六花テーマを作って愛用したらそのまま俺への愛が重くなった件について   作:白だし茶漬け

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皆さん、新年明けましておめでとうございます。

今年で何とこの小説も4年目になり、多くの方に読まれ嬉しい限りです。

今年は社会人となり、更に更新頻度が遅くなるかもしれませんが、それでも最後までご愛読してくれたら嬉しい限りです。




新たな誘いの香り

 1ターン目終了

 

 機羽 空 残りLP7500

 手札:2 墓地:5 除外:3 デッキ:20

 

 ①②□□□

 □③□④□

 □ ⑤

 □□□□□

 □□□□□

 

 ①②:伏せカード

 ③:RR-アルティメット・ファルコン

 ④:RRR-リノベイル・イグニッション・ファルコン

 ⑤:RR-ワイズ・ストリクス

 

 機羽 空 残りLP7000

 手札:5 墓地:0 除外:0 デッキ:40

 

 空とのデュエル、1ターン目の先行で空はとんでもない妨害盤面を気づきあげていた。

 

 まずあの伏せカード3枚に、イグニッション・ファルコンによる相手モンスターの発動を無効にする効果。しかも、イグニッション・ファルコンは相手のカード効果を受けない効果があり、イグニッション・ファルコンの効果は必ず発動出来る事になる。

 

 しかも、発動の無効はフィールドだけじゃなく手札や墓地にも影響を及ぼし、言ってしまえばモンスター効果を主体とデッキはあのモンスター1体だけでその機能を停止してしまう。

 

 他のカード効果を受けないモンスターを除去する手段は限られている。ここは何としてもその為のカードを引くしかない。

 

「俺のターン、ドロー!」

 

「この瞬間、【イグニッション・ファルコン】の効果発動。相手ターンにX素材を1つ取り除き、このターン相手モンスターは効果を発動できない」

 

「早速使ってきたか……」

 

「これで花衣君のモンスターの効果発動は出来なくなったね」

 

「一応魔法や罠は使えるけどよぉ……どうすんだ?」

 

 イグニッション・ファルコンの効果が発動した事により、俺の手札にいるモンスターの効果は全て発動出来ず、下手に召喚する事も出来ない。

 

 何故なら、イグニッション・ファルコンの効果には攻撃可能なモンスターがいたら必ずイグニッション・ファルコンに攻撃しなければならない効果がある。

 

 しかも攻撃しなかった時、2000ポイントもダメージを与える事にもなり、かなり強力な効果だ。

 

 普通だったら即禁止行きのカードでインチキ効果も大概にして欲しい。

 

 だけど勝機はある。あのモンスターの効果は、発動を制限する効果だ。つまり、発動しない効果だったら問題なく使える。俺のデッキの中でそんな効果があるカードは数枚しか無い……だが、この手札だったらそこまで繋ぐ事が可能だ。

 

 だけど、まずは空の伏せカードをどうにかしなければならない。空がこのまま好き勝手魔法・罠が使える状態のままターンを渡す訳が無いと考えれば手札にあるこのカードを使うしかない。

 

「バトルフェイズに入って、終了宣言と同時にこの罠を発動する」

 

「このタイミングで発動する罠と言えばあれだな……」

 

「俺は罠カード【拮抗勝負】を発動! 俺の場にカードが無いとき、このカードはバトルフェイズ終了後手札から発動できる」

 

 後攻で制圧を盤面を捲る為にかなりの確率でデッキに組み込まれているカードの1つであるこのカードは、相手プレイヤーに対しての強制効果を持っている効果だ。

 

 ピックアップデュエルでこれを見た時、後攻になった際に使えると思ったが、今回役に立ちそうだ。

 

「それを通されると厄介だな。罠発動【RR-グロリアス・ブライト】。その効果は無効だ」

 

「うぐっ、使えたと思ったんだけどなぁ……」

 

「そして忘れるなよ。戦闘を行わずにバトルフェイズを終了したお前には、2000のダメージを与える」

 

 桜雪花衣 残りライフ7000→5000

 

 肩を透かして無効になった拮抗勝負を墓地に置きながらも、これで1妨害は使わせ、残りの妨害はあの伏せカードだ。

 

 モンスター効果が使えない訳だから、あれは魔法や罠の発動を無効にする妨害札だろうか。

 

 それでも今はあのカードに繋げるしかない。

 

「俺は魔法カード【三戦の才】を発動し、2枚ドローする!」

 

 このカードはメインフェイズ1でも使えたカードだが、空の伏せカードを警戒してあえてこのカードを使う判断をし、空の伏せカードや手札にこれを止めるカードは無さそうだ。

 

 つまり、空の手札や伏せカードには魔法カードを止められるカードは無いと言うことになる。これだけでも充分な情報だ。

 

「うぇっ!? それ入れてんのか、意外だなぁ……」

 

「だ、ダメだったか?」

 

 焔があまりにも意外そうな反応をしたのを見て入れなければ良かったと思ってしまったが、それを彼方さんが直ぐにフォローしてくれた。

 

「いや、先行向けのデッキで先行を取られた時、如何にして後攻で盤面を完成させられるかが鍵になるから、【拮抗勝負】や【三戦の才】の様な後攻捲りのカードは入れて置いて損は無いと思うよ」

 

「そうそう。寧ろ俺好みだぜ、後攻捲りカード」

 

「だが、入れすぎるとデッキ本来の動きが出来なくなるから注意しろ」

 

 対戦相手の空までもアドバイスをしてくれて、何だか俺を強くさせる為のデュエルになってしまっているような気がする。

 

 まぁ、現にこの中で一番弱いの俺だからなぁ……レゾンカード……と言うより、俺だけしか持っていないカードの枚数は多いけど、そのアドバンテージはこの中では全く意味を成さない。

 

 戦略、読み、経験、どれを取ってもこの3人には劣る。

 

 それでも俺には、この3人よりも負けていない物が確かにある。

 

 このデュエルを見ている精霊達に目を配り、3人に負けない物を胸に刻み、カードを2枚引く。

 

(……よし、来てくれた!)

 

 俺が負けていないもの……それは精霊との絆だ。これだけは、誰にも負けたくないし、負けられない! 

 

「俺は手札から魔法カード【アロマブレンド】を発動! 手札を1枚捨てて、デッキから【潤いの風】を表側でフィールドに置く!」

 

「アロマの新規カードか……」

 

「表側で永続罠を置くってヤバいな」

 

「手札に加える訳では無いから【灰流うらら】の効果を発動出来ないしね。しかも、あの魔法カードの効果はもう1つあったはずだ」

 

「その通り! 俺は【アロマブレンド】のもう1つの効果発動! 墓地のこのカードを除外し、手札、フィールドから融合召喚を行う!」

 

「更に融合か……」

 

「俺は手札の【アロマセラフィ-アンゼリカ】と【六花精スノードロップ】を素材に【アロマリリス-マグノリア】を融合召喚!」

 

 アロマリリス-マグノリア

 レベル8/融合/植物族/闇属性/ATK2600/DEF1800

 

「おお! 新しいアロマモンスターか!」

 

『はーい、呼ばれて登場しましたよ〜』

 

 アロマリリスーマグノリアを召喚したその時、カードから光が溢れ、その光の先から肩を出している黒とベージュが入り交じったノースリーブのドレスを身に纏い左手に独特な形状の杖を持つ気品あふれる女性が笑顔で現れ、俺たちは時間が止まったかのように固まった。

 

「………………ん?」

 

「は?」

 

「え?」

 

「……えぇ?」

 

 精霊を含むこの場にいる全員がいきなり現れた新たなアロマモンスター【アロマリリスーマグノリア】に目を向け、そのまま沈黙をしてしまう。

 

 まるで風のように爽やかでありながらも突風のような衝撃ですんなりとここにいるマグノリアは、まるでここにいるのは当然と思っている笑顔を浮かべていた。

 

「ま、マグノリア!?」

 

 最初に声を出したのはローズマリーであり、ローズマリーの声を聞いたマグノリアはローズマリーに抱きついた。

 

「わぁっ、ローズマリー! 会いたかったわ。んん〜相変わらず良い匂い〜!」

 

 マグノリアはローズマリーの髪や喉に鼻を近づかせてはローズマリーの匂いを堪能し、いきなり香りを嗅がれたローズマリーは恥ずかしさから顔を赤くしてハグから抜け出そうとしていたが、マグノリアは離さなかった。

 

「相変わらずね、マグノリア」

 

「あらマジョラム。貴方達ってこんな所にいたのね。探すの本当に苦労したんだから」

 

「色々あってね……でも、会えて何よりだわ……」

 

「ええ。それは本当に……」

 

(そっか、確かアロマ達が元々いた場所はウェルシーに……)

 

 ウェルシーによってアロマ達がいた庭や森は全て焼き尽くされてしまい、命からがらこの世界に来た事は花音から聞いている。どういった経緯でマグノリアがマジョラム達の元から離れたのか不明だが、とにかく再会出来て何よりだ。

 

 それに、よく見るとマグノリアの肩にはもう一人のアロマリリスが居た。そっちの方は、アンゼリカと何か話しているそうで、あっちもあっちで上手くやっていた。

 

「思わぬ再会だな……どうする? デュエルを中断するか?」

 

 確かに空の言う通り、思わぬ再会でマジョラム達も積もる話があると考え、俺と空はデュエルを中断しようとした所、マグノリア本人が俺と空の手を上から押し付けるように手を合わせた。

 

「良いのいいの〜続けて下さいな。それに、マジョラム達がそばにいる貴方の力が知りたいです。ふふふ……」

 

 何故かマグノリアが怪しい笑みを浮かべながら、俺の手を何故か優しく撫でた。それを見たティアドロップが血相を変えてマグノリアを突き放し、マグノリアに握られていた手をティアドロップが両手でしっかりと握り、離さないようにした。

 

 離さない手をティアドロップは自分に寄せているから手がティアドロップの谷間に挟まれ、手がティアドロップの胸の柔らかさと暖かさで支配されていたが、ティアドロップは気にも止めずにマグノリアに対して敵意を向けた。

 

「私の花衣様に何をしているのですか?」

 

 聞いた事ない声のトーンで近くにいる俺の方が怖くなってしまい、明らかな敵意を向けられているにも関わらず、マグノリアは表情を崩さず、寧ろこの状況を楽しんでいるようだった。

 

「あらあら? もしかして……この人の彼女さんかしら?」

 

「彼女? そんな軽い物ではありません。私と花衣様は運命の赤い糸よりも濃くて太い愛で結ばれた存在で、死でも分かたれない運命の存在です。貴方みたいな方が触れていい存在じゃありません」

 

 ティアドロップは見せつけるように俺を身体寄せ、俺の膝の上に乗って人前にも限らず体の境目が分からないほど密着した。

 

 やばい、胸とかモロに当たっているとか嫌でも意識がそっちに向いてしまい、ティアドロップのノースリーブのドレスは胸元の上半分が顕になっているから谷間が吸い寄せられるように目線が向けてしまうと、ティアドロップは俺の顔を胸に抱き寄せ、俺の顔は胸の谷間に吸い寄せられた。

 

 ティアドロップの張りがあって吸いつく人肌と柔らかさが……って言ってる場合じゃない。顔を埋められているから息がしづらく、本気で窒息しそうになった。足で離せと訴えてもティアドロップは話そうとせず、以前マグノリアを警戒しており、頼むからこっちに気を使ってくれ! 

 

「ちょっと! 私の花衣さんに何してるんですか! さっさと離して私に渡して下さい!」

 

 レイの足音が近づくとレイは俺の体を持ってティアドロップから引き離そうとするが、ティアドロップは譲らず俺を離さないようにした。

 

「あらあらあら? そちらも彼女さん? この人って随分と罪な男なのてずね〜ふふ、俄然興味が湧いちゃいました」

 

「貴方一体何なんですか? 花衣さんの事を目につけたのは良いと思いますが、貴方が立ち入る隙間もありません。さっさと消えて下さい」

 

「と言うより……花衣様が悪いのですよ? 私と夜を共にして、私の事を受け入れたのにも関わらず、ほかの女の手を握った時にどうして拒絶しなかったのですか? 何故ですか? 何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故??」

 

「いや、それはびっくりして固まっただけで……」

 

 こっちを言い分を聞いてもらうようとにかく話を聞いてもらうよう説得するが、この第一声が言い訳に聞こえたレイはテーブルを殴りつけ、その衝撃が風圧となって俺の手札を吹き飛ばし、ついでに俺の意志も吹き飛ばされた。

 

「言い訳なんて聞きたくありません。これはまた調教しないとダメですね」

 

「ちょ……!? いやいやいや今はデュエル中だからそれはまた後でというかなんというか」

 

「俺は別にサレンダーしてもいいぞ」

 

「お前なぁ!?」

 

 残った手札を空は纏め、本当にサレンダーでこのデュエルを終わらせるつもりだった。流石にこのまま終わらせるのは後味が悪いというか不完全燃焼だ。

 

「このデュエル終わったら後で構うから……うん、多分」

 

「「約束ですよ」」

 

 自分の首を絞める行為だがティアドロップとレイを落ち着かせるにはこれしかない。

 

 ティアドロップとレイが頬を赤らめながら俺に寄り添うように膝の上に乗ると、それに向こうで恨めしそうに見ている六花と閃刀姫達を端目で見てしまい、何も言えない圧が襲いかかる。

 

 俺の足は2つしか無いから許してくれと心の中で訴えるが、彼女たちにはそれが聞こえない。

 

 後々大変な事になるのは確定してちょっと軽率な行動に納会しそうになるも俺は空とのデュエルを再開し、空は片付けようとした手札を広げてデュエルを始めようとした。

 

「良いのか?」

 

「あ、あぁ……うん、まぁ大丈夫だ。いつもの事だから」

 

「お前いつもティアドロップ達と(自主規制)とか(自主規制)とかしてんのか!?」

 

「人前でそれを言うな焔!!」

 

「うるせぇ! 羨ましすぎんだろ!」

 

 このやり取りも何度目だろうか、羨みで歯ぎしりしている焔を無視してとにかくデュエルを進める。

 

 確か俺がマグノリアを融合召喚した所から中断したから、そのターンから始めた。

 

「とにかく……俺は手札から永続魔法【増草剤】を発動し、墓地の【スノードロップ】を特殊召喚する」

 

「【マグノリア】のレベルは8……モンスター効果が使えないのにここまで繋ぐか」

 

「花衣でレベル8が2体と言ったらな〜」

 

「あのモンスターしか居ないね」

 

 全員これから召喚するモンスターに目を向け、当の本人も自分が召喚されるのを確信したのか、エクストラデッキから自分のカードを抜き、枠淵が煌めくエクシーズモンスター、六花聖ティアドロップを渡してきた。

 

「どうぞ、私を召喚するのですよね」

 

「あぁ……ありがとう」

 

 ティアドロップからカードを受け取ろうとすると、さっきマグノリアに握られた手の温もりをかき消すかのようにティアドロップは俺が差し出した手を両手で握った後、六花聖ティアドロップのカードを渡した。

 

「これであの女の温もりは消えましたね」

 

 ティアドロップの冷たい眼差しをマグノリアが受けてはいたが、マグノリア本人はその冷たい眼差しをものともせずに佇み、寧ろ目が合うとマグノリアは不敵に笑い、ティアドロップは負けじと顔を俺の胸に寄せた。

 

「とにかく、俺は【マグノリア】と【スノードロップ】で【六花聖ティアドロップ】を召喚だ」

 

 六花聖ティアドロップ

 ランク8/エクシーズ/水属性/植物族/ATK2800/DEF2800

 

「そして更に【RUM-六花の誓い】発動!」

 

「引き込んでいたか……!」

 

 目には目を、歯には歯を、そしてランクアップにはランクアップだ。

 

 空のカードの様にいきなり高レベルのランクアップでは無くとも、このカードの発動に対して、相手はいかなる効果も発動出来ない効果がある。

 

 今俺の場にいるのはティアドロップのみ。これを使って、ティアドロップは更に進化する。

 

「行くぞ! 俺は【六花の誓い】で【ティアドロップ】のランクが2つ上の【六花聖華ティアドロップ】を召喚だ!」

 

 六花聖華ティアドロップ

 ランク10/エクシーズ/水属性/植物族/ATK3500/DEF3500

 

「【六花の誓い】によってエクシーズ召喚された【六花聖華ティアドロップ】は、召喚時に相手モンスター全ての効果を無効にしてリリースする!」

 

「それ発動しねぇ効果なのか!?」

 

「いや違う、よく見るとこれは……効果外テキストか?」

 

 効果外テキストとは、例えば『このカードはシンクロ素材に出来ない』『カードを墓地に送って発動する』等、何かしらの縛りや効果を発動する為のコストを要求する効果に対して書かれるテキストの事だ。

 

 この効果外テキストを持っているモンスターは、効果を無効にされたとしても、その効果外テキストは無効に出来ない特徴があるのだが……六花聖華ティアドロップの相手モンスター全リリースの効果にはそれが適用される。

 

 つまり、この効果はどんな事があっても無効に出来ないということだ。

 

「お前らの間に入れないという訳だな……だが、【アルティメット・ファルコン】にはそのリリースは通用しないぞ」

 

 空の言う通りだ。いくら効果を無効にしてリリースしたとしても、他のカード効果を受けないのならその効果も無意味だ。

 

 だが他のモンスターはリリースできる。空の3体のモンスターはリリースされ、空の場には2枚の伏せカードとアルティメット・ファルコンだけが残された。

 

「……【潤いの風】の効果でライフを500回復してターンエンドだ」

 

 1ターン目終了

 

 機羽 空 残りLP7500

 手札:2 墓地:6 除外:3 デッキ:20

 

 ①□□□□

 □④□□□

 □ □

 □□⑦□□

 □□⑧⑨□

 

 ①:伏せカード

 ④:RR-アルティメット・ファルコン

 

 ⑦:六花聖華ティアドロップ(守備表示)

 ⑧:潤いの風

 ⑨:増草剤

 

 桜雪 花衣 残りLP5500

 手札:0 墓地:3 除外:1 デッキ:38

 

 

「俺のターン、ドロー。【アルティメット・ファルコン】の効果発動。素材を1つ取り除き、相手モンスターの攻撃力を1000ポイントダウンさせ、相手はカードの効果を発動出来ない」

 

「今度は全てのカードもか……! その効果にチェーンして【潤いの風】の効果でライフを500回復する」

 

 六花聖華ティアドロップATK3500→2500

 

 桜雪花衣 残りライフ5500→6000

 

「これで気兼ねなく展開が出来るな」

 

 ダメだ、六花聖華ティアドロップのバトルフェイズを終了させる効果は発動する効果でこのターンのバトルを終了させる事はできない。

 

 一応ティアドロップを守備表示にはしたが……このライフで耐え切る事が出来るかと言えば微妙だ。空の手札は3枚……あの中に展開札があるかつ高ランクのエクシーズモンスターが出せるカードがあれば……負けるっ……! 

 

 手札をじっと見て展開ルートを考えている空を見て固唾を呑み、次のターンを渡してくれと願った。

 

「……このターンでトドメまでは行けそうにないな」

 

 その言葉に俺はホッと胸をなでおろし、次のターンが来る事に喜びを感じたが、相手は空だ。そう易々と次のターンなんて渡してくれる訳が無かった。

 

「手札の【ブルーム・レイニアス】の効果発動。自分フィールドに表側の鳥獣族モンスター以外のカードがない場合、このカードと手札の【RR-バニシング・レイニアス】を特殊召喚する」

 

 あれは確か前のターン予め空が手札に加えていた新しいカードか……それにしても新規カードによってかなり展開力が伸びたなRR……無表情なのは変わりないが心做しか空がウキウキしている様にも見える。

 

「……よし、これで行こう。永続魔法【RR-ルースト】を発動するが、まだ効果は使わない」

 

「今度は新しい永続魔法か……」

 

「そして俺は【アルティメット・ファルコン】と【ブルーム・レイニアス】でリンク召喚し、2枚目の【RR-ワイズ・ストリクス】をリンク召喚する」

 

「ここで【アルティメット・ファルコン】を手放すのか!?」

 

「空の奴、【ファイナル・フォートレス・ファルコン】を出してここで勝負決める気か?」

 

「いや無理だ。ここでそれを出しても合計ダメージは5200。ギリギリライフは残る。それに多分空君はそれを出せないんじゃないかな」

 

 彼方さんの言う通りだ。ティアドロップは守備表示で戦闘ダメージは与えられない。

 

 ファイナル・フォートレス・ファルコンの効果は覚えている。相手モンスターを戦闘で破壊した時、墓地のRRモンスターを除外する事でもう一度攻撃する事が出来る。

 

 ファイナル・フォートレス・ファルコンの攻撃力は3800。ワイズ・ストリクスと攻撃力を合わせても5200だから、俺のライフは300残る。

 

「だからこそお前を封殺させてもらう。【ワイズ・ストリクス】の効果でデッキからレベル4の【ミミクリー・レイニアス】を特殊召喚する」

 

「またエクシーズ召喚するつもりか……? だけどティアドロップの効果で……」

 

「忘れたのか? このターンお前は【アルティメット・ファルコン】の効果でカード効果を発動できない」

 

「あっ、忘れてた……」

 

「俺はレベル4のモンスター2体で【RR-フォース・ストリクス】を特殊召喚!」

 

 RR-フォース・ストリクス

 ランク4/エクシーズ/闇属性/鳥獣族/ATK500/DEF2000

 

「この瞬間永続魔法【RR-ルースト】の効果発動。俺のEXデッキから【RR】モンスターが特殊召喚された時、デッキから【RR】魔法・罠カードを手札に加える。俺は2枚目の速攻魔法【ЯRUM-レイド・ラプターズ・フォース】を加える」

 

「2枚目!?」

 

「更に【フォース・ストリクス】の効果発動。エクシーズ素材を1つ使う事で、デッキから【トリビュート・レイニアス】を手札に加える」

 

「効果を使ったという事は……」

 

「この瞬間【RR-ワイズ・ストリクス】の効果発動。【RR】Xモンスターが効果を発動した時、デッキから【RUM】をセットする。俺は【RUM-幻影騎士団ラウンチ】をセットする」

 

「あのカード……なるほど、徹底的に封殺する気満々だなぁ」

 

 空のセットカードを伏せた瞬間、彼方さんは苦笑いを浮かべた。どうやら何か恐ろしい事になるとは思うが、このターン何も出来ない。

 

 完全に空にペースを握られているのはまずい。次のターン何か突破手段が無ければ何も出来ず完全に負けてしまう。

 

「俺は墓地の魔法カード【RUMースキップフォース】の効果発動。墓地のこのカードと最初のターンに召喚した【ワイズ・ストリクス】を除外し、墓地のXモンスター【アーセナル・ファルコン】を特殊召喚する」

 

「だけどティアドロップの守備力には届かない!」

 

「このターンでケリを付けるつもりは無い。俺はカードを1枚伏せてターンエンドだ」

 

 3ターン目終了

 

 機羽 空 残りLP7500

 手札:1 墓地:7 除外:5 デッキ:15

 

 ①②③④□

 □⑤⑥□□

 □ ⑦

 □□⑧□□

 □□⑨⑩□

 

 ①②③:伏せカード

 ④:RR-ルースト

 ⑤:RR-フォース・ストリクス

 ⑥:RR-アーセナル・ファルコン

 ⑦:RR-ワイズ・ストリクス

 

 ⑧:六花聖華ティアドロップ(守備表示)

 ⑨:潤いの風

 ⑩:増草剤

 

 桜雪 花衣 残りLP5500

 手札:0 墓地:3 除外:1 デッキ:38

 

 

 このターン空はモンスターを特殊召喚しただけで目立った動きはしていない。だが、間違いなく俺のターンで動くはずだ。

 

 その証拠に、前のターンに伏せたあのカード2枚は速攻魔法……つまり、俺のターンで使える魔法カードだ。特に【ЯRUM-レイド・ラプターズ・フォース】は、数さえ揃えればどんなRRのXモンスターを出せる。あれを発動させてはダメだ。とにかく今はドローするしかない。

 

 手札は0……これにかけるしか無い。

 

「俺のターン!」

 

「この瞬間【RR-アーセナル・ファルコン】を対象に速攻魔法発動! 【RUM-幻影騎士団ラウンチ】!」

 

「そっちの速攻魔法を発動!?」

 

「あー……花衣君、もし君がこのデュエルに勝ちたければ、直ぐにティアドロップの効果を使った方が良いと思うよ」

 

「そうだぞー。あれを許したらお前またこのターンカード効果使えないぞー」

 

 彼方さんも焔もアーセナル・ファルコンの除去する事を強く勧めていた。しかも言葉とは裏腹に結構本気の目だ。ここは2人の意見に従おう。

 

「【六花聖華ティアドロップ】の効果発動! エクシーズ素材を1つ取り除き、相手モンスターをリリースする! 【アーセナル・ファルコン】をリリースし、その攻撃力を得ると同時に、自身の効果で500ポイント攻撃力が上がる!」

 

 六花聖華ティアドロップ ATK2500→5500

 

「対象を失った【RUM-幻影騎士団ラウンチ】の効果は不発になる」

 

「ええと……2人に言われて除去したんだけど……あのまま通してたらどうなっていたんだ?」

 

「それはこのカードが答えだ」

 

 空はEXデッキから1枚のカードを俺にみせた。そのカードの名前は【DDD双暁王カリ・ユガ】。RRとは全く関係ないカードで驚きはしたが、それよりもその効果が恐ろしかった。

 

「『このカード以外のフィールドのカードの効果は発動できず、無効化される』……? えーと、つまり?」

 

「墓地や手札から直接発動するカード以外のカード効果を無効化されて、終わりだね」

 

(あっっっっっぶな!!)

 

 彼方さんと焔のおかげで敗北確定の状況を紙一重で回避出来た事と、もしそうなってしまったらと考えてしまい、空の容赦ないデュエルに冷や汗をかいた。

 

 1ターン目にはモンスター効果を無効にし、3ターン目は全てのカード効果を無効、今度の俺のターンでも効果を無効って……相手にデュエルさせる気ないのかと思う程だ。

 

「にしてもエグイな空。花衣はまだ初心者で経験少ないんだから手加減してやれよ〜」

 

 焔が空にそう言ったが、空はそれを蹴るように首を横に振った。

 

「生憎だが俺は花衣の事をもう初心者と思ってはいない。それに、こうでもしないと俺が負けるからな」

 

「……そうかな」

 

「確かに経験は物凄く積めている筈だよ。最初の頃より随分と強くなったと思う」

 

「そうだ。強いカード、強いデッキ、実績を残したデッキを闇雲に使うだけじゃデュエルは勝てない。だがお前は、六花と閃刀姫を使って勝ってきたんだろ。それが何よりの物証だ」

 

「あ〜、確かにどっちのデッキも脳死で勝てるもんじゃねぇよな」

 

 皆にそう言われ、俺は感極まって目頭が熱くなった。こんな風に誰かから認めて貰える事は記憶がある限り殆ど無く、嬉しさが込み上げてくる。

 

 頬が緩んで情けない顔になっているのだろうか、俺の反応を見て焔達も精霊達も微笑んでいて、まるで小さなこども扱いだ。丸で昔の事…………を…………

 

 

 _凄いわ! 貴方もしかして魔術の天才かもしれないわね! 

 

 頭が痛い。頭の中で急に灰色の光景が浮かんでくる。

 

 本棚に囲まれた部屋で小さい男の子が自分よりも大きな杖を持ち、緑色の光に包まれた本が重力の枷から解き放つように宙に浮いた。

 

 それを見た顔が見えない女性が小さな男の子を抱きしめながら頭を優しく撫でていた。

 

 _いい子ね、貴方はきっと……誰からも愛される人になるわ

 

 その言葉を聞いた直後、ノイズの記憶は消えた。

 

「花衣様、大丈夫ですか?」

 

「花衣さん! しっかりしてください!」

 

 両隣りからティアドロップとレイが何度も俺の名前を呼び、意識が覚醒する。

 

(また変な物を見たな……)

 

 分からないけど、酷く懐かしい感じがするこの映像は、俺の過去……いや、俺が精霊だった時、もしくは前世の記憶だろうか。

 

 だが、六花の時や閃刀騎だった頃とは違う様な気がする。あれは何なんだ……? 

 

「どうした? 気分が悪いのなら中断してもいいが……」

 

「いや……大丈夫だ」

 

 色々あってドローカードを見れずにいた為、改めてドローカードを確認する。

 

 ドローしたカードを見た瞬間、頭の中でこれから繋ぐ道が作られ続け、その最終地点が見え始めた。

 

「これなら……! 俺は【潤いの風】の効果発動! 1000ライフをコストにし、デッキから【アロマ】モンスター【アロマージ・マジョラム】を手札に加える」

 

 桜雪 花衣 残りライフ5500→4500

 

「更に魔法カード【マジック・プランター】を発動! 永続罠【潤いの風】を墓地に送り、2枚ドロー! ……頼む!」

 

 自分が組み上げたデッキを信じて目をつぶり、カードを2枚ドローした。ゆっくりと目を開き、2枚のカードを見ると……俺は無意識に笑った。

 

「……来てくれたか!」

 

「来てしまったか」

 

「俺はフィールド魔法【六花来々】を発動! 効果でデッキから【六花絢爛】をセット!」

 

「そして永続魔法【増草剤】の効果で墓地の【アロマリリス-ロザリーナ】を特殊召喚する!」

 

「あぁ!? いつの間にそんなカード墓地に送ったんだ?」

 

「……2ターン目の【アロマブレンド】の手札コストか」

 

 その通り、俺が融合召喚する為に使ったアロマブレンドの手札コストとして墓地に送ったのがこのモンスターだ。

 

 まだあまり使った事無いカードだが、使いこなして見せる……! 

 

「【増草剤】の効果を使用したターン、通常召喚出来なくなるが、関係ない! 俺は特殊召喚された【アロマリリス-ロザリーナ】の効果発動! デッキからチューナー以外の【アロマ】モンスターを特殊召喚する! 俺は【アロマージ・ジャスミン】を特殊召喚!」

 

「デッキから特殊召喚できるのか……」

 

「そして、【ジャスミン】の【ロザリーナ】をリンク素材に、リンク2の【アロマセラフィー・ジャスミン】をリンク召喚!」

 

 アロマセラフィー・ジャスミン

 LINK2/リンク/光属性/ATK1800

 

「更にセットした魔法カード【六花絢爛】を発動! 【六花来々】の効果で、変わりに【ライズ・ファルコン】をリリースし、レベル4の【六花のしらひめ】と【六花精プリム】を手札に加え、【しらひめ】を自身の効果で特殊召喚する!」

 

 ここでプリムも出してエクシーズ召喚……と言いたいが、プリムの効果は自分のモンスターをリリースした時初めて特殊召喚出来る効果だ。

 

 六花来々でリリースを肩代わりしたら効果は使えないし、増草剤の効果で俺は通常召喚が出来ず、プリムは出せない。だが、問題ない。何故ならもう手札にはこいつがいるのだから。

 

「俺は手札から【六花精華カイリ】を【六花のしらひめ】をリリースして特殊召喚!」

 

「【カイリ】か……あの時以来だな」

 

 空が言うあの時とは、ロマンス・タッグデュエルの時だ。タッグデュエルという形だが、俺と空が公式の場で本気でデュエルした時だ。

 

 あの時、このカイリを使う事を躊躇っていた。

 

 たった一人しか持っていないレアカードであるかつ強力なカードに、俺は遠慮や躊躇いを感じ、レゾンカードを使うのを渋った所を、空に咎められ、焔に背中を押され、そして同じレゾンカードを持った彼方さんと戦い、ここにいる。

 

 俺をここまで繋いでくれたこのカード……今はこのカードを使う事に誇りを感じている。勿論、閃刀騎も。

 

「【六花精華カイリ】の効果発動! こいつが植物族モンスターの効果か自分の効果で特殊召喚した場合、デッキから植物族モンスターを可能な限り特殊召喚する!」

 

 俺のメインモンスターゾーンにはカイリとティアドロップしか居ない。つまりデッキから出せるモンスターは3体になる。

 

「俺はデッキから【六花精シクラン】【六花精ボタン】【六花精スノードロップ】を特殊召喚する」

 

「いつ見てもすげぇなその効果。アドバンテージの概念壊れるぞあれ」

 

「だけど、ちょっと難しい効果かな。相手の盤面と自分の盤面を把握して、適切なモンスターを出さないと効果を最大限に引き出せない」

 

 そう、何でも出来るが故に選択肢が多くなるのは良いが、適切な選択をしなければカイリの効果を最大限に活かせない。

 

 つまり決闘者の技量が試されるカードだ。俺の技量はお世辞にも高いとは言えない。それでも少しづつ使いこなして見せる……! 

 

「【六花精ボタン】の効果発動! デッキから【六花深々】を手札に加え、【六花精スノードロップ】の効果で俺のモンスターのレベルを【シクラン】と同じ4にする!」

 

「これでレベル4のモンスターが2体以上……」

 

「俺はレベル4の【六花精シクラン】とレベル4になった【六花精ボタン】でエクシーズ召喚! 【六花聖ストレナエ】をエクシーズ召喚!」

 

 六花聖ストレナエ

 ランク4/エクシーズ/水属性/植物族/ATK2000/DEF2000

 

「更に【ストレナエ】の効果発動! エクシーズ素材を1つ取り除き墓地から【RUM-六花の誓い】を手札に加え、更に【アロマセラフィー・ジャスミン】の効果発動! リンク先の【ストレナエ】をリリースし、デッキから植物族モンスターを特殊召喚する! 俺はデッキから【アロマージ・ローリエ】を特殊召喚!」

 

「【ストレナエ】がリリースされたということは……」

 

「【ストレナエ】の効果発動! このモンスターがリリースされた場合、EXデッキからランク5以上の植物族Xモンスターを特殊召喚する。俺はランク5の【六花聖華ストレナエ】を特殊召喚し、その下に【六花聖ストレナエ】を重ねる!」

 

 六花聖華ストレナエ

 ランク5/エクシーズ/水属性/植物族/ATK2300/DEF2300

 

「おぉ!? お前いつの間にそんなカード持ってんだ!?」

 

「そうか、焔君と空君は初めて見るのか。いやー、強いよあのモンスター」

 

「ふふーん、私も強くなったもんねー!」

 

 自分の進化にドヤ顔をしながら胸を張ったストレナエは、誇らしく俺が座っている椅子の空いている空間に座った。

 

「これで一緒に戦っているように見えるでしょ?」

 

「あぁ、頼りにしてるぞ」

 

 子供らしい単純な理由に笑みを浮かべながらストレナエの頭を撫でてデュエルを進めた。

 

「俺のモンスターがリリースされた時、手札の【六花精プリム】を特殊召喚する。そして【プリム】の効果で【プリム】とレベル4になった【スノードロップ】のレベルを2つあげる」

 

 これでプリムとスノードロップのレベルは6。これで今度は……

 

「私ですね? 旦那様」

 

 今度はカンザシが俺の後ろに付き、これから起こる事に確信を持っているのか、EXデッキから六花聖カンザシのカードを口付けし、俺に手渡した。

 

「さぁ、どうぞ旦那様」

 

「敵わないな……俺はレベル6になった【六花精プリム】と【六花精スノードロップ】で【六花聖カンザシ】をエクシーズ召喚し、更に【カンザシ】に【RUM-六花の誓い】を発動!」

 

「おっ! 今度はカンザシか」

 

「……だろうな」

 

 焔と空は見ていない筈なのに持っている事を確信していたのか、ようやく出てくる六花聖華カンザシの召喚を待ち望むようにしていた。

 

 なら、その期待に応えるのが礼儀だ。

 

「行くぞ! 俺はランク7の【六花聖華カンザシ】を特殊召喚!」

 

 六花聖華カンザシ

 ランク7/エクシーズ/水属性/植物族/ATK2600/DEF2600

 

「おおー! 六花聖華が勢揃いじゃねぇか!!」

 

「俺は【六花聖華ストレナエ】の効果発動! エクシーズ素材を1つ取り除き、デッキから【六花】カード又は『植物族』と記されているカードを1枚手札に加えるか、自分フィールドにセット又は表側で置く事が出来る! 俺は【恵みの風】を表側側に置き、効果で墓地の【アロマージ・ジャスミン】をデッキに戻してライフを500回復する」

 

 桜雪 花衣 残りライフ4500→5000

 

「そしてライフが回復した事により【アロマセラフィー・ジャスミン】の効果でデッキから植物族モンスター【六花精エリカ】を加える。そして、【アロマセラフィージャスミン】と【アロマージ-ローリエ】でリンク召喚! 召喚条件は【植物族モンスター2体以上】

 だ!」

 

「おっ、これはもしやもう一体のアロマ新規モンスターかな」

 

「これがLINK3【アロマリリス-ローズマリー】だ!」

 

 アロマリリス-ローズマリー

 LINK3/リンク/闇属性/植物族/ATK2300

 

「アロマモンスターの新しいリンクモンスターか……」

 

「【アロマリリス-ローズマリー】の効果発動。このカードが特殊召喚した時、デッキから【アロマ】カードを1枚手札に加えることが出来る。俺は【アロマ・ガーデニング】を手札に加える」

 

 これが新たなリンクモンスターとなったローズマリーの効果だ。リンク召喚じゃなくて、特殊召喚によって効果が発動する為、死者蘇生などの効果で蘇生してもこの効果は使える。

 

 上手く行けば、毎ターンアロマカードを補充出来てしまう事も可能だが、まだまだこのカードには他の効果がある。

 

「俺はリンク素材で墓地に送られた【アロマージ-ローリエ】の効果でライフを500回復する」

 

 桜雪花衣 残りライフ5000→5500

 

「そしてライフ回復により【アロマリリス-ローズマリー】の効果発動! ライフを回復した場合、このカードのリンク先に手札の【アロマ】モンスターを特殊召喚出来る」

 

「何だと!?」

 

 このカードのリンクマーカーは3つとも下向きだ。つまり、EXモンスターゾーンにいるだけで、3体のモンスターを特殊召喚する事だって可能だ。

 

「俺は手札の【アロマージ-マジョラム】と【アロマージ-ベルガモット】をリンク先に特殊召喚する」

 

 これで、俺のフィールドのモンスターは全て埋まった。

 

「【アロマリリス-ローズマリー】の効果発動! このカードのリンク先のモンスターをリリースする事で、フィールドのカード1枚を除外し、ライフを1000回復する! 【ベルガモット】をリリースして、右の伏せカードを除外する!」

 

「除外か……なら発動させて貰う。罠発動【ЯRUM-レイド・ラプターズ・フォース】発動。俺はフィールドのランク4【フォース・ストリクス】と墓地の【レイダーズ・ナイト】、ランク5【ブレイス・ファルコン】を合わせたランクの【RR】Xモンスターを特殊召喚する」

 

「えーと、4たす4たす5は……」

 

「13ですよ、ストレナエ」

 

 指折りで数えていたストレナエよりも早く答えを出したカンザシに、ストレナエは自分が答えたかったのにと頬を膨らませながらカンザシにポカポカと胸を叩き続き、カンザシはそれを受け止めた。

 

「ちょっと待て……ランク13? もう一体いるのか!?」

 

「そうだ。これが新たなランク13の【RR】モンスター……【RR-ライジング・リベリオン・ファルコン】だっ!」

 

 RR-ライジング・リベリオン・ファルコン

 ランク13/エクシーズ/闇属性/鳥獣族/ATK4000/DEF4000

 

「2体目の……ランク13」

 

「【RR-ライジング・リベリオン・ファルコン】の効果発動! このカードがX召喚された場合、相手モンスター全てを破壊する! そして【RR】Xモンスターを3種類以上素材としている場合、この効果で破壊したモンスターの元々の攻撃力の合計分のダメージを相手に与える!」

 

 まずい……! このまま破壊効果を通してしまったら俺のライフは0になる! 

 

「【六花聖華カンザシ】の効果発動! エクシーズ素材を1つ取り除き、このターン俺のフィールドの植物族モンスターは、俺のカード効果以外受けない!」

 

「上手く躱したか。だが、【ブレイス・ファルコン】を素材したモンスターの攻撃力は、自身ランク分攻撃力が上がる」

 

 RR-ライジング・リベリオン・ファルコン ATK4000→5300

 

「攻撃力5300……」

 

「そしてこいつは他のカード効果を受けない」

 

 完全耐性かつ攻撃力が5300……だが、ティアドロップなら突破出来る。

 

「【六花聖華ティアドロップ】の効果発動! 【アロマージ-マジョラム】をリリースし、そのモンスターの攻撃分攻撃力をアップし、さらに自身の効果で攻撃力500アップ!」

 

 六花聖華ティアドロップ ATK3500→6000

 

「この瞬間【六花聖華ストレナエ】の効果発動! 手札、フィールドの植物族モンスターがリリースされた時、カードを1枚ドローする」

 

「エクシーズ素材を使わなくても効果を使えるのか……」

 

「そしてそのまま【ティアドロップ】で【リベリオン・ファルコン】に攻撃だ!」

 

「させるか。罠発動【RR-レディネス】。これで俺の【RR】は戦闘では破壊されず、そしてこのカードを除外する事で俺へのダメージは0になる」

 

「くっそ……!」

 

 バトルを行ったが戦闘破壊もダメージを受けなかった空はこのターンまたもやノーダメージで耐えた。

 

 もうこのターン俺は何も出来ず、ストレナエの効果で引いたこのカードで全てが決まる。

 

「俺はカードを1枚伏せて、ターンエンド」

 

 

 4ターン目終了

 

 機羽 空 残りLP3250

 手札:0 墓地:6 除外:4 デッキ:20

 

 □□□①□

 □□②□□

 ③ □

 □④⑤⑥⑦

 □□⑧⑨⑩

 

 ①:RR-ルースト

 ②:RR-ライジング・リベリオン・ファルコン

 

 ③:アロマセラフィー・ジャスミン

 ④:六花聖華カンザシ

 ⑤:六花聖華ティアドロップ

 ⑥:六花精華カイリ(守備表示)

 ⑦:六花聖華ストレナエ

 ⑧:恵みの風

 ⑨⑩:伏せカード

 

 桜雪 花衣 残りLP5000

 手札:0 墓地:5 除外:1 デッキ:27

 

 

「俺のターン、ドロー。そしてメインフェイズ、【RR-ルースト】の効果発動。除外されている【ミミクリー・レイニアス】墓地の【トリビュート・レイニアス】【ワイズ・ストリクス】をデッキに戻し、もう1枚ドローする」

 

 これで5ターン目……感覚的に何十ターンもしている感覚だ。

 

 効果を封殺されながらも何とかここまで耐え抜き、後続も確保している。対して空はこれ以上余力は作れないはずだ。

 

 空にとってはあのドローカードが全てを決める1枚になのか、そうでは無いかを決める事はこの場にいる全員が固唾を呑んで見守っていた。

 

「……俺は魔法カード【おろかな重葬】を発動。ライフを半分払い、EXデッキからモンスターを墓地に送る。俺は【ライズ・ファルコン】を墓地に送る」

 

「EXデッキから墓地に……?」

 

「【RR-ライジング・リベリオン・ファルコン 】の効果発動! このモンスターのX素材を3つ取り除き、墓地の【RR】Xモンスターの効果を得る」

 

「墓地のモンスターの……? 待て、さっき墓地に送ったのって……!」

 

「効果を得る元のモンスターは【ライズ・ファルコン】だ!」

 

 これでライズ・ファルコンの効果を得たが、ティアドロップの効果でバトルフェイズは終了出来る。何とかこのターンを耐えることは出来る筈だ……

 

「更に速攻魔法【禁じられた一滴】!」

 

「あっ……!」

 

「手札の【トリビュート・レイニアス】を墓地に送り、【六花聖華ティアドロップ】の効果を無効にする。そしてこの効果の発動に対して、お前は手札に捨てたカードの種類、つまりモンスターの効果は発動出来ない」

 

「これじゃあカンザシの効果が使えない……!」

 

「しかも【ライズ・ファルコン】の効果を受け継いだ【リベリオン・ファルコン】は特殊召喚されたモンスター全てに攻撃可能だろ?」

 

「そして【リベリオン】のエクシーズ素材はあと1つ残っている」

 

「【ライズ・ファルコン】の効果を持った【リベリオン・ファルコン】の効果発動! 対象を【六花聖華ティアドロップ】の攻撃力をこいつに加える!」

 

 RR-ライジング・リベリオン・ファルコン ATK4000→7500

 

「バトルだ! 俺は【リベリオン・ファルコン】で【六花聖華ティアドロップ】に攻撃!」

 

 この攻撃を受けてもライフは残るがまだ攻撃は残る。もう伏せカードを使うタイミングはここしかない。

 

「罠発動【スノーマン・エフェクト】! 【六花聖華ティアドロップ】を対象にし、対象のモンスターを他のモンスターの攻撃力に加える!」

 

「……っ! お前らしい決着だな」

 

 この罠の効果で六花聖華ティアドロップの攻撃力は11300になり、イグニッション・ファルコンの攻撃力の差は3800。

 

 ここで何かしら戦闘ダメージをどうにかしなければ空の負けになるが……空は潔く負けを認めたのか、清々しく笑った。

 

 どうやらこのタイミングで出せるカードは無く、バトルが成立した事により、このデュエルの勝負は着いた。

 

 機羽 空 残りライフ 3250→0

 

 WINNER 桜雪花衣

 

「勝った……ふぅ、ホントギリギリだった」

 

 スノーマン・エフェクトはストレナエのドロー、カンザシの耐性付与で全破壊を防ぎ、ティアドロップのリリースで除去……本当に皆が居なければ勝てなかったデュエルだ。

 

 それにしても、本当に空の容赦ない戦術が光ったデュエルだった。初期手札が捲り札ばかりじゃ無かったら、最悪3ターン目で俺は負けていた。

 

 今日一番のデュエルで精神的に疲弊し、ついつい隣のティアドロップに体を預けた。

 

「お疲れ様です。花衣様」

 

「あぁ、ありがとうティアドロップ、カンザシもストレナエも……そして皆もありがとう」

 

 ティアドロップだけじゃなく、向こうにいたアロマ達にも感謝をすると、このデュエルでいきなり現れたマグノリアは少し不服そうな顔をしていた。

 

「えー、私あまり活躍してないと思うんですけどね〜マジョラムもそう思うでしょ?」

 

「その分ジャスミンが頑張ったから良いじゃないの」

 

 まぁマグノリアの言い分も分かる。本当はもっとアロマ達も使いたかったけど、それを使う余裕が無いほど空は強かった。ここでアロマ達の活躍を入れるとするならば、更にデッキの改良が必要になる。今回のデュエルは本当に学ぶべき物が多かった。

 

「いやぁ……空の制圧盤面を突破するとなぁ。ドンマイ空」

 

「それぐらい花衣が成長した訳だが……【カリ・ユガ】を特殊召喚する邪魔をよくしてくれたな」

 

 途中からのアドバイスの報復なのか、空は肩を抱いてきた焔の横っ腹に裏拳をぶつけた。

 

「確かに……あのアドバイスが無かったらカード効果を使えなくて負けてたな。あんまり勝ち誇れる事は……」

 

「いや、誇って良いと思うよ」

 

 そのアドバイスを与えた本人である彼方さんは俺の肩を叩き、慰めるようにフォローしてくれた。

 

「確かにアドバイスはしたけどそれだけだ。そこ以外は君が考えて、君が勝ち取った勝利だ。誇って良いんだ、花衣君」

 

「そうですよ花衣様、花衣様は着実に私たちを使いこなしていますよ」

 

「そうそう、花衣君が1番私達を使えてるよ!」

 

「……だといいな」

 

 嬉しい事を言ってくれたストレナエのお礼に頭を撫で続け、ストレナエは喉を鳴らした猫のように喜んでくれた。

 

「なぁなぁ花衣! 次は俺とやろうぜ! こんなの見せられたらやりたくなるぜ!」

 

「えぇ? ちょっと休憩させてくれよ……」

 

「良いじゃねえか、土曜日までの特訓と思えば良いからさ! な? 頼むよ」

 

「……しょうがないな。じゃあ焔は閃刀姫でやろうか。ちょうど新規も出たし」

 

「良いねぇ、ぜってぇ勝つ!」

 

「デュエルもよろしいですが、休憩なさってください」

 

 連続のデュエルを止めたハスキーはアフタヌーンティーを俺たちに渡した。甘いクッキーに、それに合う紅茶をテーブルに並べ、まるでドラマの貴族が嗜む光景だ。

 

「皆様には苦しい事をさせてしまいますが、私達も全力でサポートします。どうかご無理なさらずに」

 

 ドラゴンメイド一同が誠意を込めて頭を下げ、それに応えるようにと俺達も心に誓った。

 

「あぁ、任せてくれ」

 

「にしし、世界救うってワクワクするな!」

 

「命懸けというのに能天気な奴だな」

 

「大丈夫。年上の俺がちゃんと皆を守るよ」

 

 それぞれが思いを胸にしながら渡されたクッキーを食べると、俺はなんだか懐かしい味がするような気がした。

 

「……ん? どうした花衣」

 

 焔が手を止めた俺を気にかけ、覗き込むようにして俺に声をかけた。

 

「あぁ……いや、何だか懐かしい味だなって」

 

「んん? まぁ確かにうめぇけど懐かしいって感じするか? そんなことよりデュエルしようぜ! ちょっと俺も改良したからよ!」

 

 少しだけ気がかりを持ちながらも、俺は懐かしい味のクッキーを口にしながら、焔とデュエルをした。

 

 

「懐かしい味って言ってたわよ。頭では覚えてなくても心が覚えているのかしらね」

 

「…………私とあの子は関係ありませんよ。私はただの従者ですから」

 

 




RRとアロマと閃刀姫新規を早くマスターデュエルでも使いたい所存と思ったこの頃

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