六花テーマを作って愛用したらそのまま俺への愛が重くなった件について 作:白だし茶漬け
この特別幕間にちょこっっとだけ出ている白だし茶漬けです。
あとここから先私らは出てきませんのでよろしくお願いします。
いや……誰でしょうね、100話で区切るって言った人。101話になっちゃいましたよ。本当にすみません。
そして今回で終わらせる為、文字数が2万文字行くか行かないかぐらいの長編となっていますが、最後までご覧いただけると光栄です。
今日は不思議な一日になりそうだ。
まさか別世界の人と出会い、こうしてデュエルする事になるとは思わなかった。
その別世界の人物の名前は、マーレ・テネリタス。
彼はその世界ではアズールレーンと呼ばれる指揮官であり、KAN-SENという船の記憶や力を持った仲間と一緒に、セイレーンという敵と戦っているらしい。
そんな彼は今、不思議な男にデュエルの基本ルールを教えて貰ってる。
もう1人の男の名前は白。その名の通り白い髪に六花の雪模様が描かれたロングコートを身にまとい、青と緑のオッドアイが特徴的な中性的な男性だった。
顔をよく見るとどことなくマーレや俺に似ているのは気の所為だろうか……?
「よし、大体ルールとこのデッキの使い方は理解出来たよ! ありがとう」
「いやいや、理解が早い君が凄いだけさ。じゃあ早速デュエルを……」
「はいはーい! それなら丁度良い物があるわよ〜!」
向こうで店長さんが声を上げて手を振り、こっちに手招きしていた。俺達3人は店長さんの所に行くと、店長さんは眼鏡をキラリと光らせてある物を見せた。
そのあるものとは……デュエルディスクだった。
デュエルディスクはこれまで使ってきた物と同じ様な形状だった。
カードをセットするフィールドが5枚、そして全体のフィールドや各フェイズを表示するディスプレイがある他には、特に特徴的な物は無かった。
「これ……どうして?」
デュエルディスクが表沙汰で使用されたのは2回。ロマンス・タッグデュエルの時と、ピックアップデュエルの時だ。どちらも形状は違いつつあったがその本質は変わらず、まだ生産目処がたっていないと聞いているが、今まさにその貴重なデュエルディスクが2つもあり、これには驚いた。
「ふっふっふ、最近お店の売上が良くてね、このブームと売上の波に乗らない訳には行かないから、極秘ルートで揃えたのよね〜」
「ご、極秘ルートって……?」
「花衣君、世の中には知らない方が良いことだってあるのよ?」
「よし、この話は止めよう」
店長さんの不気味な笑みからして明らかに触れてはいけない話だったので、俺とマーレはお言葉に甘えてデュエルディスクを受け取った。
まるで付けてないのと同じぐらいの軽さであり、デュエル中重さによって疲れる心配もなく、カードの設置もやりやすかった。
「えぇ〜良いな良いな〜羨ましい!」
それを見た白の妹であろう女性が人差し指を唇に触れ、文字通り指を加えて羨ましそうに見ていた。
「それがあったら、えんぺんちゃんやラビィちゃん、それとバニーラちゃんも見れたり触れたりするんだよね。良いな〜良いな〜」
「こら、これはあの2人にやらせてあげろ」
「あはは、ごめんね。ええと……白君の妹かな?」
「うん、私は白玉って言うの。よろしくね」
「しらたま? 甘そうな名前だね」
自己紹介を済ませ、白が妹の手を引っ張って俺達から離れさせると、早速店長さんはデュエルの準備を進めた。
「じゃあ早速始めましょうか。この上の階を改装してるから、そこでやりましょう」
「はいはーい! 私達も見たい見たい! 見るだけなら良いでしょ? お兄」
「見るだけならな」
「やったー!」
小さな子供のように白玉はぴょんと飛んで喜んでおり、店長さんの案内で俺達はこの階の1つ上の階に登った。
『懐かしいですね、ここでティアドロップと戦ったんでしたっけ』
『ええ。今となっては良い思い出です』
……そういえば、ここで最初にティアドロップとレイが戦ったんだっけ。
お互い本気の戦いを始め、本気で命の奪い合いをしたが、今はどうだ。
喧嘩こそはすれど、前と比べてたら可愛いものだ。笑い話にもなる。
そんなある意味思い入れのある場所だが、あの時は何も無い埃まみれの場所だったが、今は天井が少し広く、部屋は白く綺麗になっており、中央には巨大な土台の様なものがあった。
恐らくあれがデュエルフィールドなのだろう。
「じゃーん! ここがデュエルフィールド! 貴方達が記念すべき第1号達よ!」
「よーし、花衣君、勝負だ!」
「あぁ、望む所だ」
俺と優海は同時にデュエルフィールドに乗り、デュエルディスクを装着すると、土台の四隅から長方形の機械が飛び出し、液晶部分が虹色に輝いた。
多分、ソリッドビジョンの起動準備なのだろう。これで召喚したモンスターや魔法、罠の効果が拡張現実、つまりARとなって現れ、まるでその場にいるかのような臨場感を生み出す事が出来る。
俺は何度も体験した事だが、マーレや白たちには初めての経験であり、きっと思い出に残ることになる。
「デュエルフィールドの起動良し。いつでも行けるわよ!」
「行くぞ! マーレ!」
「うん!」
「「デュエル!」」
桜雪花衣vsマーレ・テネリタス
「先行は譲るよ。初めてだしな」
「じゃあ、遠慮なく行かせて貰うよ。俺のターン!」
マーレのデッキは見た感じティアラメンツだったが、ティアラメンツは度重なる規制でほぼ全てのカードが制限というとんでもない事になっている。
だがそれでもその余りあるカードパワーは衰えていないという、どうしてこんなものを作り上げたんだと思ってしまうカードでもある。
だが、制限になったせいでそれを使えるのはデッキによってだがせいぜい1回程度……その1回でどれだけ攻防を受け流せるのか、このデュエルの勝敗だ。
「行くぞ! まずは【絶海のマーレ】を召喚!」
マーレが早速自分と同じ名前のモンスターを召喚すると、マーレのフィールドから水柱が登り、その中から絶海のマーレと、そのステータスが浮かび上がった。
絶海のマーレ
レベル4/水属性/水族/ATK1500/DEF1600
「おおすごい! これがソリッドビジョンって奴なんだ……」
「わわっ! 見てみてお兄! モンスターが現れたよ!」
「おぉ〜これは凄いな」
3人は目の前に現れたモンスターが出てきて興奮を隠せず、目を輝かせていた。
「おっとっと、続けないとね。俺は【絶海のマーレ】の効果で、ええとこれかな? 【ティアラメンツ・レイノハート】をデッキから墓地に送って、その効果を発動。手札から【ティアラメンツ・クシャトリラ】を墓地に送る」
拙いながらも着実にコンボを続けており、墓地のカードの特性を活かしていた。
「更に墓地に送った【クシャトリラ】の効果で、俺はデッキの上からカードを2枚墓地に送る」
「えー? 自分からデッキを墓地に送るのはデメリットじゃん」
「シラ、良いか? 遊戯王では墓地は第2の手札って言われてるだ」
「墓地なのに……?」
向こうでは白玉が頭の上と中がハテナマークで埋め尽くされており、目も? マークになってしまっていた。
無理もない、本来から役目を終えたカードを置く場所なのだから、それが気軽に再利用出来るのだから、理解しづらいのは分かる。
「墓地に送られた物の中には【ティアラメンツ・シェイレーン】があるから、この効果が発動かな? えーと、このカードが墓地に送られたから、墓地のこれを使って融合!」
「さぁ……何が出るか?」
「店長さんから聞いた戦術ではまずはこれ! 墓地の【沼地の魔神王】と墓地の【ティアラメンツ・シェイレーン】をデッキに戻して融合召喚! 来い! 【ティアラメンツ・ルルカロス】!」
ティアラメンツ・ルルカロス
レベル8/融合/水属性/水族/ATK3000/DEF2500
マーレが最初に出てきた大型モンスターは、おとぎ話に出てくる人魚姫の様なモンスターであり、そのモンスターは鎧を身にまとい、剣を構えていた。
「【ルルカロス】、本来は禁止カードの【ティアラメンツ・キトカロス】が居ないと融合召喚出来ないモンスターね」
「え? 禁止カードって確か使えないカードなんでしょ? じゃあ何で出せてるの?」
「墓地にあった【沼地の魔神王】は、指定された融合モンスターに書かれている素材のモンスターになれるんだ。あの場合は、【ティアラメンツ・キトカロス】を代わりにしたんだよ」
傍で白が妹の白玉に解説をしていた。
それにしてもルルカロスか……確か、モンスターの特殊召喚する効果を含むカード、言わば、特殊召喚出来る効果を一度だけ無効にする厄介なカードだ。
六花はリリースをコストにして特殊召喚する性質上、仮にスノードロップの効果を使って特殊召喚しても、必ずモンスターをリリースしなければならない為、これを無効にされると最悪俺の場ががら空きになる恐れもある。
(特殊召喚する効果の使い所を気をつけないとな)
「俺はカードを2枚伏せて、ターンエンド。そしてエンドフェイズ時、【絶海のマーレ】の効果発動。このカードをリリースして墓地の水族モンスター【ティアラメンツ・レイノハート】を手札に加えるよ」
1ターン目終了
マーレ・テネリタスLP8000
手札:2 墓地:2 除外:0 デッキ:34
□□②③□
□□①□□
□ □
□□□□□
□□□□□
桜雪花衣:LP8000
手札:5 墓地:0 除外:0 デッキ:35
①:ティアラメンツ・ルルカロス
②③:伏せカード
「俺のターン、ドロー。……さて、どうするか」
今回俺が使うデッキは【六花閃刀姫】。折角だから皆と一緒にマーレとデュエルしようと考えて久しぶりに使ってみたが、やはり噛み合わない。
まぁ元々シナジー何てものはほとんど無いし、俺の我儘で作ったデッキだ。だけどやれない事は無い。
いつも通り、俺は皆と一緒に戦うだけだ。
「俺は魔法カード【ワンフォーワン】を発動。手札の【六花のしらひめ】を墓地に送り、デッキからレベル1モンスターを特殊召喚する」
「デッキから特殊召喚!? ちょっとそれは止めようかな。【ルルカロス】の効果でそれを止める!」
フィールドのルルカロスが剣をかざし、青い光が場に表示されたワンフォーワンを破壊した。
「さらに【ルルカロス】の効果で手札かフィールドの【ティアラメンツ】モンスターを墓地に送る。俺は手札の【レイノハート】を墓地に送って、その効果発動! 【レイノハート】を特殊召喚して、デッキから【ティアラメンツ】カードを墓地に送る。俺は【ティアラメンツ・クシャトリアを墓地に送る」
「あの子、上手いわね。前のターンでも【レイノハート】の効果を使えたけど、それを使えばフィールドから離れた時除外されるから温存していたのね」
流石は指揮官、先を見据えているという事だろうか。
ワンフォーワンの効果は無効にされたが、しらひめが墓地に送られた事は大きい。ここでもう一押ししたい所だが……
「【クシャトリア】が墓地に送られたから、デッキから2枚墓地に送る。デッキに送られたのは【シャドール・ビースト】と【ティアラメンツ・メイルゥ】!」
「【シャドール】!?」
確かピックアップ・デュエルの時、ロゼが使っていたとカードだ。リバーステーマではあるが、墓地に送られた時に発動する追加効果があるモンスターだ。
確かに墓地に送る事で融合出来るティアラメンツとは相性が良すぎる……!
「墓地送られた【ビースト】でカードを1枚引き、更に【メイルゥ】の効果発動! こいつと墓地の【ビースト】をデッキの1番下に戻して、融合召喚!」
フィールドにビーストとメイルゥが溶け合うように歪むと、歪んた先にまた新たなモンスターが現れた。
その姿は人形の様な物でもあり、何処か人らしき物も感じられた歪なモンスターであり、丸関節の人形は、またもや人形の様なドラゴンを使役していた。
「来い! 【エルシャドール・ミドラーシュ】!」
エルシャドール・ミドラーシュ
レベル5/融合/闇属性/魔法使い族/ATK2200/DEF800
「えーと【ミドラーシュ】が存在する限り、お互いモンスターを特殊召喚出来るのは1回のみ……え、待って強くないこれ?」
「そうよ、そして【ルルカロス】が特殊召喚を無効にするから、最悪相手は特殊召喚すら出来ない状況になるかもしれないのよ」
「うそーん……」
店長さんから聞いた最悪の状況を聞き、自分で出した癖にマーレは想像以上の制圧力を聞いて若干引いていた。
確かにこのコンボは凶悪過ぎる。まず、ミドラーシュがいるせいでお互いは特殊召喚が1度しかできない。
そしてルルカロスのせいで特殊召喚を含む効果が発動出来ずに無効化されるからとんでもなさすぎる。
しかもミドラーシュは効果では破壊されず、ルルカロスは戦闘では破壊されない効果を持っている。これを突破するのは相当キツイ。
「でも、それを何とかするのがデュエルの醍醐味だ。俺は【閃刀姫ーレイ】を通常召喚!」
閃刀姫ーレイ
レベル4/戦士族/闇属性/ATK1500/DEF1500
「あの子……確か花衣君の傍にいた子かな。本当にこのカードの精霊だったんだ」
『私の力、見せてやりますよ』
「俺は【閃刀姫ーレイ】を素材にリンク召喚! 召喚条件は【風属性以外の閃刀姫モンスター1体】! 俺は【閃刀姫ーハヤテ】をリンク召喚!」
閃刀姫ーハヤテ
LINK1/リンク/機械族/風属性/ATK1500
「リンク……召喚?」
「更に俺は魔法カード【閃刀起動ーエンゲージ】を発動。この効果で、俺は【閃刀術式ーウィドウアンカー】を手札に加える」
これであの盤面は突破できる筈だ……。伏せカードの存在があるが、虎穴に入らずんばと言うし、臆せず攻めるしかない。
「バトルだ! 【閃刀姫ーハヤテ】で攻撃だ!」
「攻撃力は俺のモンスターの方が高いのに!?」
「【ハヤテ】は相手のモンスターが居ても直接攻撃が可能だ!」
ハヤテに換装したレイは、ハヤテの主力武装であるベクターブラストの照準をマーレに向け、その引き金が引かれると同時に光の弾丸がマーレに襲いかかり、迫り来る弾丸をマーレは当たる寸前に右足を後ろに回し、半回転の傾きだけでレイの攻撃を交わした。
マーレ・テネリタス 残りライフ8000→6500
「あ……危な〜! ホログラムだって事は分かっていても、体が反応して避けちゃうね」
「お〜お兄、あの人凄いね! ギリギリで避けたよ」
「まぁ、ダメージは受けるけどな」
確かにダメージは受けた……が、それ以上に俺とレイはマーレの反応速度の高さに驚いた。
『……あの人、とんでもない反応速度ですね』
「あぁ、普通だったら絶対に当たっていたかもな」
勿論レイの攻撃はソリッドビジョンで現実の体には影響は無いし、マーレをどうこうしようとするつもりは無い。
だが、確実に当たったであろう攻撃を最低限の動きだけで避けた事実を目の当たりにすれば驚きもする。
「とにかく続けよう。【ハヤテ】が戦闘ダメージを与えた事により、俺はデッキから【閃刀】カードの【閃刀術式ージャミングウェーブ】を墓地に送る」
これで俺の墓地には魔法カードが3枚になり、温存しておいたウィドウアンカーの追加効果が得られる。
「メインフェイズ2に移行し、俺は魔法カード【閃刀機ーウィドウアンカー】を発動! 相手モンスターの効果を無効にし、俺の墓地に3枚の魔法カードがある為、そのモンスターのコントロールを得る!」
「無効にしてコントロールを得る!? だけどそうはさせない。罠カード【
「デッキにっ!?」
しまった……! これじゃ墓地に魔法カードが貯められない。ウィドウアンカー無効にされても、墓地に行けば魔法カードは4枚溜められるからとは考えていたが、甘かったか。
ハヤテの攻撃が終わった後、カガリの効果を使って墓地からエンゲージを回収し、もう一度効果を使ってウィドウアンカーを使えばルルカロスかミドラーシュのコントロールを得て、閃刀姫ジークを呼び出せばあの盤面を突破出来たかもしれないが……デッキに戻るのだったら話は別だ。
「更に効果で手札のモンスター【ティアラメンツ・シェイレーン】を墓地に送る。そして【シェイレーン】の効果発動。分かるよね?」
「また融合する気か……」
「そうさ。俺は墓地の【シェイレーン】とフィールドの【レイノ・ハート】をデッキに戻し、融合召喚!」
マーレの足元から水が溢れ、水面から触手が伸びると、突然触手がフィールドのハヤテを絡め取った。
触手に絡め取られたハヤテは脱出を図ろうともがいたが、その抵抗は虚しく、ハヤテは水面から現れた剣に串刺しにされ、フィールドから破壊された。
「【ハヤテ】がっ!?」
「俺は【ティアラメンツ・カレイドハート】を融合召喚!」
レベル9/融合/闇属性/悪魔族/ATK3000/DEF2500
「【カレイド・ハート】が特殊召喚された時、相手カードをデッキに戻す効果がある。その効果で、フィールドの【ハヤテ】をデッキに戻して貰ったよ」
そういう事か……しかも、ミドラーシュの効果で俺はもう特殊召喚が出来ず、墓地のレイの効果が使えない。だが、何も出来ないわけじゃない。
「俺はメインフェイズ2に移行し、魔法カード【三戦の才】を発動!」
魔法カードが発動した瞬間、俺の目の前に大きく天地人と独特に書かれた軍杯が出てくると、俺の目の前に3つの文が浮かばれた。
「このカードは、俺のターンで相手が効果を発動した時に発動出来る魔法カードだ。この魔法カードには3つの効果があり、その内の1つを選べる」
1つは2枚ドロー、1つは相手モンスターのコントロール奪取、最後は相手の手札を見て捨てるという、とんでもない効果のオンパレードだ。
俺はその内の1つを選んで発動するのだが、ここで俺がやるべきなのはどれだ……?
コントロール奪取しても効果は使えないし、手札を捨てさせてもティアラメンツ相手では不利になりかねない。だとしたら……これしかない。
「俺はデッキから2枚ドローする」
「まっ、それしかないよね」
どうやら向こうも俺が思っていた事が分かっているらしく、余裕の笑みを浮かべていたが、依然として油断はしていなかった。
指揮官たるもの、どんな状況でも油断しないという事だろうか。見た目の割に徹底的だと思いつつ、俺はデッキからカードを2枚引く。
「……やるしか無い。俺は魔法カード【強欲で貪欲な壺】を発動し、デッキの上からカードを10枚裏側除外し、2枚ドローする」
ここで除外されるカード次第では俺の敗北は決まる。カードを10枚除外され、改めてカードを2枚引くと、まだ活路があるカードばかりだった。
「……俺はカードを3枚伏せて、ターンエンドだ」
2ターン目終了
マーレ・テネリタスLP6500
手札:1 墓地:3 除外:1 デッキ:34
□□①□□
□②③④□
□ □
□□□□□
□□⑤⑥⑦
桜雪花衣:LP8000
手札:0 墓地:10 除外:10 デッキ:21
①:伏せカード
②:エルシャドール・ミドラーシュ
③:ティアラメンツ・カレイドハート
④:ティアラメンツ・ルルカロス
⑤⑥⑦:伏せカード
「ドローしてっと……魔法カード【カップ・オブ・エース】発動。コイントスして、表だったら俺が、裏だったら君が2枚ドローするよ」
フィールドに表が金色、裏が銀色のコインが現れれ、出てきたのは表だった。
「さらに墓地の【連装融合】をデッキに戻し、1枚ドローする」
マーレは何か引いたのか、展開ルートを考えるように悩んでいた。ブツブツと今後のルートを考えに考え抜き、ついにマーレは動き出した。
「よし、じゃあ思い入れのある奴を出すとしよう」
「思い入れ?」
「俺は【幻獣機オライオン】を通常召喚!」
幻獣機オライオン
レベル2/チューナー/風属性/機械族/ATK600/DEF1000
「げ……幻獣機!?」
まさかのティアラメンツとは全く関係の無い名前でいきなり現れ、マーレ以外のこの場にいる全員が驚いた。
「ティアラメンツと幻獣機……? 聞いた事ないぞそんなデッキ」
「え、えーと……俺のデッキに入ってたんだけど、何か変かな?」
「変も何も、シナジーなんてないぞ」
白の言う通り、幻獣機とティアラメンツは種族も属性も違う為、シナジーなんてない。まぁ、六花閃刀姫とか使ってる俺も人の事は言えないが、驚きは隠せられなかった。
「まぁ、何となくシナジーは無いかなとは思ったよ。だけど、この幻獣機って言うのは、艦載機をモチーフにしてるんだろ? だから入っているんだろうね……」
マーレはフィールドに呼び出された幻獣機を見て何か懐かしんでいた。
そうか、確かマーレの話によると、KAN-SENは船の力……言わば、戦艦や空母の記憶や力を宿した人だ。
空母と言えば艦載機であり、それを使う空母タイプのKAN-SENもいるのだろう。だから……幻獣機もマーレのデッキに入っているという訳か?
だとしたらあのデッキは、マーレの記憶を元にして作り出したデッキという事になる。一体何がどうなってそんな事が起きたのか分からないが、このターン、ティアラメンツが出ることは無いだろう。
「とにかく続けるよ。俺は【オライオン】と【ミドラーシュ】でリンク召喚!」
「ここで【ミドラーシュ】を手放した? 一気に勝負をつけるつもりか」
「召喚条件は【カード名が異なるモンスター】2体。俺は【警衛バリケイドベルグ】をリンク召喚」
警衛バリケイドベルグ
LINK2/リンク/闇属性/機械族/ATK1000
「こいつは召喚時に発動できる効果があるんだけど……今回は使わないよ。俺は【オライオン】を墓地に送りたかっただけだし」
「墓地に送られた時に、【幻獣機】トークンを1体特殊召喚する効果か」
デュエルを観戦していた白が、オライオンの効果を言ってくれた。
「そう、だけどそれだけじゃない。俺は墓地の【オライオン】を除外して効果発動。手札の【幻獣機】を1体召喚する。俺は手札から【幻獣機テザーウルフ】を召喚!」
幻獣機テザーウルフ
レベル4/機械族/風属性/ATK1700/DEF1400
「【テザーウルフ】の効果で【幻獣機トークン】1体を特殊召喚!」
「これが【幻獣機】の特徴ね。トークンを生成し、更にトークンを使う事で効果を得る。まさに艦載機の爆撃みたいね」
店長さんの言う通り、無尽蔵にトークンが生成されるのは厄介だ。
だが、俺の予想をマーレは裏切った。
「だけど俺は【テザーウルフ】のこの効果は使わないよ」
「なんだって……?」
「俺は【テザーウルフ】【幻獣機トークン】【バリケイドベルグ】でリンク召喚! 召喚条件は【機械族モンスター2体以上】! 俺はリンク3の【幻獣機アウローラドン】を特殊召喚!」
幻獣機アウローラドン
LINK3/リンク/機械族/風属性/ATK2100
「【アウローラドン】……」
確か、禁止カードになったハリファイバーというカードと併用したら、かなり強力なコンボが出来ると聞いた事はある。それが今対面する事になろうとは……
「【アウローラドン】が召喚されたから、俺は3体の【幻獣機トークン】を特殊召喚させる」
「3体っ!?」
フィールド上にまた3体のトークンがフィールドを駆け回り、いつの間にか盤面が埋まりつつあった。
これだけでも凄いのに、まだマーレの展開が止まる様子は無かった。
「そうか、【アウローラドン】の効果はトークンを3体特殊召喚する効果。だからトークンもリンク素材にしたのか」
「ん? お兄、どういう事?」
「【アウローラドン】のテキストは『3体を特殊召喚』するって書いてるから、フィールドの枠が3つ無いと発動出来ないのよ。『2体まで』とか書いていたら、空いてる枠が1つでも効果は発動出来るのよ」
店長さんの設定に、白玉は納得していた。
なるほどな、もしトークン事リンク召喚しなければ、アウローラドンの効果は発動出来ず、トークンを3つ生成する事が出来なかったわけか。
「更に【アウローラドン】の効果! 俺のフィールドの幻獣機モンスターをリリースし、リリースした数によって効果を発動する。俺は【幻獣機トークン】2体をリリースしてデッキから【幻獣機】モンスター、【幻獣機コルトウィング】を特殊召喚する」
幻獣機コルトウィング
レベル4/機械族/風属性/ATK1600/DEF1500
「【コルトウィング】が特殊召喚された事により、更に【幻獣機トークン】2体を特殊召喚する……けど、俺の場にはもう【ルルカロス】や【カレイド・ハート】、【コルトウィング】と【幻獣機トークン】がいるから、これは使えないかな」
確かに、マーレのフィールドにはもうメインモンスターゾーンの枠が1つしかない。
果たしてここから何が出てくるのか……怖いと思いつつも、まだかと急かし、楽しんでいる自分がいるのを感じた。
こんな感じは久しぶりだなと思い、思わず俺は小さく口角をあげた。
「デッキから特殊召喚された時、手札の……何て読むんだこれ? ええと、【
機巧狐-宇迦之御魂稲荷
レベル7/機械族/地属性/ATK2250/DEF2250
「これで準備完了! 俺はレベル7の……名前長いから【稲荷】と【コルトウィング】でエクシーズ召喚!」
「なっ!? 【コルトウィング】はレベル4の筈だ!」
「【コルトウィング】のレベルは俺の場の【幻獣機トークン】のレベルの合計分上がるんだ。俺の場のトークンは1体だから、レベルは3つ上がるのさ」
「そういう事か……!」
条件を達成している2体のモンスターが空を飛ぶかのようにエクシーズ召喚特有の黒い穴へと飛び込むと、その穴の向こうには空を飛ぶ音と共に新たな幻獣機が姿を現した。
「フライトオン! 【幻獣機ドラゴサック】!」
幻獣機ドラゴサック
ランク7/エクシーズ/機械族/風属性/ATK2600/DEF2200
「エクシーズモンスターか……」
「【ドラゴサック】の効果発動! フィールドの【幻獣機トークン】をリリースし、君の場のカード1枚を破壊する! 俺が破壊するのは1番左の伏せカードだ!」
「させるか!罠発動【戦線復帰】。墓地の【閃刀姫ーレイ】を守備表示で特殊召喚だ」
幻獣機トークンかドラゴサックのミサイルの中へと入ると、トークンがそのミサイルとなってレイへ向かい、レイがミサイルの爆風を突き進むようにレイがフィールドに降り立った。
「更に【閃刀姫ーレイ】の効果発動! このカードをリリースし、EXデッキから【閃刀姫】リンクモンスターを特殊召喚する!」
「えっ、そんな効果あったんだ……自分の展開が精一杯だから気づかなった。まぁいいや、特殊召喚だから【ルルカロス】の効果発動! その発動を無効にする!」
「させるか! これで俺のメインモンスターゾーンにモンスターが居ないから、速攻魔法【閃刀機ーウィドウアンカー】を発動! 【ルルカロス】の効果を無効する!」
「うおっ!? 2枚目!?」
フィールドのレイがウィドウアンカーを発動し、三又のアンカーがルルカロスを捕縛すると、ルルカロスは身動きを取れず、効果は発動せずにすんだ。
「俺はEXデッキから【閃刀姫ーハヤテ】を特殊召喚! そして伏せカード【閃刀機ーイーグルブースター】を発動。【ハヤテ】はこのターン、自身以外の効果を受けず、戦闘では破壊されない」
「へぇ……だったら、俺はこれを発動するよ」
するとマーレは、ゆっくりと1枚のカードを見せた。
「俺は【RUMーアストラル・フォース】発動!」
「ランクアップ……!?」
「自分の場の1番高いランクのモンスターを対象に、そのモンスターのランクが2つ上のモンスターを、対象のモンスターを素材にしてエクシーズ召喚する!」
ドラゴサックのランクは7だから……ランク9のエクシーズモンスターが出てくる訳か。
「よーし、行くぞ! 俺はランク9の【幻子力空母エンタープラ】……」
その瞬間、マーレが召喚しようとしていたカードが光だした。
何事だと俺達はあまりの眩しさに目を閉じ、しばらくすると光は収まった。
「な、なになに? 何が起こったの?」
「マーレ君の方から光ったわね。マーレ君、大丈夫!?」
「は、はい。俺の方は大丈夫です」
「ほっ、なら良かったわ」
俺も一安心し、マーレは光っていたカードをじっと見つめ、驚いていた。
あの感じは間違いなくカードに何か起こったに違いないが、カードを見たマーレは何を思ったのか、カードに向かって微笑んだ。
「そうか、お前は俺とどこまでも一緒に行きたいんだな。分かったよ」
そしてマーレは輝いていたカードを召喚した。
「行くぞ! 俺は【幻子力空母エンタープラニクル】を召喚!」
幻子力空母エンタープラニクル
ランク9/エクシーズ/機械族/風属性/ATK2900/DEF2500
あのカードは名前の通り、巨大な空母が描かれている筈だが……フィールドに降り立ったのは巨大な空母などではなく、船の様な物を象った弓を持った銀髪の女性だった。
「なんだ……あれは?」
「エンタープライズ。俺の大切な仲間さ」
「えぇ? どういう事? でもデュエルディスクでは【エンタープラニクル】として認識されているわね」
という事はつまり、あれは見た目だけ違うという事なのだろうか。
一体どうしてそんな事が起こったのか分からないが、原因があるとすれば繋がり……だろうか。
(例え別の世界に行っても、繋がりは消えないって訳か)
一瞬だが、マーレの背後には色んなKAN-SEN達が見えたような気がした。
貴族のような人、メイド服を着た人もいれば、獣人の様な人だっていた。
「バトルだ! 俺は【幻獣機アウローラドン】で攻撃!!」
「【イーグルブースター】の効果で【ハヤテ】は破壊されない」
「だけどダメージは受けてもらうよ」
お馴染みのセリフを言ったマーレのアウローラドンは3機の幻獣機を呼び出して一斉にハヤテに向かって機銃を打ち続けたが、イーグルブースターの機動力でハヤテは攻撃を避け続けたが、その流れ弾が俺の傍に当たり、ダメージを受けた。
桜雪花衣 残りライフ8000→7400
「【ハヤテ】が戦闘を行ったダメージ計算時、デッキから【閃刀】カード1枚を墓地に送る。俺は【閃刀姫ーロゼ】を墓地に送る!」
「俺は【ティアラメンツ・ルルカロス】で攻撃!」
桜雪花衣 残りライフ7400→5900
「効果で【閃刀空域ーエリアゼロ】を墓地に送る」
「次は【カレイド・ハート】!」
桜雪花衣 残りライフ5900→4400
「効果で俺は【マルチロール】を墓地に送る!」
「最後は【エンタープラニクル】で攻撃!」
エンタープライズと姿を変えたエンタープラニクルが最後の弓を構えて矢を放ち、今度は鷹が青い炎を纏いながら俺に向かって羽ばたき、俺の体を撃ち抜いた。
桜雪花衣 残りライフ4400→3000
「耐えきっ……た! 俺は効果で【アフターバーナー】を墓地に送る」
「お疲れ様、エンタープライズ。だったらここから、俺は次に繋げるだけさ! エクシーズモンスターが攻撃した事により、このカードを召喚できる!」
「来るか……!」
その召喚条件を満たすのは俺が知る限り1体しかいない。役目を終えたフィールドのエンタープライズが光となって消える直前、マーレに笑いかけた。
「ありがとう。……さぁ! これが俺の全力だ! 来い! 【天霆號アーゼウス】!」
天霆號アーゼウス
ランク12/エクシーズ/機械族/光属性/ATK3000/DEF3000
「やっぱそれが来たか」
エクシーズモンスターが攻撃したらそのまま重ねてエクシーズ召喚出来るモンスター、アーゼウス。エクシーズモンスターなら何でも良いし、攻撃したら条件は満たせるので、戦闘破壊されないモンスター、直接攻撃が出来るモンスターと組み合わせれば、もうその時点でアイツが出せる。
一応六花でもアイツを出せない事は無いが……そもそも六花は植物族しか出せない制約が展開上必ずある為、出せない事が多いから、こいつを見るのは初めてだ。
「俺はこれでターンエンド」
3ターン目終了
マーレ・テネリタスLP6500
手札:0 墓地:6 除外:2 デッキ:31
□□□□□
□③①②□
⑤ ④
□□□□□
□□□□□
桜雪花衣:LP2200
手札:0 墓地:15 除外:10 デッキ:14
①:ティアラメンツ・カレイドハート
②:ティアラメンツ・ルルカロス
③:天霆號アーゼウス
④:幻獣機ーアウローラドン
⑤:閃刀姫ーハヤテ
他のカードを墓地に送れるアーゼウスと、特殊召喚を無効にするルルカロスか……厄介だな。特にアーゼウスは好きなタイミングで効果を発動する事が出来るから、俺よ展開した盤面を一気に更地にする事も可能だ。
「しかも手札は0……辛いな」
だが、アーゼウスは自分のフィールドすらも墓地に送る効果がある。
アーゼウスの効果を使わざる負えない状況を作り出すか、もしくはアーゼウスを何とかすれば正気はある……!
「俺のターン、ドロー!」
俺が引いたカードは……2枚目の閃刀起動ーエンゲージだった。まだいける……!
「俺は2枚目の【エンゲージ】を発動! デッキから【アフターバーナー】を加え、更に1枚ドロー!」
必要なパーツ1枚は揃った。後はあのカードさえ来れば……!
「更に【ハヤテ】を素材に2枚目の【カガリ】をリンク召喚し、効果で墓地の【エンゲージ】を回収する」
「どんどんドローしていくね。さぁ、どう出るかな?」
「【エンゲージ】発動! デッキから最後の【ウィドウアンカー】を加え、1枚ドローする」
これが頼みの綱の最後のドローだ。
俺がハヤテを出してダメージを受け続け、墓地にカードを落とした理由はこの為だ。少しでもキーカードを引ける可能性を上げるためにデッキの枚数を減らし、そのかいがあってか1枚は手に入った。
あと1枚、もしこれで引けなければ……俺の負けは決まりだ。
瞳を閉じ、勢いよくカードをドローした俺は、ドローカードを固唾を飲んで目を開き、そのカードを見た。
俺が最後に引いたカードは……六花来々であり、俺が望んだカードだった。
「よし、これなら行ける! 俺は手札から魔法カード【閃刀術式ーアフターバーナー】を発動! 効果で【天霆號アーゼウス】を破壊!」
アフターバーナーを発動したカガリが背中のパックパックの剣を激しく燃え盛らせ、巨大なアーゼウスへと突撃をかけ、その腹部を風穴を開け、アーゼウスが破壊された。
「ぐつ……!」
「俺は【六花のひとひら】を手札に加え、通常召喚する!」
六花のひとひら
レベル1/植物族/水属性/ATK0/DEF0
「更に【六花のひとひら】の効果で、デッキから【六花精華カイリ】を手札に加え、更にフィールド魔法【六花来々】を発動」
「カイリ……?」
「俺も全力で行かせてもらう! 【カイリ】の効果発動! このカードは、六花モンスター1体リリースする事で、手札から特殊召喚出来る!」
「させない! 【ルルカロス】の効果発動! 特殊召喚効果を無効にして破壊する!」
「俺は墓地の【六花のしらひめ】の効果発動!」
「なっ、そのカードって確か最初のターンで墓地に送ったモンスターだよね?」
「あぁ、あの時【ワンフォーワン】のコストとして墓地に送ったカードだ。ようやくこいつが使えるわけさ。【しらひめ】は自分フィールドに【六花】モンスターが存在し、このカードが墓地に存在する時、自分フィールドの植物族モンスターをリリースする事で、相手モンスターの効果の発動を無効にする!」
「自分フィールドのモンスターをリリース……? それじゃあ君のモンスターががら空きになるよ」
「それはどうかな? 【六花来々】のもう1つの効果発動。俺がリリースして発動する効果を、相手モンスターをリリースする事で発動出来る! 俺は【ティアラメンツ・カレイドハート】をリリースして【しらひめ】の効果を発動する」
「相手モンスターをリリースして効果を無効!?」
一面が水面になった世界が一気に雪景色となり、カレイドハートがその雪華に紛れるとフィールドから消え去り、ルルカロスも雪景色に迷い込んでは凍りつく足場に身動きを取られてしまった。
「これで俺は、【六花精華カイリ】を特殊召喚する! こい!」
六花精華カイリ
レベル9/植物族/水属性/ATK1000/DEF2000
「来たわね、花衣君のレゾンカード」
「レゾンカード? お兄、知ってる?」
「選ばれた奴しか使えない世界にただ一つの超レアカードだ。この目で見ることが出来るとはな」
「【カイリ】の効果発動! 自分のデッキから可能な限り【植物族】モンスターを特殊召喚する!」
俺のフィールドにスノードロップ、ヘレボラス、エリカ、ボタンが現れると、エクストラモンスターゾーン含むモンスターゾーンが埋まった。
六花精スノードロップ
レベル8/植物族/水属性/ATK1200/DEF2600
六花精ヘレボラス
レベル8/植物族/水属性/ATK2600/DEF1200
六花精エリカ
レベル6/植物族/水属性/ATK2400/DEF1000
六花精ボタン
レベル6/植物族/水属性/ATK1000/DEF2400
「すっご……」
「植物族によって特殊召喚された【ボタン】の効果発動。俺は【六花】カードを1枚加える事が出来る」
「その前に融合召喚で特殊召喚された【カレイドハート】の効果発動。墓地に送られた時に墓地から特殊召喚され、デッキから【ティアラメンツ】モンスターを墓地に送る。俺は【ティアラメンツ・ハゥフニス】を墓地に送る」
「ティアラメンツが墓地に送られたって事は……」
「そう。俺は【ハゥニウス】とフィールドの【カレイドハート】で融合召喚。俺は【捕食植物ドラゴスタペリア】を守備表示で特殊召喚!」
捕食植物ドラゴスタペリア
レベル9/融合/植物族/闇属性/ATK2900/DEF1700
「【ドラゴスタペリア】……」
闇属性モンスター2体という比較的緩い素材で融合召喚が可能でありながら、相手モンスターに捕食カウンターと言うものを乗せる事で、そのモンスターの効果を無効に出来る強力なモンスターだ。
「悪いけど、俺は諦めが悪いんでね。最後まで抵抗はさせてもらうよ」
「じゃあ徹底的にやらせてもらう。俺は【スノードロップ】と【ヘレボラス】でエクシーズ召喚!」
『よーし、やっちゃうよ!』
フィールドに現れたスノードロップは氷の傘を開き、クルリと回って氷の華を咲かせると、ヘレボラスも同じように体を回すと大きな花が2人を包んだ。
包み込んだ花が中心から出てきた風花で吹き飛ばれると、スノードロップとヘレボラス居たところには、美しく神秘的な青白い長髪をなびかせ、麗しい黒と青のドレスを来た淑女が、フィールドに立った。
「これが俺の切り札! 【六花聖ティアドロップ】だっ!」
六花聖ティアドロップ
レベル8/エクシーズ/植物族/水属性/ATK2800/DEF2800
「ティアドロップ……そっか、それが君のエースって訳か」
「【ティアドロップ】の効果発動! エクシーズ素材1つを取り除き、相手モンスター1体をリリースする!」
「リリース!?」
ティアドロップが傘を振ると、ルルカロスの足元には棘の付いた氷の花が咲き誇り、足元から体にかけてゆっくりとルルカロスは凍りついた。
「まだだ! 【ドラゴスタペリア】の効果を発動し、【ティアドロップ】に捕食カウンターを乗せる」
「【六花精華カイリ】の効果発動! 【植物族】対して効果が発動した時、このカードをリリースしてその効果を無効にし、そのカードをリリースする!」
ドラゴスタペリアの効果に対して守るようにカイリさティアドロップを庇うと、カイリは粒子となって消え、その攻撃はドラゴスタペリアへと跳ね返されて行った。
跳ね返された攻撃にドラゴスタペリアは為す術もなくリリースされ、凍りついたルルカロスは光となって消えてしまい、マーレの場には何もなくなってしまった。
「モンスターがリリースされた事により、【ティアドロップ】の攻撃力はアップする。3体リリースされたから、3体分の効果アップだ」
六花聖ティアドロップ ATK2800→3400
「……ふぅ、負けちゃったか」
「バトル! これで……終わりだ!」
フィールドに残っている全てのモンスターの攻撃力はマーレとライフを簡単に超えていた。
マーレは避けようともせずに全ての攻撃を受け止め、その攻撃さはソリッドビジョンな為マーレの体を貫通し、ライフを全て削りきった。
マーレ・テネリタス 残りライフ6500→0
WINNER 桜雪花衣
ライフが0になった事で勝者の名前が表示され、何とか俺は勝ちを得た瞬間、フィールドのティアドロップ達とデュエルフィールドの機械も作動を終えた。
「ふぅ、勝てた……」
「くっそー! 負けちゃった! でも、楽しかったよ。ありがとう」
マーレは感謝の言葉を述べて手を差し出し、差し出された手を握った。
「ん〜! 良いデュエルだったわ! マーレ君も初めてなのに、良くあの混合デッキを使えたわね」
「うんうん、ティアラメンツと幻獣機? だっけ。凄いよねー」
「そ、そうかな〜」
マーレは満更でも無く照れており、緩みまくっている笑みはだらしが無かったが、とっても嬉しそうだった。
「じゃ、いいもの見れたし、俺たちは帰ろうか」
「はーい。じゃあね皆! また会おうね」
「頑張れよ、これからも」
そう言って白と白玉はこの場から去ってしまった。
……なんか、不思議な人達だったな。また会えるだろうか。
「じゃあ私も仕事に戻るわね。あ、ディスクは返してもらうわね」
店長さんも俺達からデュエルディスクを受け取り、2つのデュエルディスクをもってカードショップの方に戻って行った。
……あれ? そういえば俺達マーレを元の世界に戻す為にデュエルをしていた様な気がするな。
「そうだマーレ。お前の方はどう……」
途中からすっかりその事を忘れてしまい、マーレの方に体を振り返えると、マーレの体が青色の粒子を纏いながら、徐々に体が透けていっていた。
「ま、マーレ!? 何か体透けてるけど大丈夫か!?」
「うん。大丈夫大丈夫。多分、お別れの時間だと思うから」
「お別れ……そうか、やっぱり、デュエルしたからか……」
やっぱり、マーレがいつの間にか持っていたデッキはデュエルをする為に出てきた物であり、マーレが元の世界に戻る鍵だったのか。
無事にマーレを元の世界に帰せたのに、何故か嬉しい気持ちよりも、悲しい気持ちになってしまう。
徐々にマーレの体は消えていき、透けていく体を見る度に喪失感と言うか、寂しいという気持ちが雪のように積もっていった。
1日しか過ごしてないのに、こんな気持ちになってしまうのは、それ程マーレとのデュエルが楽しかったのか、マーレから何か感じるものがあったのか……多分、どっちもだろう。
「そんな顔しないでよ。大丈夫、きっとまた会えるさ」
マーレは俺の肩をゆっくり置き、微笑みを向けた。
「言いたい事とかいっぱいあるけど。これだけは言わせて欲しい。……君と会えて良かったし、この世界に来て良かったと思ってるよ」
「……あぁ、まさかティアラメンツと幻獣機の混合デッキとやるとは思わなかったけど」
「はは。皆驚いていたね。多分俺のこのデッキ、俺の軌跡を辿っていると思うんだ」
「軌跡……? ティアラメンツと幻獣機が……か?」
どういう事だ? ティアラメンツと幻獣機には何の繋がりも無いのに、それがマーレと関係しているという事なのだろうか。
だがそれを聞く時間ももう残されていないかのように、マーレの体が向こう側まで見えるぐらいに透けていた。
「うん。ティアラメンツは人魚、そして幻獣機はKAN-SEN。このデッキには、色んなことを思い出せた。俺の元々の存在や、今の俺の存在、そして、これから俺が見据える未来の存在とかね」
「どういう事だ?」
理由を聞こうにも、マーレは答えてはくれず、マーレは真っ直ぐ俺の目を見た。
「花衣君。多分、君にはこれから凄く辛い事や悲しい事が起こるかもしれない。だけど、忘れないで。君には、ずっと傍に居てくれる人達が、想ってくれる人がいることを」
マーレは俺の後ろにいた精霊達を指を指し、さっきの言葉を俺の胸に刻みつけるように人差し指を俺の胸をとんと叩いた。
「俺もそれを知ってこうして生きてる。君と精霊達の繋がりは、どんな事だって乗り越えられるさ」
『当たり前ですよ。花衣様と私達は、死でも分かたれない繋がりがあるんですもの』
『うんうん。でも、私の方が繋がりが深いですけどね』
『寝言は寝て言いなさい』
『はぁ〜?』
こんな時でもティアドロップとレイは喧嘩してしまい、マーレとの別れぐらい喧嘩しないでくれと仲裁すると、マーレは笑った。
「あはは、まるで姉さんの様だね、ティアドロップは。過保護で、君の事が大好きな点ではね」
「姉さん? そっちも大変そうだな」
「でも、楽しいよ。そっちの様にね」
「……そっか」
「さて、もうそろそろお別れかな。そうだ、最後に言っておきたい事があるんだ」
「最後?」
「俺の本当の名前。このマーレ・テネリタスって言うのは、その人から借りた名前なんだ。訳あってこうしないと生きていけなかったから……でも、君には、君達には伝えたいんだ。俺の本当の名前を」
まさかマーレが偽名という事に驚きつつも、慌ててたりせずに静かに受け入れた。
「俺の本当の名前は……」
彼の本当の名前は……俺と変わらないぐらい少しおかしな名前だった。
普通とはちょっと違う読み方で、教えられないと読めない読み方はなんだか親近感が湧いた。
そして、偽名とほぼ変わらないと思うと、思わず笑ってしまった。
「何だ、偽名とあんまり変わらないじゃないか」
「まぁね。しかも、その人俺と同じ顔なんだよ。……全部終わったら、会わせたいな」
「へぇ、じゃあ今度はこっちからそっちに行くよ。……いつか、必ずな」
「うん、待ってるよ。花衣君。……じゃあ、またね」
別れの挨拶を返そうとした瞬間、優海は青い光と共に消えてしまった。
まるで最初から誰も居ないかのように静まり返った部屋を数分立ち尽くし、彼と出会った時の事を思い出した。
空から現れて、いきなり変な敵と戦ったり、俺とデュエルをした。
ふらりと海に立ち寄ったのは、もしかしたら彼と出会う為に運命の悪戯が俺を立ち寄らせたのかもしれない。
だけどこれだけは言える。彼と出会えて良かった。
また会えるか分からいなけど、今度会ったら今度は焔達を紹介したいと思いつつも、俺は彼とデュエルをしたデュエルフィールドを見つめた。
「……また会えるよな」
俺は彼の本当の名前を言うと、彼が返事をした声が聞こえた気がした。
※今回の感想を書く際、マーレ君の本名や正体が分かるようなコメントは避けてください。
オリカをまとめた章が欲しい?
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欲しい!
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別に( *¯ ³¯*)