異端の科学者と忘れられた技術 (凍結)   作:翔馬

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今晩は、最新話投稿します。
有り難いご指摘を受けましたので、
書き直しました。
過去語りが中途半端でなく、一応終わってます。
後今回長いです、それではどうぞ(^-^)


28話 懺悔と復讐

 

「話は……これで終わりだ」

 

1時間後、子供の頃の凄まじい体験を

語り聞かせた、政彦は疲れたような顔で、大きく息を吐いた。

 

それから目の前の、話が終わるまで、口を開かず聞き続けていた、ジェニファーの様子をうかがう。

一度中断さしてしまったのを、負い目に感じていたのか、今度は終わるまで、ほとんど動く事もなく、ただ耳を傾け続けていた。

そんな彼女の心を、占めるのは目の前にいる青年が哀れで仕方ないという、思いだった。

 

その、内容は彼女の想像をはるかに超えていた。

 

「政彦さんは、後悔してないんですか?」

 

真剣な表情で、ジェニファーは政彦に

聞く。

 

辛くはないのかと

 

「犯人を殺した事については、後悔してない」

 

真剣な顔で、自分を見つめる銀髪の美女に、政彦は心の中で思っている事を

正直に話す。

 

「後悔してるのは、3人の犠牲者を

だした事だけだ」

それだけ言うと、政彦は俯き両拳を握り締めた。

 

「そうですかでも私は、政彦さんは悪くないと思います。

政彦さんは、皆を守ろうとしたんですよねっ」

 

勇気づけるように、悪くないと守ろうとしたのフレーズを、強調してジェニファーは言う。

 

「法的に見れば、俺は正当防衛で罪にならない。

まぁ中には、警察の到着を待てなかったのかとか、皆を逃がすだけで良かったのではと、言うもの達もいたがな」

 

「そんな……当時14歳だった子供に

そこまで適切な対応取れるわけ、ないじゃないですか!! 」

 

話していて、熱くなったジェニファーが、お菓子を置いたテーブルを、思わずバンっと叩いてしまう。

 

「あっ……すみません」

 

罰が悪そうに、体を縮めながら、ジェニファーは座りなおす。

 

それを目でおった政彦は、ジェニファーが座り終わってから、口を開きだす。

 

「俺は取っていた、いや取っている

つもりだった。

学校ではボクシング、UNASA日本支局内で、射撃や白兵戦、そしてクローンテラフォーマーとの、サポートはいるが模擬戦をやっていた」

 

 

「そんな過酷な訓練を」

 

「過酷とは、思っていなかったがな。

俺の夢を達成するには、必要な鍛練だった」

 

そう言った政彦は、自嘲するような

乾いた笑みを浮かべる。

 

「だから、自信いや驕りがあったんだろうなぁ。

イかれた通り魔など、仕留める事が出来ると。

犯人を殺して無力化してしまえば、犠牲者は最小限ですむ。

これは間違いではない。

が同時に危険もあると言うことに、あの時の俺は気づけなかった」

 

「殺すなんて、普通は誰も考えようなんてしませんよ」

 

「……全くだ。

まぁ、14の時の失敗があったから、

次の時は、犠牲を出さなくて済んだがな」

 

「それは良かった……ってちょっと待って下さい!! 」

 

ストップとばかりに、手のひらを突き出す。

 

「どうした?」

 

「その言い方だと、他にも政彦さんは

人を殺してるんですか?」

 

「そうだが、14の時通り魔を殺したのは初めてであって、最後ではない」

 

恐る恐る聞いていきた、ジェニファーの問いに対して、政彦はイエスと答える。

 

本来なら教会とかで、深く頭を垂れ

懺悔しながら、語るような内容を

またしても、子供が親に素直に何でも話すような、気安さで話してしまう

政彦に、ジェニファーは嬉しさ半分、

戸惑い半分という、何とも言えない感情を抱き、しばらく黙り込むのだった。

 

────────────────

──────────────────

 

「人殺しの機会なんて、そうそうないと思いますけど」

 

5分程たっただろうか。

ようやくジェニファーが、沈黙を破って一言そう言った。

 

「やるなら、徹底的にがモットーなんでな。

自分に敵対するもの、家族や友、大事な人達に危害を加えようとする者は

容赦なく仕留めてきたからな」

 

「怖いモットーですね」

 

冷や汗を垂らしながら、ジェニファーは唾を一回飲み込む。

 

「それが最も確実なんだ。

中途半端に叩き潰しても、恨みが残る。

そしてその恨みが、自分に向くのならまた返り討ちにすれば良いが、ゲスどもは本人が手強いとわかれば、周りから狙う。

マフィアとかヤクザとかが、そうだろう?

本人も狙うがその家族も標的だ。

自分が狙われるなら、自分が気をつければ良いが、他の者が狙われたら

守りきれない」

 

そこで、一旦区切り、押し殺した

冷たい声で続けだす。

 

「だから、そうならないようにする。

死人は何も出来ないからなぁ」

 

大人でも怯えるような、怖い笑みを

政彦は浮かべる。

 

「殺した人にも、家族や恋人がいるんですよ」

 

人の命を尊いと思う、シスターのような諭す口調で、ジェニファーは政彦に言う。

 

「ああそうだ。

犯罪者だからといって、家族に絶対嫌われてると言うわけでもないし、女性にもてない訳でもない」

 

「そこまでわかってるなら」

 

「ためらえば、自身や家族達の身が危ない。

薄情に思うかもしれんが、自分を襲う者や大切な人達に危害を加えようとする者や、その残される家族や恋人の事など、どうでもいいのだ。

俺にとって大切な人達を守る事の方がより大事だからな」

 

「政彦さん……」

 

悲しそうな声で、ジェニファーは政彦の名を呼ぶ。

 

「1と0には絶対的な差がある。

だが1と2はそんなに変わらん。

1と100もな、手慣れていて、心が慣れてしまっているぐらいの違いしかない」

 

手のひらを目の前にかざして、皮肉っぽく笑う政彦。

 

「どちらも戻れないのは、同じだ」

 

「1人殺したら、後は1人増えようが

2人増えようが同じって事ですか?」

 

ジェニファーが非難するような、声で

政彦を睨む。

 

とはいえ、そこまで本気で怒っている訳ではない。

先ほどグレアム・バンディを怯えさせた時ほどの威圧感はない。

 

「そうだ。

他の者はどうか知らないが、俺は人を殺した者に人としての価値はないと思ってる」

 

睨むジェニファーを特に気にした風もなく、政彦は淡々と持論を説く。

 

「何故なら、死んだ人間は生き返らないからだ。

仮に人が生き返る事が出来るなら

殺人罪など、法で定める必要はない」

 

「重い……十字架ですね」

 

ジェニファーは、辛い過去を、辛いと

他人に感じさせないで、淡々と話す政彦を抱きしめてやりたいと思ったが、

ぐっと我慢する。

 

「俺が殺した人間は、全部で4人

他にも、帰宅途中レイプ犯と遭遇して、半殺しにしてやったりとか、伯母のヒモが、病院で入院してた伯母と生命保険目当てで、入籍しようとしてたから、ボコボコに殴って逆に入院させてやったりとかもしたが殺したのは4人だけだ」

 

「4人ですか……」

 

ジェニファーはその数が多いのか、少ないのか計りかねる。

 

「最もこの先も、やらなければならないのなら、殺るだけだがな」

 

「いくら守る為とはいえ、そんな簡単に人を殺すって、言わないでください!!」

 

ジェニファーは首を左右に強く振る。

そんなの嫌だとばかりに

 

「誤解しないでくれ、別に俺は

人を殺したい、殺人狂じゃない」

 

胸の前で両手の平をひらひらと、政彦は振る。

その顔は心外だと、言っているように

見える。

 

「ただ、少なくとも1人確実に

殺させねばならない相手がいるがな

 

「1人ってそれは?」

 

「徳永善治郎(とくながぜんじろう)

18歳の時、俺は奴の兄善一郎(ぜんいちろう)とその仲間を殺した

生き残ったのが、弟の善治郎だ」

 

政彦は、胸に手を当てる。

 

「トドメを刺せなかったのだ。

通報されて、警官が駆けつけたのでな

 

悔しそうな顔をしながら、テーブルの上にある飲み物を取り、政彦は口に含む。

 

味わうように、ちょっとずつ喉に流し込み飲み干す。

 

口の渇きを癒やし終えた、政彦は口を開く。

 

「警官に連行されていくとき、奴の目には凄まじいまでの憎悪があった。

当時15歳、今頃はどうしてるのやら

特別少年院を出所したとは、噂に聞いてはいるが、あれほどの憎しみそう簡単には消えるまい」

 

ジェニファーは語り終えた、政彦を

懺悔を終えた、迷える子羊を慈しむシスターのような優しい眼差しで、見つめ、ふと時計を見ると、もう一時間半も経っていたことに、気づくのだった。

 

──────────────────────────────────

 

灯台もと暮らしという言葉がある。

意味は、近くにあるものほど、案外気づきにくいと言う事。

 

政彦が語った男、徳永善治郎。

彼は同じ日アメリカカリフォルニア州

東部の町サニープールに居た。

27世紀の先進国アメリカ、全都市中

経済格差1位、麻薬犯罪件数1位を

誇る(誇れるのか?)

米国最悪の町である。

 

その米国最悪の町で、密かに行われ

ている。

大富豪や政府高級官僚、ハリウッドスターなど錚々(そうそう)たるメンバーが顧客の一大興行がある。

マーズファイト。

サニープールの町の地下に造られた、巨大闘技場で行われる、主にクローンテラフォーマーと人間の殺し合いを見せる。

この興行を起こしたのは、日本人であるとの事だが、善治郎には関係のないことだった。

何故なら善治郎はこのマーズファイトのA級闘士。

これから試合があるのだ。

 

「ゼン準備はいいか」

 

先の試合の後片付けが、終わったのだろう。

善治郎の控え室に、係員が呼びにくる。

 

その係員が目を丸くする。

 

「ゼン!!お前の手術は、紅式じゃないだろ何故変態してない!!」

 

呼びにきた、係員の黒人が顔を険しくして、怒る。

 

マーズファイトの戦士は、主に二種類に分けられる。

バグズまたは、MO手術を施された闘士

とそれ以外の闘士。

そのため、手術を施された闘士は、

少しでも盛り上げる為に、先に変態を

すましておくのが、暗黙のルールなのだ。

いくら血をみたい好事家達とはいえ、

変態出来ず、ゴキブリに殺されてしまえば白けてしまうからだ。

 

「必要ない……実戦では変態する隙を

つくり出すのが、当たり前だ」

 

「いやそれはそうだが、今回はクローンテラフォーマーが2体だ。

いくらお前でも」

 

手の平を前に突き出し、善治郎は

黒人の係員を黙らせる。

獲物を狙う、飢えた野獣のような目で

睨まれた、彼は善治郎の望みどおり

黙る。

 

「問題ない。

今までの10試合、俺は全て、戦闘中に変態しながら、勝ってるだろう」

 

「確かにそうだが」

 

「ところで、賭けはどうなってる?

控え室のイスに座って、俯いていた

善治郎が立ち上がる。

身長162と男としては小柄な体をしてる。

短く無造作に刈った短髪をしていて、

太い脚には、何かが刺さった古傷が

ある。

それは数年前、ボウガンで射抜かれた時に出来た傷なのだが、目の前の黒人の係員は知らない。

 

「賭は圧倒的に、あんたが不利だ。

皆の賭率は、テラフォーマーズの勝利に80%。

観客の八割が、負けると思ってるようだ」

 

「そうか」

 

善治郎はそう言うと、近づき黒人の肩に手を置く。

身長差があるので、下から精一杯伸ばした手を載せている。

 

「俺に賭とけ、儲けさせてやるよ」

 

善治郎はそう言って笑うと、控え室を

出て行った。

 

善治郎に肩に手を置かれた、黒人は善治郎が、出て行った後腰砕けになり、

その場に座り込んだ。

とはいえ、ちゃっかりしてる彼が、善治郎の勝ちに財布の中身全部を賭けるのは忘れなかった。

 

─────────────────────────────────

 

熱気と叫びがこだまする、闘技場に

善治郎は立っている。

黒人の係員に宣言した通り、彼は変態していなかった。

マーズファイトは下からD、C、B、A

S、Rとランクがあり、DからBまでは

手術をうけない一般人で、AからRの

ランクは手術を受けた者である。

というより、B級の試合で優秀な成績を収めた闘士が、手術を受けるか、B級の

ままでいるかのどちらかを選択する。

善治郎は、4連勝した後、A級への昇格を選び手術を受けた。

死ぬ確率もあったが、彼がマーズファイトに参加した理由は強くなることだったので、否やはなかった。

命乞いする、兄善一郎やその従兄弟達を何の躊躇いもなく殺した、あの男

憎い敵を殺すには、力が必要だったのだ。

 

(待っていろ太田政彦、俺はこの力を

完璧に己のモノにしたあと、お前の

息の根を止めてやる)

 

善治郎は今すぐにでも、殺したいのを

ぐっとこらえて、己を磨きつづける事を選ぶ。

数年前は、4人がかりで、夜、しかも相手には足手まとい言う、同行者もいたというのに、傷1つ与える事が出来ずに、返り討ちにあったのだ。

次は万全を期さねばならない

(太田政彦、母は兄の死を知った瞬間、寝込み一週間後には自殺した。

父もその後を追った、お前のせいで

俺は家族を喪った)

 

闘技場で、クローンテラフォーマーの

登場を待ちながら、善治郎は憎き敵

太田政彦を心の中で呪う。

 

「それでは−マーズファイト本日の

セミセミファイナルを始めまーす

 

政彦を呪っていた、善治郎の耳に

実況の声が入ってくる。

 

「ジョー」

 

「ジョッ、ジョジョッ」

 

二匹のテラフォーマーが、独特の掛け声を上げて、善治郎に飛びかかってきた。

 

場内の熱気と叫びが最高潮に達した

 

───────────────────────────────────

 

六分後、あれほど大きな熱狂と叫びが

響いていた、闘技場を静寂が包んでいた。

聞こえるのは、何かを咀嚼する音。

 

闘技場内の観客達も、マーズファイトの運営者達も黙り込んだまま

その音が聞こえてくる、場所を見ている。

他には、その光景に耐えられず、目を逸らすもの、嘔吐するもの、席を離れる者などもいる。

 

闘技場中央、そこが音の発信源だった

 

身長二メートルを超える、人型ゴキブリテラフォーマーが一匹、大の字になって、倒れており、もう一匹は、首が食い千切られ、両脚も千切れている。

それでもまだ生きてるようで、ピクピクと体を痙攣させてるが、それだけだ。

 

大の字に倒れているテラフォーマーの

体の上に、善治郎がのしかかっている。

善治郎は、白い汁で汚れた、口元を拭いながら笑う。

 

テラフォーマーにのしかかる、善治郎は異形となっている。

頭頂に自分の耳とは違う別の耳が生えており、口の中の歯は鋭い牙に、体をシルバーの体毛が覆い、手には鋭い爪が生え、尻には尻尾が生えている。

 

善治郎はその牙をテラフォーマの体に

突き立て、顎の力で噛み引きちぎる。

テラフォーマーの体の表皮が剥がされ、むき出しになった中身を、善治郎は喰らう、喰らい、喰らい続ける。

 

善治郎は倒したテラフォーマーを喰っているのだ。

そのテラフォーマの強靭な体を、優れた触覚を喰らい、まるで己が血肉とするように。

善治郎が手術を受けた後の試合はみな

最後は捕食タイムとなる。

 

がっ、がっ、ぐしゃっと、善治郎の食事は続く。

 

──────────────────────────────────

文明の発達と同時に、人は多くのものを改良してきた。

道具や、機械、やがて人の改良は

植物や生物にまでにも至る。

綺麗な花を作るために、他の花と掛け合わせたり、上手い米を作るために、

他の米と混ぜ、上手い肉を作るために

牛と牛を掛け合わせ、速く走る馬を作るために、馬と馬を掛け合わす。

そんな中で人が早くから、品種改良してきた、生物がいる。

それは恐らく人と最も長く共に生きてきた、生物。

ある時は、狩猟用として、ある時は

警察用、軍用、護衛、牧畜など、ペットとその用途は様々。

その名は犬、その犬という種族の中に

悲劇の歴史を歩んだ種がいる。

人のエゴで産み出され、同族殺しを

強要された悲劇の犬。

オーストラリアの闇の歴史

 

「待っていろ、太田政彦。

お前の死体も、このゴキブリ共のように、喰い尽くしてやる、火葬代が浮いて助かるだろう」

 

狂気の笑みを浮かべ、白い汁を滴らせながら、善治郎の食事は続く。

 

徳永善治郎 日本

19歳 ♂ 162㎝ 51Kg

MO手術 哺乳類型

オーストラリア、ニューサウスウェールズ州原産

ストラス・ドゥーン・ディンゴキラー

 

同族殺しの力を得た男が同族(人)殺しに挑む

 




最後まで読んで頂きありがとうございました(ゝω・)
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