「方法って何だよ?デパートには近づくこともできないんだぞ。」
「そうだな。だが、それは下からならの話だ。」
「お前何言ってんだよ?」
澄んだ顔で言う雄飛に呆れていると、車からフック付きのワイヤーを取り出しながら横目でこっちを見た。
「今はゆっくりしてる時間もない準備しながら説明する。お前のバイクも使うから用意してくれ。」
「お、おう。」
「それからこいつもだ。」
そう言い雄飛はおれに小さいイヤホンのようなもの投げた。
「これは何なんだ?」
「無線だ。俺と話せる、つないどけ。」
「了解。」
そう告げると雄飛は自分の車に乗り込んだ…
「繋いだか?」
「繋いだよ、って言うかそのまま言えよなんでわざわざ無線なんだよ?」
「本番直前のテストだ。」
「んで、いまからどうするんだ?」
「簡単に言えばお前のバイクで飛んでもらう。」
「はぁ?バイクで飛ぶ?何かを踏み台にしてか?いや、例え踏み台があったとしても俺のバイクの全開の速度でもスピードが足りなくて届かないぞ。」
「そのための俺だ。とりあえずついて来い。」
そういい。雄飛は車のエンジンをかけデパートから遠ざかる方向に車を走らせ、俺もバイクで雄飛についてった。
「作戦はここを使うんだ。」
「デパート正面の大通り?なるほどな、お前の作戦はだいたい分かった。」
バカ雄飛の作戦はこのデパートまでの直線の大通りを使いここでスピードを出し俺をバイクごと打ち上げるつもりだ。この際俺を飛ばすのは妥協しよう。
だが、その作戦だと俺がさっき言った問題はまだ解決してない。スピードが足りないのと俺のジャンプ台がない。
「だから、踏み台はどうすんだよ。」
「言っただろ、そのための俺だって。」
ポイントについて雄飛は車から降りてきた。
車の羽(リアスポイラー)の上にロープで板をくくりつけ始めた。
「ほら、これをお前のバイクにつけろ。」
雄飛が手渡してきたのはウインチだった。
「お前の車はレッカー車か?なんで普通の車の後ろにウインチついてんだよ。」
いや、訂正しよう。そういえば、こいつが持ってくる車だいたい普通じゃなかった…。
「ごちゃごちゃ言わずにつけろ時間がないんだぞ。まぁ、たしかにお前のバイクじゃスピードが足りなくて途中で落ちるだろう…だが、ウインチをつけて俺の車で引っ張っぱってこいつを踏み台にしてジャンプだ。」
「むちゃくちゃだな。」
「そっちのほうがお前は好みだろ?」
「ふん、面白い!やってやるぜ!」
「その生きだ。」
雄飛は再び車に乗り込んだ。
…無線
「この看板を台替わりにする。そしていいタイミングでウインチを外しお前が空を飛ぶ。いい作戦だろ?」
「ああ、クソみたいな作戦だけどな。気に入ったよ。」
とうきはウインチを取り付けた。それをミラーで雄飛が確認する。
「よし、時間がないすぐ行くぞ。」
「了解。」
エンジンをかけて1、2回エンジンの調子を確かめるように空ぶかしをし加速を開始した。
クォォォォォォンン!!!!!!!!!
「おい?!待て何キロ出てんだよ!!」
走り出してすぐに俺は異変を感じて自分のバイクのメーターを見るとMAX250キロ限界のメーターがもうすでに振り切っている。
「何キロって、まだ270ちょいだぞ、300は出さないと行けないんだからな。」
「嘘だろ?!俺ノーヘルだぞ?!死ぬー!!」
「こんなとこで死なれたら困る。しっかり捕まってろ。もうちょいで300キロだ。」
「風がやばい、もう飛ぶのかよ。くっそ怖いけどここまできたらなんとかしてやるよ!!」
「よし。300出たぞ、今だ。」
「待て、この距離まだスピードがたりねぇ。それに土台の看板がスピード出しすぎて削れて高さが出来てる。」
「いけるか?」
「いけるかだと?行くしかねぇだろ!!」
「分かった。軌道修正は頼んだ。舞ってこい。」
雄飛がそう言うと俺のバイクにかかってたウインチが巻かれて取れた。
そして、雄飛の車のブレーキランプが真っ赤に染まった。
とうきは空を舞い、デパートに向かって飛行を開始した。
「よし、一個目の問題は解決した。次は飛距離だか、デパートの屋上まで届いてくれよ。」
最初は屋上に届いたと思われた。
しかし、直前のところでスピードが落ち始めた。
「こ、これは無理か?!」
徐々に落下をし始める
「くそっ!どうにか、どうにか届いてくれ!!」
このままじゃ、鞠莉さんを助けるどころか俺が死ぬ!
しょうがない…、
とうきはバイクの上に立ち、デパート5階の窓に向かって飛んだ。
「掃除しに来ましたぁぁ!!!」
パリィィン!!!
「いてっ!」
腕を見ると飛び散ったガラスがささっていた。
「い、痛くない痛いくな…い!!!」
勢いよく破片を抜くと手早く布切れで止血し、立ち上がった。
「ふぅ、なんとか到着したか。」
見渡す限り火、火、火。
「本当に鞠莉さんここにいるの?」
思わずそう言いたくなるレベルでひどい状態だった。
「あっつ、おい、こっちは着いたぞ!」
呼びかけるが雄飛からの応答はない。
「っ!くそ無線が切れた。」
「鞠莉さん!!どこにいるんですか!!」
「返事はないか、自分で探すしかないか、、なにか地図みたいなものは…!」
たまたま近くに全体図が書かれた看板を見つけた。
「これってデパートの案内板か?この階の奥がおそらく鞠莉さんの部屋、このまま真っ直ぐいって…そこか!」
−−−−外−−−
「まずいな…」
「どうしたの?ゆうくん。」
「とうきと連絡が取れなくなった。おそらく無線の故障だ。」
「えっ、とうきは大丈夫よね?」
善子が心配そうに聞いてきた。
「デパートの中までは潜入できたと思うがそこからはあいつを信じて待つしかない。」
--------
「ここだな。頼む鞠莉さんここにいてくれよ。」
従業員最高責任者の部屋の前につくと扉の前に棚みたいなものが倒れていた。
「どきやがれ!!!」
扉を塞いでいる棚をでけようとするとふとあることを思い出した。それはAqoursのライブ会場が爆破されたことだ。あの時も火事だった。
「あの時に比べたらこんなもん!!」
ドッン
棚を押しのけ部屋の中に入ると見覚えのある金髪の女性が倒れていた。
「鞠莉さん!!大丈夫ですか!?」
真っ直ぐ鞠莉の近くまで駆け寄り声をかける。
「…ん?と、とうき?えっと…私は何をしてたんだっけ?」
「良かった、目覚ましてくれたんですね。デパートが火事になったんです。急いでここから出ましょう。」
「だからこんなにホットなのね…。そ、そうだ皆は?無事なの?」
「はい、善子達も無事避難してます。後は鞠莉さんだけです。歩けますか?」
「うん、大丈夫。ちょっと煙を吸っただけだから。」
「あ、そうだ必要と思って持ってきたんですけどこれマスクとカッパ。」
「うん、ありがとう。でもマスクは煙避けなのは分かったけどどうしてかっぱ?」
「かっぱとかなら服とかよりも燃え移らなそうだと思って。」
「そ、そういうことね」
苦笑いしながらカッパを着る鞠莉さん。
俺なんか変なこと言ったのか?
「着れたわ!それでこれからどうするの?」
「とりあえずバイクで来たんでバイクで脱出しようと思ってたんですけどあいにく下に落ちて今頃はボロボロになってるかと…。しかも、状況がなかなか酷くてもう火であちこち囲まれていて…」
今の状況を説明しながら下の階に向かうと無線が繋がった。
「と…う…と…!…き!聞…え…か?!」
「雄飛か?」
「やっと繋がったか。そっちの状況は?」
「鞠莉さんは無事だった。だがどこもかしこも火で脱出が困難そうだ。」
「それならデパートの裏に川がある。そこに飛び込め。」
「は!そんなムチャクチャな第一位置が分からん。」
「それなら私が分かりマース!一応ここの責任者だからね。」
「なるほど。じゃ、仕方ない。もうそれで行こう。鞠利さん案内頼みます。ん?」
下の階に、バイク屋がある。あそこから一台動く奴があれば…。
「鞠莉さん、あそこのバイク屋の中に動く奴ありますかね?」
「有ると思うわよ!早く行きましょう!」
「すまん。警察も到着した事情を話さないといけないから一旦切る無事に帰ってこいよ。」
「了解。」
バイク屋に移動し一台のバイクにまたがる。
「CBR250か、悪くない。さぁーてと行きますか。鞠莉さんしっかり捕まっててください。」
「OKデース!ここから西側にまっすぐ行けば大きな窓があってそこの外が川デース!」
「分かりました。問題はやっぱり火ですね。鞠莉さん少しの間だけ我慢してください。このまま火の中を突っ切ります。」
「私はこのかっぱがあるから大丈夫そうだけど。とうきの方こそ…」
「俺は大丈夫ですよ。今出せる最高スピードで突っ込みますし、燃えてもすぐに川に入るんで。」
「その言葉を私は信じるわ。」
すでにバイクにまたがっており正面を向いているので鞠莉さんの顔は見えないけど、なんとなく震えているのがわかった。
「すぐに済みますよ。アトラクションだと思って楽しんでください。じゃ、行きますよ。」
バイクのエンジンをかけアクセル全開。猛スピードでデパートの通路を走る。すでに110キロは超えている。
「頼む、、もってくれよ!」
そして、バイクは炎の中を進み続けた。それと同時にとんでもない暑さが体に伝わってきた。一応長袖長ズボンとはいえ炎の暑さはそれを無視して襲いかかってきた。
そして、目の前に話していた窓が出てきた。大きいが薄くこのまま行けば割って外に出ることが出来る。
「いっけぇぇぇ!!」
被害が少ないようにリアタイヤに荷重を移動させウィリーさせる。
パリーーン!!!
窓を割りそのまま川に飛び込んだ。正確には落ちた。
「鞠莉さん大丈夫ですか?」
「うん、こっちは大丈夫。」
そこに雄飛が駆けつけてきた。
「おい!大丈夫か?!早く救助を!」
雄飛がレスキュー隊の人をつれてきた。
川から出るとき雄飛が手を出してきた。
それを俺は、がっしりと握った。
「よくやった。」
「なんとか助かったぜ。体がボロボロだけどな。」
「鞠莉も、お前も無事で良かった。待ってろお前のバイクもなんとか回収しといたからな。」
「あ、そうだ!お前のムチャクチャな作戦のせいで俺のバイク壊れちまったじゃねぇーか!どうすんだよ!」
「それは悪かった。でも、安心しろ北海道に俺の知り合いで直してくれる人いる。そいつにさっき連絡してやったから。」
そこで警察官の一人が雄飛の元にやってきた。
こいつどんだけ顔広いんだよ…。
警察「こっちの処理はどうしたらいいですか?」
「あー、その辺はこっちで処理するよ。ってことでまた行ってくるわ。事情聴取もちょうど終わったみたいだし直に曜達もこっち来ると思う。」
じゃあなと言い雄飛は去って行ってしまった。
台風みたいに突然現れ突然消えていった。
心のなかでもう二度と戻ってくんなと思いながら鞠利さんの方をみた。
「とうき。さっきはサンキュー!おかげ助かりました!」
「いえ、当然の事をしただけです。」
「それでねお礼がしたくて…。」
「いや、いいですよ、そんな。」
「遠慮しないの、ほっぺた貸して。」
耳じゃなくて?と思いながら顔を鞠莉さんの方に近づけた瞬間
チュッ
「へぇ?」
鞠莉さんが俺の頬にキスをした。
「善子には内緒ね。」
「うそぉーん。」
そこで善子達が俺達の方に合流した。
善子は走る勢いを止めず、勢いよく俺に抱きついてきた。
「…バカ。」
「ちょっと善子痛い。」
「いつもいつも心配ばかりかけるリトルデーモンなんだから。」
「それはいつもいつも迷惑をかけて申し訳ございません。」
「でもまた私の元に帰ってきてくれた。おかえり。」
「ただいま。」
終わりよ
腕磨きます笑