「ルイズ、それにアイ君……すまなかった」
シエスタちゃんと談笑していると、ギーシュが突然、膝をぬかるんだ地面に立ててながらオレとルイズに頭を下げた。
「いきなりどうしたのよ」
「そもそも、今回の決闘は僕が始めに言い出したことだ。ルイズを侮辱した僕に注意してくれたアイ君を逆恨みしてね……」
「……そう、だったわね」
居心地が悪そうにしているルイズに、シエスタちゃんがそっと隣に寄り添う。
「ルイズ……正直に話すよ。僕は君を下に見ることで、自分の欠点から目を反らしていた……『魔法の使えないルイズよりはマシだ』と思うことで、臆病者の自分を正当化していたんだ」
「…………ふぅん」
「僕は怠惰で、卑怯者だった」
鼻声混じりの独白。
初めて会った時とは違う、本心からの謝罪だった。
「今までの非礼を許してくれとは言わない……ただ、この愚かなギーシュは今後二度と……ルイズ、君の前に現れないことを誓おう」
ギーシュは、静かに胸のバラに手を当てながら、目を伏した。
「──……。」
そこから顔を背け、口元をもごもごとするルイズ。
はぁ…………しょうがねぇなぁ。
「おい、ご主人タマよ」
「……なに?」
「言いたいことがあるんじゃねーのか?」
「……!」
なにをびっくりしてんだか。
バレバレだっつの。
「そんなにそわそわしてよ、本心隠してんの丸わかりだぜ」
「ほ、本心って何よ!!」
改めて謝罪しようとしたギーシュを制し、ルイズに言葉を続ける。
「あるだろ?」
「ないわよ」
「……はぁー……」
まー!意固地になっちゃってこの子はもー……しょうがないんだから!!
もういい!強行手段よ!!
「いいかルイズ!」
「うにゅ!?」
初めて会った時のように、ルイズの頬を両手で掴んで無理やりオレと視線を合わせる。
「オレもギーシュもシエスタちゃんも、ここにいるヤツはもうお前をバカにしねぇ!……な!」
ギーシュとシエスタが、強く頷く。
「だから言いたいこと、全部ここでゲロっちまえ!」
「う、うぅ……」
「……なぁ、ルイズ」
手を離し、ルイズと直線で視線にが重なるように、腰を落とす。
「オレを……信じてくれ」
「…………
「頼む。……お前に、後悔してほしくねぇんだ」
今度はオレも、頭を下げた。
「…………」
「…………」
「…………わかった」
その言葉を、待っていた。
嬉しくって、つい顔を上げてしまった。
「ねぇ、ギーシュ」
「……なんだい?」
ルイズは、今度こそ目を合わせ、ギーシュに向き合った。
「──私に……魔法の使い方、教えてほしいの!!」
そして、腹の底から引き釣りだしたように、大きな声でそう言った。
「…………いい、のかい?」
「他のメイジに頼むより全然マシよ。その、あ、あんたは……」
少し吃りながらも、ルイズは言葉を絶やさない。
「謝ってくれたから……」
「……ルイズ」
「……だから!!二度と私の前に現れないとか……逆に迷惑なのよ!つべこべ言わずに魔法教えなさいよ!!」
言い終えて、顔を真っ赤にして、ルイズはそれを隠すように、顔を俯かせた。
そんな顔に、ギーシュは気持ちのいい笑顔で返した。
「……喜んで!!」
こうして、ルイズの一世一代の頼みごとは快諾された。
「──よし!いい感じに締まったところで!」
「きゃ!?」
シエスタちゃんを肩を掴み、そっと抱き寄せる。
「ア、アイさん……!?」
「決闘も終わったことだし……約束通り、シエスタちゃんに優しく洗濯の仕方教えてもらおっかなー!」
とかなんとか言いながら。すぐ横のシエスタに
「うぇえええ!?」
決まった……顔が真っ赤だぜ。フゥ!
「おいおい忘れちゃった?……オレとのヤ・ク・ソ・ク」
「わ、わわわわ忘れてません!」
「……ホントぉ?」
「は、はい、はいーー!」
もー、そんなに恥ずかしがっちゃってぇ……。
…………お。
「…………。」
「な、なんでずっと、見つめてくるん……ですか??」
「……お前のキレーな目、見てたから」
「はうわ!?」
…………なるほどな。
理解してきたぜ……人間の女の子の、『良さ』ってやつが!
「シエスタ」
「……は、い」
「お前の……」
「……ごくり」
「お前のめ「いい加減にしろぉおおおーーーっ!!!」
「あばりゃんっ!?」
「きゃーーー!?」
「アイくぅん!!!?」
怒れるルイズがダイレクトアタック!!
オレの腹に大ダメージ!!ライフポイントが減る音!!
「あわ、あわ、あわわ」
「…………」
「はー、はー…………はぁーっ…………シエスタ」
「はい……」
「本気にしちゃ、ダメよ……」
「…………うぅ」
「……………………………………いやシエスタの眼ってマジでカワいくね?」
「懲りなさいよっ!!!!!」
「ブぁんッ!?」
「アイさん!!!」
「アイくぅーーん!!!?」
「……シエスタ」
「は……え、はい!?」
「もう私、服は自分で洗濯することにする!!」
「…………私でよければ、お手伝いしますよ?」
「……助かるわ!!」
「――……死ぬなぁーー!!アイ君ーー!!」
「…………」
「はッ!?……息を……していない……!!??」
「――当たり前だろオレ機械の体だから」
「アイくん……――――アイくぅーーーーん!!」
「いや生きてるの見てぇ!?」
「んん~、いいもの観れたわね~~!!」
「…………」
「大剣持ちの黒騎士に、雷を操るドラゴン!!……威力はもちろん、見映えまで完璧だなんて……ふふ、興味深いわ」
「…………」
「人間の男にも若干飽きが来てたところだし……ふふふ、今夜あたりにでも……」
「やめたほうがいい」
「……タバサ?」
「あの男だけは、やめたほうがいい」
「……珍しいじゃない、あんたが男の趣味に口を出すなんて。……まさかとは思うけどあんた彼を」
「違う」
「…………ふぅん」
「……とにかく、忠告はした」
「えぇ、ありがたく受け取っておくわ」
「……図書館によってから、帰る」
「うん、わかったわ。じゃね~」
「……また」
「…………ふぅ」
「何を隠してるか知らないけど、関係ないわ。手を出すなって言われて素直に引くような女じゃないわよ、私。……ツェルプストーの名に懸けて、必ずモノにしてやるわ……アイ。……フフフフフ!!」
「なんか存在しないはずの寒気がする」
「……ヴェルダンデ!!アイ君を抱擁するんだッ!!」
「うおモグラ!?……あ」
「どうだい?」
「もふもふで……いいっすね……」
「だろう~~~~~?あ、せっかくだから僕も……」
「「もふもふ~~~!!」」
「ひっどい絵面だわ……」
晴天からから春の日、
……かもしんない。もふもふ。