六花テーマを作って愛用したらそのまま俺への愛が重くなった件について 作:白だし茶漬け
もしかしたらこれ六花達のイチャイチャラブラブあんなことやこんなこと話が書ける……?果たして需要はあるのかΣ(゚д゚;)
隠された力
季節は夏。
アスファルトの地面が熱したフライパンの様に熱く、そこからは俺たちの水分を奪うかの様な熱気がこもり、ちょっとした灼熱地獄と化していた。
そんな中、俺と焔と空、そして彼方さんはとあるメイド達が経営している店へと入り、涼しくて空気が整っている店へと入っていた。
その店とは前に行った事がある彼方さんが働いている店であり、訳あって今は俺達の貸切状態となっている。他の人なら精霊が見られても心配無い為、六花達と閃刀姫、そしてアロマージ達も実体化させている。
「お待たせ致しました。こちら、当店名物のアイスクリームですよ〜」
緑髪で輪っか型の髪を2つ下ろしてネックラインが露出し、スカート丈の短いフレンチメイド風の姿をしている店員が、色とりどりのチョコフレーバーやコーンフレークとフルーツが添えられており、全員分のアイスを提供してくれた。
「わぁ! 美味しそう! いただきまーす!」
「いっただきまーす!」
「ますー」
「まーす!」
「ま、まーす」
甘いもの大好きなストレナエ、プリム、スノードロップ、そしてしらひめの姿となったひとひらと天音ちゃんが早速アイスクリームを頬張り、ほっぺが落ちそうな程美味しいのか、左手で頬を抑え、その甘味を堪能していた。
「ん〜! 甘い〜」
「幸せ〜」
ジャスミンとローズマリーもストレナエ達と同じような行動をしており、微笑ましい光景だ。
花音が攫われ、一時的に花音のアロマ達を俺が使っている為、アロマ達もここに居る。
これで俺は六花、閃刀姫、アロマを使役している形になったが……数が増えた事により一層ティアドロップ達の束縛は強くなるのは、考えるまでも無かった。
「花衣様は冷たい物が苦手でしたよね。でしたら私特製のアイスを食べませんか? ほら、こうして口移しで食べると……暖かくなりますよ」
「移せる所もう無くないか?」
ティアドロップが飴玉の形をしたアイスを舌の上で転がす様にしていたが、それを口移しで食べようものならそれはもうキスの領域である。
出で立ちは美しく清楚な淑女であるティアドロップがアイスを舌の上で転がす姿を見た瞬間、言葉に出来ない感情が何故か込み上げ、思わずアイスを取り上げてそのまま食べる……事は出来ず、隣のレイの口の中に突っ込んだ。
「んむぅ!? ちょっと花衣さん!? 花衣さんの物が付いた物なら大歓迎ですけど、どうしてティアドロップの物を私に食べさせるんですか!?」
「ごめん、ちょっと食べるのが恥ずかしかった……」
そう言いながらもレイはティアドロップが作ったアイスを舌の上で転がしており、吐き出す様なことはしなかった。余程美味しいのだろう。
「あぁ! どうして貴方だけに作った物を他の女に……ちょっと貴方、今すぐ口から出しなさい! 今すぐに!!」
「うるさいですね! 花衣さんが貴方の唾液が付いたものを食べられるぐらいならこのアイスなんか食べてしまいます! ……うぅ〜これで美味しいのがますます気に入りません!」
レイとティアドロップが取っ組み合いしている中、ティアドロップが作ったアイスは小さなボール状だった為、まだ近くのグラスに残っていた。
そのアイスを1つ食べると、そのアイスはほのかな温かみがあるバニラアイスだった。
舌先で溶けるアイスの中からバニラの濃厚で深みあるコクが広がり、どうやって作ったのか不思議でならない。
「ん? なんだよ花衣、それ食わねぇのか?」
焔が提供されたアイスを口にしない俺を見ては食べたそうにしていたので、俺は提供されたアイスを焔に渡すと、焔はすかさずアイスを手に取り、豪快に食べ進めた。
「おおサンキュー! でも良いのかよ、折角あのドラゴンメイドが作ったアイスなのによ」
「良いんだよ。精霊の手料理なら何時でも食べられるから」
「あぁ、そうか。お前ティアドロップとコレをしたもんな」
焔はにやけながら右手の親指を人差し指と中指の間を擦るようにして動かした。その意味とは……あまり言いたくないものだ。
焔の指の動きを見た空は後ろから脇腹を腕で殴り、焔は脇腹を殴られた衝撃で動きを止めた。
「おい、その動きはやめろ。場所を考えろ場所を」
「んだよ、でもヤッたのは事実だろ? で、お前はカンザシとか他の奴とかもしたのか?」
「なっ……そ、そういう事はあまり言うな!!!」
あまりにもデリカシーが無い発言に思わず怒鳴り散らかすと、焔は耳を塞いで大笑いした。
「あの……いくら貴方達の貸切状態だとしても、店の中ではもう少しお静かにお願いします」
カウンターの奥から赤い長髪のメイド……いや、ドラゴンメイド・ティルルが現れ、声を荒げた俺に注意をした。確かに大声を出したのは俺だけど、その原因を作ったのは焔なのにと若干の理不尽を抱きながらもティルルに謝った。
気を取り直してティアドロップ特製のアイスを食べ進めると、席の近くにいた小さな青髪で青い和服の様なメイド服? を来た子供がじっとアイスを見ており、いかにも食べたいと言うのが目に見えた。
確かこの子は……そうだ、ドラゴンメイド・ラドリーだ。ラドリーに1つアイスを渡すと、ラドリーは目を輝かせ嬉々としてアイスを取って食べると、あまりの美味しさに小さくジャンプしながら、お礼に頭を下げて仕事に戻った。
「にしてもまさかここでドラゴンメイドが働いてるなんてな〜驚きも驚きだぜ」
「しかも、一部はここでは無いところも居るらしいな。そこにいるティルルとパルラは、この近くのスイーツ・フェスティバルで花衣の動向を探り……」
「ドラゴンメイド・ナサリーは、ピックアップ・デュエルの時とメルフィーパークの時に、俺を看病してくれた医者の人だった……」
カウンターから見えるメイド服というより、ナース服に近い桃色の髪のメイド、ドラゴンメイド・ナサリーを見ると、ナサリーは1つ会釈を交わした。
よくよく思い返してみると、確かにあの時医者と言うにはどうしても行動に違和感があったが、メイドとなれば納得が出来るものが多かった。
特に、俺を見送る時に彼女は必ず『いってらっしゃいませ』と言っていた。メイドの習性というものだろうが、違和感の正体はこれだったという事だ。
「だが1番驚いているのは彼方さんだろう。長い間、ドラゴンメイドと一緒に働いていたからな」
「ははは、精霊を精霊と認識させない認識阻害というものがあったから仕方ないとは言え、驚いたよ。結局、俺も監視されていたという事だからな」
店の奥からエプロン姿の彼方さんが現れ、驚きを笑いで流そうとしていたが、やはり動揺はしているようだった。無理もない、いわば知り合い全員が精霊……言わば人間じゃないと知ったら誰だって困惑するに決まっている。
「さて、世間話的なのはここまでにしてそろそろ本題に入ろう。……いるんだろ、ハスキー」
彼方さんがハスキーという名前を口にした瞬間、他のドラゴンメイド達が一斉に目の色を変え、空気が変わった。
その空気の変化に皆も感じ取り、先程の穏やかな空気が凍りついた。
そんな凍りついた空気の中、コツコツと足音を立てながら目の前に現れたのは、ドラゴンメイドのリーダー的存在、ドラゴンメイド・ハスキーだった。
「お待たせ致しました。皆様、本日は私達のお店をご利用頂き、ありがとうございます」
「その話は良いでしょう。店長さ……おっと」
長年働いた癖が染み付いたせいか、彼方さんはハスキーの事を店長と言ってしまい、思わず口を手で塞いだ。
「構いませんよ。それで、ご要件はなんでしょうか」
「単刀直入に言う。セブンエクリプスの動向を知りたい」
「なんのために?」
「花音さん、霊香さん、……カレンを助けるためだ」
そう、俺達がここに来た理由はセブンエクリプスの動向、或いは拠点を聞き出す為だ。
ウェルシー達セブンエクリプスに連れ去られた花音達を助け出す為には、まず花音達が一体どこに囚われているかを知らなければならない。
だが、俺たちはセブンエクリプスの拠点どころか動向さえも知らずにいた。そこで唯一の情報源が俺を監視している精霊達だ。
ダークネスの依代である俺を監視している精霊達なら、少なくとも俺たちよりもセブンエクリプスの情報を持っている筈だと彼方さんは考え、今この場所にいる。
勿論、素直に情報を渡してくれるとは限らない。それでも俺たちは、この精霊たちに頼らざる負えない状況にいるのだ。
「申し訳ございませんが、私から話す事はありません。私達は監視者。ダークネス抹消の為の一端に過ぎません」
「だが、俺たちよりも情報は持っている筈だ」
食い下がらない彼方さんに対し、ハスキーは沈黙を貫いていた。話が進まない中、動き出したのは焔だった。
「おいおい、話すぐらい良いだろ? 俺らがそいつらぶっ飛ばせば、そのダークネスって奴は出てこれねぇんじゃないのか?」
「そんな簡単に行くわけがありません。仮に貴方々が行けたとしても、無謀です」
「はぁー? 俺らにはレゾンカードがあるんだぞ。レゾンカードって花衣……じゃないわ、ダークネスをぶっ飛ばす為に作られたんだろ? だったらそいつらも倒せるんじゃねぇのかよ」
確かに焔の言う通り、元々ダークネスを倒す為に作られたカードなら、ダークネスに従っているセブンエクリプスにもその力が効くと考えるのが自然だ。
ハスキーがこの話を否定していないという事は、焔の言うことは間違ってはいないだろう。しかしハスキーの考えは変わらず、焔達にある事を告げた。
「……確かに、ダークネスの使者達に対してもレゾンカードは有効です。ですが、貴方達はレゾンカードの力を半分も出せていません」
「はぁ?」
「どういう事だ。俺達のレゾンカードが未完成だって言いたいのか?」
空の言うことにハスキーは肯定するように頷き、空たちは自身のレゾンカードを取り出した。
「彼方様、焔様、空様。貴方々の魔法カードのレゾンカードはまだ未完成。つまり、本来の力を引き出せていないのです」
「本来の力だと?」
「まぁ、確かに花衣のカードと比べたら弱っちぃなって思ったけどよ」
焔の言う通り、確かに俺やウェルシー達に対抗出来るかと言われたら、少し怪しい感じはしていた。
焔のレゾンカードはプレイヤーの装備カードになれる【転聖遺物ー不知火の太刀】と、転生シンクロ召喚が可能になれる永続魔法【不知火ー炎舞の陣】の2枚。
空のレゾンカードはランク13のXモンスター【RRR-リノベイル・イグニッション・ファルコン】とランク13になるためのRUM【リコンタスト・オーバー・フロー】。
そして、彼方さんは【星雲の集い】という儀式魔法、儀式モンスターである【銀河心眼の光子竜】、そしてランク12のXモンスターである【銀河心眼の流星光子竜】の3枚だ。
どれも普通のカードとは一線を超えた力があるが、1部見劣りするカードも存在する。
例えば彼方さんの【星雲の集い】は普通の儀式魔法と何ら変わりないカードだ。レゾンカードと言うには、あまりにも普通だ。
「こうしましょう。2……いえ、1週間以内に貴方達がそのカードの力を解放することが出来れば、私達が知っている事を全てお話します」
「い、1週間だぁ!?」
焔が短い期限に対して驚き、抗議したがハスキーの意見は変わらず、期限は1週間と定められた。
「出来なければ?」
「花衣様を差し出して下さい」
「やはりそうなるか」
予想は出来ていた事だった。そもそもダークネスの依代である俺をどうにかすれば、ダークネスは復活はしない。
それが最も確実な方法なのは、言うまでも無い。だが、六花と閃刀姫達はそれを許さず、無言で敵意の視線を送り、武器を持った。
1つでも間違えればここが戦場になるぐらいの緊迫した空気だ。その緊迫さは、目には見えないが触れられる程であり、ピリピリと肌が痺れそうな程だ。
「花衣、決めるのはお前だ。お前の処遇に関連するなら、お前が決めた方が良い」
「だな、これでダメならまた違う方法を探すさ」
「2人とも……」
彼方さんも焔と空と同じ意見なのか、何も言わずにただ頷いた。
焔達が1週間以内にカードの力を解放させなければ俺は連れていかれるが、解放させる事が出来るなら花音達の手がかりを掴む事が出来る。
なら、答えは決まっている。
「その条件を受け入れる。花音達を助ける手がかりになるなら、尚更だ」
端目でアロマージ達を見ると、それに気づいたアロマージ達は感謝の意を述べたが、当然の事をしたまでだ。多分、花音でも同じような事をしたと思う。
「かしこまりました。では、1週間後またこちらに来てください」
「うっしゃ! じゃあ早速このカードの力を解放させるとするか!」
早速俺たちはいつも集まっているカードショップへと場所を移し、カードの解放へと望んだ。
焔が意気揚々としているが、ここから2時間後、焔は思い知ることになる。
カードの力を解放するという、恐らくこの世界の人類未踏の事をやってのけるのがいかに困難かと言う事を……
「……んで、カードの力を解放ってどうやるんだ?」
そう、問題はそこからだ。カードの力の解放なんて誰もやった事ないし、そもそも焔達はレゾンカードがまだ未完成という自体知らなかったから方法さえも分からない。
「うーん、ここは先駆者的な人からの意見を貰うのが良いと思うけどな」
彼方さんが俺を見てそう言うと、焔と空は俺に期待するような眼差しを向けた。
「確かに、そんな感じな事をしたけど、俺自身なんでカードを作り出したのか分からないんだよなぁ……」
「んだよ使えねぇな」
焔が愚痴った瞬間、焔の後ろに霊体化しているティアドロップとレイが喉元に氷のナイフと黒い閃刀が突きつけられ、あと数センチ動かすだけで焔の喉が斬られる所だ。
『花衣様の悪口を言うのはこの口ですか?』
『その喉元を斬りますよ? というか斬っていいですよね? 花衣さんを侮辱するその喉も全部全部全部……』
「さ、サーセン……」
冷たい汗を滝のように流しながら焔は両手を上げて降参し、ティアドロップとレイは姿を消したが、殺気は消えていない。
ここからは発言を注意しなければ、まず焔は2人に殺られるのは間違いない。
「うーん……花衣君、君がカードを作り出した状況を話てくれないか? 状況を知る事が出来れば、そこからヒントが出てくる筈だ」
「わかりました。えーと……」
俺はまず、六花聖華ティアドロップと六花の誓いを手に入れたあの時、レイとのデュエルを思い出した。
あの時は精霊の世界でのデュエルとなり、レイのラグナロクによってピンチに追い込まれたその時、六花聖華ティアドロップ、六花の誓い、そして六花精華カイリのカードが生み出された。
次に生み出したのは六花の返り咲きだ。これはロマンス・タッグデュエルの時、花音とのオープニングデュエルの時に生まれたカードだ。
次は六花聖華カンザシ。ポルーションとのデュエルの時、何も出来ず追い込まれた時に生まれたカードだ。カンザシをフィールドに出し、カンザシの守りたいという決意が力となったのがきっかけだろう。
次は見下とのデュエルで閃刀騎エクシーズモンスター5種類が手に入り、閃刀姫リンクモンスターから変化したカードだ。確か、あの時はカイムの声が聞こえ、まるでカイムが力を貸してくれたような感覚だった覚えがある。こればっかりは俺の力ではなく、カイムが何かしら手助けしてくれたと考えた方が自然だ。
そして最後は六花聖華ストレナエ。これは彼方さんも目の当たりにし、ストレナエの力になりたい決意がカードとなったのがきっかけだ。
「うーん、精霊との絆が重要……とか?」
「花衣、お前……」
多分正解に近い答えを出したと思うが、焔は何も言わずに笑顔で焔自身のレゾンカードをテーブルの上に置いた。
「そりゃあ六花達の様な意思疎通出来るモンスターならまだしも、俺のは刀と陣だぞ!? 出来る訳ねぇだろうがぼけぇ!!」
ごもっともな反論を怒鳴られてしまい、耳を塞いで焔の怒号を受け流した。
だが、それが引き金となり、ティアドロップとレイは姿を消しながら焔の脳天に閃刀と氷の傘を叩きつけ、焔は白目を剥きながら倒れた。かなり力強く叩きつけたから、暫くは目を覚めないだろう。
『全く、花衣様に怒鳴るなんて……』
『花衣さんの友人じゃなければ速攻始末してましたけどね』
「やれやれ……やりすぎだ、2人とも」
「だが、焔の言う事も最もだ。俺達はこの魔法カードの力を解放するんだ。お前のように、モンスターと意思疎通を図る訳にはいかない」
確かに、魔法カードとなると意思疎通はまず出来ないだろう。となると、絆を深めるという事自体まず不可能だ。
また状況は手詰まりとなる中、精霊であるレイがある事を言った。
『役に立つか分かりませんが、魔法・罠カードは出来事や技、場所、事象や道具を元にして作られています。例えば、私の閃刀機や閃刀術式は道具や技ですね』
『そして、【六花絢爛】や【六花の薄氷】等は実際にあった事を元に作られています』
「という事は、俺達のカードも元になった出来事があると?」
『はい、それを突き詰める事が出来れば……』
「なんだが随分と協力的だね。少しは俺たちに心を許したって感じか?」
『はっ? 何言ってるんですか、貴方達がレゾンカードの力を解放しないと、花衣さんはあのメイド達に連れ去られてしまうんですよ? 嫌でも協力しますよ』
『私たちの心と体……いえ、全ては花衣様の物です。同時に、花衣様の全ては私達の物、ですよね? 花衣様』
笑顔のティアドロップの顔が見れず、サッと目を逸らした瞬間、ティアドロップから笑顔が消え、光が灯っていない目で俺を見つめ、ゆっくりと隣に立った。
『どうして何も言わないのですか……? あの時の夜、心も体も1つになったというのに……どうしてなのですか? 愛してますよね? 愛してないとおかしいですよね? ね?』
『ふふ、やっぱり花衣さんは私の事を愛しているからティアドロップの目を合わせなかったんですよね。きっと、行為中も私の事ばかりでティアドロップの事なんか眼中に無かったんですよね。……そうですよね?』
近い、2人ともの重い圧が近くて推し潰そうになる。助けを求めようにも1人は白目を剥いて倒れ、2人は知らんぷりをして少しづつ距離を置いている。
もはやここまで、この店を出た後、俺の体がどうなるかは、その時にしか分からないだろう。
ただこれだけは言える。無事では済まないと。現に2人の目が獣の様に飢えており、何故か息が少しだけ荒い。
とにかく2人をカードに戻し、状況が落ち着いた所で焔も目が覚め、話を戻して彼方さんは星雲の集いを見つめた。
「魔法カードは出来事や場所を元にして作られたか。……場所?」
すると彼方さんが何かに気づき、星雲の集いに描かれた風景をじっと目を凝らして見続けた。
星雲の集いに描かれた風景は、どこかの丘の上で暗い空に天の川と無数の星々が浮かび上がっており、それを見あげる2人の後ろ姿が描かれていた。
2人の後ろ姿はかなりの身長差があり、2人は離さない様に手を繋いでいた。
「この星、この場所……まさか」
「何か気づいたんですか?」
「あぁ。別にこれでどうなるか分からないが、行ってみる価値はある」
「という事は、その場所はこの世界にあるものなんですか?」
「この丘は……俺とギャラクシーアイズが最初に出会った場所だ」
「それって、天音ちゃんが拐われたって言ってたあの……?」
ピックアップデュエルの時、彼方さんから天音ちゃんが何者かに拐われたと聞いたことがある。
結局天音ちゃんを拐った犯人は見つからず、天音ちゃんは無事に彼方さんが見つけたが、それと同時に彼方さんは
そして、星雲の集いに描かれているのが、そこだと言う。
「早速行ってみるよ。天音、行くぞ」
「うん。バイバイ、お兄ちゃん達とお姉ちゃん達」
彼方さんは天音ちゃんを連れ、星雲の集いに描かれた場所へと歩いた。
「空、そっちはどうだ?」
「……ダメだ。このカードはどうしても場所や出来事に繋げられる物は見つからない」
確かに空のリコンタスト・オーバー・フローは、他のRUM同様に紋章の様なイラストだった。
ひとつ特徴的な所を上げるとするならば、その紋章は燃えたぎる炎の様に燃えているという事ぐらいだ。
「……やはり、モンスターとの対話しかなさそうだな」
空はイグニッション・ファルコンのカードを見つめ、そう呟いた。
レイドラプターズは種族的には鳥獣族だが、その見た目は機械族そのものだ。果たして機械と心を通わせられるかどうか……恐らく3人の中で最も困難な試みだろう。
「まぁ、やるだけやってみせるさ。それよりも、こいつを起こさないとな」
空はカードを仕舞い、気絶している焔を起こそうとしたが、ティアドロップとレイの攻撃を受けてそう簡単に起きれるとは思えない。
だが空には考えがあるのか、すっと息を吸い込んだ。
「お、あそこに胸が大きくてグラマラスな女性がいるぞ」
「何っ!? 臭い奴らがいる中でそんな女がどこにいるんだ!?」
「いる訳無いだろ」
目に見えてショックを受けた焔はもう一度気絶しようとしたが、空はレアカードである焔のレゾンカードを焔の額に投げつけた。
果たしてレアカードをあんな風に雑に扱っても良いのだろうかというツッコミはさておき、焔が気絶している間に手がかりになりそうな情報を共有すると、焔は自分のレゾンカードをみた。
「ふーん、カードの元ネタねぇ……」
机に顎を乗せながらじっと炎舞の陣のレゾンカードを見つめる焔だが、唸り声を上げるだけで特に進展はなかった。
炎舞の陣はその名の通り、炎に囲まれた陣の中で1人が刀を持ち、まるで舞うような立ち振る舞いが描かれていた。
不知火と名前が含まれている事から、おそらくは不知火関連の人物が描かれているのだろう。
「だぁぁわかんねぇ……けど、こういうのって結構ありがちな雰囲気だからネットでも調べたら分かるかぁ。最悪、俺の親父とかお袋とかに聞けば大丈夫か」
「どうやら、それぞれ手がかり自体は掴めたらしいな。……1週間、あるようで無い期限だ。気を抜くなよ」
「あだぼうよ、へへ、しかしこのレゾンカードはまだ力隠してんのかぁ、早く開放させて使ってみてぇなぁ〜」
「そしたら、俺と普通のデュエルでもするか?」
「お、良いね。じゃあ、早速調べてくるわ。待ってろよ」
そう言って焔はいつものように明るい笑顔で店から出て、空もレイドラプターズとの対話の為に家へと帰って行く。
俺も何か協力したいのは山々だが、レゾンカードは俺やダークネス関連の敵を倒す為に作られたカードだ。迂闊には手伝えないのが少し気後れしてしまうが、今は焔達を信じるしか無かった。
少しの無力感を抱いて店に出ていくと、外は少し暗い空になっていた。
「何も出来ないっていうのも、辛いな」
「そんな事無いですよ」
自虐気味に呟くとレイが姿を現し、体も実体化させて俺の隣に立った。
「信じる事だって、誰かの為になります。それに、あの人達なら大丈夫でしょう。というより、やってのけてくれないと私達が困りますから」
レイは静かに俺と腕を組み、頭を寄り添うようにして腕にくっ付けながら帰路を沿って帰っていく。
歩いていると空も暗くなり始めており、通行人も誰もいなかった。
「……レゾンカード、3人とも上手く力の開放出来るかな」
「ですが、レゾンカードは花衣さんにとって天敵です。その力を開放するとなれば、貴方の身に危険が起こることだってあります」
「焔たちはそんな事しないさ」
「ですが、もし万が一そんな事になったら……私は……いえ、私達は花衣さんのお友達であろうと倒します」
レイの目は本気だった。俺の為に誰かを傷つける事も、倒す事も、果てには命を奪う事すらやり遂げるという意思が痛いほど伝わってきた。
そして『私達』とは、六花達の事も指しているのだろう。俺の敵は全員倒し、俺の為に戦う。それが皆の戦う理由であり、絶対的な意思だった。
「ごめんなさい、花衣さんの前でこんな事言い出して……でも、私は花衣さんの事を守りたいんです。もう離れたくも離したくもないんです。それほどまで好きなんです。愛してるんです。どうしようもなく、溢れそうな程に、もし貴方が居なくなったら壊れてしまう程に……嫌、嫌……嫌です……」
徐々に想いが募っていき、レイの力が強くなり、震えていた。震えるレイの手を差し伸べ、震えを止めるように手を握った。
何度も繋いでいる手は硬かった。
今が俺と同じ歳という事は、レイは一体何才でどれほどの戦いを重ねたのだろうか。
どれほどの想いを重ねながら剣を振るい、どれほどの辛さで敵を倒し、どれだけの恐怖を押し潰しながら生きてきたのだろうか。
仲間は居たと思うが、戦場は死と隣り合わせだ。それは戦場を駆け抜けた者にしか分からない痛みと恐怖であり、その恐怖を乗り越える為には必ず何か柱の様な存在が必要だ。
レイにとって、それがカイム……俺だったのだろう。それを一時期無くしたレイの心境は計り知れない。たとえロゼや仲間たちが居たとしても、その穴は俺に会うまでは塞がらなかった事が、今のレイの震える体が物語っていた。
「あぁ……やっぱり花衣さんの手は暖かいなぁ……」
レイは俺の右手を頬に添え、温もりを感じていた。
俺の手で一体何を思い出しているのだろうか、昔の戦いか、それとも戦いが無かった平和の時か、それはレイにしか分からないが、少なくとも良い思い出というのは、レイの安らかな表情で分かり、安心した。
自然とレイの顔との距離が縮まり、レイは無意識なのか、それとも自分の意思なのか分からないが、左手を俺の背中に回し、体を密着させた。
「……もう少し、このまま居ても良いですか?」
誰も通らない道の中で、俺は頷いた。街灯の光が灯った瞬間、その光の中でレイは境目が分からないほど体をくっつけ、気が済むまで俺はレイのそばに居た。
「愛してます、花衣さん」
オリカをまとめた章が欲しい?
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欲しい!
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別に( *¯ ³¯*)