クールビューティーな紗夜さんを返して(涙)   作:黒ハム

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校長の思いつきほど怖いものはない

 部活動代表会議。

 虎南高校に大体月一で行われる会議のこと。全部活の代表たちが集う会議で、我らがサッカー部は俺が出ている。何故か?ウチのキャプテンが俺に託したからである。既に名簿には代表者は俺で登録されているので……畜生。サボりてぇ。

 ちなみに合同ライブの会議、サッカー部会議、これと地味に三日連続で会議に出席している。まぁ、昨日と一昨日のあれはきっと会議ではなかったな。うん。会議という名の何かだ。

 で、その会議での事だった。

 

「……と、文化祭に関しては以上です」

 

 生徒会長が説明してくる。まぁ、文化祭の出し物やるなら期日までにさっさと書類一式提出しろって話だ。我らがサッカー部は一応屋台を出す……というのも、我らがサッカー部はあのランニングのおかげで割と地域の皆様には有名なのだ。…………良くも悪くも。

 だから出すとそれだけで一般客は興味本位で覗いてくれる。ありがたやありがたや。後、いつもすみません。

 

「一つ良いかね」

 

 すると、普段は参加しないはずの校長が何かいる。どうしたのだろう?

 

「君たち。部費はもっとほしくないかね?」

 

 その言葉に頷く一同。当たり前だ。金を貰えるなら欲しいのが人間の性だ。

 

「そこでだ。文化祭で大規模なイベントを行う。題して……『各部対抗!バンド対決!』」

「「「…………はい?」」」

 

 各部対抗……バンド対決?

 で、ルールはこうだ。各部活、1バンドマックス5人の2バンドまでが参加出来る。その2バンド合わせて4曲までで1バンドにつき最低1曲は演奏。最後は観客の投票により優勝バンドを決める。優勝バンドを出した部活は部費アップ!ちなみに1位が総取りらしいので優勝以外はゼロ。本来なら他の部にまで分けられるはずだったものがもらえるので相当な金額となる。

 ……なるほど。はっきり言って博打だ。だが、ノーリスクでハイリターン……か。

 

「最低条件を言っておく。ここにいる代表者は強制参加。もし、出る場合は君たちはバンドのメンバーとしてやってもらう。代わりにメンバーに関しては部活の者でなくてもそこは不問とさせてもらう」

 

 後日詳細を纏めた紙を配布するとのことだが……おう。そう来たか。部長、もとい代表者は強制参加。すなわちサッカー部なら俺は絶対参加と……知ってる?俺、リズム感ゼロだし音痴だぜ?絶望的に向いてないんだぜ?歌っただけで地獄を見せられるんだぜ?

 

「校長先生……なぜこのような事を」

「最近学生バンドにはまってな!大々的にやってみようと!」

 

 なるほど……!校長め……!テメェの思いつきかぁ!

 

「というわけで、どうするよお前ら」

 

 部長会議も終わり部活へ。そこでさっきのことをそのまま伝える。

 

「参加するに決まってるだろ」

 

 ……お、おう。マジか。

 

「冬木は確定として、他にはいないか?」

 

 キャプテンが纏め始めたが……いやいや。アンタねぇ……!アンタが行っていれば俺が強制参加にならなかったんですけど?

 

「……問題は2週間ちょっとしかないってこと。初心者じゃ流石に厳しい」

 

 そう言ったのはチームの司令塔……まぁ千石のことだが。

 

「ちなみに僕はベースなら少々かじったことがある」

 

 え?マジで言ってるのお前?嘘だろ?

 

「よし、二人目千石な。他は?」

「あ、俺ドラムスなら少しやったことあるぞ?」

 

 チーム一軽いエースストライカー……森下だけど、が手を上げる。

 

「三人目は森下っと。ここはキャプテンとして俺が行こう……ギターならやれそうか」

「四人目はキャプテン……他は?」

 

 他には手が上がらなかった……うーん。これじゃ足りない……

 

「ん?何言ってんだ冬木。四人で十分だろ?」

「え?そうなのか?」

 

 あれ?普段見ているアイツら五人組ばっかりだから五人いるかと……

 

「お前……本当にライブハウスでバイトしてんのか……?」

「あ、あはは……」

 

 バイトに必要な知識以外からっきしだぜ!

 

「で?お前がボーカルになるわけだが……確かお前。クソほど音痴だったよな」

「……マジでごめん」

「それにリズム感もないよな」

「…………本当にごめん」

 

 そこに関しては全力で謝罪します。マジでごめんなさい……!

 

「取りあえず曲だけ決めて、お前はひたすら歌えるようにしろ」

「ぜ、善処する……」

「で?どうする?正直僕らじゃ1曲が限界だよ?」

「だなー何曲もやるのは無理無理ー」

「だが他の部活も条件は一緒だ。1曲だけにするか」

 

 この時は誰も予想していなかった。まさかあんなことになるなんて……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 何となくいつも通りにしつつ、やる曲だけ決まったのが部長会議の次の週の月曜日だった。

 あれからルールを決めた紙は配布され、校長先生の急な思いつきをガチでやるんだなと思い始めた今日この頃。まぁ、楽器は貸し出してくれるとのことなので心配はないそう。

 珍しくゆったりとした時間が流れるサッカー部。しかし、休日の間に他の部活は動きを見せていたのだ。

 

「た、大変だぁっ!」

 

 やる曲名を先ほど決めた俺たちの元に、慌てた様子で部室に入ってきた部員たち。どうしたのだろうか?

 

「軽音楽部とテニス部が手を組んだらしいぞ!」

「「「はい?」」」

 

 は?何それ?

 

「それだけじゃねぇ!野球部は生徒の買収行為をしてるってよ!」

「陸上部なんかは帰宅部全員を調査して精鋭部隊を作ってるって話だ!」

「しかも今あげた部以外は一つの大連合を作った噂だぞ!」

 

 …………は?理解が追いつかねぇ……が、ま、まさか……

 

「他の部活の奴ら正々堂々戦う気がねぇのか!?」

「汚ねぇ!最低かよ!?」

 

 文化祭は二日間。来週の金曜日と土曜日に行われ、土曜日のビックイベントとしてこれは行われるらしい。何でも土曜日に来場した人に投票用紙を配布(もちろん、うちの生徒にも配布)し、そこで投票を行うそうだが……。

 まず、元々優勝候補(サッカー部予想)の軽音楽部がテニス部と手を組む。ちなみにテニス部にはイケメンが多いためそこに一般客の女性の票が入ると俺は予想している。

 次に野球部がうちの学校の生徒の票を操作しようとする。これにより多くの帰宅部は音楽を聴く前から流れてしまう。しかも、各部にも買収による裏切り者が出てもおかしくない。

 陸上部は俺たちみたいな素人でなく学校内からある程度有能な人を集めようと奔走。こちらは実力の底上げを行ってるようだ。

 残った他の部活は一つの大連合を組むことにより、そいつらの票は一気に持ってかれる。

 結果残ったのは何もしていない我らサッカー部のみ……。

 

「…………きたねぇ……!」

「こっちなんてまだやる曲決めたばっかだってのによぉ……!」

「どうするキャプテン!」

「……俺たちの目的は金にあらず」

 

 目を閉じ、静かに告げる部長。その言葉には重みがあった。

 

「……俺たちがそこで活躍をし、評価を上げること。そして――」

 

 ゴクリ

 

「――俺が彼女を手にすることだ!」

「テメェ自分のことしか考えてないのか!」

 

 なるほど。コイツがメンバーに入った理由はそれか。

 ちなみにこの男がギターを少し弾ける理由は、ギター弾けたらモテるんじゃね?という動機で一時期やっていたらしい。動機からして阿呆である。だが、その動機でも弾けるのは……ぐぬぬ。負けた気分だ。

 

「ウチにいる女子生徒は皆野球部と陸上部に買収されたそうです」

「殴り込みじゃぁぁぁああああああっっ!」

 

 そう言うと部長は飛び出していった。後に続いてく部員たち。結局残ったのは三人のみ。

 

「あははー……でもどうするよ?」

「全員条件は同じと思っていたが……」

「…………他の部活は勝利の一点に賭けてきたようだね」

「まぁ、部長の目的あんなんだし」

「そうだな。楽しむことをモットーに行こうぜ」

「…………さてと、サッカーするか」

「「おぉー」」

 

 よく考えたら部費を沢山貰っても使い道ねぇわ。とりあえずサッカーしようぜ。

 尚、部長たちはこの日帰ってこなかった。何でもそのまま柔道部に乗り込んで、揉めて、全員仲良く吹っ飛ばされたとか何とか……お前ら……挑む相手ぐらいは考えろよ。




ま、まさかのバンドリキャラが出ない事件……大丈夫です。紗夜さん成分が足りないと思うので次回(明日)出します。
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