六花テーマを作って愛用したらそのまま俺への愛が重くなった件について 作:白だし茶漬け
そういえば最近花衣君と六花と閃刀姫出てないなぁ……(´・ω・`)
周りに誰もいなかった小さくてか弱い鳥がいた。
その鳥はある時不慮の事故を起こした。
固い階段から人を突き落とし、突き落とされた人間は頭から赤い血を広がらせ、動かなかった。
鳥は震え、泣き叫び、蹲り、壊れた。
周りは敵だらけで味方が居ない。家族さえも傍には居てくれなかった。
翼を失った鳥は暗闇に引きこもり、この真実を隠すように仮面を付けた。
そして鳥は自分を偽り、他人を欺き、全てを忘れた。
そうでもしないと、生きられないから。
心が壊れるから。
悪意に蝕まれるから。
「雀が……人殺しだと?」
「そうよ。こいつ中学の時私の友達を階段から突き落としたの!」
「いや……違う、違うのっ……私、殺してなんか」
「は?言い逃れする気なの?」
「違う!本当に私はやってないの!ねぇ空、信じて!お願いっ!!」
泣きながら雀は懇願して俺にそう言った。
まるで俺しか見えていない瞳孔が開ききり、怯えきった目からは恐怖や怯え、様々な感情が読み取れた。
いつもの雀とは全く正反対の姿で戸惑いつつも、とにかく雀を守るという思いで震える雀の手を繋ぎ、この女と目を合わせないように前に立った。
「ねぇ、アンタさっきから何なの?雀の恋人とか?」
「おい、こいつ……この前のサマーライブデュエルに出てた奴だぜ!確かレゾンカードを持ってる奴!」
取り巻きの男一人があの会場にいたのか、それともSNSを使って知ったのかは知らないが、俺の事を言い当てた。
「へぇ〜?レゾンカードねぇ」
レゾンカードという、一般的には超レアカードとして認知されている物を俺が持っているのを知った女は、興味の対象を雀から俺に変えた。
明らかに良い考えを思いついてない笑みを浮かべ、それに嫌悪感を抱いた。雀を連れて引き離そうにも、取り巻きの男二人が背後にいる為、離れたくても離れられなかった。
「俺はこいつの知り合いだ。さっきから雀が人を殺したと言っているが、本人は否定してるぞ」
「んー?まぁ確かに殺しはしてないよ?でもね、その子のせいで私の友達は頭を打って死にかけたんだよ?人殺しって言うより予備軍てきな?」
雀を侮辱する様な耳障りな高笑いが神経を逆撫でる様に感じた。
恐らくこいつは雀を知ってはいるが交流が無いタイプだ。だからこそ怒りが込み上げてくる。
何も知らず、表面的な情報だけで全部を知った気になっている無知な奴が俺は嫌いだ。例えば、目の前にいる全部を知らずにいるこの女とかには特に……!
「お前は雀の何を知ってる」
「何って……オタク……いや、陰キャよ!陰キャ!いっつも変な本とか読んで、なんかぶつぶつ言って気持ち悪かったし、そんな奴が高校デビューでイメチェンなんかしてるからキモイ奴だよね〜?みんな?」
女は取り巻きの男達も笑えと言わんばかりに焚き付け、取り巻き達も女についていくように笑った。
夏のセミが煩く鳴くのと同じぐらいの耳障りな笑い声が溢れ出し、その笑い声に雀は耳を塞いで聞こえないようにしていた。
「あ!そうだ。ねぇねぇ雀ちゃん〜。昔みたいにちょっとお金貸してよ〜」
女が雀に近づく度に雀は体を震わし、思い出したくない記憶が蘇った様子だった。
(こいつ、雀から金も巻き上げてたのか……!?)
飛んでもなくどうしようもない悪態に呆れもした。ともかく雀をここから連れ出さなければならないと行動に移したその時だった。
「……めて」
震える口で絞り出すような声と共に、雀の体から黒い靄が滲み溢れ出し……何かが切れたかのように一瞬で暴風へと変わった。
「もうやめてぇぇぇぇぇ!!!」
雀の叫びが形になるように黒い風が吹き荒れ、周りの俺や周りの奴らを拒絶するように吹き飛ばした。
「雀……?」
「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい……私のせい私のせいで私のせいで私のせいで……!」
懇願するように謝り、涙を流しながら黒い暴風を溢れ出している雀に近づこうにも、逆風が吹き荒れるせいで近づくどころか吹き飛ばされないように体を踏ん張られるしかなかった。
黒い風はこの広場を覆うようにとどまり、黒い風はまるで鳥籠の様な形へと変わり、鳥籠の中にいる俺達を閉じ込め、突如周りの景色が暗くなり、ビル街の景色が何も無い暗闇の世界へと変わった。
「ちょ……なにこれ!?ふざけてんじゃ無いわよ!」
ここに巻き込まれた女と取り巻きの2人は逃げるように走り、この場から去っていった……しかし、しばらくするとここに戻っていき、取り巻きの男は更に混乱した。
「な、なんでここに戻ってきたのよ?」
「知らねぇよ!お前が迷ったんじゃねえのかよ」
「はぁ!?アンタら取り巻きの癖に……」
どうにもならず、逃げられない状況でパニックを起こした奴らは喧嘩になった。こんな状況で言い合いしても意味が無いって分からないものなのか?
それはともかく問題は雀だ。雀がこの状況を作り出したとするならば、雀をどうにかしなければならない。
……が、その雀にも近づけない状況が今だ。
「くっ……雀!!どうしたんだ!!」
喉を震わし声を出しても、雀は答えてくれず何度も何度も同じ言葉を繰り返すだけだった。
「ごめんなさい……ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい!!」
「なんで謝る!?誰に謝ってるんだ!!」
誰に対してなのかも、何に対して謝っているのか全然分からない。こうなった原因と言えば、今向こうで仲間同士揉めているアイツらが雀の過去をほじくり返したのが発端だと考えればアイツらか、もしくは……【人殺し】と関連する人物に対しての謝罪と考えた方が良さそうだ。
「おい!お前らと雀は一体どういう関係だ!何があったんだ!」
「し、知らないわよ!アイツの事なんて、あんまり知らないわよ!」
「お前ら……知らないのに雀の事を人殺しと揶揄したのか!?」
「そいつ本当に気持ち悪かったもん!地味で暗くて何考えてるか分からないし、人殺しだもん!」
ダメだ、こいつらからはあまり情報が得られなさそうだ。くそっ……説得の材料どころか話しかける材料さえ無いのはどうしようも無さすぎる……!
風圧がどんどん強くなり初め、もはや目を開ける事すらも歩くことすらも困難になってしまい、こうなれば俺の力では無理だ。一般人にモンスターを見せる事になるが、こんな状況になってしまえばなりふり構わずにはいられない。
デッキケースからライズ・ファルコンのカードを取り出し、カードが光るとカードからライズ・ファルコンが現れ、暴風の中でも機械の翼を広げて飛び立った。
「ライズ・ファルコン!雀を助けてくれ!」
俺の声が届いたライズファルコンは雀に一直線に向かったが、ライズ・ファルコンが近づいた瞬間、黒い風がライズ・ファルコンの進行を止めた。
ライズ・ファルコンは炎を纏ってもう一度黒い風を突破しようとしたが逆に暴風でライズ・ファルコンの翼が折れ、ライズ・ファルコンは吹き飛ばされてしまった。
飛ばされたライズ・ファルコンをカードに戻し、また別のモンスターでの突破を試みようとしたその時、黒い風の向こうから見覚えのある白衣の男が目に映った。
「おやおや、これはまた随分と賑やかですね」
「ポルーション……!」
名前を呼ばれ、にやけ顔を浮かばせたポルーションは丁寧に頭を下げて挨拶し、それはポルーションの余裕の大きさを示していた。
「またお会いしましたね。空さん、そしてそこの3人もね」
「アンタ、さっき私らに話しかけてした奴!どういう事よ!ここに来ればに良いことが起きるって言ったじゃん!」
「ええ。今まさに起きてるじゃないですか」
「これのどこか良い事よ!」
「ええ。私にとって、ですけどね」
ポルーションは闇を纏った3枚のカードを女と取り巻き達に投げつけ、闇を纏ったカードが女達に触れると、カードから闇が溢れ出し、女達を呑み込んだ。
「な、何だごれ"……ぐ、ぐるし……がぁっあっああああ!!??」
「た、助け……」
突然3人は苦しみ初め、明らかにポルーションが何かをしたのは明白だった。
「……何をした」
「なにって、この人達は用済みなので処理をしようかなと」
「お前……命を何だと思ってるんだっ!」
あまりにも命に対して何も思ってないポルーションに敵意をむき出し、間髪入れずにレヴォリューション・ファルコンを呼び出し、ポルーションに向けて無数の爆撃を降らせた。
しかし、ポルーションは1枚のカードを使い、自分を中心にしてドーム状の空間を作り出した。すると爆撃は地面に落ちても爆発はせず、虚しく粉々に砕け散った。
「爆発なんて酸素さえ無くしてしまえばただの粉ですよ」
酸素を一瞬だけ消したって言うのか……?あの風貌と言い、毒使いと言うより……分子や元素を使いこなす科学者と言うべきだな。
「さて、私は早くあの子をウェルシーさんの所に運びましょうかね」
「させるか!」
レヴォリューション・ファルコンをポルーションに向けて突撃させたが、ポルーションが指を鳴らした瞬間、レヴォリューション・ファルコンの装甲が錆付き、錆びた翼は暴風で折られてしまった。
「だから無駄ですって。それに、貴方もそろそろ死にますよ」
ポルーションの笑みを最後に、俺の視界がまるで斬られたかのように真っ二つになった。顔を切られた訳では無いのに、視界が徐々に見えなくなり始めると、次は血管が膨張して至る所から血液が吹き出し、手足の感覚も無くなって力が出なくなった。
感覚が麻痺しているのだ。だが何故……?何かされた様子は無かった。一体何をしたんだ?
……いや、何かはした。さっきのレヴォリューション・ファルコンの体が急速に錆びていたあの現象と、今の俺の状況を結び合わせるとしたら……答えは1つしかない。
「酸素濃度を上げたのか……?」
「おや?凄いですね。少しの情報でそこまで当てますか」
ポルーションは賞賛の拍手を上げた所を見れば、俺の考えは当たっていた。
人間が生きていく上の絶対に必要な酸素だが、普段俺達が吸っている酸素には濃度という物がある。
通常俺達が吸っている濃度は約20%程だが、この濃度が上がると人体に様々な影響が起きる。例えば、集中力が上がったり、身体能力が上がる。そして、睡眠を起こしにくい作用もある。その為、カジノ等寝てはならない場所では、わざと酸素濃度を上げたりもしている。
だが、この濃度が高いほど逆に悪影響を及ぼす。細胞が分解され、手足の感覚や目の血管が切れて失明する恐れもある。俺の失明はこれが原因だろう。
だが、分かったからと言ってこの状況を打破出来る訳でな無い。どんどん周りの景色が見えなくなり、雀の場所も掴めなくなっていった。
「くっ……!」
「やれやれ下手に関わろうとするからそうなるんですよ。自分の行動に後悔しながら、死んでください」
「後悔は……しない!」
「……んん?」
麻痺した手足を無理矢理動かし、何とか体を起こす。最後に残った視力を頼りに雀に近づくポルーションを睨み、この不利な状況に全力で抗った。
「友の為に、そして……雀の為に今俺はここにいる!後悔なんてものはここには存在しない!」
「じゃあそんな気持ちを抱いて死んで下さい」
「ああ……だが、せめてもの反逆はさせて貰うぞ」
鉛のように重い手で1枚のカードを手に取り、最後の力を振り絞り、声を上げた。
「来いっ!!イグニッション!雀を……頼むぞっ!!」
もうほとんど何も見えず、力さえも入らずに倒れた俺が最後に残ったのはイグニッション・ファルコンの咆哮だけだった。
イグニッションは4枚の羽を広げて雀を纏う黒い風に衝突し、そのまま貫こうとした。風はイグニッションを押し返そうと更に吹き荒れるが、イグニッションは負けじと更に鋼の翼を羽ばたかせ、黒い風を吹き飛ばそうとした。
「雀……!戻ってこい!」
「……空?」
俯いた雀は顔を上げ、同時にイグニッションが雀の出した黒い風を突き抜け、鳥籠のような空間を突き破り、元の青空とビル街が並ぶ広場に戻った。
開放的な空間に戻ったおかげで酸素濃度が元に戻ったが……俺の体はもう手遅れだった。
身体中の血管が破裂して血が流れ、目も見えなくなり、体も動かない、呼吸もしにくい。俺の体は壊れに壊れ、死神が俺の体に触れる寸前だった。
「空……?空っ!!」
俺の残酷な光景を見た雀は顔色を青ざめながら俺の元に走っている様な気がした。耳元に足音が聞こえ、雀の声が耳元に近づいた。
「空!空!大丈夫!?」
「がはっ……かはっ……」
雀の声が聞こえるが、その雀の姿は見えなかった。もう網膜の血管が切れて失明してしまい、しかも身体中の血液も目元から血が流れでる感覚と、それ以外の感覚が頬に伝わった。
これは……涙か?雀の涙だ。
「ねぇ空……お願い!死なないでよ……ねぇっ!空っ!
」
俺だって死にたくない。だけどそう言えない所まで俺の体は死んでいた。せめて雀の顔が見たい願いも届かず、手探りで雀の場所を探し始めた。
おぼつかない右手で雀の手に触れ、これは雀の手と確信し、手の位置から雀の顔を予想し、そこに顔を向ける。
「無事……か?雀」
「空が大丈夫じゃないよ!待ってて、今病院に……」
「おっと、そうはさせませんよ」
傍にポルーションの声が聞こえ、雀の悲鳴が聞こえた。
雀の声が遠くなり、ポルーションに連れていかれているのだろう。
「流石ウェルシーさんが目を付けた人物だ。心の闇が深く、贄にはピッタリだ」
「贄……だと?」
ポルーションの意味深な言葉を繰り返し呟くが、そんな事なんてどうでも良い。とにかく雀を助けようと体を動かそうにも、助けたいという意思と体が思うように動かない相反した状態が憎くなり、それでも這いつくばって雀を追いかける。
「す……ず…め」
「空……!!」
「美しい愛情ですけど、空さんがあんな状態になったのは雀さん、貴方が原因なんですよ?」
「………えっ?私の……?」
「ち………が……」
騙されるな。お前は悪くない。そう言いたいが、言えない。言えないところまで来ていた。喉の奥から血反吐が吐き出され、最早呼吸すらもままならない。
何をしてるんだ、早く言え。雀に言葉をかけろ。
だが出たのは、声にならない声だった。
「がはっ……!」
「っ……空っ!」
「おやおや、苦しそうですね。貴方のせいで
もうポルーションが雀に何をされているのかも分からない。だが、ろくでもない事は本能で分かっていた。
(雀……ポルーションの言葉に耳を貸すな……!)
「私の……せいで」
「そう。あの時、貴方を慕っていた人を傷つけ、家族にも見放され、貴方はずっと1人孤独のまま……これからも、永遠にね」
「いやぁぁぁぁ!!言わないでっ!!」
「事実から目を背けないで下さい。貴方のやってきた事は大罪です。大切な人を信じられずに傷つけて、そうした結果貴方の周りには誰も居ない!!親も、友も、何もかも!」
「いや……もう、言わないで……」
雀の叫びから状況が把握出来ない。今雀はどうなっている。何も見えないこの目が憎い。何も言えないこの口が憎い。
動け、動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け
『そうだ。反逆の意志を貫け』
誰だ……?頭の中で誰かの声が響く。
その時、視界を失ったにも関わらず目の前には黒銀の四枚羽を広げたイグニッション・ファルコンが俺の前に佇んでいた。
「お前の声……なのか?」
『これは我らと共に戦った男の声を模した物だ。揺るぎない反逆の意志を持った男のな』
「反逆……だと?」
『そうだ。……空よ、反逆の意志を折るな。そうすれば、我々はお前に力を貸そう』
すると目の前にはリコンタスト・オーバーフローのカードが現れ、そのカードは眩い紫電を纏い、カードは生まれ変わろうとしていた。
『さぁ、手を取れ。反逆の意志を貫き、立ち塞がる敵を全てなぎ払え!』
「……何故ここまでする」
『貴様の中に同胞と同じ反逆の心を感じた。我らは、同胞の為にその身を削り、力を貸すだけだ。さぁ、立ち上がれ!我が同胞よ』
イグニッションの激励を力に立ち上がり、目の前に浮かぶカードを手に取る。リコンタスト・オーバーフローは新たなカードとして生まれ変わり、同時に俺の体の痛みが消え始め、視界も徐々に元に戻り始めた。
「あぁ、何度でも立ち上がってやる。俺の心は……折れはしない!!」
覚悟と共にイグニッションも高らかな咆哮をあげ、いつの間にか俺が見た別空間から現実へと戻っていた。
あれは夢だったのか……?いや、俺の手には生まれ変わったリコンタスト・オーバーフローがあり、夢とは思えなった。
だが、これだけは分かる。俺の当初の目的は達成した。後は……雀を連れ去ろうとしている奴を倒すだけだ。
「ポルーションっっ!!!!」
俺の叫び声にポルーションは信じられないと言った顔を浮かべていた。
「馬鹿なっ……何故!?」
「空っ!……良かった」
「心配かけたな、雀。……イグニッション!」
俺の呼びかけにイグニッションは応え、イグニッションはポルーションに向かって数機の羽の形を模したビットを飛ばし、ビットはポルーションだけに向かって斬りかかった。
「ちっ……!」
ポルーションはビットを避け続け、そのおかげで雀から手を離してくれた。このチャンスを逃す手はない。すかさず雀の側まで走り、手を伸ばした。
「手を伸ばせ!雀!」
「うん!」
雀の手をしっかり掴み、離さないように抱きしめる。
麻痺していた手足の感覚が元に戻り、雀の服の繊維、そして雀の顔もハッキリと見えていた。
涙でぐちゃぐちゃになって酷い姿だった。そんな雀の涙で溢れた目を人差し指で拭い、安心させるように精一杯の笑みを浮かべると、雀も
「何故だ……!お前の細胞はもうボロボロだったはず……それなのに何故だっ!!」
「さぁな……奇跡、魔法の力かもな」
「魔法……だと?」
花衣から聞いた事が確かなら、ポルーションは極度の魔法嫌いだ。魔法という言葉さえも嫌悪感を抱き、性格が豹変レベルに変わるらしい。
にわかには信じがたいが、ポルーションの血管が浮き出るほどの怒り顔を見ればその疑惑は確信に変わった。
「ははは……いやぁ〜魔法は素晴らしいですねぇ……なんでもかんでも奇跡を起こせてなぁぁ!!」
ポルーションの雰囲気がガラリと変わり、怒りに任せてポルーションは3枚の黒い影を纏ったカードを取り出し、それを向こうで倒れていた3人に向かって投げた。
黒いカードはそれぞれ3人の体の中に入ると、倒れていた3人は立ち上がり、その背後には黒い靄を纏っていた。
「さぁ、無事で居させましたから仕事はして下さいね。御三方さん」
3人は虚ろに首を頷き、3人の周りには闇を纏ったカードが浮かび上がり、それぞれの手の上に集約され、1つのデッキになった。
見た限りあの3人は生きてはいるが、様子がおかしい。無理やり動かされているのは目に見えて分かった。
「何をした」
「折角だから使えるもんを使えるようにしただけだ。今からこいつらと、平和的にデュエルをしてもらうぜ」
「デュエルだと……?何故だ」
「教える訳ねぇだろ。そんじゃあ、そいつらと遊んでな」
行動的には怒りに身を任せてはいるが、明確な意図は確かにある。
デュエルする事に何か意味があるのか……?だが、デュエルをやらないという手は無さそうだった。
ポルーションが指を鳴らすと、ドーム状に闇が広がり、先程とは別の空間に招かれてしまった。
どうやら……避けられないデュエルらしい。
「空!私も一緒に……」
「おっと、残念ながらアイツ1人でやらせて貰う」
ポルーションが指を鳴らすと、俺と雀の間に巨大な柵が地面から伸び、俺と雀を分断させた。
「その女の事は諦めますが、レゾンカード所持者は始末して置いた方が後々楽ですからね。それでは、また会いましょう。次があれば、今度は私が相手しましょう」
ポルーションは元の雰囲気に戻りつつも、目的を達成できなかった怒りをにじませながら黒い扉を出現させ、その扉をくぐってこの場から立ち去った。
状況的にこの先に待っているのは……3対1のデュエルだった。目の前にカードを置く台座が浮かび、どうやら早速始めるようだ。
「3対1なんて無理だよ!」
「心配するな。必ず勝つさ」
どんなに不利な状況だとしても、心を折る訳には行かない。それに、俺にはコイツらがいる。
鋼の意思をその翼に宿した頼りになる奴らがな。
「……行くぞ、レイドラプターズ!」
機械の鳥たちの雄叫びと共に、異様なデュエルが始まろうとしていた。
オリカをまとめた章が欲しい?
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欲しい!
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別に( *¯ ³¯*)