今回も長いです
それではどうぞ( ^-^)_旦~
翌日
太陽が照りつけている。
時刻は午前11時
朝8時にUNASA本部を出発した小町小吉率いる、火星探索チーム日米合同第1班と第2班は、朝からずっとバスに乗りっぱなしだったので、このグランメキシコに程近い高速道路のサービスエリアで、休憩を取っていた。
サービスエリア内にある、売店で飲み物とサンドイッチを買ってきた克弘はバスへと歩き、缶コーヒーを飲みながら昨晩の兄との会話を思い出す。
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「克弘俺は、明日の新薬実験で
何か起こるかもしれないと、考えているんだ」
最初兄貴がそう言っても、俺にはあまり意味がわからなかった。
「何か起こるって、何が起こるってんだ?」
何かと曖昧な言い方をする、兄貴に
俺は少しイラっとしながら、言う。
勿体ぶった言い方なんて、兄貴らしくないと思う。
そんな俺の質問に、兄貴が答えを返してくる。
「何が起こるかは、わからない。
ただ上層部も火星探索チームの精鋭も
ほとんど出払ってしまうこの状況、良からぬ者達が、何か起こすのには
絶好の機会だ。
ならば、何か起こるかもしれないと思う」
まぁただの勘だがな。
苦笑いしながら、兄貴が俺にご自慢の推理を披露してくれる。
その真剣な語り口から、兄貴はスパイ達が行動する可能性が非常に高いと思ってるようだ。
「考え過ぎじゃねぇ?」
俺はいくらどの国も油断ならないとはいえ、UNASA本部に何かちょっかい
出してくる程とは、思えなかったので、杞憂だと鼻で笑う。
やばっ不機嫌に成ったかと、恐る恐る兄貴を見るが、特に表情を変えてはいなかった。
「考え過ぎとは、俺も思う」
手のひらを合わせたまま、兄貴が呟く。
「だろう。
そんな余計な事ばかり、考えてたら禿げるぞ」
俺がそう言って茶化す。
「だがな、どうも引っかかるんだ。
だから俺は明日新薬実験に立ち合う。
何か起こった時のための、万全な準備をしてな」
「用心深いねぇ〜兄貴は石橋叩いて渡るどころじゃねぇなぁ。
まぁ兄貴の気の済むように、したら良いんじゃないか」
「ああ。
お前は合同訓練を頑張れ」
兄貴が、短い言葉で俺を応援する。
「了解。
まぁせっかく新薬実験に立ち合うんだ、どうせならジェニファーちゃんと親密な関係を作っちまえよ」
俺が脱彼女0と、兄貴を焚き付ける。
「だから何故そこで、ジェニファーが
出てくるんだ?」
俺の応援に兄貴が、不思議そうな顔で
聞いてくる。
(こりゃジェニファーちゃんは、前途多難かな?
とはいえ、名前呼び合うぐらい進展してるし、兄貴が付き合ってくれと言えば、いけそうだけど)
俺は兄貴の顔をチラッと見る。
その兄貴はというと
「拳銃を携帯して立ち合うべきか?
いや火力が足りない、サブマシンガンぐらい用意した方が……待てよ万が一の時、一般人達を逃がすために、煙幕かスタングレネードも用意した方が良いな」と物騒な事を言ってる。
そんな兄貴を見て俺はある意味で感心する。
(僅かに感じた不安から、そこまで準備するって、用心深いのか被害妄想なのか。
まぁ兄貴にとって、テラフォーミング計画は命を懸けた使命だから、仕方ないか)
俺はありとあらゆる、スパイ達の行動を、想像してその対策を考えている 兄貴を見ながら、目の前に置いてる 残りの飲み物を飲みほした。
その時の俺は兄貴の不安を、考え過ぎときって捨てた。
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だが翌日になって今
(兄貴の不安、あながち間違ってないかも)
と克弘は考えなおしていた。
根拠は主に2つ。
1つ合同訓練中のUNASAの警備力は、通常時の三割以下
また、上層部のお偉方はほとんど出払っているのにたいし、新薬実験のため研究者達は、トップのジェラルド・ローレンス教授を始め、優秀な者は軒並み、UNASA本部に残っている。
各国が、それぞれ出し抜きたいと、思っている現状。
この状況は願ってもない好機だ。
『俺がスパイなら、今がチャンスだと思うな』
政彦が昨晩そう言っていた。
その時は、考え過ぎと思ったが出発前の、UNASA本部の警備の甘さを見せられた、今、克弘は兄の意見を、考え過ぎとは思えなくなっていた。
「貧すれば鈍するか」
飲み終わった缶コーヒーを、ゴミ箱に放り込みながら、克弘が1人ごちる
それから大きく深呼吸する。
「ふぅ〜弟なら、兄貴は信じるべきだよな」
克弘は憑き物取れたような、晴れ晴れとした顔で、よ〜しと言って、早足で
歩き出した。
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(さて居るかな?)
決心した、克弘が向かった先は
アネックス日米合同班が、乗る大型バス二台を、置いてる駐車場。
そこには先に戻ってきた、班員達が集まっている。
「何の騒ぎだ?」
克弘は、班員達の元に行き、班員達の壁の向こうに2人の男が向かいあっているのを見つける。
班員達が作った壁のわずかな隙間から、覗き込むと2人の男が相対している。
1人目は、長髪の髪を風になびかせながら、左半身で立っている若い男
目が鋭く、一目で強者とわかる雰囲気を纏っている。
対するは、逆立てた黒髪に、身長180を
超える長身で鋼の如き屈強な肉体の
中年の男。
しかし、その体から迸る、闘気や気迫は、凄まじくまるで巨大な大樹の如き
力強さを感じる。
覗き見ていた克弘は、2人の相対する
男を両方とも知っていた。
(小吉艦長と河野開紀、何をしてるんだ?)
克弘は2人が、何をしているのか、わからないので、とりあえず2人を注意深く見ることにした。
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「開紀熱心だな、グランメキシコに着いたら訓練漬けなんだぞ」
班員達の壁の向こうに見える小吉が、
目の前の部下に話しかける。
小吉はリラックスしていて、開紀に話しかけたのも、世間話でもしてるようだ。
「後何時間もバスに座りっぱなしだと、体がなまってしまうんで」
小吉とは違い、緊張しながら
声を震わせて開紀が答える。
開紀は、顔を強ばらせながら、大きく息を吐く。
それから、両手で頬を叩くと
「小町隊長、お手合わせお願いします」
一大決心し大声を張り上げ、開紀は構える。
腰に右拳を付け、左手を開き、攻撃を捌きやすいようにする。
「薬無しとはいえ、怪我するかもしれんぞ」
本当にやるのかと、小町が最後の確認をとる。
小吉の忠告に、開紀は無言で頷く。
「わかった」
部下の覚悟がわかった、小吉は武人として相対する事を決めた。
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「休憩時間に組み手って、熱心というか、格闘馬鹿というか訓練前に怪我しても知らないぞ」
戦闘態勢に入った2人を見ながら、克弘は呆れた声で呟く。
「薬なしの組み手、お遊びみたいなものさ。
最もそのお遊びで怪我して、合同訓練に参加出来ないようでは、火星では役立たずだがな」
独り言のつもりだった、克弘は
返答があって、驚き、声の主を探す。
すると自分の隣にいつの間にか、金髪のボブカットに、メガネを掛けた
美女が立っている。
美女は克弘の方を見ず、無表情で
手合わせを始めようとする、開紀と
小吉をじっと見ている。
「デイヴス副長代理、なんで?」
自分の隣に気配もなくUNASA火星探索チームの若き幹部候補生が、立っているのが理解できず、克弘はミッシェルに聞く。
「何でってバスに、戻ってきたからだ
まぁ、この手合わせが終わるまでは
バスに戻れそうにないがな」
ミッシェルが克弘の方を見もせずに、素っ気なく答える。
「それよりも、河野の雰囲気が変わった、仕掛けるぞ」
ミッシェルがそう予想して、数秒も経たない内に、開紀が怪鳥のような叫び声を上げて、飛び上がった。
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「ん……」
小吉は空高く飛び上がった、開紀を
目で追い空を見上げた。
飛び上がった開紀は、空中で縦に回転しながら、踵を小町めがけて振り下ろす。
開紀の両脚を使ったダブル踵落とし。
(そんな大技が、いきなり決まるとでも思ってるのか)
小吉は、上空から回転しながら落ちてくる部下を迎え撃とうと、拳を握る。
が小吉は気づけなかった。
開紀はいちかばちかで大技を仕掛けたのでは、なかったのだ。
ちゃんと勝算があったのだ。
逆光
空から降ってくる開紀をとらえようとした小吉だが、眩しくて開紀の姿を追えなくなってしまう。
(しまった!! これが狙いか)
小吉が手の平を広げ、少しでも
眩しくないように、しようとする。
小吉が追えなくなったのに、反し
開紀は小吉をとらえていた。
(よし、隊長は反応が遅れてる)
開紀は、小吉の脳天目掛けて
思いっきり両踵を振り下ろした。
次の瞬間、踵に重い衝撃を感じ
開紀は逆に空に押し戻され、浮遊する。
(俺の踵落としは、隊長の頭に
直撃したはず……なのに何故俺がとばされてる)
開紀は、自分に起こった事が理解できず空中で体をじたばたと動かし、混乱する。
「思いっきりの良い奇襲だったぞ
開紀」
空中でもがく開紀に、地上から野太い声が届く。
「隊長……」
開紀の意識があったのは、小吉の声を聞けた時までだった。
直後腹に強い衝撃を受けた彼は、意識を手放したのだった。
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「でたらめだな……ははっ」
気絶した、開紀を胸に抱えている
小吉を見ながら、克弘はそれ以上言葉が出ず沈黙する。
さっき終わった手合わせ、結果を見れば小吉の圧勝だった。
だが、その過程の無茶苦茶ぶりに、克弘は、呆れを通り越して笑うしかなかった。
太陽の光での目くらましを利用した
大技での開紀の奇襲は、小吉の頭を完全に捉えて、眩しくて反応が遅れた小吉は避ける事が出来なかった。
そこで小吉は、開き直った。
踵落としの狙いは頭しかないので、
小吉は頭に攻撃してくると読んで
逆に開紀の両踵落としに、思いっきり頭突きをかましたのだ。
まさかカウンターされると思っていなかった開紀は、予想外の反撃に困惑し、空中でバランスを崩して落下してきたのを、待ちかまえていた小吉の飛膝蹴りで、腹をぶち抜かれ失神したのだ。
この一見でたらめな戦法だが、自然界の動物の中に、敵の攻撃してくる牙や爪に、攻撃する生物はいる。
世界一の怖いもの知らずと言われる、
ラーテルや、同じイタチ科のクズリなのだ。
とはいえ
(拳ならともかく、相手の蹴り技を
額で受けるどころか、頭突きで吹っ飛ばすって。
総隊長の肩書きは、伊達じゃないな。
さすが英雄)
自分ではとても出来ない、芸当を目の前でやった小吉(しかも、失神した開紀を空中でお姫様抱っこするサービス付き)を畏怖の目で見る。
(いけねぇ、小吉さんに言わないと)
試合に見入っていた、克弘だったが
本来の目的を思い出して、慌てて
小吉の元に行くのだった。
「小吉隊長ちょっと、良いですか?」
克弘が、小吉に話しかけたのは
小吉が気絶した開紀を、バスの席に座らさせていた時だった。
小吉は、座らさせた開紀の席のシートを後ろに下げていた。
「克弘君かどうした?」
何か用かとばかりに、小吉が振り返る。
少し驚いているようだ。
克弘は振り返った小吉の顔を見ながら、気まずそうな顔をする。
「……小吉隊長、悪いんだが
こっからUNASAに戻りたい、許可をください」
克弘は、言いにくそうに、そう言うと
小吉に頭を下げる。
「唐突だな……体の調子でも悪いのか? 」
小吉が、克弘の全身を見る。
「体は健康そうだな。
でも克弘君ここから戻るとなると、合同訓練を、受けれないが良いのか?」
そうまでする理由はなんだいと、小吉が続けて聞いてくる。
「小吉隊長もしかしたらUNASAで、何かが起こるかもしれないんだ」
克弘は、真面目な顔で小吉そう告げる。
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「なるほど……可能性は低いが
無いとも言い切れないなぁ」
克弘は、昨晩の兄との会話と、その兄が言っていたスパイが動く危険性を小吉に説いた。
話を聞き終えた小吉は、難しい顔をして、両腕を組んでいる。
「最初は俺も、兄貴の考え過ぎと思ってた。
今日になって、UNASAの警備の緩さを見て、あり得るとおもった」
「確かに、合同訓練への動員によって
UNASA本部が手薄になるのは、俺も
危険だと思っていた」
小吉が克弘の意見に同意する。
「だが克弘君。
仮に何かスパイが行動したとしても、
君1人では対処出来ないぞ」
克弘の意見に同意しながらも、釘を差す事を小吉は忘れない。
「そのときは、兄貴や本部にいる
他のMO手術成功者達と協力して事に当たる」
なので、大丈夫と克弘が心配ないと
頷く。
「何事も無ければ良いが、もし何かあれば、今の手薄なUNASA本部では、危ういな」
「ああだから、俺に戻らせてくれ
小吉隊長。
身内びいきに思うかもしれないが、兄貴の嫌な予感は大抵的中するんだ」
克弘がもう一度小吉に、頭を下げて
別行動の許可を貰おうとする克弘。
「政彦君は……何の根拠もなく
そんな事は言わないか……わかった!!
克弘君、UNASA本部に戻ってくれっ
何もなかったら、また戻って合流してくれたらいい」
「良いのか隊長」
信じられないと驚きながら、目を丸くして克弘は小吉を見る。
正直克弘は許可は貰えないと思っていたのだ。
もし許可が貰えたらラッキーと思っていて、仮に許可が貰えなくても
その時は、そのまま単独で戻るつもりだったのだ。
(こんな、妄想みたいな話を真剣に考えて、対応してくれるなんて
やっぱ話のわかる人だぜ小吉隊長は)
克弘は、心の中で小吉に感心する。
だが克弘はまだ小町小吉と言う男を見誤っていた。
直後小吉は、克弘の期待を裏切る
良い意味で
「ただし。
事が起こった場合、克弘君1人だと
他の者達合流するのは、厳しいな」
小吉は、そう呟くとバスの窓際まで行くと、窓を開け、隣のバス向かって
大声を上げる。
「ミッシェルちゃん、ウォルフを連れてこっちに来てくれー!!」
小吉の大声が聞こえたミッシェルは、
鋭い目で窓越しに小吉を睨んだ。
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「つまり、UNASA本部でスパイ達が
テロ行動を起こすかも、知れないという情報を掴んだから、私とウォルフと
ローマで手術を受けた、この男と
一緒にUNASA本部に戻り対処せよと言うんだな」
大声で、呼び出されたミッシェルは
不機嫌そうに、目を細めながら
克弘を指で指し、ドスの効いた声で小吉に確認を取る。
なお、ミッシェルと一緒に呼ばれたウォルフは、ミッシェルの後ろで
無言で立っている。
克弘は、小吉とミッシェルのやり取りに耳を傾けている。
(小吉隊長、話を盛ったなぁ。
まぁ、1人の若者が何か危険かも知れないなんて言うよりは、信憑性あるもんな)
小吉はミッシェルに、UNASAの名前で
車を徴収したから、それに乗っていくようにと、指示を出している。
(ここまで大事にして、何もなかったら、小吉隊長大変だなぁ)
まぁ、その当の本人の小吉は、その時は俺が、狼少年じゃなかった、狼中年って呼ばれるか、ほら吹き中年って
呼ばれるだけだと、笑って言ってたが。
最も最後に、「可能性が高い以上、
どう転んでも、いいように対応しとかないとな」
とも、片目を瞑りながら、付け足していたが。
(奇跡の子が一緒に来てくれるなら、
大助かりだな。
もし、何もなくて小吉隊長が始末書書かされるなら、手伝おう)
後、飯も奢ってやろうと、克弘は心の中で思った。
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「頼むぞミッシェルちゃん」
小吉が、車の運転席に座るミッシェルに、心配そうな顔で見ながら、見送る。
「ガセだったら、すぐに戻る。
まぁ、隊長の心配しすぎだと思うが
日本では亀のこうより年の功と言うそうだしな。
命令は遂行する」
ハンドルを握りながら、ミッシェルが答える。
副長代理という、幹部候補生のミッシェルが運転を担当してるのは、
私が一番運転が上手いと、ミッシェルが言って、運転手を買ってでたからだ。
この男前な美女に、2人の同行者は
反対する事はなかった。
エンジンをすでにかけている、ミッシェルはアクセルを踏んでエンジンを拭かしている。
「克弘君も、ウォルフも気をつけてな。
もし、スパイが暴れてたら、ミッシェルちゃんの背に隠れたらいい」
助手席に座る、克弘と後部座席に座る
ウォルフを見ながら、小吉が冗談混じりに、話す。
「戦闘ベースでないので、危なくなったらそうさせて貰います」
シートベルトをちゃんと、締めた
ウォルフが、丁寧に頭を小吉に下げながら、答える。
「俺もヤバくなったら、そうさせて貰いますよ」
克弘が、へらへら笑いながら、それ名案と、言う。
「逆だろう、普通」
ハンドルを握る、乙女が密かに反論したが、小さな声だったので誰も気づかなかった。
「すまんな、俺が付いていければ
良いんだが」
小吉がすまなさそうに、顔を歪める。
「副長代理が、付いて来てくれるだけで、充分ですよ。
ウォルフさんは、索敵能力に長けてるし、小吉隊長の人選はベストです」
サムズアップして、克弘は小吉を誉める。
(欲を言えば、ペギーちゃんって言う
癒やしがあれば、言うこと無かったけど)
と心の中で思うが、勿論外には毛筋も出さない。
「そう言ってくれると、助かる。
何かあったときは、連絡をくれ
すぐに駆けつける」
小吉は拳を握り締め、胸を叩く。
任せろと言わんばかりに。
「心配いらない、隊長。
私が行くんだ、仮に訓練用の
テラフォーマーが、脱走していたと しても全部駆除してやる。
隊長は合同訓練のスケジュール調整でもしといてくれ」
ミッシェルが、問題ないとばかりに
小吉に言う。
「頼もしいな、ミッシェルちゃん。
君の親父さんも、頼もしい人だった。
部下達を守るため、たった2人っきりで、燃えるバグズ二号に残って戦った真の戦士だった」
小吉が懐かしそうに、空を見上げながら、語る。
「今度時間のある時に、聞かせてくれ
隊長」
ミッシェルが、か細い声で答える。
父の事を思い出したのか、心なしか
メガネ越しに目が若干潤んでるように、見える。
「ミッシェル班、これより
UNASA本部に帰還します」
ミッシェルは、そう言うと思いっきりスピードを出して、車を飛ばした。
時刻は、午後12時5分を過ぎていた。
最後まで読んで頂きありがとうございました。
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