばす。

 

(嫌う理由は判ったが、だからといって殴って言い訳ではない)

 

政彦の伸ばした手が、ミス・ローレンスの肩に触れた。

 

「なっ ?」

 

肩に触れた瞬間、政彦の体が宙に浮く。

 

ジェニファーが、肩に触れた手を煩わしいとばかりに、肩を持ち上げて手を振りほどいたのだ。

 

それだけで、政彦の体は宙に浮き、重力から解放され、背中を通路の天井に叩きつけられ、落下する。

 

何とか受け身は、しっかりとった政彦が横に転がり立ち上がる。

 

「今のは一体? 」

 

服についた埃を手で払いながら、政彦は目をみはった。

 

 

 

「えっ?! 」

 

政彦が天井に叩きつけられた、一部始終を見たグレアムが、お辞儀をしたまま固まった。

 

「ジェニファーさん ?」

 

ここにきて、彼女が激怒していることに、グレアムは気づく。

政彦の方を一瞥もしない事から、政彦を吹っ飛ばした事に気づいてないようだ。

怒りでグレアムしか視界に入らない。

 

まずいと思った。

 

「あの落ち着いて下さい。

ジェニファー、ローレンス助手」

 

先ほど政彦が、言った事と同じ言葉を丁寧にゆっくりと言いながら、呼び方もフルネームに変えて呼びながら、グレアムが後ずさる。

 

「私は落ち着いてますが」

 

こめかみをピクピクさせながら、眉間にシワを寄せながら、ジェニファーが

話す。

 

「全然落ち着いてないじゃないですか? 」

喚くように、ジェニファーに訴えたが、怒れる乙女の耳には入らない。

 

「よくわかりました。

お父様が穏便に済まさそうとしたのは

間違いだったようです。

娘として、父の過(あやま)ちを正します

あなたの死を持って」

 

両拳を握りしめた、ジェニファーが、後ずさるグレアムを追う。

じりじりと距離を詰める、その様はまるで熟練のハンターのように無駄がない。

 

「ヒィー!! 」

 

情けない、悲鳴を上げた、グレアムが、腰を抜かして、ひっくり返る。

 

慌てて立ち上がろうとするが、恐怖のあまり体がうまく動かない。

ばた足でもしてるように、足をバタバタさせてる。

 

そんな、見苦しいグレアムの醜態を見下ろしながら、静かに歩いてくるジェニファー。

 

「立ってください。

グレアム・バンディ」

 

まちかくまで、来たジェニファーが

何の感情もない、まるで道端の石ころでも見てるような、無機質な瞳で言う。

 

「そのまま殴り殺したら、通路が血まみれになるじゃないですか」

 

左手のひらを上下にうごかしながら、

立てと合図を送るジェニファー。

 

その姿が、グレアムには悪魔に見えた。

 

(殺される)

 

死を覚悟した、グレアムは立てないので、後ろ手をうごかしながら、腰の抜けたまま、退く。

 

退くグレアムの白衣の裾を、ジェニファーの足が踏んで、動けなくする。

 

「別に起こさなくても、掃除すれば問題ないですね」

 

ジェニファーが、にこりと目だけ笑わないで笑うと。

握りしめた拳を高々と掲げ、拳槌の形にする。

 

幻覚か、女性のか細い腕がハンマーのように見える。

それ程の威力があるのをグレアムは知っている。

 

「止めて下さいジェニファーさん。

僅かですが特性が出てますよ」

 

何故ならジェニファー・ローレンスという女性はMO手術を受けてるからだ。

 

その人外の力が、グレアム・バンディを殺す為に、解き放たれ

 

「全く被験者が、施設内で何を暴れてる !!」

 

かけた時、高い女性の声が、辺りに響く。

 

声の主は、眼鏡をかけた金髪の女性。

黒のタンクトップに、ジャージのズボンを掃いている。

体に滴る汗から、運動でもしていたのだろうか。

そんな女性にしては、非常に筋肉質な

タンクトップ女性が鋭い眼で、拳を掲げてるジェニファーとグレアムの2人を見やる。

虫けらでも見るような冷たい眼だ。

 

天井に叩きつけられた、ダメージが未だに、抜けない政彦が仲裁に入ろうとしている女性に目を向ける。

 

 

「ミッシェルKデイヴス、どうしてここに? 」

 

「私は耳が良いんでな。

天井が砕ける音が聞こえたのだ」

 

両腕を組みながら、ミッシェルが、政彦の方を見やる。

 

(助かったぁ) 

 

ミッシェルの姿を見たグレアムは、十字を切り天に祈りを捧げたのだった。

 




最後まで読んで頂きありがとうございます。
ギャップ激しいと思いますが、ジェニファーには
政彦の後ろ姿を見送るのではなく、背中を預けもしくは、隣に立てる女性をイメージしてるので、こういう事になりました。
意外と武闘派なんです。彼女は

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