クールビューティーな紗夜さんを返して(涙)   作:黒ハム

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(こっちでは)お久しぶりです。気付けば2ヶ月振りです。
これよりハチャメチャクリスマス編全4話構成がスタートです。
多くの読者がおそらく甘々なクリスマス回を期待している中、どんな話になるんでしょうね?
クリスマス当日に4話目を投稿したいなぁ……(願望)


クリスマスとはなんぞや? 前編

 12月も20日頃となればもう、世間はクリスマス一色だろう。数日後に控えるクリスマスのために街は彩られ、徐々に盛り上がりを見せているだろう。

 

「…………」

「…………」

「…………」

 

 が、それはあくまで街全体の話。我らが虎南高校サッカー部は非常に重い空気に包まれていた。

 

「……皆の者……話は聞いていると思うが……」

 

 教壇に立っていたキャプテンはゆっくりと目を開くと、席に着く俺たちを見渡す。後ろの黒板には『サッカー部定例会議』と書いてある。

 

「先日、学校側が行ったテストの結果。我らがサッカー部からは、マネージャーたち、仙石、森下……そして冬木。今挙げた五人以外全員が補習を受けることが決定してしまった!」

 

 ダンッ

 

 黒板を殴り付けるキャプテン。その様子を見てか、他の部員たちも拳を握り締める。

 

「あろうことか……!あろうことか学校側は!クリスマスイブとクリスマスも一日補習漬けにする予定だ!」

『な、なんてことをするんだ学校側は!』

『許せない……許せないぞ!』

『ふざけんじゃねぇ!バカなのか奴らは!』

 

 一応、ウチの学校は終業式が12月23日なため、一部の生徒は12月24日から冬休みである。え?一部じゃなくて大多数だろって?先日のテストの結果、全校生徒の約七割が補習を受けることが決定したけどなにか?

 

「そうだ!しかも奴らの言い分は、『どうせ、クリスマスとかクリスマスイブとか暇だろ?なら、ちょうどいいし勉強しようじゃないか』だ。ふざけるんじゃない!我らにはクリスマスイブとクリスマスには大切な使命があるというのに何が暇だ!」

 

 涙を流しそうになりながら両手を教壇につけて項垂れる。顧問はいつも通りいなくて、マネージャーたちは買い出しに行ってもらった。流石にこんな(阿呆な)ことに巻き込みたくないということらしい。

 

「あのさ」

「何だ裏切り者」

「いや、裏切ってないけど?テメェらが阿呆なのが悪いんだろ?」

「で?何だ?」

「いや、教師陣の言うとおり、お前らクリスマスイブとかクリスマスとか無縁の暇人だろ?いいじゃねぇか、空白だったカレンダーに補習っていう素敵な予定が埋まって」

『このクソ会長!煽ってんのか!?』

『そうだそうだ!生徒会でハーレム作ったクソ野郎が!』

『いい気味だよなぁ?女に困らねぇ野郎はよぉ?』

『コイツ、イマ、コロス』

『殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺』

『殺っちゃう?ねぇ、殺っちゃう?』

 

 バァンッ!

 

 黒板を力尽く叩くバカ。

 

「静まれ」

『『『…………』』』

 

 その一言は、暴徒となりそうな(一部は末期だったが)我がチームメイトを一瞬で静めた。たった一言で皆を纏めるカリスマ性……恐ろしいな。だが、どうやら今のコイツは俺の味方のようだし、安心して――

 

「確かにこのクソ野郎は紐なしバンジーからの八つ裂きにして、火炙りからの犬の餌にしてやりたい……!」

 

 ――違った。コイツも敵らしい。というか、思想がやべぇ。

 

「だがお前ら!忘れてはならないことがある!いいか!この補習を潰さない限りオレたちは、コイツだけじゃない!この街に蔓延るコイツ以外のクソ野郎(リア充)も狩れないだろうが!」

『『『…………っ!』』』

 

 目が覚める多くのサッカー部。

 ちなみにだが、森下はずっとスマホをいじっているし仙石に至っては寝ている。どうにも、この暴徒たちを止められる存在はいないらしい。というか、俺の味方がいない。

 

「目の前の敵だけに囚われるんじゃない!俺たちには狩るべき敵が多いって事を忘れるんじゃない!」

『……さ、流石だぜキャプテン!』

『感動した……!俺、アンタに一生ついて行くよ……!』

『ああ、そうだよな!俺たちはこの世界の救世主になるんだ!』

『そうだそうだ!これは救済なんだ!』

『大体クリスマスは由緒正しいイエス・キリストの降誕祭だろうが!』

『決してカップルがイチャつく日じゃねぇんだよ!』

「ああ。我々の使命は正しいクリスマスを取り戻すこと……そのためには補習を潰す必要がある」

 

 …………帰っていいか?

 本気でそう思っていると、唐突に教室の扉が開け放たれる。

 

「話は聞かせてもらったぞ」

 

 そこには野球部やテニス部などの部長たち。更には三年生の先輩たちなど……どうした?そんなに集まって、うるさかったか?

 

『俺たちも協力させてもらえないか?サッカー部キャプテン』

『そうだぜ?サッカー部ばっかりに頼ってられねぇよ』

『我ら野球部。全員力を貸そう』

『同志たちよ。協力は惜しまないぜ?』

『俺たちに補習だ?そんな企み潰してやろうじゃねぇか!』

「お前たち……ああ!そうだな!」

 

 ……いや、補習になったのお前らの自業自得だろうが。何、問題行動を起こそうとしているんだよ。これ以上問題行動を重ねるなよ。バカなのか?バカだったな。

 

「ここにクリスマスの秩序を守るため!憎き補習を潰すため!ここに虎南高校の戦線協定を結ぶことを誓う!賛同する者は拳をあげろ!」

『『『おおおおおぉぉぉっ!』』』

「学校側に……そして世間に思い知らせてやろうぜ!俺たちの存在を!」

『『『おおおおおおおぉぉぉぉぉっ!!』』』

「そのためにまずは……お前ら!虎南高校唯一の裏切り者!冬木慧人の討伐だぁ!」

『『『おおおおおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉっ!!!』』』

 

 ……あれ?今流れ変わった?そう思った瞬間にギラついた眼が俺を射貫く……あぁ、そういう。

 

「んじゃ、失礼」

 

 ということで、窓から飛び降りる。後ろから逃がすなって声が聞こえるが……知らね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして、12月23日になった。あの日の鬼ごっこは割と簡単に逃げ切ることができた。だって、一度飛び降りてから屋上まで壁や窓を伝って登っていったら誰にも発見されなかったもん。バカか。飛び降りて逃げるだけしか脳がねぇわけがないだろう。

 

「では、続いて。冬木慧人生徒会長より挨拶です」

 

 あれからバカどもは入念に準備を進めていた。各々が黒装束或いは白装飾を準備していた。黒装束は闇夜で紛れるためと言っていたし、白装飾は……ねぇ?相手の血で染めればサンタクロースって笑顔で言っていた。うん。やべぇ。

 とりあえず、今は終業式。俺は生徒会長として壇上にあがり挨拶をする。……ん?挨拶だと?あーそう言えば原稿を作っとけって、副会長に言われていたな……忘れていたわ。まぁ、ノリで何とかなるでしょ。

 

「お前らぁ!明日から冬休みだけど元気かぁ!補習がある奴らはサボるんじゃねぇぞ!」

『『『余計なお世話じゃ!』』』

 

 ちなみに補習をサボった場合、冬休みの課題が三倍にされ、それが提出できなかったら毎週毎週補習を組むらしい。だから奴らはサボらずに潰す必要があり……何か秘策があると言っていたけどよくは知らない。

 

「俺から言うことはただ一つ!ここにいる全員、冬休み明けに生きて会えることを願う!誰一人として欠けることは許さない!これは生徒会長命令だ!いいな!」

『『『おおおおおおおおぉぉぉぉっ!』』』

「以上!これにて終業式を終わる!解散!」

『『『ありがとうございましたあああぁぁっ!!』』』

『『『いや、どんな挨拶だよ!というか勝手に終わらせるなぁっ!』』』

 

 叫ぶアホども。ちなみに、まともな生徒及び教師陣から総ツッコミを喰らった。おかしいなぁ?結構真面目な挨拶をしたはずなのに……クソ、何がいけなかったんだ?もっと、場を盛り上げるべきだったか?

 

「……馬鹿会長が失礼いたしました。後で生徒会メンバーからきつく言っておきますので、まだ解散しないでください。続いて……」

 

 壇上を降りるとやれやれと頭を抱えた人たちが居る。仕方ない。今度からは原稿を作ってから挨拶をしよう。

 ちなみにだが、アイツらのクリスマス破壊計画は、恐ろしいもので入念な下調べとそれに基づき、どんな状況でも対処できるように作戦を練っていた。俺が知る限りでも、カップルがイチャつくであろうポイントや、裏路地などの何かしらが起きそうなポイントを徹底的に調べ上げ、そこでどう行動を起こすか考えていたが……うん。お前らその分勉強しろよ。力の使い方間違えているんだよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして、運命のクリスマスイブ……その日の夜。俺は……

 

「なんでCiRCLEの補修工事なんでしょうねぇ……!」

「終わらないから仕方ないじゃん!」

 

 まりなさんと共にCiRCLEの屋根上でハンマー片手に頑張っていた。

 

「でもよかったじゃん。こうして、ぼっちは回避できたんだし」

「それ、ブーメランですよ」

「……あれ?高校生男子……年下の男の子とクリスマスイブに二人きり……もしかして、私捕まっちゃう?」

「勝手に捕まってろ、です」

「私が捕まったら……CiRCLEのこと……頼んだよ」

「……仕方ないので、逮捕は年明けまで待ちます」

「うわぁ……用済みになってから消す気だ……ねぇ、慧人くん。どっちが上司か知っている?」

「まりなさんですよね?」

「うん。知っててその反応なんだね」

 

 と、悲しい話をしながら補修工事は進んでいく。

 

「ねぇ、慧人くん。下に誰かいる?さっきから声が聞こえるけど……」

「アイツらが来てますけど?」

「アイツら?」

「ポピパを筆頭にいつもの五バンドの面子が続々と集まっています」

「へぇ……なんで?」

「え?まりなさん聞いてないんですか?ポピパの発案で、CiRCLEでクリスマスパーティーをやろうって話になってたんですよ。俺も誘われてますよ?ほら」

「へぇー……あれ?おかしいな?私、何も聞いていなかったんだけど……」

「年齢制限ってやつですよ」

「あああああっ!また歳の話しているね!ちょっと若いからって調子に乗っているんじゃないよ!」

『慧人さん。そろそろ降りてきてください』

 

 すると下から紗夜さんに呼ばれる。

 

「へーい、今行きまーす。ほら行きますよ」

「へ?ちょっ、首根っこ掴んで飛び出さないで」

「あいきゃんふらーい」

「いやぁぁぁあああああああっ!」

 

 スッと綺麗な着地を決める。本当は三回転くらいしたかったけど、さすがに人を掴んでやるのは危険と判断し、やめておいた。

 

「し、死ぬかと思った……寿命が……寿命が……」

「あはは~大袈裟ですね~」

「笑い事じゃないよ!梯子があるでしょうが梯子が!」

「梯子なんていらなくね?」

「いるから!」

 

 ぶーぶー言うまりなさんを脇に抱えて中に入る。そこにはクリスマスツリーに飾り付け、料理も並んでおり、更に既に居た25人は全員サンタ帽を被っている。

 

「楽しそうだね」

「あ、まりなさん!お疲れ様です!」

「まりなさん。はいこれ」

 

 まりなさんを放すと、そのままたえがサンタ帽を被せる。

 

「慧人先輩も」

「おう……うん?」

 

 俺にもつけられるが……おかしいな。サンタ帽じゃないぞ?どっちかというとトナカイだぞ?

 

「うん。慧人先輩よく似合っている。うさぎでも良かったと思う」

「絶対やらないからな」

「じゃあ、私がまずやるのでお揃いにしましょう!」

「やらねぇっての」

「何でですか?」

「やりたくねぇからだよ」

「私はいいと思いますよ」

「嫌だよ」

 

 と、たえと共にウサギのコスプレをどうするか話し合って居る中……

 

「メリークリスマス!」

 

 気付けばこころのかけ声と共にクリスマスパーティーが始まった。

 

「慧人さん。お疲れ様です」

「紗夜さん……!あ、珍しくポテトを持ってないですね」

「私がいつもポテトを携帯しているように言うのやめてもらえますか?」

「しょうがないよおねーちゃん。だって、事実でしょ?」

「で、日菜。何で後ろから乗ろうとしているんだ」

「えぇ~だって、今の慧人はトナカイであたしってサンタじゃん?だから乗ろうと思って!」

「よく思い出せ?サンタはトナカイの引いているソリに乗ってるんだぞ?トナカイに乗っているわけじゃない」

「そうよ日菜。それにそこは私のポジションよ。今すぐ降りなさい」

「うん。別に紗夜さんのポジションってわけでもないですよ?」

「そうよ。トナカイ(慧人)を虐げていいのは私だけよ」

「うん。千聖?それも違うからな」

「……え?」

 

 サッと何かを後ろに隠した千聖。一瞬首輪に見えたけど見なかったことにしよう。

 

「そ、そうね……トナカイの逆襲……やられるサンタ……獣○……」

「はい、千聖。黙ろうか?」

「…………」

「で?とりあえず、降りようか日菜」

「えぇ~いいじゃん。背中空いているんだし~」

「ダメです。ほら離れなさい」

「は~い」

 

 いつも通り……いや、いつもより賑やかな様子の彼女たちを見ながら、少しだけ輪から外れて窓際へと移動する。

 何というか……CiRCLEがあったから彼女たちと出会えた、ここがあったから色々なことを経験できた。……そう思うと、出会うきっかけになったここが潰れるというのは……少しだけ嫌だな。多分、これが寂しいとかそんな感情だろう。何かが起きない限り続くことはない……分かってはいるが、その何かが起きて欲しいと願う自分がいる。というか……

 

「絶対に何かが起きるだろ……」

 

 不思議とそう思えてしまう。だからその何かがいい方向へと転ぶようなものであることを願うだけだ。

 

「けいさんは……混ざらなくていいんですか……?」

「そう言うりんさんこそ、混ざらなくても?」

 

 窓際にいるとりんさんが話しかけてくる。

 

「ここに居る皆さんは平気だけど……やっぱり……人が多いのは苦手で……」

「そうですか」

「けいさんは……賑やかな方が好きだと……」

「そうでもないですよ。俺だって落ち着いた感じも好きですし……それに」

「それに?」

「眩し過ぎるんですよ。ここは」

 

 俺のようなやつにとってはあまりにも輝いている。ただ、やはりというべきかもうすぐこの場所がなくなってしまうことが改めて思い起こされ、悲しそうな表情を浮かべ始める人たちが現れる。

 そんな彼女たちの悲しそうな思いを上書きするように、香澄を中心にして、最後のライブに対して意気込んでいる。そんな様子を外から見守っている……そんな時だった。

 

「……あ」

「どうしました?」

「いえ……雪が……」

「え?」

 

 あれ?今日って雪の予報は出ていなかったんだけど?というか、少し前まで屋根上にいたけど一切降る気配はなかったはずなんだけど?

 他の皆も気付いたのか、外に出て行く。俺も不思議に思って外に出て行くと……。

 

「皆!ミッシェルサンタからのプレゼントよ!」

「はいはいメリクリメリクリー」

 

 ミッシェルが何か……その……雪を降らせる機械的な何かで人工雪を降らせている。うわぁ……よく運んだなぁ……じゃなくて。

 

「あそこって確か……」

「危ない!そこは今、修理中の……!」

 

 まりなさんの叫び声と共に崩壊し始めるCiRCLE。そしてその崩壊に巻き込まれるこころとミッシェル……

 

「……っ!」

「け、慧人さん!?」

 

 二人が巻き込まれるのが見えた瞬間には、既に身体は動いていた。助ける助けないと言った迷いはなく、危ないなんて考えることなく、崩れ落ちるCiRCLEに飛び込んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして、数秒の後……そこには瓦礫の山が出来ていた。




~一分で分かる、本ルートと千聖ルートの分岐~

分岐点は二年生夏休み終了時点。

本ルート→紗夜からの好感度>千聖からの好感度の状態で千聖がヤンデレでない。

千聖ルート→紗夜からの好感度<千聖からの好感度の状態で紗夜がヤンデレでない。また、クールビューティー教に本ルート程染まっていない。

ちなみに裏ルートのリサルートは、友希那と出会った後、友希那とある程度関わりを持った状態で1年生の冬に入るまでにリサと接触。そのままリサからの好感度を紗夜、千聖からの好感度より高めた状態で二人がヤンデレでない場合に発生する。
また、この場合、慧人のクールビューティー教への染まり具合で、リサのヤンデレルート、通常ルート、クールビューティールートに分岐する。本編のように紗夜を慕いまくると、ヤンデレルートへ。慧人がクールビューティー教をリサに説きまくると、クールビューティールートへ。どちらでもないと通常ルートへ移行する。

ちなみに全員分考えるのはめんど……大変ですが、紗夜さんや千聖が基準になるのは言うまでもない。
もし、これがギャルゲー的な何かなら、紗夜ルートと千聖ルート以外に行くのは至難の業。普通に攻略していくとほぼ100%紗夜ルートに行きます。最難関は、変態にならない千聖ルートと、ポンコツにならない紗夜ルートです。

と、ここまでの話が一切関係ないアンケートが下にありますので、もし良ければどうぞ。

あなたは生徒会役員だとします。誰に生徒会長になってほしいですか?

  • 冬木慧人
  • 氷川日菜
  • 白金燐子
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