クールビューティーな紗夜さんを返して(涙)   作:黒ハム

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どうも、紗夜さんの誕生日ガチャで天井行った者です。
まさか、無課金でガチャの天井に到達できる日が来るとは……過去にも未来にも彼女だけだろうな。
ガチャの結果のほとんどはTwitterで投稿しましたが……うん。

ところで、エイプリルフールの会話見ました?
紗夜さん……ポテト……よし、今度、やってみるか。


それは第三勢力と言うには濃すぎるメンバー

 現在、とある場所にて。ある三人が一堂に会していた。

 

 最初に我らが主人公、冬木慧人。見た目は不良、中身は頭のネジが吹っ飛んでるヤバい奴。絶対音感を持ちながら、自身の歌声で相手に地獄を見せる事のできる類い稀な能力を持っている。

 続いて花園たえ。見た目はクールな清楚系、中身は天然マイペース。そのマイペースさに周りは振り回されることが多い。また、花園ランドなる、兎の為の楽園を作ろうとしている。

 最後に松原花音。見た目はゆるふわ、中身は内気でオドオドしている子。何かと巻き込まれやすくて、超絶方向音痴。しかし、ピンチに陥ったときに真価を発揮するタイプである。

 

 以上三名である。一見すると共通点がないかもしれないこの三人。

 

「私思うの。イヌ派ネコ派があって、何でウサギ派がないのかなって」

「唐突だなおい。だが、確かにイヌ派ネコ派で片付けるのは納得いかないな」

「そ、そうだよね。何でクラゲを派閥に入れなかったんだろう……?」

 

 しかし、この三人にはある意味残念な共通点がある。それは、イヌ派かネコ派かを聞かれたときに第三勢力を押していくタイプである。マイペースなたえや慧人はともかく、花音もこの二人と同じタイプである。

 

「ところで慧人先輩って何派でしたっけ」

「ハリネズミ派」

「何だか冬木さんが小動物を可愛がるって意外だよね……」

「アレですよ。雨の日、捨て犬に傘をさす不良……みたいな?」

「いや多分違うぞ」

「あはは……」

 

 ウサギ、ハリネズミ、クラゲ。三人はお互いの親睦を深めるべく(?)訪れていたのが……

 

「うぅ……でも二人とも羨ましい……好きなものに触れ合えるなんて」

「でも眺めているだけで楽しいよ。クラゲも」

「そうだな。クラゲとは触れ合えないし」

「そうなんだよ……前に触れたら手が腫れちゃって……」

 

((意外とチャレンジャーだ……))

 

 水族館である。何故このメンバーか。

 水族館に行きたかった花音。しかし、彼女一人でたどり着くことは絶対に無理であることは、本人を含め誰もが分かっている。そこで千聖に声を掛けるも彼女は仕事のため無理。諦めかけていたときに慧人の名前が挙がり、更に学校で話していたため通りかかったたえが参戦。結果、この三人で水族館に来ていた。

 

「何だか、クラゲって見ているとお腹空いてくるね」

「分かる。クラゲっておいしそうだよな」

「だ、ダメだよ!この子たちを食べようとしたら!」

 

 たえと慧人はマイペースである。しかし、自由人の相手には慣れている花音。

 実を言うとこの三人。クラゲコーナーから一時間以上動いていない。動いていないが不満などはでていない。恐ろしい三人である。

 

「慧人先輩大変です。もうお昼過ぎでした」

「もうそんな時間か?時間が経つのは早いな……」

「道理でお腹が空いてくる……ぐー」

「で、でも、今はまだ混んでいると思うし……もう少しだけクラゲ見よう?」

「そもそもクラゲばっか見るんだったら、もう水族館じゃなくてクラゲミュージアムに行けよ」

「い、行きたいけど……それだと東北地方の方まで行かないといけないから、日帰りじゃ厳しいんだよ……」

 

 慧人が冗談を口にする。だが、花音曰く、近いものが実在するようで驚く慧人とたえ。

 

「え?クラゲミュージアムってあるんですか?」

「正確にはちょっと違うけどね。でも、クラゲの展示数でギネス世界記録にも認定されたことがあるんだって」

「マジ?そんなとこあるのか?」

「うん。だから二泊三日くらいで行きたいなーって思ってるの」

「へぇーでもさ、こころに頼めば解決だろ」

「だ、ダメだよ!そんなことで頼めないよ……それに、こころちゃんたちとだと、ゆっくり見られるか分からないし……」

 

 絶対に後半が主な理由だろ。そう思う慧人だが、決して口には出さなかった。

 

(いや、そもそもこころならガチでクラゲミュージアムを作りかねないか。世界中からクラゲを集めて)

 

「慧人先輩!私、うさぎが沢山居るところに行ってみたいです!」

「そうか。お前の家に行けば居るだろ?沢山」

「もっと一杯のうさぎに囲まれたいです」

「知るか。家のウサギたちで我慢しておけ」

「あ、たえちゃん。何かね、うさぎ島って呼ばれるところがあるみたいだよ」

「うさぎ島!?な、何ですかそれは!?」

「う、うん。瀬戸内海にある小さな島なんだけど、そこにたくさんのうさぎが居るみたいだよ」

「東北の次は瀬戸内海……遠いな」

 

 遠くを見つめる慧人。そういう場所があるのは驚いたが、それにしても遠いなと。もっと近い場所はなかったのかと思うのだった。

 

「なるほど……慧人先輩。花音先輩」

「ん?」

「何かな……?」

「今度行きましょう」

「いや、そんなノリで行けるほど近くねぇよ」

「慧人先輩。行けるか行けないかじゃないんです。行くんです」

 

 たえの目からはメラメラと揺らめく炎が見える。そう思った慧人は花音の方を見たが、こちらもやる気全開という感じだった。

 

「あのな……たえ。そういうのはポピパの面子で行ってこい」

「あ、花音先輩。四泊五日くらいの旅にして、クラゲとうさぎを見に行くのはどうですか?」

「聞けよ。人の意見」

「なるほど……一日目移動。二日目くらげ。三日目移動」

「そして四日目にうさぎ。五日目に移動です。春休みかGWを使えばいけますよ」

「確かに……ありかも?」

「じゃあ、三人で行きましょうね」

「もっと、しっかりと計画を練らないとだね」

「待て。三人って誰のことだ」

「私と花音先輩と慧人先輩」

「勝手に頭数に入れるな」

「ま、待って!冬木さんが行かなかったら、誰が私を連れて行ってくれるの……?」

「待て。何でこういう時だけ依存度が高いんだよ」

「慧人先輩……」

「何だよ。なんと言われても今回だけはすんなり頷けねぇぞ」

「やっぱり、おなかすいたのでご飯に行きましょうよ」

「…………」

 

 会話って難しいなぁ。そう思いながら目の前で自由に漂うクラゲを見る慧人だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「じゃあ、解散するか」

 

 夕暮れ時。あの後昼食を取って、軽く他の生き物を見てから帰ってきた俺たち。総じて楽しく、四泊五日の旅行の件は昼飯を食った辺りから話題にあがらなかったのできっと忘れているんだろう。そのままずっと忘れていてくれ、マジで。

 

「はーい」

「えと、わ、私……一人じゃ帰れないんだけど……」

「送っていくから安心しろ」

「慧人先輩。今日の夜ご飯はハンバーグにしましょうよ」

「ありがと……ん?」

「ハンバーグ?……あー久し振りに作るか」

「やったー!私、一杯食べたい!」

「…………?」

「そうなると、食材を買いに行くか……」

「そうですねー。あ、花音先輩も一緒に食べます?」

「あれ……?二人って一緒にご飯食べる約束していたの……?」

「はぁ?そんな約束してねぇよ。俺は一人で食うぞ」

「ずるい。ハンバーグは私も食べたいです」

「知らねぇよ。何でお前に作らないといけないんだよ」

「え?だってハンバーグが食べたいから」

「親に頼め」

「……慧人パパ?」

「お前の親になった覚えはない」

「……はっ!思いついた」

 

 すると、何を思ったのか俺の背中に飛び乗ってくる。

 

「よし。これで慧人先輩は、私を家に連れて帰るしかなくなりますね」

「今すぐ降りろ。それに、さっき買い物するって言っただろ?」

「じゃあ、このままいきましょうよ」

「流石に嫌だよ」

「私はいいですよ?」

「俺が嫌なんだよ」

「何でですか?」

「明らかに頭のおかしい奴にしか見えないだろうが」

「確かに……一緒に居る私と花音先輩が変人と思われるのはちょっと……」

「待てやコラ。何でそこに俺をカウントしない」

「……え?何を言ってるんですか?慧人先輩は変人ですよね?」

「お前に言われたくない」

「慧人先輩。そのジョークは0点です」

「そりゃ、ジョークじゃなくて本気だからな」

「本気のジョーク?じゃあ、10点です」

「いや、冗談じゃなくて……」

「そんなことより、早く行きましょうよ」

「…………はぁ」

 

 話の通じない奴の説得ほど疲れるものはない……か。

 

「分かった。ハンバーグを作ってやるよ」

 

 それくらいだったら飯を振る舞った方が楽だな。うん。

 

「だから早く降りろ」

「え?何でですか?」

「は?」

「え?」

「あはは……と、とりあえずたえちゃん?このままだと冬木さん、買い物できないから降りてあげたら?」

「……なるほど。それなら先に言って下さいよ」

 

 降りるたえ。

 今のは俺が悪いのかとか、ぶっ飛ばしてやろうかこの野郎とか思ったが、何かややこしくなりそうなので諦めることにする。

 

「じゃあ、いきましょー!」

「ちょっと待て。で?花音、お前はどうする?今更一人分増えても変わんねぇけど」

「じゃ、じゃあ。お言葉に甘えて……」

「りょーかい。じゃあ、手を離すなよ」

「……え?そ、それはそれで恥ずかしいような……」

「今更だろ」

 

 本当に今更だと思う。だって、帰るときも目を離した隙にはぐれる可能性があったから、手を繋いでいたわけだし。というか、花音の方向音痴は度が過ぎているんだよな……。

 

「あ、じゃあ、私も繋ぎますね」

「わ、私を真ん中に引っ張らないでぇ……!」

 

 こうして、たえ、花音、俺の三人は仲良く買い物に行くのだった。ただし、真ん中にいて両手を握られている花音が何故か涙目になっていたが……まぁ、いっか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 帰り道。手には買っておいた食材たち。そして、隣には二人の少女がいた。

 

「ハンバーグ♪ハンバーグ♪」

 

 テンションが高いたえ。子どもかってくらいテンションが高かった。

 

「……うぅ……絶対におかしな人って思われたよぉ……」

 

 対照的に、未だ真ん中で俺たち二人に手を繋がれている花音のテンションは下がっていた。

 

「ハンバーグ♪食べ放題♪」

「は?いつから食べ放題になったんだよ」

「え?違ったんですか?じゃあ、いくつ食べられるんですか?」

「いくつ食べるつもりだよ」

「たくさん!」

「……分かった。代わりに他のメニューも食えよ」

「大丈夫ですよ。ハンバーグ丼も、ハンバーグサラダも、ハンバーグ味噌汁もしっかり食べます」

「何も大丈夫じゃねぇ!俺たちの分の飯までカオスにすんじゃねぇよおい!?」

「あ、そうですね。ハンバーグ丼は変ですよね」

「絶対にそこじゃねぇだろ!?」

 

 ……たえが残念って言われる所以ってこれだよな。全く……なんて後輩だよ……。

 

「…………はぁ。花音は何か嫌いなものあったか?」

「えっと、キノコはやめてほしい……かな」

「ん?キノコが嫌いなのか?」

「うん……あんまり好きじゃない」

「でも、キノコってクラゲみたいじゃね?」

「ぜ、全然違うよ~!」

「そうか?似ていると思ったけど……ほらキノコの傘のとことかクラゲにそっくりじゃん」

「も、もう!これ以上言うと怒るよぉ!」

 

 花音が怒る……うん。怖くなさそうだ。何か頬を膨らませて……小動物みたいで可愛いのでは?

 と、そんな感じで家に着く。

 

「二人は適当にくつろいでくれ」

「はーい」

「うん……な、何か手伝えることがあったら言ってね」

「……そこの花園たえというやつを見張ってくれ」

「あはは……うん。任せて」

 

 ということで作り始める。といっても米の準備からだが……それにしてもハンバーグ……まぁいっか。たくさん作って余ったら俺が食えばいい。チーズ入りとかいいかもな。ソースも一種類だけじゃなくて、色々とやってみても面白そうだ。

 それにしても、たえとは出会ってそこそこ経つのにイマイチ扱いが分からん。ライブハウスのバイトを手伝いに行ったときに出会ったから、感覚的にはリサ姐と同じか、それより短いくらいなのに……今度、有咲にたえの取り扱いマニュアルを作ってもらおう。そうしよう。

 ということで、作ることどれだけか。いい感じに出来てきたので二人を呼ぶことに。

 

「出来たぞー」

「はーい!」

「は、運ぶのは手伝うよ……」

「私も手伝いますよ」

「そうか?助かるけど……たえ。運ぶ途中で食うなよ」

「そんなことしません。運び終わってから食べます」

「食べるのは全員の準備が終わってからだ」

「つまり……お預け?」

「そうだな」

「……酷い……慧人さんは私のことが嫌いなんですか?」

「嫌いでも好きでもねぇよ」

「え?大好きなんですか?」

「普通だ普通。ほら、さっさと並べるぞ」

 

 そう思いながら並べていく……一つ一つ大きさはそこまでないものばかりだが……うん。三人分とは思えないくらいハンバーグ作ったな。感覚的には、紗夜さんにポテトを献上したときと似た感覚……そういや、あれからL○NE来ていなかったな。まぁ、きっと諦めてくれたんだろう。

 

「早く食べましょうよ!」

「はいはい」

「じゃ、じゃあ……いただきます」

「「いただきます」」

 

 そう言って食べ始める俺たち。

 

「お、おいしい……!」

「そうか。ありがとな」

「……でも、こんなにおいしいと……敗北感が凄い……」

「別に料理は勝ち負けじゃないだろ……って言いたいんだけどな」

「???どうしたの?」

「何でもねぇ。まぁ、これくらいなら花音も出来るようになるだろう」

「そ、そうかな……」

 

 と、食べ進める俺たち。よく考えたら、料理甲子園とかいう勝ち負けを決める大会に(半強制的とは言え)出ようとしている人間が、勝ち負けじゃないとか言えないか……で。

 

「さっきから箸が止まっているけど、どうした?味が合わなかったか?」

「た、たえちゃん?どうしたの?」

「……花音先輩。私、慧人先輩を私のお嫁さんにしたくなりました」

「「…………はい?」」

 

 彼女は何を言っているのだろうか?

 

「えっと、どういうこと……?」

「こんなにおいしいハンバーグ……毎日食べたい……!」

「……いや、嫁である必要なくね?」

「じゃあ、専属のシェフです。私の専属のシェフになってください」

「嫌だよ」

 

(うん……普通は断られるよね……)

 

「何でですか?」

「俺は紗夜さんにしか尽くす気はない」

 

(うん……普通はそうじゃないよね……)

 

「なるほど……じゃあ、私を養ってください」

「嫌だ。面倒くさい」

「うーん……強情ですね」

「諦めろ。それより今は目の前のハンバーグだろ?」

「あ、そうでした」

 

 花音が俺たちのやりとりを見て苦笑いしている気がしなくもないが、気にしないことにする。

 

「そうでした!慧人先輩!うさぎ島の件ですけど……」

「たえ。和風のソースも作ってみたんだけど、どうだ?」

「おっ、気が利いてますね……ふむふむ。美味ですね」

「そうか」

「春休みとかって暇なとき……」

「こっちのハンバーグも食べてみないか?」

「おぉっ!?こ、このハンバーグ、中にゆで卵が……!」

「正確にはスコッチエッグって言うイギリス料理だ」

「イギリス……!何か色んな国の料理が混ざっているみたい……ハンバーグの世界ですね」

「そうだろ?ほら、こっちも……」

「わーい」

 

(あはは……必死にたえちゃんの注意を料理に向けさせている)

 

 旅行の件を思い出させてなるものか。なんだかんだでおかしな展開になるに決まっている。

 

(うーん……千聖ちゃんや紗夜ちゃんに聞いてみようかな?どうしたら、冬木さんにお願いを快く引き受けてもらえるんだろう……?)

 

 花音は……何か考えているがまぁいい。きっと、別件だ。今は目の前のコイツをなんとかしなければ……!

 

 

 

 しかし、この時の慧人は気付いていなかった。

 まさか、裏である少女たちが彼に対し――をしようと企てていたとは……




何だろうこの三人。
というか、やっぱりたえの話し方や動かし方が難しい……。
次回か次々回。この日の裏で起きていたことです。
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