堕天使と過ごした日常   作:ゆうきoog3

27 / 32
前回世界最強の殺し屋軍団に命を狙われ、Aqoursを人質にされ。助けに行った。佐藤とうき。だが、流石にプロに押されつつあったそこで、アサルトバーサーカーモードを制御しながら戦う事によって殺し屋達を圧倒し、Aqoursを全員救出したのだが、とうとう限界に達しアサルトバーサーカーモードを解放してしまった。そこに宮田が読んできた雄飛が到着し…


第27話 最強VS最恐

 

「何をしていると聞いているんだ。」

 

善子「駄目よ。雄飛。今のとうきは危険なの。逃げなきゃ。」

 

「なら、余計止めて殴る。曜を傷つけようとしたからな。」

 

「まさかあの矢の威力の鉄パイプを防ぐとわなぁ。てめぇなら、俺様の相手ぐらいならなるかもしれねぇ。」

 

千歌「ねえ、善子ちゃんとうきくんどうなってるの?」

 

ルビィ「いつもと様子が違うよ。とうきくん。」

 

「全員下がれ。俺が止める。」

 

「安心しろよ。全員ぶっ殺してやるからよ。おめぇらが決めんのは死ぬ順番だけだ。」

 

「ホントに中身は別モンのようだな。」

 

「ふん。来いよ。」

 

 

最強VS最恐開幕!!

 

 

「一回泣かせてやる。」

 

 

雄飛の連続蹴りがとうきへクリーンヒット。だが…

 

 

「そんなもんか?」

 

「マジか。聞いてないってか。」

 

「こっちの番だな!」

 

 

俺様は雄飛の顔面に向けて。拳を作り中指の第二関節の部分を出しそれで思いっきり殴る。それを受けた雄飛は吹っ飛んで行った。

 

 

「どうだ普通の拳じゃなくコブを作って殴る。これに関してはこいつも使えるが威力が桁違いだ。」

 

「くっそ。確かにとうきも同じ技を使っていたが全然違うな。」

 

「同じ体でもこいつと俺様じゃ使い方がちげぇ。普通人間は力の半分も日常生活でだしやしねぇが俺様は筋肉の使い方全部理解下上で常に100%出している。」

 

「バカな。そんな無茶苦茶な戦い方してたら体がついてこれないだろ。」

 

「あん?体が潰れんのはしばらくしてからだよ。アドレナリンが出てる間は暴れれる。」

 

「無茶苦茶な。」

 

「お喋りは終わりとしてまださっさと立てや。殺しがいがねぇだろ。」

 

「うるせぇ野郎だな。」

 

 

雄飛が立ち上がりフラフラとこちらに向かって走ってくる。そこでもう一度俺様はコブを出した拳で今度はコブの部分だけで引っ掻くようにした。だが、

 

 

「さっきより威力下がってないか。これなら俺でも相手できるぜ。」

 

「……」

 

 

雄飛が勢いを取り戻し反撃の一手が来た。だが、俺様はさっきと同じ攻撃を繰り返し続けた。

 

 

「どうだ。急に弱くなりやがって。さっさといつものとうきに戻ってもらおうか。」

 

「俺様が黙って殴られ続けてるだけだと思ったか?」

 

「何?腕が動かない?」

 

「てめぇーがさっきから弱いと思ってた攻撃だ。あの攻撃は気づかねぇーうちにダメージが蓄積すんだよ。それで俺様はさっきからてめぇの右腕の関節だけに集中してダメージを与えた。腕は折れてはねぇーがもうそっちの腕は使えねぇーぜ。」

 

「まずい。」

 

曜「もうやめて。」

 

「……」

 

俺様は曜を見る。

 

この体の持ち主が大切にしている存在。

 

仲間。

 

友人。

 

守りたいもの。

 

だからこそ――

 

「壊す価値がある。」

 

曜「え……?」

 

善子「っ!」

 

「俺様の目的は佐藤とうきを殺すことじゃねぇ。」

 

雄飛「何?」

 

「もっと苦しませることだ。」

 

俺様は不気味に笑う。

 

「大切なもんを全部失わせて、絶望させて、それでも生かし続ける。」

 

千歌たちの顔が青ざめる。

 

「だからお前らは全員獲物だ。」

 

そう言って俺様は善子たちへ視線を向ける。

 

雄飛「させるか!!」

 

雄飛が地面を蹴る。

 

一瞬で間合いを詰めると、全体重を乗せた蹴りを腹部へ叩き込んだ。

 

鈍い衝撃音。

 

だが――

 

「……」

 

だがアサルトバーサーカーは微動だにしない。

 

「終わりか?」

 

次の瞬間。

 

雄飛の体が吹き飛ぶ。

 

地面を転がり、壁へ叩きつけられた。

 

「ぐっ……!」

 

右腕は使えない。

 

肋骨も何本かやられている。

 

立つだけで限界だった。

 

「もう立てねぇか?」

 

アサルトバーサーカーモードがゆっくり近付く。

 

その姿に千歌たちの顔が青ざめる。

 

圧倒的。

 

人間がどうこうできる相手ではない。

 

「つまらねぇな。」

 

拳が振り上げられる。

 

まともに入れば終わり。

 

その時だった。

 

「もうやめて!!」

 

善子が雄飛の前へ飛び出した。

 

「善子!」

 

曜が叫ぶ。

 

だが善子は動かない。

 

涙を浮かべながらアサルトバーサーカーモードを見上げる。

 

「お願い……もうやめて……」

 

振り上げられた拳。

 

その拳が――止まる。

 

「……」

 

誰も動けない。

 

「なんで……」

 

アサルトバーサーカーモードの腕が微かに震える。

 

まるで何かに抵抗するように。

 

「……チッ。」

 

低い舌打ち。

 

だが攻撃は来ない。

 

その一瞬。

 

雄飛が立ち上がった。

 

「上等じゃねぇか。」

 

「……?」

 

「お前さ。」

 

雄飛は血を吐きながら笑う。

 

そして。

 

全力で拳を握った。

 

「お前の大切な子に――」

 

拳が顔面へ叩き込まれる。

 

「そんな顔させんじゃねぇーよ!!」

 

轟音。

 

アサルトバーサーカーの頭が横へ弾け飛ぶ。

 

その瞬間――

 

世界が暗転した。

 

佐藤とうき過去

2年前

 

暗い。

 

何も見えない。

 

何も聞こえない。

 

ただ一人。

 

少年が膝を抱えて座っていた。

 

「……母さん。」

 

口から自然と名前が零れる。

 

佐藤すみれ子。

 

誰よりも優しくて、

 

誰よりも自分を信じてくれた人。

 

「母さんは病気だった。」

 

そうだ。

 

病気だった。

 

だから亡くなった。

 

仕方のないことだった。

 

そう思っていた。

 

そう思い込んでいた。

 

⸻

 

???「嘘つけ。」

 

⸻

 

暗闇の奥から声が響く。

 

少年が顔を上げる。

 

そこにいたのはもう一人の自分。

 

獣のような目。

 

禍々しい笑み。

 

アサルトバーサーカーモードのちにそう呼ばれるもう1人の自分だった。

 

「黙れ。」

 

???「忘れたのか?」

 

「黙れ!」

 

???「思い出せ。」

 

その瞬間。

 

視界が揺れた。

 

⸻

 

『逃げて!!』

 

⸻

 

母親の叫び声。

 

赤い光景。

 

倒れる人影。

 

伸ばした手。

 

届かなかった指先。

 

⸻

 

「やめろ!!」

 

⸻

 

少年は頭を抱える。

 

心臓が激しく脈打つ。

 

呼吸が苦しい。

 

思い出したくない。

 

思い出せば。

 

あの日の無力な自分まで思い出してしまう。

 

⸻

 

???「お前は守れなかった。」

 

⸻

 

「違う……」

 

⸻

 

???「母親を。」

 

⸻

 

「違う!」

 

⸻

 

???「助けられなかった。目の前で殺された。」

 

⸻

 

「違う!!」

 

⸻

 

???「弱い自分が嫌で強い自分を願った。だから俺様が生まれた。」

 

さらに場面が変わる。

 

⸻

 

好きだった女の子。

 

勇気を出せなかった。

 

気付けば友達と付き合っていた。

 

祝福しなきゃいけない。

 

笑わなきゃいけない。

 

でも。

 

心の奥では違った。

 

悔しかった。

 

羨ましかった。

 

苦しかった。

 

⸻

 

???「あの時もそうだ。」

 

アサルトバーサーカーが言う。

 

???「表では笑ってたな。」

 

???「でも本当は違った。」

 

「……」

 

???「その感情も俺様が貰った。」

 

⸻

 

また別の記憶。

 

⸻

 

理不尽な出来事。

 

報われない努力。

 

裏切り。

 

怒り。

 

嫉妬。

 

絶望。

 

⸻

 

???「人間なら誰だって抱く感情だ。」

 

???「だがお前は溜め込んだ。」

 

???「誰にも見せなかった。」

 

???「だから全部俺様の餌になった。」

 

⸻

 

アサルトバーサーカーが笑う。

 

昔とは違う。

 

優しさは消えていた。

 

そこにいるのは怪物だった。

 

⸻

 

???「気付いたらこうなってた。」

 

???「俺様はお前の負の感情そのものだ。」

 

⸻

 

とうきは黙る。

 

否定できなかった。

 

⸻

 

???「俺様を生んだのはお前だ。」

 

???「育てたのもお前だ。」

 

???「そしてお前は黒くなった。」

 

⸻

 

静寂。

 

⸻

 

???「だから俺様は弱いお前が嫌いなんだよ。」

 

その言葉は否定できなかった。

 

母を守れなかった日。

 

好きな人に想いを伝えられなかった日。

 

理不尽を飲み込み続けた日。

 

笑顔で誤魔化し続けた日。

 

全部、自分だった。

 

全部、自分の心だった。

 

とうきはゆっくり拳を握る。

 

「……だから、お前が生まれた。」

 

アサルトバーサーカーは口元を歪める。

 

「ようやく認めたか。」

 

「でも、一つだけ違う。」

 

「……?」

 

とうきはまっすぐ見つめ返す。

 

「お前は俺の負の感情だ。」

 

「だから、お前を消したって俺は救われない。」

 

「お前を生んだ責任は、俺にある。」

 

アサルトバーサーカーの笑みが一瞬止まる。

 

「……何が言いたい。」

 

とうきは静かに答える。

 

「俺はもう逃げない。」

 

「母さんを守れなかった過去も。」

 

「叶わなかった恋も。」

 

「苦しかった全部も。」

 

「全部抱えて生きる。」

 

「だから──お前とも決着をつける。」

 

その瞬間。

 

暗闇が大きく震えた。

 

アサルトバーサーカーの瞳が赤く燃え上がる。

 

「……面白ぇ。」

 

「なら証明してみろ。」

 

「俺様より、お前の心が強いってなぁ!!」

 

アサルトバーサーカーモードが不敵に笑う。

 

禍々しい殺気が暗闇を震わせる。

 

だが、とうきは一歩も引かなかった。

 

「昔の俺なら、お前に全部押し付けて逃げてた。」

 

「悲しみも。」

 

「怒りも。」

 

「苦しみも。」

 

「全部な。」

 

アサルトバーサーカーは鼻で笑う。

 

「だから俺様が生まれた。」

 

「ああ。」

 

とうきは静かに頷く。

 

「お前は間違ってない。」

 

「俺を守るために生まれた。」

 

「俺が心を壊さないために、お前が全部背負ってくれた。」

 

「……。」

 

「でも、その結果。」

 

「お前は悲しみも、怒りも、憎しみも、全部抱え込んで化け物になった。」

 

アサルトバーサーカーの瞳が細くなる。

 

「だから何だ。」

 

とうきは拳を握る。

 

「もう、お前一人に背負わせない。」

 

「俺は──」

 

「過去の弱かった自分も救う。」

 

「母さんを守れなかった自分も。」

 

「恋愛で生まれた黒い気持ちも。」

 

「理不尽な出来事に傷ついた自分も。」

 

「全部。」

 

「全部、助ける。」

 

「全部、受け入れる。」

 

「それがお前を生んだ俺の責任だから。」

 

一瞬、静寂が訪れる。

 

アサルトバーサーカーはゆっくりと口角を上げた。

 

「……甘ぇな。」

 

「そんな綺麗事で、人間は救えねぇ。」

 

「だったら全部壊せ。」

 

「苦しみの原因も。」

 

「理不尽も。」

 

「大切なものも。」

 

「全部壊せば、二度と苦しまなくて済む。」

 

とうきは首を横に振る。

 

「違う。」

 

「壊した先には何も残らない。」

 

「だから俺は壊さない。」

 

「救う。」

 

「弱かった俺も。」

 

「嫉妬した俺も。」

 

「憎んだ俺も。」

 

「全部救って、一緒に前へ進む。」

 

「……チッ。」

 

「やっぱり。気に食わねぇ野郎だ。」

 

アサルトバーサーカーモードは舌打ちをしながら睨みつける。

 

「だが。」

 

「今回は、お前の勝ちだ。」

 

その体がゆっくりと黒い粒子へと崩れ始める。

 

とうきは黙って見つめていた。

 

「勘違いすんな。」

 

「俺様は消えるんじゃねぇ。」

 

「お前の中で眠るだけだ。」

 

黒い粒子が舞う。

 

「お前がまた弱さに飲まれた時。」

 

「過去から逃げた時。」

 

「負の感情に支配された時。」

 

「その時は俺様が出てくる。」

 

アサルトバーサーカーモードは鋭い笑みを浮かべる。

 

「その時は容赦しねぇ。」

 

「お前の体も。」

 

「お前の心も。」

 

「お前の大切なもんも。」

 

「全部俺様が奪って――」

 

「全部壊す。」

 

とうきは静かに頷く。

 

「ああ。」

 

「その時はまた俺がお前と向き合う。」

 

「弱かった俺も。」

 

「黒い感情を抱いた俺も。」

 

「理不尽に傷ついた俺も。」

 

「全部受け入れて、それでも前に進む。」

 

アサルトバーサーカーは鼻で笑う。

 

「フン。」

 

「好きにほざけ。」

 

「今は。好きにしろ。」

 

「だが、一度でも折れたら終わりだ。」

 

「次は俺様がお前の全部を乗っ取る。」

 

「覚えとけ。」

 

とうきは真っ直ぐ見返す。

 

「その時は。」

 

「もう一度、お前と戦う。」

 

「……。」

 

アサルトバーサーカーは数秒とうきを見つめる。

 

そして。

 

「チッ。」

 

「せいぜい足掻け。」

 

「佐藤とうき。」

 

その言葉だけを残し、黒い粒子となってとうきの胸の奥へ消えていった。

 

暗闇に静寂が戻る。

 

白い光が弾ける。

 

「……ッ!」

 

とうきの瞳がゆっくりと開く。

 

静寂。

 

誰も動かない。

 

雄飛は傷だらけのまま拳を構え続ける。

 

千歌たちも息を呑み、一歩も動けない。

 

目の前にいるのは佐藤とうきなのか。

 

それとも、まだアサルトバーサーカーモードなのか。

 

誰にも分からなかった。

 

「……。」

 

とうきはゆっくりと周囲を見渡す。

 

最後に視線が止まったのは善子だった。

 

涙で目を赤くした善子。

 

その姿を見た瞬間、とうきの表情がわずかに揺らぐ。

 

善子は震えながら一歩前へ出る。

 

雄飛「善子、まだ近づくな!」

 

善子は首を横に振る。

 

そして、とうきの前まで歩み寄った。

 

少しだけ笑顔を作って。

 

「……全部、終わったのね。」

 

その一言で。

 

とうきの張り詰めていた表情が崩れる。

 

拳を握り締めたまま、ゆっくりとうつむく。

 

「……ごめん。」

 

小さな声だった。

 

「本当に……ごめん。」

 

善子は何も言わない。

 

ただ、とうきの前に立ち続ける。

 

雄飛はゆっくりと拳を下ろした。

 

「その顔なら……もう大丈夫みてぇだな。」

 

とうきは善子を見つめる。

 

「怖かったよな……。」

 

「傷つけようとして……。」

 

「本当に、ごめん。」

 

善子は涙をぬぐい、小さく微笑んだ。

 

「……おかえり。」

 

第27話完

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。