クールビューティーな紗夜さんを返して(涙)   作:黒ハム

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勘違いって起きてるの知らないと困るよね?

『さぁ。では、ギルド対抗戦……スタート!』

 

 カウントダウンが0になり、開始のゴングが鳴ると同時に二人が敵陣に突っ込んだ。

 

『おぉっと!開戦と同時にKeiとぽんちゃんは敵陣へ!Keiの支援術により二人の全ステータス上昇のバフと状態異常耐性、自動回復が付与された!いや、バフの速度なら負けてない!「正義の執行人」側のヒーラー組も一斉にバフをかけた!』

『タンク!支援組を守れ!魔法部隊!詠唱開始!』

 

 大きな盾を持った20人くらいが、後ろに控えているヒーラー10人を守ろうと肉壁となる。さらに魔術師が一斉に魔法の詠唱を始め、背後からは前衛職が逃げ道を塞ぐようにじわりじわりと迫る。何という圧倒的数の暴力。

 

『テメェらが数の暴力ならこっちは力でねじ伏せるだけだぁっ!』

『そういうこと♪』

 

 すると、ぽんちゃんさんを遙か上空に蹴り飛ばした慧人さん。そのまま、ぽんちゃんさんは魔法を唱えると……

 

『ねぇ、あれって……』

『隕石だね☆』

 

 いくつもの隕石が空から降り注ぐ。…………え?

 

『あれは魔法の中でもトップの威力と範囲を誇る魔法ですね。術者が指定した範囲に無差別に隕石を落とします。デメリットとして、味方を巻き込むなどがあげられますが……』

 

 味方がKeiしかいないので問題ないです。と補足する。

 

『出たぁっ!ぽんちゃんによる強襲!その攻撃に今まで何人の味方が沈んだか分からない!』

 

 いや、味方。沈めたの味方はダメでしょう。

 

『対して「正義の執行人」の魔術師たちは魔法で隕石を破壊しようと試みている!既に幾つかの隕石が粉砕しているが……!』

『じゃあ、重力を強めちゃうね♪』

『何と!粉砕した岩が物凄いスピードで降り注ぐ!空から岩の雨だぁ!これでは、盾を上にやって防ぐしかない!そもそもKeiは無事なのか!?』

『ついでに雷追加♪』

『ぽ、ぽんちゃん!容赦ない追撃だぁ!』

『流石だぜリーダー!』

『やっちまえ!』

 

 ……目の前には凄まじい惨状が。空から隕石。それを壊せば無数の岩の雨。さらに雷が幾つも落ちている。もうあの人がラスボスではないだろうか。

 

『おぉっと!徐々に「正義の執行人」の生存者が減っていく!』

 

 目の前にある大きな表示。そこには双方の現生存者の数が出ている。「正義の執行人」側は最初は100だったのが段々と減っている。それでもまだ差は凄いが……あれ?もう片方が2ってことは慧人さん生きてる?

 

『な、何とKei!盾で雨や雷を塞いでいる彼らの空いたボディを殴りつけていく!』

『なるほど。ぽんちゃんさんの魔法を防ぐために盾を上に向ければ、Keiさんが空いた胴を狙い沈める。Keiを防ごうとすれば上からの魔法を防げない。見事な連携です』

 

 そんな惨劇も一旦キリがつく。フィールドを見ると既に酷い有様に。

 

『んーまだ半分残っちゃったか~』

『そうだな。後20くらいやれると思ったが』

『でも、目標のヒーラー全潰しは完了したね♪』

『まぁ、ヒーラーが居なくなりゃ楽だな』

 

 何事もなかったかのように話す二人。周りが回復アイテムを使用していることをあえて無視して居るみたいだ。

 このギルド対抗戦はアイテムは有り(ただし当然所持数に限度アリ)。ヒーラーが居なくなったということは……もう相手に回復手段がアイテムしかないということだろうか。

 

『さぁさフィールドは既に酷い有様!人数的には圧倒的不利な二人。だが流れは彼らに来ているぞ!』

『だが、これくらいで負けはしない!』

 

 すると土の中から……何でしょう?

 

『おぉっと!ここで死霊術が発動したぞ!』

『死霊術?』

『何度やられようと、我が下僕は黄泉の世界より復活する。終わりなき地獄を見せようぞ』

『つまり?』

『死霊術は戦闘不能になった味方を全スキル並びにバフを無効、魔法やアイテムなどの使用禁止にして復活できます。ただし、術者がやられたら復活した人たちも皆やられますが……それでも術者を倒さない限り彼らは何度も復活します。また復活した人たちは区別しやすいよう紫のオーラをまとってます』

 

 立っている人数だけを見ると最初と変わっていない。

 

『何か、正義とか言ってるけど鬱陶しいストーカーみたいだね』

『何度も何度もしつこい』

『正義ではなさそうですね』

 

 私たちの印象はこんな感じだ。何か、正義の執行人が正義ではない気がする。

 白金さんもうまい人が使ったり拮抗しているといいけど、これだけ見ると何度も湧く雑魚敵って評価している。中々に辛辣だ。

 

『やっぱいるよね~死霊術師』

『じゃあ、次はそいつだな』

 

 ただ、そんな状況になっても特に焦った様子もなく、二人は狙いを何人かに絞り、それぞれ突撃していく。

 

『総員!守りの陣だ!』

 

 すると復活した人たちが狙われている人たちの周りを囲うようにして壁となる。肉壁というやつだ。

 

『何と!迫り来る大軍を剣一本で切り裂いていくぽんちゃん!そして体術で押し進めていくKei!本来は後衛職の二人だが近接戦闘でも他を寄せ付けないのか!』

 

 生存者の減る速度は減少したものの着実に減っていく……なんて強さなんだろうか。

 

『な、何なんだアイツら……!取り押さえろ!』

『む、無理です!間合いに入った瞬間に攻撃されます!』

『じゃあ、魔法だ!』

『それじゃあ味方も巻き添えに……!』

『構わん!やれ!』

 

 正義の執行人っていいながら味方を犠牲に倒そうとしているのはいいのだろうか?そんな疑問をよそに、戦っている二人の元に炎の球やら氷塊、雷や岩などあらゆる魔法が飛んでいく。

 

『やっぱりそう来るよね~♪』

『待ってました』

 

 ぽんちゃんさんに当たりそうになった魔法は跳ね返って敵のいる方に飛んでいく。慧人さんに来た方は……その魔法に向かって敵を投げつけたり蹴りつけたりして防ぎながらダメージを与えている。

 

『あぁっと!味方を巻き添え覚悟の決死の作戦!だが味方を巻き添えではなく味方にしか当たってない!おっと!そしてこの攻撃の中、死霊術師が全滅したぁ!一気に数が減ったように見えるぞ!』

 

 さっきまで復活した人でいっぱいだったが、一瞬で消え失せた。残りは……20を切ったようだ。

 

『じゃあ、これで締めよっか♪』

 

 すると、空から巨大な隕石が……それに向かって跳躍する慧人さん。

 

『ぽんちゃんが生み出した巨大な隕石に向かって跳躍するKei!一体何をするつもりだぁっ!』

『ぶっ壊す!』

 

 慧人さんの拳が隕石と衝突。隕石が砕けた……え?

 

『な、なんと!?隕石を自分たちで砕いた!?』

『終わりだ』

『ついでに重力も追加ね♪』

 

 そして空中でそのまま砕けた隕石を蹴り落とす。堕ちる隕石は先ほど以上の威力とスピードでプレイヤーの頭を捉えた。

 なるほど。自由落下ではなく、初速を与えることによって威力とスピードが増加。さらに軌道を推測して打ち出すことによって命中率も増加。しかも頭を防ごうとしたら今度は首とか心臓とかを狙う……何て一方的なんだろうか。

 

『じゃあ、後はお前だけだな』

『だね。どう?敗北した感想は?』

 

 最後の一人ギルドマスターに肉薄する二人。既に首元に剣が添えられ拳も構えられている。

 

『く、クソ……!』

『また話そうぜ。今度はクールビューティーに染めてやるよ』

『いやいや~ポンコツキュートに染めてあげる♪』

 

 そして剣が首を切り裂く。

 

『決まったああぁぁっ!勝者!ギルド「クールビューティーは嗜好、ポンコツキュートは神」!たった二人で敵を殲滅したぁ!』

『ふぅ。終わったな』

『やったね♪Kei!』

『って抱きつくなテメェ!』

『いいじゃん♪今回くらい♪』

 

 フィールドでは慧人さんに抱きつくぽんちゃんさんが……

 

『やっぱ、あの二人って付き合ってんのか?』

『そうだろ。そうじゃなきゃあんな連携無理だろ』

『熟年の夫婦じゃないか?』

『いや、Keiは高校生だぜ?』

『じゃあぽんちゃんもそれくらいか』

『くぅ~はぜればいいのに』

 

 ……その言葉を見たとき、私の心に虚しさが訪れる。

 もしかしたら慧人さんは…………ぽんちゃんさんとリアルでも……。

 

『サヨさん?』

『……ごめんなさい』

 

 何だろうこの苦しさは。ゲームの世界の話……でも、もしもリアルでもそうだったら?そう思うと……何でこんなに苦しくなるの?何でこんなに胸が締め付けられるような苦しさが……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふぅー」

 

 何とかギルド対抗戦に勝利できた……が。流石に疲れたな。……ん?RinRinからメッセージ?あーRoseliaのメンバーと見ていたのか……あれ。…………え?嘘だろ?

 

『じゃあKei!お疲れー!』

『あーうん』

 

 まさか……俺がこんな頭おかしいギルドの頭を、この頭のおかしい先輩とやっているなんて知られてしまったら……!

 

「……リアルで合わせる顔がない…………!」

 

 そ、そんな!彼女たちからはまだ俺がこんなことしているなんて知られていなかったのに……!知られたら俺の印象が……印象が悪くなってしまうではないか!(いえ、変わりません)

 く、クソ!な、何て時にログインしていたんだ……!

 その後ゲーム内で会うことになり、会いに行ったが……

 

『おつかれ』

『上手いね~』

 

 友希那さんとリサ姐はチャットでも普通だ。問題は……

 

『サヨ……さん?』

 

 明らかに紗夜さんの挙動がおかしい。りんさんによれば対抗戦が終わってからコレらしい。

 ま、まさか……!俺がこんな頭のおかしなギルドに入っていることによって幻滅されたのか!?そ、そんな……!ま、まじか……

 

『とりあえずフレンド登録を済ませましょうか』

 

 りんさんが取りまとめているという凄いレアな光景が広がる中、紗夜さんが一向に何も喋らない。……え?…………えぇ?や、やっぱり幻滅されたのか?流石にひかれたのか?

 この日はこの後、少しの間だが一緒にゲームをしても、またL○NEで話していても、いつもよりも淡々としていた。……やっべ。俺やらかした?




紗夜さんがヒロインしていた気がする。(メインヒロインです)
この勘違いはいつ解けるか。(割と早いうちに解けます)

一応補足&設定。
紗夜さんは慧人とゲームができると思ってNFOについてしっかり下調べ(予習)してきていたぞ。ただし、ネカマと呼ばれる存在は知らないため、ゲーム内のプレーヤーの性別=現実の本人の性別って思ってるぞ。
だからネカマの可能性なんて一切考えていないぞ。

後NFOは物凄い自由度の高いゲームってことにしといてください。えぇもうこの二つの話が出来るくらい自由度が高いんです。
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