タイトルで話の内容を察することが出来た方にはポテト検定1級を進呈します(誰がいるのそれ?)
氷川紗夜。フライドポテトを愛し、フライドポテトがないと生きていけないと自称するほど、とにかくフライドポテトが好きな少女である。
「紗夜さん……」
「なんですか?(もぐもぐ)」
今日も今日とてフライドポテトを食べ続ける少女。
「本当に好きなんですね」
「えぇ。とても(もぐもぐ)」
「飽きないんですか?」
「飽きる?何がですか?(もぐもぐ)」
「フライドポテトです」
「飽きないですよ?(もぐもぐ)」
毎日のようにフライドポテトを食べ続ける少女の姿。
「太りますよ?」
しかし、流石の彼女も、この言葉は無視できなかった。ピタッと手を止めてポテトを置く。
「慧人さん。どうやら、また私の講義が必要なようですね」
「それ、講義じゃなくて屁理屈って言うんです」
「いいでしょう。私がじっくり教えて差し上げます」
「それ、フライドポテトの油のようにねっとりです」
「うまいこと言ったつもりですか?フライドポテトの油はねっとりしていません」
「……あ、はい」
「コホン。では、慧人さんに『ポテト特別講座』を開くとしましょうか」
「あ、結構でーす」
「遠慮はいりません。強制参加です」
こうして、今日も平和なポテトライフを過ごしていた。
しかし、ある時異変が訪れた。
「ねぇ……紗夜。いくらなんでもポテト食べ過ぎじゃない……?」
「そうでしょうか(もぐもぐ)」
「そうですよ……ずっと……ポテトを手にしています……」
「そんなことないですよ(もぐもぐ)」
「紗夜さん!ポテトばっか食べてないで、話を聞いてくださいよ!」
「聞いていますよ(もぐもぐ)」
「……少し取り上げるわね」
友希那がポテトの皿ごと取り上げようとした瞬間。
「シャーっ!」
自身のもとに皿をたぐり寄せて、まるで猫のように威嚇する紗夜。
「ねぇ、慧人くんも何か言ってよ」
「猫のように威嚇する紗夜さんも可愛いですね」
「違うと……思いますよ……?」
「まぁ、本音はさておき」
「あ、やっぱり本音なんだ」
「ちょっと異常かもしれないですね。どうにもポテトを持っていないと不安に駆られるそうです」
「それは恐ろしいわね」
もぐもぐと食べ続ける紗夜の頭に手を置く慧人。そのまま優しく撫で始め……
「やっぱり可愛いですね」
「「「…………」」」
(((ああ……平常運転だな……この男)))
「これは……ちょっとマズいことにならないといいけどね……」
甘やかす(?)慧人を見ながら、リサが懸念する声をあげる。……それがやけに紗夜を除く5人の頭に残ったのだった。
そしてその時は遂に来てしまった。
「ポテト……ポテト……ポテト……」
Roseliaの練習休憩中。虚ろな目をして彷徨い歩くポテトの亡霊……ではなく紗夜の姿があった。
「ポテトォォッ!」
次の瞬間、彼女はポテトにかぶりつく。
「紗夜さん。それ、俺の首もとです」
しかし、それは入ってきた慧人の首もとだった。だが……
「…………(がぶがぶ)」
そんなことには気付いていないようだ。慧人は自身にかぶりついてる紗夜の肩を支えながら、残る4人の方へと目線を向ける。
「……どうします……この人?」
「そうだねーまさか、ここまでヤバいとは……」
「いつぞやの……ぽてぽて事件を……思い出します」
「あれは酷かったわね」
「そうそうって……ああっ!み、皆!紗夜さんの右手が!右腕がぁっ!」
あこが唐突に声を上げる。そのことに慌てることなく、落ち着かせようとする一同。
「落ち着けって。一体なにが…………は?」
「どうしたのあこ?そんな驚くことでもぉぉっ!?」
「…………(ぽかーん)」
「…………え?」
「さ、紗夜さん!紗夜さんの右腕がポテトになってますよ!?」
だが、流石に人の右腕がフライドポテトに変わっていれば、驚きも禁じ得ない。
「紗夜さん!自分の右腕を見てください!」
「…………?」
慧人の必死な声に、かぶりついていた紗夜は慧人から離れ、自分の右腕を見る。
「な、なんですかコレは!?」
「「「こっちが聞きたいわ!」」」
驚く紗夜。すると、何かを閃いたような顔をする。
「こ、これが……も、もしや!」
「紗夜さん?心当たりあるんですか?」
「噂に聞いたことがあります。通称、ポテ化現象……人の身体がポテトになっていく現象……!」
「「「そんなの聞いたことないけど!?」」」
どや顔をしながら語る紗夜。実は彼女はそこまで取り乱していないかもしれない。
だが、他の皆は当然ながら目の前のあり得ない現象に驚いているわけで……
「ど、どうしよう!こ、これ救急車かな?」
「落ち着いて……下さい……腕がポテトなんて……言っても……信じてもらえません」
「じゃあ、どうするのよ!?」
「わわっ、本当にど、どうすればいいの!?」
「紗夜さん!?手の感覚はありますか!?」
「あ、サクサクって言います。中々いいポテトですね。これは……おいしそうです」
「「「それあなたのポテトなんですけど!?」」」
「ねぇ、皆さん……一口食べてみてもいいですか?」
目から光が消え失せ、目が虚ろになっている紗夜。今にも自分の腕……もとい、自分のポテトを食べてしまいかねない勢いだ。
「は、放してください!」
「絶対放さないですからね!?」
「慧人くん抑えていて!今、ネットで調べているから!」
「どうしましょう……いいお医者さんが見つからないわ」
「……ど、どうすれば……いいんでしょう……」
「救急車!?警察!?消防署!?どこに電話すればいいの!?」
「一口……!一口だけですから……!」
「あなたの一口ほど信用ないものはねぇよ!」
「ダメだ……!こんな怪奇現象の解決方法が見つからないよ……!」
「Ya○oo知恵袋はどうかしら?」
「ダメです……さすがに書いていません……!」
「あわわ!あわわ!ど、どうしよう!」
「ぐぬぬ……!放して……放して…………!」
「力強っ!?マジで今回はダメですからね!?」
「そうだ!困ったときはこころの家だよ!」
「いい考えね。弦巻さんならなんとかなるわ」
「賛成……です……!」
「よし決まりだね!」
「食べたいんです……!先っぽだけでいいので……!」
「よくねぇですから……!」
こうして、弦巻家の専属の病院に運ばれることになった紗夜であった。
そして……
「…………クソがっ!」
ゴンッ!
拳を床に打ち付ける慧人。床は砕け、慧人の手からも血が流れている。
「……慧人さん……ダメですよ。床に当たったら」
「でも……!」
「私が悪いんです……!私が皆さんの制止を聞いていればこんなことには……!」
顔から下……もはや身体のほとんどがフライドポテト化した紗夜がそこにはいた。
「謝るのはアタシもだよ!もっと強く制止していれば……!」
「……えぇ、気づけなかったなんて……リーダー失格よ」
「ごめんなさい……氷川さん……!」
「うぅ……紗夜さん……!」
「……もう長くはないです……私はもうすぐ完全にフライドポテトになってしまいます」
「……っ!何言っているんですか紗夜さん!そんなこと分からないじゃないですか!」
「そうだよ!ここは世界最高峰の医療設備が整っているんだよ!」
「そうよ。まだまだ諦めるには早いわ」
「…………治る可能性は……ありますよ……!」
「だから諦めないでよ!頑張って治そうよ紗夜さん!」
「……不思議と分かってしまうんです。もう残された時間はほとんどないんだ……って」
紗夜の悲しげな声に五人とも黙り込んでしまう。
「だから……最後のお願い……聞いてくれますか?」
「……何ですか?」
「私がポテトになったら……皆さんに食べて欲しいんです」
「「「……っ!」」」
「お願い……出来ますか?」
少しずつフライドポテトになっていく紗夜。
「……分かりました。……俺たちに任せてください……!」
「……ありがとう」
そして最後に微笑みかけると、紗夜は完全にフライドポテトになってしまった。
「「「紗夜さん(紗夜)(氷川さん)!!」」」
「…………はっ!」
悪夢で目が覚めるとはこういうことだろうか。嫌な汗が流れ、不思議と息が上がってる。
少しずつ落ち着いていき汗を軽く拭く。時刻は午前1時を回ったところで……
「今のは……夢……だよな?」
頭を押さえながら、さっきまで目の前に広がっていた情景を思い出す。紗夜さんの全身が徐々にフライドポテトになっていき、そのまま最後は完全なフライドポテトになってしまう。そんな彼女の変わりようを目の前で見ていき……何もできない悔しさが残っている感じがする。
あまりの恐怖……だが、そんなことは現実的ではない。人がポテトになるだと?はは、んなバカな。そう思い寝ようとするのだが……
「寝れねぇ……!」
あまりの衝撃で目が冴えてしまったのだ。あり得ないって分かっているんだよ?人がポテトになっていくなんて。でもさぁ……
「紗夜さんだからあり得そうでこえぇ……!」
マジで怖いんだけど?え?もしかして、本当に起きちゃう?というか、実は起きちゃっている?このまま朝が来て紗夜さんに会うと実はポテトになっていたり?というか、ここは夢?現実?夢か現実か……え?どっち?あ、ヤバいどうしよう。考え始めるとマジで眠れねぇ。あれ?今日確かバイトあるよな?紗夜さんと会うよな?え?大丈夫?本当に大丈夫?
8時間後……
「結局寝れなかった……!」
CiRCLEにて、スタジオの清掃をしていた。あの後、眠ることが出来ず、マジで眠いです。
「おはよー……」
「あ、おはようございますリサ姐……ってどうしたんですかその顔?」
「いやさー……ちょっと怖い夢見ちゃって……夜中に起きたんだよね……そこから眠れなくて」
「奇遇ですね。俺もですよ……」
「……おはよう。早いわね……」
「あ、友希那……なんだ。声かけてくれれば一緒に行ったのに……」
「ごめんなさい……ボーッとしていたわ」
「友希那さん……眠そうですね」
「えぇ……変な夢を見て夜中に起きてしまったのよ……それで」
「寝不足なんだね……」
何か不思議なこともあるものだ。まさか、リサ姐や友希那さんも寝不足で来るとは……。
「ちなみにお二人はどんな夢を……」
「言わない……絶対に笑われるから……」
「怖い夢じゃないの……?」
「うーん……概要だけ聞くと多分ネタだと思う……」
「奇遇ですね……俺も第三者が聞けば多分ギャグですよ……」
「見た側はつらいのにね……」
(((紗夜がポテトになる夢なんて……そんな阿呆な夢のせいで眠れなかったとか……)))
少し談笑するが……頭が回ってないせいで会話が入ってこない。
「おはよぉ……早いね……皆」
「おはよう……ございます……」
「おはよー……あれ?二人とも元気ないね……」
「実はあこ……夜中に起きちゃって……変な夢見たせいなんですよ……」
「私も……怖い夢を見てしまって……」
「奇遇ね……私たちもよ」
「こんなことあるんですね……」
数分後に来たあこちゃんとりんさんも寝不足な様子。だからここの空気は何というかどよーんとしている。
というか四人とも早くね?もうやることなくて早く来たとか?そのせいか紗夜さんが一番遅いって珍しい状況に。まぁ、まだまだ時間余裕なんですけどね。
「おはようございます。ってどうしたんですか皆さん?いつもより元気がないですね」
何分経っただろうか。元気な……というより、普通な感じの紗夜さんが入ってくる。あ、よかった。ポテトになっていないや。
「おはよー紗夜。ちょっと寝不足で……」
「全く、皆さん揃って寝不足ですか?」
「そうですね……」
「はぁ。体調管理は大事なんです。そのために十分な睡眠を取ることは大切なんですよ?」
「しっかり寝ようとしたんですよ……!」
「でも……起きちゃったのよ」
「さぁ、練習を始めますよ。ほら準備してください」
「「「はーい……」」」
何というか……紗夜さん元気だなぁ……あ。
「紗夜さん……一ついいですか?」
「どうぞ」
「紗夜さん、あなたは今日から一週間ポテト禁止です」
「はい……ってえぇっ!?な、何言っているんですか!そんないきなり……理由がなければ納得できません!」
「アタシもいいと思うよ~……」
「今井さんまで!?何ですか?何を言っているんですか!?」
「私も賛成よ……」
「あこもー……」
「いいと思います……」
「皆さんまで!?えぇ!?ちょっと!?どうしてですか!?」
「「「なんでもいいからとにかくポテト禁止」」」
「よくないです!あまりに理不尽過ぎですよ!?」
言えないよな……だって、
(((紗夜さんがポテトになる夢を見たからって……)))
「うぅ……皆さんのバカぁ!なんでそんな酷いこと言えるんですか!」
「さぁ、練習頑張って下さいね」
「うん、任せといて」
「えぇ、行けるわ」
「……頑張ります」
「行くよー」
「よくないです!ちょっ、話を聞いてください!」
「無理無理ー」
「慧人さんいつもより適当ですね!分かりました!目を覚まさせてあげますから!目を覚ませばそんな血迷った答えに行き着かないはずですから!ほら行きますよ!」
ペシッペシッペシッペシッ
紗夜さんの往復ビンタを喰らう。
うぅ……頭が……揺れる……気持ちわりぃ……助けて……
「慧人さん!早く起きてください!そして、さっきの発言を撤回してください!撤回しないと許しませんよ!怒りますよ!」
ユサユサユサユサ
紗夜さんに胸ぐらを掴まれて前後に揺らされる。
やべぇ……撤回しないと……頭が……脳みそがシェイクされて……口から出ちゃう……
「分かりました……!」
「慧人さん……!ようやく目が覚めたのですね!さぁ、今なら許しますよ?さっきまでの血迷った、あまりにも頭のおかしい、やる意味の必要性を感じさせない生産性皆無な意味の分からない宣言を取り消していいんですよ?」
「禁止期間。二週間に延長……!」←拳を突き上げる俺。
「「「いいと思うー(ぐっ)」」」←サムズアップをして拳を俺に向ける四人。
「いいいいやややややあああああああぁっ!」←あまりの現実に叫ぶ紗夜さん。
ドサッ
紗夜さんに捨てられる俺。そのまま頭を抱えて叫ぶ彼女を見ながら思った。
あぁ……ようやく揺れが収まった……このまま堕ちそう……(カクッ)
この後、いじけてへそを曲げる紗夜と、寝不足で頭が回らない五人がいたとかいないとか。
ガルパピコのりみの回ver紗夜です。
何かのイラストでチョココロネになったりみの隣のベッドで横たわるフライドポテトになった紗夜さんを見た気がして生まれました。どこで見たか正直覚えていない……
ちなみに気付いていると思いますが紗夜さんを除くRoseliaの四人と慧人くんが同じ夢を見ています。え?紗夜さん?多分、ポテトに囲まれた夢でも見たんじゃないですか?(カオスだなー)
千聖ルート。需要は……
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あるに決まってるだろ!
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そんなものはない!