異端の科学者と忘れられた技術 (凍結)   作:翔馬

5 / 52
ちょっと遅くなりましたが最新話投稿します。
(^_^)


第3話 政彦の自省と昔語り

 

「……親父、それに小町艦長」

 

クローンテラフォーマーの死体を見下ろしていた、政彦がふと記録室を見上げると、そこに見知った人物を発見した。

 

訓練終了を伝えようとしたのだ。

 

だがそこに本来いるはずの、いや居てはならない人たちが、居るのを見た政彦は伝えるのをやめ黙りこんでしまう。

 

その招かれざる客である、太田常彦と

小町正吉は窓際に立って向かい合っている。

口が開いたり閉じたりするのが、見えたので何か喋っているようだ。

ただ唇の動きを読む読唇術を持たない

政彦には何を言っているのかさっぱり解らない。

 

「見られていたという訳か」

 

政彦は視線を再びテラフォーマの死体に戻す。

 

頭が潰れ、片腕が雑巾を絞ったみたいになってるテラフォーマが1体

腹に大穴を空けている、テラフォーマが1体いる。

 

残りの1体は十数メートル離れた壁の

ふちに蹲(うずくま)って倒れてる

無論これも死体だ。

 

「歴戦の猛者に、無様な訓練を見せてしまったな」

 

 

政彦は自嘲気味に鼻で笑うと、先の

戦闘を思い出す。

 

 

 

1

 

 

 

銃を持ったテラフォーマーを倒した

政彦が次に狙ったのは、ハンマーを持ったテラフォーマーだった。

 

ハンマー持ちテラフォーマーの懐に

飛び込んだ政彦は、テラフォーマーが

振りかぶった瞬間に、その土手っ腹に

真っ直ぐ突き出した左拳一発で、それを貫いた。

この一撃で腹の急所をぶち抜かれた

ハンマー持ちは倒れた。

 

「この後がいけなかった」

 

ハァー

 

政彦は溜め息を吐きながら反省する。

 

政彦がぶっ飛ばした背後に、残った

チェーンソー持ちテラフォーマーが、

得物を降り下ろしてきたのだ

狙いは政彦の頭部。

そのままいけば、テラフォーマーの狙い通り政彦は頭から股間まで真っ二つにされていただろう。

 

だがチェーンソーの物凄い刃唸り音に

気づいた政彦は、すかさずベルトの間に差していた、ナイフの鞘(シース)を背後に向かって投げる。

ソフトボールを後ろに投げるような

感じだ。

投げたシースは縦回転しながら、テラフォーマーの顔に当たる。

目元近くに当たったテラフォーマーは

顔をしかめ、降り下ろしているチェーンソーの軌道がぶれ、政彦の頭を切り裂く刃は、空を切る。

 

 

軌道を修正しようとチェーンソーを持ち上げようとした。

テラフォーマーの右腕を、シースを背後に投げると

同時に体を方向転換させていた政彦の左腕が掴む。

 

グシャ

 

まるで格闘家がデモンストレーションでリンゴを握りつぶすように、あっさりとテラフォーマーの腕を握りつぶす。

 

痛覚のないテラフォーマは痛みは感じないが、潰れた腕で力が入るわけもなく、左腕一本では支えられず持ち上げていたチェーンソーが左腕ごと、下に下がる。

 

 

次の瞬間テラフォーマーの顔面ががら空きになる。

その間僅か数秒だが、それで充分だった。

 

テラフォーマーがチェーンソーを持ち上げようと、左腕に力を込めた時には、既に政彦はテラフォーマーの頭を鷲掴みしていた。

 

「終わりだ」

 

そう宣言すると政彦が左腕に力を込める。

 

「ジョ」

 

それだけ言葉を残した、チェーンソーテラフォーマーは頭を握りつぶされる。

超握力で潰された頭部は、バラバラに砕けちり、辺りに散らばる。

 

頭部が無くなったテラフォーマーは

政彦が握り開くと同時に、地面に両膝を着くとゆっくりと倒れた。

 

以上が政彦の戦闘結果である。

 

重傷どころか、軽傷すら負っていない

完勝である。

 

だが政彦は納得しない。

 

「背後を取られるなど、一対複数戦の

基本が出来てないな」

 

政彦回収した、ベルトの間に差した

シースを見ながら、恥じるように呟く。

 

「1体だから、シースだけで隙が作れたが、もし2体以上いたら今ごろ他のゴキブリに、がら空きの背中を攻撃されてたな」

 

それにと政彦は腕を組ながら、反省を続ける。

 

「チェーンソーは煩(うるさ)かったから気づけたが、音のあまりでない刃物いやテラフォーマーなら素手でも充分過ぎる、殺傷能力がある。

チェーンソーでなく、素手か刃物

あるいは鈍器とかなら……」

 

 

(迎撃は間に合わなかったかも知れない)

 

 

口に出さず心の中で、自省する。

 

「……おっと反省ばかりもしてられんな。

無断使用の件を小町艦長に詫びないとな。

訓練終了まで待ってくれたし、その礼もしないと」

 

反省を終えた、政彦は記録室を見上げた後、記録室に向かった。

無論投げ終えた、雷獣の回収も忘れずに行う。

 

 

 

2

 

「それで太田博士、去年アメリカで何があったんですか?」

 

小町が勢い込んで、記録室のモニター近くのソファーに座っている常彦に問う。

 

只でさえ大きな小町の声が更に大きくなっている。

 

あれから窓際で過去話をしだした、常彦だったが長話になる立ち話は疲れる。

と言って、話を中断。

星野が見ている、モニターの近くに

ソファーが3つあるのでそこに場所を移した。

 

ちなみに小町の座るソファーの反対側にもう1つソファーがあり、常彦はそこに座っているので、小町と常彦は向かい合っている。

 

なお現在、星野は席をはずして、飲み物の調達に行っている。

 

オーダーは、小町が微糖のコーヒーで

常彦は烏龍茶で星野自身は、ブラックのコーヒーで後いつも訓練終了後に報告に来る政彦のために、スポーツドリンクの計4本だ。

(なお金は常彦が1000円渡しており、釣りは要らないと言っている)

これは星野がタバコ代の捻出に苦労している為、常彦の

粋な計らいである)

 

『ありがとうございます』

 

釣りは要らない取っておきなさいと言った時の、星野の深いお辞儀と大声の謝礼を思い出して、常彦は笑みを浮かべる。

 

 

「くすっ、まぁ慌てなさんな小町君」

 

ソファーから立ち上がって、前のめりになっている、小町の前に手のひらを

突きだしながら、常彦は言う。

 

「飲み物が届いてからでも、遅くはないよ」

 

手を上下に振って 、小町に座るように促す。

 

「はぁ〜わかりました」

 

肩をすくめた、小町はそう諦めたような感じで言うと、ソファーに座り直す。

 

二人は押し黙って、飲み物の到着を待つ。

 

 

5分ほどして、記録室のドアが勢いよく開けられる。

 

「お待たせしました。太田さん

小町艦長」

 

白衣のポケットに入れていた、買ってきた缶ジュースを取りだしながら、

小町たちの元まで来ると、星野は

ソファーの前に置いてる机の上に、取り出したジュースをそれぞれの目の前に注文された缶を置くと、今度は胸ポケットからタバコを一箱取り出すと

そこから一本取り出して口に加える。

 

「あっ!」

 

そこまでして、二人に見られている事に気づいた星野は、ばつが悪そうに頭を掻きながら、加えてるタバコを口から取り出す。

 

そんな様子を見た常彦と小町は笑みを浮かべる。

 

 

「釣りは取っとけとは、言ったがそれで速攻買うとは思わなかったよ」

 

 

 

 

「すみません……子供が今年から高校に入ったんで、小遣い減らされてまして」

 

頭を掻きながら謝罪する星野。

 

「構わんさ、久しぶりのタバコを堪能するといい」

 

「ありがとうございます。

あの小町艦長は?」

 

常彦に頭を下げた後、星野は恐る恐る、小町に話しかける。

 

常彦には許可を貰ったので、後は小町だけだ。

 

「どうぞ。俺もそんなに気にならないですから」

 

小町は恐妻家の喫煙者の願いを心良く叶えてやる。

 

「ただのう」

 

再び口にタバコを加えようとした、星野に常彦が付け足す。

 

「政彦は大嫌いじゃ。

あれの前でタバコを吸った日には、箱ごと捨てられるのう」

 

顎に指を添えながら、常彦が恐ろしい

事実を告げる。

 

「えっ!」

 

思わず星野は、指に持っていたタバコを

床に落としてしまう。

 

「あぁ!1ヶ月ぶりのタバコがぁー」

 

星野は、両手を頭の上に乗せた後、

しゃがみ込むと、床に落ちたタバコを拾うと猫舌の人間がラーメンでも食べてるように、息を吹き掛け汚れを払う。

 

「ふぅーふぅー」

 

 

「それを吸う気かね」

 

若干顔をひきつらせながら、常彦が憐れみの籠った目で、星野を見る。

 

 

「さすがにそれはやめた方が」

 

小町も信じられないものを見るような目で、憐れな喫煙者を見る。

 

「星野君。

息子に協力してくれたのだ

ワンカートン、後で買ってプレゼントするから不衛生な事はやめたまえ」

 

 

「本当ですか?太田さん」

 

しゃがみ込んだ状態から素早く、立ち上がった星野はあっという間に常彦の元に走りよると、その手を握った。

 

 

「1カートン何て、数年ぶりですー」

 

常彦の握った手を上下にブンブン動かしながら、欲しい玩具を買ってくれた

子供のように、無邪気に笑いながら

星野は喜ぶ。

常彦の手を握ってなければ、そのまま踊りそうな感じだ。

 

「あぁわかったから、その手を離してくれたまえ。痛いのだが」

 

 

「はっこれは失礼しました」

 

顔をしかめた、常彦を見た星野は、慌てて手を放した。

 

「ふぅー」

 

強く握られて少し腫れた手に、息を吹き掛けて、常彦は腫れをひかす。

 

「星野君、君も座りたまえ。

それからさっきも言ったが、政彦が来たら知らんから、さっさと吸いなさい

」

 

「あぁそれならば、大丈夫です。

政彦君は記録室に報告に来るまえに、

戦闘訓練で使った、テラフォーマーの遺体を片付け、訓練場を清掃してから、シャワーを浴びてから報告に来ますので」

 

余裕ですと付け足すと、星野は2本目を取り出すと、口に加える。

 

「そうか。それは好都合じゃのう

ならあやつに、話を止められたりする事はない訳じゃな」

 

常彦は、缶のプルトップを開けながら、呟く。

 

「博士いただきます」

 

小町がちょっと首だけで会釈してから

同じくジュースに手をつける。

 

星野は、念願のタバコを吸えてご満悦な様子だ。

 

 

「では喉も湿ったところで、話そうかのう」

 

両手で中味の入った缶を持ちながら、

常彦は中断していた、過去話を再開したのだった。

 




いかがだったでしょうか。
う~ん今回から過去編に入ろうと思ってたんですが、
戦闘結果ちゃんとしないで、過去編にするのは
ちょっとややこしいかなぁと思って、こうしました。
短く纏めたかったんですが、なかなか、上手くいかないなぁ。
次回から過去編に入っていきます。政彦の片腕がどうして移植された事や、政彦の兄弟も出てきます。
ご期待に応えれるように頑張る所存ですので、応援宜しくお願いします。
読了ありがとうございました。(^_^)
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。