そして、現実は辛いのでゲームの話です。
この作品、もうすぐ総合評価が4桁に……皆様のおかげですね。ありがとうございます。
それは金曜日の夜だった。
「りんさんが言うには、明日Roseliaのメンバーとログインするって話だったっけ?」
午前中に部活があったため最初からの参加は無理と伝えたところ、途中からで全然OKですらしい。Roseliaのメンバーか……リサ姐は性格上何となくヒーラーやりそうで、友希那さんは……何か普通じゃないの選びそう。紗夜さんは……女神かな。ジョブ名ゴッド。……何でこのゲーム女神って職業ないんだろう。作ってほしい。てか運営作れ。紗夜さんの為に作れ。
「よし、先輩にちょっと掛け合おう」
そう思いログインする。先輩は……よし、インしてるな。
『チーッス。ぽんちゃん』
『Keiか……』
話し掛けると何処か神妙な面持ちをする先輩(女アバター)。
『ちょっと来て』
ということでギルドホームの一画に移動する。一体何なんだろう?ギルドマスターの称号をくれるって話しか?なら大歓迎だ。さっさとギルド名を「クールビューティーは神」に変えるんだ。
『…………お前のところに何か届いていないのか?』
『ちょっと確認するわ』
メッセージボックスを開ける。まぁ、相変わらず変態どもからの相談は来ているが……ん?なんだコレ。一個だけ明らかにおかしなやつが混ざっている。
「えーっと?」
要件が……愚民どもへ?愚民?まぁ開いてみるか。内容が……
「蒙昧な愚民どもへ。
汝らの蛮行は許容できないと言わざるを得ない。
汝らのような者たちを我らは粛清する。
我らは正しきNFOの世界を取り戻すため、汝らを潰すことにする。
潰されたくなければこの世界から尻尾を巻いて逃げるがよい。」
……何これ?
俺らが蛮行?いつそんなことした?
『確認しましたよ。悪戯ですか?新イベですか?』
『最近、(自称)傘下のギルドがいくつかやられたそうだ。こいつらによって』
ギルド名「正義の執行人」……やべぇ。なんて言うか……笑えるギルド名だな。だっせぇ。自分たちが正義だと思ってるイタイ奴らじゃん。
『で?どう返したんですか先輩』
『今お前にも送る』
すると通知が。えーっと?
「よろしい。ならば決闘だ。」
へぇー。
『ちなみに明日だ』
『じゃ、頑張ってくださいね。俺、明日はフレンズとここで楽しむんで』
『果たしてお前はコレを見てもフレンズと遊べるかな?』
『え?』
え?そう思うと、また通知が。えーっと?さっきのに対する返信か。
「どうやらクールビューティー、ポンコツキュートとそんなくだらないことをほざいている汝らには我らの崇高さが分からないようだな。
いいだろう。ならば明日の13時より、我ら「正義の執行人」と汝らのギルドによる対抗戦を執り行う。
汝らが何人で来ようと、傘下を引き連れようと我らにかなうことはない。
明日が汝らの命日。クールビューティー、ポンコツキュートと二度と騒げないようにしてやる。」
…………ほーぅ。
『先輩。…………ぶっ潰すぞ』
『ああ。ポンコツキュートをバカにされて黙って居られるか』
『ポンコツキュートはどうでもいい。クールビューティーを無下にした罪を償わせてやる』
『……おい。ポンコツキュートはどうでもいいだと?クールビューティーの方がどうでもいいんだよ』
『……口を慎めよ?あぁ?』
『やんのかこの野郎?』
『テメェ、明日の決闘では背中に気をつけろよ』
『テメェこそ。手が滑って首を切り裂いても文句言うなよ』
今日は白金さんと宇田川さんの提案により、彼女たちがプレイしているNFOというゲームをすることになりました。本当は慧人さんも途中合流のはずだったのですが、どうやら急用が出来たようでキャンセルとのこと。…………せっかく慧人さんと遊べると思ったのに……。
『あれ?』
一つクエストをこなして、Roseliaのメンバーで集まったとき、宇田川さんが疑問を出します。
『Keiがログインしてる』
『あ、本当ですね。彼がログインしています。でも、おかしいですね(・_・?) 急用って言っていたんですが、それはゲーム内のイベントだったのでしょうか?わざわざ私たちの方を断ってまで一体何の用事があるのでしょう?』
ちなみに白金さんはチャットでは物凄い喋ってくれます。普段からこれくらい話してくれれば良いのですが……いえ、普段と足して二で割ればちょうどいいですね。
『何か情報によるとギルド対抗戦やるらしいよ』
『ギルド対抗戦?』
『えーっと、最近実装されたモードで、ギルド対抗戦。二つのギルドが争うもので、両ギルドマスタ-の承認の元で行われます(^▽^)/ 作られた経緯については省略しますが、こうしてギルド対抗戦が行われるときは全プレイヤーに通知が行きます。争うのは……え?』
私たちも見られるようで、その通知を見てみる。えーっと……
『ギルド、クールビューティーは嗜好、ポンコツキュートは神とギルド、正義の執行人…………』
『どっちも面白い名前ね』
なぜかは……分かりますね。クールビューティーって入ってる時点で慧人さんの顔が浮かびます。
『前者のギルドはKeiがサブギルドマスターを務めているところです。後者はNFOの治安維持を掲げ、ふさわしくないギルドを潰していると有名なところです』
『つまり?』
『わかりやすく言うなら自称風紀委員が風紀を乱す人たちを粛正しようとしています』
『なるほど』
『分かりやすい』
『ふむふむ』
なるほど。それなら凄い共感できる。
『ただ、正義の執行人と言うギルド……独裁に近いです。自分たちの価値観で決めていると言われています』
でも、慧人さんの所属するギルド名……初心者の私たちでも頭がおかしいと思える。まぁ、慧人さんが所属するなら納得ですが。
彼が今更このギルドのトップの方と言われても……何というか普通だ。寧ろこのギルドに入っていなかったら彼の正気を疑っていた。
『ちなみに観戦が出来ますが。行きますか?』
『面白そうだしいってみよー』
『いいわよ』
『さんせー』
『もちろん行きますよ』
ということで白金さんの案内の下、対抗戦が行われる場所まで移動していく。そこは異様な盛り上がりを見せていた。
『さぁ!我らが長、ギルド「クールビューティーは嗜好、ポンコツキュートは神」とギルド潰しの異名を持つギルド「正義の執行人」!さぁどちらが勝つか!今のところ双方に多くの賭け金が賭けられているぞ!さぁ君たちも賭けてみないか!』
『こちら出張、武器の修理屋です。皆様からの修理絶賛受付中です』
『へいへい!こっちのアイテムは安売り中だ!よってみないかい?』
『君たち!銀髪に興味はないか!我らと少し話をしないか!』
『いやいや!ロリこそ魅力的だとは思わないか!』
…………本当に、異様な盛り上がりを見せている。
『…………何です?あれ』
『えーっと、「クールビューティーは嗜好、ポンコツキュートは神」は傘下を多く持っている有名な大手ギルドであり、こういうお祭りごとには率先して参加、盛り上げるという習性があります(^▽^)/』
『ということは?』
『自分たちのトップのギルドのピンチすらお祭りごととして盛り上げています』
『ふっ。狂乱の宴の開催……』
『阿呆なの?』
『阿呆です』
『阿呆だったか……』
『阿呆なのね……』
何故だろう。無性に頭を抱えてしまいたくなる。……慧人さん……何やってるの……。
『さぁ皆様お待たせしました!これよりギルド対抗戦を開催したいと思います!』
すると実況者が……ん?実況者?
『ちなみに普通のギルド対抗戦には実況者は居ません』
…………ですよね。
『実況は私!ギルド名「CBPC、傘下、声フェチ」のギルドマスターが務めさせていただきます!』
『『『おぉぉぉぉぉっ!』』』
『まずはこちら!ギルド名「正義の執行人」!数多の我らが同士のギルドを粛正してきた彼ら!遂に本陣を落とさんと名乗りを上げたぞぉっ!』
何故だろう。あんなギルド全て滅んでいいと思う。
『こちらのエントリー数は100人!さすが全員が正義を心に秘めたものたちだ!誰一人欠けることなく全員参加です!』
『やっちまえ!』
『そうだ!あいつらを潰すんだ!』
『俺の友人はアイツらに洗脳されたんだ!』
『息子を!息子を正気に戻して!』
『最近アイツらのせいで夜な夜なショタが夢に現れるんだ!俺ロリコンなのに!』
100人ってすごい人数……ギルドの最大人数らしいが……それだけの人が同時にログインするなんて……。
『さぁ続いて現れたのはこの男!ギルド名「クールビューティーは嗜好、ポンコツキュートは神」のサブギルドマスターKeiだぁっ!』
『『『おぉぉぉぉぉっ!』』』
すると黒いローブを着た一人の男性が100人の前に現れる。拳を空高く掲げているその姿……
『あれが……』
『ええ。あれです』
『…………私たちと同じ感じなのね』
『リアルとほとんど一緒だね』
『頑張れー!Kei!』
リアルでもよく見る姿。それと殆ど変わらない……さすがのクオリティーだ。このゲーム。
『『『Kei!Kei!kei!』』』
『流石はKei!その人望の厚さは折り紙付きだぁっ!』
何というか……有名人なのね。彼って。
『そして続いて現れたのは我らがトップ!ギルドマスターのぽんちゃんだぁっ!』
『『『Foooooooo!』』』
そして現れたのは同じく黒いローブを着た一人の女性…………え?女性?
『美しすぎるぜぽんちゃん!』
『最高!結婚してくれぇ!』
『皆~!頑張っちゃうからね♪』
『『『マスター!マスター!マスター!』』』
ぽんちゃんさんが観客に手を振るだけで沸き立つ。
『ぽんちゃんはKeiと共にあのギルドを立ち上げた創始者と言われています。そしてぽんちゃんはリアルが一切謎に包まれた存在。噂ではKeiとリアルの繋がりがあると言われていますがそれ以上は何もないです』
…………その言葉を聞いて何故か胸がチクリとする。
『何と!こちらは以上2名のみが参加する模様だ!これは面白いことになってきたぞ!』
『さすがマスターたちだ!やることのスケールがちげぇ!』
『ふっ。あれは我らがボスたちによる情けなのだよ』
…………え?
『それって大丈夫なの?』
『圧倒的に人数に差があるわよ』
『これには驚きが隠せない……』
『格好いい!ジャイアントキリングって感じかな!』
『多分少し違うかな』
そんなこちらの驚きをよそにフィールドでは2人と100人が向き合った。
『汝らがそこまで愚かとは。たった二人で勝てるなんて思い上がった真似を』
『知るかよ。ただなぁ……クールビューティーを馬鹿にされて黙って居られるか』
『そうだよ♪ポンコツキュートをこけにされて黙って居られないんだから♪』
『絶対に後悔させてやるから覚悟しろよ?』
『馬鹿にした相手が悪かったって教えてあげるからね♪』
何だろう。慧人さんがクールビューティーに関することで人間を超えることはよくあるけど……大丈夫か心配になってくる。
そんな中、戦いの火蓋は切られようとしていた。