「何と、クローンとはいえ3匹相手にして、無傷どころか、返り血いや返り液すら、浴びてないとは」
小町が星野に言われて、慌てて訓練場の政彦を見下ろす。
その目には政彦への称賛がありありと
うかがえる。
「……星野君に研究を手伝って貰おうと、訪ねにきたが息子の成長を見ることになるとはな、良いところは見れなかったが、頼もしくなったものだ。
一年前にMo手術の適合ベースがないと言われて荒れていたのが、嘘みたいだ」
小町のとなりで、ハードな訓練を為し遂げたわが子を、慈しみの思いで見つめる。
「太田博士、あれが人体の一部分だけをMo化させる、IMO(インスタントモザイクオーガン)手術の成果ですか?」
小町が興奮に体を震わしながら、常彦に問う。
強者を見て、血が騒いだのだろう。
武道家の性というやつだ。
「いや、小町君あれはIMO手術ではないよ。
息子のあれは、君の部下である
ミッシエル副長と同じ、偶然の産物だ」
常彦はゆっくりと首を横に振って、
否定する。
「偶然の産物ですと……それはいったい?」
小町は、常彦が言ってる事が理解できず、再度質問する。
ふぅ〜、常彦は一つ大きく息を吐くと、視線は訓練場を見下ろしたまま
質問に答えるべく、語りだす。
一年前アメリカのNASAであった
政彦が巻き込まれた事件の事を
「IMO手術とは、政彦のあの腕を参考にして造られた技術なのじゃ。
政彦のあのMo化した腕、あれは元々別の人間のものじゃ」
「別の人間のもの?それはいったい」
小町が唾をゴクンと飲み込む
「一年前の事じゃ。アメリカのU-NASAで一人のMo被験者が、変態後暴走する事故いや事件があった。
政彦のあのコアラの腕は、その時死んだ被験者が変態した腕を、政彦に手術で移植したものじゃ」
「移植?何故政彦君は移植なんかを」
小町が首を傾げる。
「慌てるな、小町君。
無断使用を不問にしてくれる礼じゃ
全て話す」
常彦は、喋り終わると小町を横目で
チラッと見た後、直ぐに視線を訓練場に戻す
「一年前、倅政彦はMo手術の適合ベースが一つも存在しなかった。
政彦は、微かな希望にかけて渡米したのじゃ。
アメリカの方がMo手術の技術が進んでおったからの。
もっとも技術面で一番なのは、ドイツじゃが子供を人体実験に使う奴らなど
信用できんと言って、アメリカにしたのじゃ」
思い出していて、同じ科学者として、
腹が立ったのか常彦の眉間に皺がよる。
小町は、口を閉ざし常彦を見続けている。
1分ほど過ぎただろうか。
常彦がやっと重い口を開く。
「アメリカに行った、あやつは
そこで一人の青年に出会った。
アルバルド・ローレンス
コアラのMo手術に成功した被験者で。
後に薬接種後、暴走事件を起こしてしまう。
被害者で、政彦の左腕の提供者じゃ」
常彦は、訓練場で3体のテラフォーマーズの死体を見下ろしながら、仁王立ちしている、政彦の異形の腕を指差しながら、昔語りを続けた。
決して表沙汰にはされない事件。
Mo手術者暴走事件の詳細を
それは2617年に起こった。
最後まで読んで頂きありがとうございました。
ええ今回の主人公政彦の左腕なんですが、まぁゴキブリどもが死体活用してるし、人類側も活用できるだろ
みたいに思って、こういう設定にしました。
マッドサイエンティストならこれぐらいやるよな多分。
次回からは主人公が何故片腕を移植することになったのか、その原因となった、事件についての話です。
また、タイトルになってSmo手術の詳細も出していくよていです。
それでは、前後編読了お疲れ様です。
次回からは短くなるように、頑張りますので今回はご了承ください。
(-.-)