六花テーマを作って愛用したらそのまま俺への愛が重くなった件について   作:白だし茶漬け

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MDに来てしまいました、最強罠のトランザクション・ロールバックが。

これでラビュリンスは更に強くなってしまった(白目)

魔妖不知火語で対抗するしかねぇ


第10章〜邂逅〜
休息


 

 蟲惑魔の森で起きた出来事から数週間が経ち、俺たちはまたいつも通りの生活に戻った。

 

 もっとも、今の時期は少しばかり忙しい生活だ。何しろ学生生活の一大イベント、文化祭があるのだから。

 

 学内はいつもより大きく賑わっており、放課後いつも帰る生徒も教室に残ってクラスの催しの為に、朝からホームルームを使ってその話し合いをしていた。

 

 今回俺達がやるのはコスプレ喫茶だ。男子達の熱い要望によってそうなってしまい、その役割分担を出来れば今日決めたい限りという状況であり、今先生が黒板に主な役割を書いていた。

 

 黒板にはメインの接客、裏で調理する人、買い出しと3組に別れていた。

 

「んじゃ、さっさと決めるぞ〜まずメインの接客からやりたい人はいるか〜? コスプレ喫茶だから、コスプレしないとダメだぞ〜」

 

 メインの接客だからか、女子を中心に少し手を上げる人が多いが、クラスの男子は速攻でレイ達に顔を向けたが、肝心のレイ達は手をあげようとはせず、このまま接客の奴が決まってしそうな勢いになっていた。

 

 このままではまずいと思ったのか、ロゼの近くの席の奴がロゼに恐る恐る声をかけていた。

 

「お、おーいロゼちゃん。な、なんで手を挙げないのかな……?」

 

「花衣が居ない所に手を挙げる必要がある? それと貴方誰? 消えて」

 

 ロゼの真紅の瞳の睨みに1人の男子生徒は撃沈し、それでも男子達はレイ達にコスプレをさせようと期待の視線を送ったが、そんな視線に当てられたレイ達は苦虫を噛み潰したような顔を浮かべ、男子生徒達から顔を背けた。

 

「うーん、なんか微妙に少ないな。せめてあと5人ぐらい欲しい」

 

 確かに、午前と午後で交代する人数を考慮すると少し心もとない人数ではあるが、この人数以上に乗り気な人物はいなさそうだ。

 

 なら男子がやれば良いのではと思うが、男性陣は頑なに手を挙げることを拒んでおり、余程レイ達のコスプレ姿が見たいのだろう。

 

 そんな中、マナーモードにしていた携帯から振動音が制服のポケットから鳴った。何か公式での通知が来たのかと思って無視を貫くと、更にまた携帯が震え、また更に携帯が震えると、これは誰かから意図的にメッセージを飛ばしていると考えた俺は先生の目を盗んで机の引き出しの中で隠すように携帯を見た。

 

 そしてそこには、クラスの複数の男子からのメッセージがあり、全部見てみると同じようなメッセージだった。

 

 内容は単に、『レイ達のコスプレを見たいからお前が接客に手を挙げろ』という物だ。

 

 どうやらロゼの態度と言葉で俺が接客に手を挙げれば、レイ達も俺と一緒の行動がしたいと考えたのだろう。その考えは恐らく合っている。

 

 メッセージを見終わった俺は顔を上げると、男子からの酷いプレッシャーが嫌でも感じられた。

 もしここで手を挙げなれば後でとやかく言われるのは目に見え、仕方なく俺が手を挙げると同時に、レイ達も素早く手を挙げた。

 

「お、丁度5人集まったな。じゃあコスプレでの接客はこれで問題ないかー?」

 

「「異議なしー!!!」」

 

 主に男性陣の一致団結した返事により、接客人数は決まった。後は買い出し兼会計係調理組に別れるのだが、特に人気になったのは会計係の方だった。

 

 理由は勿論、レイ達のコスプレ姿をほぼ何時でも見られるからだろう。レジのちょっとした空き時間でレイ達を眺められるられるんだ、まぁ気持ちは分からなくも無かった。

 

 会計係に立候補する人達は多く、このままでは殴り合いにまで発展しそうな程に盛り上がっていた。

 

「うおおお!! レイちゃん達のコスプレを見るんだ! ここは譲られない!」

 

「負けてたまるか!」

 

 こんな欲望に忠実で醜い争いは見た事が無い。これには女性陣もドン引きしており、レイ達も嫌悪の眼差しで男子達を蔑んでいた。

 

 しかし中々男達は譲らず一向に決まらずに騒ぎに騒いでしまい、耳を塞がなければうるさい叫び声が耳を攻撃してきてまさに動物園のようだった。

 

 痺れを切らした先生は教壇を無言で力強く叩き、騒ぎに騒いでいた男子達を黙らせた。

 

「うるさいねアンタらは!! もう高校生なんだからジャンケンとかデュエルとかで手早く勝負付けんかいこの脳ミソバカ猿共がァ!!」

 

 果たして教師が言っていい言葉なのか分からないが、先生の逆鱗に触れた男性陣は怯えた小動物の様に震えながら静かに頷き、さっきまでのデットヒートが沈静化した。

 

 それと同時にホームルームが終わるチャイムが鳴ってしまい、結局分担が決まったのはメインの接客だけとなってしまった。

 

「あぁもう、終わったじゃない。それじゃまた放課後決めるから、それまでには話し合いなさいよ」

 

 ホームルームで決められなかった事に呆れた先生は仕方ないと言いながらため息をつき、そのまま担当授業がある教室へ移動しようとしたが、その前にある事を言ってきた」

 

「そうだ。桜雪、炎山、機羽の3人はちょっと昼休み理事長室に来なさい。理事長から話があるから」

 

「理事長が?」

 

「は? 俺まで?」

 

 まさかの意外な人物からの話に焔と空が俺と顔を見合わせた。

 

 理事長が俺達になんの用があるのだろうか? 理事長とは交流も無く、会うのは始業式とかその辺りの行事にしか顔を見れない程に交流が無く、なんなら顔も覚えてない。

 

 それでも俺や焔と空を読んだのは、それなりの深い理由があるのだろうか? もしくは……焔が何かやらかしたのどっちかだ。

 

 

 

 そしてそんな中でポケットからマナーモードにしている携帯が震えだし、何かのメッセージを受信した。

 

 授業が始まる前にメッセージを確認すると、メッセージを飛ばしたのは花音からだった。

 

 こんな時間に花音からメッセージが来るのは珍しいと思いながらメッセージを開けようとした瞬間、運悪く一限目担当の教師が教室に入ってしまった。

 

 諦めて携帯をしまい、そして人に呼ばれる事に慣れてない俺は、昼休みまで緊張しながら授業を受けることになった。

 

 

 

 

 そして昼休みになり、軽い軽食を済ませた後に理事長室へと移動した俺達3人は、高級そうな漆塗りされた扉の前で立ち尽くした。

 

 足を踏み入れた事の無い空間に立ち尽くした俺達は、どうすれば良いのかも分からず、本当に入ってもいいのかという不安が募っていく。

 

「……誰がノックする?」

 

 不安で思わず2人にそう投げかけ、2人は俺を見ながら1歩後ろに下がった。

 

「ここは言い出しっぺの法則に従おうぜ」

 

「同感だ。お前が始めた物語だ」

 

 言い出した事が墓穴になってしまい、完全に俺が先陣を切る流れになってしまった。

 こういうのは焔がやるべきでは無いのかと心の中で愚痴を零しながら、深呼吸を2回ほどし、軽くドアをノックした。

 

「どちらですか?」

 

 扉の向こうから女性の声が聞こえてきた。

 

 そういえば理事長は女性だったと思いながら、返事を返した。

 

「えーと、2年の桜雪花衣と、炎山焔、機羽空です。担任に理事長が呼んでいるからと来たのですが」

 

「あぁ、待っていたわ。どうぞ入って」

 

 どうやら鍵は空いているようだ。恐る恐るドアノブをひねり、俺はゆっくりと扉を開けた。

 

「失礼します……」

 

 一礼しながら部屋に入ると、そこは教室とは全然違う空気に包まれた空間だった。

 

 壁には綺麗に輝く白い大理石があり、床には赤い絨毯が敷かれて高級感がある。

 

 次に目が行ったのは、この学校の生徒がこれまで集めたトロフィーであり、部屋の真ん中には来客用の机とソファーがあり、机の真ん中には茶菓子が置いてあった。

 

 少し理事長室を見た後、奥の椅子に座っている女性がゆっくりと立ち上がり、俺達を歓迎した。

 

「ごめんね、お昼休みに呼んだりして」

 

 一見短髪だがよく見ると後ろの方で髪を束ねており、長髪の類に相当し、髪は黒の女性が真ん中の椅子まで歩き、俺達を招く様に右手を椅子の方に向けた。

 

「どうぞこちらに座って。お昼休みが過ぎても大丈夫だから」

 

 理事長は柔らかな笑顔で俺達の緊張感を溶かそうとし、俺達はそれに甘えてソファーに座った。

 

 ソファーは物凄く柔らかく、ちょっと座っただけで体が包まれる程でもありながら、最低限の弾力はあり、座り心地は抜群だった。

 

「飲み物があるけど何が良い? ジュースはオレンジやパイナップル、炭酸ならコーラとサイダーもあるし、熱いコーヒーや紅茶もあるわ」

 

「マジすか、じゃあコーラで!」

 

「おまっ……遠慮という事をしろよ」

 

「気にしないで。むしろ飲んでくれないと困っちゃうかも」

 

 理事長は笑顔で焔のリクエストに応えてコップにコーラを注ぎ、俺達の注文を待つようにしていた。

 

「じゃあ……俺は紅茶、ストレートで」

 

「俺はコーヒーを砂糖とミルクをひとつずつで」

 

 俺は紅茶を空はコーヒーを注文すると、理事長はインスタントやティーパックを使わず、専用の機械を使ってコーヒー豆をゆっくりと挽き、紅茶の茶葉が入った容器から茶葉を取り出し、丁寧に紅茶を容れた。

 

 随分と本格的な事に驚き、そんな俺の顔を見た理事長は恥ずかしそうにまた笑顔を見せた。

 

「ごめんね、ちょっと待たせちゃうかもしれないけど、味は保証するから」

 

 こうは言ったが理事長の手際は流れるように止まっておらず、それ程時間がかからない程度で紅茶とコーヒーを完成させた。

 

 失礼して1口飲むと、紅茶の風味が口の中に広がりつつも、後味も申し分ない。茶葉特有の渋みが殆どなく、プロ顔負けの味だった。

 

 空も同じような感想を持ったのか、コーヒーを飲んでは驚きを隠せなかった。

 

「どうかしら?」

 

「美味しいです……いやぁ、本当に」

 

「それは良かったわ。お菓子もあるから、どうぞ食べてもいいわよ」

 

 理事長は机の上の皿を俺達に差し出すようにして動かすと、焔が先にお菓子に手を伸ばし、遠慮なく美味いと言いながら食べていた。

 

 果たしてこいつには遠慮というものが無ければ作法という物がないのだろうか。

 

「さて、そろそろ呼び出した理由について話しましょうか。実は、あなた達3人にはやってもらいたいことがあるの」

 

 そう言って理事長は席をたち、奥にある机の引き出しから何かの資料を俺に手渡した。

 

「読んでみて」

 

 理事長に言われて俺達は資料を開くと、そこにあるのは文化祭についての資料だった。

 

 文化祭についての計画や担任での持ち場や何かあった時の為の対策方法など事細かくまとめられており、そしてそこにはある文型があった。

 

「ソリッドビジョンを用いたデュエル交流戦……?」

 

「そう。来年からソリッドビジョンやARを用いた授業とかを導入する予定だから、そのテストとして文化祭の一大イベントに、デュエル交流戦をしようかなって」

 

「ソリッドビジョンを授業に用いるって……例えば、どんな風に?」

 

「例えば数学なら、図形を立体的に表すことによって視覚的に数式を分かりやすく把握したり、歴史なら、その歴史の再現映像を見せることで、より理解する事が出来ると思うわね」

 

 つまり、ホログラムが自分の目の前に投影されるという事だろうか。まだ全然イメージが出来ないが、近未来的な授業が来年になったら受けられると考えたら少し楽しみで仕方ない。

 

 焔と空も理事長の話を聞いて俺と同じような想像をしたのか、2人ともどこか夢を見ているような顔をしていた。

 

「そこで、レゾンカードを持っている貴方達3人には広告の為にデュエルをして貰いたいと思ったの。勿論、賞与はあげるし、集客が多ければその分弾むわ」

 

 なるほど、超レアカードであるレゾンカードをこの学校には少なくとも3人いるんだ。その分注目度も高くなり、より宣伝効果は大きくなると考えたのだろう。

 

 理にかなっているし、賞与が貰えるのは俺達としても文句は無い。だが、空には何か気になる事があるのか無言で手を挙げ、理事長は空の名前を言って質問を受け入れた。

 

「デュエルするのは良いですが、ソリッドビジョンシステムを使うという事は、デュエルディスクはレゾンから支給されるのですか?」

 

「ええそうよ。なんならデュエルディスクも貸出可能にしてデュエリスト育成コースとか作ろうかしら」

 

 確かにプロデュエリストという職業が存在する今では需要がありそうなコースだが、俺が気にしたのはこの学校がレゾンと接触するという点だ。

 

 文化祭当日でデュエルディスクを使ったデュエルをすれば、下手すれば学校その物がなくなってしまうかもしれないからだ。

 

 レゾンが作ったデュエルディスクは精霊の力をそのままダイレクトに解放する事が出来る物だ。

 

 だがその機能を使えるのは限られたデュエルディスクかつ、精霊と多少の繋がりがある人物だけだ。

 

 例えば……精霊が見えないけど精霊からには愛されている心咲ちゃんやアリアさんとソナタさんなら使えるかもしれない。

 

 闇雲にデュエルディスクを量産したとしても、精霊と繋がりがある者が使えなければただの何の変哲もないデュエルディスクだ。

 

 だけどもし……もしも精霊の力が使える決闘者が現れたらたのなら命懸けのデュエルをもう一度しなければならない。

 

 辛さと苦しさが混じった様な心の痛みが滲み出ていたのか、焔が手を挙げた。

 

「あのー、俺ら模擬店やるっすけど、花衣(コイツ)接客なんすよ。だからもしかしたら参加は俺と空2人だけになるかもっす」

 

 焔がまさかの返しに俺は驚き、一瞬誰かと思った。

 

 しかし、恐らくは空の入れ知恵だろう。得意気に話しているが、焔がこんな事考えられる訳が無いからな。

 

「なるほど……うーん、でも最多のレゾンカードを持っている花衣君が居る方が……でも生徒の青春を奪うのは忍びないわね〜」

 

 理事長は腕を組んで分かりやすく悩んでおり、かれこれ数分同じ様に唸り続け、何か閃いたかのように無言で頷いた。

 

「じゃあこうしましょう。桜雪くんの対戦相手は、抽選で決めるのはどう?」

 

「抽選?」

 

「そう。これなら桜雪くんの時間は担保出来るし、抽選枠は炎山くんと機羽くん、どちらかに参加すれば抽選券が貰える形でどう?」

 

「抽選の数は?」

 

「4……いえ、5はどうかしら?」

 

 つまり5人とデュエルする訳か……それなら問題無いかも知れないし、事前に焔と空からレゾンの手先、万が一セブン・エクリプスのメンバーが来たら知らせられる。

 

 予め危険人物が分かればやりようはある。俺たちは二つ返事で理事長のアイディアを受けいれた。

 

「分かりました。すみません、模擬店をやったせいで……」

 

「ううん、学生はちゃんと青春しないとね! 屋上の雑談に転校生との運命の出会い……そして、保健室やあんな事やこんな事をしちゃいなさい〜!」

 

 かなり俗っぽい青春を想像しているなこの理事長。

 

 とにかく、模擬店と交流戦の時間、そして安全面での考慮も確保したと安堵した所で丁度昼休みが終わるチャイムが鳴った。

 

「あら、丁度終わったわね。じゃあ、準備は当日、よろしくね」

 

「はい。精一杯頑張ります」

 

 俺達は理事長に頭を下げ、丁寧に扉を開けて部屋から出た後、そっと扉を閉めた。

 

「なんか、フレンドリーな理事長だったな」

 

 焔の言うことに俺と空は思わず頷いた。理事長と言えばもっと厳格で堅苦しいイメージがあったけど、あの理事長はかなり親しみやすかった。

 

 それに近くで見ると思ったより若い印象だ。まぁ年齢を聞くのは野暮だから、これは永遠の謎にしておこう。

 

「てか俺ら昼飯食ってねぇから腹減ったな〜。理事長の話長引いたとかで授業中食ってもいいだろこれ」

 

「辞めろ。授業中お前の汚い咀嚼音を聞きたくない」

 

「そうだぞ焔。授業終わってから食べればいいだろ」

 

「でもよ……ああーもっと菓子食えば良かったなー!」

 

 焔は名残惜しく理事長室に戻ろうとしたが、空は焔の裾を掴んでそれを許さず、焔の愚痴を聞きながら教室に戻った。

 

「あっ、そうだ」

 

 そういえば朝から花音からメッセージを受け取ったことを思い出し、制服から携帯を取り出してメッセージを見た。

 

「なんだ? お前もサボりか?」

 

「いや、花音からメッセージが来たから……」

 

 焔はヒューと言いながら携帯の画面を後ろから見ていた。まぁ別に見られて恥ずかしいものは無いからそこまで気にはならないが、焔のニヤケ顔は気に食わなかったが、気にしないようにメッセージを見た。

 

 ﹁おはようございます。朝からメッセージ失礼します(>ㅿ<;;)﹂

 

 ﹁攫われていたので失念していましたが……実は再来週の土日に文化祭があるんです﹂

 

 ﹁招待券を直接花衣さんに渡したいと思って連絡したので、予定がある日を教えたら幸いですm(*_ _)m﹂

 

 

(花音って顔文字とか使うんだ)

 

 丁寧な文章と顔文字とのギャップに少しだけ驚きつつ、メッセージを見ると文化祭についての招待だった。

 焔もそのメッセージを見て文化祭について気になっていた。

 

「へぇ……あっちも文化祭か。確か花音の学校で結構なお嬢様学校なんだろ? めっちゃ豪華そうじゃね?」

 

「そうだと思うけど……お前らも行くか?」

 

「いーやー? 俺らは良いよなー? 空」

 

「まぁここは流石にな……」

 

 焔は目を細めてニヤニヤと笑い、空も何かを察する様にし、2人が何を考えているのかようやく気づいた。

 

「べ、別に俺と花音はそんな関係じゃないぞ!? それに俺には……」

 

「俺には〜? 誰がいるんだー?」

 

 わざとらしく聞き耳を立てる様な動作をした焔のにやけ顔を見たせいで無性に腹が立ち、俺は意地になって答えず、焔に顔を見せなかった。

 

「何だよ〜教えても良いだろうが〜」

 

「うるさいなぁ。言わなくても何となく察せてるだろ」

 

 自分がどう思って何を感じているのかを人に伝えるのはとても大事な事だが、焔の場合は明らかにわかっていてなおかつ揶揄われるのは目に見えており、話していじられるのなら話さない方が良い。

 

 焔を無視する様に教室へと戻り、焔は諦めずにしつこく付き纏い、空はそれを見て仲裁する。

 

 そんな当たり前の日常が、今この時とても心地よかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「……あ、もしもし〜? 言われた通り、桜雪くんを文化祭でデュエルさせる事になったけど……本当に何するつもりなの? 白夜」

 

 理事長はレゾンの代表である天道白夜に連絡をとっていた。

 

 電話越しに白夜の誰も寄せ付けない強気な口調が耳に入り、理事長はいつも通りだと微笑んだ。

 

『アイツを抹殺するにはデュエルしかない。だからそこで始末する』

 

「だからって学校でドンパチやる必要は無いと思うけど?」

 

『逃げ道を作らせない為だ。アイツは必ず一般人を守る為に逃げない。何せ、英雄と称えられた【閃刀騎カイム】だからな』

 

「危害なんて加える気無いくせに」

 

『何を勘違いしている。私はあの男を倒すためならどんな手でも使う』

 

「……で? どうせ貴方から誰か連れていくでしょ? 誰を連れて行くの?」

 

 素直じゃないと言おうとしたが、それを言うと白夜が怒ってしまうのが目に見えた為理事長は何も言わずに話を続け、白夜が差し向ける人物に注目を向けた。

 

 

 

 

 

『遊城十代。彼を差し向ける』

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