クールビューティーな紗夜さんを返して(涙)   作:黒ハム

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前話の後書きの絵が示すものは何だったか?この話で明らかに。
ちょっと特殊な形式でやってみました。
絵を見てない方は下に張っておきますので見てから読まれたほうがいいです。


【挿絵表示】


いやぁ……ヒントで当ててくる人が居るとは……ではどうぞ。


○○○しないと出られない部屋

 それはある日のことだった。部活も終わり帰宅しようとした俺。気が付くと……

 

「どこだよここ」

「知らないわよ」

 

 気が付くと、見知らぬ部屋の中に閉じ込められていた。…………千聖と一緒に。

 

「とりあえず出るぞ」

 

 ガチャガチャ、とドアノブを回そうとするが開かない。

 スライド式の可能性があるのではと思い、横に引いてみるが動かない。

 こうなりゃ蹴り壊すかと思って蹴ってみるが何故か壊れない。というか痛い。

 

「閉じ込められたな。しかもご丁寧にこの扉金属製だ」

「そのようね。ほらあそこ見なさい」

 

 千聖が指すのは部屋の天井の隅……

 

「四隅に監視カメラがあるわ」

 

 なるほど。

 

「おい千聖。お前、何かの番組の収録か?脱出ゲーム的な何かか?謎解きなら面白そうだからやらせてほしいんだけど……」

「生憎、私の仕事ではないわ。そんな予定入れていないもの」

 

 近くにあるベッドに腰掛ける。この部屋にあるのは大きなベッド。その横にテーブルに引き出しがいくつかある棚。後はドアやカーペット。そして四隅に監視カメラか……。

 

「問題は拉致されたことか?」

「そうね」

 

 コンコンコン

 

 ノック音がしたと思うとドアの下から何か紙がやって来た。

 

「おい千聖。紙がやって来たぞ」

「なんて書いてあるの?」

「えーっと、『ここはよくある○○○しないと出られない部屋です』……だとよ」

「……なるほど(ピーー)しないと出られないのね」

「いや、そうと決まったわけじゃないだろ」

 

 ピー音が重なったが、大体言わんとすることは分かるのでスルーする。

 

「でもこの部屋にこのベッドは露骨すぎるわ。もう(ピーー)するしかないのよ」

「いや諦めが早くないか?」

 

 おかしい。この女の諦めが早すぎる。いや、ほんと早い。普通躊躇するだろおい。

 

「というか、そんなこと言われてないだろ。もっと別の条件かもしれねぇぞ」

「いいえ。あり得ないわ」

 

 いや、何を根拠に……

 

 コンコンコン

 

 するとまた紙がやって来た。

 

「えーっと?『ちなみにやってもらうのは絵しりとりです。紙とペンは棚にあります』」

「…………」

「…………」

 

 無言で棚を確認するとそこには鉛筆と白紙の紙が何枚かあった。

 

「な、なんだそんなことだったのね……」

「千聖ってもしかしなくても変態のビッ――」

「慧人。これ以上喋ったら(ピー)わよ」

 

 あーうん。はいはいって感じだ。

 

 コンコンコン

 

 さらに紙がやって来た。

 

「はいはい?『言い忘れていました。こころ様の提案でこのようなことに冬木様と白鷺様を巻き込んでしまい申し訳ありません』……あー犯人はこころか」

 

 何故俺たちを拉致したかは知らんが……まぁ、相手が安全なやつって分かった。

 

「ねぇ、慧人。参考までに聞くけどあなた絵は書けるの?」(←画伯)

「ちょっと苦手です」(←絵が絶望的に下手)

 

 ベッドに並んで腰掛ける。机には白い紙と鉛筆が置いてある。準備は万端だ。

 

「な、なるほど……なら、私からいくわね」

 

 そう言ってさらさらと書いていく。まぁ、しりとりのりから始まるのだろう。

 

「はい」

 

 そして受け取ってみる…………

 

「…………ど、どうしたのよ。頭を抱えて……」

 

 な、なんだこの怪物……!

 

「すみません。りから始めたんですよね?」

「そ、そうよ……」

 

 やっぱ何だよこの怪獣……!えぇい。こうなりゃ答えを――

 

 コンコンコン

 

 するとまた紙がやって来た。

 

「『もちろん。絵しりとりなので相手にこれが何の絵を聞くかは反則です』って……」

 

 あ、詰んだ。早かった。一手目で詰んだ。

 

「は、早く次に進めてほしいのだけど……」

 

 …………いや、誰かさんの絵の下手くそさで困ってる。人のこと言えないけど。

 まぁ、落ち着け。きっと動物だ。うん。そして何か持ってる。これが何か分かればいいんだけど……!

 

「あ、そういうことか」

 

 一つの答えにたどり着き、俺は次の絵を描く。

 

「どうやら伝わったみたいね…………良かった

「あ、俺の絵も伝わってます?」

「えぇ。これは分かるわ」

 

 そう言って次の絵を描いている千聖。そして俺の番だが……

 

「ど、どうしたの!?また頭を抱えて……」

 

 な、なんだこれ……!いや、魚だ。多分魚。……いや何の魚!?普通の魚書いたよこの人!?マジで!?何か特徴は……何かないのか!?

 

「…………」

「そ、そんな目で見ないで……」

 

 推理ゲームだ。まず、俺のが伝わっていると仮定したら『メ』から始まる。そして魚。後はお互いに蹴落とし合うような、所謂勝負をしている訳ではない。つまり世間一般によく知られている。この三つから推測されるのは……

 

「じゃあ、これでいいな」

 

 俺は次の絵を描いて渡す。

 

「可愛い絵を描くわね」

「うるせぇ。でも伝わるだろ」

「そうね。なら……」

 

 そう言って帰ってきた絵。あ、よかった。クソほど分かりやすい。なら、

 

「……ねぇ。これは絵と呼んでいいのかしら」

「反則ギリギリでしょうが伝わればいいかなって」

「そう。じゃあ……」

「あ、これもわかりやすいですね」

「ま、まぁ。いくら私でもこれくらい描けるわ」

「ちなみに時間が三時なのはお腹が空いたからですか?」

「特に深い意味はないわよ」

「じゃあ、次はこれです」

 

 俺は絵を描いて返す。いやぁ、さっきがふざけすぎたからちょっと本気出してみた。まぁ、多分伝わるでしょ。

 

「どうしたの千聖。頭抱えて」

 

(な、何なのこれ!?え?えぇっ!?ちょっと、全然分からないんだけど……!)

 

 初めてだ。千聖が頭抱えているなんて。

 

「体調でも悪くなった?横になる?」

「違うわよ!あなたの絵が分からないのよ!」

「えぇっ!?結構分かりやすく描いたつもりなんだけどなぁ……」

「どこが!?」

 

 お、おかしい。もう間違いなくこれしかないはずなのに……!

 

(あ、諦めてはダメ……きっと、どこか。よく見たら何かが……あ、口元が嘴っぽくなってるわ。ということは……これは羽かしら?なるほど……『イ』から始まる鳥……きっとこれね。じゃあ……)

 

 するとたっぷり考えた結果、ようやく手が動き始める。

 

「ふぅ。何とか分かったわ」

「全く、何でそんな時間が……!」

 

 俺は帰ってきた紙を見て戦慄する。次の絵が何かマジで分かんない。

 

「千聖……」

「な、何よ……」

「人のこと言えねぇんだよ!?意味分かんねぇよ本当に!?何だよこいつ!?」

「…………私としては結構分かりやすく描いたつもりなんだけど……ダメ?」

「はっきり言ってやる。俺よりひでぇ」

「…………ちょっといじけるわ」

 

 そう言うとベッドの隅の方に移動している。何だろう。その背中はいつもより小さく見えた。

 …………さて、どうするこれ?いや、マジで分からん。俺の絵が『コ』で終わってるから……コ?コ……コ……あれ、もしやこれ魚か?じゃあ、この口元の三本線は……ひげ?なら……コイツしかいねぇか。

 

「おい。次お前の番だ」

「……はーい…………何これ?」

「え?」

「え?」

 

 あれ?伝わってない?

 

「…………た、多分伝わったわ」

 

 目頭を押さえる。必死に絞り出した千聖。そして描かれた絵は……

 

「何これ?」

 

 もう、何これ?ん?多分鳥だ……いや、鳥はいいんだ。『カ』から始まる鳥って……カッコウ、カモメ、カモ、カラス……ぱっと思いついただけで割と居る。……カモはないな。カモならもっとカモらしく書くはず。カッコウもちょっとマイナーだから絵しりとりで選ぶとは思えない。だから……

 

「…………」

 

(…………これは……ボール?)

 

 あれ?何か伝わってない顔してる。割と分かりやすく描いたはずだが……

 

(いえ、ボールはないわ。何か付いてるし……この線は揺れてることを表しているのかしら?揺らす……揺らす……)

 

 ぽんっと手を打って、頭を抱えた。

 

「ど、どうした?」

「い、いえ……多分伝わったわ。えぇ。でもあなた……この状況でその文字で回す?普通」

「いやいや分かりやすく誘導してんだ。誘導に乗ってくれればいいんだ」

「そ、そうね。分かったわ」

 

 俺が敢えて『ズ』で終わらせたのは理由がある。ズから始まって、絵で表現できるものなんて少ないはず。だからきっと頭蓋骨を描いてくれるはずだ。

 そう。だから千聖から帰ってきた紙にはきっと頭蓋骨が……

 

「…………」

 

 ナニ……コレ。

 

「ど、どう?誘導に乗れたかしら?」

「乗れてねぇよ!?一回ハッ倒してやろうかテメェ!?」

「あなたがそんな難しい字で回すのが悪いんでしょ!?」

「だからもう一択しかねぇはずだろ!?」

「えぇそうよ!これしか思いつかなかったわ!」

 

 ……残念ながら俺たちはズレてるらしい。……待て待て。ズから始まって?何これ?え?マジで分かんない。過去最高に分かんない。捻り出せ……ズから始まるものを……!ズだろ?ズ……!ズ……!

 たっぷり五分。考えに考えようやく答えにたどり着く。クソ野菜の方かよ……そして、次の絵を描く。

 

「…………純粋にヘタね」

「うっせぇ。お前に言われたくねぇ」

 

 そして次は……あぁ、これか。

 

「かなりわかりやすいわね。じゃあ……」

 

 この後、この絵しりとりは熾烈を極めた。頭を抱えたり、心が折れたりと紆余曲折を得ながら、気力が果ててベッドで寝るまで続いた。尚、最初の忠告がきた後には開いていたらしい。おいマジでふざけんな。何が悲しくてお互いの心が傷つきあってそのまま一緒に寝なきゃならんのだ。




あなたはタイトルの○の部分に何を想像しましたか?
それによってあなたの心の汚れ具合が分かります(嘘です)

今更だけど千聖も壊れてるわこの作品。しかも、ヤンデレとかそういう壊れ方じゃないっていうね。
ヤンデレ……うん。作者に書かせると多分迷走するからなぁ……。ヤンデレは途中からぶっ飛んでいく自信がある。

一応誤解のないように言っておきます。
あの絵は、『千聖と慧人の絵を想定してワザと描いた絵』ではなく、『作者が(割と)ガチで描いた絵しりとり』です。ふざけていません。割と真面目に描きました。…………つまりそういうことです。ま、まぁ。千聖や慧人の画力には及ばなかったはずだ間違いない。

ちなみにこのタイトルで第二弾やります。相手はメインヒロインです。やることも変えますよ。
何故第一弾が彼らか。それは寝る前にふと絵しりとりをやらせたくなったからです。
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