異端の科学者と忘れられた技術 (凍結)   作:翔馬

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というわけで、最新話です。
今回で丁度30話です。
それではどうぞ(^-^)



第26話  告白

1

 「あれ兄貴」

 

グレアム・バンディとの予期せぬ遭遇で、遅くなってしまった政彦達が第二研究室前に、戻って来たちょうどその時、克弘が扉を開けて外に出てきた。

 

「克弘か 」

 

「遅かったのう ?」

 

政彦が克弘に声をかけて、すぐにローレンス教授が部屋から出てきて、最後にジェフリーが出てくる。

 

克弘とローレンス教授は手ぶらだが、

ジェフリーは、書類を脇に挟んでいる。

 

「どこで油いや……しけこんでたのか? 」

 

好色な笑みを浮かべながら、弟が兄をからかう。

さっきの電話の仕返しだ。

 

「馬鹿が……ミス・ローレンスがそんなことする訳ないだろう」

 

親の前で何て事言うんだと、政彦は更に付け加え弟を窘(たしな)める。

 

「儂は別に構わんぞ。

娘も大人じゃから、そう言う事は意志を尊重せんとな」

 

叱られてる、弟にローレンス教授が助け舟を出す。

 

そのやり取りを、恥ずかしそうに顔を伏せて、ジェニファーはこっそりと見ている。

 

「良かったじゃねぇか兄貴。

親公認だぞ、これで兄貴にもやっと春が来たなぁ」

 

グッと親指を立てて、ニヤリと笑う

克弘。

 

「お父様、何を言ってるんですか? 」

 

たまりかねて、ジェニファーが非難の声を上げるが、耳を真っ赤にしてるので、あまり説得力がない。

 

「全くだ。

ミス・ローレンスと俺がお付き合いなどと、馬鹿も休み休み言え」

 

「えっ?、それってどういう意味ですか」

 

父親に、食って掛かろうとしてた、ジェニファーが止めて政彦の方を振り向く。

 

不思議そうに政彦の顔を見ている。

何を政彦が言うのか、気になるようだ。

 

「意味か? さっきも言ったと思うが

俺と付き合うなどと、わざわざランクの低い男を相手にする必要が、ミス・ローレンスには無いと言う事だが」

 

真顔で命令事項でも、伝えるように淡々と政彦は話す。

 

「太田さんは、ランクの低い男何ですか? 」

 

自分の事を平然とランクの低い男と言い切る、政彦の言葉に、ジェニファーは信じられないものを見るような、顔で問いかける。

 

(顔をも悪くないし、真面目そうで頼りになりそうだし、言うほどそんなに悪くないと思いますが)

 

政彦を眼で観察して、ジェニファーは評価する。

 

「違うな。

ランクが低いと言うより、ランク外だな」

 

ジェニファーの評価に対して、政彦の自己評価は低いどころか、低すぎる。

 

「そんな事」

 

「人殺しだからな、俺は」

 

反論しようと、口を開いたジェニファーが話終わる前に、政彦の爆弾発言が、辺りに響いた。

 

 政彦の爆弾発言を最後に皆が沈黙し、重苦しい空気が辺りを包む。

 

ジェニファーは、「またそんな冗談」と言って、暗い空気を無くそうとするが、その発言を聞いた父や克弘の反応を見て固まってしまう。

克弘は、辛そうな顔で兄を見つめており。

父親である、ローレンス教授は顔を歪めて、歯を噛み締め黙ってる。

ジェフリーは、政彦と克弘とローレンス教授の顔を交互に見て、溜め息を吐く。

 

(本当なんだ)

 

ジェニファーは皆の態度から、嘘じゃないと判ってるが、どうしても聞かずにはいられなかった。

だから、次の瞬間。

 

「本当に人を殺したんですね」

 

静かな口調で一言、一言をゆっくりと

言って、政彦に聞いた。

 

否定してほしいとジェニファーは思った。

 

 

懇願するような、ジェニファーの顔を見た政彦は、微かに困ったような、顔をした。

 

(つい余計な事を話してしまったな)

 

普段から、あまり若い女性と話さない

政彦は自分が失言した事に気づく。

 

(確かに。初対面の女性に言う話ではなかったな)

 

自分の口元を見て、聞き逃さないようにしようと身構えてる、ジェニファーを見ながら、政彦は考える。

実は冗談だと言うのは簡単だ。

しかし、克弘とローレンス教授は、本当だと知ってる。

仮に自分が冗談だと、流してもあの二人が話してしまったら、後で余計に彼女は傷つくだろう。

適当な冗談で振り回されたと。

 

(自分が言った言葉には責任を持たんとな)

 

 

「本当だ。

嘘を言って女性に罵倒されて、喜ぶような趣味はない。

俺はマゾじゃないからな。

ちなみに初めて殺したのは、14歳の時だ」 

 

前半は冗談混じりに言って、相手の緊張をほぐした後、政彦は衝撃の事実を告げた。

 

「14歳で……」

 

政彦の告白に、ジェニファーはそれ以上何も言えず、ただ政彦の少し寂しそうな顔を見続けた。

 




最後まで、読んで頂きありがとうございました。(^-^)

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