六花テーマを作って愛用したらそのまま俺への愛が重くなった件について   作:白だし茶漬け

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皆さんお久しぶりです。

この夏、人生の山場見たいな事がありましてこの小説の投稿が1ヶ月程遅れた事をまずは謝罪します。
お待たせしてしまい申し訳ございません。

長いことお待たせしてしまった為、今花衣君達が一体どのような状況に置かれているか、恐らくですが把握出来ていない等があると思いますので、近々章区切りの状況説明の話を投稿しようかと思います。

俗に言う設定集的な感じですね。



世壊の敵

 空気が重い。

 

 無意識に手が震える。

 

 命をかけたデュエルという、馬鹿げた物だが、これからも続いていく。これはその最初の1歩だ。

 

 死神と一緒にあの世に行く片道切符となるか、それともその死神を払い除けるか……結果は最後まで分からない。

 

 その分からないが恐怖へと繋がり、今にも逃げ出したい気持ちで溢れそうだ。

 

 だが逃げる訳には行かない。大事な人を守る為、そして友の為に、俺は敵を目の前に心を折る訳には行かない。

 

(恐れるな……立ち向かえ。立ち向かう心を折らすな)

 

 何度も自分に言い聞かせ、黒い柵の向こうにいる雀の姿を見る。雀は神に祈るように手を握り、俺の勝利を願っていた。

 

 推しにあれだけ思ってくれてるんだ。それだけで負けない理由になる。

 

 そんなデュエルの相手は名前の知らない3人だ。ポルーションによって意識を蘇らせ、3人の体には見るだけで危険信号が発せれる黒い闇を纏い、明らかに普通の人間では無い雰囲気を醸し出している。

 

「アンタを……タオス!!」

 

「悪いが倒される訳には行かない」

 

「タオス! タオス! 絶対にタオス!」

 

 壊れた機械の様に何度も倒すと繰り返し、最早会話は成り立たない状態だ。正気を取り戻す為には……やはりデュエルで勝つしか無いのだろうか? 

 

 情報は少ないがやるしかない。花衣の情報が確かなら、このデュエルは【闇のデュエル】という物には違いない。

 

 負けた奴に者は死。そしてデュエルのダメージが直接自分に向かってくるまさに命懸けのデュエル……最早カードゲームの域を超えているが、事実は事実だ。

 

 ……やるしかない。

 

 目の前に浮かんだ台座にデッキを置くと、カードが自動的にシャッフルされ、台座の周りに青い炎が浮かび上がった。

 

 逆に向こうの3人には炎が浮かんでおらず、恐らく先行という意味合いだろう。3対1に置いて先行は都合が良い。このアドバンテージを活かさない手は無い。

 

「いくぞ!」

 

「「デュエル!!」」

 

 機羽 空 vs 人形A 人形B 人形C

 

「俺のターン。俺は【RR-バニシング・レイニアス】を通常召喚」

 

 RRーバニシング・レイニアス

 レベル4/鳥獣族/闇属性/ATK1400/DEF1400

 

「……!? モンスターが実体化した!」

 

 ソリッドビジョンのARでは無い。あの本物の質感は間違いなく本物だ。花衣から話は聞いていたが、こうして目の当たりにすると少しの疑惑も消え失せた。

 

 目の前に意志を持った本物のモンスターが出て戸惑ったが、今はとにかくやれる事はやるだけだ。

 

「【バニシング・レイニアス】の効果発動。手札からレベル4の【RR】を特殊召喚する。俺は手札の……」

 

「手札から【ティアラメンツ・ハゥフニス】の効果発動!」

 

「ティアラメンツだと!?」

 

 女が俺のターンでティアラメンツカードを発動し、今起こり得る最悪な状況が頭を過ぎった。

 

 ティアラメンツとは、デュエルの界隈で危険視される程の強さを持つカテゴリーであり、その強さ故にティアラメンツの関連カードはほぼ制限カードという、なぜ作られたかも分からない程強力なカードだ。

 

 墓地に送られたカードによっては積みかね無い状況になり、止めたいのは山々だが手札にはアレを止める手立ては無かった。

 

「【ハゥフニス】の効果で特殊召喚し、デッキから3枚墓地に送る!」

 

 フィールドにハゥフニスが特殊召喚され、その後デッキから3枚のカードが墓地に送られた。チェーン処理によって次はバニシング・レイニアスの効果が発動するが、この後の展開を考えると、どれを出してもあまり状況は変わらない。だが出さなければ、この後の展開も出来ない。

 

「効果で俺は【トリビュート・レイニアス】を特殊召喚する」

 

「墓地の【ティアラメンツ・メイルゥ】の効果で、墓地の【沼地の魔神王】をデッキに戻して融合!」

 

 沼地の魔神王は融合素材になった時、融合モンスターカードにカード名が記された融合素材モンスター1体の代わりにできる。

 

 つまり……融合素材の肩代わりに出来るという事だ。例えそれが……使えない禁止カードだとしてもだ。

 

「【沼地の魔神王】を【ティアラメンツ・キトカロス】として融合召喚! 【ティアラメンツ・ルルカロス】を融合召喚!」

 

 ティアラメンツ・ルルカロス

 レベル8/融合/水族/闇属性/ATK3000/DEF2500

 

 そこに現れたのは、黒い鎧身にまとった人形……ルルカロスだった。

 

「何だ? あの【ルルカロス】の姿は……」

 

 俺の知っているルルカロスとは少し見た目が違い、何やりも背後には禍々しい【何か】があった。その【何か】とは、この前出会ったウェルシーから発せられた物と同じ様なものを感じ取り、俺の細胞が無意識に恐怖で震えた。

 

「更に墓地に送られた【ティアラメンツ・シェイレーン】の効果発動! 墓地のこのカードと【レイノハート】とフィールドの【ティアラメンツ・ハゥフニス】をデッキに戻す事で融合召喚する!」

 

「くっ……!」

 

 しまった……最悪な状況が今ここで出来てしまった……! 

 

 レイノハートとの融合という事は……あれしかない。

 

「来なさい! 【ティアラメンツ・カレイドハート】!!」

 

 ティアラメンツ・カレイドハート

 レベル9/融合/悪魔族/闇属性/ATK3000/DEF3000

 

 フィールドに黒い水が溢れ、その水からカレイドハートが出没した。

 

 やはりカレイドハートも通常の雰囲気とは明らかに違っていた。まるで生気という物がかんじられず、操り人形という印象を受けた。

 

「【カレイドハート】の効果発動! 【トリビュート・レイニアス】をデッキに戻す!」

 

 カレイドハートからタコのような触手が伸び、トリビュートレイニアスの巻き取った。

 巻き取られたトリビュートは水の泡の様に消え去り、カードが意志を持つかのようにデッキに戻った。

 

 だが俺の手札にはまだ特殊召喚出来るモンスターは居るが……ルルカロスの効果は特殊召喚を無効にする効果がある。あれを発動されたらまた面倒な事が起こる。

 

 だが、それは特殊召喚されたらの場合だ。

 

「俺は手札から【絶神鳥シムルグ】を手札に見せ、効果発動。手札の【シムルグ】を召喚する。俺はさっき見せた【絶神鳥シムルグ】を召喚する」

 

「無駄! 【ルルカロス】の効果でむこ……」

 

「それこそ無駄だ。この効果は特殊召喚と扱わない。つまり、【ルルカロス】の効果は発動しない」

 

 言うなれば、追加の召喚権と言った感じだ。これの最たる例がふわんだりぃずという物だが、今はその説明は良いだろう。

 

 モンスターを増やす事は出来たが問題はこの後だ。俺がやりたい事はアルティメット・ファルコンを出す事だが、ルルカロスの効果で必ず特殊召喚は無効にされる。

 

 召喚時の効果が少ないRRに置いて、着地狩りはかなりの痛手だ。だが、この手札と盤面なら使わせた上である程度の盤面は完成する。とにかく、狙いを悟られないようにするのが一番の手だろう。

 

「まずは【絶神鳥シムルグ】の効果発動。デッキから【護身鳥シムルグ】を墓地に送り、フィールド魔法【神鳥の霊峰エルブルズ】を手札に加え、これを発動する」

 

 これで風属性かつ鳥獣族のモンスターをもう1体追加で召喚可能かつアドバンス召喚のリリースの数を1体少なく出来る。

 だが、その効果は使わない。

 

「魔法カード【翼の恩返し】発動。俺のフィールドに元々のカード名が異なる鳥獣族が2体以上存在する時、600ライフをコストに2枚ドローする」

 

 機羽 空 残りライフ8000→7400

 

「……! これが来たか。魔法カード【三戦の才】発動! その効果で、俺は【ティアラメンツ・ルルカロス】のコントロールを得る!」

 

 三戦の才とは、自分のターンに相手が効果を発動した時に使えるカードであり、2枚ドロー、相手の手札を見て捨てさせる、そして相手モンスターのコントロールを得る事が出来る。

 

 手札を見て捨てさせたとしても3対1のこの状況では大したアドバンテージにはならず、2枚ドローしてもこの状況ではリスキーだ。なら、気兼ねなく効果を発動するために相手モンスターのコントロールを奪った方が手っ取り早い。

 

 フィールドに武将が使っていたとされる軍配が浮かび上がり、赤い光がルルカロスに当たると、ルルカロスがこっちのフィールドに移動した。

 

「そして【絶神鳥シムルグ】と【バニシング・レイニアス】でリンク召喚。召喚条件【闇属性・鳥獣族モンスター2体】だ」

 

 上空にリンクマーカーが形成され、2体のモンスターがリンクマーカーに飛び出した。

 それぞれのモンスターが左下、右下に飛び、その矢印が赤く光り出し、リンクマーカーから銀色の翼を持った鳥が現れた。

 

「来い! リンク2【RR-ワイズ・ストリクス】!」

 

 RR-ワイズ・ストリクス

 リンク2/リンク/闇属性/鳥獣族/ATK1600

 

「【ワイズ・ストリクス】がL召喚された場合、デッキからレベル4・闇属性・鳥獣族モンスターを特殊召喚する。俺は【RR-ミミクリー・レイニアス】を特殊召喚する」

 

 この効果で特殊召喚したモンスターはリンク素材には出来ない。だが、翼の恩返しで来たこのカードを組み合わせれば、簡単に次に繋げられる。

 

「手札の【RR-ストリング・レイニアス】は自分フィールドに闇属性・鳥獣族モンスターが存在する時、手札から特殊召喚できる」

 

 これでレベル4のモンスターが2体……手札の伏せカードも充分。

 

「俺は【ミミクリー・レイニアス】と【ストリング・レイニアス】でランク4【RR-フォース・ストリクス】をエクシーズ召喚!」

 

 RR-フォース・ストリクス

 ランク4/エクシーズ/闇属性/鳥獣族/ATK500/DEF2000

 

「【フォース・ストリクス】の効果発動。エクシーズ素材を取り除き、俺はデッキからの【ラスト・ストリクス】を手札に加える。そして俺の【RR】Xモンスターが効果を発動した時、【ワイズ・ストリクス】の効果でデッキから【RUM-ファントム・フォース】をセットする」

 

 これで準備は整った。墓地のカードも十分に集まり、コントロールを奪ったルルカロスとワイズ・ストリクスでリンクマーカー3体分だ。コントロールを奪ったからには、有効に扱わせて貰う。

 

「俺は【ワイズ・ストリクス】と【ティアラメンツ・ルルカロス】でリンク召喚! 召喚条件は【闇属性モンスター含むモンスター2体以上】!」

 

 ワイズ・ストリクスが出たマーカーと同じ物が今度は地面に現れ、2体のモンスターがそのマーカーへと吸い込まれる。

 

 そこから朽ちた鎧と片手斧が現れ、そこから青い魂が鎧に乗り移り、朽ちていた鎧にまるで人が入ってるかのように手足が生まれ、モンスターとなった。

 

「こい! 【ラスティ・バルディッシュ】!」

 

 幻影騎士団ラスティ・バルディッシュ

 リンク3/闇属性/戦士族/ATK2300

 

「【バルディッシュ】の効果発動。デッキから【レイダーズ・ウィング】を墓地に送り、デッキから永続罠【幻影霧剣】をセットする」

 

 この永続罠と、あのモンスターを特殊召喚すれば……上手くいけばもうあの3人は俺を攻撃出来ない。その為には、ラスティ・バルディッシュがフィールドに居てはいけない。

 

 本物のモンスターを目の当たりにしたせいで少々罪悪感があるが、もうラスティ・バルディッシュの役目は終わっている。

 

「……すまないな。魔法カード【リンク・バースト】発動! 俺の【ラスティ・バルディッシュ】と【ティアラメンツ・カレイドハート】を対象にし、そのカードを破壊する」

 

 バルディッシュがカレイドハートに飛びかかったが、カレイドハートの触手がバルディッシュの鎧を貫き、貫かれたバルディッシュの炎は消えかかったが、怨念の青い炎が触手へと伝わり、カレイドハートを燃やした。

 

 ……だが、カレイドハートは青い炎を振り払い、フィールドに残った。

 

「【カレイドハート】が効果で墓地に送られた時、墓地から特殊召喚して、デッキから【ティアラメンツ】カードをデッキから【壱世壊に奏でる哀唱】を墓地に送り、効果で【ティアラメンツ・ハフニゥス】を手札に加える」

 

「……【リンク・バースト】の効果で、カードを1枚ドローし、セットしている【RUM-ファントム・フォース】を発動。墓地の闇属性モンスターを除外する事で、除外した枚数と同じランクが上のXモンスターを特殊召喚する」

 

 フォースストリクスのランクは4。墓地のモンスターを6枚除外する事でランクが6つ上、つまりランク10のXモンスターがいきなり召喚出来る訳だ。

 

 フォースストリクスが黒い空に向かって高く飛び、黒い空から別のモンスターが入れ替わるようにしてフィールドに降り立った。

 

「来い! ランク10【RR-アルティメット・ファルコン】!」

 

 RR-アルティメット・ファルコン

 ランク10/エクシーズ/闇属性/鳥獣族/ATK3500/DEF2000

 

「ターンエンドだ。そしてエンドフェイズ時、モンスターの攻撃力は1000ダウンさせ、モンスターがいない奴には1000ポイントのダメージを受けてもらうぞ」

 

 ティアラメンツ・カレイドハート ATK3000→2000

 

 人形B、C 8000→7000

 

 1ターン目終了

 

 人形A    人形B   人形C

 ライフ:8000 ライフ:7000 ライフ:7000

 手札:4    手札:5    手札:5

 □□□□□   □□□□□   □□□□□

 □□③□□   □□□□□   □□□□□

 □ □ □ □ □ □

  □□①□□

  □□②□□

 空     

 ライフ:7400 

  手札:3  

 

 ①:RR-アルティメット・ファルコン

 ②:伏せカード

 

 ③:ティアラメンツ・カレイドハート

 

 3対1という状況にも関わらず、ハンディキャップも無い状況だが、何とかアルティメット・ファルコンまでは辿り着けた。ここでの勝ち筋は、とにかく数を減らす事だ。

 

 となれば、俺が最初に倒すべきは右の奴からだ。アルティメット・ファルコンの効果で、あいつのターンにはライフが6000まで減少するのは確定だ。そこから徐々に切り詰めれば……正気はある。

 

「私のターン、ドロー。うげ、ゴミじゃん。【死者蘇生】発動。【ルルカロス】を特殊召喚。そんでカードを1枚伏せて、【カレイドハート】を守備にしてエンド」

 

「エンドフェィズ時にまた追い討ちさせて貰うぞ」

 

 2ターン目終了

 

 人形B.C残りライフ7000→6000

 

 人形A    人形B   人形C

 ライフ:8000 ライフ:6000 ライフ:6000

 手札:4    手札:5    手札:5

 □□⑤□□   □□□□□   □□□□□

 □□③④□   □□□□□   □□□□□

  □ □ □ □ □ □

  □□①□□

  □□②□□

  空     

  ライフ:7400 

  手札:3  

 

 ①:RR-アルティメット・ファルコン

 ②:伏せカード

 

 ③:ティアラメンツ・カレイドハート(守備表示)

 ④:ティアラメンツ・ルルカロス(守備表示)

 ⑤:伏せカード

 

「オレのターン! 自分フィールドにモンスターがいない時、【クシャトリラ・ユニコーン】を特殊召喚! 召喚時効果でデッキから【クシャトリラ・バース】を手札に加える!」

 

 クシャトリラ・ユニコーン

 レベル7/風属性/サイキック族/ATK2700/DEF1800

 

「今度は【クシャトリラ】か……」

 

 クシャトリラ……レベル7のモンスターを軸としたテーマだが、恐るべきはその除去能力だ。

 攻撃や相手が効果を発動した時、相手のカードを裏側除外するというとんでもない能力をほとんどのモンスターが有しており、更にはフィールドのゾーン……つまり、魔法や罠を置く場所やモンスターを置く場所を封鎖するモンスターもいる。

 

 しかも、あのクシャトリラ・ユニコーンは攻撃宣言時に相手のエクストラデッキを確認し、裏側除外する効果がある。ここで効果を発動させてしまえば、イグニッション・ファルコンを失う事になる。

 

「コイツで攻撃すれば、お前のレゾンカードはおさらばさ! このままバトルだぁ!」

 

「バトルフェイズ前に罠を発動させてもらう。永続罠【幻影霧剣(ファントム・フォッグ・ブレード)】を、【アルティメット・ファルコン】を対象にして発動する」

 

「はぁ? そのモンスターって他のカード効果を受けないんだろ? 発動しても無駄だよな? もしかして、怖くて頭がおかしくなったのかぁ〜?」

 

「やめなってwそこまでに……」

 

「笑うのは良いが、これでお前達は俺に攻撃は出来ないぞ」

 

「はぁ?」

 

 確かに、アルティメット・ファルコン自体にはこの永続罠の効果は受けない。

 

 よってアルティメット・ファルコンに対しての効果は無効になる。……それ以外の効果は有効になるけどな。

 

 黒い霧を纏った剣がアルティメット・ファルコンを包むようにして空を切り裂くと、フィールドのアルティメット・ファルコンはその霧の中へと消え、相手のモンスター達は霧の中に隠れたアルティメット・ファルコンを見失った。

 

「は、はぁ!? なんで攻撃出来ないんだ!?」

 

「【幻影霧剣(ファントム・フォッグ・ブレード)】の攻撃対象にする事が出来ない効果は、自分のモンスターでは無く相手に対して働きかける効果だ。つまり、お前達はもう【アルティメット・ファルコン】に攻撃する事は出来ない」

 

「クソっ!」

 

 さっきの女と言い、こいつも妙にカードを使いこなせていない感じがある。

 

 もしかしたら、あいつら自体のデュエルの腕は大した事無いのかも知れない。

 

 使っているカードは強力だが、最大盤面がまだ組みなれていない技量だとすれば……チャンスはある。

 

「何じっと見てんだよ気持ちわりぃ! あぁクソっ! メインフェイズ2で【スケアクロー・クシャトリラ】を手札から特殊召喚!」

 

 スケアクロー・クシャトリラ

 レベル7/地属性/サイキック族/ATK0/DEF2300

 

「レベル7のモンスターが2体か……」

 

 クシャトリラはエクシーズテーマだ。テーマ内で1体除いてモンスターはレベル7で統一されている。

 つまり、ランク7のエクシーズモンスターがかなり容易に出せるという事だ。……しかもランク7のエクシーズモンスターには、クシャトリラの様な【No】モンスターが存在する。

 

「レベル7の【クシャトリラ・ユニコーン】に【スケアクロー・クシャトリラ】でエクシーズ召喚!」

 

 2体のモンスターが黒い光の穴に飛び込み、穴から赤いキューブが波のように集まり、徐々に角の生えた獣へと変わっていった。

 

「俺はランク7【No.89電脳獣ディアブロシス】を召喚!」

 

 No.89電脳獣ディアブロシス

 ランク7/闇属性/サイキック族/ATK2700/DEF1200

 

「【ディアブロシス】の効果発動! 素材を1つ取り除き、相手のEXデッキのモンスター1枚を裏側除外する!」

 

「そんなっ! じゃあ空のレゾンカードは……」

 

「お前のレゾンカード【RRR-リノベイル・イグニッション・ファルコン】を裏側除外する!」

 

 ディアブロシスの赤い手がEXデッキにあるイグニッション・ファルコンをカードを握り潰すようにし、これでイグニッション・ファルコンを使う事が絶望的になってしまった。

 

 レゾンカードだけが俺のデッキの全てでは無い……と言いたいが、この状態はかなり分が悪い。

 

 だが、使えなくなった訳じゃない。

 

 こういう除去対策の為に、俺のデッキには裏側除外のカードを墓地に戻すカードが存在する。

 それを引き込めるかどうかは、俺次第だが……

 

「まだだ! 更に永続魔法【クシャトリヤ・バース】を発動し、レベル7の【クシャトリヤ・オーガ】をリリース無しで召喚! そして【クシャトリヤ=ライズハート】を手札から特殊召喚!」

 

 ライズハートのレベルは4だが、レベルが4から7になる効果がある。狙っているのはランク7のクシャトリヤ・シャングリラなのか……? 

 

 いや、違う。ここでシャングリラを出しても大して厄介にはならない。それにクシャトリヤ・バースを使えば、直ぐにレベル7が三体用意出来る。

 

「……まさか」

 

「【クシャトリヤ・バース】の効果発動! 墓地から【ディアブロシス】の効果で墓地に送った【クシャトリヤ・ユニコーン】を特殊召喚!」

 

「これで場にレベル7のモンスターが3体……!」

 

「【ライズハート】【オーガ】【ユニコーン】の3体でエクシーズ召喚だぁ!」

 

 ライズハートを中心に赤黒の閃光がオーガとユニコーンを貫き、2体のモンスターの赤い装甲が分離した。

 

 分離した装甲がライズハートを包み込み、更に閃光の衝撃で開けた穴からまた新たな装甲が鎧や翼となり赤い装甲が黒く変貌した。

 

「来いっ! 【クシャトリヤ・アライズハート】ォォ!」

 

 クシャトリヤ・アライズハート

 ランク7/エクシーズ/闇属性/機械族/ATK3000/DEF3000

 

「何だ……あのモンスター!?」

 

 明らかに俺の知っているアライズハートじゃない。だがステータスは間違いなくアライズハートそのものだが、見た目や様子は全くの違和感があった。

 

 まるで、存在そのものが感じられない『虚無』……いや、それすらも飲み込む『虚空』を感じさせた。

 

「【アライズハート】の効果発動! エクシーズ素材を3つ取り除き、その邪魔な罠を裏側除外する!」

 

 アライズハートが黒い剣で霧を一閃に切り裂き、アルティメット・ファルコンの姿が現れてしまった。

 

 これでアルティメット・ファルコンは攻撃対象に選ばれる事になってしまい、状況は嫌な方向に傾きつつあった。

 

「【アライズハート】の効果で裏側除外のカードをエクシーズ素材にする。さーて、どれがエクシーズ素材になるかな?」

 

 2枚の裏側除外のカードの内、1枚がアライズハートに吸収された。

 

 吸収される際、鳥のようなシルエットが浮かび上がった瞬間、エクシーズ素材にされたカードがイグニッション・ファルコンだと知ったその時、希望が潰えた音がした。

 

「俺はカードを1枚伏せてターンエンドだ!」

 

「……エンドフェイズ時、【アルティメット・ファルコン】の効果発動! モンスターの攻撃力を1000下げ、モンスターが居ない奴には1000のダメージだ」

 

 3ターン目終了

 

 人形A    人形B   人形C

 ライフ:8000 ライフ:7000 ライフ:6000

 手札:4    手札:1    手札:5

 □□⑤□□   □□⑧⑨□   □□□□□

 □□③④□   □⑥⑦□□   □□□□□

  □ □ □ □ □ □

  □□①□□

  □□□□□

  空     

  ライフ:7600 

  手札:3  

 

 ①:RR-アルティメット・ファルコン

 

 ③:ティアラメンツ・カレイドハート(守備表示)

 ④:ティアラメンツ・ルルカロス(守備表示)

 ⑤:伏せカード

 

 ⑥:No.89 電脳獣ディアブロシス(守備表示)

 ⑦:クシャトリヤ・アライズハート(守備表示)

 ⑧:クシャトリヤ・バース

⑨:伏せカード

 

「うぅ……まさかレゾンカードがX素材になるなんて……」

 

「心配するな」

 

 まるで自分の事の様に心配する雀を安心させるように、俺は嘘をついた。正直、ティアラメンツ、クシャトリラを同時に相手するのもキツく、まだ1人残っている現実から逃げ出したくなる。

 

 だが、弱みを雀に見せる訳にはいかない。今1番怖がって、味方になれるのは俺しかいないんだ。雀の為にも、負ける訳には行かない。

 

「うっわキモっ。コイツ人殺しの女を守ろうとしてるよ」

 

「じゃあこいつも犯罪者じゃん。犯罪者予備軍w」

 

 3人は笑って向こうにいる雀の事を見て笑い、雀はその目を合わせないようにした。

 

「空、私……」

 

「アイツらが何を言っても俺はお前を信じてる。ろくでもない奴らの言うことを信じるのは無理だからな」

 

「うわ、名誉毀損だこれ。俺らが勝ったら慰謝料上乗せな。オレのターン、ドロー」

 

「何が名誉毀損だ」

 

「怖い顔すんなよ。俺は【マナドゥム・リウムハート】を召喚」

 

 マナドゥム・リウムハート

 レベル4/光属性/戦士族/ATK1500/DEF2100

 

「【マナドゥム】……やはり世壊シリーズか」

 

 世壊シリーズとはヴィサス・フロストというモンスターを中心に展開しているシリーズであり、【スケアクロー】【ティアラメンツ】【クシャトリラ】【マナドゥム】が該当する。それぞれが特出した強みがあり、かなり強力なモンスターが多い。

 

【スケアクロー】はリンク。【ティアラメンツ】は融合。【クシャトリラ】はエクシーズ、そして【マナドゥム】はシンクロ……このシリーズの中で最も展開力のあるテーマだ。

 

 そして何故か他の汎用シンクロモンスターを容易に特殊召喚出来るテーマでもある。どうして召喚するモンスターの制限を付けなかったんだ全く……おかげで、この状況を打開されてしまう羽目になる。

 

「【リウムハート】の召喚時効果でデッキから【伍世壊摘心(マナドゥム・アブシション)】を手札に加える。次に【マナドゥム・ミーク】を手札から特殊召喚する」

 

 フィールドに桜の木が現れ、その枝から黄金の玉が育ち、その中に真珠を持った半魚人型の小人と河原の様なものがいた。

 

 だが、徐々にその河原の水は黒く濁り、真珠も黒く染って黄金に実った玉も黒く濁り、別の姿へと変貌した。

 

 やはり例外無くあっちが使っているモンスター全てが通常とは違う姿に変貌している……。だが効果等は変わってなく、あくまで見た目しか変わってないがモンスター達は苦痛の表情を浮かべている。

 

「更に【伍世壊摘心(マナドゥム・アブシション)】を発動。【ミーク】を破壊して、フィールド魔法【伍世壊=カラリウム】を加えて、発動!【ミーク】が破壊されたから、もう一度デッキから【マナドゥム・ミーク】を特殊召喚!」

 

「まずいな……」

 

「【カラリウム】の効果で【マナドゥム・トリッド】を手札に加え、こいつを特殊召喚!」

 

 マナドゥムは特定のモンスターがフィールドにいれば手札から特殊召喚出来るテーマだ。

 

 これだけでも十分な展開力が望めるが、ここからがマナドゥムの本領発揮だ。

 

「更に【トリッド】を破壊し、手札の【ヴィサス=スタフロスト】を特殊召喚!」

 

「とうとう来たか」

 

 あのモンスターこそ、世壊シリーズの中心モンスター、【ヴィサス=スタフロスト】。だが、例外に漏れず様子がおかしい。

 

 フィールドに現れた瞬間黒い鎖に縛られ、徐々に体が黒く染まり、ヴィサスはそれを拒んでいた。

 だがその抵抗は虚しく、体は闇に支配された。

 

「モンスターの意思さえも意のまま……これがセブン・エクリプスの力か」

 

「何ごちゃごちゃ言ってんだ! 俺のターンは終わらない! 【トリッド】が破壊されたことで、デッキから【マナドゥム・ヒアレス】を特殊召喚し、【ヴィサス=スタフロスト】と【マナドゥム・ミーク】でシンクロ召喚!」

 

 ミークの実が桜の木からヴィサスに落ちると、ヴィサスは黒い光を纏い、ヴィサスの姿が変わっていった。

 

 右手には黒い大剣を持ち、左手は宇宙と思わせるような腕へと変わり、黒色に染まる鎧を身にまとい、虚ろな目で俺に敵意を向け、その姿はやはり俺の知っている物とは違った。

 

「シンクロ召喚! レベル8【ヴィサス=アムリターラ】!」

 

 ヴィサス=アムリターラ

 レベル8/シンクロ/チューナー/光属性/戦士族/ATK2500/DEF2100

 

「【アムリターラ】をS召喚した時、デッキから伍世壊浄心(マナドゥム・リフレーミング)を手札に加える」

 

 あのカードは確か、モンスター・魔法・罠の効果を無効に出来るカウンター罠だ。ここに来てあれが来るのはキツイな……

 

「更に! 【アムリターラ】は【ヴィサス=フロスタスト】として扱う為、手札から2枚目の【マナドゥム・ヒアレス】を特殊召喚し、【アムリターラ】の効果で破壊!」

 

「えぇ!? 自分のモンスターを破壊……!?」

 

 いや、逆にこれで良い。【マナドゥム】の共通効果は2つある。1つは特定のモンスターが存在する場合手札から特殊召喚できる効果。そしてもう1つは、戦闘や効果で破壊された際に特殊召喚出来る効果がある。

 

 そして今破壊したモンスターには、同名カードをデッキから特殊召喚出来る他に、もうひとつ効果がある。

 

「破壊された【ヒアレス】の効果で同名モンスターを特殊召喚し、このターン俺のSモンスターの攻撃力は500アップする。そして【アムリターラ】の効果で更に800アップだ!」

 

「くっ……!」

 

「行くぞ! 【アムリターラ】と【ヒアレス】でシンクロし、【フルール・ド・バロネス】をシンクロ召喚!」

 

 汎用シンクロの代名詞とも言えるバロネスも現れ、例に漏れず鎧が黒く染まり、全く別のモンスターへと変わっていった。

 

「これで終わりだと思うなよ? 魔法カード【死者蘇生】を発動して【アムリターラ】を蘇生し、そして【ミーク】と【アムリターラ】でシンクロだぁ!」

 

 またしてもシンクロ召喚……しかも今度のレベルも10であり、強力なモンスターだと言うことは間違い無かった。

 

 暗闇の光が広がり、その暗闇を突き抜けるかのようにフィールドに黒い鎧に赤いエネルギーが漏れ出ているモンスターだった。

 

「あれは……【マナドゥム・プライムハート】か?」

 

 マナドゥム・プライムハート

 レベル10/シンクロ/光属性/天使族/ATK3000/DEF3000

 

『グッ……オオオ……』

 

 光属性らしかなぬプライムハートは頭を抱えて苦しさに拒んでおり、その姿は悲痛な物だった。

 やがてその抵抗は消え失せるようにプライムハートは力を失い、生気を失った立ち姿をした。

 

 可哀想という感情はあるが、その感傷に浸っている場合では無かった。

 

「バトル! まずは【バロネス】で【アルティメット・ファルコン】に攻撃だ!」

 

「えぇ!? 【アルティメット】の方が攻撃力が上……」

 

「いや違う! 【アムリターラ】と【ヒアレス】、そしてフィールド魔法【カラリウム】がある……」

 

 アムリターラとヒアレスの効果は……自身が発動した後の展開でも有効だ。つまり、これだけで攻撃力は1300アップし、カラリウムは自分フィールドと墓地のチューナー×100アップされる。

 

 今アイツの墓地のチューナーはミークが2体。トリッド、ヒアレス2体、ヴィサス、アムリターラで合計7体つまり、合わせると2000の上昇だ。

 

 フルール・ド・バロネス ATK3000→5000

 

 マナドゥム・プライムハート ATK3000→5000

 

 バロネスが黒い槍を【アルティメット・ファルコン】に向かって投げつけ、黒い槍は流星のようにアルティメット・ファルコンの体を突き抜け、アルティメット・ファルコンは爆発した。

 

 爆発の衝撃と熱が俺の所まで届き、熱で服が焦げ裂かれ、皮膚さえも焼き尽くす程だった。

 

「ぐっ……ダメージが実際の痛みに……!」

 

 機羽 空 残りライフ7600→6100

 

「まだだ! 【マナドゥム・プライムハート】でダイレクトアタック!!」

 

「くそっ……!」

 

 フィールドにカードは無く、これを止める手段は無い。プライムハートは拳に雷をまとい、自分向かって打ち付けた。

 

 雷は地面を這って俺の向かって走り、足元へとたどり着き、俺の全身を撃った。

 

「ガァァァァァァ!!!」

 

 機羽 空 残りライフ6100→1100

 

 全身が鈍器で思い切り殴られたかのような衝撃で全身という全身至る所に痛みが湧き上がり、さっき出していた声すらも上げられない程の苦痛が襲いかかる。

 

 声を上げたいのに出せず、苦しい感覚が続き、その苦しさで1秒が1分……いやそれ以上にも感じるほどだ。

 

 痛みのせいか目眩もして頭が動かない。今俺が分かるのは、痛みという情報だけとなり、いつの間にか地面に倒れている事すら気づけなかった。

 

「空……! 空! お願いっ! しっかりしてよっ!!」

 

 意思が朦朧とする中、誰かが泣く声がした。

 

 ……誰だ? 

 

 忘れてはならない筈なのに思い出せずにいた俺は、そのまま意識を失い、目の前の景色が暗闇へと閉じた。





RRvsティアラメンツクシャトリヤマナドゥムってどうやって勝つんやこれ(絶望)

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