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「さて、事情を聞かせて貰おうか。
ローレンス助手」
腕を組んだままで、ジェニファーの方を見てミッシェルは話す。
口調はそんなにきつくないが、目は相変わらず鋭い。
グレアムなど、命の恩人であるミッシェルを一旦は見ようとしたが、すぐ逸らしたほどだ。
ミッシェルKデイヴス。
後に火星探索チームの副長になる彼女、並みの者とは迫力が違う。
「ミッシェル幹部候補生、そこにいる
マッドサイエンティストを殺します。
邪魔しないで下さい」
ミッシェルの方を見向きもしないで、
ジェニファーがこたえる。
「穏やかじゃないな。
何故殺す」
ミッシェルが覗き込むように、ジェニファーを見ながら問いかける。
「その男は、多くの者を殺しました。
しかも悪いとも思ってません」
ジェニファーが、憎々しげにグレアムを見下ろす。
ミッシェルに呼びかけられた、時に下ろしていた拳を再び掲げる。
「だから、殺すと……だが彼は既に
UNASA上層部より、半年の停職と賠償金という罰を受けてると記憶してるが」
「生ぬるいです!! 」
ジェニファーが叫んだ。
「この男グレアム・バンディは、何も変わってません。
あれから2ヶ月も経ったのに、以前と同じ。
人を豚扱いしてた、2ヶ月前と何も変わりません。
これなら、何の為にお父様が庇ったのか」
悲しみに目を潤ませながら、ジェニファーは続ける。
「私は知ってます、あなたにIMO手術を施されて、6人の死刑囚が死に、それらの家族が4人死にました。
死んだ家族の仲には、五歳の子供もいたんですよ」
地面に叩きつけるように、大声を放ちグレアムの耳にぶち込み怒鳴る。
「そうは言うがね。
ジェニファーさん、10人などこのUNASAで施して死んでいった者たちの数に比べたら微々たるものだよ」
耳を抑えながら、グレアムが言い訳がましく言う。
目を僅かに逸らし、卑屈そうな顔で続ける。
「それにだね。
他の国じゃもっと酷い事をやってるんだよ。
記念すべきドイツのMO手術第一号は、
子供に手術を施した結果だし。
ロシアは要請とは言ってるが、半強制的に自国の軍人にMO手術を行ってるし、中国なんてもっと酷い」
ジェニファーが聞いてると思った、グレアムが、いけると思ったのか更に口が軽くなって、得意気に話す。
「中国では、ベースに適合しそうな人間を国で買い取るんだ。
そして手術に成功したら、莫大な金を払うと言って、手術を受けさせてるんだ。
100では効かない、ひょっとしたら1000言ってるかも」
「それで」
拳を掲げたまま、ジェニファーが続けろとうながす。
「所詮、MO手術は人体実験のいきをでないんだ。
つまりどうしたって犠牲は出る。
だったら、税金で飯食って塀の中でのうのうとしてる、奴らを利用して何が悪い。
死んだら、無駄飯を食わせなくていい。
生き残ったら、戦力の増強が出来て万々歳だ。
それに失敗、失敗と言うが。
10人は失敗したが、3人は成功してるのだよ」
ニヤリと、自慢気に鼻を鳴らして笑い声を上げる。
「多少の犠牲は出たが、この調子で行けばドイツを超える事も夢ではない」
グレアムの力説は続く。
「そのIMO手術に成功した3人は
とても優れた能力を持っているのだよ。
そうだ教授も、彼らを見ればきっと」
「それぐらいにして貰えないか」
背後から、聞こえてきた声がグレアムの自慢話を遮る。
「何だ!!、私が話してると言うがっ」
突如首に激痛が走った、グレアムが呻き声を上げて倒れ込む。
「尊い犠牲と言うが、己の血も流さずに理想を語るな。
語りたいなら、自ら手術を受けるぐらいの気概を見せてみろ」
左手を手刀にしたまま、政彦が見下ろし、きつい口調でグレアムを戒めた。
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