クールビューティーな紗夜さんを返して(涙)   作:黒ハム

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この作品のメインヒロインが誰か知っていますか?
答えは紗夜さんですよ。ということで、やっぱり最後はこの二人ですね。


クリスマスとはなんぞや? 多分これが解答編

 12月25日の午後。俺は紗夜さんと二人きりで話していた。

 あの後、校長室で笑い合っていたら恐ろしい気配が接近していることに気付いた俺。まっすぐ向かってきたので、学校に入れさせないべく立ちはだかったが、なんとまぁブチ切れた紗夜さんだった。反転して逃げようとした俺の首根っこを掴んで……ねぇ?とりあえず、逃げないから首根っこはやめてもらい、代わりに腕組みで妥協された。もっとも、逃がさないためか力が強いけど。

 

「いいですか?色々と言いたいことだらけですが、報告連絡相談が必要だと習わなかったんですか?」

「習ってないです」

「素直でよろしい。今、学びなさい。いいですか?まず、昨日の話を思い出してください」

「昨日……ああ、CiRCLEが崩壊しましたね」

「えぇ。そこから私たちは協力して最後のライブのために動くという方針になったはずです」

「もちろん。覚えていますよ」

「でしたら初日である今日に、何故サボったんでしょうねぇ?」

 

 すると、とてもいい笑顔でこちらを見てくる。そのあまりの怖さ……失敬、眩しさに俺は顔を逸らして答える。

 

「いえ、サボっていません。急用が入っただけです」

「では、何故それを私に報告しなかったのですか?」

「…………」

「怒らないから正直に言ってください」

「別に報告しなくてもいっかな、って」

「…………」

 

 あ、無茶苦茶怒ってる。怒らないって嘘じゃん。

 

「……全く、で?慧人さん。なんであんなバカな真似をしていたんですか?」

「え?バカな真似?」

「授業崩壊ですよ。いえ、正確には補習崩壊でしょうか」

 

 ……ちょっと待て。いや、紗夜さんが虎南高校に来た時点で()()()()けどちょっと待て。何で知っているんだ?……いや、待てよ。限りなくゼロに近い確率でだが鎌をかけている可能性もある。一旦、ここは白を切るか。

 

「……何のことですか?」

「ふふふっ。教室でトランシーバーでのやり取り、鮭を捌いて、掃除機を使って換気したり、筆で巻物に書いて、スピーチをして先生に胸倉を掴まれて……ふふっ。全部見ていたから知っているんですよ?」

「…………」

 

 え?マジで?そう思って空いている手でスマホを取り、

 

「もしもし警察ですか?はい。背筋が凍るようなヤバいストーカーが俺の左に……」

「わわっ!?ちょ、け、慧人さん!?ストーカーなんて誤解ですよ!?誤解だからそのスマホを一旦切って下さい!」

「大丈夫ですよ。かけていませんから」

「あ、そうなんですね。よかったです」

「冗談は置いといて、こころのところの仕業ですか?大方、教室に仕掛けられていたカメラを通して見ていたんでしょ?」

「……え?」

 

 俺が自分の達した結論の答え合わせをしようとしたら、紗夜さんが固まった。

 

「どうしたんですか?」

「いえ……その通りなんですが……え?カメラが教室に仕掛けられていたこと知っていたんですか?」

「何言ってるんですか?仕掛けたの俺ですよ?」

「……え?」

 

 二度目の驚愕。何というか……理解できないって顔をしている。

 

「あー説明が必要ですかね?」

はい。私、説明、欲しい

「何か喋り方おかしいけど……えっと、アレは授業と言うより、あの教師を潰すために校長と協力し、補習のあったバカどもを使った劇だったんですよ」

劇?

「あの教師はどうにも問題があるらしく、ウチの生徒たちに色々と迫っていたりとか、若手の教師にも自分の優秀さを盾にで圧をかけていたらしかったんです。まぁ、俺もめんどくせぇオーラは感じていたので、今回の潰す計画に加担したんですけどね」

なるほど

「校長と示し合わせたプランは、俺が主体となって煽り暴力沙汰にさせるから、そのタイミングで登場して現場を目撃してくれってことですね。で、バカどもには昨日の鬱憤を晴らすからバカなことしようぜって言ったらすぐに協力的になりました」

 

 まぁ、元々復讐するつもりだったバカどもを、俺が操ったって言った方が正しいか?

 

私、理解。つまり、慧人さん、黒幕

「まぁ、そうですね。だから校長がカメラ越しに監視していました。ちなみに、弦巻家の黒服さんに色々と物資は頂きました」

慧人さん、悪。私、ここで、滅ぼす

「あれ?紗夜さん?何でさっきから機械みたいな喋り方しているんですか?え?あの、腕はその方向に曲がらないというか……ちょっ!?話聞いてました!?先に仕掛けたのは向こうだから潰しただけで……!」

理解、不能。分かること、慧人さん、魔王。私、ここで、討つ

「分からねぇですよ!?……はっ!まさか、俺に対して怒らないといけない感情とか、理由が理由でしょうがないって感情とか様々な感情が合わさってオーバーヒートしている!?ちょっ!風紀委員をやっている真面目でお堅い紗夜さんにとっては、相容れない方法ですが今回は許してください!?」

許す、知らない。私、ここで、討つ。弁明、余地なし

 

 なるほど。普段では想像も付かない事態が起きると人ってこうなるんだな。また一つ賢くなったな……というわけで、誰か助けて。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「慧人さん。私、実は怒っていることがあるんです」

 

 夜。CiRCLEから二人で帰路に着いた俺と紗夜さん。あの後は頑張って再建に貢献したよ。瓦礫を運んで、瓦礫を蹴り飛ばして、瓦礫を破壊して貢献しました。

 

「え?なんですか?今日のことは既に散々怒られた後ですけど?」

「いえ、今日のことではありません。昨日のことです」

「昨日?」

 

 昨日だと?俺、昨日何かしたか?別に、不良どもをボコったのはいつも通りだし……いや待てよ?今回は割と数もいたし……まさか、そんなことをしていたからなのか?冬休み初日から暴力沙汰を起こしたからか?いや、でも証拠隠滅に目撃者封じはしたし……あ、一人居たわ。千聖の口を封じてねぇわ。

 

「昨日、CiRCLEから白鷺さんと二人きりでしたよね?そのまま二人で帰りましたよね?」

「すみませんでしたぁ!」

「え?あ、怒っていると言ってもあ、アレですよ?その……私は昨日も一緒に帰りたかっただけで……それに、白鷺さんが言っていたんです」

 

 あれ?思ったより怒っていない?てっきり、不良どもの溜まり場に乗り込んで壊滅させたことを怒られると思ったのに。

 

「とても刺激的なデートだった……って」

「…………」

 

 確かに刺激的というか……刺激しかなかったというか……ねぇ?というかアレをデートって言っていたけどさ。

 

「……べ、別に、クリスマスイブにデートをしたことを怒っているんじゃないんですよ?別に羨ましいとかそんなんじゃ……」

「…………」

 

 髪を指でくるくるさせながら、そっぽを向いて答えている紗夜さん。

 どうしよう。これ、デートの内容を伝えたら、お説教だろうな。嫉妬とかじゃなくて普通に。うん。確実に怒られる。ここは上手く誤魔化そう。

 

「……紗夜さん。今からデートしませんか?」

「え?い、いいんですか?」

「時間はあまりないですけど、紗夜さんがいいなら」

「もちろんです!すぐに行きましょう!」

 

 そう言うと目を輝かせて俺の腕を取る紗夜さん。なんだろう。オーケーした途端この変わり様……何かあるな。まぁ、いいけど。俺も紗夜さんに渡したいモノがあったし。

 そして、紗夜さんに腕を引かれるままたどり着いた場所は……

 

「あ、すみません。このクリスマス限定ギガ盛ポテトセットとカップル限定メガ盛ポテトセットを下さい」

「…………」

「はい。ご注文は以上ですか?」

「はい」

「では注文を繰り返させていただきます。クリスマス限定ギガ盛ポテトセットがお一つと、カップル限定メガ盛ポテトセットがお一つ。カップル限定セットに付けるドリンクは下から選んでもらえますが」

「じゃあ、これで」

「分かりました。学生さんですよね?」

「はい。あ、学生証です」

「では、それぞれセットで付いてくるライスは、無料で大盛りに出来ますがいかがしますか?」

「じゃあ、二つとも大盛りで。大丈夫ですよね?慧人さん」

「…………」

「かしこまりました」

 

 俺が一言も喋らないまま話が進み、注文が終わったようだ。

 

「慧人さんと白鷺さんはズルいです。きっと刺激的なデートというのは、二人でこのクリスマス限定のスパイシーポテトセットを注文したに違いないです」

「…………」

 

 その刺激じゃねぇよと言いたかったが、もう疲れた。というか、え?ナニ頼んだこの人?ギガ盛ポテトにメガ盛ポテト?おいウェイトレス、何でポテトが二回出てきたことにツッコミを入れなかった?大丈夫って確認しなかった?

 

「紗夜さん。ポテトを頼みすぎでは?」

「ふっふっふ。この前理不尽なポテト禁止を受けましたからね。今日はポテト食べ放題ですよ」

 

 理不尽?あー変な夢のせいでポテトを禁止したことあったな。どこが理不尽なのだろうか?

 

「それに両方とも今日までの期間限定ですからね。これは食べないわけにはいきません」

「そうなんですか?」

「そうなんです。あ、二人で頼んだので、共有しましょうね。慧人さん8、私2くらいで」

「それだけ聞くとすげぇ優しい人ですね。ポテトは?」

「私10、慧人さん0です」

「…………」

「そんな目で見ないでください。まぁ、百歩譲って、私99、慧人さん1です」

「…………」

 

 この人は何故セットで頼んだのだろうか?というか夕食がポテトオンリーは流石にダメでしょ。

 その後は雑談をしながら一緒にポテトセット……失敬、紗夜さんはポテトを、俺は残りを待っていた。彼女はまるでクリスマスプレゼントを貰う前の子どものように目を輝かせていて、凄いテンションが高かった。

 そして……

 

「お待たせしました。ご注文のクリスマス限定ギガ盛ポテトセットとカップル限定メガ盛ポテトセットになります」

「はい、ありがとうございます」

「…………」

「ご注文は以上でよろしかったでしょうか?」

「えぇ、大丈夫です」

「それでは、ごゆっくり」

 

 …………本当にポテトセットがダブルで来たよ……と、思っていると……

 

「これは慧人さんの分(大盛りライス)。これは私の分(ギガ盛りポテト)。これは慧人さんの分(大盛りライス)。これは私の分(メガ盛りポテト)」

「…………」

 

 何か大盛りライスが二つも目の前にあるんだけど。寧ろそれ以外に今は目の前にないんだけど。というか紗夜さんに全部のポテトを盗られたんだけど。ポテトセットだったよな?頼んだもの。

 

「で、これは慧人さんの分(ドリンク以外全部)。これが私の分ですね(ドリンク)」

 

 そして、分けられたものを見ると……ねぇ?ドリンクとポテト全部が紗夜さんの前に。残りは全部俺の前に。いや勘違いしないで欲しいのは、俺が紗夜さんにポテトしかあげないってことでやったわけじゃないよ?あの人がポテトオンリーにしようと動いただけなんだから。俺は悪くない……悪くないんだが……

 

「紗夜さん。それでは身体を壊してしまいます。なので……」

「なっ!?に、人参が私の目の前に……!?」

「はい。あーん」

「め、目が怖いです……!」

「あーん」

「い、嫌……いやぁぁっ……」

「あーん」

「うぅ……あ、あーん」

 

 紗夜さんが目の前に差し出された人参を涙目を浮かべながら食べる。何だろう……

 

「はい。あーん」

「れ、連続人参!?ぽ、ポテトで牽制を……お口直しを……!」

「あーん」

 

 紗夜さんのそういう顔ってすげぇそそる。もう一回やろ。

 

「け、慧人さん?よからぬ事を考えていませんか?」

「あーん」

「絶対によからぬ事を考えていますよね!?私はポテトにいつありつけるんですか!?」

「あーん」

「こ、これが魔王の圧力……!な、何て凄まじいんですか……!」

「あーん」

「くぅ……さ、逆らえない……!あ、あーん……!」

 

 どうしよう。すげぇ楽しくなってきた。でも、これ以上はやめた方がいいよな?いや、これ以上やると……ねぇ?抜け出せなくなりそう。いや、でももう一個だけ……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 あの後、にんじんを差し出して楽しんでいたら、ガチ泣きされそうだったのでポテトに切り替えた。でも、仕方ないと思います。あれは紗夜さんの表情が、反応が、俺の中に眠るサディズムという名の悪魔をたたき起こしたのがいけないんです。だから俺は悪くありません。(反省する気ゼロ)

 

「今回はポテトを全部渡してくれたので許しますが、次やったら許しませんよ」

「えぇ。じゃあ、次もしっかりポテトを献上するので、やらせてもらいますね」

「ぽ、ぽて……いえ、ポテトを渡されても許しませんよ!」

「じゃあ、ポテト抜きでやらせてもらいます」

 

 仕方ない。どうせ許されないなら、ポテトを渡さなくていいや。

 

「そういう問題じゃないですよ!?許されないならポテトを渡さなければいいってわけじゃないですよ!?」

「え?違うんですか?」

「違います。というか、そもそもやることが問題なんです!」

「えぇ……でも……」

「でもじゃないです」

「だって、凄い楽しかったし……」

「私は楽しくないですよ!?」

「反応が可愛かったし……」

「か、可愛っ……ってその手には乗りませんよ!」

「それに、ポテトばかりだと栄養が偏るし……」

「何を言っているんですか?フライドポテトは万能料理なんですよ?ビタミンC,E,B6,Kにカリウムにタンパク質が取れるだけではなく、食べるだけで幸せになれる……そう、ドーパミン(快楽物質)をたくさん出すのを助けてくれるんです。それからそれから……」

 

 …………なんだろう。危険なものじゃないよな?フライドポテトのことだよな?紗夜さんの説明的に食べ始めると止まらない、中毒性もありそうなんだけど。

 

「紗夜さん」

「何ですか?」

「今度また禁ポテ生活しましょう」

「どうしてそうなるんですか!?」

「そんな危険なものを食べ続けさせるわけにはいきません」

「ポテトの何処に危険な要素があるんですか!」

「全部です。あなたの説明を聞く限り、ヤバい食べ物にしか聞こえません」

「ぐぬぬ……!じゃあ、慧人さんにも同じ事をしますよ!」

「どうぞ」

「ということで、好きな食べものは何ですか?それを禁止します」

「教えません」

「……何故?」

「だって、教えたら禁止されるので」

「分かりました。好きなものでもいいので教えてください」

「いや、何も分かってないでしょ」

「いいから教えなさい」

「……へーい。好きなものは紗夜さんです」

「…………それは禁止されたら困ります……」

 

 小声でボソボソと言っている……まぁ、すぐ横に……手を繋いでいるので、凄く近い距離にいるので聞こえている。ただ、そのことを言うと怒られるので聞こえなかったふりをする。

 

「じゃ、じゃあ、慧人さんの嫌いなものを教えてください」

「え?嫌です」

「…………」

「…………」

「何故ですか?」

「いいですか?相手との戦いにおいて、自分の弱点を教えるなど愚の骨頂。だから、教えません」

「ぐぬぬ……!じゃ、じゃあ、今度、私が手料理を振る舞うので、苦手なものを教えていただけると……」

「安心してください。アレルギーはないですし、紗夜さんの作るものなら何でも食べますよ」

「…………た、楽しみにしておいて下さい……」

「えぇ。楽しみにしておきますよ」

 

 なんだろう。少し紅くなっていた頬が更に紅くなっている。

 

「……明日はサボらないでくださいよ」

 

 少しして、不意に彼女が真面目なことを伝えてくる。

 

「……明日は明日の風が吹きます」

「そこは、『しっかり行くので心配しなくていいですよ』って言うところです」

「当社としては確約できないものは口に出さない方針でして……」

「弊社としては、確約してほしいのですが……」

「じゃあ、紗夜さんが迎えに来たら確実に行きます」

「分かりました。明日の朝、家に突撃しますね」

「…………マジ?」

「マジです。寝ていようが、炬燵から出たくないと言おうが、引きずってでも連れて行きますね」

 

 もの凄い笑顔……やっべ、明日はサボれないじゃん。それどころか強制的に家から連れ出されるの?マジで?冗談で言ったつもりだったのに……まぁ、サボりすぎるとアレだから、明日はきっと真面目に行くつもりだった気がするけど。

 

「……もう今年も終わりですね……」

「終わる前に大きなイベントがありますけど」

「えぇ、絶対に成功させてみせますよ」

「陰ながら支えさせてもらいます」

「お願いしますね」

「お任せ下さい。あ、そう言えば紗夜さん。年明け……1月3日くらいって空いてますか?」

「予定はありませんよ」

「一緒に出掛けませんか?」

「もちろんいいですよ。……でも、何故今聞いたんですか?初詣は一緒に行きますので、その時でもいいのでは……?」

「実はこちらを……」

 

 ということで持っていたあるものを渡す。

 

「こ、これは……宿のペアチケット!?ど、何処で手に入れたんですか!?」

「まりなさんが、福引きで当てたやつですね。……自分とは無縁の代物だからって、愚痴を聞く代わりにこれを。ちなみに、ここ最近の度重なる残業(CiRCLEの補修工事)分も兼ねてです」

 

 もっとも、補修工事をしていたCiRCLEは昨日瓦礫の山に変わったけど。

 

「で、でも……誘うのが私なんかでいいんですか……?」

「何を言っているんですか?あなたを誘いたいから誘ったに決まっているでしょ?」

「えっと……えっと……こ、心の整理をさせてください!」

 

 そう言うと何回か深呼吸をして、落ち着きをはかる。そして……

 

「分かりました。一緒に行きましょう。必ずや、親を説得してみせますので」

「楽しみにしていますね」

「えぇ……私も」

 

 今日見た中で一番顔が紅くなっている。でも、その横顔は何処か嬉しそうだ。よかった……虎南高校で会ったときは般若というか……ねぇ?そんな感じだったからよかったよかった。

 

「そろそろですね。じゃあ、今日はこの辺で」

「ま、待ってください」

 

 そう言うと手を放して、代わりに正面から抱きついてくる。

 

「少しだけ……このままがいいです」

「……そう」

 

 俺は彼女の背中に手を回して抱き寄せる。

 

「……今日は付き合ってもらってありがとうございました」

「いえいえ」

「……でも、午前中みたいな暴動はダメですよ」

「あはは……以後気を付けると信じてください」

「……今度はもっと怒りますよ」

「イエス、マム」

 

 あれより怖いとなると流石の俺でもヤバいと思う。うん、今度はもっとバレないようにしよう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ~おまけ(没ルート)~

 

「あ、すみません。このクリスマス限定ギガ盛ポテトセットとカップル限定メガ盛ポテトセットを下さい」

「なるほど。では、カップルらしいことをしてもらえませんか?」

「はい?」

「はい。カップル限定セットは、我々がカップルだと認めた人たちに提供しております」

「な、なるほど……具体的にはどのようなことを?」

「そうですね……キスとか」

「ききききキスですか!?」

「そうですよ?()()()カップルなら見られながらは恥ずかしいかもしれませんが出来ないわけがないですよね?」

 

 なるほどな。確かに、カップル限定セットと銘打っているためか、通常のよりは良心的な価格設定に見える。男女で来ているだけで皆に提供していたら利益が減るだろうな。

 

「わ、分かりました!い、行きますよ」

 

 机を挟んで座る紗夜さんが勢いよく立ち上がる。頬は少し……いや、かなり紅潮しているようだ。

 

「ちなみに制限時間は30秒です」

「さ、30秒ですか!?心の準備を……」

「カウントダウンスタート、29、28……」

「ちょ、ちょっと早いんじゃ……」

 

(どうしましょう!?ポテトは食べたいけど、慧人さんとき、キスだなんて……うぅ、は、恥ずかしい……そ、そんなの無理ですよ……!)

 

「紗夜さん。目、閉じて」

「え?」

 

 カウントダウンも20を切った頃だろうか。紗夜さんが慌てふためいているように思えたので俺から行動を起こす。

 軽く立ち上がり、紗夜さんの唇に自身の唇を合わせた。

 

「これで、いいですよね?」

「はい!」

「すみませんね。彼女は少々恥ずかしがり屋でして」

「…………」

 

(私の見立てでは、男の方もウブだと思ったけど……なるほどねぇ。彼がリードする側だったんだ♪いやー本当はそんな縛りないけどいいもの見せてもらった♪)

 

「では、お待ちくださいね♪」

「はい。お願いしますね」

 

 そう言って去っていくウェイトレス。その足取りは軽やかだった。

 

「ふぅ。紗夜さん?固まってどうしましたか?」

「き、キスをした……これはもう結婚?慧人さんと結婚ですか?そ、そんなもちろんオッケーで……はっ!も、もしかしてこのままホテルで初夜を(ぶつぶつ)」

「おーい」

「け、慧人さん……」

「何ですか?」

「着物とドレス……式はどちらがいいですか?後、何月がいいとか希望はありますか?」

「え?」

「あ、後……子どもは何人に……」

「はい?」

「こ、これは報告をしておかないと……」

 

 この後、二人がどうなったか……それは神のみぞ知る。




多分、おまけならこのまま付き合うんでしょうね。本編?何故かまだまだ先ですね。だって、この章の最後ですからね。
ちなみにクリスマス編4話合計で30,000字を超えました……あはは。
次回はいつでしょうね……(遠い目)


慧人くん
ドS・マイペース・魔王と混るな危険が混ざった男。
反省という言葉は彼の辞書にはない。
そして、恥じらいという言葉も彼の辞書にはなかった。

紗夜さん
唯一慧人くん(最強の魔王)を打倒できる存在(?)である。
彼女にはポテトしか見えていなかった様子です。
ポンコツポテト狂メインヒロインだけど恥じらいという言葉は知っていたらしい。
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