六花テーマを作って愛用したらそのまま俺への愛が重くなった件について   作:白だし茶漬け

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ついに焔君と妲己のデュエルですが、ここで1つ目を通して欲しい事があります。

このデュエルでは皆さん予想はしているであろうデュエルをしており、その中で妲己が使う展開はかなり長い為、一部省略する事をここで知らせておきます。

そして今回、新たなオリカが5枚登場するので、後書きにて紹介いたします。


魔妖ー百鬼夜行

 

 満月の夜の下、燃え盛る炎の大地に、正体が化け物の美女、妲己とのデュエルが今始まろうとしていたまさか魔妖と……いや、精霊とデュエルするとは思わなかった。

 

 精霊とデュエルをするという類まれな経験だが、そういや花衣はレイとティアドロップ達とデュエルした事あると言っていた。それを思い返すと類稀なくは無いと思えてしまう。

 

 普通だったらはしゃいだかも知れないが、そんな気分と状況では無かった。

 

 周りは炎に囲まれていつ俺が焼け焦げるか分からない。さっさと勝負を付けるしか、俺が生きる道は無い。

 

「ふふ、随分と怖がっておるのぉ。じゃがそれでも妾に釘を刺す様な眼差し……不愉快じゃ」

 

「うっせぇわ。さっさと炎舞の陣の真の力を解放させて、そのついでにお前をぶっ飛ばしてやるぜ!」

 

「威勢がいい男は嫌いでは無い。……では始めようか! 互いの命を懸けた儀式を!」

 

「やってやろうじゃねぇかこの野郎!」

 

 互いの戦う意思を汲み取るように周りの炎は更に燃え上がり、フィールドの中心に炎のサイコロが2つ浮かび上がった。

 

「さぁ、丁か半どちらにする?」

 

「コイントスじゃねぇのかよ!」

 

 まぁ決めるしか選択肢しか無いか。ええと、確か奇数が丁が偶数で半が奇数だよな? まぁどっちにしろ確率は半々だ。何が出るから神の気まぐれってね。

 

「半だ」

 

「では妾は丁じゃ。では振るぞ!」

 

 炎を揺らめかせながらサイコロは回り初め、炎のサイコロはそれぞれ4と2が上となり、その合計は6の偶数。つまり丁となった。

 

「幸先が良いのぉ。では妾の先手で行くぞ。妾は手札から【翼の魔妖ー波旬】を召喚」

 

 翼の魔妖ー波旬

 レベル1/風属性/アンデッド/ATK600/DEF400

 

「初手でそれが来たかぁ〜! 止められるカードがねぇ!」

 

 止められるカードが無いと言うことは、もうこの時点で魔妖の展開は決まった。

 

「【波旬】の効果で山札から妾……では無いな。【麗の魔妖ー妲己】を特殊召喚」

 

 麗の魔妖ー妲己

 レベル2/チューナー/炎属性/アンデッド/ATK1000/DEF0

 

「やっぱそう来るよな……」

 

「行くぞ? 妾は【波旬】と【妲己】で同調(シンクロ)……いや、変貌と言うべきか?」

 

 フィールドの波旬が錫杖の鈴を鳴らすと、ガラガラと木の車輪が回り出す音が聞こえてわくる。車輪の音が大きくなると、妲己の背後から人力車を引っ張ってきた男が爽やかな笑顔で炎を超えてやってきた。

 

 アイツは……轍の魔妖-俥夫か? 俥夫らしき青年が頭の上の笠を深く被ると陽炎の様に姿が消え、人力車に乗っていた男が揺らめきながら前にでたその時、人力車と男が溶け合う様に姿が重なり、鬼の形相の顔が人力車に付けられ、新たなモンスターとなった。

 

 轍の魔妖ー朧車

 レベル3/シンクロ/地属性/アンデッド/ATK800/DEF2100

 

 今までソリッドビジョンでシンクロ召喚をする時、チューナーモンスターがそのレベルの数の光の輪となり、シンクロ素材のモンスターがその光の輪をくぐって新たなモンスターになる演出だったが、今見た演出……いや、怪奇って言うべきか。その怪奇はシンクロ召喚とは思えない物であり、現実から掛け離れていた。

 

「まだじゃ。麗の魔妖ー妲己()の効果発動。妾が墓地に存在する状態で【魔妖】の者が特殊召喚された時、妾を墓地から特殊召喚!」

 

 これが魔妖の特徴だ。チューナーと何度でも蘇生する妲己の効果を使って連続シンクロやリンクを繰り返す魔妖御用達の展開だ。

 

 これと併用し、【精気を吸う骨の塔(せいきをすうボーンタワー)】というモンスターを使えば、一気に相手のデッキを0に出来る戦法も可能だが、俺のデッキは60枚だからデッキ切れの心配はない。

 

 そして同時に、これで魔妖の展開ルートは決まりきった。妲己の自己蘇生の効果を使ったターン、【魔妖】モンスターしか特殊召喚出来ない。通常召喚召喚権を使った今、妲己はもう【魔妖】しか特殊召喚出来ない訳だ。

 

「更に行くぞ! これが我ら魔妖の百鬼夜行なり!!」

 

【朧車】と【妲己】で【土蜘蛛】が召喚され、【魔妖】が特殊召喚されたからまた墓地から【妲己】が特殊召喚され、これが何度でも繰り返される。

 

 やがて【天狗】が現れ、妲己の真の姿である【妖狐】が現れ、魔妖で最も攻撃力がある【餓者髑髏】も召喚された。

 

 姿を変え、じわじわと俺を攻め込む為に進行していくその姿はまさに悪夢……百鬼夜行だった。

 

 レベル11の【餓者髑髏】が召喚されてもまだ終わりじゃない……【魔妖】にはリンクモンスターである雪女が3種類あり、これがあと3回も繰り返されるのが相当辛い。しかも雪女には、俺の不知火の効果を完全に封じる効果がある……! 

 

 雪女は出されたくねぇが、何故か妲己は展開を止め、何やら思い込んでいる様子だ。何かあったのか? 

 

「おい、大丈夫か?」

 

 声を掛けると妲己は我に返ったかのようにハッとした表情をし、一瞬で顔色を元に戻させ、何事も無かったかのように笑った。

 

「なんじゃ? 妾の事を案じておるのか?」

 

「あぁ? 動かなくなったからな。そりゃあ心配ぐらいするだろ」

 

「お主と言うやつは……アイツと同じようにお人好しじゃの」

 

「俺なんかよりも最もお人好しの奴を知ってるぜ」

 

 そのお人好しのダチの顔を思い出し、更に気合いを入れる為に両頬を叩き、妲己の展開に備える。

 妲己の展開は1度止まったが、直ぐに次の展開へと手を進める。

 

「妾は【餓者髑髏】と【妲己】で併合(リンク)召喚! ……その力、今は使わせて貰うぞ【氷の魔妖ー雪女(つららのまやかしゆきおんな)】!」

 

 突然この場に吹雪が吹き荒れ始めると、フィールドにいた餓者髑髏がその吹雪で凍り、その場で崩れ落ちてしまう。

 その後、下駄の足音がゆっくりと近づき、吹雪の奥から白装飾の着物を着た白髪の少女、雪女が現れた。

 

 氷の魔妖ー雪女

 LINK2/リンク/水属性/アンデッド/ATK1900

 

「てか物騒な登場だなおい。味方を倒して出てくるなんてよ」

 

「心配するな。妾は何度でも蘇るからの。そしてこの【雪女】と【妲己】でもう一度併合(リンク)じゃ」

 

 またもや吹雪が吹き荒れ、その吹雪が雪女に纏う様に雪は雪女の体を成長させ、少女から成長した女性へと変化し、新たなモンスターになった。

 

「リンク3! 垂氷(たるひ)の魔妖ー雪女!」

 

 垂氷の魔妖ー雪女

 リンク3/リンク/水属性/アンデッド/ATK2300

 

「これで最後じゃ。【垂氷の魔妖ー雪女】と【麗の魔妖ー妲己】で併合(リンク)召喚!」

 

 雪女が右手を上げると、周りの炎の一部が雪女の手へと集まってはまるで薙刀の様な形になり、炎を雪と氷で閉じ込めると、炎の薙刀は氷の薙刀となり、白い着物も細部が変化していた。

 

「さぁ、不知火の炎をも凍らすその薙刀で今こそ怨念を晴らせ! 零氷(れいひょう)の魔妖ー雪女!」

 

 零氷の魔妖-雪女

 リンク4/リンク/水属性/アンデッド/ATK2900

 

「そして妾は墓場から特殊召喚し、札を3枚伏せてこれで妾の番は終了じゃ」

 

 1ターン目終了

 

 麗の魔妖ー妲己:LP8000

 

 手札:1 墓地:7 除外:0 デッキ:34

 

 ①②③□□

 □④□□□

  □ ⑤

 □□⑥□⑦

 □⑧□□□

 

 炎山焔:LP8000

 

 手札:5 墓地:0除外:0 デッキ:55

 

 

 3枚の伏せカードに、【零氷の魔妖ー雪女】ねぇ……正直、あの雪女が居るだけでかなりキツイ。

 

【零氷の魔妖ー雪女】の効果には、除外されている状態で発動したモンスターの効果を無効にする永続効果がある。

 つまり、除外を駆使して戦う不知火にとっては相性最悪のモンスターだ。メタにも程がありすぎて適わねぇ。

 しかも、3枚の伏せの中には多分俺も使っているあのとんでもねぇやばいカードが伏せられている筈だ。

 

「こりゃこのターンあんまり動けねぇかもなぁ……」

 

「なんじゃ、もう弱腰か? そのまま降参しても良いのじゃぞ?」

 

「馬鹿言うんじゃねぇよ。まだ始まってすらねぇだろうが。俺のターン! ドロー!」

 

「この瞬間妾は永続罠【魔妖遊行】を発動じゃ」

 

 あれって……確かEX以外からアンデッドシンクロが特殊召喚された時に効果が発動する物だったな。効果は強いが、あんまり見ないカードで少し驚いたわ。

 

「そして、墓場の【垂氷の魔妖ー雪女】を除外して効果発動じゃ。墓場から【朧車】を復活させ、【魔妖遊行】の効果で山札から札を1枚引くぞ」

 

「おい今俺のターンだぞごらぁぁ!!」

 

「人間の言葉が聞こえんのぉー? そうそう、【朧車】が墓場から復活した時、妾の妖共(モンスター達)は戦闘では破壊されぬ。まさに無敵じゃ」

 

 愉快愉快と妲己は袖元で口を隠しながら笑ってやがる。完全に煽っている仕草で苛立ちが抑えきれず、何が何でも勝ってやると誓った。

 

「その笑い姿を泣かせてやるぜ! 俺は魔法カード【隣の芝刈り】を発動! お前のデッキの枚数と同じになる様に、デッキの上からカードを墓地に送る!」

 

 妲己のデッキは33に対して俺のデッキは54。つまり21枚の墓地肥やしが可能になった訳だ。この効果に対して妲己は効果を発動せず、俺は気持ちよくカードを墓地に送った。

 

 しかも墓地に送ったカードも中々良く、上振れた結果で思わずにやけてしまう。しかし、その結果は妲己の伏せカードによって冷められてしまう。

 

「罠発動! 【逢華妖麗譚-魔妖不知火語】! 【妲己】を生贄にする事で、このターン妾達は墓場か除外しか特殊召喚が出来ない」

 

「だぁぁぁぁぁぁぁやっぱそれが来たかぁ!!」

 

 分かりきっていた事だがいざあれが通されると辛い。めっちゃ辛い。いら辛い通り越して怒りに身を任せてここでは言ってはいけない事を連発した。

 

「あはは! 愉快愉快! これでお主は何も出来ないのぉ〜」

 

 見下ろしながら涙を溢れる程大笑いしている妲己は俺の暴言をのらりくらりと受け流し、それを肴にするかのようにまた笑い、その笑い声が耳に入る度に悔しさの炎が燃え上がった。

 

「これ見よがしに煽りやがって……こうなったら行けるところまで行ってやる! 手札からフィールド魔法【不知火ー転生の陣】を発動! でも今は効果は使わねぇ。これを最大限に使いたいからな」

 

 俺はこのターン引いたカードを力強く炎の台座に置いた。

 

「永続魔法……【不知火ー炎舞の陣】発動!」

 

 炎舞の陣を発動した瞬間、俺の背後に三本の炎が燃え上がり、炎舞の陣を見た妲己はさっきの大笑いから威圧感のある眼差しへと変え、さっきの笑い声がなかったかのように静まり返った。

 

 さっきの態度で忘れていたがこいつは実際に力がある精霊であり、あまりの強さのせいでここに封印されたヤバい奴だ。気を抜いてしまえば、本気で殺されるのは必須だ。

 

「【炎舞の陣】……忌まわしい術じゃ。その秘術のせいで妾は同胞を多く失い、妾をここに長い事封印した。あぁ、憎いのぉ」

 

 言葉遣いや声色を平然と保ってはいるが、妲己の目からは憎しみの様な物が滲み出ていた。ここで怯んだら心でコイツに負ける。そうなったら喧嘩には勝てねぇ。

 

 尻込みせず、

 

「自業自得って奴じゃねぇのかよ。お前らが昔何やったか知らねーけどよ、悪い事したんだろ? まぁ当然だとは思うぞ」

 

「耳が痛いの……じゃが、妾達は自由に生きたかったのじゃ。妖と言う烙印だけで虐げられ、人間に怯えながら生きるこの気持ちが分かるか? ……いや、分かるわけ無いな」

 

 そうだ。分かるわけがねぇ。俺はその当時産まれてすらも無いし、魔妖に出会ったのも初めてだ。こいつがどんな奴かも知らねぇし、何を考えているのかも分からねぇ。

 

「けどよ、怨み妬みで他の奴の事をどうこうするのはお門違いにも程があるだろ!」

 

「良いことを教えてやろう。この世は力で全てを成すのじゃ。今の世だってそうじゃろ? 能無しの老人でも権力を持つだけでこの世を作り、変えることだって出来る。力が無ければ、言葉や意思さえ通らないのじゃ」

 

 妲己の言い分に俺は否定出来なかった。というより反論する気は無かった。俺は馬鹿だから言葉で反論することは出来ねぇし、どちらかと言えば妲己の言う事は最もだと思った程だ。

 

 確かに喧嘩が強い奴は大抵の奴を舎弟に持つことが出来て何でも言う事を聞かせることは出来るかもしれない。

 

 でもよ、何も全部、はいそうですね。お前が正しいとも思えなかった。いくら力があろうがなかろうが、地頭が無い馬鹿でもやっちゃいけねぇ事は分かるからな。

 

「だからって迷惑かけるのはダメだろうが! 頭良さそうな言い回ししても、結局お前は癇癪を起こしたガキと同じなんだよ!」

 

「ほぅ? 言ってくれるでは無いか? ……楽に死ねるとは思うなよ?」

 

 汗が上がるほどの強烈な圧が妲己から発せられ、無意識に体が震えた。いや、恐れるな。震える右手を握りつぶすようにして拳を作り、発動した【炎舞の陣】の効果処理に入る。

 

「【炎舞の陣】の効果処理だ。デッキの上から3枚めくり、その中の1枚を手札に加えるか墓地か除外ゾーンに送れる。……だが、俺のフィールドに【不知火ー転生の陣】が存在する場合、その3枚全てをそれぞれ手札、墓地、除外ゾーンに持って来れる!」

 

 俺のフィールドにはもうフィールド魔法の【不知火流ー転生の陣】が置かれている。これにより、これからめくる3枚のカードを好きな様に持ってこれる。

 

 デッキに触れる前にデッキトップ3枚のカードが急にめくられて俺の目の前まで浮遊した。

 目の前の怪奇現象で少し驚きはしたが、これを見る前に怪奇現象やら現実離れした事を目の当たりにしたからかもうこんな小っこい現象には驚かなくなった。

 

 とにかく、めくられた3枚のカードから手札に戻す物、墓地に行かせる物、除外させる物を選ぶ訳だが。めくられたカードは【シンクロ・トランスミッション】【妖刀ー不知火】【屋敷わらし】だった。

 

「おいいい……【屋敷わらし】お前最初のターンに来いよぉ……惜しいなぁ」

 

 この屋敷わらしという手札誘発のモンスターが初手にあれば、【妲己】の効果を無効に出来て展開を止められたんだが、このタイミングで来られてもなぁ……。

 少し落胆した所で屋敷わらしのカードが淡く光ると、カードから屋敷わらしの姿がカードから飛び出すように現れ、ムカッ腹を立てるように頬を膨らませながら俺の額にデコピンした。

 

「いっだぁぁ!? はっ!? 【屋敷わらし】が俺に……デコピンした!? えっ、何で?」

 

「何を驚いているのじゃ? 妾の妖達も実体化しているのだからお主の妖も実体を持つのは当然じゃろう。今この決闘では、妖……精霊の力を引き出している為、そうして姿が実体化するのじゃ」

 

 つまり、このデュエルでは精霊が実体化できるって事か? カードから飛び出した屋敷わらしはそっぽを向いてカードに戻り、呆気に取られながらもデュエルを進ませる。

 

 さて、どれをどうするかな。魔妖は墓地から特殊召喚する事でその真価を発揮するテーマという点で言えば、ここで【屋敷わらし】を手札に加えるのが得作だと思うが、まともな展開が出来ないこの状況で後続が出せないとなると……手札に加えるのはこれしかない。

 

「俺は【シンクロ・トランスミッション】を手札に加え、【妖刀ー不知火】を墓地、【屋敷わらし】を除外する」

 

「んん? 【屋敷わらし】を手放す程辛いと見た。ふふ、勝負は早くつきそうじゃな」

 

「なめんなよ……! 俺は【不知火流ー転生の陣】の効果発動! 手札を1枚捨てて、墓地の【霊道士チャンシー】を特殊召喚!」

 

 霊道士チャンシー

 レベル6/闇属性/アンデッド/ATK2000/DEF0

 

「【チャンシー】の効果でデッキから【不知火の物部】を墓地に送る。さらに【シノビネクロ】を通常召喚!」

 

 シノビネクロ

 レベル2/チューナー/闇属性/アンデッド/ATK800/DEF0

 

「そんでもってこれを発動だ魔法カード【時を裂く魔瞳(ときをさくモルガナイト)】を発動! この魔法カード発動により、俺はこのデュエル中3つの効果を適用するぜ」

 

「3つとな?」

 

「あぁ。1つ、俺は手札からモンスターの効果を発動出来ない。2つ、俺はドローフェイズで2枚ドロー出来る。そして3つ目、俺は通常召喚を2回までする事が出来るのさ」

 

 まっ、要は手札誘発のモンスターが使えなくなったり、手札から発動するモンスターの効果が使えなくなる。

 

 例えるなら、花衣の【六花精スノードロップ】とか、空の【RR-ファジーレイニアス】とかの、手札から特殊召喚出来る効果が発動出来ないから、それらが一切使えなくなるというとんでもないデメリットだが、俺のデッキには手札誘発を除けばあまり無く、ほとんどがフィールドでの効果発動や墓地の効果発動だ。

 

 だからこれを採用した訳だ。手札誘発が使えないが、展開が止められなかった今となってはあまり意味がねぇだろう。

 

「カードを2枚伏せてターンエンドだ」

 

 2ターン目終了

 

 麗の魔妖ー妲己:LP8000

 

 手札:2 墓地:6 除外:1 デッキ:33

 

 □②③□□

 □□□⑫□

  □ ⑤

 ⑪ □□⑥□⑦

 □⑧⑨⑩□

 

 炎山焔:LP8000

 

 手札:1 墓地:23除外:1 デッキ:30

 

 ②:魔妖遊行

 ③:伏せカード

 ⑫:轍の魔妖ー朧車

 ⑤:零氷の魔妖ー雪女

 

 ⑥:シノビネクロ

 ⑦:霊同士チャンシー

 ⑧:伏せカード

 ⑨:不知火ー炎舞の陣

 ⑩:伏せカード

 

「やはりまともに動けぬか。妾の番、どろーじゃ」

 

「罠発動! 【シンクロ・トランスミッション】! このメインフェイズ、フィールドのモンスターでシンクロ召喚出来る!」

 

「ほう? 妾の番と言うのにな」

 

「やられたらやり返す主義でな! 俺は【チャンシー】と【シノビネクロ】でシンクロ召喚!」

 

 俺のシンクロ召喚はいつも通り、チューナーであるシノビネクロが2つの光の輪となり、それをチャンシーが潜り、光となって新しいモンスターが出てきた。

 

「来い! 【アクセルシンクロ・スターダスト・ドラゴン】!」

 

 アクセルシンクロ・スターダスト・ドラゴン

 レベル8/シンクロ/風属性/ドラゴン/ATK2500/DEF2000

 

「そしてこいつの特殊召喚時、墓地からレベル2のチューナーモンスター【シノビネクロ】をもっかい特殊召喚するぜ。そして【スターダスト】の効果発動だぁ!」

 

 スターダストが咆哮を上げると、スターダストの体が赤い光を纏ってシノビネクロと共にフィールドから消えてしまった。

 

「消えたじゃと……?」

 

 妲己は消えたスターダスト達に探すように周りを見渡すのと同時に、俺の背後に光が溢れると、そこに現れるのはスターダストでは無く、薔薇のような棘が着いた甲冑を着た馬に乗った騎士だった。

 

「疾風怒濤! 荘厳華麗! 来い! フルール・ド・バロネス! 守備表示だ!」

 

 フルール・ド・バロネス

 レベル10/シンクロ/風属性戦士/ATK3000/DEF3000

 

「ほぅ? 異国の騎士見たいな者も使うとは……」

 

「使えるもんは何でも使う主義なんでな」

 

 これで俺は1回だけだがどんな効果も無効に出来る。この1回をどこに使うかで勝負は決まる。慎重に使わねぇとな……

 

「では、妾はこれを使うとするかの。魔法カード【死者蘇生】じゃ」

 

「なっ! それ引いたのかよ……流石に【バロネス】で無効にするぜ」

 

 慎重に使うはずの1回をここで使わされてしまった。仮にあれを通せば、妲己は恐らくだが【妖狐】を蘇生させ、蘇生時の効果で俺のバロネスを破壊しに行くはずだ。しかも妲己の場には雪女もいる。

 

 あの雪女は墓地からモンスターが特殊召喚された時、相手モンスターの効果を無効化し、攻撃力も0にする事が出来る。しかもそれが2回も使えるんだ。どっちにしても、ここで使う他無かった。

 

「ふふ、どうやら頼みの綱の効果も無い今、心底焦っている様子じゃのぉ」

 

 妲己に心の焦りを見破られたが、自分でそれを認めてたら喧嘩は終わりだ。精一杯の虚像を張り、不敵な笑みを浮かべさせるが、妲己はそれを滑稽に思ったのか、めちゃくちゃ大きく笑った。

 

「くっふっふ……そう虚勢をはるな。まだまだ百鬼夜行は続くのだからのう」

 

「あぁ? またシンクロ召喚を繰り返すのか?」

 

 こうは言ったが、妲己の場にあるカードは【朧車】と【零氷の魔妖ー雪女】の2体だけ……ここでリンク召喚を繰り返したとしても、2体目の【零氷の魔妖ー雪女】にまで繋げ、【垂氷の魔妖ー雪女】の効果で多分【妲己】を特殊召喚し、俺の伏せカードを破壊するのが関の山だろうが……どうもそうは思えない。

 

 さっき妲己が引いた1枚のカードからは、何やら異様な雰囲気がビンビンに溢れだしている。そのカードに意識を集中した途端、まるでカードに睨まれているかのような寒気が身体中に走り、思わず声を殺しながら右足が逃げたいと叫ぶように1歩下がっていた。

 

(何だ……? 今の感じ)

 

「では行くぞ。数百年の怨念が形となったこれで、お主を恐怖の焔に飲み込ませよう!」

 

 妲己が1枚のカードを炎の台座に置いた瞬間、周りの炎が赤色から紫色に変貌し、紫色の人魂が空を覆う程の数までどこからともなく現れた。

 何が何だか分からず、混乱する中、妲己のターンはこれから始まろうとしていた。

 

「永続魔法……【魔妖ー百鬼夜行】発動!!」

 

「なんだそのカード!? 見た事も聞いた事も無いぞ!」

 

「当然じゃ。これは妾が作り出した物だからのう。そちらの言い方だと、れぞんかーど。と言うのかのぉ?」

 

「自分が作ったカードを使うなんてな……何でもありかよ……」

 

「そっちも二つとない物を使っているじゃろう。おあいこじゃ」

 

「最もらしい事言いやがって……」

 

 そんでもって永続魔法か……カードの確認しようが無いからどんな効果を秘めているのかさえ謎だが、これだけは言える。

 

 間違いなくえげつけない効果だ。

 

「では早速行くぞ。【魔妖ー百鬼夜行】の効果発動」

 

「来るか……!」

 

「自分の場の【魔妖】Sモンスター、【朧車】を対象にする事で効果発動じゃ。それよりもひとつ上のランクの

【魔妖】XモンスターをX召喚扱いでEXデッキから特殊召喚する!」

 

「魔妖の……エクシーズモンスターだぁっ!?」

 

 シンクロテーマである筈の魔妖がまさかのエクシーズモンスターに成り代わる様に、朧車の鬼の頭が蠢き、黒金の牛車から鬼の手足が飛び出すようにして現れ、車輪で動く代わりに赤く血で染まった手足で牛車ごと体を動かすその姿はまさに悪夢だ。

 

「窮屈だったのか? ふふ、心配するな。直ぐに暴れさせてやる。行くぞ、【血の轍ー鬼車】よ!」

 

 血の轍ー鬼車

 ランク4/エクシーズ/アンデッド/闇属性/ATK2100/DEF0

 

「そして墓場の【妲己】の効果により、墓場から特殊召喚じゃ」

 

「それでも反応するのかよ……でもよぉ、【妲己】を出しても意味ねぇだろ」

 

「いや、意味はあるぞ。【魔妖ー百鬼夜行】にはもう1つ効果がある。【妲己】が場に存在する時のみ発動する効果で【妲己】と【血の轍ー鬼車】を墓場に送ることで、そのレベルとランクの合計した数のランクと同じ【魔妖】Xモンスターを特殊召喚できるのじゃ」

 

「なんだそのランクアップみたいな方法は!?」

 

 妲己のレベルは2で、あの【朧車】のランクは4だからその合計は6。つまり、ランク6の魔妖XモンスターがそのままEXデッキから特殊召喚出来るという事になる。

 

 まさにエクシーズ版の魔妖の展開だ。……ん? ちょっ待て。て事は……アイツ、もしかして。

 

「おい、その効果にターン1の制限はあるのか?」

 

 恐る恐る尋ねると、妲己は笑顔でこう言った。

 

「無いぞ」

 

 俺は絶句した。もしかしたら温情のターン1制限があるかと思った俺が馬鹿だった。そうだよな、そんな訳無いもんな。魔妖の展開に限ってターン1が付くのが有り得ねぇんだ。

 

「じゃが、その前に【鬼車】の効果を発動するぞ。えくしーず素材を1つ取り除く事で、この番、妾の【魔妖】の妖は相手の効果では破壊されん」

 

「うげっ、マジか……」

 

「そして、【魔妖ー百鬼夜行】の効果で更に特殊召喚じゃ。レベル2とランク4の合計ランク6の奴を特殊召喚じゃ」

 

 フィールドの【妲己】と【血の轍ー鬼車】がフィールドから消えると、今度は地中から紫色の糸が地面をえぐりながら飛び出し、その糸を辿るように下半身が蜘蛛で上半身が半裸の女が赤い目で怯えている俺を嘲笑うかのように見つめていた。

 

「さぁ来るのじゃ【猛毒の魔妖ー女郎蜘蛛】! 【妲己】の効果で墓場から蘇る!」

 

 猛毒の魔妖ー女郎蜘蛛

 ランク6/エクシーズ/土属性/アンデッド/ATK2400/DEF0

 

「どんどん行くぞ。次は【魔妖ー百鬼夜行】の効果で【妲己】と【女郎蜘蛛】を墓地に送り、【暴風の魔妖ー天宮】を特殊召喚!」

 

 今度は鎌鼬の様な暴風が吹き荒れ、風が俺にあたる度に皮膚が切り裂かれ、切り裂かれた皮膚から血が流れ出した。

 

(血……だと?)

 

 頬に流れ出る血に触れると、生暖かい感触と血の匂いが俺の鼻につく。

 

 この時俺は初めて思い知らされた。このデュエルでは本当に俺の命がかかっていると。徐々に痛みが感じられ、身体中が凍りつくように寒く、冷たくなる。

 

「ようやっと自分の立場が分かったようじゃな。この決闘が……命を失う事だと」

 

 妲己の言う事に震えた中、フィールドの暴風から錫杖を持った【波旬】……いや、【天狗】だが姿が違った。天狗は人型だが、こいつは風を纏った朱色の翼に緑の翼を持った鳥だった。

 

「羽ばたくのじゃ! 【暴風の魔妖ー松明丸】!」

 

 ランク8/エクシーズ/風属性/アンデッド/ATK2600/DEF0

 

「おいおい……どんだけ出てくるんだよ」

 

「まだまだじゃ。次は【妲己】と【松明丸】を墓場に送る!」

 

 今度は【松明丸】が炎となり、その炎が【妲己】が付けている鏡に飛び込むと、鏡の青い炎が【妲己】を包み込むと、【妲己】は【妖狐】の姿……になったが、その姿は大きく違った。

 

 白い毛は少し青い毛となり、人型だった物が狐そのものの出で立ちとなり、背後には無数の青い剣が浮かんでいた。

 

 そして、今デュエルしている方の妲己が蒼い狐の【妲己】に吸い寄せられるように体が溶け合い、フィールドにいる目の前の九尾の狐が、【妲己】となった。

 

「これが妾の真の姿! ランク10【壮麗の魔妖ー蒼炎の妲己】じゃ!」

 

 壮麗の魔妖ー蒼炎の九尾

 ランク10/エクシーズ/火属性/アンデッド/ATK3000/DEF0

 

「さぁ……妾の怨念を受け取るがよい!! 妾の効果発動! 【麗の魔妖ー妲己】を墓場に送る事で妾の墓場の妖を復活させる! 甦させるのは【骸の魔妖ー餓者髑髏】!」

 

「おいおい……!」

 

「戦闘じゃ。まずは【餓者髑髏】で【バロネス】に直接攻撃!」

 

巨大な体を活かした潰しにバロネスはやられてしまい、これで俺のフィールドはがら空きになった。

 

そしてその衝撃はこちらにも届き、危うく吹き飛ばされてしまうほどだ。

 

「うぉぁぁぁぁぁぁあ!!?」

 

 

「苦しむのはまだまだじゃ。【壮麗の魔妖ー蒼炎の九尾】で直接攻撃!」

 

 今度は九尾が無数の青い炎を纏った剣を9つ出し、そのまま俺に向かって飛ばして行った。

 このままライフどころか命の危機まで晒さられる。

 

 避けなければ死ぬという文字が頭の中で思い浮かび、迫り来る1発の青い剣を避けた……が、直ぐに2発目の剣が俺の左肩を貫き、3発目で背中を斬られ、動けなくなった所を5本の剣が束ねられ、その剣先は俺に向けられた。

 

 避けなければやられるのに、滲み出た血が吹き飛ばす程の爆発の衝撃で服が裂け、熱風で肌がやけ、熱さと痛みが俺に襲いかかって動けない。

 

熱い、痛い、苦しい、辛い。今まで受けていた痛みが痛みでは無いかのような激痛が体の中で暴れ回る様は命が削られていくようだ……! 

 

「終わりじゃ」

 

 妲己がそう言った瞬間、束ねられた剣は俺を貫き、俺の意識は断ち切られた。

 

「す……まねぇ……」

 

 誰に謝ったのかは分からないが、最後に見た光景は夕日の輝きを受けた白い髪をなびかせていたアイツだった。

 

 

 

「れ…………ぃ……か」




新カード紹介

【魔妖ー百鬼夜行】永続魔法
このカード名の①③の効果は1ターンに1度しか使えない。
①:自分フィールドの魔妖Sモンスターを対象にし、対象のモンスターより1つ上のランクの【魔妖】Xモンスターを、対象のモンスターの上に重ねてX召喚扱いで特殊召喚する。
②:自分フィールドに【麗の魔妖ー妲己】が存在し、【麗の魔妖ー妲己】と自分フィールドの【魔妖】Xモンスターを墓地に送って発動出来る。
墓地に送られたモンスターのレベルとランクの合計と同じランクの【魔妖】XモンスターをX召喚扱いでEXデッキから特殊召喚する。
③:自分の墓地に存在する【魔妖】Sまたは【魔妖】Xモンスターを墓地から特殊召喚出来る。この効果で召喚されたモンスターは、エンドフェイズにEXデッキに戻る。

血の轍ー鬼車
ランク4/エクシーズ/アンデッド/闇属性/ATK2100/DEF0

このカード名の①②の効果は1ターンに1度しか使えない
①このカードのX素材を1つ取り除いて発動出来る。このターン、自分フィールドの魔妖モンスターは効果では破壊されない。
②:このカードが墓地から特殊召喚された場合発動出来る。相手フィールドのカードを1枚を破壊する。

猛毒の魔妖ー女郎蜘蛛
ランク6/エクシーズ/土属性/アンデッド/ATK2400/DEF0

①:このカードのX素材を1つ取り除く事で発動出来る。自分のデッキから【魔妖】または【アンデッド族】と記されているカードを1枚墓地に送る。
②:このカードが墓地から特殊召喚された場合発動出来る。お互いはデッキからカードを3枚まで墓地に送り、送ったカードの枚数分墓地からカードを除外する。

暴風の魔妖ー松明丸
ランク8/エクシーズ/風属性/アンデッド/ATK2600/DEF0

①:このカードのX素材を1つ取り除く事で発動出来る。相手フィールドの魔法・罠カードを1枚除外する。
②:このカードが墓地から特殊召喚された場合、自分の墓地に存在する魔法・罠カードを1枚セット出来る。この効果でセットしたカードは、セットしたターン使える。

壮麗の魔妖ー蒼炎の九尾
ランク10/エクシーズ/火属性/アンデッド/ATK3000/DEF0

このカード名の①②の効果は1ターンに1度しか使えない。

①:このカードのX素材を1つ取り除いて発動する。このカード以外のモンスターを全て破壊し、その破壊したモンスターと数と同じモンスターをそれぞれ墓地から特殊召喚する。
この効果によって特殊召喚するモンスターは、破壊されたモンスターと違うカード名でなければならない。
②:このカードが墓地から特殊召喚された場合発動出来る。相手の場のカード1枚を選んで除外し、その後墓地の【魔妖】Sモンスターを1体特殊召喚する。
③:自分フィールドのアンデッド族を墓地に送るか、自分の墓地のアンデッド族モンスターを除外する事で発動する。墓地に存在するモンスターを特殊召喚する。

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