異端の科学者と忘れられた技術 (凍結)   作:翔馬

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最新話投稿します。
良かったら見ていって下さい。
政彦の子供の頃の過去に少し触れます。


26話 頑固者

1

 

「あのう。

ちょっと宜しいでしょうか」

 

政彦とジェニファーが、無言で見続け合ってる、気まずい雰囲気の中、勇気を振り絞ったジェフリーが、手を挙げて、皆の顔をそれぞれ見ながら、言いにくそうに発言の許可を請(こ)う。

誰も沈黙を破ろうとしないので、仕方なく言ったのだ。

 

「何か」

 

ジェニファーから、目線を外し今度はジェフリーと政彦は目線を合わす。

 

「実は、これから克弘君の持ってる薬を見せて貰って、その成分を解析。

新しい有袋類専用の、薬を作ろうと言う事で、第1研究室に行こうとしてるんですよ」

 

その言葉をきっかけにジェフリーの説明が続く。

要点を纏めると、ジェフリーの作った試作品の有袋類専用の薬が、第1研究室に置いてるので、それと克弘の自前の薬を照らし合わせて、改良したいのだそうだ。

まぁ早い話。

仕事があるからここから離れたいという事。

 

「構わないが」

 

ジェフリーの願いをあっさり聞き入れる政彦。

 

「そうですか。

ではお言葉に甘えて」

 

ジェフリーは、微かに喜ぶと、教授、克弘さん行きますよ。と大声と手を振って合図を送る。

 

「じゃあ兄貴行ってくるぜ」

 

申しわけなさそうな、顔でジェニファーを見た後、克弘は、彼女が持ってるお盆から、カルピスソーダの入ったカップを取ると、摺り足であまり音を立てないように、歩いてジェフリーを追う。

 

「そうそう。

上からせっつかれてるので、急がねばならんかった」

 

ローレンス教授が、もっともらしく、言い訳じみた事を捨て台詞に、克弘の背中を追っていく。

 

(すまんのジェニー、この空気は年寄りにはちとキツい)

 

心の中で愛娘に詫びる事を忘れないローレンス教授だった。

最も気まずい空気の中に1人残されたジェニファーには何の気休めにも成らないのだが。

 

3人が去って行った後、政彦は第2研究室の扉のロックを解除する。

 

「いつまでも立ち話をしていても、仕方ない。

中に入ろう、ミス・ローレンス」

 

立ち尽くしてる、ジェニファーに促すと、振り向きもせずに政彦は第二研究室の中に入っていく。

 

その後ろを何も言わず、ジェニファーが付いて中に入る。

 

「持とう」

 

中に入ると、テーブルの上に、菓子を置き終わった政彦が、ジェニファーが両手に持ってる、お盆を預かり、菓子を置いた同じテーブルの上に置く。

 

それからソファーの前に立ち、反対側にあるソファーを手のひらで差す。

座れという合図だ。

ジェニファーは、政彦の合図に従い

、政彦の対面に座る。

ジェニファーが座ったのを確認した、政彦がソファーに深々と腰を下ろす。

 

「14歳で人を殺したってどういう事ですか!! 」

 

政彦が着席すると同時に、ジェニファーがテーブルを両手で叩いて、勢い込んで政彦に問う。

ちゃんと話して貰うまで、帰さないと言う意志が、その瞳に宿っている。

 

これには流石の政彦も面食らった。

 

(下手なごまかしは無理だろうな)

 

睨みつけてくる、ジェニファーの鋭い目を見て、政彦は精神的にどっと疲れる。

 

(とはいえ、あまり話したい内容でもないし……ダメもとで足掻くか)

 

「ミス・ローレンス。

話すのはやぶさかではないのだが、

あまり面白い話ではないぞ」

 

「構いません聞きたいんです」

 

遠回しに話したくないと、言ったがジェニファーは聞かずに、有無を言わさず頼んでくる。

 

「俺が人殺しをした、話しなどより

克弘とか利紀とかの話の方が面白いぞ。

ああ。 利紀と言うのはさっき話した克弘の上の弟で、こいつら2人と来たら、下半身に人格無しがモットーでな」

 

「14歳で人を殺したって、どういう事ですか」

 

口下手ながら、何とか面白いおかしく話したが、無駄に終わる。

 

目の前の銀髪の彼女の意志は、鋼のように強固であり、梃子でも動かないようだ。

 

「……さっきと言い、もの好きな事だ」

 

諦めたような顔をしながら、政彦はジェニファーに聞こえないぐらいの小さな声で呟いた後、聞き取りやすいようにゆっくりとかつて己の身に降りかかった、事件の事を語り出す。

 

 

「14歳の時だ。

当時中学二年の俺が通っていた学校に、オノを持った通り魔が現れた」

 

「オノを持った通り魔ですか?! 」

 

想像以上のディープな内容に、おののいたジェニファーだったが、気を取り直してテーブルの上に置いてる自分用の冷めた紅茶を持つと、一口飲んだ。

 




最後まで、読んで頂きありがとうございました。
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