ちなみに次回はポテト回です。
前回の爆死回でお気に入り登録者が増えたなぁ……どっちだろ。爆死したからか千聖回だったからか。まぁいっか。お気に入り登録ありがとう!
今回のサブタイトル。
バトル漫画のラスボスみたいなチート性能発揮している最強主人公を尻に敷くメインヒロインが居るってマジですか?
殺される……俺の直感がそう囁いている。
今、あの人に見つかったら殺されてしまう……。
普段は女神のような存在なのに、今では死神としか思えない……。
「慧人さん?出てきてください」
「ふふっ、中々隠れるのがお上手なようで」
「ここですか?ここも違うようですね?」
「早く出てこないと……」
俺は今の隠れ場所でそっと目を閉じ、気配を消すとともに、今朝の出来事を思い出していた。
「ああ?上納金だと?」
「そ、そうなんっすよ……で、今、ちょっと手持ち無沙汰で……」
「それで……ちょっと、気の弱そうなヤツから奪おうとしただけ……」
その日の朝。いつも通りサッカー部でランニングをしていると不穏な気配を感じた。
その気配の方に向かうとうちの生徒たちが如何にもって感じの二人組に絡まれていたので、とりあえずそいつらをぶっ飛ばした。で、現在、たんこぶが出来た二人を前に俺は腕を組み話を聞いていた。ちなみに、サッカー部連中は後ろにいる。
「で?それを集めているのが、オタクらの高校の生徒会長……と」
「そ、そうなんですよ……だからオレたちは金を渡さないとやられてしまって……」
「へぇへぇ、も、もうアンタらの高校に手出しはしないので……」
「阿呆か。うちのじゃなくて他のもだ。……はぁ」
ただの不良がカツアゲしている……って訳じゃなかった。はぁ、めんどくせ。どうにもやっかいごとに首を突っ込んだらしい。さてさて、どうしたものか……
「ああ、その通りだ冬木」
「キャプテン……」
「この辺りには、花咲川、羽丘、月ノ森と女子校もあるし、少し離れれば他の高校だってある。幸い、ウチの高校は野郎が多いが、それでもこんなところでそんな行為をされたら溜まらん」
「つまり?」
「こんなふざけたことを見逃せるほど俺たちは腐り果ててねぇ!テメェらのとこの大将をぶっ飛ばしてやめさせるぞ!」
「「「その通りだキャプテン!」」」
え?マジ?確かに他校に乗り込むってちょっと面白そうだけど……マジ?
「や、やめとけって、あの人に逆らったらタダじゃすまねぇ……!」
「あ、ああ。あの人は恐ろしいんだ……関わらん方がいい」
「甘いな。この我らが生徒会長様に掛かれば、そんなのすぐに倒せる」
「……は?」
「た、確かに……アンタの強さなら」
「だ、だが……!そこまで迷惑を……!」
「そんなことを言うな!いいか!これはこの近辺に住む者が、平和に暮らせるためにやるべき行いだ!この平和を守ってこそ、我ら虎南高校の生徒だ!」
……え?そうなの?初めて聞いたぞ?
『ああ、キャプテン!アンタの言うとおりだよ!』
『やろう!この街の平和を守るために!』
『オレはアンタにどこまでも着いていくぞ!』
「ふっ……さすが同志よ。分かってくれたか。行くぞ。これは聖戦だ」
そう言って颯爽と虎南高校に向かうキャプテン以下サッカー部。
「あーなんだ、お前らの高校って何処だ?」
「隣町ですが、あ、案内させてもらいます!」
「俺たちに任せてください!」
…………なんか、面倒ごとになってきたな。
話を聞くにボスが生徒会長で、幹部的なのが各委員長的ポジション。で、その学校は荒れに荒れて、遅刻なんかは普通で授業放棄なんて日常茶飯事。ただ月に一、二回、その会長に金を渡す日があるらしくそういう日は全員出席のようだ。で、今日がその日で金が足りなければ各々のやり方で調達するらしい。だから、こいつらはそこそこの距離にあるここを狙った……らしい。……はぁ。話を聞くだけで……本当に高校か?
そう思いながら虎南高校に到着するが……何だ?何をするつもりだ?
「よし!散れ!何か起きたときは生徒会長、冬木慧人の指示だと言うんだ!」
「言うな。勝手に人の名前を使うな」
「「「分かりました!」」」
「お前らも分かってんじゃねぇよ」
そんな俺の言葉を無視してちりぢりになっていくサッカー部。一体、何をしでかすつもりだ?
「おい、馬鹿。何をする気だ?」
「これから相手の高校に乗り込むんだろ?このままじゃ、何か足りないと思わないか?」
「…………足りない?頭が?」
「そうだ!頭数だ!」
「いや。今、仙石が言ったのはお前の頭の中身のほうで……」
「我が高校の同志ならば、必ず応えてくれる。それに、乗り込むのに景気づけも必要だろ?」
「景気づけ?」
「キャプテン!持ってきました!」
そう言って部員たちがひいてきたのは……神輿?……ん?神輿?神輿だと?おい、どっから勝手に持ち出した?
「神輿の上に総大将、冬木を乗せ、担いで行けば様になるだろ?」
「いや、ならないならない」
「…………僕は遠慮しておくよ」
「あーオレも。頑張ってね~冬木」
「ちょ、え?マジで?」
「おい、仙石に森下。まさか、参加しないつもりか?」
「アレだよアレ。全員で乗り込んじゃうと、ここの警備が手薄になっちゃうじゃん?」
「…………キャプテンたちは実際に乗り込む部隊。僕たちは待機兼ここを守る部隊だよ」
おい、それっぽく言っているけど要はこんな阿呆なことに参加する気がないってだけだろうが。やれやれ、こんな口車に乗せられるほどうちのキャプテンは阿呆じゃないだろ……。
「分かった。残るであろう女子たちを頼んだぞ」
「りょーかい。後ろは任せてよ」
「…………マネージャーたちには適当に説明するから」
「じゃ、頼んだぞ」
…………阿呆だわコイツ。隣町からウチの高校に攻撃を仕掛けに来るわけねぇだろ。何が待機組だ。意味分からねぇよ。
……ふっ、でもまぁ、そんな程度で通じるなら早いな。
「よし、じゃあ俺も待機組に……」
「おい、どこに行く。お前はこっちだ」
「まぁ、待て。やはりこういったことに生徒会長が乗り込むと、問題が大事になりかねない。なるべく穏便にすませるには、俺はここに残っておいた方がいいに決まっているだろ?」
「何を言っているんだ?よく分からんこと言っているんじゃない」
…………マジかよ。人が行きたくねぇって言っているのに……でもまぁ、この件の発端は、俺が首を突っ込んだからな気がするし……はぁ。仕方ねぇか。
「後は何人集まるかだな……」
「いや、ゼロだわ。んな一昔前の抗争じゃねぇんだから、わざわざ隣町の他校に殴り込みに行くバカなんてゼロだわ。サッカー部だけだよ阿呆が」
と、思っていた時期がありましたね。
「キャプテン!我が校の全校生徒の七割が参加を表明!」
「続々とここに集結しています!」
……全校生徒の……七割……だと?……それって……この学校の男ほとんど参加しているんじゃないのか?
「おう。分かった」
「おい、馬鹿。どんな魔法を使った」
普通の平日だぞ?分かってんのか?この後普通に授業あるんだぞ?……真面目に受けていないけど。
「魔法?なんのことだ」
「どうしたら、こんなバカなことにこんなに参加するんだよ。学校行事じゃねぇんだよ。というか、お前ら正気か?色々と大丈夫か?」
『おいおい、あんまり舐めんなよ会長さんよぉ』
『そうだぜ。水くせぇこと言うんじゃねぇよ』
『へっ、一人でいい格好はさせねぇぜ?』
『俺はアンタらについていくって決めているんだよ』
『行こうぜ会長!俺たちも力を貸すぜ!』
学年もクラスも部活も関係ない。そこにはやる気と熱意に満ちあふれた、虎南高校の大多数の男どもが居た。
「何がお前らをそんなに……」
「……はぁ。いいか冬木。俺たちが戦う理由なんて一つに決まっているだろう?」
「この街の人々を守る……とか?確か平和をなんとかって……」
「甘い!甘過ぎる!」
「じゃあ、どんな理由だよ」
「いいか!この戦いはこの場所を守る戦い!つまり、これは女子たちを守る戦いなんだ!」
「「「おぉぉっ!」」」
……おいおい……コイツら……まさか。
「いいか野郎ども!この地に住む者に手を出すと言うことが!どんな意味を持つか教えてやろうぜ!」
「「「おおぉぉっ!!」」」
……女子を守り、あわよくばその勇姿に女子が惚れないかとか考えていないか?
しかも、向こうの高校の会長の独裁。……そこの女子が危険に晒されているとか考えていないか?
「なぁ、お前らの高校って……共学?」
「いえ、男子校っす」
「だよなー」
…………そのこと伝えるとこいつら萎えそうだな。うわぁ……帰りてぇ。
「冬木。お前がオレたちのトップだ」
「ざけんな。テメェが勝手に人の名前を使ったんだろうが」
「渇を入れてくれ。リーダーとしてな」
と、背中を叩かれ前に出る。見渡すと、目をギラつかせ、欲望と下心にまみれた我が校のバカたちが……はぁ。でもまぁ、考えてみればこんな機会普通はないし、もう来ないだろう。だったら、俺がやることはただ一つ。
「俺から言うことはただ一つ……」
「「「…………(ごくり)」」」
「この全面戦争、勝ちに行くぞぉ!」
「「「おっしゃぁぁっ!」」」
「行くぞ虎南高校!出陣だぁっ!」
「「「おおおおおおおおおおおおっ!」」」
さぁ、楽しんでやろうじゃねぇか!
「思い切り楽しんでいるじゃないですか!」
スパァーン!
紗夜さんの一撃が、事の経緯を話す俺の頭を直撃した。
頑張って天井に張り付いて完璧に隠れたはずなのに、何故か見つかった。不思議で仕方がないとはまさにこのことだと思う。
で、現在。放課後のCiRCLEにて。俺はRoseliaの面々の前で正座させられていた。理由は今日の出来事であるが……うん。
「紗夜さん。それでも、今回の件は、無実を主張します」
「…………」
「確かに、ほんの少しだけ多くの方を巻き込んでしまった気はします」
「…………」
「ですが、この罰は不当です。あくまでアレは人助けと諸々が混ざって……」
俺は無実を訴え続けていた。しかし、悲しきかな。話せば話すほど彼女たちから、有罪じゃね?って思われている気がする。
「……それでも、全校生徒の七割を巻き込むのはどうかと思います」
「それは同意見です」
「まぁ、カツアゲの現場を抑えてボコったところまでは許しましょう。本当は手を出した時点で色々と言いたいですが、慧人さんだから仕方ないってことで大目にみます」
「ありがとうございます」
「勝手に名前を使われて、勝手に指揮をあげられたことも同情します」
「そうですよね。俺、悪くないですよね?」
「……が、問題はそれをあなたが楽しんでいる点です。嫌々なら分かります。ですが、あなたは心の底から楽しんでいるじゃないですか」
「こんな面白そうな出来事楽しまない方がどうかしてますよ!」
「楽しむ方がどうかしてます!」
スパァーン!
「今の音は?」
「10点くらいじゃない?」
「……もう少し……インパクトがほしいです」
「ドカーンって音を出せばいいんじゃない?」
ちなみに、Roseliaの他のメンバーは誰も助けてくれません。一体、何がダメだったんでしょうね?
「日頃の行いです」
え?そうなの?……ってさらっと心の中を読まれたんですけど?
「でも、紗夜さんたちには実害なかったですよね?」
「大ありです。その神輿を担いで走る姿を私たちも目撃し話題になっていました」
「そうね。こっちでも話題になったわ」
「いやー驚いたよね。神輿が走ってくると思ったら上に乗ってるの慧人くんだもん。しかも大勢走っていたし」
「私も頭を抱えましたよ。風紀委員の持ち物検査で外にいましたが……何で、神輿がって思ったら虎南高校でしたし……しかも、上に乗ってたの慧人さんですし。聞こえてくるのは全面戦争だとか何とか。移動中ぐらい静かにしてください」
「我が軍の士気に関わることでして……」
「それに、何故か今井さんや湊さんを始め、何人かの方からその奇行を私にL○NEで報告されたんですよ」
「だってけー兄の奇行だよ?紗夜さんに伝えるに決まってるじゃん!」
「……それに……けいさんの暴走は……氷川さんしか止められないので……」
「流石に学校ぐるみは無理です。で、その高校までダッシュ……よく走りましたね」
「いやー神輿担いでいたのは、サッカー部をはじめとした運動部の
「学校側は頭を抱えたでしょうね……事情を知らなければ、集団ボイコット。事情を知っても、生徒会長が先導して、集団ボイコットですから」
「甘いですよ。うちの先生たちは問題児の相手には手慣れてます。そんな程度で潰れるほど柔じゃねぇです」
「黙りなさい問題児筆頭」
「…………」
「で?その高校に着いてからどうなったんですか?」
「…………」
「……慧人さん?」
「…………」
「黙りなさいと言われたから黙っているんですか?」
「…………(こくこく)」
「…………」
「…………」
「バカなんですか?」
バカじゃなくて素直って言ってほしい。
スパァーン!
「いいえ、バカです。さっさと話しなさい」
「……はい」
出発してから1時間くらい経っただろうか。遂に相手の本拠地が見えてくる。
「お、お前らなにも――へぶっ!?」
「だ、誰かボスに報告――ぐふっ!?」
「ここは通さな――ごふっ!?」
入り口に近付くと見張りと思わしき奴らが居たが……こちらは何百人という集団。その突撃を前に塵のように吹き飛ばされてしまう。
そのままグラウンドになだれ込む俺たち。そんな俺たちを前に相手側も姿を現す。
『テメェらの悪行もここまでだ!』
『そうだそうだ!』
『今すぐ降伏しろ!』
とりあえず、神輿の上から飛び降りて前に立つ。後ろから聞こえてくるのはそういう声……で、目の前にはいかにもな不良。釘バットや鉄パイプなどの武器を持っている連中も見える。
校舎から出て来るお出迎え。段々と向こうの戦闘態勢が整う中、とある声が聞こえてきた。
『……おい、ここ男子校って書いてなかったか?』
「……は?」
その声に反応したのはキャプテン。この騒動の先導者であり、この騒動の元凶である。
そして、キャプテンは重い足取りで、ここまで案内してくれた二人の下へ向かう。
「……おい。ここは男子校なのか?」
「そうですね」
「男子校ってことは、圧政に苦しむ女子は?」
「いないですよ?」
「囚われている姫は?」
「いないですね」
「この武勇伝を見届ける女子は?」
「いないです」
「ここにいるのは……むさい男ばかり……だと……!?」
膝をつくキャプテン。俺はそんなキャプテンのもとに歩み寄る。
「とりあえず、ここまで来たんだしさっさと片付けようぜ?」
そう提案する。しかし……
「すまない冬木……もう無理だ」
「……は?」
すると、続々と膝をつき始める我が軍。気付けば俺を残して全員倒れていた。
「…………は?」
『女子がいないなら……こんなことしないのに……!』
『う……疲れが……疲れが一気に……!』
『足が……!足が動かない……だと……!』
『クソォ……誰だよ、この作戦に成功すれば彼女が出来るって言ったやつ……』
『俺……ここで勇者になりたかったよ……』
『ちくしょぉ……!男ばかりのところに……何で来てしまったんだ……!』
「…………」
聞こえてくるのは嘆き。……まぁ、何というか。
「…………帰っていいか?」
しかし、既に校門のあたりにも武装集団。こんな茶番を繰り広げている間に、囲まれて、どうやら逃げ場はないようだ。
「あー帰りたいけど……いいか?」
ダメ元で提案するが……うん。本当にダメそうだ。虎南高校側は嘆いてばかりだし、相手は『こんなことしておいてタダで帰らせるわけない』だの『身ぐるみ全部おいていけ』だの……あーほんと。何で本格的に乗り込んだら味方が全滅しているんだろう?
何?ゲームで例えるなら、魔王の城に乗り込んだ瞬間に周りの味方が全滅したんだぞ?しかも、蘇生不可で城から出ることも不可。しかもリセットも出来ないって、そんなゲームあったらクソゲーだな。マジで。
「……仕方ない。おい、そこで地に伏せているバカども。こいつらは今から俺の獲物だ。手を出したらぶちのめす」
ジャージの上を脱ぎ捨てる。そして、俺は宣言する。
「さぁ、ゲームを始めようぜ!全員まとめて相手してやるからよぉ!」
スパァーン!
「何ぶっそうな宣言しているんですか!」
「まぁ、こう言うしかないかな……って」
「阿呆ですか?」
「いえいえ、阿呆じゃないです。で、そこからはあいつらを倒してゲームエンドです」
「「「…………」」」
まぁ、多くは触れることなく倒したけど。
「その後はいろいろあって気付けば、全員改心して、ハッピーエンドってやつです」
「いいえ、まだ終わっていません。と、その前に慧人さん。正座を崩していいですよ」
「え?いいんですか?」
「はい。代わりに壁を背もたれに空気椅子に座ってもらっていいですか?」
よく分からないが、許された代わりに筋トレか。まぁ、空気椅子とか背もたれアリな時点で俺にとってはヌルゲー……あ。
「紗夜さん。流石に人を一人乗せるのは無謀です」
すると、笑顔で太ももの上に乗ってくる紗夜さん。ヤバい。人が乗るのは聞いていない。流石にそれはやり過ぎ……というか、うん。普通におも――
「あら?まさか、女性に向かって重い……などと言うつもりではないですよね?」
「…………」
――あ、これ口答えしたら殺されるし、思っても殺されるわ。これが理不尽……ってやつか。
「ふふっ、可愛らしいですね……あら?少しだけぷるぷるしちゃっていますね。まるで生まれたての子鹿のようですよ?ほらほら、椅子はこんなに動きませんよ?」
紗夜さんの手が俺の顎を触ってくる。何というか、彼女の中の変なスイッチが入ったらしい。
「うわー鬼畜だね~」
「そう?何だか紗夜、楽しそうよ」
「あはは……」
「りんりん!手をどけて!見えないよ!」
「うん。あれはあこの教育には悪いね」
「そうね」
「ごめんねあこちゃん」
「皆のいじわる!」
ちなみにその姿は、教育に悪いと言われる始末。せんせー紗夜さんにいじめられてます。
「話を続けます」
「まだ続くんですか?え?俺的には改心したアイツらと学校や地域の清掃活動を頑張って、昼過ぎに帰って終わりですよ?」
「帰りも同じように神輿を担いでいたんですよね?」
「まぁ、そうですね。腹減ったーとか飯食い損ねたーって叫びながら帰った記憶があります」
「……ねぇ?その神輿が私たちの学校を通る時間が、午後の最初の授業中だったんですよね?ただえさえ、集中力が落ちやすい授業で、そんな大騒動が外で起きれば……ねぇ?何が言いたいか分かりますか?」
「あはは、楽しそうでいいじゃないですか」
「……授業を放棄して外を見る生徒たち。教師側も謎の軍団が叫びながら走っていることに対し、右往左往する始末……」
「祭りの開幕ですね」
「授業妨害です」
「そうよ。せっかく、心地よく寝ようとしていたのに騒がしくて起こされたのよ」
「あこもあこも!皆がうるさくなっちゃったんだよ!」
「ほら、寝そうな人を起こす効果があったじゃないですか」
「馬鹿も休み休み言いなさい」
ん?休み休み言えばいいのか?
「馬鹿ー」
「…………」
「…………」
「…………」
「…………」
「馬鹿ー」
「…………(ブチッ)」
~ただいま、見せられない映像が流れております。しばらくお待ちください~
「り、りんりん……紗夜さんが怖いよぉ……」
「だ、大丈夫だよ……私たちは大人しくしていよ?」
「そうね。紗夜の髪がふわっと浮いていたわ」
「あはは~……まぁ、慧人くんの自業自得と言うことで」
普段では見ることない姿、聞くことのない言葉を聞くこと何分か。ようやく少しだけ収まったらしい。あはは…………こえぇ。
「話を戻します。あなた方の奇行の代償に授業が少し潰れたんですよ。しかも、近隣高校全ての、ですよ?」
「……紗夜さん。その人たちに一つ言ってください」
「何をですか?」
「そんなことで集中が途切れる授業をした教師側が悪い……と」
「ふふっ。まだ、そんなことを仰れる余裕があるんですね。ふふっ、ふふふふっ」
紗夜さんが凄い笑っている。ヤバい。これは今すぐ逃げなければ……!
「慧人さん。気が変わりました」
「はい?」
「湊さん。もう慧人さんの尋問はいいです。今から練習をしましょう。すみませんが、今日、私はこの椅子に座ったままやらせてもらいます」
「……分かったわ」
「……まさか」
「えぇ、慧人さん。このまま練習に付き合ってもらいますよ……もちろん、動いたり音を立てたら……分かっていますよね?」
「…………」
一言だけ言うなら、俺は何度目かの地獄を見た。
「昔、人は暗示だけで殺せるかという実験をしたことがあるそうだ」
物騒な宣言をした慧人。そんな宣言を聞き、武器を片手に迫り来る集団を見ながら、彼は静かに語り始めた。
「ただ、そんなバカみたいな話。本当に行われたかどうかは俺は知らないが……」
ゆっくりと
「とりあえず、言わせてもらう。
威圧と共に放たれた言葉。地に伏す虎南高校の面々は疑問符を浮かべ、相手側も特に気にとめずに迫り来る。
異変が起きたのは次の瞬間だった。
突如、相手側の人たちが呻き声をあげながら倒れていく。
『な、何が起きたんだ……?』
『次々と倒れていく……だと?』
虎南高校の面々には一切変化はない。変化があったのは相手側だけ。しかも、全員じゃなくて全体の三割くらいである。
「神の見えざる手……いや、この場合は死神の見えざる鎌とでも言うべきか?む?それよりは魔王の威圧……?そこまで行くとなんか違うな。よく分からないがとりあえず……」
動揺する相手を差し置き、校舎へと歩む足を止めない慧人。
「
再び発せられる言葉。そして、次の瞬間。今度は、相手側の何人かが何もされていないはずなのに、吹き飛んでいく。
「殴られたことを感じるのは、脳がそう感じるから。つまり、実際に殴られていなくても、脳が殴られたと感じればそいつは殴られるし、蹴られたと感じれば蹴られる。そのトリガーは恐怖だ。俺に対する恐怖。逆らったらやられるという恐怖。だから、俺に対し恐怖を抱いたものはもう逆らえない。さぁ、お前ら……
一人、また一人と地面に膝を付けていく相手。
『な、何だよ……コレ……!』
『動けない……だと……!?』
そんな奴らを見る気がないのか、一瞥することすらなく歩いて行く。まだ何もしていないのに既に何百といった数の人間が地に伏していた。
「悪いが、あまり手を汚したくないんだ。だから、
目の前に群がっていた敵を見下すような冷たい眼を向け、重い言葉をかけていく。その言葉をかけられた者の多くは怯えるように後ずさりをしながら、道をあけていく。
『な、舐めるな!』
『誰が退くかよ!』
だが、数人は慧人の言葉に反し残っていた。しかし、その数人を見てもまるで驚いた様子はない。足取りは変わらず、彼らへと近づいていく。
「まぁ、全員に効くとは思ってねぇ。ただ――」
慧人に向かって飛びかかる数人。
「――向かってくるのは不正解だ」
振るわれる武器や、飛んでくる拳や蹴りを最小限の動きで避けると共に一人一人に拳を当てていく。的確に急所を突いていき、一撃で沈める。
「……邪魔」
そして、未だに道を塞ごうとするものたちに向かって、軽く腕を振るう慧人。
次の瞬間、何人かが吹き飛ばされていく。
『い、今のは……!?』
『う、嘘だろ……!?なんで軽く腕を振っただけで……!?』
『おい!何をされた!?一体何をしたんだアイツは!』
『ひ、怯むな!怯んだら負けだ!』
『向こうは一人!こっちは武器を持っているしまだ人数も居る!』
『そ、それにあの人だっているんだ!』
『そうだな!それに全員でかかれば怖くねぇ!』
『い、行くぞ!』
恐怖を抑え、武器を携えて慧人に向かう生き残りたち。
「……あいつと……あいつ。そして……あいつ……か」
そんなことは気にとめない。迫ってくる何人かを指さして確認した後、狙いを定めた相手に向かって突撃する。
『こ、コイツ!速っ――ごふっ』
『ば、バットが!?バットが蹴られて折れただ――ぐふっ』
『う、嘘だろ……!?武器をへし折るなんて――がはっ』
狙われたものたちは、武器を折られ、殴られたり、蹴られたりして地に伏すことになる。
「さて……
狙った相手たちをぶちのめした後に発せられた言葉。その言葉を前にたった一人を除いて逆らうことが出来なかった。
「……自分より強いやつが簡単に倒される。武器も通用しない。狙われたら終わる……簡単な話だ。そう思った時点で、お前らの負けなんだよ」
ただ一人、立っている相手の方に目を向ける。
「で、どうするよここのリーダー。大人しく降伏するか?」
「……なるほどねぇ。これが噂になっていた破壊兵器様か」
「……ッチ。知っていたか」
「まぁな、っと。心も感情も持ち合わせていない、人の皮を被った最強最悪のバケモノ。一度動き始めたら、目に見える全てを破壊しない限り止まらない兵器……って聞いていたんだが……不思議だな。破壊兵器って言うわりに、ほとんどのやつに手を出していないし、誰も破壊していない。これじゃあ破壊兵器失格じゃないのか?」
「失格で結構。そんな尾ひれに背びれどころかいろいろくっついたものは卒業してんだよ」
「そんなのは嘘だ、とは言わないんだな?」
「事実だから。否定する気はねぇよ……ああ、でも一つ訂正するなら、目に見える全ては破壊してねぇ。あくまで手を出してくる奴らをぶちのめしてただけだ」
二人はゆっくりと歩いている。
「なぁ、知ってるか?」
「何をだよ」
「時には人生を変えるような敗北ってあるらしいぞ?」
「なんだそりゃ」
「敗北が人を強くするとはよく言ったモノだ。だから、お前にも教えてやるよ。正しい敗北を……そして、覚えておくといい。人間には絶対に勝てないバケモノが存在することをな」
「やってくれたねぇ……冬木君」
「あはは……校長先生……」
翌日。諸事情により足が思うように動かなくなった俺は逆立ちをしながら登校し、そのまま校長室に投降していた。
ほんと、足の疲労が限界を超えて思うように動かないんだよな……あはは。え?昨日?学校は飯食ったら自主早退したけど何か?あ、学校じゃなくてRoseliaの練習の後?あっちは練習後、紗夜さんをおんぶして帰ることになったけど何か?もう足が限界だけど何か?
「まぁ、相手側の高校からは感謝の電話がかかってきたよ。これからは安泰だと。よく更生させてくれたと」
「ありがとうございます」
「こちらとしても、向こう側にプラスになることをしてくれた以上、なにかをとがめるつもりはない……が、近隣高校からも問い合わせの数々が……ねぇ?」
「あはは……」
「話は変わるが、急遽テストを行うことにした。簡単なテストだ。……そして、その結果が悪い生徒は全員、冬休みに補習を行う」
「はい?」
「この学校で、勉強へのやる気が低い生徒が多いことは前々から分かっていた……が、まさか、集団ボイコットをされるとは想定しなかったよ。しかし、そのおかげでチャンスが生まれたのだよ。君たちを補習に来させる名目が生まれた……」
「あはは……それはよかったですね」
この後、緊急全校集会が開かれ、明後日にテストが行われること。そして、そのテストの点が基準に満たないものは冬休み補習と言うことが告げられ、多くの者が発狂した。
まぁ何というか…………よく俺、生徒会長クビになっていないな。
この作品はバトルものじゃないんだけどなぁ……この主人公何か間違ってないか?
ちなみに、この主人公は大きく二回の敗北を経験しています(本人の感覚として)。そのうち分かります。
ところで最近、この作品の番外編というかIFルートというかで、『まともな千聖さんを返して(マジで)』というド変態で手遅れな千聖さんと、常識外れで手遅れな慧人くんの、一歩間違えれば即アウトな別ルートやってみてもいいかなと思い始めたけど、それ需要あるかい?多分ないと思うけど需要ある人が200とか300超えたらやろうかなって。まぁ、気楽に投票してみてね。
千聖ルート。需要は……
-
あるに決まってるだろ!
-
そんなものはない!