六花テーマを作って愛用したらそのまま俺への愛が重くなった件について   作:白だし茶漬け

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どうも、マスターデュエルで群雄割拠フェス(天使、悪魔)があるそうですが残念ながら天使と悪魔族主体のデッキがないのでフェスはレンタル確定の白だし茶漬けです。

マスターデュエルではラビュリンスの新規や新規蟲惑魔が出てから罠主体のデッキが流行っている印象ですね。レッドリブートが良く刺さるぜ( ◜ω◝ )ニチャア

あと罠が効かない蟲惑魔もわりと刺さる印象ですね。ですが火力とモンスターの除去に苦しんでいるので六花と組ませております。

そして今回も後書きにて新規オリカのカードテキストや、新しいアンケートの方、まぁこれは僕が気になったからやるみたいな感じですね。良ければアンケートの方も目を通してみてくださいm(_ _)m


受け継がれし魂

 

体が重い。

 

体が痛い。

 

体が動かない。

 

体が冷たい。

 

視界が霞む中で、真っ白な世界の中で俺は倒れていた。ここはどこだ?空も何もかも真っ白で、まるで白い箱の中にいるみてぇだ。

 

俺……何したんだっけ?何でここにいるっけ……。

 

何で体動かないんだ?何で体が痛てぇんだ?分からない事だらけで頭が働かず、眠気が出てきた。

このまま目を閉じて寝てしまうかと思ったその矢先、ぼやける視界の中ではっきりと見える後ろ姿が見えた。

 

白髪の長髪で、その髪は腰まで届くくらいだった。

 

誰だ……?いや、俺はあの後ろ姿を知っている。体を動かそうとしても体が氷のように動かない。

 

動け……!動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け!!

 

今動かないと俺は絶対に後悔する!起きろ!体を動かせ!氷のように動けないならそれを溶かす炎を付けろ。

 

その時、体の内側から燃えたぎる熱さが感じられた。その熱さを感じた後、体が嘘みたいに軽くなった。

 

直ぐに体を起こし、白髪の女に向かって走り出す。

しかし、走った先で氷の壁が俺の行く手を阻んだ。

 

今すぐ氷を叩いても氷は壊れず、女はそのまま白い風景に溶けるように歩いていった。

 

「待てよ!おい!」

 

_……信じてるわよ

 

その言葉が聞こえた後、白い風景がまるで紙の様に燃え始めると、徐々に現実の……いや、現実と言ってもいいか分からねぇが、とにかく現実には戻った。

 

燃え盛る炎、フィールドには狐の化け物が2匹。

 

そして……血だらけで立っていることが奇跡の俺だった。

 

「……っ!いっっっってぇぇぇ!!腹と左腕と足が痛てぇぇぇぇ!!!」

 

腹には穴が開き、左肩も激痛が走って使い物にならず、足も痛くて立っている事すらやっとだ。正直激痛に支配されてデュエルどころじゃない。

 

「お、おい……一旦デュエル中止してくれないか?激痛でデュエルにならねぇよ……」

 

「何故止めねばならぬ?それに、人の言葉なぞ妾の耳には届かぬなぁ」

 

でかい狐の姿になっている妲姫がケタケタと笑っており、どうやら中断する気は無さそうだ。あの野郎……絶対にボコボコにしてやるかな……!

 

とにかく妲姫の対抗心を燃やしに燃やし、気合いで痛みを乗り越える。だが気合いでも左腕が動かず、左手で掴んでいた手札を台座の上に置き、これでデュエルするしかない。

 

「なんじゃ、動けるでは無いか。だが、妾には【雪女】の攻撃が残っておるぞ?これでしまいじゃ!」

 

「罠……発動……【王魂調和(おうごんちょうわ)】……!相手の直接攻撃を……無効にして、レベルの合計が8以下になる様に墓地のチューナーと……それ以外のモンスターを除外して……シンクロ召喚出来る……!」

 

雪女の攻撃を無効にするように、俺の前には炎の薙刀を持った女が雪女の氷の薙刀と刃を交わし、雪女の攻撃を止めた。

 

攻撃を止めたのは【妖神ー不知火】だった。さっきの罠で特殊召喚したモンスターだ。ナイスタイミング……!

 

「……!お主まで来るのか」

妲姫は妖神……いや、物部を見て明らかな動揺を見せたが、その動揺を払うかのように目を閉じ、迷いを吹き飛ばすように吠えた。

 

咆哮が衝撃波となって物部を吹き飛ばそうとしたが、物部は何も言わず、目の前の魔妖達に薙刀を向けていた。

 

「……妾の番は終わりじゃ」

 

3ターン目終了

 

麗の魔妖ー妲姫:LP8000

 

 手札:1 墓地:9 除外:1 デッキ:32

 

 □②③①□

  □□④□⑥

  □ ⑤

  ⑨ □□⑦□□

  □□⑧□□

 

 炎山焔:LP5000

 

 手札:1 墓地:23除外:3 デッキ:30

 

①:魔妖ー百鬼夜行

 ②:魔妖遊行

 ③:伏せカード

 ④:壮麗の魔妖ー蒼炎の九尾

 ⑤:零氷の魔妖ー雪女

⑥:麗の魔妖ー妲姫

 

 

 ⑦:妖神ー不知火

 ⑧:不知火ー炎舞の陣

⑨:不知火流ー転生の陣

 

「な……なんと耐えきっ……いっつ……!」

 

やっぱ立つのが限界があり、左膝をついて倒れてしまう。フィールドにいた物部が俺の肩を抱き、そのまま肩を貸す体勢で俺を立ち上がらせてくれた。

 

「あんが……とな」

 

物部は何も言わず、静かに親指を立てるだけだった。

 

「……喋れねぇのか?」

 

「そうじゃ。そやつの魂はもう召されておる。そこにいるのは言わば木偶の坊じゃ」

 

「そっか……なんか寂しいな」

 

こうして肩を貸してもらって、顔とか体とかあるのに会話が出来ねぇのは本当に寂しい。

 

「……花衣みたいには出来ねぇか」

 

あいつみたいに精霊と喋りながらデュエルするのが楽しそうで羨ましいんだけどなぁ〜!まぁ、俺のデッキはアンデッドだから喋られなさそうな奴は多いし、前のターンには【屋敷わらし】にデコピンされるしで、花衣みたいに精霊との絆で勝つ!見たいには出来ないし、俺の柄じゃないないわな。

 

想像してみるとあまりの似合わなさに鳥肌が立つ。

 

鳥肌が立って身震いしたせいで傷に障り、また全身に痛みが走る。というかこの怪我でよく俺生きてんな……普通死んでるぞこれ。

 

アイツも……花衣もこんなデュエルをしたんだろうか。こんな楽しくも無くて、辛くて、痛くて、怖いデュエルを、1度だけじゃなくて何回も何回も直面していたのかよ……気づいてもやれなかった。

そんな自分がムカッ腹が立って、殴ってやりたいぐらいに情けなかった。

 

花衣の態度が変わっていた事に気づいていた。だけど俺は……そんな事になっているとは思わずに流してしまったんだ。

 

「あああ!!俺の馬鹿野郎!」

 

自分に言い聞かせるように俺は叫んだ。

 

なんて大バカ野郎だ俺は。気づいてもやれなかった。心配することすらも出来なかった。アイツは1人で背負っていた。こんな辛いデュエルを何度もやり抜いていた。俺たちが知らない所でだ。

 

花衣……お前すげぇよ。一体どんな事を思ったらこんなデュエルを続けられるんだ?

 

いや、考えることは無いな。花衣には六花や閃刀姫達がいる。きっとあいつらがずっと花衣を支えていたんだ。

羨ましい限りだぜ全く、美人で頼りになる仲間がいるなんてな。

 

羨ましい越えて妬ましくもあり、そんなコロコロ変わる自分の心変わりに笑ってしまう。

 

「もういいぜ、ありがとよ」

物部から離れ、少しよろけながらも何とか立ち上がり、炎の台座に置かれているデッキに指を置く。

 

「俺にはよぉ、精霊と力合わせて戦う力と奇跡的なドロー力が無くて、制圧する為の頭良い展開は出来ねぇし、相手の先を読む事も出来ねぇ。だけどよ、俺には俺の戦い方がある!」

 

心が熱く燃え、痛みでアドレナリンって奴がドバドバなせいか、指を置いているデッキがマグマの様に燃え盛る。

 

「俺は引く!たとえこの指が、手が、体が折れようともなぁ!それが俺の、豪熱デュエル魂だぁぁぁぁぁ!!」

 

岩盤の様に重たいカードを力いっぱい指で掴み、体全体を使ってカードを引こうとするが、軽いはずのカードを引けない。怪我で上手く力が出ないからだ。

だがそれでも引かなきゃならねぇ。

 

友の為、さらわれた奴の為、そして……俺がこれからも生きる為に、このカードだけは絶対に引く!

 

「俺の……タァァァァァン!!ドッ……ロォォォだぁぁぁぁ!!!」

 

【時を裂く魔瞳】によって俺の通常ドローは2枚となり、筋肉繊維が千切られ、骨が折れる程の力で俺はカードを2枚引いた。

 

普通では有り得ない命懸けのデュエルで息切れしながらも俺は2枚のカードを引くと、今最も欲しいヤツを引けた喜びで思わずニタリと笑った。

 

「来やがったぜ!こっから先は、俺の暴れ独壇場だっ!」

 

『ふん、来るが良い!』

 

「言われなくてもそうするさ!まずはチューナーモンスター【グローアップ・ブルーム】を召喚!」

 

グローアップ・ブルーム

レベル1/チューナー/アンデッド/闇属性/ATK0/DEF0

 

「俺はぁ!レベル7の【妖神ー不知火】にレベル1の【グローアップ・ブルーム】でシンクロ召喚!」

 

妖神ー不知火の周りにグローアップ・ブルームが作り出した光の輪をくぐると光の道が生まれ、その道の先には揺らめく炎の様な羽織を来た武士が、敵の目で妲姫を睨んでいた。

 

「来い!【戦神ー不知火】!」

 

戦神ー不知火

レベル8/シンクロ/アンデッド/火属性/ATK3000/DEF0

 

「【戦神】の効果発動!俺は【不知火の物部】を除外し、除外したモンスターの攻撃力分こいつの攻撃力がアップ!」

 

戦神ー不知火 ATK3000→4500

 

そんで除外された物部の効果を発動……って言いたいが、妲姫の場には【零氷の魔妖ー雪女】がいる為、墓地の不知火を除外したとしても、効果は使えない。

 

「そしてこの時、【不知火ー炎舞の陣】発動!【戦神ー不知火】を素材に……」

 

『おっと、良いのか?』

 

「何?」

 

『この空間は札……カードの力が最大限になっておる。其方の【炎舞の陣】も例外に漏れぬ。この意味が分かるか?』

 

「……!」

 

そうだ。このデュエルは原理は分からねぇがカードの力がそのまま現実になっている。

そしてそれは俺のカードも適用され、現に俺のカードは実体化して目の前にいる。……つまり、使ったら死ぬかもしれない秘術を使えば、俺の命が尽きる事になる。

 

そーいえばデュエル中に絶命した時、絶対した奴がデュエルに負けるらしい。まさかとはこれを見越してこのルール作ったんじゃねぇだろうな?ますます怪しいぞおい……。

 

確かに命懸けとなれば流石の俺でも歩みを止めてしまった。でもそれは……これからもそうだ。

俺はその一瞬を除き、迷わず【炎舞の陣】の効果を発動した。

 

「【炎舞の陣】の効果発動!」

 

『なっ、迷わずに使うとは正気か!?』

 

「へっ、多分俺はこれからも命懸けだ。だったらこんな所で足踏みしている場合じゃねぇんだよ!」

 

『……後悔しても知らぬぞ』

 

「後悔なんて……」

 

しない。という言葉は遮るように目の前に9つの炎の柱が俺を囲うようにして燃え盛る。目の前の柱から距離を取ろうとしても後ろの柱が逃げ場を失わせた。

 

柱の中心に逃げ、どの柱にも数メートル離れているのにも息が苦しいし、肌が焦げるように熱い。まるで巨大なサウナ……いや、電子レンジの中にいるかのようだ。

 

それだけじゃない。全ての柱がどんどん俺に近づき、柱が近づく度に頭が痛くなる。

 

頭の中や体の中に何かが突っ込まれたかのように痛い。苦しい……!そして、声が暴れた。

 

オォ……カラだぁぁ!

 

現せに生きル……カラダぉぉぉ

 

ツぎこそはテンかをォォォ……!

セカイをコノテニィィィ

アノこのタメ……二ッ!

 

このテでヘイワを……!

 

からだァァ……!ヨコセェェ

ワがひがんをォ……

 

……生きて……いきたい

 

炎の数だけ声が聞こえ、この体を求めてくる様に人魂が俺の中に入り込み、俺の体を燃やし続ける。

 

熱い。苦しい。痛い。辛い。気味が悪い。熱い。痛い。

 

あらゆる苦痛が押し寄せ、自分が自分で無くなりそうだ。俺の頭の中には、俺が体験してない事が頭の中に雪崩ように押し寄せてきやがった。

 

世界平和や世界征服の野望の為の日常……どれもこれもが俺の知らない人間や知らない風景を映し出し、その風景がまるで記憶を塗りつぶすかのように俺という存在を消し去っていく。

 

俺は……誰だ?

 

何でここにいるっ……け?

 

俺は……僕は……私は……我は…………!

 

 

_信じてるから

 

その一言をきっかけに、俺の意識は覚醒する。

 

歯を食いしばり、自分の心を殴るように胸を叩く。そして、俺の心に火がつき、体の内側から烈火の焔が燃えたぎり、俺の中に暴れる声は消え去った。

 

「うるせぇぇぇ!!黙ってろこの死んだ奴達がぁぁ

!!」

 

あまりにも声がうるさいと怒鳴り散らかすと、その声は止まった。

 

「さっきからうっせぇんだよぉバァァァーカ!!この体は俺のもんだし、これからも俺は好きなように生きるんだよ!勝手に取んなボケェェェ!!」

 

早くこのウザイ感じを無くす為、炎の柱はその気持ちに答えるように俺の体を包んだ。

そうだ。このウザイ炎を消し去る方法は1つ。

 

もっと激しい炎をぶつければいいのさ。

 

もっと熱く、もっと激しく、もっと滾らせろ。

 

この世で最も強く、この世で最も熱く。あの世まで熱を届かせる炎に……焔になれ!

 

俺の名前は焔だから行けるだろ。そんな自分でもよく分からねぇが、そう思うと行ける気がしてきた。

 

だが不思議と熱くは無かった。むしろ、氷を溶かすような暖かい炎であり、その炎は俺の手に宿り、徐々に刀の形へと変わっていく。

「死んだ奴らは黙って俺の力になって成仏しやがれ!俺が有難く力を貰い受けるからよぉ!」

 

俺を苦しんだお返しにウザイ笑顔をどこかは分からないがとにかく上空に向けて浮かばせた。

 

オノォレェェ……!!

 

ぐォォォォ……!

 

へへ、悔しがる声がきこえるぜ。ざま見やがれと勝ち誇ったのもつかの間、ある声でその勝ち誇った感は冷めた。

 

_頼んだよ。

 

_その力で、誰かの為の役に立ってくれ

……そういや、声の中で自分じゃなくて他人の為に思ってる奴らが居たな。たぶんそいつらだろう。そいつらに顔があったら爽やかな笑顔で成仏したんだろうが、あいにく顔は見えず、そんな暇が無かった。

 

悪いが、俺には今そんな余裕は無かった。何故なら今まじで体痛いし、できるとするなら笑う事だけだ。

 

「あんがとよ……名前知らねぇけど。……さぁ来い!【戦神】!生まれ変わって俺の力になれっ!!」

 

『ほぅ、どうやらその秘術を物にしたらしいのぉ』

 

【戦神】が炎となり、その炎と【炎舞の陣】の炎が混ざり合うと、炎は蒼く燃えた。

 

蒼炎は俺の体を包むと傷が無くなった訳では無いが、体の痛みが引いてきた。

さっきまで動けなかった左腕が軽くなり、動けるようになった。これなら俺のカードが使える。

 

俺自身の装備となる……あのカードが!

 

EXデッキから燃えるカードを取り出し、俺はそれをモンスターゾーンに叩きつけるように置いた。

 

「煙炎漲天!一刀両断!全てを断ち切る俺の切り札!【炎転生遺物ー不知火の太刀】!」

 

炎転生遺物ー不知火の太刀

レベル8/シンクロ/アンデッド/ATK2800/DEF0

 

【不知火の太刀】が置かれた瞬間に魔法・罠ゾーンに置かれ、これでこいつは俺の武器となった。

 

炎の台座が無くなり、俺が戦いやすい場所となると同時に俺の手には1本の太刀が顕現された。

 

その太刀で俺を纏う蒼炎を断ち切り、蒼炎は【炎舞の陣】へと移り、そのままカードを燃やした。

 

「おいいいい!!俺のカードー!しかも【炎舞の陣】じゃねぇか!消えろ!ふーふ!消えろぉ!」

 

『……何をしているのじゃお主は』

 

呆れて手足を丸めて座ってしまった妲姫を無視して俺は蒼炎を鎮火させるように息を吹きかけたが全く効果が無い。

 

レゾンカードの力を解放させるためにここまで来たっていうのにそのレゾンカードが無くなったら意味ねぇだろバカやろぉぉ!!

 

しかし蒼炎は消えずに涙目になっていると、何とカードが蒼炎を吸い尽くす様に蒼炎がカードの中に入ってしまい、俺の【炎舞の陣】が光り出すと、新たなカードに生まれ変わった。

 

名前は変わってないが、カードイラストとテキストも変わっており、遂に俺は目的を果たした。

 

「うぉぉぉすっげぇぇ!これがこいつ本来の力……ってん?何だこれ?」

 

俺は一瞬でその魔法カードが異様なのかすぐに分かった。

 

このカード……魔法カードのはずなのにリンクマーカーが付いていた。

マーカーは右、左、上の三方向にあり、俺は訳が分からなくなった。

 

ま、まさかこれを使えば魔法・罠ゾーンにモンスターを特殊召喚出来たりすんのか……?ルールを破壊しかねないカードを生み出してしまった自分が恐ろしくなり、冷や汗が流れ出たが、どうやら追加されたテキストを見た感じ、このリンクマーカーには意味があるらしい。

 

『さて、そろそろ反撃かのぉ?』

 

「あぁ。ぶっ飛ばしてやるよ。このままバトル!」

 

『阿呆か!お主の刀の攻撃力では妾の妖達には勝てぬぞ』

 

「そこで【炎舞の陣】効果発動!こいつのリンク先のカードの攻撃力は、その戦闘のダメージ計算時のみ攻撃力が倍になる!」

 

『なんじゃと!?』

 

これにより、元々の攻撃力2800の【不知火の太刀】の攻撃力は5600となる。この攻撃力なら、大抵のモンスターに勝つ事が出来る。

 

不知火の太刀 ATK2800→5600

 

刀に蒼炎が纏い、その蒼炎は俺の体の周りにも揺らめく様に燃えたが、俺自身や服には移らなかった。考えても仕方ない。

 

まず俺は餓者髑髏に向かって攻撃を仕掛けた。俺は餓者髑髏に向かって飛び出そうと右足で地面を蹴ろうとした時、まるで足がバネになっかのように一瞬でそいつの前に飛び出せた。

 

餓者髑髏はでかい骨の手で俺をはたき落とそうとした。あまりにもでかい手で間違いなく避ける事は不可能。なれば斬れば良い。

 

思い切り力を込めて刀を振ると蒼炎の斬撃が餓者髑髏の骨の手を切断し、その攻撃を防いだ。

 

「すっげぇ……」

 

あまりの斬れ味……というかあまりの力で思わず声が漏れてしまった。

 

1、2回ぐらいこいつを使って戦っては来たが、それなんかよりも数倍力があった。

炎舞の陣を使って天下統一やらなんやらをさせたい気持ちが分かった様な気がするが、俺の目的は今目の前の奴を倒すだけだ。

 

手を斬られた餓者髑髏だが、アンデットのせいか痛みが感じないのか苦しむ事は無く、俺を喰い殺そうと今度は口を開けた。

 

一旦上に飛んで餓者髑髏の攻撃を避けた後、全身全霊を込めて刀を握り、縦に一閃を振った。

 

切られた空気から一気に炎が生まれ、それが連なって斬撃となると、餓者髑髏の体を一気に蒼炎で焼き、餓者髑髏は息絶えるように倒れた。

 

「ふぃー、まるで火葬だなおい。おっと、【不知火の太刀】が1体でS召喚した時の効果発動な。お前には、倍の戦闘ダメージを受けてもらうぜ」

 

餓者髑髏の攻撃力は3300で、さっきの不知火の太刀の攻撃力は5600。えーと、その差は2300だからその倍の……4600のダメージが妲姫に渡った。

 

麗の魔妖ー妲姫 残りライフ8000→3400

 

「まだ終わんねぇぞ!【不知火の太刀】が戦闘した後、墓地の炎属性アンデット族のモンスターを除外することで、そのレベルかランクの数×200ポイント攻撃力を加算させる!俺は【麗神ー不知火】を除外!」

 

麗神ー不知火のレベルは7。よって攻撃力は1400ポイントアップだ。

 

不知火の太刀 ATK2800→4200

 

「そして!この効果で除外したモンスターがSモンスターだった場合、俺は追加攻撃が出来る!今度は【雪女】とバトルだ!」

 

今度も不知火の陣の攻撃力倍加の効果を使って終わりと刀を構えたが、刀を纏った蒼炎は消えてしまい。刀を纏ったのは普通の赤い炎になってしまった。

どうなったんだと思い、いつの間にか台座が消え、代わりに俺の横に浮いているカードの盤面を見ると、どうやら炎舞の陣の攻撃力アップの効果は1ターンに1度らしい。

 

つまり、1回限りの猛攻撃という事だ。

 

少しガッカリはしたが、残りの攻撃と不知火の太刀の効果を使えば問題なくライフは削られる筈だ。

 

「うっしゃぁぁ!このまま勝負決めるぜ!俺は【雪女】に攻撃!」

 

今度は雪女との戦闘になり、氷の薙刀と炎の刀の刀身がぶつかり合い、鉄が弾け合う鈍い音が鳴り響き、2回目の攻撃で鍔迫り合いとなった。

 

だが、攻撃力の差は歴然だ。割かし強引に鍔迫り合いを制し、今まで見下す様な笑みを浮かべていた雪女が初めて悔しがるように睨んできた。

 

その睨みに臆せず体勢を崩した雪女を切ろうと刀を振ろうとしたその時、親父の言葉が頭の中に過ぎった。

 

「……ちっ!」

 

俺は雪女に当たらないようにギリギリを狙って刀を振った。当然刀は雪女には当たらず、雪女は困惑した顔をしながら俺から離れた。

 

たりめぇだ。やれる時にやれなかったんだからな。誰だってそんな顔する。しかし斬撃に付いた炎の余波は雪女に喰らったらしく、俺の炎を嫌って雪女はそのまま雪になって消えた。一応戦闘破壊したって事になるだろう。

 

麗の魔妖ー妲姫 残りライフ4200→1600

 

『んん?さてはお主、おなごに弱いのか?その性格で意外よのぉ』

 

「うるせぇ!親父の言い付けなんだよ!たくっ、相手はモンスターだってのによ」

 

親父の言い付けもそうだが、あの雪女の姿を見た瞬間何故か攻撃を躊躇ってしまった。どうしちまったんだ俺……?いや、気にするな。とにかくデュエルだデュエル。

 

「【不知火の太刀】の効果発動!墓地の【戦神ー不知火】を除外し、そのレベル×200の攻撃力アップ!」

 

不知火の太刀 ATK4200→5800

 

「そして除外したモンスターはSモンスター!これで終わりだぁぁぁ!!」

 

この攻撃が通れば俺の勝ちだ。妖狐に刀を振ろうとしたその瞬間、妖狐の刀の間に透明な壁が立ちはだかり、その壁は刀の炎を吸収するように炎を吸い込んだ。

 

「罠発動【ドレインシールド】!その攻撃を無効にし、攻撃してきた者の攻撃力分ライフを回復する!」

 

麗の魔妖ー妲姫 残りライフ:1600→7400

 

「げぇぇ……相性最悪のカードじゃねぇか……」

 

折角削ったライフが振り出しに戻ったが、俺の太刀の攻撃力アップは永続だ。戦闘すればするほど強くなり、次のターンでは新しくなった炎舞の陣の効果を使えばそよ攻撃力は11600になる。次のターン、この太刀を守り通す事が出来れば……一気にライフを削れる。

 

「俺は【不知火流 転生の陣】を発動。手札を1枚を捨て、墓地から守備力0の【逢魔ノ妖刀ー不知火】を特殊召喚するぜ」

 

『むっ?確かそのフィールド魔法はモンスターがいたら発動出来ないぞ』

 

「俺の【不知火ノ太刀】はバトルフェイズのみモンスターとして扱うんだよ。そんでバトルが終わった今、こいつはただの永続魔法だ。だからこの効果は使えるんだよ」

 

これで除外した不知火のSモンスターを特殊召喚……って言いたいが、実は不知火Sモンスターは1ターンに1度しか特殊召喚出来ない。

これ結構忘れるんだよなぁ……だからこそ、俺は不知火である物部を除外したんだけどな。

 

「【逢魔ノ妖刀ー不知火】の効果発動。こいつをリリースして、除外されている【不知火】モンスター含むモンスター2体を特殊召喚するぜ」

 

「俺の除外ゾーンには【不知火の物部】と【屋敷わらし】がいるからこいつらを守備表示で特殊召喚だ」

 

不知火の物部

レベル4/炎属性/アンデット/ATK1500/DEF0

 

屋敷わらし

レベル3/チューナー/地属性/アンデット/ATK0/DEF1800

 

「うわっ、フィールドに【屋敷わらし】出すの初めてだわ。まっ、これぐらいしかやる事無いしな。ターンエンドだ」

 

 

3ターン目終了

 

麗の魔妖ー妲姫:LP7600

 

 手札:1 墓地:12 除外:1 デッキ:32

 

 □②□①□

  □□③□□

  □ □

  ⑧ □④⑤□□

  □□⑥⑦⑧

 

 炎山焔:LP5000

 

 手札:0 墓地:23除外:2 デッキ:28

 

①:魔妖ー百鬼夜行

 ②:魔妖遊行

 ③:壮麗の魔妖ー蒼炎の九尾

 

④:屋敷わらし(守備表示)

⑤:不知火の物部(守備表示)

 ⑥:不知火ー炎舞の陣

⑦:炎転生遺物ー不知火ノ太刀

⑧:不知火ー転生の陣

 

『妾のターン、ドローじゃ。随分と姑息に壁を作っておるが、その程度では止まらんぞ』

 

「はっ!次のターンになればお前のライフなんか消し炭にしてやるぜ!」

 

『次のターンがあれば……じゃがな。【魔妖ー百鬼夜行】の効果発動じゃ。墓場の【餓者髑髏】を蘇生し、こいつのレベルより1つ上のランクのXモンスターを召喚じゃ』

 

餓者髑髏のレベルって確か11だよな。ということはランク12の魔妖Xモンスターが召喚されるのか。

さーて何が出てくる……?ランク12だから多分バケモン級の効果があると思うが……

 

気を抜かず警戒すると地面が揺れ、石畳の地面がえぐれた途端、地中から長い首のような骨が出てきた。

骨は一本ではなく無数に集まって1つ首をしている。しかもそれが一本ではなく8つあった。

 

それぞれに蛇の目と口があり、八つ首の蛇は俺を睨みながら地中の体を地表へとださせ、もはや地面はボロボロになっていた。その地面から逃れるように妲姫は骨の蛇の頭の上へと乗り、九尾から元の妲姫の姿へと戻った。

 

「8つの怨念宿いし蛇よ……今こそ我ら幽世の焔が灯火を滅する時!今現世に甦れ!【怨念の魔妖ー八岐大蛇】!」

 

怨念の魔妖ー八岐大蛇

ランク12/エクシーズ/闇属性/アンデット/ATK3500/DEF0

 

「や、ヤマタノオロチ!?というかデカすぎんだろ!!」

 

蛇は九尾となった妲姫の何倍もデカく、最早妲姫を封印していた蔵の数倍はあった。

 

「というかここ蔵の中だって事忘れてたぜ……どうなったんだここ?」

 

『厳密にはここは蔵の中では無く、現世とあの世の狭間の世界じゃ』

 

「現世とあの世だぁ……?」

 

『そうじゃ。言わば別世界と言うところじゃ。空間の広さも、風景も、思いのままに出来るのだが……お主にはもう関係ない。ここで朽ち果てるのじゃからな!』

 

八岐大蛇がそれぞれの首から咆哮をあげ、その咆哮は衝撃波となって俺に襲いかかり、耳の鼓膜が破れそうにもなる。

 

まるで頭の中に鈍器をぶつけられたかのやうな気分の悪さで体の中から何か吐き出してしまいそうにもなるが、何とか意識を保ったが、頭がごちゃごちゃにされたかのような感覚はまだ残ったままだ。正直立っているのがやっとだ。

 

「苦しそうじゃが、まだこれからじゃ。【八岐大蛇】の効果!X素材を取り除き、こやつ以外の場にいる妖を全て破壊じゃ!」

 

「はぁ!?」

 

八岐大蛇がそれぞれの首で俺のモンスター2体と妲姫のモンスター1体を飲み込み、飲み込んだ口から人魂の様な物が飛び出すと、前のターンで召喚された魔妖モンスターがフィールドに現れた。

 

「【八岐大蛇】は破壊した妖の数だけ墓場から【魔妖】を特殊召喚できるのじゃ。妾が1体、其方が2体だから3体も特殊召喚出来たのじゃ」

 

「えぐすぎるだろ効果……」

 

自分諸共破壊するって事は、魔妖モンスター特有の墓地からの特殊召喚した時の効果を自分から使えるって事だ。

いやまじでいかれてやがる。魔妖だから許される……訳がねぇだろ。やばすぎるわ。もう文句しか言えねぇわ。

 

「墓場から特殊召喚するのは【蒼炎ノ九尾】【松明丸】【鬼車】じゃ」

 

血の轍ー鬼車

ランク4/エクシーズ/アンデッド/闇属性/ATK2100/DEF0

 

暴風の魔妖ー松明丸

ランク8/エクシーズ/風属性/アンデッド/ATK2600/DEF0

 

壮麗の魔妖ー蒼炎の九尾

ランク10/エクシーズ/火属性/アンデッド/ATK3000/DEF0

 

「そしてそれぞれ墓場から蘇った効果発動じゃ。まずは【九尾】の効果でお主の場にあるカードを除外じゃ!」

 

「それで俺の【不知火ノ太刀】を狙っても意味ねぇよ!こいつはこいつの以外の効果じゃねぇとフィールドから離れねぇ!」

 

「なら、【炎舞の陣】を除外じゃ。そして墓場から【麗の魔妖ー妖狐】を特殊召喚じゃ」

 

「くっそ……!」

 

「次に【松明丸】の効果で墓場から【逢華妖麗譚-魔妖不知火語】を伏せ、【鬼車】の効果で【転生の陣】を破壊じゃ」

 

これで俺の場には不知火ノ太刀を除けば全滅してしまった。えぐすぎだろ八岐大蛇……全破壊からその分魔妖モンスターを墓地から特殊召喚するだけのシンプル効果がこんなにもエグイとはな……魔妖だからって何でもしていいもんじゃねぇぞ。

 

「更に永続罠【魔妖遊行】の効果で1枚引くぞ。ふふ、」

 

「【妲姫】の効果もあるが……残念ながらその刀は破壊できぬからのぉ……このまま戦闘じゃ。直接攻撃すればその刀は折れるからの!」

 

「させっかよ!俺は墓地の【光の護封霊剣】を除外することで俺は直接攻撃されねぇ!」

 

フィールドに無数の光の剣が魔妖達の行方を阻むように突き刺さり、何とかこのターンは凌げた。

 

このカードは前のターンで【不知火流 転生の陣】で手札コストにしたカードだ。伏せずに墓地に送っといて良かったぜ……もしセットして使っていたら間違いなく負けていた。

 

ギリギリで悪運が味方してくれて思い切り息を吐き、思わず尻もちを付き、夜の空を見上げた。

 

「ほぅ、中々に耐えるのぉ。札を2枚伏せて……装備魔法【月鏡の盾】を【壮麗の魔妖ー蒼炎の九尾】に装備してターン終了じゃ」

 

麗の魔妖ー妲姫:LP7600

 

 手札:0 墓地:7 除外:1 デッキ:30

 

 ⑤②④①③

  ⑩⑨⑧⑦⑥

  □ □

  □□□□□

  □□□⑪□

 

 炎山焔:LP5000

 

 手札:1 墓地:28除外:2 デッキ:28

 

①:魔妖ー百鬼夜行

 ②:魔妖遊行

 ③:月鏡の盾(九尾に装備)

④⑤:伏せカード

⑥:血の魔妖ー鬼車

⑦:暴風の魔妖ー松明丸

⑧:壮麗の魔妖ー蒼炎の九尾

⑨:麗の魔妖ー妖狐

⑩:怨念の魔妖ー八岐大蛇

 

 

⑪:炎転生遺物ー不知火ノ太刀

 

……さて、どうするか。次のターンで何とかしないと確実に俺は負ける。しかも相手は2枚の伏せカードに、戦闘ではほぼ無敵になる月鏡の盾。だが、月鏡の盾を装備した九尾に攻撃しなければ問題ない。

 

「俺のターン!【時を裂く魔瞳】の効果で2枚ドロー!」

 

「この瞬間2枚の罠【逢華妖麗譚-魔妖不知火語】と【立ちはだかる強敵】!」

 

「なっ……【立ちはだかる強敵】だぁ……!?」

 

「このターン、お主は墓地か除外ゾーンしか特殊召喚出来ず、【立ちはだかる強敵】の効果でお主は【九尾】しか攻撃出来ない!」

 

月鏡の盾は戦闘時に攻撃してきたモンスターの攻撃力を100上回るようになる装備魔法だ。つまり、戦闘では無敵になれるカードだ。そして立ちはだかる強敵は、モンスターの攻撃先を強制される罠だ。

 

つまり、俺は必ず戦闘で勝てるモンスターになった九尾にしか攻撃出来なくなったという事だ。しかも仮に九尾を破壊したら、立ちはだかる強敵の裁定により、俺は攻撃が出来なくなり、妲姫にターンを渡してしまい、俺の負けは確定だ。

 

「……マジかよ」

 

「くっくっく……お主の苦悩に満ちた顔は良い肴じゃのう。お主はここに来たことを後悔しながら死ぬのじゃ」

 

妲姫が勝ちを確信したかのように笑い、まだ勝負は決まってないのに高笑いする妲姫に対して怒りの炎が湧いてきた。

 

「……おい、まだ勝負は終わってねぇぞ」

 

「ならこの状況を越えられると?ただの人の子であるお主がどう出来ると言うのじゃ」

 

「うるせぇ!俺はドローカード見てねぇんだ。勝つか負けるかはその後だ!勝手に勝ち誇ってんじゃねぇぞこの狐ババァ!」

 

「ば……ババァじゃと!?」

 

「実際ババァだろ。何百歳のな!」

 

「口が減らぬ若造じゃ。……なら、来るが良い!我らが全力で冥界に行かせてやる!」

 

「へっ、ぶっ飛ばしてやるよ」

 

2枚のドローカードをチェックし、この3枚の手札でどうにか出来ないか悩みに悩んだ。

攻撃出来るチャンスは1回のみ。この1回の攻撃で妲姫のライフを削りきれなければ俺の負けは確定。

 

不知火ノ太刀の攻撃力は今5800。だが普通に攻撃したら絶対にライフは削られない。それどころか月鏡の盾の効果で返り討ちに合う。

 

まずはあれをどうにかしなければ勝ちは無い。

 

だったら……アイツの力が必要だ。

 

「俺は魔法カード【異次元からの埋葬】発動!これで除外されている【妖神ー不知火】と【戦神ー不知火】を墓地に戻す!」

 

「戻してどうなるのじゃ」

 

「そこでこいつ!魔法カード【死者蘇生】発動!こいつで【妖神ー不知火】を復活!そして、こいつには墓地のモンスターを除外する事で発動する効果がある」

 

「……まさか」

 

「やっと気づいたか。おれは【妖神ー不知火】の効果発動!墓地の【不知火の物部】を除外し、アンデットで炎属性だから俺のモンスターの攻撃力は300アップし、相手の魔法・罠を1枚破壊する!【月鏡の盾】を破壊!」

 

墓地から特殊召喚された妖神が炎の薙刀を月鏡の縦に向かって投げつけると、月鏡の盾は粉々に砕け散った。

 

「くっ……じゃが、お主の1回の攻撃では妾のライフは削りきれぬぞ!」

 

「それはどうかな!このままバトルだ!」

 

バトルフェイズに入った事で不知火ノ太刀は炎を纏い、一気に九尾に間合いを詰める。

 

「血迷ったか!」

 

「速攻魔法発動!【ハーフ・シャット】!モンスター1体を対象にして対象のモンスターの攻撃力を半分にして、そのモンスターは戦闘で破壊されない!」

 

「何……じゃと!?」

 

壮麗の魔妖ー蒼炎の九尾 ATK3000→1500

 

不知火ノ太刀が九尾に斬り掛かると、九尾は抵抗して青い太刀を飛ばし、その攻撃を遮られる。負けじと不知火ノ太刀を大きくぶん回し、炎の渦を呼び出して九尾の青い太刀を燃やし尽くす。

 

「これで……終わりだぁぁぁぁ!!」

 

これで倒し切れると確信し、この現実離れしたデュエルは終わる。終わらせる。両手で太刀の柄を握り締め、九尾に向かって走り出す。

 

だがフィールドにいる他の魔妖は俺の攻撃を止めようとあれやこれやを使って俺の足を止めようとする。

 

まず俺の行方を遮ったのは鬼車だった。鬼車が牛車をいきなり破けさせるように中からいきなり八つ首の頭を型どった首飾りをした体が人である鳥がこっちに飛んできた。

 

「お前それ飾りかよ!」

 

鬼が見た目の奴が飾りという事に困惑しつつも、上から迫ってくる鬼車の攻撃を受け止め、力づくで鬼車を吹き飛ばし、急いで九尾に向かうが、次は松明丸が暴風を生み出し、俺を吹き飛ばした。

 

しかもただの風じゃねぇ。風は鎌鼬の様に風が刃の様に俺の肌を傷つけていく。風が刃になっているから息をすることさえも命取りだ。

 

暴風で九尾に近づく事すらままならず、このままじゃジリ貧だ。動けずに傷が増える所を、さっき召喚した妖神ー不知火が薙刀を松明丸に投げつけ、投げられた薙刀は松明丸の体を突き刺さり、松明丸は苦しみながら空中か

ら地上に落ちていき、暴風が止んだ。

 

「ナイス妖神!!」

 

妖神は親指を立てて松明丸に近づき、そのまま俺の邪魔をさせないように妖神は妖狐の前に立ち、腰に付けていた刀を使って妲姫と対決した。

 

アイツらにとっては因縁の対決だ。それを他人に手を出す物じゃねぇし、俺には狙うべき敵がいる。

 

恐れるな。前に進め。そう自分を奮い立たせながら刀を持って九尾に向かう。だがそこで地中から八岐大蛇の首が現れ、デカイ口を開いて俺を食おうとしていた。

 

1つ目の首の攻撃を避け、続けて2、3個目の首が左右から襲いかかる。

あまりのデカさで力づくで押さえ付けるのは無理だと判断し、体を一回転させて俺を中心に炎の渦を巻き起こし、左右の蛇の頭を捌きその後炎の渦に巻き込まれないように上空に飛び込む。

 

「あと5つ……無理じゃねこれ……?」

 

今俺の攻撃中だよな?なんでこんなキツイ事しなきゃいけないんだってキレ気味になったが、その怒りは全て刀に込めてあの蛇にぶつけたいが、生憎俺がいるのは空中だ。

今絶賛身動きが取れないでいる。それはあっちも分かっているのか、八岐大蛇の5つの首が一斉に向かってくる。

 

死という文字が頭の中で浮かび、絶体絶命の時だった。手に持っていた不知火ノ太刀が赤く燃え上がり、燃え上がる炎で何かを型どっていた。

 

4本の足、長い頭に鬣……これは、馬か?炎の馬が俺の隣に現れ、俺を乗せて迫り来る八岐大蛇の首達を飛び越した。

 

えぐい加速で体が持っていかれそうにはなったが、何とか生きている。まるでジェットコースターに乗った後の様な興奮感が湧き上がり、俺は炎の馬にあった手綱を持った。

 

「はは!すげぇなお前!お前ならこんな壁乗り越えられるよな!」

 

炎の馬は何も言わずに頷き、俺を睨んでいる八岐大蛇に向かって空を駆けた。まるで空中に地面があるかのように馬が走り、こいつとならあの蛇野郎を倒せると確信していた。

 

8つの首がそれぞれ青い炎を口から吐き出さんと貯めているのが見え、いよいよ全力の正面衝突だ。

これにしくじったら死ぬが、不思議と心は落ち着いていた。

所謂明鏡止水って奴なのかは分からねぇが、今なら何でもやれそうだ。八岐大蛇との距離が縮まり、青い炎が放たれたその一瞬と同時に炎の馬も加速し、炎と馬が衝突するその寸前、刀を振った。

 

横一閃に刀を振った瞬間八岐大蛇の目の光が消えうせ、同時に8本の首が真っ二つになり、青い炎も消え去った。

 

何でも出来るとは言ったがあそこまで出来るとは思わず目を皿にして真っ二つになった八岐大蛇を2度見した。

 

確かにこれならセブン・エクリプスにも勝てるかもしれねぇし……花衣のことを倒すのも容易かもしれねぇ。使い方さえ間違えれば本当に世界征服だって出来そうだ。

 

考えただけでもゾッとする。炎舞の陣が封印したかった理由が分かる。分派で血は繋がってないが、ご先祖さまに謝りながら今はこの力を遣わせてもらう。

 

八岐大蛇を倒し、妖狐は妖神と戦っている今、残るは九尾だけだ。炎の馬から降り、九尾との一騎討ちとなった。

 

夜桜が飛び散り、恐らく勝負は一撃で決まる。刀を構え、勝負が決まる刹那を見極める。

 

刀を構え、その間に走馬灯が駆け巡った。

 

ガキの頃、中学の頃、高校の頃、皆とバカをやってた頃、それが映画のフィルムのように蘇る。

 

「はっ、俺はまだ死ぬ気はねぇよ」

 

これを見せた自分自身か、それとも神様に言ったのか分からねぇが、とにかくその言葉をを吐き捨てて生きるために俺は前に飛び出した。

 

九尾も巨大な大太刀を口に咥え、そのまま俺に向かって同じように突撃した。

 

俺との距離が縮まり、やがて互いの刀が届く距離となった。この一振で全てが決まる。周りの炎や夜桜が視界から消え失せ、残ったのはこちらを睨む九尾だけとなったその瞬間、刀を振り、九尾と交差した。

 

交差したその数秒後、九尾が加えていた刀が粉々に打ち砕かれ、九尾も紅の炎を纏って破壊された。

 

色々あったがこれでようやっと九尾の事を戦闘破壊出来た訳だ。つまり、このデュエルの決着は付いた。

 

「再び人に負けるとはのぉ……ふっ、存外悔しいものよぉ」

 

負けを認めた妲姫は初対面で合わせた元の物腰柔らかな顔に戻り、まるで俺にトドメを刺されるかを待っているようだった。

 

確かにこいつを野放しにしたら外がどうかるか分からない。ここでトドメを刺した方が世のため人のためみたいな事にはなるが……俺にはどうしてもできなかった。

 

親父の言葉が過ぎったのもあるが、それ以前に俺はコイツが悪い奴には思えなかった。

 

だから、代わりにある物を喰らわせようと思いついた。まず俺は刀を捨て、右手を思い切り握り締めた。そして腰を落として右手に力を込め、上手く力を伝わるように腰に力を入れた。

 

「お、お主まさかっ……!?」

 

刀を捨てた事に妲姫は驚きながら俺の握られた拳を見ると、白目をさせながらこれからする事に驚愕していた。

 

そう。俺は今からコイツをぶん殴る。

 

「これは死にかけのダイレクトアタックのお返しだぼけぇぇぇ!!」

 

渾身の一撃は妲姫の腹へと突き刺さり、えぐるような攻撃に妲姫は涙目を浮かべた。

 

「ほごぉぉっ!?!?」

 

そのまま妲姫は俺のパンチで吹き飛ばされ、最後の最後で俺は拳を突き上げた。

 

「よっ…………しゃぁぁぁぁ!!俺のっ……勝ちだぁぁぁぁ!!」

 

麗の魔妖ー妲姫 残りライフ7600→0

 

ありったけの勝利を噛み締めた後、体に付けられた傷の痛みがぶり返し、痛みで俺は片膝をついてしまった。

 

そしてデュエルが終わったせいか周りの炎が消え失せ、戦闘していた妖神と妖狐は動きを止め、役目を終えたかのように炎となって消えていった。

 

辺りの景色は元に戻り、空も夜から昼の青空へと変わっていった。

 

「ゼェハァ……手間取らせやがっ……て」

 

あまりの痛みと疲労感で立つことすら出来なくなった俺は、そのままうつ伏せで倒れ、妲姫も俺のパンチを食らってその場でのたうち回っていた。

 

「ま……まさかの腹パンとな……ま、まずい。デュエル前に食べていたすいーつを戻しそうに……うぷっ」

 

戻しそうになった妲姫は気合いで耐えきり、対する俺はそれすらも出来ないグロッキー状態だ。

 

「へへっ、勝っ……たぜ」

 

ここで俺の意識は消えてしまった。

 

意識を失う寸前、氷の結晶が目の前で落ちたような気がした。

 

 




ー新カード紹介。

不知火ー炎舞の陣 『永続魔法』
マーカ◀︎▲▶
①:自分のデッキから3枚確認し、その中から1枚を手札に加えるか、墓地か除外ゾーンに送れる。
自分フィールドに【不知火流 転生の陣】が存在する場合、3枚をそれぞれの内1枚を手札、残りの2枚の内1枚を墓地に送り、残りは除外する。この効果はこのカードのリンク先にある【不知火】カードの数まで発動出来る。
この効果を発動したターン、自分メインモンスターゾーンとEXモンスターゾーンに存在するモンスターは攻撃出来ない。

②:1ターンに1度、自分フィールドの【不知火】Sモンスターを対象に発動出来る。対象にしたモンスターを墓地に送り、そのモンスターと同じレベルの【不知火】SモンスターをEXデッキからS召喚扱いで特殊召喚する。

③:このカードのリンク先のカードが戦闘行う場合、ダメージ計算時のみ攻撃力が倍になる。この効果はモンスター1体に対し1度しか発動できない。

炎転聖遺物ー不知火ノ太刀
レベル8/シンクロ/アンデッド族/ATK2800/DEF0

チューナー+アンデッド族モンスター1体以上

・このカードが特殊召喚に成功した場合、このカードを永続魔法扱いで魔法・罠ゾーンに置く。このカードは魔法・罠ゾーンでしか攻撃宣言が出来ず、バトルフェイズのみモンスターとして扱う。

・このカードが表側で存在し、このカードのコントローラーが直接攻撃を受けた時発動する。このカードを破壊する。

①:このカードが戦闘ダメージを与えた場合発動出来る。自分の墓地のアンデッド族・炎属性のモンスターを除外し、そのモンスターのレベル×200ポイント攻撃力をアップする。この効果で除外したモンスターがSモンスターだった場合、もう一度攻撃が出来る。

②:このカードはこのカード以外の効果ではフィールドから離れず、このカードが表側で存在する限り、

③:このカードがモンスター1体のみでS召喚に成功した場合、守備力を攻撃力が超えた分の数値だけ戦闘ダメージを与え、このカードで相手に与えるモンスターとの戦闘ダメージは倍になる。

怨念の魔妖ー八岐大蛇
ランク12/エクシーズ/闇属性/アンデット/ATK3500/DEF0

レベル12アンデットモンスター×2
・このカードは自分フィールドに1体しか存在出来ない。
このカード名の①②の効果はそれぞれ1ターンに1度しか発動出来ない。

①:このカードのX素材を1つ取り除いて発動出来る。こフィールドのカード以外のモンスター全てを破壊し、その後破壊したモンスターの数だけ墓地から【魔妖】モンスターを特殊召喚する。この効果は相手ターンでも使える。

②:このモンスターが墓地から特殊召喚された場合発動出来る。墓地に存在する【魔妖】モンスター1体をこのカードのX素材にする。自分フィールドに【魔妖ー百鬼夜行】が存在する場合、この効果に対して相手は効果を発動出来ない。

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