クールビューティーな紗夜さんを返して(涙)   作:黒ハム

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我らが主人公の誕生日!おめでとう!
(と、めでたい話なのに行の間隔が不自然な感じになっているところはすみません)
では、どうぞ!


慧人の誕生日 ☆

 1月22日。Roseliaの五人は集まっていた。

 

「これより、会議を始めます」

「議題はアレよね」

「ふっふっふ。遂にこの時が来たぞ……!」

「そうだね……!」

「日頃のお返しをしなくっちゃね♪」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 1月23日。

 

「ふぁぁあああああ」

 

 慧人はあくびをこらえきれないままバイトに勤しんでいた。

 

「寝不足プラス学校プラスバイトは死ぬ……」

 

 前日に夜遅くまでNFOをし、更に普通に学校だった慧人。ほとんど自業自得だがそんなこと彼は気にしない。

 そんな状態の彼だが、今日は珍しくそこそこマジメに授業を受けていた。そのために、眠いというもの。

 

「はっ……もしや、俺は授業を真面目に受けてはいけない体質なのでは?」

 

 彼は少々バカであった。自身の寝不足に原因があると考えることなく、授業が自分とあっていないと言い始めたのだ。余りにも残念過ぎるこの男。

 

「あ、紗夜さん。こんにちは」

 

 と、眠そうにしていた感じから一転、紗夜さんが現れたことで復活する。実に単純である。

 

「こんにちは、まりなさん。予約していたRoseliaですが……」

「うん。もうスタジオは空いてるよ~」

「そうですか。分かりました」

「相変わらず紗夜さんは早いですね」

「では」

「…………?」

 

 スタスタとスタジオに向かって歩いて行く紗夜。その後ろ姿を見ることしか出来ない慧人。

 

(ば、バレていないわよね?顔には出ていないはず……う、うん。これで、大丈夫なはず……!ごめんなさい……後でネタばらしはしますので……!)

 

(あれ……?気付かれなかった……?)

 

 疑問に思う慧人。いつもの彼女なら話しかければ返してくれるのは当然として、紗夜側からも何らかのアクションをするはずなのだ。

 

(うーん……考え事でもしていた……のか?)

 

 彼女の場合、一つのことに没頭すると周りが見えないこともある。もしかしたら、頭の中で今日の練習のことで一杯になっていたから、気付かなかっただけ。

 そう思うことにして、次の客に対応していこうとする慧人。すると、

 

「スタジオを使いに来ました」

「こんにちはーまりなさん」

 

 友希那とリサの二人がやって来る。

 

「いらっしゃい。友希那ちゃん、リサちゃん」

「もう誰か来ている?」

「紗夜ちゃんがさっき来てたよ」

「やっぱり紗夜は早いよね~」

「二人とも、こんにちは。聞いてくださいよ、さっき紗夜さんに気付かれなかったんです――」

「早く行きましょう。リサ」

「そーだね~練習練習~っと」

「――けど…………?」

 

 慧人が話し掛けていることをまるで知らないかのような二人。そのまま二人もスタジオへと歩いて行く。

 

(あ、あれ……?)

 

「これで大丈夫よね?」

「う、うん……いやー……これはちょっと心が痛むかも」

「大丈夫よ。今は作戦通り行きましょう」

「そうだね」

 

(紗夜さんに続いて、友希那さんにリサ姐も……?)

 

 この二人……特に、リサが人に気付かないなんて珍しい。

 

(ま、まさかな……?)

 

 と、ここである一つの仮説にたどり着く。決めつけるのは早い……と葛藤しつつも、紗夜とリサに気付かれなかったという事実が、その仮説が真実であるのかと思わせる。

 

「まりなさん……俺のこと見えてますよね」

「あはは~面白いこと言うね慧人くん」

「で、ですよね」

 

(やっぱり、見えてはいるし聞こえている……だとしたら)

 

 と、頭の中で考えている慧人の前に二人の来客が。

 

「こんにちはー!」

「こんにちは……」

「こんにちは、あこちゃん。燐子ちゃん」

 

 あこと燐子の二人である。

 

「スタジオ、空いてますかー?」

「うん。他の三人ももう到着しているよー」

「私たちが最後だね……」

「こんにちは。二人とも聞いてくだ――」

「じゃあ、早く行こうよ!りんりん!」

「ま、待ってよあこちゃん……」

「――さいよ…………」

 

 慧人の声はむなしくも届かず。あこは燐子の手を取って走って行ってしまう。

 

(こ、この二人も……だと……?)

 

「あ、危なかった……いつもの感じで行っちゃうとこだったよ……」

「そうだね……バレてないかな?」

「だ、大丈夫だよ!」

「う、うん。早く皆のとこに行こう……」

 

(…………これはマズい。非常にマズい。仮説が……当たってるかもしれない)

 

 椅子に座り、天井を見上げる慧人。そして、考える。

 

「ああ、神様。俺は一体何をしたのでしょうか」

 

(あはは……思った以上に慧人くんに効果覿面らしいね……大丈夫かな……Roseliaの作戦)

 

 Roseliaの五人に無視をされている。そう考えて間違えはないだろう。

 気付かれていない……そう考えるにはあまりにも都合が良すぎる。生憎、五人連続で気付かれなくてそれをたまたまと流せるほど、彼の頭の中はお花畑じゃない。

 そう考えると自然と答えは一つ。無視をされている。

 

(なるほど。これは……ヤバいな。何がやばいって……)

 

「あの人たち全員に無視されるって、相当やらかしたか……?」

 

 元々猫の方が興味ありそうな友希那や、人付き合いが得意ではない燐子は少しやらかせば無視とかの対象になるだろう。だが、人当たりのいい、誰に対しても接することができるリサやあこに無視されるとなると、普通に考えても相当なレベル。

 更にポテトをキメていない紗夜に無視されるのは、過去記憶を掘り起こしても、去年のそこそこ不機嫌の日くらいしかないと慧人は考える。去年とかでさえ、機嫌が悪くない時はツーンとしながら最低限返したり、超不機嫌な時は怒りと共に返して来たが……

 

(いや、それも去年とか半年前の話。ここ最近でポテトが関わらずに無視されたことは……ない)

 

 この仮説が当たっているとすると大きな問題がある。そう、それは……

 

(俺に心当たりがなさすぎる……!)

 

 誰か一人から無視……ならともかく、Roseliaの五人から無視される。しかも、昨日まではこんなことはなかった……そう。そんな大事になっているにも関わらず不自然なぐらい、彼には心当たりがなさ過ぎるのだ。

 

(……つまり、俺の記憶ではどうでもいいものが、彼女たちにとってはとても大切なことだった……?)

 

 そうなってしまえば、いよいよ手はない。何故なら、彼のとったどんな行動が彼女たちの中で引っかかったか分からないからだ。

 

「これは……謝罪案件か……」

「どうしたの?」

「いえ……ちょっと気が滅入るというか……落ち込むというか……はぁ」

 

(何というか……これが心に来るってやつなんだろうか。流石に軽く落ち込む……)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その後、何度かRoseliaのメンバーがスタジオを出たり入ったりと行き来していた。……しかし、誰に声をかけてもスルーされる。

 そんなことが起きて、軽く落ち込みながら仕事をしていると……

 

「慧人くん」

「何でしょうか」

「そろそろ時間だからさ。Roseliaの子たちが使ってるこのスタジオ、掃除に行ってきて」

 

 もうそんな時間だったか?思ったより短いような……いや、何でもいっか。

 

「すみません。俺、今行く気がないんですけど……」

「いいからいいから。ほらほら、行かないと給料カット、残業追加だよ?」

「…………始めてまりなさんをぶん殴りたいと思いました。分かりました。いってきますよ」

 

 これはパワハラではないだろうか。今は虫の居所が悪いから絶対に訴えてやるあの人。

 ……でも、まぁいっか。ちょうどいい機会だし、そういうことなら行って謝ればいっか。

 そうして、スタジオへと入る扉の前。

 

 コンコンコン

 

 いつものようにノックして入っていく……まぁ、防音だしね。

 

「失礼しま――」

 

 パァン!パァン!

 

 入ると同時に何やら音がする。そして、舞い散る紙吹雪……

 

「「「誕生日おめでとう!((おめでとうございます))」」」

「――はい?」

 

 五人が祝福をしてくる。

 

「ちょ、ちょっと待ってください?え?脳の処理が追いつかないんですけど……」

「サプライズよ」

「どうどう?驚いた?」

「いや、すげぇ驚いたんですけど……え?よく俺の誕生日知っていましたね」

「私は宇田川さんから聞いたわ」

「あこはりんりんから聞いたよ」

「……私が教えました……」

「……え?どうやって知ったんです?教えた記憶はないんですけど……」

「えっと、NFOでプレイヤーは誕生日を入力出来るのでそれで確認して……ぽんちゃんにも裏取りを……」

 

 流石というか何というか……裏取りまでするのは流石としか言い様がない。

 

「まぁまぁ、細かい話は後々。まずは座ってよ」

「はぁ……」

 

 されるがまま……というか、案内されるがままに座る。そうして皆も周りに座っているが……

 

「え?今日一日……というか、さっきまでずーっと無視されてたんですけど。それって……」

「ふっ……サプライズよ」

「友希那さん。それ説明になってないです」

「簡単な話ですよ。ワトソン君」

「すみません。ワトソンじゃないです」

「慧人さんのサプライズ誕生日パーティーをすることはRoseliaで決めていました。ですが、場所が問題だったのです。誰かの家に誘うでは簡単にばれてしまいますので」

「まぁ、そうですよね」

「だから、CiRCLEでやることにしたんだ~でも、いつもの感じだとけー兄って、ふら~って入ってくるじゃん?」

「入るか連行されるかですけどね」

「そうすると準備がバレてしまいますので……だから入りにくい空気を……その精神的にここに入れないように……」

「その通り過ぎて何も言えないですね」

「後は落としてからあげるためだね~まさか、無視されていた相手たちからこうやって祝われると思わなかったでしょ?慧人くんのこの顔的にもドッキリ大成功♪」

 

 と、リサ姐が見せてきたのはスマホ。そこには、完全に固まっている俺の表情が写っていた。……なるほど。何が起きたか分からない顔をしているなこれは。

 

「…………もしかして、無視されたのは……」

「サプライズのためよ」

「友希那さんはもう少し語彙を増やしてください……!」

 

 さっきから友希那さんがサプライズとしか言っていない……この人、それで何でも解決すると思っていない?

 

「まぁまぁ、はい。慧人くん。アタシたちの手作りケーキだよ」

「ありがとうございます。……おいしそうですね」

 

 そして、そのケーキを6等分するリサ姐。その内の一つを取り分け、皿の上に置いて、俺の前に差し出した。

 

「早く食べてよ!」

「分かったよ。いただきます……ん?スプーンとかフォークは?」

 

 と、ここで気付く。そういうものがないと。……まさかここに来て素手で食べろと言うことなのか?これもサプライズの一環なのか?

 そう思っていると紗夜さんが隣に座って……

 

「はい。どうぞ」

 

 彼女が持っていたフォークで一口分すくって差し出してくる。それを口の中に入れる……うん。

 

「おいしいですよ」

「よかったです……」

「この感じ……メインはリサ姐、紗夜さん。飾り付けに友希那さん、あこちゃん、りんさんでしょうか」

「あはは~大正解。その通りだよ~」

「よく分かったわね」

「えぇ、何か分かりましたね」

 

 そんな感じで食べ進める。と言ってもホールケーキなので、他の皆も食べ進めている。

 自分の分を食べ終わると、紗夜さんからフォークをもらって、一口分すくって彼女に差し出す。

 

「じゃあ、そろそろプレゼントタイムと行きますか~じゃあ、アタシからだね♪はい」

「これは……可愛いですね」

「でしょ~?いやー慧人くんの部屋ってほら、癒やしがなさそうじゃん♪これで癒やされたらいいなーって」

「流石リサ姐……よく分かっていらっしゃる」

「男子にこういうものを贈るのはどうかと思ったけど……まぁ、慧人くんだしいっかなって♪」

「ありがとうございます。ハリネズミは一番好きなんで……」

 

 と、リサ姐からはハリネズミのぬいぐるみ。サイズも小柄で……うん。可愛らしい。

 

「私からはこれよ」

「おぉ……付箋ですか。……何というか……意外」

「失礼ね」

「いえ、まさか音楽も猫も関係していないとは……ん?でも何故?」

「あなた、紗夜に勉強でしごかれているから必要かと思って」

「何か思った以上に考えられていた……!でも、まぁ、ありがとうございます」

 

 な、なるほど……現実的な理由だ。でもまぁ、使えるものだし感謝感謝っと。

 

「あことりんりんからはね~これ!」

「これって……」

「タンブラ-です……」

「ほぉ……これまた渋いような……ちなみにどういう理由でしょうか?」

「うんとね、ほら、ゲーム中って飲み物ほしいなーって時あるじゃん?そのときにさ、一々リビングまで行くのってめんどいよね?」

「そこで登場するのがこのタンブラーです。何と飲み物を入れられるだけでなく、保温保冷共に優れています」

「あなたたちは何処かの店からの回し者ですか?」

「これね、夏でも冬でも使えるんだよ!こういうものって便利だよね~ってりんりんと話していたの」

「うん。それにこのタンブラー、ゲーマーに優しいんです。冷たい飲み物を入れても外側が結露しないんです」

「なるほど。水に弱いからな……ありがとうございます。大切に使いますね」

 

 これまた二人らしい理由だな。確かに、喉渇いたときには便利だな。

 

「最後は私ですね。慧人さん。目を閉じて座っていてください」

「こうですか……?」

「えぇ。少し失礼します」

 

 ガサゴソとする音。そして、首元に何かが当たっているようなそんな感じ。

 

「目を開けてください」

 

 目を開ける。すると、目の前には鏡があって、自分がそこに映っている。

 

「これは……」

 

 自分の首元にシンプルな感じの……そう、

 

「……首輪ですかね?」

「「「…………!」」」

「ち、違います!チョーカーですよチョーカー!って皆さんも何か言って下さい!」

「ご、ごめん……!笑いをこらえるのに必死で……!」

「笑ったらダメ……!笑ったらダメ……!」

「首輪……ふふっ……首輪……」

「け、けー兄……流石に笑いが……!」

 

 と、何故かRoseliaの四人が笑いをこらえるのに必死そうだった。

 大体数分後、ようやく落ち着いた様子の四人。それを見つつ紗夜さんは不服そうな顔でこちらを見ていた。ちなみに、この数分の間にチョーカーとは何かを教えてもらいました。はい。

 

「でも、何故こちらを……?」

「えぇ。慧人さんは見たところプラベートでも装飾品をつけているようには見えませんでした」

「まぁ、つけてないですね」

「だから何か装飾品をと思いまして……色々悩んだ末に」

「首輪に落ち着いたと」

「チョーカーです!(ぽこぽこ)」

 

 軽く胸のあたりを叩いてくる紗夜さん。そのまま、彼女を抱きしめて……

 

「ありがとうございます。凄い嬉しいですよ」

「…………」

「でも、黒色でシンプルなんですね」

「えぇ、慧人さんは装飾に凝ったもの……というよりシンプルな方が良いかと思いまして」

「そうでしたか……」

 

 まぁ、こういう落ち着いた感じの方が嬉しいからいっか。

 

「ねぇ、燐子。確かさ、恋人にチョーカーを贈る意味って……」

「束縛の意味合いが強いって聞いたことがあります……」

「じゃあ、冬木の言っていた首輪も間違っていないわね」

「本当だ!けー兄凄いね~」

「なるほどね~紗夜の内なる独占欲の現れか……」

「恐らくそうだと……氷川さんはけいさんのことを誰よりも好きですから」

「紗夜の本気ね」

「けー兄もだし、相思相愛ってやつだね」

 

「よく似合ってますよ……よかった」

「紗夜さんの目に、間違いなかったんですよ」

 

 何やら他の四人が固まって話している気がするけど……まぁいっか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そんな感じでサプライズパーティーは無事に終わった。片付けを一緒に行い、紗夜さんを送っていくことに。

 聞けばまりなさんも仕掛け人で、俺以外に入らせないようにしつつ、タイミングを合わせるとか諸々動いてくれていたらしい。仕方ないので訴える件は取り下げることにしよう。

 

「いやーでも、あのサプライズは心に来ましたよ……その前の無視されたところが」

「うっ……で、でも私だって心に来ましたよ。で、でもその後のことを考えると」

「もう気にしてないですよ」

 

 まぁ、本当にドッキリ大成功って感じで、それを読めずに掌の上で転がされたのは少し悔しさもあったけど。

 

「ねぇ、慧人さん……」

「何ですか。紗夜さん」

「好きですよ」

 

 そして俺たちの影はそのまま……

 

 一つに重なるのだった。




というわけでどうだったでしょうか?
この話のアイデアはやまけんさんより頂きました。ありがとうございます!
ちなみに、本編はまだ12月なので、ちょっと未来の話ですね。
前書きの()内はわざとです。行の間隔が不自然になっている箇所はクリック&ドラッグをしてみると……?もし分かりにくければ最初から最後までドラッグしてみると何かが起きると思います。
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