六花テーマを作って愛用したらそのまま俺への愛が重くなった件について 作:白だし茶漬け
はい、今回は多分ですけど大丈夫な筈です。いや多分(2回目)
調べたりとかしてきたのでまぁ…何とか行けてるはずでふ!(噛んだ)
それではどうぞこゆっくり〜
準々決勝、勝ち残ったメンバーは俺含めて8人となった。まず知り合いだと俺、炎山、機羽、咲初、白井、華原の六人だ。何とほとんどの知り合いが勝ち残ってるという喜ぶべきか驚くべきかわからん状態だが、それよりも俺自身がよくここまで勝ち残ったと驚いている。そして、俺の試合は終わろうとしていた。
俺の準々決勝の相手はこれまた初対面の人であり、使用デッキはなんと【
このモンスターは攻撃力は4000で効果の対象にはならないし、効果では破壊されない。しかも守備モンスターを攻撃したらその数値の差の倍のダメージを相手に与えることが出来る強力なモンスターだ。
「ティアドロップの効果で俺は自分フィールドにいる"六花精シクラン"をリリース。六花モンスターがリリースされたことにより永続魔法"六花の風花"を発動。相手はモンスターを一体リリースしなければならない。」
「あぁぁぁぁ!強制効果でしかもリリースだから俺のカオスMAXが問答無用で消されるぅぅ!」
そう、あのカオスMAXは破壊こそ出来ないがリリースと破壊は違うのでカオスMAXを除去した俺はがら空きに
なった相手にトドメをさす。
「モンスターが2体リリースされた事でティアドロップの攻撃力は400上がり3200になる!そのままダイレクトアタック!」
「くっそぉ負けた〜!」
このダイレクトアタックで相手ライフは0になり、俺は準決勝へと駒を進めた。
…いや、ここまで勝つと尚更怖くなる。俺は始めたばかりの初心者で何故かここまで勝てた事に驚きを隠せずにいた。なんか明日悪い事でも起こるのかと言うぐらいすごく怖くなった俺は、気休めにトーナメント表を確認した。
【大会トーナメント:準々決勝】
『Aブロック』
第2試合:炎山焔vs白井霊香
『Bブロック』
第1試合:機羽空vs華原雀
第2試合:咲初花音vsレイ
第1試合は先程終えた為、俺の勝利として記録されて画面からは表示されていなかった。
次の試合は第2試合の炎山と白井の対戦だ。
確か炎山が【不知火】、白井が【魔妖】と言うデッキを使う。あまり詳しくは無いが、不知火と魔妖はほとんど似たようなカテゴリーだと言うが…
「ま、とにかく見れば分かるかな…」
試合自体は同時進行で行われる為、どれか1つしか試合を見れないが俺は炎山達が対戦する机に移動し、俺は炎山の戦いを見届ける事にした。今頃はもうとっくに始まってる頃だろう。
「待って下さい。」
「…ティアドロップ?」
何度かは大会に出て、何度も勝ったり負けたりしてきた。そして俺は一つ驚いている。それは花衣の事だ、俺は正直言って花衣がここまで勝つとは思わなかった。
良くて2回戦…いや、1回勝てれば良いと思っていた。
だがあいつはここまで勝ち残った…正直驚いてる。
「こりゃうかうかしてられないぞ…」
「あら、それなのに何故か嬉しそうね。」
霊香に言われて俺は自分の口に触ると確かに口角が上がってた事にようやく気づく。やはり、友達とワイワイ戦うのも良いが、こうして本気で戦うことも楽しくてたまらない。
俺はそんな高揚感を抱えながら自分のデッキを取り出し、対戦相手である霊香にデッキを渡す。霊香もデッキを俺に渡してお互いにデッキをシャッフルする。
「…よし、こんなもんか。」
大体デッキを切ったと判断した俺はシャッフルを止めて霊香にデッキを渡す。俺と同じタイミングで霊香もシャッフルを終え、デッキを返す。
手札事故になりませんようにと祈りながら五枚デッキからカードを引き、俺が手に取った手札はこれだ。
【初期手札】
牛頭鬼
不知火流 転生の陣
(お、結構いい手札。)
不知火の宮司は召喚した時に手札または墓地から不知火モンスターを一体特殊召喚出来るし、隠者はアンデット族をリリースすれば守備力0のアンデット族チューナーをデッキから特殊召喚出来る。
物部も召喚したら"妖刀ー不知火"モンスターと言う不知火のチューナーモンスターをデッキから特殊召喚出来るが…
先ずは宮司と隠者を使うか…
「俺は"不知火の宮司"を召喚。そして召喚に成功した時、手札または墓地から
「…本当に不知火のカードを使うのね。」
「何だよ。嘘だと思っていたのかよ。」
「別にそんな事無いわ。それで、この後はどうするのかしら?」
「同然決まってる。俺は隠者の効果で宮司をリリースして、デッキから守備力0のアンデットチューナーを特殊召喚する。俺が選ぶのは"ユニゾンビ"だ!」
ユニゾンビはレベル3のアンデット族チューナーで守備力は0だから問題なく特殊召喚できる。
そしてユニゾンビの効果は2つある。
まず1つは手札を1枚墓地に送る事で指定したモンスターのレベルを1つ上げる。
もうひとつはデッキからアンデット族を墓地に送ることで指定したモンスターのレベルを1つ上げる。
この二つだ。
現在俺の場にいるのは"不知火の宮司"と"ユニゾンビ"だけで、手札には牛頭鬼がいる。このカードは墓地に送られた時、こいつ以外のアンデット族を除外する事で手札からアンデット族モンスターを特殊召喚出来るが…
(でも俺の手札のアンデット族は物部しかいないんだよな…こいつ特殊召喚だと効果は使えないんだよな。)
不知火の物部は
もし仮にここで牛頭鬼を墓地に送り、そのまま効果で墓地にいる宮司を除外からの物部を特殊召喚しても効果は使えないので大して展開は出来ない。
しかもそれだけじゃない、墓地にいる不知火の宮司は除外した時に相手のカードを1枚破壊できる。
今は俺の先行なので当然、霊香のフィールドには何も無い。ここで意味の無い除外は避けたいので、牛頭鬼は捨てない。つまり…残った手段は…
「"ユニゾンビ"の効果発動!デッキからアンデットモンスターを墓地に送って…」
「待って、私は手札にある"
「やっぱ詰んでるよなー!」
どんなデッキでも仲良く出来る"灰流うらら"は本当に強い…それ1枚で展開崩れるもん…未だに手札誘発とか何なの?とか思うもん…まぁ、俺も2枚詰んでるんだけど。
「しかもどうせ貴方…"
「あ〜やっぱ分かってたか…」
当たりだ。俺がユニゾンビの効果で墓地に送ろうとしたのは"馬頭鬼"というモンスターだ。
"馬頭鬼"は墓地にある状態で除外すると墓地にあるアンデット族モンスターを特殊召喚出来る。
ここでもし"ユニゾンビ"の効果が通れば、"馬頭鬼"を墓地に落として更なる展開が見込めたんだけどなぁ。
「私が使ってるのは【魔妖】よ。貴方とほぼ同じようなデッキだからデッキ構築もほぼ同じ筈よ。」
「つまりは戦法も同じってか?」
「そうなるわね。」
「だったら負けてらんねぇな!ユニゾンビの効果は不発に終わったからレベルは3のまま!俺はレベル4の"不知火の隠者"にレベル3の"ユニゾンビ"をチューニング!シンクロ召喚!レベル7、
「更にこいつの攻撃力と守備力は自分と相手の墓地にあるアンデット族モンスターの数×100アップする。今墓地にあるアンデット族は俺の墓地で3枚、よって攻撃力は300アップだ。」
「更にフィールド魔法、"不知火流ー転生の陣"を発動。おれはこれでターンエンドだ。」
「私のターン。」
淡々とした声と表情をしてカードを1枚ドローした霊香は手札を見つめて戦略を練っていた。
やがて長考は終え、霊香は動き出した。
「私は
「…送るのは馬頭鬼か?」
霊香は当たりと言ってるように小さく笑い、デッキから馬頭鬼のカードを俺にみせてから墓地に送った。
因みにアンデット族が墓地に送ったので俺のレッドアイズの攻撃力は2700から2800に上がる。
だが、これは直ぐに突破されるだろう…相手の場には
レベル1のモンスターにレベル2チューナーモンスターの"妲姫"に、リンク素材にする気満々の雪娘…俺の嫌な予感は当たり、ここから霊香の展開が始まる。
「私はレベル1の波旬にレベル2の妲姫をチューニング。レベル3、"
轍の魔妖ー朧車:ATK800 DEF2100
それほどステータスは高くはないが問題はそこじゃない。先程シンクロ素材にして墓地にある"麗の魔妖ー妲姫"の本領はここから発揮させる。
「墓地にある"麗の魔妖ー妲姫"の効果。このカードが墓地に存在し、【魔妖】モンスターがEXデッキから特殊召喚された時、このカードを墓地から特殊召喚出来る。…因みに…この効果に1ターンに1度と書いていない…分かるわよね?」
そう、そのテキストが書いてるのと書いてないだけでとんでも無いほどの展開が出来るのだ。
妲姫はその効果を使うと魔妖モンスターしか特殊召喚出来ないが、魔妖のシンクロモンスターは最小で3、次に5、7、9、そして11と妲姫のレベルに合わせるように2ずつ増えている。つまり…これから高レベルモンスターがどんどん召喚されるのだ。
と言うかなんで1ターンに1度と言う言葉書いてないのかねそれ。その言葉がないせいで"カタパルト・タートル"と"魔導サイエンティスト"との凶悪コンビのクソワンキルデッキなんか作られたんだぞぉぉ!?まぁ、今はエラッタ修正されてるけどね。
いやいやいや、今はそんな事言ってる場合じゃない。霊香は俺の事なんか気にせずにどんどん新たにシンクロモンスターを召喚してくる。
「どんどん行くわよ。妲姫を蘇生、次に朧車と妲姫をシンクロしてレベル5の
こんなのが実に繰り返され、レベル7の"
「私は妖狐と妲姫でシンクロし、レベル11
素の攻撃力では上だが俺のレッドアイズアンデットネクロは互いの墓地のアンデット族モンスター×100あがる。
えーと、妲姫は蘇生されるから互いの墓地のアンデット族は俺3枚と霊香が波旬と朧車と土蜘蛛と天狗と妖狐と馬頭鬼の実質6枚で…
攻撃力は餓者髑髏と同じだが、こんな物は恐らく直ぐに突破されるだろう。
何故なら墓地には馬頭鬼…効果を発動する気満々だ。
「妲姫を蘇生し、私は墓地にある"馬頭鬼"の効果発動。このカードを除外し、私は墓地にある波旬を特殊召喚。」
「これで…魔妖モンスターが4体…」
妲姫、雪娘、波旬、そして餓者髑髏…霊香の場にはこのモンスターがいる。手札2枚からここまで出来る魔妖はやっぱ強い。俺もうららが来てくれればなぁ…
無い物ねだりをしても仕方ないので俺はこの場を受け入れる事にした。そして俺の予想が正しければ、霊香はあのカードを出してくる筈だ。
更に、俺のレッドアイズは馬頭鬼が除外された事により攻撃力は下がる。
「私は波旬、妲姫の2体でリンク召喚。召喚条件は【魔妖】モンスター2体。
「さらに私は妲姫を蘇生、そして私は雪女と妲姫と雪娘でリンク召喚、召喚条件はアンデット族モンスター2体以上!LINK4
「やっぱそう来たな…そいつの効果は【不知火】にすげえ刺さるんだよな…」
零氷の魔妖ー雪女には3つの効果がある。
まず1つ目、零氷の魔妖ー雪女は一体でしか場に残せない。つまり2体以上は存在出来ない。
二つ目…これが俺の不知火にとっては結構キツい。
効果内容はこのモンスターがいる限り、除外されている状態で発動した相手モンスターの効果は無効化される。
俺の不知火は除外されてから効果を発動出来る者が多い。つまり、大元の効果が使えない。
こんな限定的だからこそ刺さる物には刺さるから結構痛い。めっちゃ俺の懐にくい込んでる。
最後に3つ目は墓地からモンスターが特殊召喚、または墓地のモンスターの効果が発動した時、相手のモンスターの効果を無効にして攻撃力を0にする効果がある。
なんとこの効果、1ターンに2回使えるのだ。
「くっそ改めて相手にすると本当にキツいな…どうすりゃいいんだこれ…」
「更にEXデッキから魔妖モンスターが召喚された事により妲姫を守備表示で召喚。…貴方のレッドアイズの攻撃力は…」
「3500だ。どうする?」
俺の墓地には3枚、そして先程のリンク召喚をした事により霊香の墓地は増え、8枚になっている。
レッドアイズの攻撃力は元々の攻撃力の1100アップしており、攻撃力は3500になっている。
霊香の餓者髑髏よりは攻撃力が高いが、魔妖モンスターは破壊されてから本番というものもある。
ここでターンエンドなのか、それとも自滅して強引に攻めるか…霊香はその事を考えてるのか悩んでいるのか、場のモンスターを見つめていた。
…そういえば見つめていたと言えば俺は霊香の目と雪女を交互に見ていた。
別に気になったとか一目惚れとかそんなのでは無い。
ただ目が少し似ているなと思っただけだ。
「…何見てるのかしら?」
「え?あ、あぁ…なんか雪女と目が似てるなと。」
「…そ、よく言われるわ。私はこれでターンエンド。」
言われ慣れてるのか霊香は淡々とした声でターンを終えた。気に障ったのか、霊香はそのまま冷たい目のまま窓の外の景色を見ていた。俺も釣られて窓の景色を見ると、そこにはなんの変哲もないビル街が立ち並ぶ景色で俺がいつも見る景色だ。霊香はそれを飽きること無くいつまでも見ていた。
「…何してるの?貴方のターンよ。」
「あ、あぁ…ドロー。」
戸惑いながらドローしたカードは"
「…さて、先ずはこの盤面…どうするかな…」
相手の場には雪女と餓者髑髏、そして俺の場には攻撃力3500の
炎山と白井の試合はどうなっているだろうか?もうとっくに始まっていると思うが、俺は呼びかけても応えなかったティアドロップの声を聞き、すぐ様カードを取り出し、ティアドロップに人気の無い所で話がしたいと言ってきた。
しかし、今は大会中なので外へと出入りは禁止されている。外に出てデッキの変更とかそんな不正をさせない為とか、例えば効果ダメージを相手に与えさせ、そのまま時間制限までトイレに引きこもるとかその様な事を防止する為らしいが…
とにかく、今の俺はそう簡単に外には行けない…だが、ティアドロップの事がどうしても気になり、俺は店長さんのところに話をつけにいく。
「あら?どうしたの花衣君?」
俺が近づくのを不思議がってる店長さんは大会だからと外に出るのは良くないとか、トイレはあっちにあるよとか言ってきた。
カードの精霊が急に話しかけてきたとか言える訳も無いので俺は、何とか言い訳する方法を考えた。何かないかとズボンのポケットやらまさぐると、俺の手が携帯電話に当たった。
(…これなら誤魔化せるか?)
俺はポケットから携帯を取り出のと同時にデッキから取り出した"六花聖ティアドロップ"を1枚ポケットに隠した。
「あの…家族から電話が来て…ここ、すごく周りの声が凄いので聞き取りづらいので外で電話したいんですけど…」
「あら、確か海外にいるんだったわよね。電話なんて久しぶりじゃないの?」
そう、俺の家族は今海外で仕事しており、ほとんど家に帰って居ない。それを悪いと思っているのか親は大層な金額の仕送りをしてくれる。普通の生活費よりも大分多く、生活費の余ったお金をお小遣いとしてと言ってはいたが、俺はどうしてもそのお金に手をつけられず、最低限の生活費だけを使っていた。その事を炎山や機羽、店長さんには事情を話しているので店長さんはこの事を知っている。久しぶりに親と話がしたいとふっかければ店長さんは甘さで俺を一時的に外に出してくれると踏んだ訳だ。
…騙すような事をしてるので心が痛む。俺は目を逸らそうとしたが変に怪しまれると思ったので、逸らさずにいた。
「分かったわ。でもデッキは預かるわ。花衣君ならしないと思うけど…デッキをこっそり変えたりした人がいるから…」
「分かりました、ありがとうございます。」
俺はカバンからデッキケースを取り出し、そのまま店長さんに渡した。その後、俺は胸に針が刺さるかのような痛みを感じながら店の外に出た。
空調が聞いていた室内から1歩外に出ると、外からの熱気が凄まじく感じ、俺は人気のない所へと移動する。
「…ロゼちゃん。お願い。」
_分かった。
しかし俺はティアドロップが呼びかけてくれた嬉しさのせいか気づかなかった。一人の女性がひっそりとレイのデッキから実体化させ、そのまま誰にも気付かれずに俺の背後をつけていたことを…
「人気の無いところか…このビルの屋上…とかかな?」
今俺がいたカードショップはビルの2階にある部屋をそのまま改装して出来た店だ。現在俺がいるのはそのビルの2階だ。このビルは5階建てであり、聞くところによると使ってる人は居ないという。
しかも空調も何も無いので太陽の光を真っ向から受けてる4階辺りはおそらくは誰もいないだろうと考えた俺は、蒸し暑く気温の熱に襲われながらも階段を登る。
暑い中足取りが重くなる中、俺は4階に着き、空き部屋の扉を開ける。予想通り人が居なく、何より暑く、何も無い。何かあるとすれば床敷いてある絨毯だけだ。こんな所に来るのは俺除いて誰もいないだろう。しかし念の為に周りを確認し、下の階から誰か見ていないかを確認してからティアドロップのカードを取り出す。幸い、下の階にも誰かがいる気配が居ないので俺はティアドロップに呼びかける。
「ティアドロップ、ここでいい?」
「ええ…ありがとうございます。」
取り出したティアドロップのカードが光だし、光の粒子を纏いながら実体化させた。
(ん?わざわざ実体化?)
何かを話すだけなら実体化しなくても力の消耗が少ない霊体化の方が良いと思うのだが、それはティアドロップでも考えつく事だ。だが、わざわざ実体化させるのはなぜかと考えた俺は首を傾げた。
しかしそんな態度を気にしないようにティアドロップは傘をさし、顔を隠しながら真っ直ぐ俺に近づく。
「…できません」
「…え?なんて言った?」
傘が顔を隠しているので、声がごもるせいで俺はティアドロップが何を言ったか分からなく、もう一度聞くために、今度は俺から顔を近づける。
「もう…我慢出来ません!」
ティアドロップは傘を宙にほおり投げ、そのまま空いた両腕で俺の事を逃がさないように俺の周りに腕を伸ばしながらそのまま俺の胸に飛び込んだ。俺はあまりの出来事に踏ん張りが効かず、そのままティアドロップの飛びつきに負け、地面に着いてしまう。
地面と衝突した痛みで目を瞑り、徐々に目を開ける。
すると、いつの間にか俺はティアドロップに押し倒されている状態になっていた。目と鼻の先にはティアドロップの顔しかない。
ティアドロップの氷の宝石のような目と雪のような白い肌、ハリが良く色素の薄い桃色の唇が今にも俺の唇と触れ合ってしまいそうだった。呼吸が苦しくなるほど胸の鼓動が早まり、今にもはち切れんばかりだった。
俺はティアドロップから一旦離れようとしたが、ティアドロップの手が俺の腕を力強くホールドしてるので動けずにいた。ティアドロップのひんやりと心地よい冷たい肌がこの部屋の暑さを忘れさせる。
「テ、ティアドロップ!?ち、近い!」
「そうですね…あともう少しの所で…花衣様の唇を奪えちゃいますね…もうこのまま奪っても…」
そう言いながらティアドロップは俺に顔を更に近づけさせた。ティアドロップの吐息が俺の唇に当たり、心臓の鼓動が血管に感染したかのように脈の流れも早くなる。
「い…いやいやいやいや!それは…まだちょっと…」
俺にも段取りという物がある。気恥しさなのか、こんな風に無理やりみたいな感じにされるのか嫌なのか、とにかく俺の心がダメだと判断し、どうにかしてティアドロップから離れようと、懸命にもがくが、こっちは人間、ティアドロップはデュエルモンスターズのモンスター…
力の差は歴然だった。
ティアドロップはその抵抗をまるで愛らしい小動物の威嚇を見るかのように笑った。
「花衣様…あの言葉…本当ですか?」
「あの言葉…?」
「私達…六花の事が好きだというあの言葉です。」
「…?」
俺はそんな事言ったのか、今日の記憶を辿った。
…言った。レイと話している時、確かに俺はそんな風に言った覚えがある。
_六花達の事が好きなのですか?
_まぁ…好きか嫌いかで言えば…うん、好きだと思う。
あぁ…うん、言ったわ思い切り言ったわ。しかもティアドロップが聞いていたという事は六花達全員に聞こえていたという事になる。
言わば好きな人がたまたまそこに居て自分がその子が好きだと言う事がその当の本人にバレたみたいな感じだ。
「聞いていたのか…」
「勿論ですよ、花衣様から発せれた言葉は一語一句、絶対に聞き逃す事なんて有り得ません。それでどうなんですか?私達のこと…愛していますか?」
最後の言葉を口にした瞬間、ティアドロップは手を震えさせた。ティアドロップもそれが分かっていたのか、その震えを誤魔化すように力強く俺の腕を掴んだ。
その事を俺は腕からしっかりと感じていた。
六花達のことが好きなのは間違いない。だが、愛していると言われると…違う。
言わば友達以上恋人未満のぬるま湯みたいな関係だ。
好きこそではあるが、俺は六花達が望んでいる言葉を言うことにはまだ戸惑いがある。
何故だろうか…それを言うのを
「好きなのは好きだ。でも…ごめん、愛してるとまでは…」
ティアドロップは一瞬悲しそうな顔したが、直ぐに笑顔に戻した。だが、目だけは悲しそうなままをしていることにはティアドロップが気づいていないのか、俺はその目を見て心に針が刺さるような痛みを感じた。
「好きだと言ってくれるだけで嬉しいですよ。貴方のその声で言ってくれると花が水をかけられるような幸福が私の中に流れ込んで来るんです。」
ティアドロップは更に俺の体と密着し、俺の耳に囁くようにそう言った。
ティアドロップは俺の足と絡ませるように足を組み、
ティアドロップの胸の弾力が更に圧迫している事で更に感じられる。どうしてもその胸に意識が集中し、その柔らかさが俺の神経を興奮させ、すり減らせる。
「あの…もっと言ってくださいませんか?毎日花に水を与えてくれる無邪気な子供のように、もっと…もっとその言葉を私の耳に囁いて言ってください。」
その言葉とは「好き」という言葉だ。普段の俺なら何を言ってるんだとか、そんな恥ずかしい事言えるかとか言ってそのまま無かった事にするが、ティアドロップの目を見るとそうとは言えなかった。
ティアドロップの目はまるで水と太陽を求めている日陰にいる花を表したような悲しく、求めるような目だった。俺はティアドロップの耳に口を近づけ、息を小さく吸って言葉を放つ。
「…好きだ。」
恋人のような言葉の意味では無く、友達としての意味の言葉をティアドロップの耳に囁いた。
ティアドロップは自身の内側から漏れでる喜びを出さないように体を強ばらせた。
「あぁ…私も…私も愛しています!ずっと…これからも未来永劫ずっとずっとずっと私が貴方の傍にいます!貴方の望む事やしたい事、願いを全て私が与え、貴方を幸せに…」
「それはダメ。貴方じゃ…彼を幸せには出来ない。」
「誰ですか!」
ティアドロップでは無い他の女性の声がドア越しから聞こえると、ドアがいきなり轟音と共に吹き飛ばされる。
空き部屋だからとロクに掃除していないのか、ホコリが辺りに舞う。
俺とティアドロップは抱き合う事を止め、破られたドアが元あった場所を警戒する。
煙とホコリがようやく地面に落ち、謎の女性の姿がはっきりと見えた。黒い学生帽見たいな帽子に、黒く白いラインが入った服とマフラーとスカートを来ており、銀色の少し下げたツインテールを靡かせ、紅い目とその目と合わせるような赤く白いラインが入った剣を握っていた。
「…誰だ?」
「私は"閃刀姫ーロゼ"。」
「閃刀姫…?」
俺は閃刀姫という言葉で、レイの事を思い出した。
そう言えば…レイが使っているデッキは閃刀姫…俺は咄嗟に携帯から"閃刀姫ーロゼ"のカードを調べた。
やはり、カードと全く同じ服と顔であった。つまり…ロゼもティアドロップと同じ、デュエルモンスターズの精霊という事になる。
「聞いていられないわ、彼をそんな風に誘惑して…無理矢理好きだと言わせるのがそんなに楽しい?」
「無理矢理…?誘惑?何を言ってるのか私には全く分かりませんね。」
ティアドロップは俺から離れ、立ち上がると放り出した傘が氷の結晶の纏わせながら消え、ティアドロップの手に戻った。
ロゼも殺気に満ちた目でティアドロップを見つめ、剣を構えた。お互い、戦闘状態に入っていた。
「彼の言葉…聞いていた?貴方への愛なんか無いのよ。」
「…彼に逃げられた人がよく言えますね?」
「っ…!」
逃げられた?彼?彼とは…俺の事を言っているのか?しかし、俺にはロゼと面識が全く無い。デュエルモンスターズの精霊なんて見えたのはほんの1ヶ月前ぐらいで初めて会ったのはティアドロップでその後俺は六花達とアロマしか精霊が見ていない。他のモンスターなんて見ていないのだ。
…いや、本当に俺は面識がないのだろうか?所々俺の脳裏に映る、あの懐かしさを感じる光景…レイやロゼもそこにいた。俺は本当は…ロゼを知っている?
「彼は貴方達を恐れて姿をくらました…記憶も何もかも捨てて貴方達を忘れようとした…」
「違う…」
ロゼは溢れ出る何かを外に出さないように必死に頭を抱え、立ち尽くしていた。
「そして私達と出会い…時を過ごした。…彼も私達の元を去りましたが、今はこうしてまた会えたのです。これって運命以外の何者でもありません!そう、彼は貴方達では無く私たちを選んだのですよ!」
「黙れぇぇぇ!」
ロゼが叫びなからティアドロップに飛びつき、剣を振りかぶった。ティアドロップは傘で剣を防ぎ、そのまま鍔迫り合いを始める。
力と力の衝突に俺は衝撃波で吹き飛ばされる。2人は吹き飛ばされた俺を見たが、依然として戦っていた。ロゼは鍔迫り合いを止め、後ろに下がり、縦横無尽に部屋の駆け巡り、ティアドロップに動きを悟られないようにする。あまりにも早い動きのせいか、ロゼが何人にも分身したようにも見える。
ティアドロップは傘で自分の周りの地面に円を描くようにすると、そのまま円から氷が飛び出した。ロゼの分身が氷に足を取られ、分身が消え本体だけが残った。
「しまった…!」
「終わりです。」
ティアドロップは傘の先をロゼに狙いを定め、傘先に氷の矢が形成された。ティアドロップの目は本気でロゼを倒そうとしている目だっので確実にやるつもりだ。
ロゼは何とかしようと氷から脱出しようとしたがそれも虚しい抵抗だった。俺は何とかしてティアドロップを止めようと、体を起き上がらせ、氷の矢の射線上に入り、ロゼを庇うように立った。
「やめろティアドロップ!」
「花衣様…!?」
ティアドロップは傘を下げると氷の矢は溶けて無くなりそのままティアドロップは俺に近づき、肩を強く握る。
「どうしてですか!?この人達はいつか貴方を不幸にする存在なんですよ!?今ここで駆除しないと…」
「氷を溶かして、ティアドロップ。」
「花衣様!」
「溶かして…今のティアドロップは嫌いだ。」
「嫌い…?」
ティアドロップは膝を着き、そのままロゼの足元を凍りつかせた氷を溶かした。
ティアドロップはそのまま泣き崩れしまう。事実でもあり嘘でもある言葉を言った俺は、ティアドロップより、ロゼの方に体を向けた。
「大丈夫か?」
「…問題ない。」
ロゼは淡々とした声で俺の横を通り過ぎようにしたその時、ティアドロップには聞こえない声で俺の耳に囁いた。
「絶対貴方を連れ戻す…」
「え…?」
俺はロゼの方に振り返るとそこにはもうロゼの姿は無かった。ロゼの事も気になるが…俺はティアドロップに近づく。…酷いことをした自覚はある。でも本当にさっきのティアドロップの事は…正直好きにはなれなかった。
俺はティアドロップに寄り添うと、ティアドロップは不意に背中から俺の事を抱きしめる。
「お願いです…嫌いにならないで下さい…!」
ティアドロップは不安で更に抱く力を強め、震えも強くさせた。安心させられるか分からないが、俺はティアドロップを強く抱き返した。ティアドロップの震えは止まり、呼吸も落ち着いて来たようだった。
「…ごめん。でも本当にさっきのティアドロップは…」
「嫌です…聞きたくありません。お願いです。私を…安心させてください…」
ティアドロップが求めている言葉は分かっている。
俺はティアドロップの耳に近づき、言葉を伝える。
「…好きだ。」
「私も…愛しています。花衣様…」
ティアドロップは先程の戦闘で力を使い果たしたのかそのまま小さな氷の結晶を纏いながら消えてしまう。
俺は手に持ってる六花聖ティアドロップのカードを見つめる。
「最低だな…俺。」
嫌いと言った後に安心させる為に好きだと言った俺は、最低だった。これでは他人の気持ちを弄んでいるのと同じだと感じた俺は、自分の言動を悔やんでいた。
俺は重い足取りを引きづりながらカードショップへと戻る。
…そう言えば炎山のデュエルはどうなったんだろうか?
やばい…流石にここまできついとは思わなかった。現段階での状況はこうだ。
炎山残りLP:1500
メインモンスターゾーン
無し
魔法・罠ゾーン
セットカード2枚
手札
馬頭鬼
白井残りLP:6600
メインモンスターゾーン
骸の魔妖ー餓者髑髏
麗の魔妖ー妖狐
EXモンスターゾーン
氷の魔妖ー雪女
魔法・罠ゾーン
無し
場面が絶望的すぎる。
まず攻撃力が2900と3200のモンスターがいて、しかも雪女の効果は自分のシンクロモンスターを破壊した時、相手モンスター1体の攻撃力・守備力を半分にしてくる。
雪女自体の攻撃力は1900と控えめだが、雪女のリンク先にシンクロモンスターがいるので雪女を攻撃対象には出来ない。
だが効果の対象にはなる…ならば答えはひとつ。
「俺のターン…ドロー!」
俺が引いたカードは"逢華妖麗譚ー不知火語"だ。
よし!これならまだ行ける!
「墓地にある"妖刀ー不知火"の効果発動!このカードと墓地にあるチューナー以外のアンデットモンスターを除外する事により、そのレベルの合計と同じアンデットシンクロモンスターを特殊召喚する!俺は、レベル2の"妖刀ー不知火"とレベル4の"不知火の武士"を除外する事でEXデッキから"刀神ー不知火"を特殊召喚!」
刀神ー不知火 レベル6 ATK2500 DEF0
「俺は罠カード、"不知火流ー燕の太刀"を発動!自分フィールドのアンデット族をリリースし、フィールドのカード2枚を破壊する!俺は"刀神ー不知火"をリリースし、俺が選ぶのは"骸の魔妖ー餓者髑髏"と"氷の魔妖ー雪女"だ!」
「…"骸の魔妖ー餓者髑髏"が破壊された時、墓地の妖狐の効果を発動。元々のレベルが11のモンスターが破壊された時…墓地のこのカードを特殊召喚するけど…」
「確かそのカード、1枚しか表側に出せないよな?」
霊香は悔しそうに首を縦に振る。つまり、白井は墓地から"麗の魔妖ー妖狐"を特殊召喚する事が出来ず、今霊香
の場のモンスターは"麗の魔妖ー妖狐"だけとなった。
これでは突破口にならない。だが、まだ手はある。
「"不知火流ー燕の太刀"の効果で俺はデッキから【不知火】をデッキから除外させる。俺は、"不知火の隠者"を除外し、効果を発動。このカードが除外された時、除外されている【不知火】モンスターを1体特殊召喚出来る。俺は、"不知火の物部"を特殊召喚。」
"不知火の物部"には召喚効果があるが、今回は特殊召喚だ。こいつは通常召喚して初めて召喚効果を発動できるので今は効果を使う事が出来ない。そしてこいつの攻撃力は1500。"麗の魔妖ー妖狐"には及ばない。
だが、あのカードなら突破出来る。その為に俺は賭けるようにカードを場に出す。
「速攻魔法発動!"
更に俺が捨てたカードは馬頭鬼だ。馬頭鬼が墓地に送られた事により、馬頭鬼の効果が発動出来る!
「俺は墓地に送られた馬頭鬼の効果発動!このカードを除外し、墓地からアンデットモンスターを特殊召喚する。俺は"ユニゾンビ"を特殊召喚!」
これで俺の場は、ユニゾンビ、物部、武士の三体となった。これなら勝てる…!
「俺は、ユニゾンビの効果でデッキからアンデットモンスターを墓地に送ることにより、ユニゾンビのレベルを1あげる。そしてレベル4の"不知火の物部"とレベル4になった"ユニゾンビ"をチューニング!来い!レベル8"戦神ー不知火"!」
戦神ー不知火 ATK3000 DEF0
「妖狐よりも攻撃力が上…」
そうだ。だが、これではこのターンでけりをつけられない。俺の手札と墓地は最早満身創痍であり、次のターンまで耐えられる余裕がない。
それに比べ霊香の手札には充分にある。最悪次のターンで俺は負ける。俺が勝つにはこのターンで勝負をつかなければならない。
「俺は"戦神ー不知火"の効果発動!墓地にあるアンデットモンスターを除外する事で、その攻撃力分の数値を加えることが出来る!俺は刀神ー不知火を除外させ、その攻撃力2500の数値を加える!よって戦神ー不知火の攻撃力は…5500!」
「例え攻撃力が上がっても…私のライフは残り、更に私はまた、魔妖を特殊召喚出来る。攻撃したとしてもその程度の攻撃力しかない物部では私には届かないわ。」
「あぁ…だからこそお前の【魔妖】を借りるぞ。」
「なんですって…?」
「罠カード発動!"
ここでもし戦神ー不知火で麗の魔妖ー妖狐を倒したとしても、墓地にある翼の魔妖ー天狗の効果で蘇生されてしまう。そうなってしまえば物部の攻撃力では打つ手が無くなり、俺のターンは終わる。だがらこそ俺が選ぶべきカードは決まっていた。
「俺が選ぶのは…"翼の魔妖ー天狗"だ。」
「くっ…」
俺は霊香の墓地を拝借し、翼の魔妖ー天狗を自分フィールドに特殊召喚した。霊香の墓地にある天狗はこれ1枚。つまり、もう魔妖は蘇られなくなった訳だ。
「いくぞバトルだ!まずは攻撃力5500となった"戦神ー不知火"で"麗の魔妖ー妖狐"を攻撃!」
戦神ー不知火 ATK5500 麗の魔妖ー妖狐 ATK2900
白井 霊香 残りLP 6600→4000
妖狐が破壊された事により本来なら天狗の効果を使えるはずだが今その天狗は俺の場にある。勿論、効果を発動なんて出来るわけが無かった。
「"翼の魔妖ー天狗"でダイレクトアタック!」
翼の魔妖ー天狗 ATK2600
白井霊香 残りLP 4000→1400
「止めだ!"不知火の武士"でダイレクトアタック!」
「…負けたわ。」
霊香は負けを認めるように手札をテーブルに置き、そのまま負けを宣言した。
白井霊香 残りLP1600→0
勝者 炎山焔
「よっしゃぁぁ!」
良くやったぞ俺!あんな状況から勝てたのは凄いぞ俺!俺は俺自身を褒めるようにガッツポーズを恥ずかしげもなくやり、それを見た霊香の冷たい目が俺に刺さった。
「静かにしなさい。他の人に迷惑よ。」
「うぐっ…勝ったのになんか気分に乗らないな…」
勝ってそのまま負けたヤツに叱られたせいか、一気に勝った感を失ってしまい、俺はそのまま椅子に座り込む。
「…次、頑張りなさい。相手は確か貴方の友人…初心者だからって手加減するつもりは無いでしょうね?」
「んなもんしねぇよ。相手になる限りは俺も全力だ。」
次の相手はあの花衣だ。そういや、俺と花衣がこんな風にガチでデュエルするのは初めてだろうか。その事を考えたら、余計に楽しみになってきた。
「よっしゃ!勝負だ花衣!」
俺は楽しみを湧き上がらせるようにデッキを天井にかがげた。
ここまで(〜90話)出てきたレゾンカードの中で強いと思うのは?
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六花聖華ティアドロップ、カイリ
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閃刀騎-カイムと閃刀騎-ラグナロク
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銀河心眼の光子竜
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RRRリノベイルイグニッションファルコン
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炎転生遺物-不知火の太刀
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常闇の颶風