「いってー、さすがに痛い…。」
俺はいまケガをかばいながら学校の階段を上っている。
え?なぜ学校にいるかって?
夏休みには青春を生きる若者たちが過ごす様々なイベントがある。
夏祭り、プール、海、…。
その中に面倒なイベントがある。今日がまさしくその日である。
そう。登校日である。
「はぁ、階段がいつもの100倍きつい…。」
「そんなこと言うんだったらまだ入院しておけばよかったのに…。」
「それはいやだ。」
「何でよ。」
「そら…、善子と一緒にいたいからな。」
「そ、そう言うこと言うのは反則よ…。」
さりげなくいちゃつきながら教室に入る。
入ると俺の友達のしょうが話しかけてきた。
↑なんかポケ○ンみたい
「なぁ、今朝の新聞に書いてあったんだけど…。」
差し出された新聞を見ると、{スクールアイドルの命を救った救世主}との記事。
おまけにご丁寧に写真付きで。
「これ、めっちゃお前に似てないか?」
(あんまり警察に言わないでくれって言われてんだよな。)
「いや、知らないな。」
「そうか。よし、今日ゲーセン行かねぇか?」
「あー悪い今日用事があるからパス。」
「分かったよ。明日はあけとけよ!!」
「りょ。」
俺は指定された自分の席に座る。ちなみに窓際の一番最後の場所が俺の居場所だ。そこには、どこかで見覚えがある二人の女の子がいた。
「あなた達は確かAqoursの…」
「マルは、国木田花丸です。こないだは色々助かったズラ。」
「わ、私は黒澤はルビィです。この前はありがとうございました。」
色々とツッコミたいのだが二人ともかわいいなぁ……じゃなくて。
「Aqoursの皆さんがこの学校にいるのは知っていたけどなんで俺のクラスに?」
その質問を投げ掛けるとキョトンとした顔をする二人と、唖然とする善子。
善「あなた本当に大丈夫?」
「おい。俺の頭がおかしいってか?」
花&ル「マル達(ルビィ達)とうき君と同じクラスズラよ。(です。)」
「はい。ごめんなさい俺の頭がおかしかったです。」
認めたくないものだな…。自分がとんでもない隠キャだということに。
「しょ、しょうがねぇだろ。俺、普段クラスの人と話さないし、しょうと善子ぐらいしか話さねぇし」
俺が必死に言い訳していると…。
「善子ちゃん、とうき君面白い人だね!」
「善子ちゃん、良かったズラね。リ、リアじゅう?ってやつになれて!」
こいつら俺のこと煽ってんのか?!
「そんなんじゃなくて、とうきは私のリトルデーモンよ。」
「(私の)ズラか?」
[私の}強調するあたり流石善子だ。
「一つ聞きたいんですけど、国木田さん。」
「花丸ってよんでほしいズラ。善子ちゃんも善子って呼ばれてるらしいから。」
「ルビィもルビィって呼んでほしいです。」
流石に会ってまもなく呼び捨てにするほど俺は陽キャじゃない。そもそも、陽キャじゃない。ここは、華麗に聞き逃したふりを…。
「なぜそれを、国木……」
「…」ジー
だめだ。これ断ったらだめなような気がしてきた。さっきも思ってなかったけど…。
とうきは、頭の中で葛藤した。呼び捨てにするか、しないか。天使と堕天使がたたかう。そして、結局出た結論は…。
「ぐ、は、花丸ちゃん。」
堕天使が負けました。
「なんズラ?」
「そのズラってのは?」
「あっ!また言っちゃったズラ!」
「や、やっぱり、変ズラよね。」
さっきまでのテンションが嘘のように、しょんぼりする花丸ちゃん。
なんだろう。このかわいい生き物…。善子の次にかわいい。
↑筆者「やっぱりそこは譲れないのね。」
「いや、俺は凄い可愛いと思う。」
「え、そうズラか?」
「うん。」
「善子ちゃん、とうき君はやっぱりいい人ズラ!!」
目をキラキラさせながら善子にそういう花丸ちゃん。
そこが採点基準なの?!と言う驚きを隠しながら、苦笑いするしかなかった。
「改めてだけど花丸ちゃん、ルビィちゃんこれからよろしく!」
花&ル「こちらこそ(ズラ!)お願いします!」
学校が無事に終わり俺達は家に帰宅した。
「疲れたな。善子。」
「ヨハネ!」
ちなみに、なぜ友人のしょうからの誘いを拒否したかと言うと久しぶりに善子とゆっくりしたかったからだ。ここ数週間色々あってこういう時間がとれなかったからである。
二人でボーとテレビを眺めていると善子が視界の端からぴょこっと顔をだした。
「何んだ?」
「前から思ってたんだけど、とうきの家族ってどこにいるの?」
最近、善子の呼び方があなたからとうきに変わってる。やっと親近感が湧いてくれたのか?もしそうなら純粋にうれしいな。
「べつに話してもいいけど、俺の話は重たいんぞ?」
「大丈夫よ。でも、とうきがイヤなら聞かないわ。」
「いや、丁度今日はお前と話したかったんだ。」
とうきは善子に向き直って座り話し始めた。
「まずは俺の母親から。名前は佐藤菫子(すみれこ)。めっちゃくちゃ綺麗で優しかった。」
「優しかった?なんで過去形なの?」
「2年前に病気で他界した。」
「あ…、そうだったのね、ごめんなさい。」
「いいんだよ。もう過ぎたことだから。」
善子の表情を見るからに明らか聞いちゃいけないこと聞いちゃったという顔をしていたため無理やり話を進めていく。
「そして、父親は佐藤信之(ノブユキ)。親父は4年前に海外に行く途中に飛行機の事故に巻きこまれ今も行方不明。」
「それでって…」
「…」グスンヒッグ
ふと顔をあげると、そこには今にも涙腺が崩壊しそうな善子の顔があった。
「おい!なんで泣いてんだ?!」
「だって、だってぇ…、こんなに切ないなんて思ってなかったもん…。」グスン
「善子、お前も女の子らしいとこがあるんだな。」
「何よ!せっかく感動してたのに!!」
こういうツッコミをするとすぐに泣き止む善子の切り替えの早さに純粋に驚いた。
「俺のたわいのない話だと思って聞いてくれ。」
「つ、つぎはもう泣かないわ。」
「それで続きだけどもう一人俺には家族がいて……」
ガチャン
また話を続けようとしたその時、家の玄関のほうから音が聞こえた。
「ガチャン?なんの音だ?!」
「ド、ドアが開いた音よ…。」
おい、待て何故ドアが開くんだ?不審者、泥棒か、やっと日常回に入ったのにここで戦闘小説に逆戻りかよ。とりあえず善子だけは守らねぇーと。
とうきは足音、気配をともに消し、ゆっくりと廊下を歩いていく。
そして、やはり玄関には人影が…。
よし、一気にいくぞ。とりゃ!!
俺は廊下を走った。
その瞬間、人影はこちらを振り向いた。
「や、やべぇ!」
パァーン!!
「うぉ!?…何だこれ。」
とうきは頭からピカピカした紙や、帯が垂れているのを見つけた。
そして、恐る恐る例の人影に目をやった。
?「とうき、久しぶりね!」
さらさらし、腰ぐらいの位置までの髪。肌が白く、なによりかわいい人がいた。
俺は、それが誰だか一瞬でわかった。
「おい…。なんでねぇーちゃんここに?そしてなぜクラッカー?」
姉ちゃんはキョトンとした顔で答えた。
「なんでって夏休みだから可愛い弟に会いにきたの。クラッカー使ったのはなんかめでたかったからだけど。」
そして、姉ちゃんは、俺のうしろに隠れている善子に気が付いたらしく
「それに久しぶりに来てみたら、とうきの家にはかわいい女の子がいるじゃない!!それを説明してほしいわ〜」
と、ニヤニヤした顔で言う。
そういえば、姉ちゃん昔から恋バナが好きだった気が…。
「あ、そうだった。善子この人がさっき言うていたもう一人の家族。佐藤愛花(あいか)。俺のねぇーちゃんだ。そしてねぇーちゃんこの子は津島善子色々あって俺と同居してる。」
「ふーん。色々ねぇー。まだその段階か。なるほどなるほど。」
腕を組んで頷く姉ちゃんを、俺は遠い目で見ながら話をつづける。
「姉ちゃんがおもってるような関係ではないからな。」
「あら?そうなの?てっきり…」
「その先はいうな!!」
姉ちゃんは容赦なく付き合ってるとか、未来のお嫁さんとか、余計なことを言う。昔から散々経験してきたため、とうきは瞬時に対応することができた。
「改めて、善子ちゃんこれからよろしくね!」
「こ、こちらこそよろしくお願いします。」
さすがの善子でも姉ちゃんを前にしてはいつもの堕天使はだせないようだった。
「あっ!そうだ!!ここに来る途中でお土産買ったから善子ちゃんも一緒に食べて!!」
「あ、ありがとうございます。」
(ちなみに姉ちゃんはこのようにめちゃくちゃ気が利いて美人で優しくてこの俺のアパートの家賃も払ってくれていて兵庫県在住の大学2年生。言うなれば完璧美少女だ。)
「善子ちゃんそんなに緊張しないでいつも通りでいいのよ?」
愛花は善子が緊張していることに気づいたようで優しい言葉でフォローする。だが善子にとってその言葉は逆に首を締めてしまう。
みんなも知っての通り、いつも通りの善子を見せてしまうのは、善子自身もまずいからであった。
「無理すんなよ。」
「ありがとう、でも大丈夫。」
「質問するけど、二人は付き合わないの?」
「ブェーー何を突然!!」
俺は飲んでいたカフェオレを吹き出した。
「と、とうき?!大丈夫?!」
「あ、ああ、なんとかな。」
俺は袖で口を拭きながらキョトンとした顔をしている姉に向かって聞いた。
「もう一回言ってくれない?」
(頼む、聞き間違いであってくれ…。)
心の中でそう思うとうきであったが、残念ながら現実はそう甘くない。
「え?だから、二人は付き合わないの?って」
(やっぱり間違ってなかったぁぁ!!)
「わ、私ととうき君がですか?」
「うん。とうきももう高校生だから彼女の一人や二人はいた方がいいと思うし、私も安心できるし。」
(ねぇーちゃん昔から過保護だからな…。)
ここでとうきは異変に気づいた。
(今一人や二人って言った?!二人はやばいでしょ!?まあ、憧れではあるけど!)
「そんな私じゃとうき君に釣り合わないですよ。」
(いやそんなことないぞ!逆に俺に善子はもったいない気がする。)
「そんなことはないわー。そんなこと言ったらとうきに善子ちゃんみたいなかわいい子はもったいないわ。」
さすがは姉弟、意見が一致した。
善子の方に目をやると、その発言に対してどう回答すればいいか迷った表情をしているように見えた。
「…姉ちゃん。あんまそういうこと言うと善子が困っているから。」
「あら、ごめんね。善子ちゃん。やっぱりだめよね。」
「そんなことないですよ。私は…」
「うん?私は?ってどういう…」
なにか言いかけた善子の顔はモヤモヤしている表情、恥ずかしがっている表情にも見え、その内容を深く聞こうと口を開けようとすると、愛花が顔を近づけてきた。
「コラッ!」
「とうき、あんまり善子ちゃんいじめたらだめでしょ!!」
(さっきまでいじめてたのはどっちだよ!!心の中でツッコミを入れながら適当に話を流す。)
(なぜかって?そら、姉ちゃんを敵に回すと厄介だからだ。)
「いや、姉ちゃんからはじめたんでしょ。」
「まぁいいわ。今日は二人の邪魔みたいだから私は帰るわ。」
「え?姉ちゃん本当に何しにきたの?」
「だから。かわいい弟の顔をみにきたんだって。あ、ほら今度は私の家にも遊びに来てね!善子ちゃんと一緒に。」
「分かった分かった。あ、そういえば、なにできたんだ?」
「電車だけど?あ、大丈夫よ、泊まるとこは手配してあるから。」
「あ、そ、そうか。じゃあ、気を付けてな。」
「うん、ありがと♪じゃバイバイ♪」
ガチャン
「はぁー緊張した…!!」
「そうね…、心臓に悪いわ…。」
相当疲れたのか玄関で膝をつく善子。
「別に俺の姉ちゃんだから普段の調子でもよかったのに…。」
「だめよ。もしかしたら将来的にお世話になるかもしれないじゃない…」
これまた後半になるにつれてなんていってるか聞こえくなった。
「え?何て言ったの?」
「べ、別に聞かなくていいわよ!!」///
「え?善子なんで顔赤いの?」
「えっ?!///うるさいわね!お腹空いたからご飯食べるわよ!!」
「お、おう!」
ご飯中も聞こうとするものの「う、うるさいわね!!」///の一点張りで結局なんて言ったか聞き出せずにおわってしまった。
ぼくようのほうも早く追い付くようにがんばらなきゃ!!