クールビューティーな紗夜さんを返して(涙)   作:黒ハム

8 / 79
日間ランキングにも載っていてビックリです。
お気に入り登録してくれている人や評価をして下さってる方々、ありがとうございます。


ぽてぽて降臨

 CiRCLEでのRoselia式(?)会議も終えて、現在。

 

「わーここが慧人くんの部屋かぁー」

「…………思ってたより綺麗ね」

「ぽてぽて」

「えと、おじゃまします……」

「初めて入ったよ!」

 

 Roseliaの女子五人が俺の家にやって来て、今俺の部屋に勢揃いしている。

 おかしい。俺が招いたのは紗夜さんだけのはず……なのに何で、皆で行こーっ!的な感じになったのだろうか?

 

「慧人くんの部屋だから壁一面にクールビューティーな人の写真が貼ってあるかと思った」

「ぽてぽて」

「…………紗夜もそれは分かるって」

「私も今のは分かりました……」

「段々と通じるようになってきた!」

 

 それは偏見が過ぎるけど…………もういいや。日頃の行いってやつだな!

 

「とりあえず皆さん。ここに居てください。トイレの位置は先ほどお伝えした通りです」

「「「はーい」」」

「ぽてー」

 

 …………はぁ。まぁいいか。

 

「さてと……作るか」

 

 じゃがいもは既に買ってあるし家にもストックがあった分も使っていく。

 

「…………フライドポテトを」

 

 取りあえず色んな種類作ろうとは思うが……心配だ。女子が自分の部屋に五人……何もなかったらいいけど。

 で、そんなこんなで一時間ほど何種類かのフライドポテトが完成した。え?料理工程は?いや、男が一人で淡々と作ってるとことか需要ねぇだろ。

 

「うーっす。出来たぞ……何してたの?君たち」

 

 二階にある自分の部屋に入ると、何だかものの配置が少し変わっていた。

 

「…………エロ本を探していた」

「あーそういうこと」

 

 よくもまぁ包み隠さず言ったなこの人。普通ごまかすかはぐらかすだろうに。

 

「生憎、探してもないですよ」

「えぇっ!?慧人くんって本当に健全な男子高校生!?」

「待て待て。それは健全な男子高校生を誤解している」

「ぽてぽてぽて……ぽてぽて?」

「『もしかしなくとも……頭おかしい?』だって?オイコラ表出ろ」

「だ、ダメだとは思ったんですけど……」

「興味には逆らえなかったと」

「あ、でも代わりにこれ見つけたよー!」

「えーっとそのノートは……あ」

 

 そ、それは……!

 

「な、中身は……?」

「難しくてよくわかんなかった!」

「…………一体何なの?あれは」

「……秘密です」

 

 そっぽを向く俺。するとりんさんが肩に手を置いてくる。

 

「やっぱり仲間ですね!私たち!」

 

 振り向くとそこには今まで以上に目を輝かせた彼女が……あ、はい。そうっすね。

 いやね?一時期ゲームをガチでやっていたわけですよ。で、ゲームのイベントとか、どんなに頑張っても実装されてすぐには攻略情報があがらない訳ですよ。だからどういうのが最適か、全部ノートに書いて実践して修正して……って繰り返してたわけなんです。多分だけど、ある種の黒歴史です。いやもう……ほんと……仲間が居るとは思わなかったのが正直なところです。ちなみに俺のやるゲームはオンラインゲームだけにとどまってないから全体的に見るとりんさんには勝てそうにないのが本音です。

 最近はやるとしてもルーズリーフとかそういう系にやってるけど、昔はノートにまとめてたんですよ……だから。

 

「そんな同志を見る目で見ないで……」

「いいえ。もう知ってしまった以上、赤の他人とは思えません!」

 

 よく分からない間にりんさんとの距離が今まで以上にぐっと縮まった気がする。チョロいのか?実はチョロいのか?

 ちなみにリサ姐と紗夜さんもよく分からないって顔をしていた。やめて。寧ろ何でこの人読めたの?他人から見たら暗号とかにしか見えないはずなんだけど?

 

「それよりいい匂いがするね☆」

「気付きましたか。では降りてきてください」

 

 俺が先導して、リビングへ。その机の上には……

 

「ぽ、ぽてぽて……!」

 

 ポテト、ポテト、ポテトである。

 

「え?誰が作ったの?」

「俺ですよ。こう見えて料理するのは好きなんで」

 

 得意……と言えるかは分からないが好きではある。

 

「…………意外ね」

「よく言われます。さ、手を洗って召し上がれ」

「わーい!」

 

 手を洗ってくる五人。そして各々が低いテーブルの近くに腰掛ける。

 

「じゃ、いただきます」

「「「いただきまーす」」」

 

 四人が一斉に食べ始める。

 

「…………おいしい」

「うん~」

「我が舌を…………!」

「唸らせる」

「唸らせるとはなかなかなもの……おいしいねこれ!」

「すごいです……」

 

 評価は上々ってとこか。さて、

 

「紗夜さん。食べないんですか?」

「わ、私は……遠慮するわ……」

 

 ポテトを前に人語に戻ったが……まぁいいか。

 

「そうですか。あ、飲み物はあるんで言ってください」

「ご、ごめんなさい……」

 

 ポテトを眺め、とても物欲しそうにする紗夜さん。そのせいか残りの四人も段々と遠慮がちになる。

 俺はキッチンのところへ向かう。仕方ない。最終手段発動だ。

 

『さよちゃんさよちゃん』

「「「……っ!!?」」」

『わたし、ぽてとのようせいなの。さよちゃんはぽてとたべないの?おいしいよ』

「ぐっ……!だ、ダメなの……!わ、私は……!私はっ……!」

『うわぁ……闇堕ちしまいと耐えてる主人公みてぇな反応だな……じゃなかった。コホン。さよちゃんさよちゃん。たべないの?さめちゃうよ?ぽてとがかわいそうだよ?』

「あああああっ!語りかけないで!私に語りかけてこないで!」

 

 両手を頭につけて、ヒステリックに叫ぶ紗夜さん。嘘だろ……苦肉の策にもほどがあると思ったのに効果覿面かよ。

 

「…………私たちは何を見せられてるの?」

「んー何だろうね?」

「凄いね!ぽてとの妖精って本当にいるんだね!」

「あこちゃん……あれはね」

 

 そりゃあ正気な四人からすれば珍妙な光景だよな。

 

『さよちゃん!わたしはね。とってもおいしそうにポテトをたべるさよちゃんがだいすきなの!』

「やめてっ!もうこれ以上はやめてっ!!」

『……どうして?』

「……私は……ポテトが好きなの」

 

 おっと、何か語り始めてないか?まぁ、どうせ太ったって話だから軽く流して、適当に何か言っとけばいいだろ。

 

「でも、この前体重計乗ったら1kg増えてたの!」

 

 ……え?

 

「恐る恐るウエストを測ったら0.5cm増えてたのよ!」

 

 …………え?

 

「ぽてとの妖精さんには分からないのよ!ポテトを……ポテトを食べ過ぎたあまりに太ってしまった私の気持ちが!」

 

 ………………え?

 ごめん。マジで分かんない。増えた単位がおかしいって言うか……それこそ俗に言う誤差では?

 

「私はバンドをやってるの!体型維持は基本中の基本!私の不摂生な食生活で太ってしまうなどあってはならないのよ!」

 

 悲痛な叫びをあげるが……え?チラッとリビングの方を見ると、何か皆頷いている。……嘘だろ?俺だけ共感できてないの?いやいや、まぁ体型維持とかはそうだけど……何?え?何でコンマ何センチの話してるの?

 俺、理解、出来ない。

 

「……それに」

 

 ……え?まだ何かあるの?ただえさえ理解追いついてないのに?

 

「……それに、太ってしまったら……きっと今みたいに慧人さんは関わってくれなくなる。太ってる人はクールビューティーなわけがないと言って見捨てられてしまう……」

 

 ……いやまぁ、確かに太ってる時点でビューティーじゃない気が……

 

「だから私は!好きな人の為にも体型を維持しなければならないの!好きな人と居られるためならポテトだって我慢して見せる!好きな人と居るためなら何だってするわ!好きな人……慧人さんを誰にも奪われたくない!だから……だから!私はポテトを食べられないのよ!!」

「………………」

「………………」

 

 沈黙がリビングを支配した。

 

「…………大丈夫?慧人くん」

 

 すっかり黙ってしまったぽてとの妖精こと俺を心配して見に来るリサ姐。

 

「……すみません……何か……心に来るものがありまして……」

 

 いやまぁ、何を聞いても流す自信はあった。何を聞いても平然で居られるつもりだった。

 でも…………さすがにその言葉を軽く流すことは出来なかった。

 彼女の心の叫び。それを流すなんて……俺にはできやしない。流す資格なんてない。

 だからどう答えるべきなのかが分からなくなってしまった。

 

『それはちがうよ。さよちゃん』

「…………っ!」

 

 すると隣から高い音が聞こえてくる。

 

「り、リサ姐……!」

「……後はアタシに任せて」

 

 り、リサ姐……!あなたって人は……!

 

『けいとくんはね。ぽてとをしあわせそうにたべるさよちゃんがだいすきなの。くちではなんだかんだいいながら、ぽてとをしあわせそうにたべるきみがだいすきなの!』

「よ、妖精さん……!」

『このぽてとはね?ただのふらいどぽてとじゃないんだよ?』

「…………え?」

『きみにたべてもらうために、けいとくんがあげずにつくったの。かろりーをすこしでもおさえるためにね。ほらひとくちたべてよ』

「…………お、おいしいです」

『さよちゃんはぽてとをがまんしなくていいんだよ……さぁどんどんたべてよ!しあわせそうなきみのかおをたくさんみせてよ!』

「は、はい……!」

 

 陰から除くと紗夜さんが凄い勢いで食べている。

 

「……気付いてたんですか?」

「まぁねー。食べて察して、調理台を見て確信かな?」

「結構騙す気で行ったんですけどね……」

「ふふん。アタシを騙すには100年早いよ☆」

 

 リサ姐……もう流石の一言しか出ないな。

 

「さてと、紗夜が禁止した原因は分かった。じゃあ君はどうする?」

「…………簡単ですよ」

 

 俺は立ち上がり彼女の下へと向かっていく。

 

「彼女がポテトを食べ続けられるよう。俺が手綱を握るだけです」

「うんうん。その意気だよ☆」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「紗夜さん。これ以上はNGです」

「ぐぬぬっ……あと1本。あと1本だけ……!」

「そう言って止まらないからダメなんです。ほら、後は俺が食うので」

「……これも明日のポテトの為、これも明日のポテトの為」

 

 こうして、俺がポテトの摂取量を管理(コントロール)するようになった……まぁやるからにはやってやるよ。そりゃそうだ。彼女の中身をクールに戻す前に外見がビューティーじゃなくなったらダメだもんな。

 ちなみにぽてとの妖精は千聖の耳に入り、珍しく大爆笑してたそうな。あの女……!というか録音していたやつ誰だよ!え?現在進行形でどんどん拡散中?こころが商品化希望?やめてくれ(懇願)

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。