六花テーマを作って愛用したらそのまま俺への愛が重くなった件について 作:白だし茶漬け
それでも、最後まで読んでくれると幸いですm(_ _)m
後書きの方で新たに登場したカードのテキストが書かれているので、是非そちらもご覧下さい
この世界には、レゾンカードという世界でたった1つしか無いレアカードがある。それを持っているのは世界で極わずかな決闘者だけであり、所有者は幸運の持ち主や、かなりの実力者、レゾンという世界有数の会社に選ばれた特別な人とあると同時に、ある1人の男の命を奪う力を持っている。
その男が俺だ。そして今、新たに出現したレゾンカードである【|銀河心眼の極流星光子竜《コズミックアイズ・ミーティア・フォトン・ドラゴン》】が、俺を光に飲み込もうと4枚の宇宙の翼を広げていた。
3ターン目 現在
星空彼方:LP1800
手札:0 墓地:16 除外:0 デッキ:21
□□①□□
□②③□□
□ ④
⑨□⑤□⑥⑦
□⑧□□□
桜雪花衣:LP12500
手札:2 墓地:11 除外:2 デッキ28
①:銀河百式
②:銀河心眼の光子竜
③:銀河心眼の極流星光子竜
④:アロマセラフィー・ジャスミン
⑤:アロマージ-ローリエ(守備表示)
⑥:No.38 希望魁竜タイタニック・ギャラクシー
(六花の返り咲き)
⑦:アロマガーデニング
⑧:六花精ボタン(守備表示)
⑨:六花来々
「いくぞ!【|銀河心眼の極流星光子竜《コズミックアイズ・ミーティア・フォトン・ドラゴン》】の効果!【銀河眼】Xモンスターを素材にエクシーズ召喚された時、相手フィールドのカード全てを除外する!」
「俺のフィールドのカードを除外!?」
「そして君はこの効果に対して効果を発動出来ない!」
【|銀河心眼の極流星光子竜《コズミックアイズ・ミーティア・フォトン・ドラゴン》】が4枚の翼を広げ、プラネタリウムの様にこの空間を星々が瞬く銀河のように包み込むと、俺のフィールドがまるで星になる様に全て光となって消えてしまい、粒子へと姿が変わっていく。
そしてその粒子が【|銀河心眼の極流星光子竜《コズミックアイズ・ミーティア・フォトン・ドラゴン》】の翼へと吸収されていき、その翼は銀河の暗闇から星々の輝きへと変わっていった。
「まだ終わらない!【|銀河心眼の極流星光子竜《コズミックアイズ・ミーティア・フォトン・ドラゴン》】の効果!X素材を1つ取り除き、君の墓地のカードを全て裏側で除外する!」
「墓地を裏側で除外!?」
今俺の墓地にあるカードは全部で11枚……合計で17枚ものカードが裏側で除外するなんてとんでもないモンスターだ。
星々の手を宿した【|銀河心眼の極流星光子竜《コズミックアイズ・ミーティア・フォトン・ドラゴン》】が俺のデュエルディスクに光を延ばし、その光で墓地にあるカードを全て霧散させた。
「そして【|銀河心眼の極流星光子竜《コズミックアイズ・ミーティア・フォトン・ドラゴン》】は、裏側で除外されているカード×200ポイント攻撃力が上がる。これで裏側で除外されているカードは17枚。よって、攻撃力は3400ポイントアップ!」
銀河心眼の極流星光子竜 ATK5000→8400
「攻撃力8400!?」
「バトルだ!俺は【|銀河心眼の流星光子竜《コズミックアイズ・ミーティア・フォトン・ドラゴン》】と【
2体の竜が光を束ね、その光が螺旋となって地面をえぐりながら俺に襲いかかっていく。
逃げる場所なんて無い。俺はその光に飲まれ、体に多くの傷を残した。
桜雪花衣 残りライフ12500→100
光の衝撃でまるで紙のように吹き飛ばされ、体の節々が痛みを訴えてくる。
うつ伏せで倒れながら立ち上がれず、指一本動かせず
視界も霞んでしまう。
「どうした、君のライフはまだ残っているぞ」
彼方さんの声も霞んでもう何を言っているのか分からない所まで来ていた。身体中が痛くて、痛くて、もう戦いたくない。
立ち上がりたくない。怖くて逃げ出してしまいたい。
だけどそれは俺自身が許さない。
立て。
立ち上がれ。
歯を食いしばって、痛みを堪えて、足を踏ん張り、顔を上げろ。
ソウダ、やつヲタおせ
「ガッ……!?」
突然世界が真っ暗な深淵へと染まり、体の内側から槍で貫かれる痛みが走り、意識が飛びそうになる。頭が割れる。自分が自分で無くなりそうな感覚の中、目の前にはボロボロの黒いフードを被った幻影が地面に触れずに立っていた。
『ヤツヲ倒せ。あれはお前を倒そうとするものだ。倒せ、憎め、憎悪を糧としろ』
「お前っ……ダークネス……かっ!?」
痛みにこらえる中、苦し紛れに目の前の存在の名前を言った俺に対し、幻影は何も言わずに立ち尽くしていた。
「お前……の、ちか……らは、要らない!とっとと俺の前から……消えろ!」
『何故だ、目の前にいる敵はお前を倒そうとしている敵だ。敵は倒すべきだ。殺意に対抗するのは、いつだって殺意だ』
背後に迫る白骨の指が、彼方さんの【|銀河心眼の極流星光子竜《コズミックアイズ・ミーティア・フォトン・ドラゴン》】を指した。
確かにあのモンスターは俺を倒すのに全てを賭ける覚悟でこのフィールドに立っている。
『滅ぼせ、滅ぼせ。そして世界を深淵に……』
「ぐっ……ああああああああ!!!」
背後の闇に体が蝕まれ、体に闇に染まっていく。抗おうにも抗えず、意識が朦朧と消えていく。
そんな中、微かに青く輝く氷の花が地面に咲いていた。氷の花に手を伸ばし、花びらの1枚に触れると暗闇の世界を包む様に青い光が広がり、暗闇の世界が消え、一面が雪と花が包む世界へと変わり、体の蝕みが消えた。
『ちっ、異物が来たか』
背後からする声に振り返ると、白骨の手で顔を抑える黒いローブの男がいた。
「ダークネス……なのか?」
俺が知っているダークネスとは随分と姿形が違う。確かにダークネスは全身が白骨の山羊の姿をしてローブをしており、全長は普通の人間の倍ぐらいあるのが知っている姿だが、こいつの背丈は俺と同じで、ローブの影から見える顔は人の肌が見え隠れしていた。
「お前は一体……」
しかしその声はダークネスに届く事は無かった。声を上げる瞬間、空から突風が吹き荒れ、気高い咆哮が全身に響かせる何かがこっちに向かってきた。
「ドラゴン?」
黒い鱗を纏った見た事ないドラゴンが俺の前に現れ、ダークネスに向かって咆哮を上げ、明らかなダークネスへの敵意を向けていた。
黒いドラゴンはライトグリーンの瞳をこちらに向けると、ゆっくりと口を開けた。
『さぁ、早く現実へと意識を戻して』
「こいつ、喋っ……」
喋るドラゴンに驚いたが、その間も無く黒いドラゴンは羽を広げ、この世界を泡のようにゆっくりと消えさせた。
『ここに逃げても我は闇と共にお前の元に向かう!闇がある限り、我は消えず、不滅だ!』
『それでも、貴方はこの子には不要です!』
光と闇の衝突で世界は徐々に崩れ落ち、世界の崩壊と足に力が入らず体が倒れてしまう。もうダメだ、立ち上がる気力を失った瞬間、俺を体で支えるように、柔らかい人肌に包まれた。
誰だと思い、霞んだ目で目を向けると、そこには白金の長髪をなびかせ、黒い衣装を着て俺に微笑んでくれた女性がいた。
俺の視界が霞んでいるせいなのか、その女性の頭には何か角みたいな物が生えていたような気がした。だけど、それに畏怖する事も、疑問に思う事は無かった。
流星に安心するこの温もりは……
『さぁ、早く皆さんの元に……』
「……か……あさん?」
「花衣さん!しっかりして下さい!」
耳元からレイの声が聞こえた。1度目を閉じ、もう一度開けるとそこには目の前にはレイがいた。
レイが俺の事を抱きとめてくれたのか?じゃあ、さっき見たのは幻か、それとも見間違いだったのだろうか。
目を開けた俺を見たレイは、安堵して俺の胸に顔を埋めた。
「良かった……!無事で…!」
「レイ……ぐっ、いっつ……」
「待ってて下さい。今治療しますから」
レイはいつも閃刀を取り出す為のサークルから治療道具を手にし、俺の傷を治療した。
この感じ……どこかで遭った事があるような気がする。
いつだったか、デュエル中に怪我をして……誰かに治療された時……確かレイもその場に居たような……
そうだ、思い出した。レイとのデュエルの時に花音のアロマ達によって傷を治療されたんだ。
同じような状態で、今度はレイに治療されているのを理解した俺は、思わず小さく笑った。
「な、なんで笑ってるんですか」
「いや、レイと初めてデュエルした時も、こんな風にボロボロになっただろ。そんなレイが、こうして治療してくれるのが少しおかしくてさ」
「な、なんでおかしいんですか!花衣さんの為なら何だってするんですから」
「……そうだな、俺には皆がいるもんな」
レイの治療が終わり、その甲斐あってか体の痛みも引いてきた。さっきまで立てなかったが、今は簡単に立てるようになり、彼方さんと2体のドラゴンに立ちはだかる。
「俺には皆がいる。俺を俺として好きでいてくれる皆がいる。俺はそんな皆の為に、負ける訳にはいかないんだ!」
「そうか。だが俺も負けられない理由がある。ターンエンドだ」
3ターン目 終了
星空彼方:LP1800
手札:0 墓地:17 除外:0 デッキ:21
□□①□□
□②③□□
□ □
□□□□□
□□□□□
桜雪花衣:LP100
手札:2 墓地:0 除外:17 デッキ:28
①:銀河百式
②:銀河心眼の光子竜
③:銀河心眼の最果流星光子竜
手札には今の状況を覆す物は無く、墓地には何も無く、除外されたカードから墓地に戻すカードはデッキに無い。
だが絶望的な状況では無い。俺のデッキには、彼方さんを相手に想定した対策カードがいくつかある。
それは焔と空の特訓で入れたカードであり、それを引き込めるかどうかでこのデュエルの勝敗が左右される。だが引き込めたとしても……いや、弱気になるな。とにかくドローだ。
「俺のターン、ドロー!!……よし、こいつなら」
このカードなら、何とか覆せる筈だ。今はこの道を進むしか無い。
「俺は手札から【六花のひとひら】を通常召喚!」
「2枚目をこのターンで引いてきたか」
「【ひとひら】の効果で、俺はデッキから【六花精華カイリ】を手札に加える!」
「……来るか」
「まずはこの魔法カード!【六花絢爛】を【ひとひら】をリリースして発動!デッキからレベル4の【六花精プリム】と【六花のしらひめ】を加える!」
そして、六花絢爛によってひとひらはリリースされ、手札にプリムがいる……という事は。
「手札の【プリム】は自分フィールドのモンスターがリリースされた場合特殊召喚し、【しらひめ】は無条件で特殊召喚出来る!」
「レベル4のモンスターが2体……」
「いくぞ!プリム、しらひめ!俺はこの2体でエクシーズ召喚!来い!【六花聖ストレナエ】!」
六花聖ストレナエ
ランク4/エクシーズ/水属性/植物族/ATK2000/DEF2000
「花衣くん!!」
召喚されたストレナエが空中で現れた瞬間俺に飛びつき、急に来られたが飛びついたストレナエを受け止めた。
「花衣君すごい怪我……大丈夫?」
「あぁ、レイのおかげだ」
「うぅ〜ありがとうレイ!」
泣きながらストレナエはレイにお礼を言い、レイは泣いているストレナエの頭に手を置いた。
「これくらい当然ですよ」
ストレナエの感謝にレイは笑顔で応えると、ストレナエは腕の中で俺を見上げ、力強い目で俺を見つめた。
「花衣君の声、私に聞こえたよ。私も花衣君とずっとずーっと一緒に居たい!一緒に楽しく過ごしたり、美味しいもの一緒に食べたり、また一緒に海とか色んなところに行きたい!」
「ストレナエ……」
「だから……私もっと頑張る!花衣君の事を守れるように!」
ストレナエが決意を顕にした瞬間、ストレナエ達から貰った花の腕輪が光輝き、共鳴するようにデュエルディスクのEXデッキから眩い黄色の光が溢れ出し、まるでストレナエの決意に応えるようにも思えた。
まさかと思い、EXデッキから光っているカードである2枚目のストレナエのカードを取り出すと、カードは光を帯びながらその姿を変えていった。
変わりゆくカードは姿とテキストが白紙となったが、名前だけはこの目で見れた。
その現れた名前は、六花聖華ストレナエと記されていた。
「これは……」
色こそは違うがティアドロップとカンザシと同じ光であり、六花聖華となる前兆だ。
だが、まだテキストや姿が見えず、使えるかどうか分からないが、ストレナエは俺の腕から離れ、フィールドに降り立った。
「花衣君、私を使って!」
「……あぁ、分かった」
まだこのストレナエの効果は分からないが、これには間違いなくストレナエの意志が込められている。
使わせて貰うぞ、ストレナエ……!
「まずは【ストレナエ】のエクシーズ素材を取り除き、墓地の【六花絢爛】を手札に加えます」
俺が取り除いたのは【しらひめ】だ。これで墓地の【しらひめ】の効果がもう一度使える。
「俺は【六花聖ストレナエ】をリリースし、手札の【六花精華カイリ】を特殊召喚!」
六花精華カイリ
レベル9/水属性/植物族/ATK1000/DEF2000
「【カイリ】の効果にチェーンし、【ストレナエ】の効果を発動!X素材を持ったストレナエがリリースされた時、EXデッキからランク5以上の植物族XモンスターをX召喚扱いで特殊召喚出来る!」
ここであのカードの出番だ。光り輝くカードを手に取り、遂にそのカードが姿を現し、白紙になっていた姿とテキストが刻まれた。
「俺はランク5【六花聖華ストレナエ】をEXモンスターゾーンに特殊召喚!」
「新しい【六花聖華】……だと!?」
フィールドのストレナエの周りに数々の花の輪っかが咲き誇り、ストレナエがその輪をくぐる。
輪をくぐったストレナエの体は光り輝くと同時に手足や体が成長し、髪も伸びてツインテールの位置が低い位置で結ばれ直された。
やがて光が消えると、黄色のワンピースが白いドレスへと変わり、ストレナエが成長した大人の姿になった。
背丈も伸び、顔つきも大分大人びてはいるが、子供のストレナエの面影はあった。成長し、六花聖華となったストレナエが氷の傘をさしながらこちらに振り返ると、すらりとした細長く、美しい目がこちらに向いた瞬間、ストレナエは笑顔でこっちに走ってきた。
「かーい君〜!!やったよ!!私、六花聖華になれたよ〜!!」
「ちょ!?ストレ……」
待ってくれと言う暇も無く、成長したストレナエがこちらに向かって飛びつくと、俺は驚きで力が出さず、ストレナエに押し倒された。
成長したのはどうやら背丈だけじゃなく、胸も立派に育ったらしく、子供のストレナエには無かった物があり、全力で目を逸らす。
「むー!私、六花聖華になれたんだよ?嬉しくないのー?」
「いや嬉しいんだけど……とにかく、離れてくれ」
どうやら成長したのは外見だけらしく、内面に至ってはいつも通りらしい。見た目は大人で中身は子供という事だろうか。それはそれとして危ないような気がするが……。
とにかくストレナエを一旦密着状態から離れさせ、深呼吸で心を落ち着かせる。
「ストレナエ、嬉しくなるのは後だ。今は彼方さんを……」
「うん、そうだね。花衣君、私の新しい力を見ててね!」
「あぁ。使わせてもらうぞ」
六花聖華ストレナエが姿を現したおかげか、カードの方もテキストが読めるようになった。テキストを読んでみると、ストレナエらしい自由奔放な効果だ。
使いこなすのは難しいそうだが、上手く使えば強力な効果になる。
「チェーン処理で次は【カイリ】の効果を発動。デッキから植物族モンスターを可能な限り特殊召喚します」
六花聖華ストレナエをEXモンスターゾーンに置いたから、4体まで特殊召喚が可能だ。
デッキで残っているモンスターはまだ多く存在している。
ここで出すのはどれだ……?いや、六花聖華ストレナエの効果を最大限引き出すとなれば……この4体だ。
「俺は【六花精ボタン】【六花精スノードロップ】【グローアップ・バルブ】と【アロマージ-マジョラム】を特殊召喚します」
「【グローアップ・バルブ】だと?」
グローアップ・バルブはレベル1のチューナーであり、強力故に禁止にされたカードだ。だが、今は改訂によって制限カードになっているため、1枚だけなら入れられる。墓地もなく、手札もあまりない今、このカードの効果に頼るしかない。
「まずは【六花精ボタン】の効果でデッキから【六花来々】を手札に加えます」
これで除外された六花来々をもう一度使える……が、彼方さんのモンスターはどちらも他のカード効果を受けない力がある。
六花来々は魔法カードの効果を受けないモンスターには通用しない。つまり、他のカード効果を受けないあの2体のモンスターには、リリースの肩代わりの効果は使えないと言う事になる。
だが六花の魔法・罠のサーチは可能だ。これで何とかするしかない。
「更に【アロマージ-マジョラム】に【グローアップ・バルブ】でチューニング!」
合計レベルは6。そして今俺のEXにいるレベル6のシンクロモンスターはこいつだけだ。
「来い!【アロマセラフィースイート・マジョラム】!」
アロマセラフィースイート・マジョラム
レベル6/シンクロ/光属性/植物族/ATK2200/DEF2000
「【アロマセラフィースイート・マジョラム】がS召喚された時、デッキから【恵みの風】【潤いの風】【渇きの風】のどれかをセット出来る。俺は【潤いの風】をセット」
ここでの効果でセットするのは【恵みの風】がベターだが、敢えて【潤いの風】にしたのは理由がある。
「【六花聖華ストレナエ】の効果発動!X素材を取り除き、【六花】カードか【植物族】と記されたカードをデッキから手札に加えるか、フィールドにセットまたは表側で置く事ができる!」
「植物族と記されたカード……?」
「そう、【恵みの風】のテキストには植物族が記されている為、このカードを表側に置きます」
「永続罠をターンをまたかずに発動か。しかも植物族全般か……」
しかもセットしたカードはその場で発動できる代物だ。植物族限定だがストレナエ1枚だけでどんな動きも可能になる、ストレナエらしい自由なカードだ。
「えっへん!凄いでしょ」
「だが、俺の盤面を覆す程では無い。いくらモンスターを束ねても、俺のモンスターの攻撃力には届かない」
「ええ。だから、俺は必ずティアドロップを取り戻す」
「何だと……?」
「墓地の【グローアップ・バルブ】の効果!デッキのカードを墓地に送り、墓地のこのカードを特殊召喚!」
デッキの上のカードは……【六花精ヘレボラス】だった。ヘレボラスは墓地に存在する時、フィールドの植物族モンスターをリリースして墓地から特殊召喚出来るが……次のターンになれば確実に除外させられる筈だ。
銀河心眼の光子竜に攻撃を仕掛ければ除外され、追加効果が発動されてしまう。だが、【|銀河心眼の極流星光子竜《コズミックアイズ・ミーティア・フォトン・ドラゴン》】の攻撃力は8400。到底適う攻撃力じゃない。
だが、六花聖華ストレナエの効果を使えば何とか乗り切る事は出来る筈だ。
「俺は【恵みの風】の効果発動。フィールドの【グローアップ・バルブ】を墓地に送り、ライフを500回復します。そしてこの瞬間、【アロマセラフィースイート・マジョラム】の強制効果により、貴方の場のカードを破壊します」
桜雪花衣 残りライフ100→600
「だが、俺のモンスターを破壊できないぞ」
「確かに。ですが【グローアップ・バルブ】が墓地に送られたこの時、もう1つの効果が発動します」
「もう1つだと……?そのカードにはもう効果が……」
「【六花聖華ストレナエ】は【六花の誓い】か【六花聖ストレナエ】の効果でX召喚された時、俺のフィールドのモンスターには、2つの効果が追加されます」
フィールドにいるストレナエが2個もあるよと言わんばかりのドヤ顔と右手でピースサインを作り、俺は続けて説明した。
「1つ、【リリースされた場合にカードを1枚ドローする効果】。2つ目は、【リリース以外でフィールドから離れた場合、墓地か除外されているカード1枚を手札に戻す】効果です」
「リリース以外……まさかっ!」
「そう!【グローアップ・バルブ】には、【六花聖華ストレナエ】の効果によって追加された効果により、俺は除外されているカード1枚手札に加える事が出来る!」
「カードの種類やステータスを参考にしない効果という事は、裏側除外のカードを手札に戻せるということか……」
「そして【マジョラム】の効果で、【銀河百式】を破壊します」
マジョラムが恵みの風で伏せカードを吹き飛ばし、彼方さんのカードは何とか破壊できた。これでEXデッキから除外する事は無いと願いたい。
そして、次はストレナエの効果だ。ストレナエが紫の花冠の輪っかから1枚のカードを取り出すと俺に渡し、俺が手札に戻せたのは、【六花聖華ティアドロップ】だった。Xモンスターの為、このカードはEXデッキへと戻る。
銀河心眼の流星光子竜ATK8400→8200
「よし、ありがとうストレナエ」
「えっへへ」
「フィールド魔法【六花来々】を発動して効果を使い、デッキから【RUM-六花の誓い】をセットします」
「いよいよ登場か」
「俺は【スノードロップ】の効果で全てのモンスターのレベルを8にし、【スノードロップ】と【ボタン】でエクシーズ召喚!来い!【六花聖ティアドロップ】!」
六花聖ティアドロップ
ランク8/エクシーズ/水属性/植物族/ATK2800/DEF2800
「更にセットした魔法カード【六花の誓い】を発動!このカードに対して、貴方は如何なる効果も発動できない!」
桜吹雪と共に白のウェディングドレスのティアドロップがフィールドに舞い降り、隣にいた六花聖華となったストレナエを見ると、嬉しそうに笑った。
「あら、随分成長された子がいますね」
「ふふん、これで花衣君も私にメロメロだね」
「ですが今はデュエルに集中してください」
六花聖華ティアドロップ
ランク10/エクシーズ/水属性/植物族/ATK3500/DEF3000
「ここでティアドロップが来たか。だが、【銀河心眼の流星光子竜】は他のカード効果を受けず、リリースされないモンスターだ。」
「り、リリースされない!?」
いくらレゾンカードが俺を倒す為に作られたと言え、ピンポイントのメタが過ぎるのも程がある。
リリースで妨害する六花とは相性が悪すぎる……!
「俺は手札の【六花精シクラン】の効果発動。手札のこのカードをリリースし、【カイリ】のレベルを2つ下げ、【六花聖華ストレナエ】の効果により、1枚ドローし、ターンエンド。エンドフェイズにリリースされた【シクラン】はフィールドに特殊召喚される」
4ターン目 終了
星空彼方:LP1800
手札:0 墓地:17 除外:0 デッキ:21
□□□□①
□②③□□
④ □
⑩□⑪⑤⑥⑫
□⑧⑨□□
桜雪花衣:LP600
手札:1 墓地:7 除外:16 デッキ:12
①:伏せカード
②:銀河心眼の光子竜
③:銀河心眼の極流星光子竜
④:六花聖華ストレナエ(守備表示)
⑤:六花聖華ティアドロップ(守備表示)
⑥:アロマセラフィー・スイート・マジョラム(守備表示)
⑪:六花精華カイリ(守備表示)
⑫:六花精シクラン(守備表示)
⑧:恵みの風
⑨:潤いの風(セット)
⑩:六花来々
ティアドロップを出せたのは良いが、苦しい状況が続いているのが現状だ。このターン、ティアドロップの効果で凌げはするが、そうなれば間違いなくティアドロップは裏側除外され、攻撃力を上回る事はまず出来ない。
だが現状これしか凌げる手がない……。とにかく、今はあのカードが引けるまで耐えるしかない。
「俺のターン、ドロー」
「この瞬間、【恵みの風】の効果発動。手札の【六花精エリカ】を手札から墓地に送り、ライフを500回復します」
桜雪花衣 残りライフ600→1100
「そしてこの瞬間、【六花聖華ストレナエ】と【アロマセラフィー・スイート・マジョラム】の効果発動。……ですが」
「その破壊効果は実質不発だな」
「だけど【ストレナエ】の効果は発動します。【エリカ】がリリース以外で墓地に送られた為、除外からカードを1枚手札に戻します」
俺が戻したのは【アロマガーデニング】だった。これなら次のターン、アロマモンスターを出せたらライフを大きく回復出来る。
「このターンは渡すが、このままでは終わらない。魔法カード【強欲で貪欲な壺】発動。俺のデッキから10枚裏側で除外し、2枚ドロー。そして、裏側除外のカードが増えた事により、【銀河心眼の流星光子竜】の攻撃力は更にアップする」
「それ自分からでもこの発動出来るのか……!」
今除外されているカードは33枚。つまり、攻撃力は元々の攻撃力から6600も上昇する。最終的な【銀河心眼の流星光子竜】は……
銀河心眼の流星光子竜 ATK11600
「このまま何もしないより、【ティアドロップ】の効果を使わせた方が良さそうだ。このままバトルだ!」
「ですが【六花聖華ティアドロップ】の効果!このカードをリリースし、バトルフェイズを終了させ、EXデッキから2枚目の【六花聖ティアドロップ】を特殊召喚します。その後【六花聖華ティアドロップ】はX素材になります」
六花聖ティアドロップ
ランク8/エクシーズ/水属性/植物族/ATK2800/DEF2800
「そして、六花モンスターがリリースされた事により、【六花聖華ストレナエ】の効果で1枚ドロー」
「だが、メインフェイズ2で【銀河心眼の流星光子竜】の効果発動!君の墓地のカードを全て裏側除外だ」
今俺の墓地カードは12枚だ。これでまた【銀河心眼の流星光子竜】の攻撃力は上がり、その上昇するポイントは2400だ。
銀河心眼の流星光子竜ATK11600→14000
「カードを2枚伏せてターンエンド」
4ターン目 終了
星空彼方:LP1800
手札:0 墓地:17 除外:10 デッキ:10
□□□⑬①
□②③□□
④ □
⑩□⑪⑤⑥⑫
□⑧⑨□□
桜雪花衣:LP1100
手札:1 墓地:0 除外:35 デッキ:12
①⑬:伏せカード
②:銀河心眼の光子竜
③:銀河心眼の極流星光子竜
④:六花聖華ストレナエ(守備表示)
⑤:六花聖ティアドロップ
⑥:アロマセラフィー・スイート・マジョラム(守備表示)
⑪:六花精華カイリ(守備表示)
⑫:六花精シクラン(守備表示)
⑧:恵みの風
⑨:潤いの風(セット)
⑩:六花来々
残りデッキは12枚……そろそろ来てもいい頃合いの筈だ。
「俺のターン、ドロー……よし、来たっ!」
ドローしたカードを見た瞬間、脳裏に微かな勝利の道が見えたような気がした。だが、これを使ってしまえばライフはギリギリになる。
だが、恵みの風と潤いの風があるから……行けるか?いや、やるしかない。ここは勝負に出る……!
「フィールド魔法【六花来々】の効果を使い、デッキから【六花絢爛】をセットして発動。デッキから【六花精スノードロップ】を手札に加えます」
ここでスノードロップの効果を使う必要は無い。もしもの為に温存が吉かもしれない……。
「永続罠【潤いの風】を発動し、ライフを500回復します」
桜雪花衣 残りライフ1100→1600
「そして、ライフ回復により【マジョラム】の効果発動。……右のカードを破壊します」
少し悩んだ末に右のカードを破壊したが、彼方さんは対象にされたカードを発動する事なく伏せカードを破壊した。あの様子からして使う気が無かったのか……?
2度のデュエルで分かった事だが、彼方さんはブラフでカードをセットする事が多い。今回もそれなのか、それともあのもう1枚の伏せカードを破壊させない為のセットなのか……どちらにしても、もうこれしか突破する道はない。
「俺は【六花精華カイリ】を攻撃表示にし、バトル!」
「バトルフェイズに入るだと……?」
「俺は【六花精華カイリ】で【銀河心眼の流星光子竜】に攻撃!」
カイリが氷の杖を剣へと変えさせ、1人で
流星群の様な攻撃にカイリは怯むこと無く掻い潜り、攻撃を避けると同時に高く飛んだ瞬間、俺は1枚のカードを発動した。
「速攻魔法発動!【Ai打ち】!」
「【Ai打ち】だとっ!?」
彼方さんは目に見えて驚いていた。それも当然だ。確かにAi打ちは効果的に見れば汎用寄りの性能をしているが、この六花デッキにおいては恐らくだが採用はされないカードだ。
そんなカードを見たら誰だって驚く。だが、これが俺が出した突破口だ。今のこの状況、この瞬間が俺の勝ち筋だ。
「【Ai打ち】の効果で、【カイリ】の攻撃力は攻撃するモンスターと同じになる!」
六花精華カイリ ATK1000→14000
他のカード効果を受けない効果は、効果によってステータスの変動や破壊や除外などの除去効果を受けないが、
例えば、【RR-ライズファルコン】の様な相手モンスターの攻撃力を自分の攻撃力に加える効果は、そのモンスターに対しての効果では無いので、攻撃力アップの効果は使える。そして【AI打ち】はまさにそんなカードであり、戦闘で倒すしかない完全耐性の効果の対策カードにはうってつけだ。
「まさかそれがあるとはな……」
「俺だけじゃこのカードは入れなかったですよ。このカードを入れたのは、焔と空……2人との特訓のおかげです」
2人のアドバイスで生まれたこのチャンスは決して無駄にはしない。
【Ai打ち】は、この戦闘で破壊されたモンスターのコントローラーは、その破壊されたモンスターの元々の攻撃力分のダメージを受ける効果がある。
つまり、俺は【カイリ】の攻撃力1000のダメージを受けるが、彼方さんの場合は5000のダメージを受け、このデュエルに負けるという事になる。
フィールドのカイリが氷の剣を輝かせ、槍の様に
氷の流星のなった剣は
桜雪花衣 残りライフ1600→600
星空彼方 残りライフ1800→1800
「なっ!?ライフが減ってない!?」
「残念だが、君のその攻撃では俺の【
体を貫かれたはずの
「そんな……なんで破壊されて無いんだっ……!?」
訳が分からないことに戸惑う俺に、彼方さんは答えを示す様に1枚のカードを墓地から手札に加え、俺に見せた。そのカードの名前は……【復活の福音】という魔法カードだった。
「さっきの戦闘の時、俺はこのカードを代わりに除外する事により、【
「戦闘で破壊されなければ、ダメージは無い。でも、そんなカードいつから……」
「君がさっき破壊したセットカードがこれだ。これを使って墓地の【銀河眼の光子竜】を蘇生することも出来たが、それだと【六花来々】によってリリース要因にされかねないからな。だからこそ、君に破壊させて貰った」
しまった……六花聖華ストレナエの効果は、リリース以外の
しかも、驚くべきことがもうひとつあった。本来戦闘破壊されるモンスターは墓地に送られるが、カイリは墓地では無く、裏側で除外されていた。
「【|銀河心眼の流星光子竜《コズミックアイズ・ミーティア・フォトン・ドラゴン》】は戦闘で相手モンスターを破壊し、墓地に送る代わりに裏側で除外する効果がある」
「裏側で除外……?」
「だからそのモンスターは裏側で除外させて貰った。そして、これ以上君に除外ゾーンからカードを加えさせない」
くっ……ダメだ、もう手札にこれ以上戦闘する為の余力は無い。カイリすらも失い、もうどうしようも無くなった今、この盤面を維持し、次の活路まで耐えるしかない。
だが、彼方さんはその活路さえも閉ざすカードをこの場で発動した。
「君のバトルフェイズ終了時に罠発動!【拮抗勝負】!」
「そのカードは……!」
「バトルフェイズ終了に発動出来る罠だ。俺の場に存在するカードの枚数、つまり3枚になるように、君はカードを裏側除外しなければならない」
ここに来て大量除去カード……しかも、また裏側除外という事は、もうストレナエの効果は使えない。
どうする?どれを残す……?
いや、もう半分は決まっていた。ここで残すべきはモンスターカードであり、彼方さんが次にモンスターを出す可能性を考えれば、自ずと残すカードは限られていた。
「……【ストレナエ】【マジョラム】【シクラン】を残します。すまない、ティアドロップ」
「申し訳ございません花衣様……っ」
ティアドロップは攻撃表示なため、残しておくとこの少ないライフが消し飛ぶ可能性もある。ここで残して置くべきなのは守備表示であるこの3人だ。
拮抗勝負によって、俺の盤面はまたしてもひっくり返されてしまい、活路がどんどん狭まっていく。しかもカードを裏側除外されたということは、銀河心眼の流星光子竜の攻撃力はまた上がる。
銀河心眼の流星光子竜 ATK14000→15200
「……メインフェイズ2に移行し、手札から【アロマガーデニング】を発動。カードを1枚伏せて、ターンエンド」
5ターン目 終了
星空彼方:LP1800
手札:0 墓地:20 除外:10 デッキ:8
□□□□□
□①②□□
③ □
□□□④⑤
□□⑥⑦□
桜雪花衣:LP600
手札:2 墓地:1 除外:41 デッキ:11
①:銀河心眼の光子竜
②:銀河心眼の極流星光子竜
③:六花聖華ストレナエ(守備表示)
④:アロマセラフィー・スイート・マジョラム(守備表示)
⑤:六花精シクラン(守備表示)
⑥:伏せカード
⑦:アロマガーデニング
「俺のターン……これは」
彼方さんがドローして数秒が経つと、彼方さんはドローカードを見つめるだけだった。
あのカードが一体どんな意味を持っているのかは、彼方さんにしか分からないが、何やら思いふけっている様子だ。
「このままバトルだ【銀河心眼の流星光子竜】で【六花聖華ストレナエ】に攻撃!」
「攻撃宣言時、【アロマージガーデニング】の効果発動!デッキから【アロマージ-ジャスミン】を守備表示で特殊召喚し、【ガーデニング】の効果でライフを1000回復します」
桜雪花衣 残りライフ600→1600
「そしてライフが回復した事で【アロマージ-ジャスミン】の効果で1枚ドロー!」
「だが、これで【ストレナエ】も除外された。次は【銀河心眼の光子竜】で【アロマセラフィー・スイート・マジョラム】に攻撃し、【銀河心眼の光子竜】の効果発動。【アロマセラフィー・スイート・マジョラム】を除外し、除外したモンスターの種類によって効果を得る」
スイート・マジョラムはSモンスター。つまり……
「Sモンスターを除外した場合、そのモンスターのチューナーの数まで君の場の魔法・罠を破壊する。俺が破壊するのは、そのセットカードだ」
俺がセットしたカードはなんの変哲も無い無意味のカードだ。このカードをセットした理由は【ガーデニング】を破壊させない為だ。
俺が必要なのは、【ガーデニング】とあと数枚のカードしかない。
(破壊したカードに墓地効果は存在しない。なら下手に効果を使う必要は無いな)
「カードを1枚伏せてターンエンドだ」
6ターン目 終了
星空彼方:LP1800
手札:0 墓地:19 除外:10 デッキ:7
□□③□□
□①②□□
□ □
□□⑥⑤□
□□□⑦□
桜雪花衣:LP1600
手札:3 墓地:3 除外:42 デッキ:9
①:銀河心眼の光子竜
②:銀河心眼の極流星光子竜
③:伏せカード
⑤:六花精シクラン(守備表示)
⑥:アロマージ-ジャスミン
⑦:アロマガーデニング
(俺が伏せたセットカードは、【神風のバリア -エア・フォース-】。相手の攻撃宣言時にモンスター全てを手札に戻す罠だ。もし何も対抗策がないまま攻撃するとこのカードの餌食になるぞ、花衣君)
あの様子からして、あの伏せカードは前のターンで使った【拮抗勝負】と似たような伏せカードだろうか。だとしたらもうこれ以上は持たない俺にとって、あの伏せカードと2体のモンスターをここで突破しなければならない。
つまり、この手札と次のドローで全てをかけるしかない。
この1枚で全てが決まる中、カードに触れる指先が震えてしまい、ドローに踏み込めずにいた。
この震えは、生死をかけたドローだと俺の頭や心が理解しているからだ。まるでカードが鉄、いや大地かのように重く、ビクともしない。
息が少し苦しい。引かなければ、進めないというのに引けない中、俺の手にそっと触れる雪肌の手が添えられた。
この透き通る雪のような白い手は見間違いようが無い。ゆっくりと手の主に目を合わせると、そこにはティアドロップが俺の隣にいてくれた。
「ティアドロップ?」
『大丈夫です。私がそばにいますから』
「私も居ますよ花衣さん」
ティアドロップに対抗してなのか、ティアドロップとは反対の方向にレイも隣に立ってくれた。
いや、2人だけじゃない。精霊達皆が傍にいてくれた。
「私は直接デュエルには参加出来ませんが……ここで祈らせてください。貴方の勝利を願っています」
『花衣くん……大丈夫だよ、私とジャスミンちゃんは信じてるから!』
フィールドにいるジャスミンとシクランも目の前にいる強大な竜達を目の前にして怯えながらも、俺を信じている強い目で振り返った。2人とも本当に怖いはずなのに、それでも俺を信じてこのフィールドに立ってくれている。
その目を見た俺は、最後まで怖さで震えていた足を鼓舞するように叩き、改めて彼方さんに立ち向かう。
最後になるかもしれないドローに指を置き、瞳を閉じる。
瞼の裏で、俺はある人物達の後ろ姿が重なった。
その者は吹き荒れる風を掴むかのようにカードを引いた。
その者は皆を笑顔させるように振り子の如く大きくカードを引いた。
その者は恐れを知らず、太陽に向かって希望に満ちたカードを引いた。
その者は集いし仲間達の絆を胸にカードを引いた。
その者は楽しさと共にカードを引いた。
そしてその者は揺るがない意思を胸にカードを引いた。
この人達を思い出したからってこのドローが思いのままに行くわけじゃない。だけど、俺は引く。
俺を信じてくれる人達の為、俺を愛してくれる人達の為、俺はカードを引く。
「「「俺の…………ターンっっ!!」」」
ある6人の決闘者との姿と影を重ねながらドローした俺は、指先からカードの声が聞こえた気がし、思わず小さな笑みをこぼした。
「……ありがとう、来てくれて。ありがとう、そばに居てくれて」
来てくれたモンスターと、このモンスターを使っていた花音の後ろ姿を浮かばせ、そして支えてくれたティアドロップ達に感謝を伝え、そのカードをディスクへと置いた。
「俺は【アロマージ-ローズマリー】を通常召喚!」
アロマージ-ローズマリー
レベル4/水属性/植物族/ATK1800/DEF1300
「来てくれてありがとう、ローズマリー」
「はい、私も役に立てて何よりです」
「頼んだぞ。【ローズマリー】が召喚された事により、【アロマガーデニング】の効果でライフを1000回復!」
桜雪花衣 残りライフ1600→2600
「そして、ライフ回復により【ジャスミン】と【ローズマリー】の効果発動!【ジャスミン】を攻撃表示にし、【ジャスミン】の効果で1枚ドロー!」
不思議とこのドローは俺が望んだカードだと指先で分かった自分がいた。
最後だから感覚が鋭くなっているのか分からないが、俺は無我夢中でこの勝ち筋を突き進んだ。
「永続魔法【六花の風花】を発動し、【シクラン】をリリースして手札の【六花精スノードロップ】と【魔天使ローズ・ソーサラー】を特殊召喚!」
魔天使・ローズ・ソーサラー
レベル7/地属性/植物族/ATK2400/DEF1300
風花と共に消えていくシクランははにかんだ笑顔を見せると、シクランはリリースされ、フィールドに吹き荒れる風花は彼方さんのモンスターを襲った。
「フィールドの【六花】モンスターがリリースされた事により、【六花の風花】の効果発動。相手はモンスターをリリースしなければならない」
「……【|銀河心眼の流星光子竜《コズミックアイズ・ミーティア・フォトン・ドラゴン》】をリリースだ」
1体の龍が風と共に消え、残るはあと一体。もう終わりは近く、最後の魔法カードを彼方さんに突きつけるように発動した。
「更に【スノードロップ】の効果で全てのモンスターのレベルを【ローズ・ソーサラー】と同じ7にします」
「7だと……?」
「そう!【銀河百式】の効果で見たはずだ!植物族でランク7のXモンスターであるモンスターが!俺は【六花精スノードロップ】【アロマージ-ジャスミン】【魔天使・ローズ・ソーサラー】でオーバーレイ!」
3体のモンスターが光となって交わり、フィールドに白い花々の風が吹き、花と共に白無垢の花嫁がゆっくりと俺の元に歩き、顔を上げた。
「お待たせいたしました。旦那様」
「いや、こっちこそ出すのを遅れた。頼んだぞ、カンザシ」
「旦那様のために、この身を捧げます」
六花聖華カンザシ
ランク7/エクシーズ/水属性/植物族/ATK2700/DEF2700
「【六花聖華カンザシ】の効果発動!X素材を1つ取り除き、このターン俺のモンスターは相手のカードの効果を受けない!」
(……これで俺のセットカードは意味を無くしたな)
「更に装備魔法【月鏡の盾】を【アロマージ-ジャスミン】に装備。これで、【ジャスミン】の攻撃力は戦闘したモンスターの高い数値より100上になります」
これでジャスミンはほぼ全てのモンスターに勝てるようになり、盾を装備したジャスミンは両手で盾を持ち、襲いかかる竜の攻撃に備えた。
「バトル!【アロマージ-ジャスミン】で、【
俺の攻撃宣言に
攻防が拮抗する中、ついに波動が盾に跳ね返され、
星空彼方 残りライフ1800→1700
だが、あの様子からしてあの伏せカードは墓地のモンスターカードを蘇生させるような物では無く、俺のモンスターに対しての罠だろう。
だが、カンザシの効果により、このターン俺のモンスターは全て相手のカード効果を受けないようになっている。
つまり、勝負は決まった。
ここでトドメをさせば彼方さんに勝てる。だが、精霊の力が最大限引き出しているこのデュエルディスクを使っている中、ライフが0になってしまったらどうなるか分からない。最悪、命を落とす可能性も否めない。
「……どうした、攻撃してこないのか」
彼方さんは全てを受け入れる様に立ち尽くし、真っ直ぐ俺の目を見ており、あの目は死ぬ覚悟を持った目でもあり、必ずカレンさんを助け出すという揺るぎない意志を持った目でもあった。
なら、俺のやることはひとつだ。
「カンザシ、頼む」
「ええ。それが旦那様の望みならば」
「……【六花聖華カンザシ】でダイレクトアタック!!」
攻撃宣言と同時にカンザシが2つの扇を彼方さんに投げると、扇は氷の蝶へと変わり、彼方さんの周りに青白い光を帯びながら飛び交い、光が地面に落ちると今にも何かが起こりそうな程に地面が青く淡く光った。
(終わりか……すまない、カレン……天音)
彼方さんが目を閉じたその時、蝶は霧散し、地面の光が今、花を咲かせた。
彼方さんの足元の周りには美しくも儚い氷の花が咲き誇り、それは俺のフィールドにも及んだ。何が何だか分からない彼方さんは唖然とし、先程の力強い目が困惑した目と変わった。
星空彼方 残りライフ1700→0
WINNER 桜雪花衣
草原が氷の花の大地になった光景を見た彼方さんは直ぐさま俺を見ると、俺はやってやったと言うように笑うと、彼方さんは全てを察して笑った。
「一応攻撃宣言はしましたからね。事実、貴方のライフは0になって、俺の勝ちです」
何となくこういう事は出来るとは思っていた。このデュエルは精霊の力を最大限引き出すだけではなく、精霊が自分の意思で動けるのも特徴だ。
ティアドロップ、カンザシ、ストレナエ、そしてアロマージ達との意思疎通が出来た時から、薄々感じていた。
だからこそ、攻撃方法も精霊達の意思で何とでもなるって思った訳だが、上手くいって何よりだ。
「君って奴は、どこまでお人好しなんだ」
「はは、……でも何とか終わってよかっ」
話している途中なのに何故か急に足に力が入らず、俺は仰向けに倒れそうな所を、レイがすかさず受け止めてくれた。
その瞬間からデュエルは終わり、氷の花はゆっくりと解けるように消え、フィールドが元の草原へと戻った。
「れ……い」
「良かった……無事ですね。多分、2体の【銀河心眼】の攻撃をまともに受けたからでしょうね」
「あぁ……あのダイレクトアタックか……」
原因を吐き捨てるように言いながら、レイは彼方さんを睨んだ。その辺にしておけと言いたいが、もう声を発する事も辛く、デュエルの緊張が解けたせいなのか体も上手く動かなくなり、それも出来なくなった。
「相手が花衣さんで良かったですね。もし他の人なら貴方の事を本気で倒していましたよ」
「そうかもな……花衣君、喋れるならで良いんだが、どうしてトドメを刺さなかったんだ?俺は君を本気で……」
彼方さんはその先を言わなかったが、多分命を奪うと言おうとしたんだろう。息を整え、上半身をレイの助けを借りながら起こし、彼方さんに訳を話した。
「実は……それほど考えて無いというかなんというか、
やりたく無かったっていうか」
それなりの理由があるのは間違いないが、上手く言葉に出せなかった。
ただ命を奪うという事が道徳に欠けるから、デュエルで命は奪え無いから、精霊たちにそんな事に手を汚させたく無いからと、色々ある。
だが、1番はこれだ。
「貴方は、本気で俺を倒す気は無かった」
「……根拠は?」
「【銀河百式】の効果でEXデッキを除外した時、貴方は【六花聖華カンザシ】も除外出来た筈だ。その時から、何となくは思ってました」
六花聖華カンザシの効果は彼方さんにとって何とかしたい部類の筈だ。現に、カンザシがいたからこそこのデュエルに勝てた。
だからその時、薄々と感じていた。この人はどこかで勝つ事……いや、俺を倒すのに戸惑っていた。
だけど彼方さんは本気でこのデュエルを勝ちに来てた。それは確かだ。でなければ、あの覚悟に満ちた目は出来ないだろう。
彼方さんは図星を当てられたのか、1つ間を置いて話した。
「……確かに、カンザシを除外する事はできた。だが、ティアドロップは君のエースであり要だ。だからティアドロップを除外した。それが仇となったけどな」
最もらしい理由を言いながら清々しい笑顔で空を見上げると、彼方さんもダメージを受けたせいか、草原に戻った地面に仰向けに倒れた。
「彼方さん、確かにティアドロップは俺のエース的な存在だ。けど、俺にとってこのデッキに眠る全てのモンスターがかけがえのないエースです」
デッキを握りしめ、俺はそう答えた。
「……ふっ、ははは!そうだったな、全員で戦って全員で勝つ。それが君のやり方だ」
初めて見る大笑いした彼方さんの姿につられて笑い、さっきの戦いが嘘のように空気が軽くなった。
「あの、これからどうするんですか?俺が勝ったから、あっちに動きは無いだろうし……」
「それなら、実は考えがある」
「考え……?」
彼方さんは寝ていた体を起こし、考えを伝えた。
「レゾンとセブンエクリプスは敵対関係だとしたら、互いに動向を探りあっている筈だ。だとしたら、レゾンに関連している者を当たれば、なにか分かるはずだ」
「関連……まさか、監視者ですか?」
「そうだ。花衣君の周りにいる監視者から状況を知ることが出来れば、少なくとも手がかりはあるはずだ」
確かに、監視者は俺の周りにいると言うし……情報も共有する為にレゾンと交流は少なからずある筈だ。
納得出来る理由に関心する一方で、そばにいたレイは嫌悪な雰囲気を出していた。
「ちょっと待って下さい。そんな考えがあるなら、どうして花衣さんにデュエルを挑んだのですか」
レイがその事を彼方に突きつけると、レイは閃刀を取り出し、返答次第では彼方さんに切りつける勢いだった。確かにカレンさんを助ける為、セブンエクリプスから動きを出させる為に俺を倒そうとこのデュエルを挑んだのなら、そもそもこのデュエルの意味はあまりない。
「本当に手がかりを得るためだけに花衣さんとデュエルしたんですか?本当の理由を話してください」
レイはホーネットビットを彼方さんの周りに飛ばし、レーダーの様な光を当てた。
「そこから貴方の体温と心拍数を図ります。嘘を付けるとは思わないでください」
「やめろレイ。彼方さんはカレンさんを……」
「分かってますっ!大切な人を守りたい気持ちは私にも痛いほど分かります!私だって……同じ気持ちを今でも抱いているのですから」
レイは俺の事を離さない様に強く抱き締めた。
「だから貴方を傷つけたあの人を私は許しませんし、今でも敵と思っています。だから……ごめんなさい、こうさせて下さい」
抱き締める腕の力が強くなり、同時にその力強さからには不安の怯えがあった。レイの腕は震え、そこから怯えを感じられた。
「もう……貴方を失いたく無いです」
一粒の涙が流れ、レイの頬から俺の頬へと辿り、レイは無意識なのか閃刀を手放し、静かにまた強く俺を抱きしめた。
「レイ……」
「そこまでにしておけ」
この静寂を見かねたかのような声色を上げたのは、この場の誰でもない男であり、聞き覚えのある声だった。
声がした方向に顔を向け、草原の草を踏む音を大きくさせて現れたのは、焔と空、そして天音ちゃんだった。
「焔、空?なんでここに……」
「あぁ?んなもん決まってんだろ。お前と彼方の事を止めようと来たんだよ。たくっ、馬鹿な事しやがって、ヒヤヒヤしたぜ」
「いやそうじゃなくて……どうしてここでデュエルするって分かったんだ?俺は何も言ってないぞ」
「それはこの子のおかげだ」
空の後ろから天音ちゃんが空の服を掴みながら顔を出し、ボロボロになった彼方さんを見ると顔色を変えて彼方さんに走り出した。
「どうやら、あの子は精霊の気配を感じられるらしい。その力を使ってここまで来れたんだ」
「じゃあ、天音ちゃんは空の家に行ったのか?1人で?」
「いや、ドラゴンメイド・ハスキーと一緒だった。恐らくだが、デュエルの前に天音ちゃんをハスキーに預けたんだろう」
「そんで、ちょうど空の家にいた俺と一緒にここに来たって訳だ。」
天音ちゃんを見た彼方さんは驚きながらも走り出す天音ちゃんを抱きとめ、天音ちゃんは彼方さんの腕の中で顔を上げずにいた。
「お兄ちゃん、花衣お兄ちゃんと喧嘩したの?」
「……あぁ」
「じゃあ、ちゃんとごめんなさいって言わないとダメって、ママは言ってたから、言わないとダメ。お兄ちゃんが酷いことしたから、あの精霊のお姉ちゃんは泣いてるんでしょ?」
天音ちゃんは涙を流していたレイを一目見ると、直ぐに彼方さんに目を向け、謝るように諭した。
妹である天音ちゃんに彼方さんは強く言えず、何も言い返せないまま俺の前に立ち、頭を下げた。
「花衣君、そして皆、すまなかった」
「申し訳無いと思うなら、理由を教えてください」
「……花衣君を花衣君であることを確認したかっただけさ」
意味深な言葉を彼方さんは言い、レイに反応が無かった事から、嘘はついてないと判断したのだろう。ホーネットビットを仕舞い、レイは彼方さんを許した。
「花衣君、君が君でいる限り、俺は危害を加えない。……だが、もしダークネスに支配されたらその時は……」
「そんな事させません。私達がついているんですから」
「そうだな。花衣君、君には君を思っている人がいること、忘れるなよ」
そう言って彼方さんは天音ちゃんを連れ、この草原を去っていき、焔と空は倒れた俺を心配してこっちに来てくれた。
こうして、命をかけたデュエルは幕を閉じた事を告げるように風が吹いた。
だが、この風は同時に新たな運命への旅立ちだと俺は感じた……。
六花聖華ストレナエ
ランク5/エクシーズ/水属性/植物族/ATK2300/DEF2300
レベル5植物族モンスター×3
①このカードが【六花の誓い】又は【六花聖ストレナエ】の効果でX召喚されたこのカードが表側で存在する限り、フィールドの植物族モンスターと手札の【六花】モンスターは以下の効果を得る。
・このカードがリリースされた場合発動出来る。デッキからカードを1枚ドローする。
・このカードがリリース以外で墓地または除外された場合発動出来る。墓地または除外されているカード1枚を手札に加える。
②:X素材を1つ取り除いて発動出来る。デッキから【六花】カード又は『植物族』と記されているカードを1枚手札に加えるか、自分フィールドにセット、又は表側で置く。この効果でセットしたカードは、セットしたターン発動できる。
銀河心眼の極流星光子竜《コズミックアイズ・ミーティア・フォトン・ドラゴン》
ランク12/エクシーズ/光属性/ドラゴン族/ATK5000/DEF5000
レベル12・ドラゴン族モンスター×3
・このカードは『ギャラクシー』カードとしても扱う
・このカードの攻撃力は裏側で除外されているカードの数×200アップする
①このカードが『ギャラクシー』Xモンスターを素材にX召喚した場合に発動出来る。相手フィールドのカード全て裏側で除外する。
このカードのX素材に『銀河眼の光子竜』または『銀河心眼』モンスターがある場合、相手はこの効果に対してカードの効果を発動出来ない。
②:X素材を1つ取り除いて発動できる。相手の墓地のカードを全て裏側で除外する。
③:このカードは相手のカードの効果を受けず、リリースされない。
④:このカードが戦闘でモンスターを破壊する場合、代わりにそのモンスターを裏側で除外する。
-追記
六花聖華カンザシの必要エクシーズ素材はレベル7植物族モンスター×3です。
オリカをまとめた章が欲しい?
-
欲しい!
-
別に( *¯ ³¯*)