六花テーマを作って愛用したらそのまま俺への愛が重くなった件について   作:白だし茶漬け

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誕生

 

 ある男が心の闇に触れられ、この都市ごと破壊しようとしていた。

 

 好奇心は猫を殺すとあるが、彼の場合はその好奇心で自分自身を殺した。

 

 今、私の目の前にいる黒い揺りかごに包まれた赤ん坊に。

 

 私に目に見える物は複数あった。

 

 1つは赤ん坊。もう1つは柱が崩れ、壁は瓦礫となり、本は紙くずとなり、そしてそれにへばりつく異形のモンスター達の血肉が辺りに広がっていた。

 

 血は黒く変色して吐き気を催す程の異臭を放ち、嫌でも目に付けられる光景が頭から離れなかった。

 

 この光景を作り出したのは、アレイスターという召喚士であり、このエンデュミオンと縁ある男だ。

 

 彼は召喚魔術を使って異世界の魔物を呼び出す事に長けた魔導書だったが、彼はある日1人の赤ん坊……いえ、闇を呼び出した。

 

 そんか彼は、部屋の中央で上半身と下半身が文字通り真っ二つに分かれてしまい、首の皮一枚……脊髄で何とか繋がっていた。

 

 脊髄がボロボロになってほんの少しの力で上半身と下半身が分離される様は見るだけ痛々しく、あれで生きているのが恐ろしくも思ってしまう。

 

 そんな惨劇を生み出したのが、目の前にいる赤ん坊。後に花衣と言われる子だった。

 

 赤ん坊の泣いている姿がこの地獄とも言える風景をさらに混沌とさせ、私の心がぐちゃぐちゃにされる。

 

 この子が原因でこんな惨劇を生み出したのだから、ここでこの子を殺さなくてはならない。

 

 何故なら私はあの赤ん坊によって引き起こされた惨劇を見てしまったのだから。

 

 ある日、アレイスターがとてつもない者を召喚したと興奮して言った日だ。普段冷静なあの人があまりにも嬉々として語っていた為、気になって彼の工房へと足を踏み入れ、彼がよく召喚獣を呼び出すための部屋に足を踏み入れたその時、私の顔に肉片が飛び散った。

 

 生暖かい血に、ぬめりを帯びた肉片だと気づくのが遅れたと同時に、恐怖した。

 

 肉片が付いた事を気にするよりも、私の目には赤い血が噴水のように吐き出され、アレイスターが呼び出していただろう召喚獣達が戦いあっていた。

 

 いや違う。戦っているのでは無い、貪りあっていた。

 

 血肉を得るかのように別の召喚獣の肉を食い破り、骨を折り、鳴き声とも言えない声が部屋中に響き渡り、召喚獣達は血を被りながら互いを喰って行く。

 

 体の中が渦巻き、吐瀉物を出してしまうほどの光景で思わず後ずさりするも、その光景の中心にいる2人の姿を目にした。

 

 1人はアレイスター、もう1人は……赤ん坊だった。

 

 アレイスターは赤ん坊から伸びる黒い光を纏いながら高らかに笑い、この光景を楽しんでいた。

 

 狂気に満ちたアレイスターは最早別人の様にも思い、直ぐにでも止めなければこの都市エンディミオンも危うくなる。

 

 明らかに召喚獣達の様子がおかしいのは、呼び出したアレイスター本人の暴走もあっての事でしょう。だとしたら、アレイスターを何とかすれば、この騒動は収まるかもしれない。

 

(……やるしかないの?)

 

 それはつまり、アレイスターの命を奪うという他ならない。

 

 あの状態のアレイスターじゃまともに話すしら出来ず、召喚獣を止めようともしない……ならば、気づかれてない今、魔術を使ってアレイスターを……

 

(ごめんなさい、アレイスター……)

 

 私は杖を掲げて魔力を集中させてアレイスターを止めようとしたその時、召喚獣の一体がアレイスターの体を噛みちぎった。

 

 アレイスターの脇腹に穴があき、空いた穴から臓器が盛れ出していく。大量の血を吹き出させたながら彼は糸の切れた人形の様に倒れると同時に、召喚獣達も動きを止め、ゆっくりと倒れ、自分たちが出した血を残して無散していった。

 

「あぅ? ぅー! うー♪」

 

 この異常で残酷な光景に赤ん坊は笑っていた。呼吸するのもおぞましい程のこの血の地獄の中で、赤ん坊は無邪気に笑っていた。

 

 赤ん坊は純粋無垢だというが、その無垢さが今は怖い。

 

 そして見た。私の目に映る赤ん坊の姿は一言で言えば【闇】そのものだった。

 

 純粋故の狂気に満ちた赤ん坊はアレイスターに近づくと、噛みちぎられたアレイスターの体が少しづつ元通りになっていく。

 

 食い破られた箇所が元通りになったアレイスターは意識を取り戻したのか息を吹き替えしたが、まだ意識自体は覚醒しておらず、目を閉じたままだった。

 

 どうしてアレイスターを治したのかは分からない。もしかしたら本人も分からないかも知れないし、理由なんて無いのかもしれない。

 

 ただ臓器が飛び出している人間が隣にいるのは嫌だから、目障りだから、理由も無くそうしたかったから。

 

 赤ん坊の意思を汲み取ろうと、無造作に考えが思い浮かぶけど、私は赤ん坊にある感情を向けた。

 

「……危険すぎる」

 

 恐怖。それが私があの赤ん坊に対して向けている感情だった。

 

 純粋故に何をするか分からない。善悪の判断も付けられない年齢で他者の心を支配し、暴走させるあの力は危険すぎる。

 

 可哀想だとは思う。けど、この子は人間の形をした【何か】というのが私の答えだと言い聞かせながら、せめて苦しまないように魔術で心臓を一突きで終わらせようと杖に魔術を込めようとした。

 

 そんな私の思いが呼応するかのように天井にヒビが入り、天井が瓦礫の礫となって赤ん坊に向けて落ちていった。

 

「っ……!」

 

 無意識に体が動き、魔法使いにとっては命の次に大切な杖を投げ捨てて赤ん坊を庇うように体を覆った。

 

 杖のない魔法使いは無力そのものだ。残り数秒で私の体は瓦礫に押しつぶされ、命も無惨に潰される事だろう。

 

 どうしてこうしたのかは分からない。赤ん坊だから? 

 

 それとも私の目の前で命が終わる姿を見たくなかったのか。覚悟を決めて目を閉じ、自分の命の最後に目を背けた。

 

 しかし、いつまで経っても覚悟していた笑劇が来ず、生きている証拠である心臓の鼓動音が私の耳に響いていた。

 

 そっと目を開くと、目の前に微笑んでいる赤ん坊の姿が映る。その背後に黒い靄が伸びていた。

 

 黒い靄に視線を移してそれについて行くように視線を動かすと、それは黒い腕の一部だと分かった。

 

 私たちに落ちていこうとした瓦礫は赤ん坊の背後から伸びていた黒い手によって掴まれ、粉々になっていた。

 

 この子にある無意識の自己防衛が黒い腕を出させたのか、それとも……。

 

(助けようとした……?)

 

 黒い腕が消えたと同時に私は赤ん坊を抱き上げ、直ぐに崩壊するこの部屋を逃げようとした。

 

 走り際にアレイスターの姿が目に映るが、抱えて逃げられるほどの時間は無い。

 

 急いで投げ捨てた杖を拾ってアレイスターを覆うように防御結界を張る。狭い故に強度は保ているから崩壊しても大丈夫な筈だと判断して無慈悲にもアレイスターを残してしまった。

 

 間一髪、私がこの部屋から1歩足を出ると同時に部屋は崩壊し、アレイスターは部屋の下敷きになったのだろうか。

 

 振り返る暇なんて無い、私は崩れゆく道の中で走り続け、何とか建物の外へと脱出した。

 

 瓦礫が織り成す轟音と衝撃が背中を打ち付け、身体が吹き飛ばされてしまう。それでも赤ん坊と地面を接触しないように細心の注意を払いながら地面に転がった。

 

「っ……」

 

 痛みで声がつい漏れ出てしまい、私はその場でうずくまりながらも何とか立ち上がり、崩壊していく建物を見届ける。

 

 それはまるで、これから始まる破滅の序曲にも見え、その序曲を見て聞いた赤ん坊は無邪気に笑っていた……。

 

 

 

 数日後

 

 あの事件……ダークネスがこの世界に降臨したあの日から数日後、エンディミオンでの会議か始まった。

 

 私もこの会議に勿論出席し、この会議室の中央にあるおおきな机の真ん中に私が助けた赤ん坊……ダークネスがいた。

 

 今はすやすやと寝息を立てており、とても和やかな顔をしていた。普通の状況だったら穏やかな雰囲気になると思うけど、今回ばかりはそう行かなかった。

 

 エンディミオンに選ばれた者たちだけが集まるこの場で「和やか」や、「穏やか」という言葉はないに等しく、緊迫した空気だけが、この場を支配した。

 

「……ではこの者の処遇について決めようとしよう」

 

 この場を支配している方である【エンディミオン】が口を開けると、空気が震えて背筋が嫌でも伸びた。

 

「まずこの赤ん坊はダークネスで間違いないだろう。書物の情報と差異はあるが、この者から感じる闇の魔力はまず間違いない」

 

 ダークネス……こことは違う次元に生まれ、人間の闇が集まって降臨したと言われる闇を統べる……いえ、闇そのものの存在。

 

 人の心の闇、負の感情を揺さぶる事で人をダークネスの世界へと誘い、自らの力を増大させてダークネスの世界も拡大させる。

 

 とある人間によってダークネスは撃退したと聞いていたが、倒した訳では無い。

 

 そもそもダークネスは闇そのものである為倒す事は出来ず、闇があればどこにでも出現するのが厄介だ。

 

 そして今回ダークネスがこのエンディミオンに降臨した理由がアレイスターの召喚魔術という事になる。彼の好奇心と探究心がダークネス降臨の引き金となり、あのような悲劇を招いた。

 

 幸い被害はアレイスター本人と工房だけで済んだのは御の字だけど、この子の危険性はまだ拭えていない。

 

 アレイスターは今とある場所で治療を施しているが、目は覚ましてないのは果たして無事と言えるのかは分からないけど、今はこの子……ダークネスをどうするかが問題だ。

 

「話し合う必要無い。直ぐに処理するべきだ」

 

「だけどダークネスは倒せない。仮にここでこの赤ん坊を始末して、他に被害が被ったらどうするのだ」

 

「そもそも何故赤ん坊なのだ……? ダークネスは山羊の顔をしていると聞いたが」

 

 やはり全体的にダークネスの始末という意見が多く、ものの数分でこの子は何処かの僻地に飛ばされてしまうでしょう。

 

 処遇よりもどのようにしてこの場から離れさすか、または処分するかの話し合いとなり、過去最高にこの会議場はヒートアップしていた。

 

「静粛にしろ」

 

 それを見かねてエンディミオンが声を上げると、先程まで白熱していた場が急激に静まり、私の方に目を向けた。

 

「サーヴァント、間近で惨劇を見たお前はどう思う」

 

 サーヴァント……私に与えられた名前だ。

 

 名前を呼ばれて全員が私に注目する中、思い出したくは無い思い出を甦らせる。

 

 赤ん坊がアレイスターの心の闇に触れ、暴走させる事で召喚魔術そのものも暴走させ、召喚獣は我を忘れてお互いの体を貪り、取り込もうとしていた。

 その末路には召喚させたアレイスター本人すらも被害にあり、それを見た赤ん坊は無垢に笑った。

 

 恐怖を感じ、恐れをなし、私も最初はあの子の命を奪おうとした。

 

 けど、崩壊する部屋の中で何故か私はあの子を助け、あの子も私を守ってくれた。

 

 いや、守ってくれたというより自己防衛に近いかもしれない。だとしても命を救われた事については事実であり、私があの子を助けようとした事も事実。

 

 自分がどうしたいのか、何をしたいのか。

 

 私の心の中で渦巻き、そして叫んでいるこの感情を私自身知りたいと思い、私はその気持ちを言葉に乗せる。

 

「今、ここで処遇を決めるのは早計すぎると思われます」

 

 私の言葉にざわめきの空気が生まれる。何を言っているんだという言葉の意味を含んだ厳しい目付きで注目されるが、それでも私の考えは変わらない。

 

「この子はまだ白紙のような子です。善悪も、光と闇もまだ何も分からない赤ん坊……だから、私達が一から育てれば……」

 

「血迷ったか! そいつのせいでアレイスターが我を失ったのだぞ。危険性は変わらない。今のうちに始末するべきだ!」

 

「ですがあの子は私とアレイスターを助けました! 例えそれが自己防衛の結果だったとしても、守る行動したあの子を育てれば……」

 

「やめろ、言い争ってもどうせ最後に決めるのは私だ」

 

 言い争いに終止符を打つようにエンディミオン様が口を出し、この会議に終止符を打った。

 

「……サーヴァント、お前は子の赤ん坊を育てたいのか?」

 

「はい」

 

「なんのためにだ」

 

「…………ダークネスは倒す事は出来ません。ですがそれは見つけられていないだけ。同じダークネスであり、違う本質を持つこの子は希望になれると思うのです」

 

 ダークネスは闇そのものであり、倒す事は不可能。けれど見つかっていないだけでもしかしたらダークネスを倒せる方法がこの子によって見つかるかもしれない。

 

 というのが、言い訳。私は純粋にこの子を育てたいと思ったからだ。

 

 言い訳もあながち間違ってない。けどそれだけじゃあの子が可哀想だ。

 

 きちんと愛情を与え、ダークネスとは違う存在にならなければ、意味が無い。

 

 そんな私の意思を汲み取ったのか、エンディミオン様は赤ん坊を浮かせ、私の元に送った。

 

「ならそいつは任せる。ただし、他の者に影響される可能性もある。なるべく他の者の接触は避けろ。以上」

 

「っ……ありがとうございます」

 

「では、これにて会議を終える。さぁ行け」

 

 赤ん坊を抱え、私は少しの駆け足でこの場から立ち去った。

 

 この後は忙しくなりそうね。まずは育てる場所の確保や服、オムツにミルク……準備する物が多く、その分これからの未来に対しての楽しみがある。

 

「……あ、名前。決めてないわね」

 

 そういえばこの子の名前を決めていない。てっきり会議で案を出し合って決めると思っていたけど、そんな暇は無かった。

 

 まぁ、母親的な存在になったんだから私が勝手に決めても良いかとあまり気にせず、歩きながら色んな名前を頭で思い浮かべた。

 

「やっぱり賢い子に育てたいわ〜。うーん……」

 

 ウォーロック……は裏切りの魔術師で魔女の意味を含んだ物だからダメだし。

 

 レオナルド……うーん、ちょっと違う。トーマス、アルフィー、マーカス……どれもしっくり来ないのはありきたりな名前だからなのかしら。

 

 名前を考え続けたせいでいつの間にか神殿内の花畑に出てしまった。

 

 ここと出口は反対方向だから直ぐに戻らないとと思いつつも、赤ん坊は花畑を見ると大声を出した。

 

「あぅ〜!!」

 

「ん? 花が見たいの?」

 

 花畑の方に必死に手を伸ばした感じから恐らくそうだろうと思い、私は赤ん坊を連れて花畑に足を踏み入れた。

 

 この花畑は魔術によって育てられ、通常の花よりも長く咲き続ける事ができる。その為、この花には春夏秋冬の花々が共存している。

 

 その中でこの子が気に入ったのはプリムラ、シクラメン、エリカ、ボタン、スノードロップ、ヘルボルス、レイ、バラ、アザレア、カメリアだった。

 

 冬の花が好みだと思っていたけど、そうでも無さそうね。というより、怖い花言葉が多いのはやっぱりダークネスだからなのかしら。うーん、将来は暗い子にならないように頑張らないと。

 

「さて、そろそろ夕暮れになるから家も探さないとね」

 

「うー! うー!」

 

「花が欲しいの? じゃあ……ちょっと待っててね」

 

 ちょっとぐらい良いかと呟きながら、私はこの子が興味を示した花を抜き取り、この子の首に掛けられる程の小さな花冠を作った。

 

 花冠ならぬ花の首飾りにこの子は目を輝かせ、まさかの花を食べようとした。

 

「あー! こら! ダメよ食べちゃ! メッ!」

 

「あぅ〜……うぇぇぇぇん!!」

 

「あっ……あーあ、泣かないで泣かないで〜! でも花を食べちゃダメなのよー!」

 

 悪い事を叱ったらこの子が泣いてしまう。けど叱らないと悪い事に気づかない。

 

 だから心を鬼にして叱らないと行けないけど、こうも泣かれてしまうと心が傷ついてしまい、私の方が泣きそうだった。

 

 必死にあやそうとしてもこの子は泣き止まず、それは神殿内に響いたのか、神殿からある人がこの花畑に来た。

 

「あら〜随分と大変そうね〜。サーヴァント」

 

 長い金髪に白いローブを纏った彼女は、エンディミオンの中でもかなりの立場にいる聖女、セレーネさんだった。

 

「セレーネさん。ええ、けど……これが命を育てるって事だと思うと、少し感慨深いですよ」

 

「私もちょっと協力出来たら良いんだけど」

 

「いえ、他の方に影響を受けない様に1人で育てますので」

 

 私はセレーネ様の協力を惜しみながらも断った。本当は協力して欲しい……1人で子育てなんて不安とか不安とか不安とかで押し潰れそうになる。

 

 けど、私が決めた以上最後までこの子を育てると決めたからには、その責任は最後まで果たすと自分に言い聞かせた。

 

「そうだ、なら良い場所を教えるわね。ええと……」

 

 

 

 

 

 

 

 もうすっかり夜になり、私の周りには赤ん坊の為に買った物が詰め込まれた袋が浮遊していた。

 

 両手が塞がっているからこういう時に魔法は便利ね。

 

 森に囲まれた木の家、近くには泉があって幻想的が私の目に映る。

 

 セレーネさんに育てるには丁度いい場所を教えて貰い、それがここだった。

 

 景色も良く、人里とちょっと離れた場所で仮にこの子が暴走しても最悪被害は私1人で何とかなる。

 

 その場合は次の誰かにこの子を……いえ、今はそんな風に考えちゃダメ。ネガティブな考えを振り切り、私は新しい家の扉のドアノブに手をかけ、ゆっくりと回して扉を開く。

 

 扉が開かられた先には、かなり広い空間があった。

 

「おぉ……結構広いわね」

 

 キッチンも広く、リビングも走り回る程のスペースがある。2階に上ると部屋がいくつかあった。

 

 書斎1つに個人部屋が3つにベランダがあり、大家族が大手を振って暮らせる素晴らしい場所だった。

 

 こんな所を知っている……というか、持っているセレーネさんはどんな目的で所有していたんだろうか。

 

「とにかく有難く使わせて貰いましょう。さーて、まずはお風呂にしましょうね」

 

「あう〜♪」

 

 こうして私とこの子の生活が始まった。

 

 私は必ず、最後までこの子を育ててみせる。

 

 この子がいつか自分の足で生きるまで、せめてこの子の隣に誰かが……愛してくれる人が出来るまで。

 

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