というわけでめでたい誕生日回なんですが……何で彼女が主役だとそういう回になるんだろう?
ちなみにRoseliaの面々の誕生日回と色々と違います。
3月某日……千聖は(いつも通り)慧人の部屋にいた。
(あれから私と慧人は付き合うことになった。私たちは来る日も来る日もイチャイチャして、周りからもバカップルと称されるレベルになっていた。周りに言われるのは少し恥ずかしいけど、とても嬉しく幸せに溢れている……そして、今日も今から愛の営みを――)
「しねぇよバカ」
「なっ……!何で分かったのよ!」
「全部声に出てたんだよ。何が付き合ってるだ。俺は紗夜さんとしか付き合ってねぇよ」
「……そうよね。間違っていたわ」
「そうだな」
「慧人が突いて私が突かれる関係だったわ」
「おう。何をとは言わねぇけど、そんな関係になってないからな」
「酷い……!あの時、ささやいてくれた愛の言葉は嘘だったの!?」
「そもそも囁いていないって話をするか?」
つまり、いつも通りの二人である。
「慧人。あなたは私を第二夫人にするべきよ」
「しねぇよ」
「本妻は紗夜ちゃん。そして、私が第二夫人。どう?いいと思わない?」
「はいはい。思わん思わん」
「分かったわ。今なら第三、第四夫人くらいまでなら斡旋してあげるわ」
「何だよその仲介会社的なの。いらんけど」
「せめて、ペットに……!ペットとして私、白鷺千聖をお願いします……!」
「やめろ。何がお願いしますだ。そんなペット嫌だわ」
「ベッドでずっと待ってるわよ?」
「お断りだ」
相も変わらず阿呆な会話をしている二人である。
「ところで、4月6日って何の日か知っているかしら?」
「ところでって言葉すげぇ便利だな。で、4月6日だと?」
「そうそう。4月6日よ」
「あー城の日だったか?
「そうだけど違うわよ」
「もしかして新聞を読む日か?
「そうなのね。でも違うわよ」
そう言う千聖。淡々とした言葉とは裏腹に、自分に向かって自分で指を指し(激しく)アピールをしている彼女。
「指……棒……春巻きの日か」
しかし、慧人の残念なところが発揮され、見当違いな解答が帰ってきた。
「は?」
「ほら春巻きって、英語で『spring roll』って言うだろ?『spring』は春、『roll』はロールってことで6だから、4月6日を春巻きの日に定めたんだってよ」
「へぇーそうなのね……じゃないわよ!私よ私!」
遂に明らかな答えを言い始めた千聖。しかし、慧人は残念であるので……
「千聖?おいおいお前は腹黒だろ?そんな4月6日で白の日ってボケはやらないよな?」
「やってないわよ!」
やはり気付かない。埒が明かないと察した彼女は答えを言うことにする。
「あぁもう!私の誕生日って言ってるのよ!」
「…………やれやれ。俺が本気で忘れていると思ったか?」
「えぇ。先日の紗夜ちゃんの誕生日で頑張りすぎて忘れていたかと」
「おいおい、それは舐めすぎだ」
「本当は?」
「その通りです。完全に忘れていました」
珍しく慧人が頭を下げることに。それを見て千聖はふんっと言いながら腕を組み、そっぽを向いた。
「仕方ないからプレゼントは首輪で許してあげる」
「……は?」
「私があなたのものであることを首輪で示すの」
「……チョーカーじゃなくて?」
「えぇ。首輪よ」
「…………」
(……落ち着け。これは千聖の罠だ。ここで、『指輪じゃなくて?』と言おうものならきっと『婚約指輪をくれるのね』とか言い始めるに違いない。どうする?どうすれば、この状況を逃れられる……?)
(首輪♪首輪♪これで私は慧人のもの……ペットになれるのね♪)
千聖の腹黒さが出た巧妙な罠だと思い、深読みして思考を張り巡らせる慧人。一方、慧人相手限定でドMの道……いや、もっとヤバい何かの道を着実に歩んでいる彼女は、純粋な思いで頼んでいた。
長考の末、慧人が出した結論は……
「……千聖……サイズを測らせてくれないか?」
サイズを測ることだった。
(これで、千聖が指を差し出すか、首を差し出すか。はたまた別のところを差し出すか……それによって狙いが分かるはずだ)
「…………(スッ)」
そう言われた千聖は懐から一枚の紙を取り出し、慧人に差し出した。
「何だコレ……は?」
そこにはマネキンの絵のところの横に細かい数字が。
「昨日測った私のマル秘情報よ♪」
(身長座高足のサイズからバストウエストヒップに指の長さと太さって……は?しかも首のところもしっかり測ってあるし……は?あまりのことにこのド変態の狙いが全然分からなくなったんだけど……?)
(ふっふっふ。マジマジと見ているわね。何だか慧人に全身を見られているみたいで恥ずかしいわ……きゃっ♪)
頭を抱えている慧人と照れている感じを出す千聖。
「なぁ、千聖……ここの股の部分なんだけど……何で薄く塗ってるんだ?」
「ふふっ。それはね……見てみれば分かるわよ♪」
「いや、見せなくていい。何となく察したから見せなくていい」
服を脱ごうとする千聖の手を止めながら呆れる慧人。すると、ふと彼は思った。
(いや、待て。何でこんなのを用意できたんだ……?ま、まさかこのド変態……!ここまでの会話を全てコントロールしてきたのか?俺の反応も全て予期して……嘘だろ?俺はこの女の術中にはまっていたというのか……!?い、いつからだ……いつから俺はコイツに……!?)
(良かったわ。いきなり渡したら不審がられるけど、それっぽい会話の流れになって運が良かったわ。まぁ、もし機会がならなかったらそっと枕元に置いて帰るつもりだったけど♪)
慧人はここまでの流れを全て千聖にコントロールされていたのだと感じ、恐れを抱き始める。一方の千聖はたまたまそれっぽく渡すタイミングができて運が良かったと感じている。
なぜかお互いの感覚のすれ違いが多発する今日この頃。慧人はある重大なことを思い出した。
「……ん?そういや千聖。お前の誕生日って4月6日だよな?」
「……?何を言っているの?さっきそう伝えたじゃない」
「……いやさ……言いにくいんだけど……俺、その日、日本にいねぇわ」
「…………は?」
「今度、代表のアレで海外遠征することになってるんだよ。で、しばらく日本を離れるからな……帰るの4月10日くらいだったような……」
「…………は?」
そもそも、誕生日周辺で日本にいないことが発覚した慧人。自身もアイドル兼女優で忙しい身ではあるが、この男も暇そうに見えて忙しいのだと改めて思い出したのだ。
「…………寝るわ」
「…………は?」
(そうよね……忙しかったわね。この男も……別に、慧人以外にも祝ってくれる人物はたくさん居るし……慧人に祝ってほしいなんて想っていないし……一回寝て忘れましょう。…………すぅ)
ふて寝することにした千聖。そんな彼女の頭をなでながら慧人は……
「俺のせいではないんだが……まぁ、このままにしておくのも気が引けるな……」
そう思い、ある少女に電話をかけることにした。
「もしもし?日菜か?悪い俺だ」
『オレオレ詐欺?おねーちゃん!オレオレ詐欺が来たときってどう返すのが正しいんだっけー?』
「ちょっ、慧人だから。警察呼ぶのやめて?」
『ごめんおねーちゃん!オレオレ詐欺じゃなくて慧人だったー!で?どうしたの慧人?あたしに用って珍しいね?』
そして4月6日の夜。
「はぁあああ……」
白鷺千聖はベッドで横になっていた。
パスパレの面々や花音などの親しい友人たちに祝われ、素晴らしい一日だったはず。
しかし、彼女の中では何かが足りなかったのだ。
「…………はぁ」
その何かは彼女の中で答えが出ていた。3月の終わりから日本を離れ、遠征に行ってしまった男……冬木慧人のことである。
「そういえば……」
日菜からあるものを渡されていたことを思い出す。確か、慧人がまだ日本に居た頃に預かっていたそうで、私の誕生日の時に一緒に渡してほしいと頼まれていたとか。そして、あけるのは家に帰ってからにしてほしいという伝言も一緒に預かっていたそう。
渡されたのはラッピングされた小さな箱。丁寧に開けてみると……
「あら……?」
そこには小さな犬のぬいぐるみが入っていた。
「ふふっ……もしかして、レオンかしら」
自身の飼っている愛犬にそっくりなぬいぐるみ。こういうことも高いレベルで作れてしまうのがあの男である。
「咥えているのは一輪の黄色い花……造花ね。フクジュソウ……かしら?ふふっ、紗夜ちゃんの時といい。慧人はロマンチストにでもなったのかしら?」
(フクジュソウの花言葉は『幸せを招く』『永久の幸福』……幸せを願ってくれているのね……まぁ、花言葉をあの男が調べたとは思えないけど)
すると、机の上に置いていたスマホが震えているのに気付く。手に取って表示されていたものを押すと……
「もしもし?」
『誕生日おめでとう。千聖』
「そういうことは電話越しじゃなくて直接聞きたいわ。ねぇ、慧人?」
『出来たら苦労してねぇから。電話越しで許してくれ』
「ふふっ、でも電話している時間なんてあったのね」
『今は滞在先のホテルで昼食兼休憩だからな』
「あら?私のところはもう夜よ?」
『知ってるわ。……で、プレゼントは無事届いたか?』
「えぇ。あなたって本当に器用ね。ぬいぐるみといい、造花といい」
『そうでもねぇよ。造花なんて初めて作ったからそこまで完成度高くないしな』
「そうかしら?私は素直に凄いと思うけど?」
『そうかよ』
「で?肝心のものはどこなの?」
『肝心のもの?』
「私の所望した首輪はどこなの?」
『ぬいぐるみの犬に付いているだろ?』
「あれじゃ、私につけられないじゃない」
『当たり前だ馬鹿』
「失礼な男ね。私は馬鹿じゃないわ」
『すまん。変態だったな』
「そうね。じゃあ、誕生日プレゼントのお返しに、電話越しだけど私の嬌声を聞かせてあげるわ」
『意味が分からんことを抜かすな』
「ほらほら?溜まっているでしょう?いいのよ?私の声をオカズにしても」
『切るぞ。ド変態』
「……久し振りの会話なのに……冷たい。……だって……話せないし……会えないし……寂しかったもん」
『…………悪い』
「でも……その冷たさが……心地よく感じるの……」
『…………』
電話越しに頭を抱えている慧人。コイツは末期じゃないのかと頭を抱えているのだ。
「ねぇ、慧人。もっと蔑んだ冷たい声で『この雌ブタが』とか言ってくれない?そんなあなたの声を聞きながら(ピーーー)にふけようと思うの。特別に電話越しにその声を聞かせてあげても――」
『じゃあな。また日本で(プツッ)』
電話を切る慧人。それに対し、千聖は……
「――いいわよ……って、つれないわね……でも、そのあしらわれる感じが興奮するわ……!」
……興奮していた。
しばらくして、興奮が落ち着いた千聖は、お風呂に入っていた。
「……慧人が切ったせいで『ありがとう』って言い損ねたじゃない」
(もう一度電話をかけようかしら?……いいえ、ダメね。邪魔をしちゃいけないわ。流石に、それは迷惑ね)
しっかりと(?)相手のことを思いやる千聖。
(でも、慧人?……来年は直接祝ってね……お願いよ?)
異国の地で頑張る彼を想いながら、時間は過ぎていくのだった。
ポンコツポテト系ヒロイン、氷川紗夜。
ド変態ペット系ヒロイン、白鷺千聖。
家庭的女子力高い系ヒロイン、今井リサ。
こうやって並べると、何か……ねぇ。誰がメインヒロインでしょうね。
誰がメインヒロインですか?
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氷川紗夜
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白鷺千聖
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今井リサ
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冬木慧人(!?)
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この中には居ない(!?)
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その他