六花テーマを作って愛用したらそのまま俺への愛が重くなった件について 作:白だし茶漬け
「……これが、私ドラゴンメイドとカイ……いえ、花衣との出会いと関係です」
私と花衣との出会いの3年間を話し終え、花衣のご友人である焔様、空様、彼方様、花音様、雀様は全員最後まで私の話を聞くと、何とも言えない表情になっていました。
少し情報量が多かったので理解するまでは充分な時間が必要でしょう。
各々自分の頭の中でまとめいるのか、物思いに耽っていると、焔様が頭を悩ませながら話を向けた。
「えっと……じゃあなんだ? チェイムは花衣のもう1人の母親って事か?」
「まぁ、そうなりますね」
「で、花衣の中にはお前のドラゴンがいる……と? で、その理由がダークネスとかいう闇を抑える為……んがァァ! わかんねぇ!」
焔様が髪をくしゃくしゃと掻き乱していく姿に空様は呆れるようにため息をはくと、焔様に続いて話を纏めてくれた。
「つまり、花衣のドラゴン化は暴走してドラゴンになった訳じゃなくその逆……
「その通りです」
「じゃあさ、いつまで経ってもチェイムのドラゴン形態のカードが出てこないのって花衣の中にチェイムのドラゴンの力があるから?」
「それは私にも分かりません」
雀様の質問は多分デリケートな内容なのでこちらからはお答えは出来ず、質問を濁らせるように1つ咳き込む。
ともかく、これで花衣のドラゴンになる誤解は解けてくれたようで何よりです。
今までの花衣がドラゴンになったのは、闇が制御出来ずに暴走したという訳では無く、逆に抑える為にドラゴンにならざる得なかったからです。
ドラゴンになる事でダークネスの闇を引き受けていましたが、日に日にダークネスの力が強まったせいなのか限界が近いのは事実です。
それに……花衣自身が闇に呑み込まれていく事が多く、最早私の方で引き受ける次元を超えていた。
それに、セブンエクリプスとの接触と工作で花衣の心も揺らぎや綻びが生じ、その綻びにダークネスが入り込むのも時間の問題でしょう。
「しっかしなぁ……ドラゴンメイドの母親とウィッチクラフトの母親ねぇ。美人ママ2人もいて羨ましいな!」
「あまり接触は出来なかったのですけどね……」
「それは、ダークネスが他の奴に影響を及ぼすからか?」
胸の痛い所を彼方様が突いてきた。
彼方様の言う通り、ダークネスは他人の心の闇につけ入り、蝕んでいく。
闇を肥大化させる事で不安にさせたり、他人に対しての疑念や憎悪を増幅させる事も可能です。
「今まで花衣を接触しなかったのはその力の影響を受けないようにする為……だろ?」
私が言う前に彼方様は重々しく、私とジェニー様を交互に睨みながらそう言い放った。
「言いたい事は分かるし理解も出来る。だが……納得は出来ないな」
「お兄ちゃん……?」
彼方様は天音様を見て微笑むと、直ぐさま私たちに向けてさっきの目を向けた。
「俺たちに母親はいない。物心ついた時から施設にいて、母親の愛情が分からないから、願望みたいな事を言うかもしれないが……母親なら傍にいてやれ」
彼方様の叫んだ言葉に、私とジェニー様は打ちのめされる。
私だってそうしたかったと言いたい。けれど私達が花衣の元から離れたの事実がそれを許さず、口を閉ざして甘んじてその言葉を受けた。
「……すまない、続けてくれ」
彼方様は大きく息を吐いて心を落ち着かせ、テーブルの上で頬杖をした。
「言われたわね。チェイム」
「当然の事です。話を戻すとその通りです。ダークネスの力は未知数……傍にいるのは危険というのが、白夜様の判断でした」
「……ん? てことはさ、ティアドロップ達が花衣以外に攻撃的なのは、そのダークネスのせい……とか?」
焔様の言葉に空様は目を更にして焔様に目を向けた。
「……有り得るかもな。たまにはお前も良いところに気づくな」
「おいどういう事だゴラァ? あっ?」
「褒めただけだ。噛み付くな野犬かお前は。確かにダークネスの力を考えると、1番影響があるのは六花と閃刀姫達だ」
「じゃ、じゃあこのまま花衣と一緒にいればティアドロップ達はもっとヤンデレ化が進んで……えっ、あれ以上ヤバくなるの……?」
雀様の言葉で皆様は六花と閃刀姫の方々のこれまで行いを振り返り、私も聞いた話からティアドロップ様達の行動を思い返した。
病的な程の花衣への思い、恋を成就するために他人に危害を加えるのも厭わない行動力……ですが、花衣に対する愛は本物です。
その証拠に所々花衣の体調や細かな所に気を配っていたり、花衣を疑った事は一度もなく、精一杯花衣の事を守ってくれてたりもしていた。
一部の行動などに目を瞑れば花衣の良い伴侶になりそうなんですけど……うーん、それでもちょっと横暴な部分が目立つかもしれませんね。
話が逸れましたが、日に日に彼女達の行動が過激になっている事から、恐らくダークネスの影響を受けているのは間違いないでしょう。
彼女達の心の闇が増幅すれば、更に花衣の中に存在するダークネスの闇と共鳴して力が増し、いつしか花衣は第二のダークネスになってしまう。
それだけは絶対に避けなければならない。
花衣の為にも、六花や閃刀姫の方々の為にも。
ダークネスの影響について疑問に思ったのか、花音様は恐る恐る手を挙げて質問をしてきた。
「……あの、私達も花衣さんと同じ様に一緒に過ごしてますよね? 私達がなんとも無いのは何故ですか?」
「それは皆様がレゾンカードを持っているからです。レゾンカードはダークネスに対抗する為の物ですから、ダークネスの力の影響は受けません」
「て事は、アンタも持ってんのか? 遊城……十代だっけ?」
焔様は後ろの席に座ってエビフライを食している十代様に話しかけ、十代様はエビフライを一口で飲み込み、会話に入った。
「あぁ。一応持ってはいるが、俺には少々特別な力があるんでね」
すると十代様の目の色がそれぞれ緋色と緑色に代わり、十代様から別のモンスターの気配を感じた。
なるほどあれが噂の覇王とユベル……かつて闇に飲み込まれた十代様の闇の力と、十二次元宇宙全てを融合し、世界を消滅させようとしたモンスターが合わさった物。
一瞬力を見せただけなのに身が逆立つほどの迫力に皆様は圧倒されていた。
流石は一度ダークネスを撃退したお方、心強いものです。
「それにしてもレゾンカードかぁ〜。世界に1枚、自分だけのカードってなんかワクワクするなぁ! なぁなぁ、誰かデュエルしようぜ!」
「お、いいね。俺も長い話聞いて疲れたから休憩がてらしようぜ!」
焔様と十代様が空いているテーブルをくっ付けてデュエルを初めてしまい、話を進めても良いのか困ってしまう所、空様が気にしないようにと手を差し出す動きをした。
感謝の意を込めて頭を少し下げ、話を続けた。
「とにかく、レゾンカードがあれば貴方達がダークネスに心の闇を支配されること無く、存在が消されることはありません」
「じゃあ何でレゾンカードをもっと他の人に渡さないの? 今……ダークネスのせいで、人が沢山居なくなってるんでしょ……?」
雀様の言う通り、今まさしくダークネスの力によって人々が消滅している。
それはつまりダークネスの復活を意味し、世界……いやこの次元の危機が訪れでもあります。
ならば雀様の言う通り全ての人にレゾンカードを渡して対抗するというのが理想ですが……残念ながらそれが出来ない理由があった。
「レゾンカードの生成には天音様の力であり、その力は膨大です。とても全ての人に作れる余裕はありません」
「じゃあ花衣は何であんなレゾンカードを……いや、あいつの場合は自分で生み出したとも言っていたな」
「ええ。あれはレゾンカードでは無く、花衣が……ダークネスの力によって作ったカードです」
「そんな事も出来るのか。ダークネスは」
「あぁ。あいつが使うカードはまぁまぁ厄介だったぜ。けど、なーんか引っかかるんだよなぁ」
ダークネスと対峙した十代様がどうやら花衣のカードについて何か違和感を抱きながらも、焔様とのデュエルをしながら話した。
「あいつのカードには精霊たちとの絆が感じられたぜ。ダークネスのカードとは大違いさ。……よし、【シャイニング・ネオス・ウィングマン】でダイレクトアタック!」
「罠発動【パワーウォール】! ダメージをデッキで受ける!」
「……絆か、確かに俺もそう思う。花衣くんが作ったカードには邪悪な気配とかは感じなかった」
彼方様も十代様と同じ意見であり、少しホッとしながらも嬉しく思った。
花衣にはこれ程の友人が出来たのだと改めて実感し、あの時……花衣を引き止めなくて本当に良かったと胸のつっかえが取れたような気がした。
「……あの、ドラゴンメイドと花衣さんの事は分かりましたが、ウィッチクラフトの方々と花衣さんはどういう関係なのでしょうか」
「あぁ、そうでしたね。ごめんなさい。申し訳ありませんが、私と花衣の主な関係はあの子が4歳までの事しか分からないのです」
私と花衣が再開したのは、あの子が17歳の誕生日を迎えたあの日です。
「ウィッチクラフトとの関係はジェニー様に……」
「いや、私よりもハイネちゃんの方が詳しいかもよ」
「ふぇ!? 私ですか!?」
ジェニー様は眉をいやらしく上下させてハイネ様に目を向け、いきなり名前を呼ばれたハイネ様は手に持ったカップから手を離し、紅茶を服に落とした。
「あっつ! アチチ……あうぅ……もう〜ジェニーさん!」
「あはは、ごめんなさい。けど事実でしょ? だって貴女、花衣と付き合ってたんでしょ?」
ジェニー様の言葉で空気が凍りつき、皆様の視線がハイネ様に移り、私の目もハイネ様に向けられた。
え? 付き合って……え? 付き合ってた? 付き合っていたとは、交際していたという意味の?
「花衣と……ハイネ様が?」
言葉が耳に入って頭で理解するのに何分とかかり、理解したと同時に、この場にいる全員叫んだ。
「「えええええええええええええ!?!?!?」」
凍りついた空気が震えだし、全員ハイネ様に詰め寄った。
「マジか!? あのウィッチクラフトハイネが!? 花衣と!?」
「まさに予想GUYだな……」
「ちちちち違います! 事実無根です! 嘘です! デマです! ジェニーさん何言ってるんですか!?」
「え? そうなの? 私から見れば付き合ってたような気がするけど」
「いやいやあの子はその時10歳ぐらいですよ!? その時私はにじゅ……あぁもう! シュミッタとポトリーも何か言ってください!」
「うーん、私から見てもかなり仲がいいように見えましたけど」
「ポトリーはその人が出ていった後に入ったから知らない」
「え、エーデル〜……」
「いや〜あれはラブラブだったわー。まぁアンタの方から甘えていたような気がするけど」
ウィッチクラフトの皆さんの様子からして交際しているのは確か……なのでしょうか。いまいち全体像が掴めませんが、ハイネ様は20歳は過ぎてるんですね。私にとっては赤子のような年齢ですが、人間にとっては大人の年齢……それにしても少なくとも10歳以上の年の差ですか。
人間は同じぐらいの年齢ぐらいで恋愛をするものらしいですが、ここまでの年の差は珍しいのでしょう。
だからこそ、花衣がハイネ様と付き合っているイメージが湧かない。そもそもハイネ様は付き合っていた事を否定していますが。
真意を聞く為にも、ウィッチクラフトと花衣の関係は是非ともハイネ様から聞きたい限りです。
母親しても個人的にも気になるのは……ここだけの秘密です。
「では、ここから先はハイネ様にバトンタッチですね。よろしくお願いします。ハイネ様」
「うぇぇ!? 私よりジェニーさんの方が……」
「いやいやこの流れ的に貴女が離さないとダメでしょ〜」
ジェニー様の言葉に全員うんうんと頷き、ハイネ様がウィッチクラフトと花衣の関係を話すのが通りです。
ハイネ様は子供のように泣いてしまい、テーブルの物陰に隠れてしまった。
「あらら、これじゃあ話すのは無理かな?」
「では、ハイネ様の服が乾くまで待ちましょうか。ハイネ様、お着替えをご用意しますね」
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「行けネオス! ラスオブネオス!」
「ぐわぁぁぁ負けたぁぁ!」
ハイネ様がお召し換えを終えたと同時に十代様と焔様のデュエルも終了したようです。様子を見るに、十代様が勝ったようで、焔様は悔しながらも爽快な顔をされていた。
「ガッチャ、楽しいデュエルだったぜ」
「いやホントにな。くそー、あと少しで勝てたんだけどなぁー! よしもっかいだ!」
「お、良いぜ! 次も俺が勝つ!」
「いーや、俺が勝つ!」
御二方はデッキをシャッフルし、2回戦を始めた。
「バトルジャンキー共め……」
「いいじゃないか。楽しそうで」
彼方様の言う通り、御二方は楽しそうな顔を浮かべていた。まるで、昔の花衣の様に明るく太陽の様に……
花衣、貴方は今どんな顔をしていますか?
あのご友人の様に笑えていますか?
貴方の心には誰がいますか?
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「〜〜♪」
ティアドロップの幸せそうな花唄が耳に入り、俺も同じように、同じメロディーを口ずさむ。
聞いた事あるような気がするメロディーだがどうでもいい。ティアドロップと同じ花唄を歌っているという事実が、俺を良い気分にさせた。
ティアドロップが花唄を歌う程上機嫌なのは、俺を誰にも邪魔されない楽園に連れて行けると言っていたからだ。
「花衣様、いよいよですよ。誰にも邪魔もされず、私だけの世界に行けますよ」
「誰のおかげだと思っているんですか」
ドスの効いた低い声をしたレイが部屋の扉の前に背中を預けるようにして立っていた。
明らかに不機嫌そうにティアドロップを睨み、ティアドロップは見せつけるようにして体を寄り添わせ、首元に口付けをしてレイを煽っていた。
ティアドロップの挑発にカチンと来たレイは物凄い剣幕でこっちに向かい、そのまま俺の膝の上に乗って猫のように頭を擦り寄らせた。
「花衣さん〜。デュエルディスクを解析出来て準備が出来ましたよ〜褒めてください」
「あぁ。ありがとう……やっぱりレイは頼りになるな」
猫に見えたレイの首元を撫でると、本当に猫になったかのように喉元を鳴らしながら愛くるしい声を上げた。
だが隣のティアドロップは良い気を持たず、気を惹かせるように首筋を少しだけ強く噛み、痕が付くほどの激しいキスをしてきた。
「私がいるのに他の女にうつつを抜かさないでください」
「ご……ごめん」
「ふふっ、そんな風に謝る花衣様も可愛いです」
本当に心酔してるかのように俺に言い寄ってくるティアドロップは、俺の頬を優しく撫で、そのままレイに見せつけるように唇を重ねてきた。
レイが怒りを露わにして俺を奪い返そうとするが、ティアドロップはそれを見下すようにして嘲笑い、レイの怒りを更に煽っていた。
「ん……ずるいですよ。花衣さん、私も一緒に……」
負けじとレイは膝の上に背中を向けていた体を前に向けるように回転し、膝の上に跨ると、対抗するように首元に痕をつける。
誰の物だと分かるためのマーキングの痛みが何故か心地よい。
本来生きてはいけない俺が生きてて良いって言われてるみたいで、存在意義が証明されているようでもあった。
俺は今幸せだ。
俺の心に六花と閃刀姫の皆がいるから生きられる。
愛し愛され、求め求められて求め合って、お互いだけを必要とするこの関係が好きだ。
口角が歪に上がり、縋るようにティアドロップとレイの髪に触れて存在を確かめる。
指通りが良い艶やかな髪に柔肌の温かさが直に伝わってきて俺の心に安らぎを与えた。
あぁ……幸せだ。
(これがずっと続けば良いのに……)
生きてはいけない俺が、存在しちゃいけない俺が、存在していい
今回は休息回。
ドラゴンメイドの過去編はこれにて一旦終わります。
幕間みたいな物をもしかたらあるかもしれないので一応『一旦』と予防線を貼っておきます……w
次回はウィッチクラフト編!お楽しみに
オリカをまとめた章が欲しい?
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欲しい!
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別に( *¯ ³¯*)