クールビューティーな紗夜さんを返して(涙)   作:黒ハム

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この回がNFO回だと思った皆さんすみません。
NFO回はもっと後です。


文化祭!って言いたいけどなぁ

 そして金曜日。文化祭1日目である。この日は一般公開はなく、内輪で盛り上がろうぜ!って感じ。まぁ、いいや。

 で、クラスの出し物は喫茶店。サッカー部の出し物は焼きそば店。両方のシフトを淡々とこなして、

 

「ではスケジュールの確認を行います」

 

 明日のビッグイベント、各部対抗バンド対決の最終打ち合わせをしていた。

 

「まず、代表者は各チームここにいるメンバーで問題ないですね」

 

 そこに居るのは軽音楽部代表、野球部代表、陸上部代表、柔道部代表に後サッカー部代表の俺の計五名。

 結果的にこうなったが……まぁ、色んな部活が手を組んだり競合したり買収したりなので……もう何も言うまい。

 

「明日の演奏順ですが、軽音楽部→野球部→陸上部→柔道部→サッカー部ですね」

 

 ちなみに俺たちはトリである。まぁ、この順番にも各部の作為が見え隠れするが……いや、ほんと、どうなってんだろう。

 

「で、サッカー部まで演奏終了後、観客による投票並びに生徒会、教員による開票作業を持って、最後に優勝チームの発表。優勝部活に後日賞金を与えます。また、裏事情は不問とします」

 

 そうですね。裏で凄いやりとりしてますからね。俺たち以外。

 

「アンコールは禁止。ただし、最後、優勝が決まった後に優勝部活のみ許可。これはいいですか」

 

 頷く代表たち。まぁ、うん。俺たちは1曲しか練習してないので……俺たちがアンコールを言われることはないし言われても困る。

 

「では会場準備に行きましょうか。準備は皆さんで。片付けは今回のバンド対決での最下位の部活が行う……これもよろしいですね?」

 

 片付けは生徒会も大変だし、負けた奴らに任せようとなった。当然他の部活は快く条件を飲んだ。曰く、最下位は決まってるとのこと。

 

「準備が終わり次第希望されたバンドの皆さんが最終練習でよろしいですね」

 

 うちの高校の体育館は少し広い。まぁ、運動部が盛んだしなぁ……で、会場準備とはいえ観客の椅子を並べるとかはしないので楽なものだが。

 

「まぁ、優勝は俺たちが頂くよ」

「いやいや、俺たちだな」

 

 さっそくバチバチにやっている。

 

「さっさと終わりてぇ……」

「ははっ。サッカー部は確か何もしてないんだろう?」

「敵にあらず。片付けは任せた」

「へいへい。うちは自由にやりますよ」

 

 他の部活が動いていることくらい知られている。そしてサッカー部はそういう活動をしていなかったことも知られている。スパイ活動も盛んに行われていたので……いや、買収の次はスパイ?お前ら本当に阿呆なのか?

 ただ、サッカー部にもスパイを送り込まれたが……うん。気付いたら居なくなってたな。こいつら曰く本当に眼中にないらしい。

 じゃあ、何でそんな俺たちにトリを譲ってくれたのか?単純である。俺が都合で最後がいいって頼んだら、快く譲ってくれた。それくらい譲っても変わらんとのこと。まぁいいけど。

 だから構図としては他の部活がここ二週間バチバチに戦っている中、我らサッカー部は蚊帳の外だった。いつも通りお外に走りに行って、機材を借りて夜とか体育館で練習してって感じだ。他の部活に一切の干渉をせず(部長たちが殴り込みに一回行ったことは除く)自分たちの演奏を上達させようとしてきた。

 準備も終わり、サッカー部の練習の番になる。一通り通して……

 

「…………うし。まぁ上出来じゃないか?」

「……だね。冬木のボーカルも問題ない」

「そうだよなー相当練習した?」

「あはは……まぁな」

 

 先週はスパルタ指導を喰らったからな……あはは。この一曲だけを仕上げるために友希那さんの眼はガチに、紗夜さんの指導は厳しくて大変だった。

 え?あの後にやったのかって?やったよ。ひたすら歌わされたよ。リサ姐がストッパーの役割を果たしてくれなかった。悲しかったです。

 ただ流石ボーカル、友希那さんが喉のケアとかそういうことをしろと叩き込まれて……あの時の眼は怖かった。紗夜さんに泣きつこうとしたら紗夜さんの目も怖かった。

 

「……で、だ。真面目な話。他の部活はどうなんだよ」

「ん?あー技術は知らんけど、まぁ優勝するためにあの手この手。奮闘しているな」

「……優勝は諦め。一曲だけやって潔く去ろう」

「サッカー部の部員だけでも入れてくれるだけ感謝かな」

 

 俺たちはこんな感じで最初から優勝なんて考えていない。いつも通りやっていつも通り去るだけだ。

 

「噛むなよ?MC」

「うっせぇ。そこまでダサいことしねぇよ……多分」

 

 ちなみにこのキャプテン。マジで全部丸投げしてきやがった。オイコラ俺の仕事量が……まぁいいけど。

 

「じゃあ、片付けも頑張ろうぜ!」

「「「おー!」」」

 

 そして既に最下位を取る自信もある。悲しきかな俺たち。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 次の日、店の手伝いもしたが本日のメイン、バンド対決が体育館で行われていた。

 その舞台裏、今は柔道部を筆頭とした連合たちが演奏している。実は、体育館だけでなく校舎内外にある放送設備を通して流れている。だからサッカー部の客が少なくてもこの学校の敷地内にいる限りこちらの音は聞こえている。

 

「そろそろ終わりだな」

「あぁ。そうだお前ら。俺たちの演奏が終わったら機材の撤収とか運ぶのやっといて」

「お前は……ああ、ボーカルだからないか」

「……それくらいならいい」

 

 お互い緊張した様子はない。まぁ、俺たちはもう順位度外視で、楽しく行こうぜって感じだからな。だから観客がサッカー部だけって状況でも全然オッケーって感じだ。

 

『ありがとうございました!』

 

 すると柔道部代表が挨拶を終えて戻ってくる。まぁ、彼らも俺らも借り物を使うから機材は一緒だ。

 

「行くか」

「だな」

「……行こう」

「よし」

 

 俺が先頭に立ち舞台上へ。客は……まぁ、サッカー部プラスアルファだな。何人かは知っているが……まぁさすがにプロじゃなくて素人集団って分かってる、しかもここに居なくていいしほとんどのやつは投票先をもう決めている。

 まぁ、こっちの方がやりやすいか。

 

『では次はサッカー部です。どうぞー』

 

 生徒会がマイクを渡してくる。さぁ、始めようか。

 

『サッカー部です。お願いします。さっそくやっていきますね』

 

 サイノウサンプラー。この文化祭でやるようなものかは分からないけど、テンポも比較的ゆっくりだから、やりやすいのでは?という意見のもと採用された。

 はっきり言おう。割とまともな理由で選ばれたと。後そんなに長くはないからってのも理由だ。

 この曲、何度も歌ってると、時折昔の紗夜さんと日菜がちらついたんだよな……誰か理由分からない?何というかこうなっていたかもしれないと思うと……いや、やめよ。これ以上は踏み込んじゃいけない領域な気がする。

 っと、そんな感じで1曲が終わっていく。まばらな拍手……まぁいいかな。俺として……いや、俺たちはやりきった。それだけで充分だ。

 

『俺がこの曲を歌い上げるために、ある人たちが協力してくれました。だから俺としてはその人たちに送ったつもりです。まぁ、曲の選択はどうかと思いますが……』

 

 と、静かに話を締める……ように見せかけて、笑顔で続きを語る。

 

『さてと、じゃあ、始めようか……俺たちの逆襲を』

「「「はぁ?」」」

 

 後ろにいる三人が驚いた声を上げる。舞台袖にはローブを来た五人組が。

 

「キャプテンたち。あの人たちの準備を手伝って」

「え?あれって……」

「俺が頼んだ、ウチの部活のもう一つの代表チームですよ」

 

 困惑するキャプテンたちを動かしてセッティングしてもらう。その間に俺は、

 

『さぁさお前ら!各部対抗バンド対決と言って今まで男のやつしか聞いてねぇからそろそろうんざりしてきただろう!そろそろ心から熱く燃え上がれるような演奏を聞きてぇころだろ!そんなお前ら今すぐ体育館に来い!ここからの三曲は俺の知る最高のガールズバンドを用意した!この音をマイク越しに聞くなんて惜しいことをするつもりかぁ!何部も買収もスパイも裏切りも関係ない!さぁここに集え!全ての思惑を無に帰すような圧倒的な力を見せてやるよ!』

 

 マイクパフォーマンス……とまで行かないがこの会場を少しでも盛り上げるために動く。

 俺のこの言い方に少しずつだが体育館に人が戻る。と言ってもまぁ、まだそこまでか……くっ。もう少し行けそうだったのに。

 

「悪いな。流石に一杯に出来なかったわ」

「…………後は私たちの演奏で引きつけるから」

「流石だな」

 

 俺はマイクを渡し、そのまま舞台袖に向かう。

 

「かっこよかったですよ」

「ありがと」

「後は見ていてください」

 

 そして彼女たちは一斉にまとっていたローブを脱ぎ捨てた。

 

『Roseliaよ。ここからの三曲は私たちが演奏するわ』

「「「うぉおおおおおおおっ!」」」

 

 今まで男しか立っていなかった為、まずここに美少女が五人立ったってだけで湧き上がる。

 だが、俺は彼女たちをそんな癒しとか劣情を求めて呼んだわけじゃない。

 俺たちみたいなエンジョイ勢でも、他の奴らのような金のためじゃない。ガチ勢のバンドの演奏を披露させてもらう。

 

『まずは一曲目』

 

 そして彼女たちの演奏がスタートした。

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