六花テーマを作って愛用したらそのまま俺への愛が重くなった件について   作:白だし茶漬け

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今回から花衣君のライバルである星空彼方編となります。

振り返りとして彼方の人物像は、クール系、シスコン、作中でデュエルが最も強いという設定ですが、皆さんはどのような印象を持っていますか?

そして今回、何と皆さんが知るあの男が登場するとか……!?


人は彼をナンバーズハンターと呼んだ

 

「久しぶりだな、この広場も」

 

 夏の暑い陽射しに、セミの合唱が歌う中、妹の天音と一緒にやって来たのは街のとある広場だった。広場と言うより、丘と言っても良いだろ。

 

 この場所は知る人ぞ知る天体観測スポットの広場であり、近くには巨大な望遠鏡が設置されている施設もある。

 

 久しぶりの広場に来て天音は相変わらず小さな精霊達を呼び出しては一緒に遊び、はしゃいでいた。

 

 天音には精霊を呼び出す力が備わっており、中でもクリボー系統がお気に入りだった。現に天音の周りには様々なクリボーが周りに浮き、他の誰かが見たら自分の目を疑う事だろう。

 

「さて、ここに来たのは良いが……」

 

 何も星を見る為や懐かしむ為にここに来た訳じゃ無い。

 

 俺がここに来た目的は、レゾンカードの真の力を解放させる為だ。

 

 レゾンカードと聞くと一般人は選ばれた決闘者しか持つことが出来る究極のレアカードという認識だが、レゾンカードには本来の役目というものがあった。

 

 それは……ダークネスに対抗するというものだ。

 

 ダークネスとは、遊戯王GXにて最後の敵として遊城十代の前に現れたラスボスだ。フィールド魔法【ダークネス】と5つの永続魔法を用いた戦法で十代を苦しめ、最終的には破れたのだが……その存在自体は消えてはいない。

 

 闇がある限り不滅と言っていたからな……倒す事はほぼ無理なのだろう。そんなダークネスが復活し、花衣君がその依代らしい。

 

 その為、レゾンカードには花衣君を倒す力もあり、俺や花衣君の友人である焔君と空君に渡っているのも頷ける。

 

「ダークネスの依代か……」

 

 そもそもそれ自体が嘘らしいけどな。最もらしい事を言って花衣君を真実に遠ざけるのは果たして最善なのか分からないが、この事実を花衣君には言えないという点は同感だ。

 

 この事実は花衣君にとってはあまりにも残酷であり、存在そのものの否定に繋がるかもしれない。花衣君の為にも、真実に辿り着く前にダークネスやそれを支持する奴を倒す為に、レゾンカードの解放は急ぐべき案件だ。

 

 そもそも、俺や焔君、空君が1週間以内にレゾンカードの真の力を解放しなければ花衣君は精霊達に連れていかれてしまうため、急ぐべきというか必須の案件だ。

 

 焔君と空君の2人は上手くやっているのだろうか……俺はと言うとあれからもう4日経ち、未だにレゾンカードの反応は無い。何が足りないんだ? 

 

 レゾンカードをかざして見ても、声をかけようとしても何も反応も無く、天音に頼んでみても結果は同じだった。

 

 俺が間違っているのかと思ったが、それは無い。間違いなくこの星雲の集いに描かれいる背景はこの広場だ。それは言い切れる。

 

「分からないことだらけだな」

 

 だがここで足踏みしている時間はもう無い。

 

 もう一度この辺りを歩き、レゾンカード解放の手がかりを探し出すしか無かった。

 

 茂みの奥や施設の中、ギャラクシーアイズが居た場所等くまなく探したがそれでも見つからず、苛立ちと焦りだけが生まれた。

 

 暑さで喉も乾き、ひとまず持ってきた水筒のお茶を飲み、喉を潤していく。

 

 お茶の冷たさが体の底から染み渡り、この一瞬だけ夏の暑さを忘れさせた。

 

「お前は何も教えてくれないのか?」

 

 愚痴るように俺は銀河眼の光子竜(ギャラクシーアイズ・フォトン・ドラゴン)のカードを手に取った。

 

 いつもならデフォルメされた体が出てきて俺と意思疎通を取ろうとするが、今回は何故かうんともすんとも言わなかった。

 

 お前と出会った所でもあるのに、薄情な奴だと心の中で吐き捨てた。

 

 その日は土砂降りの雨であり、妹の天音が何者かに連れ去られた日だった。

 

 雨の中必死に走り回り、天音を探し、ここに辿り着いた。そして雨に打たれないように体を張った銀河眼の光子竜(ギャラクシーアイズ・フォトン・ドラゴン)がいた。

 

 最初は目を疑った。遊戯王のモンスターがリアルに現れ、雨風に打たれていた光景は幻覚だと思った。

 

 だが、冷たい雨の感触と風が夢でも幻覚でも無いと分からされ、当時の俺は何がどうなっているのか分からなかった。

 

 驚きの他には恐怖があった。当時の俺は13……だろうか。まだ子供で、親を失い、目の前に俺の体の数十倍の大きさがある龍を目の前にして、情けなく泣き出しそうになった。

 

 やがて、銀河眼の光子竜(ギャラクシーアイズ・フォトン・ドラゴン)は俺を見つめると、カードとなって俺の手にやって来た。

 

 これが……俺と銀河眼の光子竜(ギャラクシーアイズ・フォトン・ドラゴン)との出会いだった。

 

 今思えばまるで仕組まれた様な出会いだ。一体誰がなんの為に俺とコイツを出会わせたのかは分からない。

 

 そしてこの広場は、俺が持っているあるカードと酷似している。それがもう1枚のレゾンカード【星雲の集い】だ。

 

 このカードは儀式魔法で俺のレゾンカードである【銀河心眼の光子竜(コズミックアイズ・フォトン・ドラゴン)】を召喚出来るカードだ。

 

 そこに描かれている背景の夜景と広場は、間違いなくこの広場で間違いなかった。偶然とは思えず、俺は天音と共にここに来た。

 

「ここに一体……何があるんだ?」

 

 それにまだ疑問がある。……何故ギャラクシーアイズなのだろうか。

 

 多くの人にとってギャラクシーアイズは何の変哲もない1枚のカードだが、俺にとっては少し意味のあるカードだ。

 

 と言っても、俺にとってギャラクシーアイズは唯一無二の主がいるという認識だ。その主はドラゴンを……ギャラクシーアイズはただの道具だとして扱っていたと言っていたが、そうは思えなかった。

 

 主とギャラクシーアイズは主の叫びに答えるように姿を変えたり、力を得て危機を乗り越えていた。それを画面越しに見ただけだったが、そこには確かな繋がりがあるようにも思えた。

 

 それが俺の手にあるというのは解釈違い……と言うのだろうか、花衣君の六花や閃刀姫達みたいに唯一無二の相棒と言えるものでは無かった。

 

「相棒……ね」

 

 俺が持っているカードで最も相棒と言えるカードはやはり、レゾンカードである銀河心眼(コズミックアイズ)だろう。

 

 銀河眼(ギャラクシーアイズ)とは似て非なる存在で俺だけしか持っていないモンスター……相棒と言うには充分すぎる逸材だ。

 

 だが……俺はコイツとまともに接していない。というより、反応が無いのだ。声をかけても、何をしても反応がない。

 

 俺に問題があるのか、それともコイツに問題があるのかは不明だが、この事からしても相棒というには微妙だった。

 

「花衣君みたいにはいかないな……」

 

 つかの間の休息を終え、遠くで遊んでいる天音を呼び出し、一緒に散策を再開しようとしたその時だった。

 

 俺の携帯から一通の着信音が鳴り響き、携帯を確認するとそこには機羽 空という名前があった。

 

「空君……?」

 

 何かあったのか、それともあっちもレゾンカード解放にかなり苦戦している為、天音の力でも借りようとしているのだろうか。

 

 いいタイミングかもしれない。こっちもこっちで収穫が0だったから、気晴らしや別の観点からの情報も欲しい所だった。空くんの観察眼は並外れているから、もしかしたらヒントを見つけてくれるかもしれないという期待をしながら連絡を受けようとした直後、俺の携帯にノイズが走り、画面が固まってしまった。

 

 充電切れかと思ったがそんな訳がない。ここに来る前の充電残量はまだ余裕があった事は確認しているし、何よりさっきのノイズは通信障害と考えた方がいいだろう。

 

 嫌な予感が体を襲い、咄嗟に天音を庇うようにして周りを見渡す。周りには隠れられる木々も無ければ岩陰も無い。

 

 あるのは芝生だけだ。

 

 何故だろうか、たまたま通信障害が起きたとは考えられず、何か来るという確証の無い確信が不安を煽り、天音もそうなのか体を震わせた。

 

「お兄ちゃん……」

 

「大丈夫だ。絶対に離れるなよ」

 

 天音を手を握り、何時でもモンスターを呼び出す準備をしている最中、突如デッキから銀河眼の光子竜(ギャラクシーアイズ・フォトン・ドラゴン)のカード1枚がデッキから飛び出し、デフォルメされた姿を現した。

 

「お、おい! どうしたんだ!」

 

 しかし銀河眼の光子竜(ギャラクシーアイズ・フォトン・ドラゴン)は何も聞かずに広場の奥へと去っていき、顔を上げた瞬間、不安の正体がわかった。

 

「空や植物が……動いてない……!?」

 

 さっきまで泳いでいた雲は止まり、風の音も止み、近くの鳥も羽ばたこうとしている最中の動きで止まっていた。

 

「そうだ……! 天音はっ!?」

 

「お、お兄ちゃん。ここ……変。鳥さんも蝉さんも止まってるし、風も止まってる……怖いっ」

 

 さっきまでうるさく鳴いていた蝉の音も無くなり、そんな中で聴こえてきたのは口笛だった。訳が分からない現象に天音は怯えて俺の腕の中にしがみついた。

 

 軽快な口笛を拭きながら、前方に何か人影が見える。そしてこの口笛には聞き覚えがあった。

 

「時間が止まった中での口笛……まさか」

 

 いや、有り得ない。何故なら彼は空想上の……物語の人物の筈だ。だが俺の考えは、俺が今まで出会い、明らかになった事実を示し合わすと、その有り得ないという考えは砕け散った。

 

 そういえば、ダークネスもいるのなら、それに関与している人物……いや、このデュエルモンスターズに関わる物全ての人も居るのは考えてみれば理解出来る。

 

 口笛を鳴らした男はゆっくりと俺の前に立ち、声を上げた。

 

「人の心に澱む影を照らす眩き光、人は俺を……『ナンバーズハンター』と呼ぶ」

 

 声からして俺と同い年……だろうか。声にまだ若気があり、青く光るラインが特徴の黒いコートをなびかせていた。

 

 姿形は確かにカード化されている【ナンバーズハンター】そのものであり、顔をバイザーで隠してはいたが、さっきのフレーズと声で俺はアイツが誰だが分かっていた。

 

「お前がこの世界の銀河眼(ギャラクシーアイズ)使いか?」

 

「残念だが、この世界の銀河眼(ギャラクシーアイズ)は誰でも使えるカードだ。俺の他にもごまんといる」

 

「そうか。……だが、お前がこの世界の中で最も強い銀河眼(ギャラクシーアイズ)使いだ。コイツがそれを教えている」

 

 すると男はさっき俺から離れた銀河眼の光子竜(ギャラクシーアイズ・フォトン・ドラゴン)のカードを手に持っていた。

 

 男……いや、ナンバーズハンターはそのカードを俺に投げつけて返し、カードを受け取った。

 

「やはり……貴方は」

 

「余計な詮索は良いだろう。俺はある者からその女を連れて来るように言われている」

 

 ナンバーズハンターは天音の方に指を指した。

 

「何……? それは誰だ」

 

「答える必要は無い」

 

 ナンバーズハンターは右腕のデュエルディスクからアンカーを飛び立たせ、天音を捕まえようとしていた。

 

 天音を助ける為体を張ってアンカーから守ろうとした結果、俺の右腕がアンカーに捕まり、物凄い力で引っ張られ、天音から距離を離されてしまった。

 

 更に突如として別方向から何か空から鳥のような物が飛んでくるのが見えた。いや鳥は有り得ない。何故ならナンバーズハンターによって俺たち以外の時間は静止に近い状態にされている。ということはあの鳥は……つまり。

 

『モクヒョウ確認! 捉えるでありマス!』

 

「オービタル7かっ!?」

 

 白いロボットが高速で天音を捕まえ、天音はロボットに抱き抱えられ、そのままナンバーズハンターの元まで連れ去られてしまう。

 

「天音っ!!」

 

『カイt……いえ! ナンバーズハンター様! 目標は完了しました!』

 

「良くやった。これで心置き無くデュエルが出来る物だ。……奴にあれを渡せ」

 

『カシコマリ!』

 

 オービタル7が俺の方に顔を向けると、背中から2つの物体を射出した。物凄いスピードで物体が向かってくるが、数m手前の方で減速し、俺の元に来る頃には難なく受け止められる速度となった。

 

 渡されたのは白いデュエルディスクと片目のバイザーだった。

 

(これは……ZEXALタイプのデュエルディスクとDゲイザーか? やはりあの人は……)

 

「ただで目標達成はつまらないからな。この世界に来た以上、この世界で最強の銀河眼(ギャラクシーアイズ)使いの力を見定めてやる」

 

「俺が勝ったら、天音を解放すると約束するか?」

 

「あぁ。約束しよう」

 

「その言葉……信じるぞ」

 

 左腕にデュエルディスクを付け、右目にDゲイザーをはめると、自分の目で見える光景が変わりつつあった。

 周りの物は変わらないが、中にホログラムが浮かび上がり、今のデッキ状況や手札、墓地の枚数までもが記録されている数値が表示されていた。

 

「行くぞ! デュエルモード、フォトンチェンジ!」

 

 ナンバーズハンターがいきなり光り輝くと、黒いコートは白へと代わり、ナンバーズハンターもデュエルディスクを装着した。

 

 画面越しで何度も見た光景だが、まさか敵意を出して見るとは思わなかったな……

 

「狩らせてもらおう 貴様の魂を!!」

 

「悪いが狩られる訳には行かない。抵抗させて貰うぞ」

 

 空想上の人物と思われていた奴とのデュエル……その力は未知数だが、やるしかない。天音の為にも、そして花衣君や俺の為にも……負ける訳には行かない。

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