六花テーマを作って愛用したらそのまま俺への愛が重くなった件について   作:白だし茶漬け

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なんと今回、新規オリジナルカードが8枚あります。

結構多いとは自分で思っています。これはオリカ一覧表見たいなものを公開するべきでしょうか。

良ければ感想などお待ちしております。勿論、オリカについてもどしどし質問しちゃってください


絶氷の魔妖ー雪女

 

 

 2ターン目終了

 

 ウェルシー:LP16500 氷の魔妖ー雪女:LP8000

 手札1墓地3除外2デッキ28 手札:5墓地:0除外:0 デッキ:35

 

 □□①②□ □□□□□

 ③④⑤⑥□ □□□□□

  □ ⑦ □ □

 □□□□□ ⑭ □□⑧□□

 □□□□□ □□⑩⑪□

 

 桜雪花衣:LP7700 炎山焔:LP8000

 手札4墓地1除外デッキ35手札1 墓地28 除外8 デッキ26

 

 ①:恵みの風

 ②:伏せカード

 ③:アロマセラフィージャスミン

 ④:アロマリリスーロザリーナ

 ⑤:豊穣大罪・造ラレシ者

 ⑥:アロマリリスーマグノリア

 ⑦:アロマリリスーローズマリー

 

 ⑧:スカーレッド・スーパーノヴァ・ドラゴン

 ⑩:不知火ー炎舞の陣

 ⑪:炎転生遺物ー不知火の太刀

 

 

「フィールド魔法【魔妖壊劫ー絶氷氷襲】!」

 

 雪女が見た事も聞いた事ないカードをデュエルディスクに差し込んだ瞬間、この場の空間が一気に凍りついた。

 

 壁や床は氷色一色の世界となり、ここにある空気さえも凍りついてしまいそうだ。

 

 吐く息は白く染まり、あまりの寒さで指先の感覚が死にかけていた。それに対抗するように、焔の手に持っている不知火の刀が激しく燃え上がり、フィールドにいるスカーレッド・スーパーノヴァ・ドラゴンも凍りついたこの世界を溶かすように紅蓮の炎を羽から放出した。

 

 2つの炎が合わさり、死んでいた指先から微かな熱が感じられ、凍りつきそうだった体に温もりを取り戻したが、壁や床の氷は溶けていなかった。

 

 普通氷に熱を近づけると溶ける筈だ。ましてやこの空間を包みこむほどの炎なら尚更だ。それにも関わらず、氷には水滴一つも滴っておらず、最早氷と言えない何か別の物を予感させた。

 

「んだよこの氷は! 全然溶けねぇ!」

 

 溶けない氷に驚く俺達を見て雪女は白い袖で口元を抑えながら笑っていた。

 

 明らかに馬鹿にされていることに腹が立ち、焔は苛立ちで地面を地団駄を踏んだ。

 

 それを端目にデュエルディスクのおかげで目の前に投影されたホログラムを操作して雪女が発動したフィールド魔法の効果を確認しようとしたが……やはりカードテキストは黒い影に隠れてしまい、確認出来なかった。

 

「効果が分からない……か」

 

「そんなに知りたいのなら見せてあげる。【魔妖壊劫ー絶氷氷襲】の効果発動。この効果を発動したターン、フィールドのモンスター全ての攻撃力を0にするわ!」

 

「はぁ!?」

 

 焔のフィールドのモンスター足元から突如として氷が襲いかかり、スカーレッド・ドラゴンが氷の中に閉じ込められた。

 

「くっそ……だけどな、俺はとっくに【逢華妖麗譚-魔妖不知火語】を発動しているから、お前は墓地からしかモンスターを特殊召喚出来ねぇぞ!」

 

「だったら墓地から特殊召喚するわよ。更に魔法カード【垂氷の追憶】を発動! このカードはフィールドに攻撃力0のモンスターの数だけデッキのカードを墓地に送る!」

 

「て事は好きなカード1枚墓地に送れるのか!? そんなの【おろかな埋葬】じゃねぇか!」

 

「いや違う! ウェルシーのフィールドにも……」

 

「そう、私のモンスターもあのフィールド魔法の効果で攻撃力は0です」

 

 つまり墓地に送れる枚数は6枚。だが、雪女は今墓地にしかモンスターを特殊召喚できない状況だ。

 

 いくら墓地にカードを送れると言っても、状況はあまり変わらない筈……だが、雪女の表情は笑ったままだ。

 

 まるで、これから大人に悪戯でもしようとする幼稚で悪に満ちた笑顔だった。

 

「私はデッキから5枚を墓地に送るのと……私のフィールドの【魔妖壊劫ー絶氷氷襲】の効果! デッキからカードを墓地に送る効果が適用されている時、EXデッキからも墓地に送れる!」

 

「EXデッキからでもだと!?」

 

 これじゃあ、おろかな埋葬とおろかな重葬と掛け合わせている様な物だ。墓地を落とす事で機能するデッキにとっては喉から手が出る程強力なフィールド魔法だが、今となっては厄介すぎるカード他ない。

 

「私はEXデッキから【絶氷の魔妖ー雪女】を墓地に送る」

 

 雪女……のカードだが、また見た事ないカードだった。例に漏れずテキストは見れないが、リンクモンスターだって事は確認出来、そのリンクマーカーの数は……見間違えじゃない限り5つあった。

 

 リンク5のモンスターは現在では10体程しか存在せず、どれも強力な効果を持っているモンスターばかりだ。

 

 あの絶氷の魔妖ー雪女も、それ相応の力を持っているのは間違いないが、墓地に送ってどうするんだ? 

 

 デュエルのルールには蘇生制限と言うものがある。

 

 これは、EXデッキから正規の召喚方法で特殊召喚されてないモンスターは、墓地から特殊召喚出来ないというルールだ。

 

 例えば、シンクロモンスターであるスターダスト・ドラゴンには、シンクロ召喚以外でEXデッキから特殊召喚出来るカードがあるが、そのカードを使って召喚し、墓地に送られた場合、そのスターダストは墓地から特殊召喚出来ない。

 

 例え死者蘇生の様な蘇生カードを使ったとしても、EXデッキに戻さない限りは二度と特殊召喚出来ない制限だ。

 

 つまり、あの絶氷の魔妖ー雪女を墓地に送ってしまったら、もうあれを召喚するのは不可能に近いという事だ。

 

 だが、雪女は召喚する気満々と言うように手を動かしていき、雪女から冷気が漏れだしていく。

 

「さぁ、行くわよ。これが私のリンク召喚。私は墓地に存在するするこの5枚のアンデッドモンスターを除外する!」

 

「一体何する気だ!?」

 

 雪女のフィールドにはリンクマーカーが現れ、この召喚は間違いなくリンク召喚だ。だが、雪女のフィールドにはモンスターが1体も存在しない。

 

 リンク召喚は例外はあるが、基本的にはフィールドのモンスターを素材にしてようやくリンクモンスターを召喚出来る方法だ。

 

 こんなリンク召喚は見た事がない。フィールドにモンスターが存在しないリンク召喚なんて……! 

 

「絶氷の氷よ、人の魂を糧にして今ここに降誕せよ! リンク5【絶氷の魔妖ー雪女】!」

 

 絶氷の魔妖ー雪女

 LINK5/リンク/水属性/アンデッド/ATK3500

 

 フィールドに雪女が現れたが、身につけいている衣装や武器は、既存の雪女とは大きく違っていた。

 

 衣装は白が基調なのは変わらないが、リンク4の零氷の魔妖ー雪女とは衣装が違う。

 あちらは白い着物の様な物だったが、今フィールドにいる絶氷の魔妖ー雪女は、細部が違っていた。

 

 背中には4枚に連なった右だけだが、氷が翼の様に広がり、右半身が少しだけ凍りついていた。

 

「これが新しい雪女か……?」

 

「私はカードを2枚伏せてターンエンド。そこの馬鹿のせいで展開できないけど、問題ないわ」

 

 

 3ターン目終了

 

 ウェルシー:LP16500 氷の魔妖ー雪女:LP8000

 手札1墓地3除外2デッキ28 手札:1墓地:1除外:5 デッキ:30

 

 □□①②□ □⑮⑯□□

 ③④⑤⑥□ □□□□□

 □ ⑦ □ ⑰

 □□□□□ ⑭ □□⑧□□

 □□□□□ □□⑩⑪□

 桜雪花衣:LP7700 炎山焔:LP8000

 手札4墓地1除外デッキ35手札1 墓地28 除外8 デッキ26

 

 ①:恵みの風

 ②:伏せカード

 ③:アロマセラフィージャスミン

 ④:アロマリリスーロザリーナ

 ⑤:豊穣大罪・造ラレシ者

 ⑥:アロマリリスーマグノリア

 ⑦:アロマリリスーローズマリー

 

 ⑮⑯:伏せカード

 ⑰:絶氷の魔妖ー雪女

 

 ⑧:スカーレッド・スーパーノヴァ・ドラゴン

 ⑩:不知火ー炎舞の陣

 ⑪:炎転生遺物ー不知火の太刀

 

 

「俺のターン!」

 

 雪女のフィールド魔法の効果が分からない以上、あの盤面は厄介だ。

 

 この手札ならラグナロクが余裕で出せると同時に、妨害札もある。

 

「俺は手札から【閃刀騎ーカイム】を通常召喚!」

 

「おお! いきなり来たか!」

 

「【カイム】の効果発動! デッキからレベル4の閃刀姫モンスターを2体特殊召喚する! 来い! レイ、ロゼ!」

 

 フィールドに現れたカイムがレイ達を呼び出そうと剣を掲げるように上げたが、何も起きずにレイとロゼが来る事は無かった。

 

「あっははは! 確かそのモンスターの攻撃力は0よね。だったら私のフィールド魔法の効果によって、効果は無効にされるのよ」

 

「なんだと!?」

 

 フィールドにたカイムがフィールドの魔法でカイムがスカーレッドと同じように氷漬けにされてしまった。

 

 なんて効果だ……あのフィールド魔法のせいで攻撃力が0のモンスターは効果が使えないという事は、スカーレッドの効果もカイムの効果も使えず、モンスター効果で相手フィールドの盤面も一掃する事も、ロゼ達も呼び出す事も出来ない。

 

「これで貴方のフィールドには攻撃力0のカカシが居るだけ! 最初の脱落者は貴方よ!」

 

「いや……俺には新しい仲間がいる!」

 

 と言っても……俺自身覚えていて無い。

 

 覚えていないのに仲間と言うのは、身勝手かも知れない。けれど、今は頼らせて貰うぞ。

 

「手札の魔法カードを1枚捨て、手札から【未来の柱ーキアノス】を特殊召喚する!」

 

 未来の柱ーキアノス

 レベル1/機械族/光属性/ATK500/DEF1500

 

「【キアノス】が特殊召喚された効果発動! デッキから【閃刀姫ーロゼ】を特殊召喚する!」

 

 フィールドに青いマントを羽織った小さな白いロボット、キアノスが現れた。

 

 キアノスはカイムの隣に立つと、久しぶりに姿を見れた事を喜んでいる様な表情を浮かべ、カイムの周りを回っていた。

 

 しかしカイムには反応が無く、キアノスが首を傾げていた所で俺を見つけると、キアノスは俺を見つけてはこちらに近づいた。

 

「久しぶり! カイム」

 

「お前……意思疎通出来るのか……?」

 

「その機械のおかげかな」

 

 キアノスはデュエルディスクの方に指を指した。そういえば、デュエルディスクは精霊達の力を借りる為の経路であり、実際に身体がそこにある訳では無いが魂がこの場にいる形になっている。

 

 だからこうして話す事も触れる事も出来る。キアノスは俺……いや、カイムと出会った事が相当嬉しい様子からして、やはりカイムとはかなり親しい様だ。

 

 だが、俺はカイムであってそうじゃない。記憶も無ければキアノスなんて存在はカードを見て初めて知った。

 

 俺は申し訳なさでキアノスから目を逸らすと、キアノスは俺と目を合わせるように移動した。

 

「……すまない、俺はカイムじゃないんだ。いや、カイムだったって言えば良いのか? とにかく、俺はお前の知っている奴じゃ無いんだ」

 

「でも、ロゼがここにいるのはどうして? それにアザレアとカメリアもいる」

 

 どうやらキアノスはロゼ達の存在を感知している様だ。同じデッキに入っていたからなのか、それとも何か別の要因があるのかは知らないが、知り合いがいることにキアノスは喜んでいた。

 

「とにかく、貴方はカイム! だから協力する! 大丈夫、私がいるからロゼが呼べるよ!」

 

 キアノスが手のひらからワープゲートの様な物を出現させると、その穴からロゼが飛び出すように出てきた。

 

「ロゼ! 久しぶり」

 

「誰だったかしら」

 

「ガーン……!」

 

 感動的な出会いにはならず、ロゼはキアノスの事を覚えていない……のか? 

 

 ロゼは軍帽を深く被り、少しだけ笑っていた口元を見せないようにマフラーで隠している所を見ると、どうやらロゼはからかっている様だ。ついには我慢出来ずにロゼは笑い、落ち込んでいるキアノスの頭を撫でた。

 

「冗談。久しぶり、キアノス」

 

「ロ〜ゼ〜!!」

 

 ロボットの筈なのに随分と感情豊かなキアノスは再会の喜びでロゼに抱きついた。

 

 ロゼも笑っていたが、状況が状況のせいでいつもの顔に戻った。

 

「……さて、こんな事している場合じゃない。まずはここを切り抜くべき」

 

「そうだな。丁度お前たちでリンク召喚の条件は達成しているからな。じゃあ行くぞ! 俺は【閃刀姫ーロゼ】【未来の柱ーキアノス】と【閃刀騎ーカイム】でリンク召喚!」

 

 フィールド上空のリンクマーカーに3体のモンスターがセットされると、白い装甲を纏った巨大な機械が、閃刀姫の装備を纏い、現れた。

 

「来い! ラグナロ……」

 

 しかしその時だった。ラグナロクの体に突如氷が蝕み、全身が凍りついたラグナロクはそのまま破壊されてしまった。

 

 何が起こったのか分からず、俺と焔はただただ困惑で立ち尽くすだけとなった。

 

「なっ……どうしてラグナロクが破壊されるんだ!?」

 

「残念だけど、【絶氷の魔妖ー雪女】は、特殊召喚したモンスターの召喚を無効にして破壊して除外するの。貴方の切り札、ガラクタに成り下がったわね!」

 

「だが、墓地の【カイム】の効果発動! 【ラグナロク】が破壊された事により、こいつを墓地から特殊召喚する!」

 

 墓地からカイムを特殊召喚して守りを固めようとしたが、ラグナロクの同じように召喚された瞬間にカイムが足元から氷に飲み込まれていき、全身が凍りついた所で雪女に粉々に砕かれてしまった。

 

「残念、この効果は攻撃力が0のモンスターの数まで効果が発動出来るの。無駄な事よ」

 

 つまり、ウェルシーと焔のモンスターの数まで効果が使えるという事か……!? 下手すればモンスターを召喚することも出来ない妨害に、俺は手も足も出ない……! 

 

「だったらなんで最初から使わなかった!」

 

「だって、切り札を召喚してからやった方が貴方達が絶望する顔が見れるに決まっているじゃない! 貴方達の顔……滑稽だったわ! あっはははは!!」

 

 雪女にとってはそれほど面白かった顔なのか、腹を抱えて笑っている事にムカッ腹が立ってしまう。

 

 かと言って、俺の手札はブラックホールというカード1枚だけだ。

 

 このカードはフィールド上にいるモンスター全て破壊出来るカードだ。

 

 雪女のフィールド魔法の効果でウェルシーのモンスターの攻撃力は0になっている為、マグノリアの効果破壊耐性も無効にされている。

 

 つまりこのカードを発動すれば、ウェルシーと雪女のモンスター全てを破壊する事が出来る……が、この効果は焔のフィールドにも適用されてしまい、効果が無効になっているスカーレッド・スーパーノヴァ・ドラゴンも破壊してしまう。

 

 今は攻撃力が0になって効果は使えないが、もし焔がフィールド魔法を破壊する手段があってスカーレッドを残したい考えがあるのなら……このカードは使わない方が良い。

 

 どうするべきかと悩んで思わず焔を見てしまい、その視線に気づいた焔は目を合わせると、親指を上に立てた。

 

 使えって事か……? どうやら焔には俺が握っているカードがどんなものか大抵分かっている様子だ。

 

 これがどう左右するかは分からない。だが、この状況を破壊する為にはやるしかない。

 

「魔法カード【ブラックホール】発動! フィールド上のモンスターを全て破壊する!」

 

 フィールド中央にブラックホールが発生し、全てのモンスターはブラックホールの強力な重力に逆らえず、暗黒の世界に飲み込まれていく。

 

「ですが私は【恵みの風】の効果発動。フィールドの植物族【豊穣大罪・造ラレシ者 】をEXデッキに戻し、ライフを回復します」

 

「そして私は【垂氷の追憶】を墓地から除外する事で、【絶氷の魔妖ー雪女】の破壊を肩代わりする!」

 

 ウェルシー 残りライフ16500→17000

 

 ライフが回復されたが、モンスター全てがブラックホールに飲み込まれて破壊されたが、雪女だけは場に残ってしまった。

 

「……ターンエンドだ」

 

 

 3ターン目終了

 

 ウェルシー:LP17000 氷の魔妖ー雪女:LP8000

 手札1墓地8除外2デッキ28 手札:1墓地:1除外:5 デッキ:30

 

 □□①②□ □③④□□

 □□□□□ □□□□□ ⑨

 □ □ □ ⑤

 □□□□□ ⑥ □□□□□

 □□□□□ □□⑦⑧□

 桜雪花衣:LP7700 炎山焔:LP8000

 手札0墓地5除外デッキ35手札1 墓地30 除外8 デッキ26

 

 ①:恵みの風

 ②:伏せカード

 

 

 ③④:伏せカード

 ⑤:絶氷の魔妖ー雪女

 ⑨:魔妖壊劫ー絶氷氷襲

 

 ⑥:アンデッド・ワールド

 ⑦:不知火ー炎舞の陣

 ⑧:炎転生遺物ー不知火の太刀

 

 

 

「すまない焔、何も出来なくて……」

 

「なぁに気にすんなって。これからだこれから」

 

 こう言ってくれているが、何も出来なった焦りで精神的な疲弊が大きい。

 

 しかもこの状況は不味い。焔が1番先に攻撃出来るという事は、俺は雪女とウェルシーから一斉に攻撃されるリスクがある。

 

 俺を守るカードが無い今、この2人の攻撃をまともに食らったら俺のライフは0になり、焔1人で重荷を背負わせてしまう。

 

 それだけは何としても避けなくては行けない……が、今の俺にそれを防ぐ為の力は無い。

 

「他人の心配をしている余裕はありますか? 私のターンでドローが出来ますのでドローします。……では、ちょっとだけ本気を出しますね」

 

「本気だと?」

 

「私のライフが10000ポイント以上の時、この罠を手札から発動出来ます」

 

「手札から罠だと!?」

 

 まるでポルーションの様だ……やっぱりこいつ、リーダー格と言うだけあって、似たような戦法を取っている。

 

 ポルーションの姿がウェルシーと重なって見えてしまい、デュエルに対しての集中力が欠けていった。

 

 集中力を取り戻そうと雑念を振り払う様に首を振り、ウェルシーは罠カードを発動するのを見届けた。

 

「手札から罠カード【豊穣大罪(ウェルシー)・ゲオルキガ】を発動。墓地のモンスターを任意の数、効果を無効にして特殊召喚し、特殊召喚したモンスターの攻撃力と守備力分どちらが高い数値の効果ダメージを受けます」

 

「という事は、モンスターを特殊召喚する度にライフを失うのか?」

 

「その通り。ですが、この瞬間永続罠【豊穣大罪・約束された聖域(ウェルシー・サンクチュアリ)】を発動。このカードは自分がダメージを受ける時、そのダメージを無効にして無効した数値分ライフを回復する事が出来ます」

 

「何っ!?」

 

 まずい、永続罠という事はあれが表側で存在する限りウェルシーにほぼダメージを与えられないという事だ。

 

 しかも、手札から発動した罠のダメージは効果ダメージでありライフコストでは無い。つまり……

 

「私は墓地からアロマ達の皆さんを特殊召喚します」

 

 そうして墓地から2体のジャスミン、アロマリリスローズマリー、アロマリリスマグノリア、アロマージマジョラム、の5体が現れた事によりウェルシーは各モンスターの数値が高い合計の10500のライフを回復する事になった。

 

 ウェルシー 残りライフ17000→27500

 

「残りライフ27500だと……!?」

 

 あまり見ないライフの大きさにたじろぎ、このライフを削りきるためには俺と焔の一斉攻撃しか道は無い。

 

 だから俺のフィールドにモンスターが無ければ手札も無い為、ここは焔の突破力に期待するしかない。

 

「この効果によって特殊召喚されたモンスターは、融合、シンクロ、エクシーズ、リンク素材には出来ません。ですがリリース要因には出来ます」

 

「リリース?」

 

「こう言う事です。私はこの5体のモンスターをリリース!」

 

 フィールドのアロマ達が黒い水になったかのように形を

 変え、それが集まって蠢きながらその形を変えていった。

 

 徐々に手や足のような物が作られ、背後には幹が育ち、枝も作られてはその先に葉も実り、この凍りつかれた空間に新たな命が芽吹いた。

 

「人が求める罪よ、今この芽吹きと共に新たな命を紡ぎだし、そして更なる闇と罪を生み出しなさい! さぁ産まなさい! 【豊穣大罪(ウェルシー)・デーメーテール】!」

 

 豊穣大罪・デーメーテール

 レベル10/闇属性/植物族/ATK???? /DEF???? 

 

「これが……ウェルシーの切り札っ!」

 

 デーメーテールと名付けられたモンスターは巨大な木を背負っているかのように背中の木の枝と背中を同化させており、まさに大木の化身と言うべき存在感を放っていた。

 

 全長はラグナロクと同じぐらい大きく、見た目は女神の様な印象を受けたが……圧倒的な威圧感は俺たちの戦意さえも押しつぶされる程だった。

 

「【デーメーテール】の攻撃力と守備力は、私のライフの数値となります。よって、攻撃力と守備力は27500です」

 

 豊穣大罪・デーメーテール ATK・DEF27500

 

「攻撃力27500だぁ!? そんなんどうやって倒せば良いんだよ!」

 

「安心してください。この攻撃力は言わば飾りみたいな物ですから」

 

「どういう事だ」

 

「【デーメーテール】の戦闘によって発生するダメージは全て私が受けることになります。つまり攻撃しても貴方達にダメージは無いのです」

 

 戦闘ダメージが逆にウェルシーが受ける……? なら、攻撃力0のモンスターでデーメーテールに攻撃力を仕掛けたら、ウェルシーのライフを削りきれるという事になる。

 

 しかも、ウェルシーの言っていることが本当ならダイレクトアタックも同じ様な事が言える。

 

 ダイレクトアタックによる数値も戦闘ダメージとして扱うから、この考え方も成り立つ筈だ。

 

 明らかにあの永続罠【豊穣大罪・約束された聖域(ウェルシー・サンクチュアリ)】とのコンボを成立させる為のカードなのは間違いないが……それだけじゃないのは確かであり、警戒は必要だ。

 

「更に私は永続罠【恵みの風】の効果発動。墓地の【アロマセラフィージャスミン】ちゃんをデッキに戻し、ライフを500回復し、【デーメーテール】の攻撃力も上がります」

 

 ウェルシー 残りライフ27500→28000

 

 豊穣大罪・デーメーテール ATK・DEF27500→28000

 

「私はこれでターンエンドです」

 

 5ターン目終了

 

 ウェルシー:LP28000 氷の魔妖ー雪女:LP8000

 手札0墓地8除外2デッキ27 手札:1墓地:1除外:5 デッキ:30

 

 □□①②□ □③④□□

 □□⑩□□ □□□□□ ⑨

 □ □ □ ⑤

 □□□□□ ⑥ □□□□□

 □□□□□ □□⑦⑧□

 桜雪花衣:LP7700 炎山焔:LP8000

 手札0墓地5除外デッキ35手札0 墓地30 除外8 デッキ26

 

 ①:恵みの風

 ②:豊穣大罪・約束された聖域

 ⑩:豊穣大罪・デーメーテール

 

 ③④:伏せカード

 ⑤:絶氷の魔妖ー雪女

 ⑨:魔妖壊劫ー絶氷氷襲

 

 ⑥:アンデッド・ワールド

 ⑦:不知火ー炎舞の陣

 ⑧:炎転生遺物ー不知火の太刀

 

 

 場には攻撃力28000のモンスターに、新たな雪女……対して俺の場には何も無く、焔のフィールドも良いとは言えない。

 

 だが、焔の墓地は潤沢だ。このターンで焔は攻撃が出来るため、焔は気合いを入れるように四股を踏んでやる気をあげさせた。

 

「うっし! じゃあ行くぜ俺のターン! 前のターンで【時を裂く魔瞳】を発動したから、2枚ドロー! そしてスタンバイフェイズに墓地の【ドーハスーラ】を復活させる!」

 

 焔は前のターンで、手札のモンスター効果を使えないが、2枚ドローと2回の通常召喚が可能な【時を裂く魔瞳】という魔法カードを使っている。

 

 あのドローで状況覆すことが出来れば、勝ち筋は見えてくる。焔は2枚のカードを見てニヤリと笑った。

 

「雪女! このターンでお前のライフを0にしてやる!」

 

「へぇ? やってみなさいよ」

 

「行くぜ! まずは【炎転生遺物ー不知火の太刀】の効果! デッキの上のカードを3枚めくり、それぞれ手札、墓地、除外ゾーンに行かせる!」

 

 また焔の目の前に3枚のカードが浮かび、焔が1枚のカードを手に取ると、残りは墓地と除外された。

 

「俺が手札に加えたのは【蛇眼の炎燐(スネークアイ・ポフルズ)】! こいつはドロー以外で手札に加わった時、特殊召喚出来る!」

 

 蛇眼の炎燐

 レベル1/炎族/炎属性/ATK700/DEF200

 

 スネークアイ……確か、炎属性と相性が良いテーマであり、かなりの主張性能があると言われているテーマだ。

 

 不知火も炎属性のテーマだから相性が良いのか、デッキに組み込んでいたようだ。

 

「【蛇眼の炎燐】が特殊召喚された効果で、デッキから【反逆の罪宝-スネークアイ】を加えて発動! 【絶氷の魔妖ー雪女】を表側で魔法・罠ゾーンに行かせる!」

 

 蛇のような目が中にある赤い宝石が焔の手に渡ると、焔はその宝石の中にある蛇の目を雪女に向けると、宝石から赤いビームが飛びだし、雪女に向かっていった。

 

 しかし、赤いビームは雪女に向かう事は無く逸れて行き、デーメーテールの方向に向かっていった。

 

 ビームがデーメーテールに当たったが、デーメーテールは場から離れる事は無く、スネークアイは不発に終わった事に焔は困惑した。

 

「何でだ!?」

 

「残念だけど、【絶氷の魔妖ー雪女】がいる限り、墓地から特殊召喚されたモンスターは対象にならないの。このモンスター自身も、墓地から特殊召喚したしね」

 

「そして【デーメーテール】は私のライフが10000以上の時、相手カードの効果を受けません」

 

 つまり、対象を取れなかった効果が代わりにデーメーテールが受けたことになったが、そもそもカード効果を受けない為に不発に終わったという処理で終わったらしい。

 

 魔法カードが不発に終わった事で焔は頭を抱えて叫んだが、すぐに気持ちを切り替えた。

 

「へっ! 俺のターンは終わってねぇよ! 俺は手札から【不知火の武部】を通常召喚! 効果でデッキから【逢魔ノ妖刀-不知火】を特殊召喚!」

 

「これでレベル7のシンクロする気か?」

 

「いいや、俺は【逢魔ノ妖刀-不知火】をリリースして効果発動する時にチェーンして【ドーハスーラ】の効果発動! 【絶氷の魔妖ー雪女】を除外! この効果は対象に取らねぇから問題ねぇだろ!」

 

 確かに対象を取らない効果なら問題なく雪女を除去できる。

 

 しかしドーハスーラの杖から紫の光が雪女に襲いかかろうとした瞬間、ドーハスーラが氷に包まれてしまい、光も雪女の目の前で霧散してしまった。

 

 しかもそれだけじゃない。焔のフィールドにいるモンスターも全て凍りついてしまい、全ての攻撃力が0になっていた。

 

「な、何でだ!?」

 

「残念、フィールド魔法【魔妖壊劫ー絶氷氷襲】の効果は相手ターンでも使えるの」

 

「だぁぁぁ!! ことごとく対話拒否しやがって!! だが【逢魔ノ妖刀-不知火】はフィールドから離れて効果使ってるから使える! 俺は除外ゾーンから【不知火の隠者】と【シノビネクロ】を特殊召喚する!」

 

 やる事なす事いなされてしまっているが、何とか動けはしていた。焔の場には充分モンスターはいる為、リンク召喚やシンクロ召喚は可能だ。

 

 ここからあの攻撃力3500の雪女をどうするかが、勝負の鍵になりそうだが……雪女には2枚の伏せカードがある。油断は出来ない。

 

 それに、雪女は1枚も大罪カードを使っていない。セブン・エクリプスの仲間になっているのなら、大罪カードを使う事は間違いない。

 

 あの伏せカードがそうだとしたら、警戒しなければならないが……ここで止まったとしても状況は変わらないと考えたのか、焔は止まらなかった。

 

「そして俺はレベル8の【ドーハスーラ】とレベル2チューナーの【シノビネクロ】でシンクロ召喚!」

 

 合計レベルは10だが、逢魔ノ妖刀-不知火の効果を使っできるのでアンデッドモンスターしか特殊召喚出来ない。このレベルでシンクロ召喚出来るモンスターと言えば……

 

「気炎万丈! 千軍万馬! その烈火の炎で魂すら焦がし、現世に彷徨う黄泉の魂を浄化しろ! 来い! 【炎神-不知火】!」

 

 炎神-不知火

 レベル10/シンクロ/炎属性/アンデッド族/ATK3500/DEF0

 

「【炎神-不知火】の効果発動! 俺は墓地の【イモータル・ドラゴン】と【巨骸竜フェルグラント】をEXデッキに戻しその分だけカードを選んで破壊出来る! 対象取らなければ【雪女】は破壊出来る!」

 

「甘いわよ。罠発動【人体大罪・悪夢(サブジェクト・ナイトメア)】!」

 

「何っ!?」

 

「更にもう1枚の永続罠【人体大罪・犠牲(サブジェクト・サクリファイス)】! アンタには複数の犠牲を選んで貰うわよ」

 

「犠牲だと?」

 

「【人体大罪・犠牲(サブジェクト・サクリファイス)】は、【人体大罪(サブジェクト)】カード発動によって発生するコストを、相手に選ばせて肩代わりしてもらうのよ。1つ、自分のライフを2000減らす。2つ、相手の手札を1枚除外する。最後に、貴方のフィールドのカードを1枚効果を無効にする。この3つよ」

 

 発動によるコストを相手に肩代わり……これは、見下が使っていた【主義大罪】に似ているが、肩代わりの内容は相手が決めるのは見た事が無い。

 

 どれを選んでも不利になるのは間違いないが、チャンスもある。焔はこれに対してカード効果は発動せず、2枚の罠の効果が発動した。

 

「【人体大罪・悪夢(サブジェクト・ナイトメア)】の効果は、ライフを2000払ってどんなカード効果を無効にする奴だけど、【人体大罪・犠牲(サブジェクト・サクリファイス)】の効果で貴方がどんな効果で肩代わりするのかしら?」

 

「なら、ライフを2000払うぜ」

 

 焔がライフをコストに支払うのを宣言した瞬間、焔の周りに氷の礫が体を打ちのめし、次々に焔の体を傷付けた。

 

 しかも、効果を無効にされた炎神-不知火の効果は不発となり、結果的に雪女はフィールドに残ってしまった。

 

 炎山焔 残りライフ8000→6000

 

「ぐっ! くっそ痛てぇ……けどな、これでお前の妨害は無いだろ。やられた分は倍返ししてやるぜ! 【不知火の隠者】をリリースして、デッキから2体目の【ユニゾンビ】を特殊召喚する!」

 

「せっせとやって忙しいわね」

 

「あぁ、お前を倒す為にはこれしかねぇ! 墓地の2体目の【馬頭鬼】を除外し、墓地の【不知火の隠者】を特殊召喚し、レベル4の【不知火の隠者】とレベル3の【ユニゾンビ】でシンクロ召喚!」

 

 今度はレベル7のシンクロ召喚をした焔のフィールドに、青い炎が地面を突き破るかのように燃え盛った。

 

 燃え盛る炎は氷の床を溶かす事は出来なかったが、炎の中から黒い龍が姿を現し、雄々しき翼を広げて炎を飛ばし、その炎を纏った。

 

「来い! 【真紅眼の不屍竜】!!」

 

 真紅眼の不屍竜

 レベル7/シンクロ/闇属性/アンデッド族/ATK2400/DEF2000

 

「こいつの攻撃力は、お互いの墓地のアンデッド族モンスター×100ポイントアップする。しかもだ、フィールド魔法【アンデッド・ワールド】の効果で、俺たち全員の墓地のモンスターはアンデッド族! つまり、墓地にモンスターが居ればいるほど強くなるんだよ!」

 

「へぇ〜……? だけど、無駄よ。貴方の場には攻撃力0のモンスターがいるのよ。【絶氷の魔妖ー雪女】の効果発動。その召喚を無効にして破壊する。無駄な努力ご苦労さま」

 

 フィールドの雪女がゆっくりとを白い息を吐き、白い息が真紅眼の体をまとい、白く凍らせていった。

 

 真紅眼が雄叫びを上げながらも抵抗しようとするが、迫り来る氷に耐えきれず、やがて動かなくなってしまう。

 

 フィールドの雪女がその様子をけたけたと笑いながら、真紅眼の腹部を指先で突っつき、真紅眼はまるで砂のように崩れていった。

 

 折角の高火力モンスターが居なくなり、万事休すかも思いきや、焔はむしろこれを待っていたかのように笑っていた。

 

「やっとお前に届くぜ……」

 

「なんですって?」

 

 焔の持っている不知火の刀が真紅眼が遺した青い炎を纏い、すぐにでも攻撃する構えを取った。

 

「何? 攻撃するつもり? だけど貴方のモンスターの攻撃力は……」

 

「モンスターじゃねぇ! 俺の刀だっ! この刀は誰にも止められねぇぞ!」

 

 焔がバトルフェイズに入り、焔が飛び出してフィールドに入り、そのまま雪女に向かって刀を振り下ろした。

 

 だが不知火の刀の攻撃力は2800に対し、絶氷の魔妖ー雪女の攻撃力は3500だ。

 

 焔の刀と雪女の薙刀がぶつかり合い、炎と雪が入り混じる。

 

 炎は弾けるように燃え盛り、吹雪は荒れ狂う様に吹雪いた。

 

 だが炎が雪に飲み込まれるように凍りつき、焔の手足が少しづつ凍りついた。

 

「馬鹿ね! そんな攻撃じゃ私には……」

 

「【不知火の刀】の効果発動! ダメージ計算時に墓地のアンデッドモンスターを除外する事で、そのレベルかランクの数×200ポイントアップする! 俺は【戦神ー不知火】を除外!」

 

 炎転生遺物ー不知火の刀 ATK2800→4600

 

「な、何ですって!?」

 

 攻撃力を逆転された雪女は初めて動揺を顕にした。

 

 不知火の刀が雪女を燃え尽きさせ、その炎が霊香の体を乗っ取った雪女へと襲いかかった。

 

 氷の魔妖ー雪女 残りライフ8000→6900

 

「くっ……だけど、貴方の攻撃は終わって……」

 

「終わってねぇ! 俺のバトルフェイズはまだ終わってねぇぞ! 除外したモンスターがシンクロモンスターなら、俺はもう一度攻撃が出来る!」

 

「嘘でしょ!?」

 

「そしてこのダメージ計算時に【不知火の陣】の効果発動! このカードのリンク先のモンスターの攻撃力を倍にする! 俺の刀の攻撃力は今4600! 攻撃力はその倍の9200になる!」

 

 これで焔が雪女にダイレクトアタックを仕掛ければ、雪女のライフは尽きて2対1の状況が作る事ができる。

 

 そうすれば、ウェルシーのライフを何とか削り切れることが出来るかもしれない希望を胸に、焔は雪女に向けて刀を振りおろそうとした。

 

「……私を倒すの? 焔」

 

 その瞬間、霊香の声が焔の耳に届き、焔は刀を振る手を止めた。

 

 炎の刀は雪女の首元すれすれで止まり、ほんの少し右に傾かせるだけで雪女の喉元に炎が襲いかかる状態だ。

 

 騙されてはいけない。今のアイツは雪女だ。それは間違いないが、あの体は霊香の物だというのは忘れてはならなかった。

 

 意識は雪女であるが、体は霊香。デュエルのダメージが実際の痛みになるこの闇のデュエルで、もし霊香のライフポイントが0になってしまったら、彼女の体はどうなるのだろうか。

 

 恐らく……いや、それ以上は考えたくない。焔もその考えに至り、刀をとめたんだ。

 

 焔の体と腕が震えるのを見た雪女は、儚げな顔からゆっくりと笑顔になり、最後には腹の底から声を出して笑った。

 

「……ふふ、あは……あははは! やっぱり倒せないわよねぇ!? この子の魂や体は、アンタ達が1番よく知っている子だもの。簡単に傷付く訳にはいかないもんねぇ?」

 

 雪女はわざとらしく焔に顔を近づかせ、否が応でも霊香の顔と体である事を認識させられた。

 

 絶対に攻撃出来ない事を盾にされ、霊香の体と魂を弄ぶ様な態度に俺と焔は胸の奥から熱い怒りが込み上げ、焔は怒りのままに叫び、デーメーテールに向かって行き場のない怒りをぶつけるように炎の斬撃を放った。

 

「くっ……くっそぉぉぉぉぉぉ!!!」

 

「待て焔落ち着け!!」

 

「【デーメーテール】の効果で戦闘ダメージは私が受けますが、【豊穣大罪・約束された聖域(ウェルシー・サンクチュアリ)】で戦闘ダメージを回復に変換します。ふふ、ありがとうございます」

 

 さっき不知火の刀の攻撃力は9800……そしてデーメーテールの攻撃力は28000。その差は18200だ。

 

 つまり、ウェルシーは18200のライフを回復すると同時に、デーメーテールの攻撃力は上がっていく。

 

 ウェルシー 残りライフ28000→46200

 

 デーメーテール ATK46200

 

 攻撃力が上がった余波でデーメーテールは周囲に衝撃波を飛ばし、その衝撃波で焔は俺の隣まで飛ばされた。

 

「攻撃力が上がっただけではありませんよ。【デーメーテール】の効果発動。ライフを回復した時、私のライフが10000につき1枚カードをドローします」

 

「という事は……4枚ドローだと!?」

 

「これが私の【豊穣】ですから」

 

 デーメーテールから一滴の水がウェルシーに触れると、ウェルシーのデッキが輝き、デッキの上から4枚のカードがウェルシーの手元へと移動された。

 

「ターン……エンドだ」

 

 悔し混じりのターン終了に焔は唇を噛み締め、あまりの強さに唇から血が溢れ出していた。

 

 その痛みや血に焔は気づいておらず、焔の目には雪女しか映っていなかった。

 

「本当にお人好しねぇ。とっととトドメをさせば……良い……の……に?」

 

 しかし雪女の様子も変だった。言葉の歯切れが悪く、体の重心が保てずにそのままへたりこんでしまい、よく見ると右手には少しだけ赤い炎が燃え移っていた。

 

「は? 何これ……っぁ!?」

 

 赤い炎を握り潰して消した雪女が急に苦しみ初め、息が荒くなった。

 

 焔の炎が想像以上のダメージを与えたのか、雪女は地面に蹲り、頭を抱えて痛みに堪えるような鈍い声をあげ、やがて魂が抜けたかのように動かなくなった。

 

「このっ……なんなのよ! アンタ、私に体を譲ったんでしょ!? それなのになんでっ!?」

 

 雪女はウェルシーではなく、自分の体に対して怒っていた。

 

 まるで体の中から何かを飛び出すのを抑えているような感じだ。雪女は必死に胸を掴むようにして手を添え、やがて抵抗する力はゆっくりと無くなってそのまま倒れてしまった。

 

「おや、どうやら焔ちゃんの攻撃で霊香さんが魂が少し目を覚ましたようですね」

 

「霊香が!? おい霊香! 無事か!!」

 

 焔が霊香の名前を叫んでも、霊香は倒れたまま動かなった。

 

「おかしいですね……霊香ちゃん自身が望んだと言うのに、とにかくこれ以上デュエルを続けるのは無理そうですね」

 

 ウェルシーが指を鳴らすと、デーメーテールの植物のツタが霊香の身体を抱き起こし、背後に生まれた黒い穴へと霊香をゆっくりと運ばれて行った。

 

 焔は霊香を取り戻そうと再度フィールドに足を踏み入れたが、デーメーテールの左腕が数多の枝を生み出させ、無数の枝が焔に向かっていき、焔は不知火の刀から出る炎で全てを焼き尽くしたが、足を止めたせいで霊香の体は闇の穴へと吸い込まれていき、穴は小さくなり始め、もう焔の体が入り切らない大きさになっていた。

 

 それでも焔は走り、まだ吸い込まれていない霊香の手へと腕を伸ばすが、ほんの僅かな距離が届かず、穴は消えて焔は虚しく虚空の空気を掴んだ。

 

「くっそぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!」

 

 焔は憤怒の叫びを上げ、震える呼吸をしながらウェルシーを睨んだ。

 

「そんなに睨んでも呼び戻しませんよ。それに暴力厳禁です。だから平和的にデュエルで解決しているんですから」

 

「ぜってぇ霊香を助けてやるからな」

 

「助けるですか……果たして、霊香ちゃんがそんな事望んでいるのでしょうか?」

 

「んだと?」

 

「ふふふ。さぁ、デュエルを再開しましょう。ここから先は、2対1なんですから」

 

 ウェルシーはまた不気味に笑い、まだまだこの氷に閉ざされたデュエルは続く……

 

 




新規カード紹介

【魔妖壊劫ー絶氷氷襲】 フィールド魔法
このカード名の①の効果は1ターンに1度しか発動出来ない。

①:自分、相手メインフェイズに発動できる。相手フィールド上のモンスターの攻撃力と守備力を0にする。

②:1ターンに1度、自分の墓地に存在する『雪女』と名のつくモンスターを対象にして発動する。そのモンスターの種類と召喚条件に応じたモンスターを墓地から除外する事で、対象のモンスターをその召喚方法扱いとして墓地から特殊召喚出来る。

③:このカードが表側で存在する限り、攻撃力が0のモンスターの効果は無効化され、墓地に送る効果はEXデッキからでも墓地に送れるようになる。
この効果で墓地に送られた自分が発動する同名カードの効果は、墓地に存在する限り無効化される。


【垂氷の追憶】通常魔法

・このカードは魔妖カードとしても扱う。

①:1ターンに1度発動出来る。フィールドの表側で存在する攻撃力0のモンスターの数まで、デッキから墓地に送る事が出来る。この効果を発動した後、このターンのエンドフェイズまで自分はフィールド以外からカードを墓地に送れない。

②:自分フィールドのアンデットモンスターが、相手の効果によってフィールドから離れる場合、墓地のこのカードを除外できる


【絶氷の魔妖ー雪女】
LINK5/水属性/アンデッド/ATK3500 ↑↓↙️↘️→
アンデット族モンスター3体以上

①:「絶氷の魔妖-雪女」は自分フィールドに1体しか表側表示で存在できない。

②:このカードが表側で存在する限り、自分フィールドで墓地から特殊召喚されたモンスターは効果の対象にならない。

③:相手がモンスターを特殊召喚した場合発動出来る。その召喚を無効にして破壊する。この効果はフィールドにいる攻撃力0のモンスターの数まで発動出来る。


﹁ウェルシーカード﹂

【豊穣大罪・デーメーテール】
レベル10/闇属性/植物族/ATK????/DEF????

・豊穣大罪・デーメーテールはフィールド上で1体しか存在できず、自分フィールドの植物族モンスターを3体以上リリースした時のみ特殊召喚出来る。

①:このカードの攻撃力・守備力は、自分のLPと同じ数値になる

②:このカードが表側で存在する限り、このモンスターで発生する戦闘ダメージは自分が受ける。

③:自分のLPが10000以上の場合、自分フィールドの『豊穣滞在』カードは相手のカード効果を受けない。

④:自分のLPが回復した場合発動出来る。自分のLPの10000につき、1枚カードをドローする。


【豊穣大罪・ゲオルキガ】 通常罠

自分のライフが10000以上ある場合、このカードは手札から発動出来る。

①:1ターンに1度、自分の墓地に存在する『植物族』又は『大罪』モンスターを任意の数特殊召喚する。その後、特殊召喚したモンスターの攻撃力と守備力の高い数値の合計分の効果ダメージを受ける。


【豊穣大罪・約束された聖域】 永続罠

①:1ターンに1度、自分が戦闘・効果ダメージを受ける場合発動出来る。その数値分のダメージを無効にし、その分自分のLPを回復する。

②:表側表示このカードが存在し、自分のLPが回復した場合発動出来る。自分のLP10000につき、フィールドのカードの効果をエンドフェイズまで無効にする。

﹁人体大罪カード﹂

【人体大罪・悪夢】 通常罠

①:相手がモンスター・魔法・罠を発動した場合発動できる。自分のLPを2000払い、その効果を無効にして破壊する。

②:相手が『人体大罪』の効果によって手札を捨てた、またはカード効果を無効にされた場合発動出来る。墓地のこのカードをセットする。この効果でセットしたこのカードがフィールドから離れた場合、このカードを除外する。


【人体大罪・犠牲】 永続罠

①: このカードが表側で存在する限り、自分が『人体大罪』カードを発動する場合、相手が以下から選んで発動する事が出来る。この効果は、1種類につき1回発動出来る。

・相手はライフを2000払う。
・相手は手札を1枚除外する。
・相手はフィールドのカードを1枚効果を無効にする。

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