六花テーマを作って愛用したらそのまま俺への愛が重くなった件について   作:白だし茶漬け

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今回は彼方さんとカレンちゃんのお話。勿論、天音ちゃんも登場します!

100話まであと少し!


星と宝石と庶民

 

 俺の名前は星空 彼方(ほしぞら かなた)。しがない高校生だ。

 

 下に妹がいて、天音(あまね)という10歳の子もいる。俺にとって、たった1人の大切な家族だ。

 

 たった一人っていうのは……言葉通り事だ。俺の親は俺が小さい頃に事故で無くし、今まで2人で過ごして来たという事だ。

 

 もちろんそれなりに苦労はしたが、これでも楽しく生活してる。

 

 そして、天音と俺にはある秘密がある。ただ説明するように、現状を説明した方が良いだろう。

 

 今天音は、クリボー、クリバー、クリビー、クリブー、クリベーの、通称クリボー5兄弟と遊んでいる。

 

 ぬいぐるみだって? 違う違う。本物だ。俺と天音は、デュエルモンスターズの精霊が見えるんだ。

 

 俺達の他に見えるのは、花衣君と花音さんの2人だけであり、花衣君は六花と閃刀姫、花音さんはアロマ、俺は銀河眼が傍にいる。

 

 こんな風に、精霊が見える者は特定のカテゴリーに属するモンスターしか使役出来ない。

 

 例えば、俺がティアラメンツのカードを使って呼び出そうとしても、うんともすんとも言わない。だが、必ずしも例外はある。それが天音の存在だ。

 

 天音だけは、ほぼ全てのモンスターを呼び出す事が可能らしく、このクリボー5兄弟もついさっき天音がカードから呼び出した奴らだ。

 

 これが可能ならドラゴンとかも呼び出すのは簡単だが……天音は極端にドラゴンや大型のモンスターを嫌っている。本人曰く怖いらしい。

 

「天音、楽しいか?」

 

「うん。この子達、もふもふしてて可愛い」

 

モフられているクリボー達も気持ちよさそうにしており、仲良く遊んでいる様子で何よりだ。そんな中、ほんわかした光景を壊すように、1人の女がこの家の扉をぶち開けた。

 

「彼方! 私と付き合いなさい!! 拒否権は無くってよ! おーほっほっ!」

 

 家の扉を容赦なく開けて高笑いをしながら入ってきたこの女は宝石カレン。本名を、カレン・シェーネフラウ・エーデルシュタイン。

 

 エーデルシュタイン家という詳細は省くが、世界でも有数な資産家の一人であり、行く行くは湯水の如く金を使ってもまた金が湧き出る泉のように手に入れられる彼女が、こんなボロアパートに住んでいる俺たちに声をかけてるのは……何でだろうなぁ。

 

 必死に勉強して、良い学校入って、そこがお嬢様学校で

 何か知らないがカレンに目をつけられて、それが2年も続いている。腐れ縁と言うか、なんというか……

 

「うるさいぞ、隣の人に迷惑だろ」

 

「迷惑と言っても、ここは防音でしょう? この前改装したばかりですわよね?」

 

「あぁ。お前がここの管理人さんを買収して無理矢理改修させたからな」

 

 なんという事だろうか、この女。勝手に家のアパートを改装したのだ。しかも外装では無く、内装をだ。

 

 おかげさまで防音、暖房器具の完備、WiFiまでもが備わっており、なんだここは新築かとツッコンでしまう。

 

 その間俺達は管理人さんから2泊3日分の金を渡されてホテルに止まり、帰ってきたら外装はボロいが内装はほぼ新築の姿に生まれ変わった。

 

 言うなれば新築ボロアパートって奴だ。……何だこのパワーワードは頭が痛くなってきた。

 

 全ては彼女、カレンの所業だった。

 

「ふっ、こんなに素敵な内装になったですもの。感謝してくださいまし」

 

 ドヤ顔でカレンはそう言ったが、俺の内心は複雑だった。

 

「……まぁ、ありがたいとは思っている。だが、それをしてお前に何かあるのか?」

 

「何と言いますと?」

 

「得があるのかって聞いてるんだ。正直、お前がやってる事は金を捨ててるのと同じ事なんだぞ」

 

 対して見返りもない事をカレンはしたがる。これだってそうだ。こんなボロアパートを改装しても、カレンにはなんのメリットも無いのだ。

 

 昔から意味の分からない事をしたがるが、ほとんど全て俺の為ということは分かっている。でなければ、こんな風にわざわざ俺の所に来る必要も無ければ、ここを改修する必要など無いのだから。

 

「あら、そんなの貴方の為に決まっているじゃない。フィアンセの為に動く……最高の妻では無くって?」

 

「一方的の間違いだろ」

 

 だが、カレンは一方的すぎる。俺に断りも無くここを改修するのもそうだが、他にも金銭的な面でもサポートしてくれてはいる……が、どれもこれも俺は一切頼んで無い。

 

 頼んでもいない事をカレンはやってしまうので、少し気が引けるというか……滅入ってしまう。

 

 本人は良かれと思っての事だとは分かる。だけどあまりにもこっちの相談無しが多すぎて困っており、はっきりいって迷惑だった。

 

「とにかく、こういう事はもう止めろ。お前だって立場があるだろ」

 

「立場……? そんなの私は気にした事なくってよ」

 

「俺が気にするんだ」

 

「だったら、私が貴方と同じ立場になれば良いのね?」

 

「は?」

 

「今日から、私は貴方と同じ庶民になりますわ! そして、私こそ貴方のフィアンセという事を思い知らせてあげますわ!」

 

 早速カレンは携帯を取り出し、誰かに電話していた。

 

「もしもし? 今日から私、家を出ますから。え? どういう事かって? そのままの意味よ。それじゃあ、荷物とかの手配をお願いしますわ」

 

「な、何してるんだ?」

 

「直ぐに分かりますわ」

 

 すると扉からノック音がし、カレンがすぐ様に扉を開け、扉の向こうには灰色の髭を長く伸ばした如何にも老執事という方がキャリーバッグを持って現れた。

 

 あの人は確かカレンの執事さんのはずだ。……ん? ちょっと待て。つまりあの人はカレンの屋敷からここまで来たと言うことか? 

 

 いや、それは有り得ない。何故ならカレンの家からここまではかなりの距離があり、電車で30分以上はかかるはずだ。そこから電話で直ぐにここまで来たという事は、絶対に近く居なければ有り得ない短さだ。

 

 いやそもそもカレンが今さっき「荷物を寄越せ」と言ったから、必ずカレンの屋敷に行かなければならない。

 

 にも関わらずにこの速さ……つまり、カレンの行動を予測し、予め荷物を用意し、カレンの近くに居なければ説明がつかない。

 

 カレンの突拍子も無い行動を予測出来るのはほぼ不可能に近く、それを可能にしているあの執事さんに驚きの目を向けると、執事さんは造作もないと言っているように丸眼鏡をクイっと上げ、眼鏡を光らせた。

 

「ご苦労さま。では、さようなら」

 

「はい。それでは私めはこれで」

 

 そうして老執事は居なくなり、カレンは大きな荷物を俺の部屋の中に入れた。

 

「という事で、今日からお世話になりますわ。私も庶民になったから、変な気遣いは無しでよろしくてよ」

 

「……ついて行けないな」

 

 一時間にも満たない激動が、まるで息をするようにあっさりと起こったことを、俺は飲み込めなかった。

 

「じゃあ、早速庶民の生活をしましょうか。さて、アフタヌーンティでもしましょう。お茶の用意をしましょう」

 

「普通ならしないぞ」

 

「な!? しないの!?」

 

「当たり前だ。食べるとするならこれだろ」

 

 俺は棚からポテチを取り出し、カレンに渡した。

 

 カレンは未知の物を見るかのように袋を見つめ、振ったり回したりしていた。

 

「彼方、これはなんですの?」

 

「ポテトチップス知らないのか?」

 

「まぁ! これが噂の……食べた事はありませんわ。早速と言いたい所ですけど……これ、どうやって食べるのかしら」

 

「袋の前後を摘んで開くようにするか、裏面にここから切れるって言うのがあるはずだ」

 

「あ、これですわね」

 

 カレンはポテチの袋を開け、一つだけ食べた。ポテチの硬い食感を堪能した後飲み込むと、無言でまた1つ、また1つと食べる手を止めなかった。

 

「ん……これ、中々に……美味しいですわね。もきゅもきゅ……あら? もう無くなったのですか? 彼方、おかわりはありまして?」

 

「もう無い」

 

「何ですって!? だったら早く買いに行きなさいな!」

 

「庶民が食べるお菓子は1日1個だ。それともお前、前まで菓子を何個も食べていたのか?」

 

「そ……それはまぁ、ケーキとかマカロンとかかなり食べてはいましたけど……」

 

「地位を捨てたんだろ?」

 

「ぐぬぬ……ま、まぁ。この程度何ともありませんわ! ご馳走様!」

 

 カレンは空のポテチの袋を律儀に折り畳み、ゴミ箱に捨てた。意外にも几帳面だなと関心し、俺は今後の準備を始めた。

 

「あら? どこかに行くのかしら?」

 

「バイトだ」

 

「バイト?」

 

「あぁ。俺が稼がないと生活がままならないからな」

 

「お金なら私が……」

 

「いらない。自分の生活は自分でさせてくれ。お前ならこの気持ちが分かる筈だ」

 

 これ以上カレンに手を助けられては、俺は多分だらだらとカレンの援助を受けてしまいそうになる。それはダメだ。アイツとしても、俺自身としても望ましく無い関係だ。

 

 カレンは何か言いたそうにしていたが、結局言葉を飲み込み、俺はバイトへと出かけた。

 

「お兄ちゃん、バイトに行ったの?」

 

「ええそうよ。大変ね、彼方も」

 

「うん。毎日ずっとバイトしてるよ?」

 

「え? 学校が休みの日も?」

 

「うん。ある時もずっとだよ。毎日毎日、お兄ちゃんは働いてるよ。それでご飯も作って、洗濯もして、夜遅くにはずっと勉強してるよ?」

 

「え……? じゃあ彼方はいつ寝てるの?」

 

「わかんない。私が夜遅く起きた時にはまだ起きてたよ。お兄ちゃんって勉強大好きだから」

 

「……そう。だったら話は早いわ! 今日は彼方の労いよ! 寝る子は育つと言いますもの! 天音、一緒に来なさい!」

 

「う、うん!」

 

 

 

 

「彼方さーん! オーダー入りました! ナポリタンお願いします!」

 

「はい、ただ今」

 

 バイト先のカフェでオーダーを受け、ナポリタンの調理を始める。最も、個人経営の小さいカフェで人は少ないが、知る人ぞ知る名店的な感じであり、常連が絶えず、新しい人も絶えない。

 

 そんな店にバイトが受かり、時給も良くて少し近場だ。閉店時間も早く、待遇も良い。それに雰囲気も落ち着いて働きやすい。採用条件とかは厳しかったが、良い職場だ。

 

「よし、ナポリタン出来ましたよ」

 

 出来上がった料理を前に出し、オーダー専門の人に料理が手渡され、奥のテーブル席の女性に渡された。

 

「お待たせいたしました〜!」

 

「ん、いただこう」

 

 無事に料理が渡され、フライパンを洗って次の料理へと準備したが……今日は人が少ない。

 

 休みの日だと言うのに珍しいなと思いながら、手持ち無沙汰で少し暇だ。この状況か続けば早閉めも有り得るかもしれない。まぁまだ昼過ぎだから何とも言えないが。

 

 そうしているとドアに付いている鈴がカランと鳴り、また1人客が入ってきた。今度は知っている人だった。あの髭と執事服を着こなし、まるで棒みたいに真っ直ぐ立っているあの出で立ちは間違いない。カレンの執事だった。

 

「いらっしゃいませ〜1名様ですか?」

 

「左様でございます」

 

「では、お好きな席へどうぞ」

 

「ありがとうございます。赤髪のレディ」

 

 そうして執事さんは開けているキッチンのそばにある席へと座り、俺の前に現れた。

 

「これはどうも。ついさっきぶりですね、彼方様」

 

「え、えぇ。あの、カレンの執事さん……ですよね?」

 

「えぇ。では1つ注文致しましょうかね」

 

 自己紹介をしようと思ったが、まるでそんな事が必要ないと言うように執事さんはテーブルのメニュー表を眺め、意外と早い注文が来た。

 

「では、カレーとコーヒーを頂きましょう」

 

「ん、カレーですか?」

 

「おや? 品切れですかな?」

 

「いえ、仕込みがまだ出来てなくて」

 

「だったら待ちますよ。コーヒーも料理と同じで」

 

「かしこまりました。じゃあ、待っててください」

 

 隣にある大鍋の中にあるカレーの状態を確認した。中にあるのは数時間煮込んだ肉や野菜、そして香り付けのローリエと、この店特性のアレンジスパイスを入れたカレー弱火でじっくりと煮込まれていた。

 

 これだけでも美味しいが、これでは少し辛口になってしまう。そこで隠し味に、すりおろしたリンゴとヨーグルトを加え、甘みとコクを引き出して更に煮込む。こうしてカレーに馴染むまで更に待つ。

 

 いつもならこの待っている時間で別の作業をするが、あいにく暇であり、意味もなく鍋の前でじっと待った。

 

「手際が良いですな。流石彼方様」

 

「バイト歴が長いのでね、慣れですよ」

 

「ほう? こちらには何年務めているのですか?」

 

「3年ぐらいですかね」

 

 俺が今の学校に入学した時から入ったから、多分それぐらいだ。オープンした当時から毎日の様に入ってるから、スタッフと言ってもいいかもしれない。

 

「逆にそちらはカレンの執事をして何年ですか?」

 

「はっは。私はカレン様が産まれた時からお傍に居させて貰っています。もうすぐで18年となりますな」

 

「それは、凄いですね」

 

「ほっほ、あんなじゃじゃ馬娘の傍を10年以上と、言いたいのですかな?」

 

「っ……!? いや、その……」

 

 心が読まれたかのように執事さんは俺の図星をつき、その反応を見た執事さんは笑った。

 

「いえいえ良いのですよ。確かに、カレン様はわんぱくがすぎる。ですが貴方の方こそ凄いのですよ」

 

「俺が……ですか?」

 

 すると執事さんはメガネを外し、服から眼鏡拭きを取り出してメガネを拭き、話を続けた。まるで執事では無く、傍にいた者の観点から話すかのように。その目はまるで、娘の成長を見守ってきた親のようなものだった。 

 

「……カレン様はとても高貴なお方で我が道を往く気高き人です。ですが同時に、寂しくも飢えているお方です」

 

「寂しい?」

 

 俺はそれよりも、飢えているという言葉に疑問を持った

 

 あいつの性格や家柄的に、欲しいものは何が何でも手に入ると思うのだが、執事さん的にはそう思っているらしい。

 

 なぜそう思ったのかと考えると興味が湧き始め、俺は執事さんの言葉を続けて聞いた。

 

「左様です。カレン様は我が道を突き進み、一度も信念を曲げた事は御座いません。ですがそれ故か少々トラブルも絶えない方でございまして……」

 

 うーん……簡単に想像出来るのが良くないな。

 

 人間関係のトラブルとか、そういうのには

 

「ですがそこは問題では無いです。逆に信念を曲げない姿勢や、そこから見出すカリスマに惹かれたのか、カレン様には多くの人がついて行っています」

 

「あぁ。そう言えば学校でも取り巻き……って言えば良いのか? そういう人はいますね」

 

「ですが、カレン様と対等に接する人は居なかったのです。……というより、我儘ですからね。下手に刺激すればどうなるのか恐ろしいのでしょう」

 

 まぁ、分からなくは無い。過去にカレンは人間関係でトラブルを起こしている。詳細は省くが、簡単に言えばカレンは何度か俺の学校の生徒を退学に追い込んでいる。

 

 美しくない。汚らわしい等の言葉を吐き捨て、俺が知っている限り10人はくだらない。それほどカレンの影響力は、あの学校では計り知れないのだ。

 

「ですが貴方だけは対等でいらっしゃる。何故ですかな?」

 

 どうやら執事さんが知りたいのはそこらしい。今度は執事さんが興味津々に答えを待っていると、俺は出来上がったカレーとコーヒーに手を伸ばしながら答えた。

 

「強いて言えば、対抗心。ですかね?」

 

「対抗心……ですか?」

 

「はい。アイツは誰よりも気高く、美しく、高貴であろうと努力してます。だけど、他人に『努力してるから評価するべきだ』なんて事にはならないように決してその姿は見せないんですよ」

 

 だからこそカレンは気高く、高貴なんだ。

 

 誰よりも美しく、高貴であると見せる為に努力を隠し、ありのままの自分を堂々と見せる。だから惹かれる物もあるのだろう。

 

「……だったら、俺も俺らしく接してやろうって、思っただけです」

 

 真っ直ぐに、カレンの目を見る。それがカレンに対しての1番の礼儀だ。

 

「はい。特製カレーとコーヒーです」

 

 スパイスの効いたカレーと、中挽きで挽いたコーヒーの匂いが鼻をくすぶり、食欲を刺激させる。これがこのカフェ定番の看板メニューだ。

 

「ほう、これは……では、頂きましょう」

 

 執事さんがスプーンを持ち、カレーを1口ゆっくりと食べる。

 

 今日ばかりは変に緊張する。いつも最高級の料理を提供している執事さんに対し、俺は上手く作れたのだろうか、味付けの工程をミスって無いかと、普段では考えられない不安が頭の中で思い浮かんでしまう。

 

 頼むから何か言ってくれと願いつつも、執事さんは食べたカレーを飲み込み、何も言わずにスプーンを置いた。

 

 その後ゆっくりとコーヒーの香りを楽しみ、1口飲んだ。

 

 砂糖とミルクも入れてないブラックコーヒーの風味を舌で味わい。堪能した後飲み込むと、執事さんは静かにカップを置き、俺を見た。

 

「……とても美味でございます。レシピもそうですが、貴方の料理の腕も感じられる品でございます」

 

「それは良かった。美味しくないって言われるかと思いましたよ」

 

「ははは。そんな事仰いませんよ。これならカレン様も喜ばれると思います」

 

「まぁ、レシピは店の物なので同じものは作れないんですけどね」

 

 心の重みが取れ、俺と執事さんの間にはコーヒーの匂いの様な落ち着いた空気が流れ始めた。執事さんはカレーを次々と食べ進み、コーヒーも残すことなく飲んでくれた。

 

「ご馳走様でした。では私めはこれで失礼致します」

 

「ありがとうございます。また時間があれば是非」

 

「はい。貴方とは、また喋りたいものです」

 

 そうして、執事さんは会計を済ませて店から出ていった。時間はもう18時過ぎ……そろそろ夜のお客さんが来てもいい頃だとは思うが、意外にも人が来なかった。

 

 これは暇な時が続くなと覚悟していた時、カフェの先輩が声をかけた。

 

「彼方さん。今日は暇だから、先上がってもいいわよ? 時給とかは変わらないようにしとくから」

 

「え? 良いんですか?」

 

「ほぼ毎日来てるからこのくらいするって。それに、彼方君が来てお客さんが増えて店長も待遇を良くしてって言われてますから」

 

「はは。こっちも採用してくれて嬉しいですよ。じゃあお言葉に甘えて……お疲れ様です」

 

「はーい。お疲れ様」

 

 思わぬ展開の続きで少し不思議な一日となったが、まぁいつも通りと言えばいつも通り……いや、家に帰ったら天音だけじゃなくてカレンもいる。

 

 あいつが何時まであそこにいるかが問題だが……あいつの事だ。多分ずっと居座る気満々なのだろう。

 騒がしい日々がまた騒がしくなるかと思えば、憂鬱にも楽しみにも感じた。

 

 今までの生活は……ちょっと静かすぎたからな。騒がしい奴が1人増えるぐらいが丁度良いだろう。

 

 アイツが折角来たから今日は少し奮発でもしようかなと考え、近場のスーパーへと足を運んだ。

 

 折角だからすき焼きにでもするかと、食材を買い。ボロアパートだが中は新築相当の家に帰る。本当に外観からは想像つかないほど中が綺麗なんだよなぁ……恐るべしと言うべきか、流石と言うべきか。

 

 とにかくドアを開けて中に入った瞬間、何か焦げ臭い匂いが鼻についた。まさかとは思うが火事が起きたのかと思い、急いで中に入ると、意外な物が目に映った。

 

「あら? とろみがつきませんね? こういう時は片栗粉を入れれば良いんですわよね」

 

「あれ? カレーに片栗粉入れるの?」

 

「えぇそうよ。それに隠し味にチョコレートやコーヒー。あとヨーグルトを入れたら更に美味しくなると私のシェフが言ってましたわ! これらを入れたら更に……」

 

「おい、お前何をやって……」

 

「きゃぁぁぁ!!?」

 

 大量の片栗粉とチョコ、コーヒーにヨーグルトを鍋にぶちまけようとしているカレンを止める為に急いで止めに入り、びっくりしたカレンが聞いた事無い裏声が出た中、カレンは持っていたお玉を俺に殴りつけた。

 

 幸いお玉は百均で買ったゴム製の物だった為、頬のダメージは少なかったがそれでも痛い。

 

「あっ、か……彼方!? お、おかえりなさい」

 

「迎えにしては随分手荒いな……」

 

「ご、ごめんなさい……じゃなくて! いきなり声をかけるのはレディに対して無礼よ!」

 

「いきなり人の顔にお玉を殴るのも大概だけどな……ところでお前は何をやってるんだ」

 

「へ!? い、いや……何でも無いわよ」

 

「後ろのカレーがあって何でもない訳無いだろ」

 

「お兄ちゃんおかえりなさい。カレンお姉ちゃんね、お兄ちゃんの為にカレー作ってたんだよ」

 

「こ、こら! 止めなさいそんな事は!」

 

「え? でもカレンお姉ちゃん、お兄ちゃんの為に……」

 

「天音!? 貴方はお部屋に居て待ってなさい。ほら、火もあるから。ね? ね?」

 

「……? うん。分かった」

 

 天音が余すこと無く、状況を教えたせいでカレンは顔を真っ赤にさせ、体をもじもじさせた。

 

「え、ええと……彼方。これは貴方の為じゃ無くて、私の為に作ったのよ。ええとほら、私は今は庶民だから、庶民は自分で料理を作る訳でしょう? だから私が直々に作った訳よ。だから決して貴方の為じゃ無くってよ!」

 

「じゃあお前、相当食いしん坊なんだな。そんな大鍋のカレーなんか作って」

 

「〜〜!!」

 

 明らかに1人分のカレーの量じゃない大鍋にツッコミ、カレンは声にもならない声で叫び、頬を膨らませながら小さく地団駄を踏み、また新しい言い訳を考えていた。

 

 だが、ボロが出まくっているのでいくら言い訳を見つけても無駄なんだけどな。

 

 カレンが言い訳を考えている間、鍋から沸騰した水が溢れ出し、沸騰した水がガスの火に当たり、ジュワっした音が鳴った。

 

 それを見たカレンは言い訳を考えるのを止めてガスの火を消し、鍋の中身が見て無事な事を見たカレンはホッとしていた。

 

「手伝おうか?」

 

「い、いらないわよ! この程度私1人で充分ですわ!」

 

「誰かを手伝うのも、それに甘えるのも庶民だぞ?」

 

「だ、黙りなさい! 例え庶民になっても私のプライドまでは高貴なままですわ! 貴方はさっさと休んでいなさい! これは命令よ!」

 

「はいはい。わかったよ。……あと、ルーはそこの引き出しにあるからな」

 

「……ん、ありがとう」

 

 一応部屋にはいかず、キッチンのすぐ側にあるテーブルでカレンのこと気にも止めないフリをし、脇目でカレンの様子を見続けた。

 

 危なかっしい包丁使いに無駄な隠し味を入れようとしていて少しヒヤヒヤした。まさかの片栗粉を入れようとしたのは流石に止め、何とかカレンが作ったカレーが出来上がった。

 

 部屋にいた天音を呼び、カレーを更に持って3人一緒にテーブルに座る。

 

 ……なんか切り方が雑で具材が一口では食べられない程大きいが、それ以外は至って普通のカレーだ。食べられない事は無いだろう。

 

「さぁ、私が直々に作ったカレーですわ! 有難く食べなさい」

 

「わぁ〜美味しそう! いただきま〜す」

 

 まず天音がカレーを一口食べた瞬間、天音は苦い顔をしてカレーを少し吐き出し、不味さを逃がすかのように舌を出して涙目を浮かべてしまった。

 

「うぇ〜! なんかこれしょっぱい!」

 

「えぇ!? そんな訳……」

 

 驚いたカレンは自分のカレーを食べた瞬間、冷や汗をかいて吐き出そうとしたカレーを必死に手で押さえ、気合いで飲み込んだ。

 

「うぐっ……な、なんですのこれ……!?」

 

「お前が自分で作ったんだろ……」

 

 2人の反応で食べる気を失せたが……食べてみないと分からない。俺も1口カレーを食べた瞬間、しょっぱさとカレーの風味がぶつかり合ってとてもじゃないが食べられない物になってしまっていた。

 

「おいカレン……カレーに何入れた?」

 

「ええと……隠し味にオイスターソースにヨーグルトに……あと、醤油と胡椒とスパイスを入れたわ!」

 

 なるほどな……このしょっぱさ多分その全部の物から来たものだろう。というかルーを入れたら完成なのにまさかのスパイスを入れるとは……まぁだが、これなら何とか軌道修正は可能だ。

 

 丁度買ってきた物の中にリンゴがあったから、それをすり潰して混ぜれば何とかなる筈だ。

 

 早速キッチンに立ってリンゴを切り、1切れ分を切ってよそった物に、残りをカレーに入れれば多分何とかなる。

 

 リンゴをすりおろし、他の調味料を少しだけ加えて味を整え、味見すると丁度良く出来た。同じ調味料や使った物ををさっきのカレーに混ぜて食べると、やはり同じだ。上手くできてホッとした。

 

「ほら、これで食べられるぞ」

 

「わーい! はむ……んんー! 美味しい〜」

 

「確かに……うぅ、私が作ったのに……」

 

「失敗は活かせばいいさ。ほら、早く食べないと冷めるぞ」

 

 何とか食べられるようにしたカレーを天音は美味しそうに食べ続け、いつしか天音はとんでもない事を言い出した。

 

「なんだかお兄ちゃんとカレンお姉ちゃんって、お母さんとお父さんみたい。こういうの、夫婦って言うんだよね?」

 

「ぶっ!?」

 

「あら、よく分かってるじゃない。まぁ、彼方は私のフィアンセだから当然よね」

 

「誰がフィアンセだ。俺の意見も聞こうとしないくせに」

 

「ふふ、お兄ちゃん。ご飯中にそんな喋るの初めてかも。楽しそうで私も嬉しいな」

 

「天音……」

 

 そういえば、こうして家で喋りながら食べるのは何年ぶりだろうな。親が居なくった以来だろうか。

 

 こうして居れるのもカレンのおかげだと思うと、しみじみする所もある。カレンが居たおかげで、静まり返った世界に音が響き、少しマシな世界になった様な気がする。

 

「……そっか、そうだな」

 

「な、何よ。そんなに私の事見て」

 

「いや。感謝してるだけさ」

 

「???」

 

 何が何だか分からない顔をしているカレンだが、これは素直に物を言わないカレンへのお返しだ。

 

 俺も俺で、心の中で感謝をして口で言わず、何も知らないカレンの見て笑いながら飯を食った。

 

 

 

 

 そして夜がふけ、日課の勉強を始める。日中のバイトと天音の世話。平日だったら学校もあるから、夜遅くのこのぐらいしか勉強の時間が無い。

 

 俺が在学している学校は、カレンと同じ学校。つまりはお嬢様学校だが、有数の進学校でもある。卒業すれば安泰レベルの大学や企業にもコネが出来る他、優秀な成績を収めれば学費等が免除になり、逆に費用を支援される事もある。

 

 親もおらず、生活費も少しギリギリの俺に学校の学費なんて払える訳が無い。だからもし下手を踏めば、援助は無し、俺は自らの意思で退学をするしか道はない。

 

 そうなれば、初等部の天音にも迷惑がかかる。だからこそ、勉学の力は抜けられない。

 

 それに、俺は別に勉強が嫌いな訳では無い。むしろ好きな部類に入るだろう。昔から知らない事を知れる感覚が好きで、学校の図書室に入り込んでいたし、教科書や問題集だって暗記できるほど読み込んだ記憶がある。

 

 だから、夜遅くても別に苦しさとかは無い。今日も今日とて勉強をしている時だった。

 

 部屋のドアがノックされ、ドアが開けられると、柔らかな黄色のネグリジェを来たカレンが俺の部屋に入ってきた。

 

「どうしたんだ」

 

「……天音の言っていた通り、こんな遅くに勉強してるのね」

 

「こうしないと、俺も天音も学校に行けないからな。だが勘違いするな。俺は好きでやってるんだ。苦しいとか辛さとかはないぞ」

 

「それでも日が過ぎるまではどう考えてもやりすぎだと思うけど?」

 

 カレンの言う通り、もう時計の針は0時を過ぎており、曜日が変わってしまっていた。カレンは夜遅くに勉強していた俺を睨んではため息を吐き、俺の布団の上に正座し、自分の膝をポンポンと叩いた。

 

「わ、私が膝枕させてあげるから、早く寝なさい」

 

 その時、時が止まった様な衝撃を受けた様な気がした。

 

 ……今あいつなんて言った? 俺の耳が正しければ膝枕とか言っていたような気がする。

 

 疲れているんだと自分に言い聞かせ、こめかみを指で押し込んでもう一度カレンを見ると、カレンは俺の布団の上で正座して俺を待っていた。

 

 そんなカレンは早くしてと言わんばかりに手を動かし、頬を膨らませて睨んでおり、ついには我慢の限界を迎え、声を荒らげた。

 

「は! や! く! ここに来なさい! 命令よ!」

 

「分かった……分かったから。声を荒らげるな」  

 

 耳がキーンとなり続けながらも俺はしぶしぶカレンの前に歩き、カレンは無理やり俺の体に腕を回し、膝に俺の頭を載せた。

 

 頭に太ももの柔らかさと人肌の温もり、指通しの良い滑らかさが伝わり、頭に触れるだけでも情報量が多く、変に意識してしまう。

 

「ふふ、私の膝枕なんだから有難く思いなさい。貴方が寝るまでこうしているんだから」     

 

「……好きにしてくれ」

 

 こうなってはもうカレンは動こうとしないだろう。諦めてカレンの言う通りにし、俺は無理やり起き上がる気も起きずにこのままの体勢で瞼を閉じ、寝る時を待った。

 

 だが、その時はいつまで経っても来ない。

 

 膝枕されてるからか眠れないのか、それともいつも寝る時間じゃないのか、どちらかは知らないが多分前者の方だとは思う。

 

 現に心臓の鼓動が少し早くなり、寝れそうにも寝れない。そもそもなんで膝枕なんだ? 俺はカレンが膝枕をした理由を聞いた。

 

「なぁ、何で膝枕なんかしたんだ?」

 

「……ただの気まぐれよ。膝枕したい気分だったのよ」

 

「やっぱり言ってくれないか」

 

「もし貴方が私のフィアンセと認めてくれるなら、言ってあげても良いわよ?」

 

「じゃあもう良い」

 

「んなっ……! 全く、強情な人ね。普段だったら絶対にしないし、ましてやこの私カレン・シェーネフラウ・エーデルシュタインに言い寄られているのよ? 歩く姿は美しくて目眩を起こし、声を聞けばそれもう美しい協奏となるこの私に膝枕されて、貴方といる為に庶民となったのに……」

 

「随分と自分の事をそんなに高く持ち上げるな……」

 

「当然よ。なんたって私はエーデルシュタイン家ですから。誰よりも美しく優雅に決まってますわ」

 

「そんな奴がどうして俺に構うんだ?」

 

「貴方が欲しいからに決まっているでしょ?」

 

 その言葉を聞いた俺は一瞬体を強ばらせた。

 

「それに……私の事を1番良く知ってるのは貴方だし、見てくれるのも貴方だからよ」

 

 そう言ってカレンは俺の頭を撫で、その撫でた手の指には大量の絆創膏が貼られていた。朝の時には無かった絆創膏が今あるという事は、今日最近貼ったという事だ。

 

 カレンが怪我をするタイミングと言えば、あの時カレーを作った時に怪我をしたのだろう。料理なんてした事ない癖に、1人でやったかはこうもなる。だが、俺がこの事を言ってもカレンは絶対に料理で怪我をしたとは言わない。

 

 そういう奴なんだ。努力や気遣いを隠し、あくまで優雅を貫き通す女。それが宝石カレンだ。

 

「次は私の番よ。何で私のフィアンセになるのを拒むのかしら? こんなの、滅多に無いのよ?」

 

 確かに、金持ちでまぁ美人のやつに言い寄られたら、男だったら夢にまで見た出来事だろう。

 

 だが、俺にはその夢にまで光景を見る暇さえ無いんだ。

 

「そんな暇が無いからだ」

 

 俺はカレンと目を合わせずに話した。

 

「俺は今生きるのに精一杯なんだ。必死に勉強して、天音も守る。他のことに構っている暇が無いんだ」

 

「彼方……」

 

「『だったら私が援助する』なんて言うなよ。確かにそうしてくれたのは有難い。家賃そのままで家も改装してくれたしな。だが、これ以上はもうよせ。こんな貧乏人の男……いや、泥まみれの小石のような男に付いていたら、お前も何言われるか分からないんだぞ」

 

 俺は泥に塗れた小石のような物だ。そこに存在はするが、気にも止められず、少しの風でどこかへと言ってしまう弱い存在だ。

 

 対してカレンは名の通りに可憐な宝石だ。誰もが羨み、そして美しいと思っている。そんな奴が俺と一緒にしたらダメだと考えてるし、釣り合う訳が無い。

 

 そんな自分の考えをカレンに言うと、カレンから堪忍袋の緒が切れる音がしたのと同時に、何も言わずに俺の左耳を引っ張った。

 

 耳がちぎれそうな程引っ張ったカレンの手を払い除け、俺は布団から飛び出すように離れた。

 

「いっった……! 何するんだ!」

 

「よく聞きなさい。私が気に入った価値は私が付けるの。他人の目利きの価値なんてどうでも良いのですわ!」

 

 カレンは俺のビシッと指を指した。

 

「光栄に思いなさい。貴方は私が見た中で最高の価値があるの。だから自分の事を卑下するのは、私に対する侮辱だと思いなさい」

 

「価値って……俺は物じゃないぞ」

 

「それが何か? 価値は何にだって付くものなの。作った物、描いた絵、自然が生み出した風景に、ただの石にもね」

 

「……!」

 

「そして私が見た物の価値を決めるのも私自身よ。他人なんてどうでもいい。私の価値は絶対。何故なら私は、カレン・シェーネフラウ・エーデルシュタインなのだから」

 

「……相変わらず我儘なお姫様だ」

 

「突然よ。私がそれが許されてるの。小石に大金を渡そうが、私の勝手なのよ。でも、対価は勿論取るわよ?」

 

「対価だと?」

 

「どんな物にも価値はある物よ。それは言葉でも同じよ。私が貴方に尽くした価値の対価は……たった5文字の言葉を言うだけよ。さぁ、言いなさい!」

 

 カレンは目を閉じて胸を張り、ある言葉を待っていた。

 

 カレンが待っている言葉と言えば……恐らくアレだろう。

 

 たったその5文字の言葉を言えば、俺は夢にまで見た物を手に入るかも知れない。金もそうだし、素敵な女性までもが。

 

 ……それでも、それでも俺は、まだ踏み込めない。いや、踏み込むべきじゃないと考えた。俺はまだ、コイツに相応しく無いのだから。

 

「カレン」

 

「な、何かしら!? もしかして私に告h……」

 

「早く寝ろ」

 

 俺は5文字の言葉を言い、カレンは激怒した。

 

「ち──が──ーうー!!!! それじゃなぁぁぁぁいい!」

 

「うるさいぞ。ほら、遅いから早く寝ろ」

 

「馬鹿っ! 馬鹿!! ばかぁぁぁぁぁ!!」

 

 俺は布団に戻って掛け布団を被り、カレンは隣で頬を膨らませて俺の体をボコボコに叩いた。普通に痛いしうるさいしで寝れないから、俺は掛け布団を上げ、隣に一定のスペースを空けた。

 

「……一緒にな」

 

 やばい。凄く恥ずかしいし死にたい気持ちになる。カレンの顔も見れないし、カレンも驚いた様な目をしてその場で固まっている。

 

 どちらも動けない空気の中、カレンは何も言わずに俺の隣ど横になり、俺はそっとカレンに布団をかけた。

 

「まぁ、このくらいで許してあげるわ。これも中々に価値があるんですもの」

 

 カレンは満足そうに俺の体に寄り添い、そのまま目を閉じて寝てしまうそうになっていた。俺も少し疲れたのか、瞼が重くなってしまう。

 

 カレンは無意識なのか、それとも意図的なのか俺の背中に腕を回し、離れないようにしていた。俺もつい同じようにカレンの背中に腕を回そうとしたが、躊躇った。

 

「カレン……あの言葉を言うのは、俺がお前に釣り合う様な男になるまで待っててくれ。もし待っててくれたら……言ってやる」

 

「……」

 

 聞いているのか聞いていないのか分からないが、俺はふと呟き、俺達は狭くて暖かい布団の中で夜を過ごした。

 

 

 

 

 そして朝となり、カレンはいつの間にか荷物を持って家を出ていってしまい、テーブルの上には置き手紙が置いてあった。

 

 ﹁貴方の価値に釣り合うように、私は家に戻りますわ! ﹂

 

 あいつあの時のこと聞いていたな……少し恥ずかしいな。カレンが出ていって天音は少し寂しそうにしていたが、また会えると言うと天音は喜び、その時を楽しみにしていた。

 

 アイツが来る時には、今度はすき焼きにでもしようかと、ふと考えた。




今回の裏話はカレンさんのデッキについてです。

カレンさんは宝玉獣デッキを使ってますが、実は当初はジェムナイトを使っている設定でした。
理由は簡単。宝石繋がりですね。しかし、そうなると銀河眼を使っている彼方とはエースがつり合わないのでは?と考え、宝石獣のデッキに採用しました。

花衣と花音のエースが植物族、焔と霊香のエースがアンデッド、空と雀のエースが鳥獣族の様に、彼方とカレンも同じドラゴン族のエースにしたかった拘りがあるんですよねー


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