六花テーマを作って愛用したらそのまま俺への愛が重くなった件について   作:白だし茶漬け

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雪は燃えず戦士は何人をも倒す

頭の中が多くの考えによって支配されていた。

自分の事、【閃刀姫】の事、そして…この世界の事…

いつも住んでいる自分の世界が少しづつ崩れていくような感覚だった。

割れたガラスのように粉々に崩れ、二度と直すことが出来ないように、この少しづつ変わる世界はもう二度と前のような世界には戻らないのだろうか?

 

「おい、なにぼうっとしてるんだ?あっちはもう始めてるぜ。」

 

炎山に肩を揺すられ、俺は考えを中断される。炎山は後ろにいる機羽とレイのデュエルを親指で指していた。

今回の準々決勝は同時進行で行い、機羽のデュエルはもう始まっていた。

「どうした?何か考え事か?」

 

「…別に何でもない。」

 

言える訳が無かった。言ってもどうにもならないと思った。デュエルモンスターズの精霊が見えて、少しづつ俺と知ってる世界と離れて行ってるこの世界…明らかにスケールが大きくなっており、炎山には話しても無駄だと感じていた。だからこの問題は俺の中で完結させるしか無かった。

頭の考え事がまだ張り詰める中、俺は机に座り、炎山とのデュエルの準備を進めた。炎山は納得のいかない顔をしながらも同じようにデュエルの準備を進めた。

お互いのデッキを渡し、シャッフルを始める。その時、俺はうっかりジンのカードをバラバラに落としてしまう。ばらけたカードが机の上に広がり、急いでカードを集め直す。

 

「お前…本当にどうした。」

 

炎山が目を細めて俺の事を聞いてくるが、おれはそれを無視して炎山のカードを集め終え、シャッフルしてから炎山にデッキを返す。炎山は何か言いたそうな顔をしていたが、俺は見て見ぬふりして自分のデッキを手に取る。

 

「ま、考え込むのも良いけどな…そんなんばっかじゃ損するぜ。」

 

炎山の言うことは最もだ。過ぎたことを考えるのは仕方ないと分かっている。だが、夢に出てくる六花立ちや閃刀姫達の事を考えるとどうしても俺の心を掴んで離さなかった。だからどうしても思い詰めてしまうのだ。

 

「そんじゃ!そろそろ始めるか!」

 

炎山が二つのダイスを取り出し二つダイスを降り始めた。炎山はコイントスよりもダイスの目が多い方が先行後攻を決めるタイプなのでいつもダイスを持ち歩いてる。炎山が出した目の合計は4がふたつの8だ。炎山のダイスを借り、俺はダイスを振る。俺が出した目は2と4の6だ。これにより炎山は先行後攻どちらか決められる権利を得た。

 

「うし、じゃぁ俺は先行をとるぜ。」

 

先行が決まり、お互いデッキからカードを5枚引きデュエルが始まる。

 

「「デュエル!」」

 

桜雪花衣 vs 炎山焔

LP8000 LP8000

 

「頑張って下さい!花衣さん!」

 

近くから元気いっぱいの咲初の声が聞こえ、咲初の方に振り返り、目が合うと咲初は小さく手を振った。それを見た大会参加者が俺と咲初が付き合っていると誤解してるのか、野次馬の如く、ヒューヒューとわざとらしく口笛を吹いてからかっていた。

 

(…凄く恥ずかしい。)

 

勘違いと恥ずかしさが混じり、五枚の手札で俺は顔を隠した。

 

「なぁなぁ霊香、俺にも応援を…」

 

「どうして貴方の応援をする必要があるのかしら?」

 

「ですよねー!」

 

白井の冷たい返しを予想するように炎山は諦めてデュエルに集中した。しかし、この後意外な展開が起こった。

 

「ま…無様な負け方だけはしないで。貴方に負けた私が凄く弱い奴だと思わられるのも嫌だから。」

 

「…へ!そんなへまするかよ!行くぜ!俺のターン!」

 

あれは…白井なりの応援だろうか?結果、炎山が更にやる気を出したようで、このデュエル…更に油断出来ない状態になった。機羽の方は…どうだろうか…

 

 

 

 

 

 

 

 

あっちはようやく始めたらしいな。花衣と焔のデュエルより先に始めたから、俺とレイのデュエルはアイツらよりも進んでいる。今は俺の5ターン目…何とか咲初のようなワンターンキルは逃れたが、状況がきつい。

 

機羽残りLP 3500

 

フィールド

RR-レヴォリューション・ファルコン 守備表示

 

魔法・罠ゾーン

伏せカード1枚

 

レイ残りLP6000

エクストラモンスターゾーン

閃刀姫-シズク

 

魔法・罠カード

閃刀機関-マルチロール

 

あいつの墓地には"モンスターゲート"で落とした34枚の魔法カードがある。そしてエクストラゾーンに"閃刀姫-シズク"がいる。

こいつは魔法カード1枚につき100ポイント相手の攻撃力と守備力を下げるモンスターだ。つまり俺のモンスターの攻撃力と守備力は

3400下がる。

俺のレヴォリューションファルコンの攻撃力は2000、守備力は3000だ。つまり…俺のレヴォリューション・ファルコンの攻撃力と守備力は共に0だ。

だがレヴォリューション・ファルコンには特殊召喚された相手のモンスターの攻撃力をダメージステップ時に0にする効果がある。迂闊に手は出せないはずだが…

 

「私は装備魔法"レインボー・ヴェール"を"閃刀姫-シズク"に装備。これにより装備モンスターとバトル場合、バトルフェイズの間、その相手のモンスターの効果は無効化されます。」

 

「こいつ…どれだけの魔法カードを積んでいるんだ!?」

 

レイのデッキの枚数は恐らく60枚…その中にこいつはどれ程の種類の魔法カードを積んでいるんだ…?

"レインボー・ヴェール"により、俺の"レヴォリューション・ファルコン"の効果は無効化され、"閃刀姫-シズク"の効果は無効化され、攻撃力はそのままになる。

 

「バトル!私は"閃刀姫-シズク"で"レヴォリューション・ファルコン"を攻撃!」

 

通常なら"レヴォリューション・ファルコン"の効果で攻撃力0になるはずだが…"レインボー・ヴェール"で無効化され、シズクの効果で守備力が0になった"レヴォリューション・ファルコン"は…破壊される。

 

「まさか"レヴォリューション・ファルコン"が戦闘で破壊されるとはな。」

 

「空〜!まだまだこれからだ〜!」

 

「言われなくても!速攻魔法"RUM-デス・ダフルフォース発動!このターンで破壊された【RR】エクシーズモンスターを特殊召喚し、そのランクの倍のエクシーズモンスターを対象のモンスターの上に重ねてエクシーズ召喚扱いして特殊召喚する。」

 

雀の激励を受けながら、予めセットしておいたデス・ダブル・フォースを発動させ、レヴォリューション・ファルコンをランクアップさせる。レヴォリューション・ファルコンのランクは6…つまりその倍、ランク12のモンスターを特殊召喚する。

 

「来い!ランク12"RR-ファイナル・フォートレス・ファルコン!」

 

RR-ファイナル・フォートレス・ファルコン

ランク12/鳥獣族/ATK3800/DEF2800

 

「更にこいつは【RR】モンスターをエクシーズ素材にしている時、このカードは他のカード効果を受けない。お前のシズクの効果は受けず、フォートレス・ファルコンの攻撃力は変わらず3800だ。」

 

「関係ありません。そんな鉄くずの鳥如き…スクラップにしてあげます。」

 

帽子越しから垣間見るレイの鋭い眼光が、刀のように俺の体を切り刻むようだった。

なんだこいつ…一体こいつは…なんなんだ?

 

「絶対勝つ…勝ってあの人に…」

 

小さく呟いた言葉が俺の耳にギリギリ届いた。あの人…って…誰だ?まるでここにいること自体がその【あの人】に会うためにいるかのような感じだ…異質…それ以外に感じられなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

炎山とのデュエルに数ターンが立ち、状況は炎山に傾いていた。【不知火】に限らず、アンデッド族は墓地に送られてからが本番なので、いくらこちらがモンスターをリリースしても、炎山にとってはアドバンテージにもなってしまう。

その結果、炎山のフィールドには真紅眼の不屍竜(レッドアイズ・アンデッド・ネクロドラゴン)と戦神-不知火が存在し、フィールド魔法に"アンデッド・ワールド"があった。これにより真紅眼の不屍竜(レッドアイズ・アンデッド・ネクロドラゴン)の攻撃力が上がり、俺のモンスター達はことごとくやられてしまった。

 

「ふぃ〜リリースには手こずったがもうこっちのもんだ!俺は"戦神-不知火"で"アロマセラフィー・ジャスミン"に攻撃!」

 

「罠カード発動!"攻撃の無力化"!その攻撃を無効にしてバトルフェイズを終了させる!」

 

「うぉ、まさかそれ詰んでるのか…」

 

中々強そうだから積んでおいて良かった…だが状況は最悪だ。俺の場にはジャスミン一体しかおらず、他のモンスターは炎山のモンスターにって破壊されてしまった。

 

桜雪花衣 残りLP 2600

 

手札

六花精エリカ

ワンフォーワン

光の王マルデル

 

エクストラモンスター

アロマセラフィー・ジャスミン

 

魔法・罠カードゾーン

エクシーズ・リボーン(伏せ状態)

 

 

炎山焔 残り 6200

 

手札2枚

 

フィールド

真紅眼の不屍竜(レッドアイズ・アンデッド・ネクロドラゴン)

戦神-不知火

 

魔法・罠カードゾーン

1枚(伏せ状態)

 

炎山の場のモンスターは攻撃力が3000の戦神とアンデッド・ワールドにより俺のフィールドと墓地のモンスターは全てアンデッド族となり、攻撃力が4200にまでアップしている真紅眼の不屍竜(レッドアイズ・アンデッド・ネクロドラゴン)がいる。今の手札ではこの状況を突破出来ない。それどころか、このターンでどうにかしなければ俺は確実に負ける。

 

 

 

「俺は魔法カード"墓穴の指名者"を発動。相手の墓地にあるモンスターを指定し次のターン終了までそのカードと同名カードの効果を無効にする。俺が指定するのは…"六花のひとひら"だ!」

 

「何だって!?」

 

ひとひらは相手のエンドフェイズ時に墓地から特殊召喚する効果があり、俺のデッキの重要な要のモンスターだ。だがその効果が無効化されたら墓地からの特殊召喚は不可能…逆転への道筋が閉ざされていくのを目に見えたようだった。

 

「俺のターン…ドロー…!」

 

引いたカードは"貪欲な壺"だ。

このカードは自分の墓地のモンスター5枚をデッキに戻し2枚ドローできるカードだ。

ここで発動して賭けるにしても状況が悪くなると考えるとどうしても発動を躊躇う。伏せてある"エクシーズ・リボーン"で墓地にあるティアドロップを復活させてレッドアイズをリリースする?いや、伏せカードもある…もう終わりなのか?

 

諦めていたその時、墓地のカードが何故か蠢いたいたのが見えた。墓地にあるカードの下から、ひとひらがようやく出れたと言ってるように大きな息を吐いて出てきた。

 

「ひ…ひとひら?」

 

墓地のカードの山からようやく出られたひとひらはまるで何か言ってるように墓地のカードと自分の方に指を指した。

 

「お前を使えって言ってるのか?無理だ…お前は"墓穴の指名者"で効果を無効にされている。お前を使うのは…」

 

しかし俺の考えは外れていた。ひとひらは俺の言う事を間違ってると言うように、激しく首を横に振った。そしてもう一度墓地に指を指し、最後に自分に指を指した。

訳が分からない…ひとひらは一体何を伝えようとしている?自分を使えないのが分かっているなら…誰を使えば良いんだ?墓地…ひとひら……レベル1?

 

ひとひらのレベルは1だ。つまり墓地にいるレベル1モンスターを使えという事か?墓地を確認してひとひら以外のレベル1モンスターを探す。

該当するモンスターは"六花のひとひら"だけだ。しかし、俺の考えはまた間違っていた。ひとひらはそれじゃないと言うように首を横に振る。

 

「これも違うのか?」

 

しかし何なんだ?墓地にレベル1、ここまでは俺の直感では合っていると言っている。墓地とレベル1…レベル1?俺は手札にある"ワンフォーワン"のカードを見る。

こいつは手札のモンスターカードを1枚墓地に送り、デッキからレベル1のモンスターをデッキか手札から特殊召喚出来る魔法カードだ。俺のデッキにいるレベル1のモンスターは、"六花のひとひら"と"イービル・ソーン"そして、" 薔薇恋人(バララヴァー)"がいる。

 

「…そうか。そういう事か…!」

 

僅かな光明が見え始め、俺はデュエルに集中する。その姿を見たひとひらは安心したように頷きながら消えていった。ひとひらが見つけ出したこの道に、今は進むしかない。

 

「俺は魔法カード"ワンフォーワン"を発動。手札の"六花精エリカ"を墓地に送り、デッキからレベル1モンスター"薔薇恋人(バララヴァー)を"アロマセラフィー・ジャスミン"のリンク先に特殊召喚する。」

薔薇恋人

レベル1/植物族/ATK800/DEF800

 

「更に"アロマセラフィー・ジャスミン"の効果発動。このカードのリンク先にいるモンスターをリリースする事でデッキから植物族モンスターをデッキから守備表示で特殊召喚する。俺はリンク先の"薔薇恋人"をリリースし、デッキから"イービル・ソーン"を特殊召喚。」

 

イービル・ソーン

レベル1/植物族/ATK100/DEF300

 

「リリースして壁モンスターを作る気か?だがな、そんな事じゃ俺は止められないぜ!」

 

確かに壁モンスターを作っても真紅眼の不屍竜(レッドアイズ・アンデッド・ネクロドラゴン)の効果がある。

あのカードは、自分の他のアンデッド族が破壊された時、自分か相手の墓地にあるアンデッド族のモンスターを一体自分のフィールドに特殊召喚できる効果がある。

俺のモンスターは植物族だが、フィールド魔法"アンデッド・ワールド"はフィールド上と墓地にあるモンスターを全てアンデッド族になる効果がある。俺のフィールドと墓地は今アンデッド族として扱われてる状態だ。

つまり、炎山が俺のモンスターを破壊したら墓地からモンスターか召喚され、俺のライフは終わる。

だからこそこのターンで決着をつかなければならない。

 

「そんなつもりは無い!俺は魔法カード"貪欲な壺"を発動。墓地のモンスター五体をデッキに戻し2枚ドローする!」

 

もうこれを発動したら俺の手札は無い。更に俺が墓地に残すのは"六花精ヘレボラス"だ。

むしろこうしないと俺の勝ち目は無い。どちらにしろ、俺のこのドローが勝敗が決まるのだから。俺が引くべきカードは2枚。その2枚を引かなければ…俺は、デッキの1番上に指を置く。押し寄せる緊張感と引けなかった時の少しの恐怖が重なり、心臓の鼓動が早まり、呼吸も無意識の内に止まる。だが…それを楽しんでる俺がいた。

 

「…行くぞ焔!」

 

無意識に炎山を名前で呼び、俺は目を瞑ってカードを引く。ドローカードを確認する為、閉じていた目を開く。

 

「…来てくれたか!」

 

"六花精プリム"を引き、2枚目は絶対的な自信を胸にカードを引けた。2枚目は…チューナーモンスター"コピー・プラント"だ。これだ…これで勝機が見えた!

 

「俺は、"イービル・ソーン"の効果発動!このカードをリリースし、相手に300のダメージを与え、デッキから同名カードをデッキ特殊召喚する。」

 

炎山焔 残りLP6200→5900

 

「更にモンスターがリリースされた事により、手札の"六花精プリム"は特殊召喚が出来、墓地にある"六花精エリカ"を墓地から守備表示で特殊召喚出来る!」

 

六花精プリム

レベル4/植物族/ATK800/DEF1800

 

六花精エリカ

レベル6/植物族/ATK2400/DEF1000

 

これで俺の場にはイービル・ソーンが2体とプリムとエリカの4体となった。

 

「まさかあそこから4体も出すとはな…だが、俺の場にはお前が墓地にモンスターを送ったおかげで攻撃力が4600に上がったレッドアイズと攻撃力3000の戦神-不知火がいる。更に…墓地にある"不知火流-才華の陣"を除外し、自分のアンデッド族一体は自身のカード効果しか受け付けなくなる。俺は真紅眼の不屍竜(レッドアイズ・アンデッド・ネクロドラゴン)にその効果を加える。これでお前の"ティアドロップ"の効果でリリースは出来ない。」

 

これにより、真紅眼の不屍竜(レッドアイズ・アンデッド・ネクロドラゴン)はティアドロップの効果ではリリース出来なくなり、戦闘での破壊しか出来なくなった。打点ではエリカの効果を使えば何とか上回る事が出来るが、決定打にはならない。

 

「さぁ、全力で来い!」

 

「あぁ、お望み通り全力で行くぞ!俺はチューナーモンスター"コピー・プラント"を通常召喚!」

 

「チューナー!?」

 

俺のデッキは【六花】だ、エクシーズやリンク召喚が中心なのでまさかチューナーモンスターが入っているとは炎山は思わなかっただろう。そしてチューナーモンスターがいるということは、シンクロモンスターもいるという事だ。

 

「"コピー・プラント"のモンスター効果発動。自分フィールドの植物族モンスター1体を対象に、そのモンスターのレベルと同じにする。俺が対象にするのは"六花精・プリム"だ。」

 

これによりコピー・プラントのレベルは1から4へと変わる。

 

「更に"六花精プリム"の効果発動!自分の植物族モンスター2体まで選択し、そのモンスターのレベルを二つ上げる。俺は、"六花精エリカ"を選択し、レベルを6から8に上げる!」

 

「おいおい…何する気だ?」

 

「俺はレベル4のプリムとレベル1の"イービル・ソーン"にレベル4となった"コピー・プラント"をチューニング!」

 

「レベル合計は9か…まさかとは思うが…」

 

炎山は何か思い当たる節があるような顔をしたが、恐らくその考えは当たっている。

 

「来い!レベル9 氷結界の龍 トリシューラ!」

 

氷結界の龍トリシューラ

レベル9/ドラゴン族/ATK2700/DEF2000

 

「六花でそいつが出てくるのかよ…」

 

「言っただろ、デッキを新しくしたって。まぁ、変わり種見たいな物。トリシューラの効果発動!このカードがシンクロ召喚に成功した時、手札、フィールド、墓地のカードをそれぞれ1枚除外させる。」

だが、炎山のデッキは【不知火】だ。除外すると効果が発動され、返って俺に不利な状況が作り出させる。今ここで俺が除外するカードはあれだ…

 

「俺は魔法カード"アンデッド・ワールド"、更にお前の墓地の"牛頭鬼"を除外する。」

 

「くっ…"アンデッド・ワールド"がフィールドに離れた事により、お前の墓地は植物族に戻り、更にアンデッド族の"牛頭鬼"が墓地から離れた事から真紅眼の不屍竜(レッドアイズ・アンデッド・ネクロドラゴン)の攻撃力は下がる。 」

 

俺の墓地にいるモンスターはこのターンに墓地に送られたモンスターを除くと11体だ。更に炎山の墓地からアンデッド族が一体離れたことにより、攻撃力は1200ポイント下がる。

 

真紅眼の不屍竜(レッドアイズ・アンデッド・ネクロドラゴン)ATK4200→3000

 

「くそ…不知火を除外しすぎたか…」

 

炎山の除外ゾーンには多数の不知火モンスターがいる。その為、炎山の墓地にいるアンデッドモンスターは8体ほどしか存在していなかった。

 

俺のターンは終わらない。俺の場には、"氷結界の龍トリシューラ"、"イービル・ソーン"とレベル8となった"六花精エリカ"がいる。そして手札にはまだマルデルが残っており、墓地には"薔薇恋人"がいる。

 

「墓地にある"薔薇恋人"の効果発動。このカードを除外する事で、手札にある植物族モンスター、"光の王マルデルを特殊召喚する!」

 

光の王マルデル

レベル9/植物族/ATK2400/DEF2400

 

「マルデルの効果発動。このカードが召喚、特殊召喚に成功した時、デッキから植物族モンスターを1枚手札に加える。俺は、もう1枚の"六花精エリカ"を手札に加える。」

 

マルデルの効果は本当は植物族か【ジェネレイト】と言うカードを手札に加える事が出来るが、俺はそんなカードを持っていない。だが、問題は無い。

これで俺の場には4体のモンスター…だがまだいける。

 

「俺は墓地にある"六花精ヘレボラス"の効果により、フィールドの植物族モンスターをリリースする事でこのモンスターを守備表示で特殊召喚する。俺は"イービル・ソーン"をリリースして特殊召喚!」

 

「ヘレボラスは確かレベル8…ん?確かエリカはプリムの効果でレベル8に…まさか!」

 

ヘレボラスのレベルとエリカのレベルが同じになった事に気づいた炎山はこの後の展開を読み、自分に起こる今後の展開を予測した。

 

「そうさ、プリムの効果を使ったのはこの為だ!俺はレベル8のヘレボラスとレベル8になったエリカでオーバーレイ!もう分かるよな?俺が呼び出すのは"六花聖ティアドロップ!」

 

六花聖ティアドロップ

ランク8/植物族ATK2800/DEF2800

 

「更に罠カード"エクシーズ・リボーン"発動!自分の墓地にあるエクシーズモンスターを一体対象にし、そのモンスターを特殊召喚し、このカードをエクシーズ素材とする!俺が墓地に召喚するのは"六花聖カンザシだ!」

 

六花聖カンザシ

ランク6/植物族/ATK2400/DEF2400

 

「バトルだ!俺は"六花聖ティアドロップ"で真紅眼の不屍竜(レッドアイズ・アンデッド・ネクロドラゴン)に攻撃!」

 

「おいおい!真紅眼の不屍竜(レッドアイズ・アンデッド・ネクロドラゴン)の方が攻撃力が上なんだぜ!どうする気だ!」

 

確かにティアドロップの攻撃力は2800、対して真紅眼の不屍竜(レッドアイズ・アンデッド・ネクロドラゴン)の攻撃力は3000となっている。このままでは勝てない。そう、このままではな。だからこそ俺の手札にエリカがいるんだ。

 

「この瞬間、マルデルの効果で手札に加えた"六花精エリカ"のモンスター効果発動!このカードをリリースする事で攻撃してる植物族モンスターの攻撃力は1000ポイントアップする!」

 

「そういや手札に加えてたな…よっしゃ!思い切り来い!」

 

自らの負けを悟った炎山はその事実を拒もうとせずに、真正面から受け止めるように笑った。

 

そして、ティアドロップの攻撃力はエリカと自身の効果により攻撃力は1200上がり、攻撃力は4200となった。

真紅眼の不屍竜(レッドアイズ・アンデッド・ネクロドラゴン)との戦闘ダメージは炎山が1200のダメージを受ける。

 

炎山 残りLP5900→4700

 

俺の場にはトリシューラ、カンザシ、マルデルがいる。

三体のモンスターの攻撃力の合計は…7500だ。このダイレクトアタックが決まれば炎山の敗北だ。

 

「俺は残りのモンスターでダイレクトアタックだ!」

 

「あ〜くそぉ!負けちまったか〜!」

 

言葉とは裏腹に何処か満足そうに笑いながら炎山は天井を見上げて負けを認めた。

 

炎山 残りLP4700→0

 

勝者 桜雪花衣

 

「あーあ!まさかこんなに早くお前に負けるとはな!…まぁ、楽しかったぜ!」

 

負けたのにも関わらず炎山は満面の笑みで勝負終わりの握手を求め、右手を出てきた。俺はそれにつられ、炎山と握手を交わした。

 

「…負けたのになんだが満足そうだな?」

 

そうだ、負けたら誰だって悔しい筈なのに、炎山からはそれを微塵も感じない笑顔だった。俺の質問に、炎山はキョトンと目を丸くして否定するように左を振った。

 

「いやいや負けたら悔しいぜ。くっそ〜!次は絶対勝つってな。ウジウジしてても仕方ないだろ?」

 

炎山の問は俺への宣言でもあった。「次は負けない」と、炎山は俺の目を見てそういった。

 

「うん…次も負けないようにするよ。」

 

「言ってくれるな?」

 

俺は炎山の宣言を聞いて、握手の力を強めたのと同時に心の気張りの紐も強く縛る。炎山との勝負が勝ったからと言って、終わりでは無い。次は炎山も負けまいも勝負に出るだろう。その事に脅威と楽しみを感じながら、俺と炎山は互いに笑いあった。

 

「二人ともお疲れ様です!とても良い勝負でしたよ!」

 

俺たちのデュエルを見届けていた咲初が拍手をしながら俺たちに近づいてきた。それとは対に、白井は何も言わずにただ咲初について行くように俺たちに近づいてきた。

 

「お疲れ様。中々良いデュエルだったわね。」

 

「へへ…さてと、空のデュエル見に行こうぜ。多分終わってるだろ。」

 

確かに、後から始めた俺たちのデュエルが終わったので先に始めた機羽のデュエルは終わってる筈だ。

 

「うん、じゃあ行こうか炎山。」

 

「…ん?名前で呼ばないのか?」

 

「何言って…あ。」

 

そうだ。俺はデュエルの最中、炎山の事を焔と名前で呼んだのだ。それは当の本人の炎山も聞いていた。

でもあれは勢い余っての事なので、いきなり苗字呼びから名前に変えるのは些か抵抗と戸惑いがあった。

 

「ま、いいや。名前で呼びたくなったらそん時呼んでくれ。」

 

「ごめん…」

 

「良いんだよ。ほら、行くぞ行くぞ。」

 

俺たちは機羽とのデュエルの結果を見る為に移動した。機羽なら勝っている、俺はそんな淡い確信を抱いていたが、それは間違いだと告げるように俺はデュエルの結末を見た。

 

「私は速攻魔法"リミッター解除"を発動。このカードは、自分の機械族モンスター一体の攻撃力を2倍にします。私は"閃刀姫-カガリ"の攻撃力を2倍にさせ攻撃力は…8800になります。」

 

「くそ…墓地肥やしからのその魔法はきつい…」

 

「言いましたよね?そんな鉄くずの鳥は…スクラップにするって!…私は"閃刀姫-カガリ"で"RR-ファイナル・フォートレス・ファルコン"に攻撃!」

 

「くそ…負けた…!」

 

機羽残りLP3500→0

 

機羽とレイとのデュエルはレイの勝利で幕を閉じた。

これにより俺の決勝戦の相手はレイとなった。

 

「すまない…負けてしまった。」

 

自分の敗北の悔しさで満ちた顔で俺たちに謝罪した。その顔を見て、俺は何も言えずにいた。

 

「…そっちはどっちが勝った?」

 

機羽の質問には炎山が俺に指をさして答えた。機羽は俺の肩を叩き、レイと戦って分かった事を俺に伝えた。

 

「…あのレイって奴のデッキは恐らくほとんどの魔法カードが強化系だ。攻撃力を底上げして一気に畳み掛ける戦法だ。」

 

「そんなのどうしろって…」

 

攻撃力の底上げをされたら俺の六花では歯が立たない。六花の元々の攻撃力は低めであり、純粋な戦闘では勝てない。つまり勝つには効果で責めるしかなかった。

 

「"王宮の勅命"とかの魔法カードの発動を無効にするカードがあれば良いがな。…デッキに入れてるか?」

 

そんなの入ってる訳ない。俺は首を横に振って否定した。やはりかと言ってるように機羽は目線をそらし、肩を落とした。

 

「六花にはリリースがある。それと…お前のデッキにはまだまだ変わり種があるんだろ?」

 

デュエルをしながらも俺と炎山との対戦を見ていたのか、機羽は俺のデッキが変わってる事に気づいていた。

 

「それともうひとつ…あいつ…他の奴とは何かが違う。そこにも気をつけてくれ。」

 

それは充分分かっていた。あのレイが使うカードからにはなんとも言えない圧が放たれていた。機羽自身は自分の直感でそう感じていた。

そして咲初のモンスター、"アロマージマジョラム"が言ってた事が正しければ、あのレイの正体は"閃刀姫-レイ"だと言う。ほとんど確信に近い物を持っていたが、決勝戦ではその正体を表すのだろうか…。

 

(やっぱり…ここまで来ましたね…嬉しいですよ。)

 

帽子越しのレイが妖しく笑っていたかのような気がした。そして、決勝戦への時間は着々と近づいていった。

ここまで(〜90話)出てきたレゾンカードの中で強いと思うのは?

  • 六花聖華ティアドロップ、カイリ
  • 閃刀騎-カイムと閃刀騎-ラグナロク
  • 銀河心眼の光子竜
  • RRRリノベイルイグニッションファルコン
  • 炎転生遺物-不知火の太刀
  • 常闇の颶風
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