六花テーマを作って愛用したらそのまま俺への愛が重くなった件について 作:白だし茶漬け
すこーし情報が雪崩込んてしまうと思いますが、「これは一体どういう事?」「どうしてこうなったの?」などは、感想やメッセージ等で受け付けておりますので気兼ねなく仰ってください^^
ちょっと大きな仕事が入った為、頻度は遅れますが楽しみに待っていてくれると嬉しいです!
半身の闇
黒、黒、どこまでも広がる闇の中で俺は一人になっていた。
ティアドロップ達はどこだと呟きながら闇の中を歩いていく。
嫌だ、嫌だ……誰かいて欲しい。1人は嫌だ。
息が苦しい、もう歩けないし、目も霞んでいく。
胸が張り裂ける、痛い。
頭の中で声が響く、苦しい。
お前は誰からも愛されない
お前はずっと1人だ
お前の隣は誰もいない
お前は 永遠に 1人だ
うるさい、黙れと言おうとしても声が出ない。耳を塞いでも声は響き、心臓が締め付けられるように苦しくなっていく。
「……い……やだ、……すけ……」
「花衣様っ!!」
ティアドロップの声が聞こえたと同時に目を開くと、さっきまでの暗闇が広がる虚無では無く、いつも通り移る灰色の自室に、その中で色付いているティアドロップがいた。
どうやら悪夢を見たようだ。それがどれだけ恐ろしかったのを示すように、俺の全身から冷や汗が溢れ出し、呼吸も心臓の鼓動も激しかった。
「花衣様……大丈夫ですか? 酷くうなされてとても……きゃっ!?」
悪夢の怖さから逃げ出したくて思わずティアドロップに抱きついた。
白い肌に少し赤い痕がつくほど無意識に強く抱きしめたことに気づいて我に返り、謝ろうとしてティアドロップから手を離そうとしたが、今度はティアドロップの方から自分の胸に俺の顔を埋めるように抱きしめ、頭を優しく撫でてくれた。
「嫌だ……嫌だ、1人になりたくない消えたくない痛いことも苦しい事も忘れられる事も嫌だ……」
情けなく震える姿にティアドロップは幻滅さず、そのままずっと優しく抱きしめてくれた。
両側から柔らかい胸の感触と濃厚な花の匂いのおかげか次第に落ち着きはじめ、悪夢の事も少しづつ忘れだしていく様な気になると、ティアドロップは頭を撫でながらある事を話した。
「花衣様、もし貴方が望むなら、私と一緒に誰にも邪魔されない場所へ行きませんか?」
いつもの妖艶で心が惹かれる笑みを向けたティアドロップがそんな事を言い出した。
誰にも邪魔されない場所と言葉を反芻すると、ティアドロップは右手を絡ませるようにして繋ぎ、左手で胸に蹲っている俺の顔に添えると、じっと俺の暗い目を見つめた。
まるで宝石を見るかのような目をしていたティアドロップに釘付けとなった俺は、その前受け入れるようにティアドロップを抱き、ティアドロップの言葉に耳を傾ける。
「ずっと一緒に、永遠に過ごせるところで暮らしましょう? そこなら悪夢にうなされても私が居ます。辛いことも苦しいことも全て私も受け止め、しあわせも何もかも共有しましょう。だって、それが愛でしょう?」
俺は左手で添えられているティアドロップの手に左手を重ね、笑った。
「あぁ……行きたい。みんなと一緒にいられるのならどこだって行く! 行かせてくれ!」
その瞬間、俺の中の何かが溢れ出したような気がした。
安心、喜び、そして愛。その全てで何もかもが満たされていくようだ。ティアドロップ達と一緒に幸せに愛し合うなら、それ以外どうでもいい。
安心したせいか、少しだけ眠くなってきた。
あれ、今日って平日だっけ……なら学校……いや、どうでもいいや。
ティアドロップ達さえいれば、どこだっていい。
そう思いながら、瞼を閉じる。悪夢を見ないように、祈りながら。
「……聞きましたよね、レイ」
「何でわたしが要ることに気づいてるんですか? 気持ち悪いですよ」
「恨めしそうな視線を感じたので。それよりも、花衣様はこちらの世界に行くことを望んでいます」
「聞きましたよ。でも、もし連れてきたとして花衣さんの記憶が戻って、また私を置いていく事になると考えたら……」
「その時は手足を奪ってでも留めます。ですが、花衣様ならそんな事はしませんよ……ですよね、花衣様。信じていますから」
今日の店はとある事情で休みだが人は多い。
人と言っても精霊の類であり、ここにいるのは焔くん、空くん、雀ちゃん、花音さん、天音と俺、星空彼方の人間組と、ドラゴンメイドとウィッチクラフトだ。
合計で17人……いや、ここにウィッチクラフト・マスターヴェールがいないから16人か。
向かいのソファー席にはヴェール以外のウィッチクラフトが勢揃いしており、現時点のリーダーはウィッチクラフト・ハイネという、泣き虫で有名なモンスターだ。
見かけ上は平静を保っているが、よく見ると右手の左足が震えており、挙動不審に店内の至る所を見ていた。
「うわぁ、すげぇな。マジモンのウィッチクラフトだぜあれ」
「ホント凄いよね。後で写真撮って貰おうー!」
精霊が見れない焔くんと雀ちゃんは六花と閃刀姫意外の精霊を見るのはあまりない為か、新鮮な眼差しでウィッチクラフト達を眺めていた。
焔くんに至っては……ハイネの胸辺りしか目線を向けていないのはまぁ……気の所為だと思いたい。
空くんと花音さんは精霊よりもこれから話そうとしている話題について気にしている様子だ。まぁ当然だろう、俺も今から始まるであろう会話の全てが気になる。
話の内容は花衣くんの全てだと言うが、そうなれば自ずと俺と天音の存在自体も話す事になる筈だ。
俺と花衣くんとの本来の関係は有り体に言えば敵だ。
その為に生まれてきたと、白夜は俺と天音にそう言った。いきなり言われて、何を言っているんだとあの時は半分聞き流したが、今となって少しづつだがその実感が湧いてきた。
ただ、花衣くんを倒したい訳では無い。倒す以外の方法は必ずある筈だ。
だからこそ、チェイムは俺達に話をするんじゃないのだろうか。
自分じゃもう花衣くんを心の闇から救い出すのは不可能だと感じたからこそ、俺達に協力したんだ。花衣くんの友である、焔くんと空くん。そして花音さんと雀ちゃんに。
そこに俺も加わるのは少し自惚れだろうか。友達らしい事はしては……思い返すとあんまりしてないな。
けど、俺自身あんまり友達を作る暇なんて無かったからなぁ……どうも付き合い方が分からない。
もしもこの一連が丸く収まったら友達らしい事でも1つしてみようと考えていると、『本日はお休み』という看板をたてたのにも関わらず、この店の扉が開かれ、カランカランとベルの音が響いた。
扉には襟を立てた赤いジャケットに緑色で縦長のリュックを背負った男が立っていた。
俺はその人の事をよく知っていた為、顔を見ただけで思わず立ち上がってしまった。
男が背負っていたのはリュックだけではなく、赤色のデュエルディスクも背負っており、それを見た俺は彼が自分の名前を言う前に口に出してしまった。
「あ……貴方は……遊城十代!?」
「ん? 俺を知っているのか……って、花衣と同じ反応するんだな。もしかして俺、有名人とか?」
十代さんは照れながらニカッと笑っていた。あぁ、間違いない、この人は物語で見た遊城十代さんそのものだ。
コスプレとか幻覚じゃないのが一目で分かり、まさかこうして目の前で話せる日が来るとは思わなかった。
顔立ちが大人びており、20代前半程だろうか? それでも雰囲気は変わっておらず、物語で見たその人だった。
「ん? 誰だそいつ」
「遊城十代……? 知らない奴だな。雀は知ってるか?」
「ううん、知らなーい」
「私も知りませんね。あの人達の事、見た事もありませんし……」
焔くん達は十代さんを見てもまるで無反応だった。
けどまぁ……それが普通の反応だよな。ここには遊戯王のアニメなんて放送されなかったし、なんならその概念すらない世界だ。
こういう反応するのは、俺と花衣くんだけだろうなぁ……。
十代さんも焔くん達の反応でガクリと肩を透かしたが、気にせず焔くん達に自己紹介をした。
「まぁそういう反応だよな。俺は遊城十代。今は気ままに旅を続ける旅人さ。一応、精霊が見えたり話したりも出来るぜ」
試しに十代さんは【E・HEROネオス】のカードを見せると、十代さんの後ろにネオスが現れ、今は精霊が見える状態の焔くん達は関心を向けた。
「へぇー、ヒーロー好きなのか! 珍しいな」
「あぁ。特に【E・HERO】を使うのはあまりみないな」
確かに、この世界におけるHEROデッキの立ち位置は中堅よりやや下の評価にあたるが、どちらかと言えば【D・HERO】が多く使われている。
その為【E・HERO】はあまり見ず、ネオスを見た事に2人は珍しがっていた。
「へへ、ヒーローは俺のマイフェイバリットだからな」
十代さんは誇らしげにしていると、天音のポケットからハネクリボーが飛び出してきた。
「よっ、元気そうだな相棒」
ハネクリボーは元々十代さんの相棒だったから反応したのだろう。ハネクリボーは十代さんに会えてとても嬉しいのか、笑顔で小さな体を擦り寄せていた。
しかし、天音の方は少し寂しそうな様子だ。ハネクリボーは天音にとっても大切な存在であり、それを取られたと思っているんだろう。
だが意外にも泣いたりはせず、むしろ嬉しそうな顔も少ししていた。
天音は椅子から下りてハネクリボーのカードを手に持つと、そのまま十代さんの元に歩くと、ハネクリボーのカードを渡すように差し出した。
「これ……返す」
「え、良いのか?」
「ハネクリボーはお兄ちゃんと一緒に居たいだろうし……それに、もう、大丈夫だから」
てっきり俺が渡したカードの中に入っていたとばかり思っていた。
精霊が宿っているカードは確かに存在する。それこそ、花衣くんの六花のように。
だが、天音はどのカードからでも精霊を呼び出せる程に愛されている為、天音が声をかければ大半の精霊は呼びかけてはくる。
だから普通のカードだと考えていたが、まさかの十代さんのハネクリボーだったとは……。
しかしそうなるといつ渡されたのかという疑問が残る。俺の記憶違いで無ければ天音が十代さんと接触した日は今日で初めての筈だ。
俺が天音の目から離れたと言えば……ピックアップデュエルの時か? いや、その時よりも前にハネクリボーは居たから……やはり俺が初めて銀河心眼と出会ったあの時だろうか。
だがその日は天音が誘拐された日でもある。となるとつまり、天音の誘拐に十代さんが関与……いや、誘拐犯を助けた? どちらにしろ、関わりがあるのは間違いない。
変に勘ぐってしまうせいで出会った時の感動が薄れるのと比例して天音を誘拐したのではと考えてしまう。
こんな自分が嫌になりながらも、十代さんがこちらに近づいた。変に強ばる俺の肩に手を置き、太陽の様な笑顔を向けた。
「心配すんな。お前の妹には危害を加えてないし、その事も話す予定だ」
「……すみません」
「大事な妹を心配しただけなんだろ? 気にすんなって」
十代さんから嘘は感じられず、変に疑ってしまった事に謝罪したが、十代さんは気にしない様子で笑い、十代さんは天音のハネクリボーを受け取らず、天音と目線を合わせる為に右膝をついた。
「それはお前のラッキーカードだ。相棒の事頼むぜ、天音」
「良いの?」
「あぁ。相棒もそう言ってるぜ」
『クリクリ〜』
ハネクリボーは天音の手の上に戻り、カードへと戻って行った。ハネクリボーの言葉を分かった天音は大切にカードをしまい、十代さんにちゃんとお礼をした。
「ありがとう! 大事にする……!」
「良かったな、天音」
「うん!」
「さて、そろそろ話を始めた方がいいんじゃないのか?」
「そうですね。それではこちらにお座りください」
チェイムは十代さんに空いている席に案内し、淹れたての紅茶を差し出した後、皆が見える位置の椅子に座ると、ウィッチクラフト・ジェニーの方に目を向けた。
花衣くんの育ての母である2人からは言い難い感情が見え隠れしていた。
後悔や自分の力不足に対しての戒めが感じ取られた。
他の者がチェイムを見守る中、チェイムはようやく口を開いた。
「……この話をする前にまずはダークネスについて詳しくお話しなければなりません」
「ダークネスか……」
かつての宿敵の名を耳にした十代さんはその名を反芻した。
「ダークネスは、十二次元宇宙の影側である虚無の世界を支配する存在であり……この次元の宇宙を生み出した主でもあります」
「てことは神様的なやつか?」
焔くんの言う通り、ダークネスはこの星や命、宇宙と次元を作った神と言ってもいいだろう。最も、タチの悪い神なんだが。
だとすると、この世界はダークネスの世界という訳になり、俺たちはダークネスの住人という事になるのだが……そう言った感じ方は無い。
ここには人が自分を認識する為の【個】が存在しており、ダークネスに支配されている様子は無い。
そもそも支配されていれば、ダークネスの臣下である【セブン・エクリプス】達も行動する理由が無いからだ。
俺の考えに続き、ハスキーがその事について補足してくれた。
「創ったと言いますが、偶発的な物です。十代様が過去にダークネスに打ち勝ったその日、大きな力の衝突により次元の裂け目が生まれたのです」
「次元の裂け目ってあれか? 永続魔法の」
焔くんはその映像魔法のカードを取り出した。
「それではありません。裂け目と言ってもそこは虚無への裂け目。時間も、時空も、命も、何も存在しない世界にダークネスの因子が流れ込み、そこから新たな次元が産まれたのです」
「それが……この世界」
精霊という存在が生まれなかった次元……それがこの世界という事か。
「そしてダークネスは力を取り戻しつつあり、この世界にもダークネスの力が及ぼしつつあります。今、世界各地で人が居なくなる現象をご存知ですか?」
「それってあれだよな? 現代版神隠しって言われてるやつ」
「連日朝のニュースで見ますよね。突然人が居なくなったって言う……」
花音さんの言う通り、俺もそのニュースを見たことがある。と言うより、毎日のように流れているから嫌でも見る。
1日に数百人規模の人達が、突如として居なくなるこの現象は、もはや誘拐とかそのレベルでは無かった。
本当にある日突然、人が居なくなり、確かに昨日まではいた痕跡が残っていると言いつつも、まるで最初から居なかった様な消滅……この現象を神隠しと呼び、人々はそれに恐怖を覚えつつあるのが印象的だ。つい先日の店に来たお客様も、その事について酷く怖がっていた。
「まさか、あれってダークネスの仕業なのか?」
焔くんの問にチェイムは頷き、これについて十代さんに説明を任せたいのか、十代さんに目を向けた。
「あぁ。ダークネスはトゥルーマンっていう奴らを使って心に宿る闇に揺さぶりをかけ、ダークネスの世界に引きずり込むんだ」
「トゥルーマン……真実の男?」
「いや、違うぜ空。真実を語る者って言ってたぜ。けど、そのトゥルーマンの代わりに、セブン・エクリプスって奴を使ってるらしいな」
「ね、ねぇ。そのダークネスの世界に連れていかれたら……どうなるの?」
雀ちゃんが不安げに十代さんにそう尋ねた。
「……すまない、俺自身その世界に囚われたことは無い。けどこれだけは言える。決して良いものでは無いってな」
「そしてこのままだと、全ての人類がダークネスに囚われてしまい、全滅します」
ハスキーが酷な現実を突きつけ、俺達は意気消沈した。
俺が物語で見た限りでは、ダークネスの世界に囚われた人達は皆自分の将来への絶望を繰り返していた。
プロになって負け続け、勝ちたいが為に不正を行ってしまい、どん底に堕ちた者。
新たなプロリーグを作ろうとしても観客も来ず、夢に人生を奪われ続けたまま年老いて亡くなった者。
落ちこぼれの生徒を勇気づけさせようとしても、分かり合えず、自分の力不足に絶望した者。
それが永遠に繰り返され、永遠に苦しむ世界がダークネスの世界……こんなもの、なんであるんだと思いたいぐらいに酷い物だった。
だがこれを言ってしまえば闇雲に不安を煽るだけだ。これは俺の心の中に閉まっておこう。
静まり返った空気の中、空くんがこの集まりがある最大の理由となった事について話を持ちかけてくれた。
「あの、花衣さんはダークネスの世界に囚われているのですか?けど、見た感じそんな様子は……」
右手を小さく上げ、花音はそう言った。
そう、それだ。ダークネスの話題ばかりがあげられたが、今回聞きたいのはそれだ。
そしてダークネスの話題に上がったのは……花衣くんにとっては酷く残酷な真実があるからだ。
チェイムは思い唇を上げ、右手の手を震えさせながらその真実に話した。
「花衣は……ダークネスの世界に囚われません。何故ならあの子は……」
「あの子は……ダークネスですから」
そう、花衣くん本人はダークネスの依代と言っているが、真実は違う。
花衣くんはダークネスそのものだ。そもそもダークネスは闇そのものであり、心の闇が集まって初めて降臨する存在だ。
依代なんて存在せず、そもそも依代なんて必要無い。
闇がある所に必ずダークネスが存在する。
それが真実であり、花衣くんの本当の正体だった。
焔くん達もさっきの話を聞いたせいで花衣くんに対しての見方が変わりつつあった。
沈む空気の中、チェイムはそれでも話を続けた。
「ですがあの子はダークネスであってもダークネスそのものではありません。あの子は言わば半身……もう1つのダークネスと言ってもいいでしょう」
「もうひとつのダークネス……なんで産まれたんだ?」
「十代様がダークネスを撃退したからです」
「え、俺が?」
どうやら十代さんも初耳らしく、呆気にとられた態度を取っており、それを見てチェイムも目を丸くしていた。
「一応概要は伝えたはずですけど……」
「あー……言ってたような気がする」
話を聞いていなかったらしく、十代さんは苦笑いを浮かべてカフェの天井を眺め、チェイムは小さなため息をつきつつも、物語を語るかのように話を続けた。
「ダークネスを倒したあの日、ダークネスは数々の因子に分かれ、宇宙の次元を漂っていました。そしてある1つの光と接触しました」
「その光って……まさか」
「宇宙を滅ぼす、破滅の光です」
俺や十代さんは聞き覚えのある言葉だが、何も知らない焔くん達は頭に【?】マークが埋め尽くされていた。
「な、なんだ? 破滅の光とか訳わかんねぇから説明してくれよ」
「その名の通りだよ。宇宙を光で満たす事が至高と言い、全てを光に満たせて破壊する。そういう組織……なのかな」
俺もそこまで理解があるとは言えない立場だから多くは言えないが、十代さんが使うネオスペーシアンと敵対関係といのは確かだ。
破滅の光もダークネスとまでは行かないが、人々の心に取り憑き、取り憑かれた人々は思考を歪ませられてしまい、破滅の光の一員になってしまう。
まさかダークネスの半身である花衣くんと破滅の光がここで関連付けられるとは思わなかった。
光と闇は相反する性質を持っているから関わることはないと考えたが、人の心に付け入れて害を与える事に関しては同じ事をしていると思えば、案外似た者同士かもしれないと思ってしまった。
「その破滅の光の影響によって新たに生まれた闇こそ花衣です。光と闇を持つ特殊なダークネスなので、存在が分離してダークネスであっても、ダークネスでは無い歪な存在となっているのです」
「え? じゃあアイツ、この世界とか宇宙とか全部破壊するつもりなのか!?」
「いいえ、そもそも破滅の光は一枚岩では無く、宇宙を破壊しようとした派閥は十代様達が壊滅させました」
「本当に苦労したぜ……破滅の光と言えば、白夜がいるだろ? アイツ、破滅の光の現リーダーだぜ」
十代さんは俺の事を見てそう言った。
「やっぱり……」
「ん? 反応が薄いな。気づいていたのか?」
「いえ……ただ、何となくそうなんだろうなと」
勿論驚きはしているが、それ以上に納得感があった。
威圧的な態度や花衣君に対しての執念がそう感じさせたのだろうか。いや、今までの行動から破滅の光に繋げるのは無理があるし、俺も聞かれるまでは白夜が破滅の光のリーダーとも思わなかった。
けど……何だ? この感じは。
そんな中、空くんがある事に気づいた。
「……ん?という事は白夜は人間じゃないのか?」
「その通りです空さん。彼女は私達と同じ存在……いえ、少し上の存在です」
「まぁ……確かに、精霊でも無ければレゾンカードなんて作れないか」
しかも精霊の中でもかなりの力を持っているだろう。花衣くん……いや、ダークネスに対しての特攻カード。
それを作り出すという事は、同じ様にカードを作り出せる花衣くんと同等の力……つまり、ダークネスと同じ力を持っているという事になる。
破滅の光とダークネス……これは想像以上に事態は大きくなりそうだな。
「……話を戻しますね。そうしてあの子は、【召喚士アレイスター】の召喚によって私たちの次元に降臨しました」
「アレイスター……」
その名前が出てきた時、ジェニーの体が強ばらせていた。そういえば、アレイスターとウィッチクラフト……もとい、エンデュミオンはかなり関係が深い陣営だ。
アレイスターの召喚によって花衣くんがその次元に来たのであれば、必然的にジェニーとの関係が生まれてくるのは当然だった。
「しかし、それが引き金となってアレイスターは暴走しました。ダークネスを召喚した事によってアレイスターの心の闇が暴走し、貴方達がしる暴走召喚士になったのです」
アレイスターのカードは2枚ある。ひとつは召喚士アレイスター、もう1つはリンクモンスターの暴走召喚師アレイスターだ。
名前的に同一人物であるのは間違いないが、イラストから見るに我を忘れてしまった事が見受けられる。
あれはダークネスの仕業だったのか……ここでOCGのストーリーの謎が解決出来るとは思わなかった。
「エンデュミオンの方で何とかアレイスターは無力化しました。しかし……」
「原因となった花衣をどうするか。それについて議論が続いたわ」
自分達の方が説明しやすいからだろうかチェイムの代わりにジェニーが説明の続きをしてくれた。
チェイムはジェニーに小さく頭を下げ、話の主導権をジェニーに渡した。
「エンデュミオンに来た花衣はまだ赤ん坊だったわ。アレイスターさんの暴走も事故のような物……だから、保護する意見も出たけど……」
ジェニーは机の上にある紅茶の揺れる水面を眺めながら続きを話す。
その時のジェニーの顔は懐かしみながらも苦い思い出を噛み締めるような苦しそうな顔だった。
「その時、白夜が現れたの。ダークネスの力に反応してきたようで、白夜は花衣を見て直ぐに攻撃してきたわ」
「うへぇー、とんでもねぇな」
焔くんの言う通り、とんでもない。まぁ、宇宙を破壊しようとしていた破滅の光の現リーダーだったらその容赦のなさを持っていてもおかしくは無い。
「彼女の力は凄まじく、エンデュミオンさえも破壊しようとしていたわ。このままでは被害甚大は必須……だからこそ、私は花衣を抱えて逃げたわ」
逃げて、逃げて、逃げ続けたとジェニーは繰り返して言った。1つの1つの言葉は重く、その時の緊迫していた状況を物語っていた。
「逃げ続けた結果、とある場所に入ったの。深い森の中にそびえ立つ大きな屋敷……ドラゴンメイドの屋敷に」
この話で明らかになった過去の簡単な概要
花衣の正体はダークネスの依代では無く、破滅の光の影響を受けたダークネスの半身。
アレイスターによって赤ん坊の姿で精霊の世界へと降臨し、ダークネスの闇の力でアレイスターの心の闇に触れ、暴走した。
アレイスターを無力化したエンデュミオン達だが、騒動に気づいた破滅の光の現リーダー、白夜が接触。
花衣を倒す為に、白夜はエンデュミオンに対して大規模攻撃を行った。
被害を抑えるかつ、花衣を助けると決意したサーヴァント・オブ・エンデュミオンもとい、ジェニーは赤ん坊の花衣を抱えて逃走。
その先に待ち受けていたのは、ドラゴンメイドの屋敷だった……。
オリカをまとめた章が欲しい?
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欲しい!
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別に( *¯ ³¯*)