異端の科学者と忘れられた技術 (凍結)   作:翔馬

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最新話投稿します。
ちょっと長いですがどうぞ。
(^^)



第4話 兄と弟 (2)

 

 

「ところで兄貴、腹減ってないか飯どうする?」

 

アクアダを気持ち良く、運転しながら

克弘は政彦の方に首を向ける。

 

 

「そうだな。店に喰いに行くのは、

時間がかかるし、どこかで買って食べるか」

 

UNASAに早く着きたいしな、政彦はそう言うと、次に車外に目を向け、街並みを見る。

 

風が少し冷たいが、まぁオープンカーだから仕方ない。

 

(夏なら涼しくて快適だろうがな)

 

今度は夏に乗せて貰おうと、思いながら外の景色を楽しむ。

 

 

高いビルや舗装された道路や、たくさんの人達が歩いている、そんな都会の景色を見ていた政彦はふとある一点

で目を留めた。

 

 

「うん何だあれは?」

 

政彦はそう呟き指を指す。

 

「何だ、珍しい者でもあったのか?」

 

指差すその先に目を凝らす。

 

そこには道脇に、似合わない化粧をした12、3歳ぐらいの少女が数人立っている。

化粧をたっぷりしてるが、良く見ると

掃いてる靴は所々破れており、服も

シワシワで、髪も細かいところまで手入れされていない。

 

少女たちの目は皆暗くどんよりとした

光を帯びて、全体的に疲れた様子がうかがえる。

 

そんな、奇妙な少女達を見た、克弘は

嫌らしい笑みを浮かべながら、兄の方を向く。

 

「何だぁ。兄貴も男だったって訳か」

 

そっか、そっかとニヤニヤ笑いながら、克弘は何度も頷く。

 

「おい、何を言ってる?」

 

政彦は克弘の、様子に妙なものを感じて問う。

 

 

「いいぜ。

今日はNASAに用はないし、はっきりした到着時間は向こうに、言ってないから大丈夫だ。

で兄貴どの子にするんだ?

先に決めていいぜ。

俺はそれ以外でいいから」

 

「だからさっきから何を言ってるんだ?」

 

 

「それにしても、兄貴にそう言う趣味があるとは知らなかったぜ。

アメリカに到着早々、車の中から目をつけるとは、兄貴も抜け目ねぇなぁ」

 

克弘は、ギアを徐々に落として減速し始める。

 

 

「おい、何故スピードを落とす」

 

 

「いや、近くにいかないと値段交渉できないじゃん」

 

克弘は何を当たり前な事言わせるんだと、怪訝な顔をする。

 

 

「値段交渉とは何だ?」

 

政彦は克弘の言ってる意味が解らず、

質問する。

 

 

あれ?

 

 

克弘はここにきてやっと、兄の様子から自分が勘違いしていたことに気づく。

 

「もしかして兄貴あの娘たちが

娼婦って知らねぇのか?」

 

克弘は小さな声で、気まずそうに

ボソボソと言う。

 

 

「あの子供が娼婦だと……」

 

 

政彦は子供が娼婦と言う事実に驚き

絶句する。

 

だが、克弘の台詞から克弘がどういう勘違いをしていたのか気づき、顔を真っ赤にして、かっと目を見開き克弘をじっと見る。

 

 

 

 

「……兄……貴」

 

凝視された克弘が兄が怒っているのに

気づき、顔から血の気がひく。

 

(やば!!)

 

心の中で悲鳴を上げながら、克弘は

何とかしようと話題をかえる。

 

 

「あぁそうだ兄貴、実はな、UNASAにすげぇ期待のルーキーがいてなぁ飛び級で大学を卒業しててさ将来火星探索チームの幹部候補って言われてる」

 

 

「克弘」

 

普段の声より、ずっと低い声で政彦は

克弘の顔を見ずに、呼び掛ける。

 

「弱冠21歳の、すげぇクールな

美女がいてさぁ」

 

 

とにかく話題を変えようと、克弘は

喋るスピードを上げて捲し立てる

 

 

「メガネかけててさ、いかにも出来る女って感じで、矛盾するんだけど、男前な美女って感じなんだよ」

 

「克……弘」

 

静かにただ静かに、政彦は再び弟の名を、低い声で呼ぶ。

 

「は、い」

 

克弘は恐る恐る、恐々と政彦を見ながら返事する。

 

周りの気温が数度下がったような、感覚に、肩をブルッと震わせる。

 

 

「半年ぶりに、あった弟にロリコン呼ばわりされるとはなぁ」

 

 

「兄貴!?それは俺の勘違いっ」

 

スッと皆まで言うなとばかりに、政彦は右手のひらを開いて突きだす。

 

それからその手のひらを親指から順番にゆっくりと握りこんでいく。

 

 

「歯をくいしばれ」

 

全ての指を握りこんで、拳を作り終えた政彦は弟目掛け鉄拳を放ったのだった。

 

 

 

 

 

「お〜痛て」

 

赤く腫れた額をさすりながら、克弘は片手運転でアクアダを運転する。

 

「ふんっ」

 

政彦は額をさすってる、克弘をチラッと見た後、不機嫌に鼻息を荒くすると

ビニール袋に入ってるオニギリを取り出してパクつく。

 

オニギリは、克弘が政彦に鉄拳制裁を受けた後。

ご機嫌取りのために、近くのコンビニで買ってきたものだ。

(ちなみに克弘は、自分用にパンを2つ買ってもう食べ終えている)

 

腹の空いていた政彦の為に、オニギリ5つと、おかずにフライドチキン3つ

とドリンクにコーラを買ってあげたのは、今から10分前の事である。

 

 

あれから政彦は一言も話しかけずに、席に座って食事を続けてる。

 

 

政彦の食いっぷりは凄まじく、たくさん買った食料も残すは、鮭のおにぎり一つのみ。

 

政彦はそれを一口で食べてしまうと、

コーラをらっぱ飲みする。

 

ゴクッ、ゴクッ

 

政彦のコーラを飲む音が、ひたすら運転をし続ける、克弘の耳に入る。

 

車内に沈黙の時が流れる。

 

「ふぅ〜」

 

少しして、政彦がコーラを飲み終える。

政彦は空になったペットボトルを

買ってきた袋の中にほりこんだ。

 

「……少しは腹が膨れたな」

 

政彦はそう言うと、ポケットから財布を取り出すと、20ドル札1枚を

運転席にいる、克弘に手渡す。

 

 

「これで足りるだろう」

 

 

「ありがとう」

 

克弘は照れ隠しで、ぶっきらぼうに礼を言うと、紙幣をポケットにつっこむ

とアクセルを踏んで、スピードを上げる。

 

警察に捕まるなよ?と政彦は忠告して腕組みをすると、目をつぶり下を向く。

 

「あんな子供が娼婦をしてるとはな」

 

独り言なのか、政彦がしみじみと声に出す。

その声には憐れみが込められている。

 

 

「人口増加で人が溢れてるからな、

恐らくあの子達はグランメキシコからの不法入国者だろう。

まともな仕事にはつけねぇ。

体売るか、非合法な事でもするしか

生きる術がないんだ」

 

 

「世知辛い世の中だ、何時の世も泣くのはいつも、弱いものか」

 

政彦が目をつぶったまま、諦めのまじった声音で言う。

 

「あれでもましな方さ。

容姿が優れてるから身を売れる

不細工だったら、臓器移植が待ってる」

 

克弘は深刻そうな顔をしながら、ギアーを上げる。

 

 

「人口増加を止める事は、出来ん

 

政彦は悟った様子で、断言する。

 

「だからこそ」

 

目をつぶったまま、腕組みした拳を強く握り締める。

 

「テラフォーミング計画が必要なのだ

資源が枯渇する前に、人類は何としても火星に移住しなければならん」

 

そう言った後、政彦は目を開き、握り締めた拳を顔の前に持ってくる。

 

 

「いや資源が枯渇してからでは、遅い!!」

 

政彦は外の景色に目をやり、声を張り上げる。

 

「貧すれば鈍する。

資源が減ってくれば、間引きが行われることになるだろう。

戦争と言う名の間引きがな」

 

「確かにエネルギーと食料が減ってくれば、食い扶持減らすか、増やすしかなくなるからな」

 

 

克弘が兄の力説に同意する。

 

被害妄想とも取れるが、あながちないとは言い切れない話だ。

 

 

「2099年から早、500年以上が経った。

2599年のバグズニ号計画の失敗から

テラフォーミング計画は停滞したままだ」

 

 

「そうだな、バグズ一号の失敗も

入れて2回も失敗してる」

 

赤信号が見えてきた、克弘はブレーキを踏み、クラッチを踏んでギアーを落としていく。

 

その作業を感心した目で見ながら、政彦はほめる。

 

「それはそうと、この時代にマニュアル車を良く乗りこなせるな。

全自動で動く車もあって、座ってるだけで目的地につけると言うのに」

 

 

「まぁ、そうだな。

あれはあれで、カーセックスするのには便利なんだが乗り回すにはつまらないんだよなぁ」

 

「カーセックスなどするのか?」

 

弟に感心した、政彦はガッカリした声で問う。

 

「あぁ。走ってる車の中でするのは、

車が動いて興奮するんでね」

 

 

克弘はスケベそうな、顔で笑いながら

言うと、停止線まで来たのでブレーキを踏んで止まる。

 

 

「なるほどな。

高速スピードを体感すると性的興奮すると言うパラフィリアがあったな

名称は忘れたが」

 

政彦が指を顎に当てながら呟く。

 

 

 

「まあ似たようなもんだ」

 

 

「そうか。

俺は趣味じゃないな」

 

政彦は、弟の性癖に異を唱える。

 

「兄貴はカーセックス嫌いなのか?」

 

克弘が、信号が青になったので車を発進させる。

 

 

「忙しいだろ、下手したら警察に捕まる」

 

政彦が身も蓋もなく、バッサリと言う。

 

 

 

「ありゃりゃ。

そりゃロマンのないことで、でもメリットもあるぜ。

ホテル代浮くし人に見られるってスリルも合って何時もより燃えるんだよなぁ」

 

克弘が、以前の情事を思い出したのか、顔がにやけてくる。

 

「俺は露出狂じゃない」

 

再び政彦がにべもなく切り捨てる。

 

「兄貴、もうちょっと載ってきてくれても良いじゃねぇか、あっそうだそうだ。さっき言った兄貴のポリに捕まるってデメリット俺の車なら大丈夫だぜ。

水上ならポリも取り締まれない」

 

 

克弘は、どうだとばかりに、政彦に

首を向ける。

 

 

「そんなことの為に、ボンドカーを買ったのか?」

 

 

政彦は得意気な顔をしてる、克弘を

軽蔑の眼差しで見やる。

 

「ちげぇよ、男のロマンだから購入したんだ」

 

「そうかそれを聞いて安心した。

弟が変態の露出狂だと、兄としては

矯正しないといけないからなぁ」

 

ポキポキと、腕を鳴らしながら

政彦は淡々と喋る。

 

(冗談じゃないな、マジだこの人)

 

克弘は政彦に矯正されなくて、すんでほっと胸を撫で下ろす。

 

弟の露出狂疑惑が、晴れた政彦はまた目を瞑ると沈黙する。

 

克弘は、急に黙った兄をチラッと見る。

 

(急に喋りまくったと思ったら、突然黙る。

相変わらず自分ペースで話す人だ)

 

克弘は、困ったような顔する。

 

(まぁもう慣れたけどな、兄貴が変わり者なのは今に始まったことじゃない)

 

 

「克弘」

 

目を瞑った状態で、弟に声をかける。

 

「何だ?兄貴」

 

 

「UNASAまでは後どれぐらいだ?」

 

到着時間を聞いてくる。

 

「そうだな……残り1時間ってとこだな」

 

片手で胸元の懐中時計を開いて時間を確認する。

 

「そうかわかった」

 

少し寝ると付け足すと、政彦は体の力を抜いて、シートにもたれかかった。

 

しばらくすると、微かな鼾が克弘の耳に聞こえてくる。

 

(慣れない、飛行機で疲れたんだな)

 

眠る政彦を労るような目で克弘は見つめる。

 

(わざわざアメリカ汲んだりまできたんだ。

ベース見つかるといいな、兄貴)

 

克弘は心の中で兄の求めるMoベースが見つかるのを祈ると、快調にアクアダで道路を走行するのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




最後まで読んで頂きありがとうございました。
う~ん兄弟の仲の良い会話が下ネタになったしまった。
反省(-.-)
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