六花テーマを作って愛用したらそのまま俺への愛が重くなった件について 作:白だし茶漬け
「……着いたな。ここだ」
黒魔女ディアベルスターがアルバス君とエクレシアちゃんが乗ってきた飛空挺からおり、罪宝があるとされている黒い遺跡の入口の先導に立つ。
遺跡からは異様な空気が流れ出し、肌を突き刺す。
焼け付く様な砂漠の熱さが冷たさに変わる程の圧と、恐ろしさが私よ恐怖心を煽ってくる。
逃げ出したいと叫びたい弱さを何とか押さえ込みながら遺跡の入口の前に立ち、カイもジェニーさんと一緒に閉ざされた扉の前に立つ。
「わぁ……大きいですね」
「嫌な予感がするな……エクレシア、気をつけろよ」
「むっ、アルバス君だって気をつけてくださいね」
仲のいい2人からは確かな絆が感じられ、微笑ましいと思ったのも束の間、ディアベルさんが扉に触れるた瞬間、固く閉ざされた扉は開かれた。
扉の奥に広がったのは……闇。砂漠の太陽の光すら届かない闇しか見えず、ランタンの火すらもこの闇を照らす事は出来なかった。
「言っておくが、着いてこないのなら好きにしろ。そこのガキは強制だがな」
ディアベルさんはカイを担ぎ上げるように抱き、一足先に扉の奥へと入ろうとした。
「あぁちょっと! ウチの息子を勝手に連れていかないで〜! 行くわよ、ハイネちゃん」
「うぇぇ!? は、はい〜!」
「俺達も行こう、エクレシア」
自分の息子を勝手に連れて行かれて少し怒ったジェニーさんを追い掛け、アルバス君は暗闇の中でエクレシアちゃんと離れないように手を繋ぎながら暗闇の中を進んでいく。
最後に入ったエクレシアちゃんがこの暗闇に入った瞬間、開かれた扉が完全に締まり。
暗闇がこの場を支配した。明かりを何とかして付けようとする前に、壁際には青い炎が次々と暗闇を照らし、部屋の全体像が見え始める。
部屋はかなり広く、奥には3つの扉があるのが特徴的ですが、それよりも気になるのは部屋の中央にあった石版だった。
石版には文字が彫られていて、文字が不思議と綺麗に残っていた。
﹁この先に踏み入る者、自らの闇を映し出す事なり。さすれば道、開かれん﹂
「……どういう事?」
書かれている意味は分かるけど、聞かれている意味が分からないと全員が首を傾げたその時、突然中央の石版が光出し、地面が徐々に変形して地面から壁が生えてきた。
壁は私達を分断するように盛り上がると、全員が合流しようとしても激しく揺れる床で思うように体が動かず、私達は合流する前に分担されてしまう。
「カイ!? カイ!! 無事ですか!?」
「こっちは大丈夫ー! 母さんとハイネさんはー?」
「こっちは大丈夫よ!」
「エクレシア!? エクレシアはどこだ!」
「アルバス君ー! 私はこっちでーす!」
「どうやら、三組に別れされたらしいな」
どうやら皆さんが無事な様でひとまず安心すると、完全に分断されてしまった。
すると私の杖にある2つの宝石が光り出すと、それぞれ宝石からはジェニーさんとカイの姿が浮かび上がった。
『良かった。ここ通信は使えるようね。とりあえず、誰と誰が組んでるか把握しましょうか。私はアルバス君と組んでるわ』
『こっちはディアベルお姉ちゃんと組んでるよー』
「私はエクレシアちゃんとです」
どうやら、私とエクレシアちゃん。アルバス君とジェニーちゃん。そして、ディアベルさんとカイに分断されたようです。
見事にバラバラにされ、これでは連携のしようが無いと一層不安になってしまう。しかもさっき入った入口も壁に阻まれている今、勧める道はただ一つ、奥にそびえる扉です。
『幸い、私たちの間の通信は使えるようだから。何かあったら連絡お願いね。特に、リカイは絶対するように』
『分かってるよ! うるさいなー』
「ディアベルさん、リカイをお願いしますね」
『まさか子守りまでされるとはな……まぁ、適当に面倒はみる』
ぶっきらぼうにディアベルさんはそう言いましたが、何だかんだで面倒見が良いのはこの旅で見てきた。
それにカイもディアベルさんに甘えていますし、何とか……なるでしょう。
「アルバス君……大丈夫かな」
「アルバス君ならジェニーさんがいますし、大丈夫ですよ」
「……そうですね。ちょっとそわそわしますけど、アルバス君なら大丈夫です! さぁ、行きましょう!」
頼もしい限りのエクレシアちゃんは意気揚々と入口に向かって歩き、私もその後について行く。
果たして、この先には何があるのか……
「ふふ、どんな事が起こるのか楽しみね」
「楽しみ……豪胆ですね」
アルバス君は私の反応を見て少し苦笑いし、ついつい自分の悪い癖が出てしまったと私も苦笑いを返した。
「ごめんなさい。知らない事が起こるのが楽しくなっちゃって」
「楽しい? ……怖い、じゃなくて?」
「勿論怖い事もあるわ。けど、分からなかった物が分かったりする事は、魔法使いとしては楽しい方が大きいわ」
「凄いなぁ……」
「まぁでも、気を抜かずに行きましょう」
きっと、カイも私と同じ様な気持ちを抱いているはず。あの子、ああいう所が私に似ているけど、少しばかり先走ってしまわないか少し気がかりと思ったその時、前の空間から突然何かが私の横を通り過ぎた。
少し薄暗いのが相まって何かまでは視認出来なかったけど、アルバス君もその気配に気づいてナイフを取り出し、迫り来る何かに警戒した。
背中を取られないようにお互いに背中を合わせ、この空間に飛び交う何かは動き回った。
「……そこだ!」
アルバス君がナイフを一振りすると、手応えがあったのか、アルバスの君の前にその何かが崩れ落ちた。
「これは……鳥の形をした岩?」
アルバス君は岩で作られた鳥をすくい上げ、私に見せた。
手に触れても何も起きないけど、触れてみると微かな魔力残留が感じられ、恐らくだけど魔力で岩を自由自在動かしたのでしょう。
誰がなんの為に……かは分からないけど、恐らく罪宝の仕業でしょう。
罪宝は意志をもつ宝……意志を持っているのならば、不意打ちをしてもおかしくは無い。
一筋縄では行かないと気を引き締めると、突然地面から石版が現れ、アルバス君が倒した岩の鳥が動き出し、石版の頂点に止まった。
『ここから先、知のある者しか通る事許されず。それを示すは、我の問に答えるべし』
「……何を言ってるんだ?」
「つまり、貴方が出す質問に答えたら良い……有り体に言えば、クイズね?」
岩の鳥はコクリと頷くと、早速クイズの問題が石版に浮かび上がった。
﹁誰の目から見ても一日疲れを知らず、動き続ける物を答えよ﹂
クイズというよりかは……なぞなぞみたいだなと思いながらも、私はアルバス君とクイズの答えを考えた。
でもまぁ、これは簡単ね。
私はいつでも答えられるけど……アルバス君が真剣に悩んでいるのを見るのが面白いから、ちょっとだけ待ってみた。
するとアルバス君はポンと手を叩くと、我先に答えを出した。
「分かった! 太陽だ! 太陽はずっと動き続けるってエクレシアから聞いた!」
『違う。馬鹿者』
不正解をしたアルバス君に向けて岩の鳥は怪しく目を光らせると、突然横の壁に穴が開き、穴から突然炎がアルバス君に襲いかかってくる。
炎を察知したアルバス君は炎を避け、冷や汗を流した。
「どうやら間違えるとお仕置をされちゃうのね。注意しないと」
「不正解!? 太陽はこの星の周りを動き続けてるのに……」
「『誰が見ても』っていうのがネックね。太陽は昼間でしか見れないわ」
「あぁ……そっか……ごめんなさい」
アルバス君は私に迷惑をかけたと思っているのか、しょぼくれてしまった。
「ふふ、大丈夫よ。もう答えは分かってるから。答えは……時計ね?」
時計の針は一日中ずっと動くし、誰の目から見ても動き続けている。
アルバス君はなるほどと唸ると、岩の鳥は翼を広げた。
『正解だ。見事なり』
正解すると石版の文字が光りながら消え、同時に先の扉の一部が崩れ落ちていった。
正解すると奥の扉の一部が外れて全部正解出来たら先に進めるという事ね……。
『では第2問だ。汝ら、答えろ』
﹁取り続ける事はあれど、減ることが無い物は何だ﹂
「減る事が無い……? うーん……なんだ?」
「年齢かしら。歳を取る。って言い方するし」
﹁見事なり﹂
どうやら正解らしく、扉の一部がまた1つ削られていった。
『ふむ、どうやらお前は知ある者のようだ』
「一応、魔法使いだからね」
『ならば、次の問にはその者が答えよ。其方が答えることは許されぬ』
突然鳥はアルバス君を指名した。
「なっ……!」
「あらら〜」
アルバス君しか答えられないという状況に本人はプレッシャーを感じながらも、それを乗り越えろうと気合いを入れて頬を叩き、生唾を飲み込んだ。
あの状況じゃ、多分焦ってどんな問題が来ても間違えるでしょうね。
あの鳥……というより、罪宝は私の事認めているそうだから、1つ賭けに出る事にした。
「ねぇ、ヒントをだすことはあり?」
『それはならぬ。この物の知を認める為の試練だ』
「けれど、外部の刺激によって閃きが生まれ、それが知識になるえるのよ? 1回ぐらいいいんじゃない?」
『ふむ……なるほど。よかろう、一度のみの助け舟を認める。ただし、答えに繋がることは言ってはならぬ』
予想通り、私の事を認めているのかヒントを出す事を許してくれた。アルバス君もヒントが貰えると分かると少しづつ表情も柔らかくなっていくけど、やっぱり顔色は少し青いままだった。
「大丈夫よアルバス君」
今までの問題の傾向的に、専門的な知識が必要はない。誰でもわかり、一つの閃きで答えがすぐに見つかるなぞなぞのようなものが来ると思う。
落ち着いて頭を捻れば大丈夫よ、アルバス君。
『では、お前に問う』
﹁ある時は針、ある時は泳ぎに使い、ある時は切り離し、ある時は筆になりえる物はなんだ﹂
この答えも簡単。しかもアルバス君の身近な物……でいいのかしら?
だけどアルバス君は答えが分からず、かなり悩んでいた。これはヒント無しじゃ答えられないかしら?
「アルバス君落ち着いて」
「ジェニーさん……」
「アルバス君って、どんなところを旅してきた?」
「え?」
「砂漠は? 海は? 遺跡は? あと、いろんな人との交流は? 多分、いろんな景色や物を経験した貴方ならきっと分かるはずよ」
これが最大限出せるヒント。あとはアルバス君の経験が如何に実を結ぶかになるけど……。
「針にもなるし、筆にもなるって……。なんだか聞いたことあるような」
答えが喉に張り付いた所まで来たアルバス君は悩みに悩んでいるのを見ると、私はアルバス君がこの問いに答えられる事を確信した。
悩みに悩み、アルバス君がポンと手を叩き、答えを出した。
「答えは……尻尾だ! 毒はサソリ、泳ぎは魚、切り離して使うのはトカゲで、筆は……この前、馬の尻尾が筆になると聞いた!」
答えとその理由を述べ、少しの間無言の空気が流れる。
アルバス君が生唾を飲み込み、鳥が翼を広げてると、合否を答えた。
『見事なり、正解だ』
「や……やった!」
全てを解けられたのか、奥の扉を塞いでいた岩は全て崩れ去り、長い通路が目に映った。
『知恵を有し者よ、この先を通り、技ある者と宿命の者と再会しろ』
岩の鳥は形を保たず崩れ去るのを見ると、どうやら私達はこの試練をクリアしたようだった。
アルバス君は小さくガッツポーズをすると、やってやった感を見せて笑った。
「ね? 答えられたでしょ」
「いえ、ジェニーさんのヒントのおかげです」
「最終的にはアルバス君の経験のおかげよ。さて、それじゃ進みましょうか」
アルバス君と先に進むと、ふとハイネちゃんとカイもこんな風な試練を受けているのかと考えたけど、それを直ぐに否定した。
_知恵を有し者よ、この先を通り、技ある者と宿命の者と再会しろ。
この言葉から察するに、ハイネちゃんとカイはそれぞれ別の試練を受けている事が分かる。
技ある者の意味はわかるけど、宿命の者ってどういう意味なのかしら……。
けれど……その宿命の者っていうのが、私にはカイの事なのかもしれないと、確信的に思えた。
何か無ければ良いんだけど……。
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「あぅぅ……怖いですっ、逃げだいでずぅ……」
「ハイネさん、大丈夫ですよ! ほら、私がいます!」
情けなく咽び泣く大人の私が、一回り歳が下のエクレシアちゃんに慰められている光景は、私から見てもとても情けない物だった。
あぁ、私は一体どうしてこんなにダメなのでしょうか……。
昔からそうだった。何に対しても臆病で、ネガティブに受け取ってしまい、今まで関わってきた人達はそんな私に呆れていた。
これが原因でイジメにもあった。変えようと思っても、それが怖くて足踏みするどころかその場から動けない自分が情けなくも思う。
自己嫌悪に浸りながら長い廊下を歩く中、私達は少し広い所に出た。
周りは岩に囲まれて、正しくピラミッドの中だと思わせるような砂色の空間の中央には岩を纏った鳥が私達を見た。
『ここから先、技ある者しか通る事許されず。それを示すは、技を持って我を倒せ』
「へ? それはどう言う……」
すると岩の鳥は少しづつ他の岩をまとい、鳥から岩の巨人へと変貌させる。
その大きさは私たちを合わせてもその倍以上はあり、赤く光る眼で私達を睨んだ。
「ハイネさん! 危ない!」
咄嗟にエクレシアちゃんが私の前に立ち、迫り来る岩の巨人の右手と迎え撃つ様にしてハンマーをぶつける。
しかし、パワーは巨人の方が上なのかエクレシアちゃんは踏ん張りが聞かず、壁に吹き飛ばされてしまう。
「エクレシアちゃん!」
「あいたた……大丈夫です! それにしても凄い力です……私じゃ無理かも……」
だったら物理では無く魔術で対抗しようと魔法弾を巨人の頭に向けて放つ。
しかし巨人は左腕で頭を守ると、魔法弾は弾き出され、ダメージを与えられなかった。
どうやら魔法にも耐性がある様であり、無敵な敵を前にして私は腰を抜かした。
「どどど、どうすれば……」
エクレシアちゃんでも敵わず、私の魔法は通じず……。
私なんかじゃ、この巨人に勝つなんて出来ない。
私はただ、恐怖で足がすくんで動けなかった。
すると、岩の巨人は私を標的にして右腕を私に振りかざした。
その腕は私の目の前まで迫ってきた。
もうダメかと思ったその時、エクレシアちゃんがハンマーで巨人の頭を殴りつけ、巨人はバランスを保てず体勢を崩した。
「大丈夫ですか!? ハイネさん」
「は、はい……ごめんなさい」
また助けられてしまった……。勿論有難いですが、年上の私がもっとしっかりしなければならないと分かっているのに体の言うことが聞いてくれない。
情けなくてまた涙が止まらないながらも、私は立ち上がり体勢を整えると同時に、巨人も起き上がり、また私達に向けて腕を振り下ろす。
物理も効かない、魔法も効かない……こんな相手を前にどうすれば良いの……?
「ハイネさん! きっと弱点はあります! 諦めないで!」
「そんな事言われても……私には無理です!」
「無理じゃないです! 私、ハイネさんとはまだそれ程長くはありませんが、ハイネさんは凄い人だって分かります!」
エクレシアちゃんは私に向けて激励を向けながらも、巨人の攻撃を躱し、少しでもダメージを与えようと巨人の体をハンマーで殴り続けた。
「ハイネさんが作ってくれたテント、とっても凄かったです! まるで家にいるみたいに丈夫で優しくて、落ち着きました! あんな事が出来る人は、きっと他にもできることがあります!」
「無理です! 私は裁縫が得意なだけの人です! 他に何も出来ないから……それしかないんです!」
そう、私にはそれしかない。
布に針を刺し、糸を縫い、形にする事しか出来ない。
戦闘なんて出来ない、たった1人の子供をまともに叱ることすらも出来ない。なんて情けない人間なんだろう。
「じゃあ、なんでハイネさんはここにいるんですか?」
心が暗闇に沈む中、エクレシアちゃんはそう言った。
「そんなに自分を卑下する人が、どうしてここにいるんですか? 私には分かります。リカイ君の事を守りたいんですよね?」
「それ……は」
確かに、私が罪宝探しの旅に付いてきたのはカイを守る為。けどそれはおこがましかった。
私が守らなくても、ジェニーさんとディアベルさんがいるのに……何で付いてきたんだろう。分かっていた事なのに……私なんて、誰かを守れる力なんて無いのに。
「キャァッ!」
エクレシアちゃんの大声に意識は現実に引き戻され、私の目には巨人に吹き飛ばされ壁に激突したエクレシアちゃんだった。
巨人はトドメを刺す為にエクレシアちゃんに拳を突き上げ、そのまま振り下ろそうとしていた。
何をしているんだ、早く動けと私の中の私が叫び出したかのように、杖をかざし、杖の宝石が緑色に輝くと斬撃が杖から無数に飛び出し、巨人の体を少しづつ切り裂いていく。
ダメージこそあまり与えられませんでしたが、巨人は頭部に斬撃を受けると一瞬動きを止め、その隙にロープを取り出し、エクレシアちゃんに向けて投げて巻き付けた後、こちらに手繰り寄せる。
「はぁ……はぁっ! だ、大丈夫!? エクレシアちゃん!」
「大丈夫です! やっぱりハイネさんは凄い人ですよ! 自信もってください!」
「そ、そんな事無いですよ。体が勝手に動いただけで……」
「それぐらい私の事を助けようとしたんですよね。本当に凄い人です!」
まるで自分の事のように喜びながら私を褒めちぎるエクレシアちゃんに対して恥ずかしながらもロープを解き、動きを止めた巨人が動き始めた。
「どうしますハイネさん。あの巨人、中々手強いです。私達の攻撃が全く効いてないですし……」
「いえ、もしかしたら……あの巨人は頭が弱点なのかも知れません」
「頭が弱点?」
私達は巨人の頭に注目する。弱点らしき弱点は見えませんが、恐らく頭部が巨人を形成している魔術回路が集中していると私は睨んだ。
「ここまで、頭部による攻撃をした直後に巨人は動きを止めていますし、頭部を守るような行動もしてきました。だから……もしかしたら」
「頭を攻撃すれば、攻撃が通るんですね! けど……あの巨人の腕は私の攻撃では……」
「私が何とか巨人の動きを止めます。エクレシアちゃんはそれまで最大級の一撃を出せるように準備を!」
「はい!」
早速エクレシアちゃんは力を溜め続け、エクレシアちゃんの魔力が少しづつ上昇していく。
私はエクレシアちゃんから注意を逸らす為に攻撃をし続け、巨人の注意を惹く。
頭部を攻撃された巨人は咄嗟に顔を守るように腕を出し、足を止めた。
しかしこのままでは頭部に攻撃が出来ない。あの厄介な腕をどうにか頭から離さないようにしなければ……。
「だったら……この手で!」
ポーチから灰色の布地を取り出し、2つのロープにするように断裁し、ロープになった布は私の周りを浮遊し、私の指示でどこまでも飛ぶようになる。
ロープを壁に貼り付ける様にし、その先を巨人の腕に巻き付ける。
「シュミッタ、貴女の道具をここで使います!」
シュミッタの特製の炎を閉じこめたビンを巨人にでは無くロープが貼り付けられた壁に向けて投げると、炎は壁を燃やし、そのままロープに燃え移る。
ロープはそのまま燃えクズにはならず、むしろ燃えていなかった。その変わり、布は少しづつ伸縮していき、頭を守ろうとしている巨人の両手が開かれつつあった。
巨人はロープを引きちぎろうと奮闘しますが、布はビクともせず、炎によって縮み続ける。
「形状記憶合金を魔術で混ぜ合わせて作った私の特製です。そう簡単にはちぎれませんよ……!」
形状記憶合金とは、低温で変化させ、高温で元の形に戻る合金です。
暑い時期と寒い時期でも両立出来る服が出来ないかと模索し、出来上がったのがこの布です。まだまだ改良の余地はありますが、今だったら充分に効果がある布だった。
「エクレシアちゃん!」
「待ってました! 行きますよ!」
今なら頭部ががら空きの状態です。二度と来ないチャンスを逃さないべく、エクレシアちゃんは稲妻をまといながら巨人に近づく。
その姿はまさに雷鳴のようであり、エクレシアちゃんは魔力をハンマーに込めた。
「ドラグマパニッシュメント!!!」
技の名前を叫びながらハンマーと共に雷鳴が巨人の頭部に降り注ぎ、巨人の頭部に直撃した。
頭部はみるみる粉々になり、やがて雷鳴によって巨人の頭部は破壊された。
頭部を破壊された事により、巨人の体が崩壊していき、巨人は瓦礫の山へと姿を変え、その後動く事は無くなった。
「や……やった……お姉様の技、上手く出来て良かった……」
最大級の一撃を与えた事による安心感から、エクレシアちゃんは清々しい笑顔のまま倒れると、私はすぐにエクレシアちゃんの傍に向かった。
倒れたエクレシアちゃんを起こし、肩を貸して立ち上がるのに手を貸した。
すると奥の扉が開かれ、どこからともなく声が響いた。
『技を有し者たちよ。見事なり、通るがよい』
「ほっ……本当に良かった……」
「ハイネさん、やっぱりすごいです!」
「いえ、エクレシアちゃんの方が凄いですよ。あんな凄い技が使えるなんて」
「お姉さまの技なんです。ぶっつけ本番でしたけど、うまくできて良かったぁ……」
満足そうな笑みを浮かべたエクレシアちゃんの方を持ちながら、私はゆっくりと一緒に歩いていく。
廊下を歩き続けると、広い空間に出た。広場に足を踏み入れた瞬間、後ろの通路に続く扉が締め出される音が2回聞こえた。
1つは私たちの後ろ、もう1つは右奥の通路からだった。
「あら? ハイネちゃーん!」
「エクレシア! ……その傷、大丈夫か!?」
通路を出て広場に出ると、エクレシアちゃんを見たアルバス君は血相を変えてエクレシアちゃんの傍についた。
「アルバス君、私は大丈夫です。あいたた……」
やはり少し無理をしたのか、エクレシアちゃんは痛みを抑えるように腕を抑え、アルバス君はエクレシアちゃんをお姫様抱っこして持ち上げた。
「やっぱり無茶したんだな……」
「あはは……ごめんなさい」
「怪我人がいるなら、無理に進まなくてもいいかもね。ところでハイネちゃん、カイはまだ来てないの?」
私はその問いに首を横に振って答えた。
そういえばカイとディアベルさんの姿が見えなかった。てっきりカイ達が真っ先に試練をクリアしたのかと思っていましたが、どうやら一番最後のようです。
丁度いいのでここで待とうとジェニーさんから提案され、私達は簡単なテントとエクレシアちゃんの治療をしてカイを待ちました。
待つこと数十分、この広場に通じる真ん中の通路の扉が開かれると、私は思わず立ち上がった。
やっと来てくれた事に安心したのも束の間、少し様子がおかしかった。
(足音が一人分しか聞こえないのは何で……?)
嫌な予感が止まらず、カイとディアベルさんに何かあったのかと思うと息が苦しくなる。
扉の奥からようやく人影が見えると、広場の明かりで照らされたのは……ディアベルさんを支えるカイだった。
小さな体でディアベルさんを一生懸命引きずりながら背負い続けたカイはボロボロで、ディアベルさんも服がズタボロになって白い肌が露出している所が何ヶ所もあり、生傷が目立っている痛々しい姿だった。
「カイ!?」
私よりもジェニーさんが慌ててカイの元に走り出した。
いつも冷静で笑顔が絶えないジェニーさんが、取り乱し、少し息を荒げて2人を診た。
「カイ、何があったの? ……ディアベルさんは……まだ生きてる。良かった……ハイネちゃん、直ぐにディアベルさんを手当てしてあげて」
「は、はい!」
私は魔法でディアベルさんの体をうかし、簡易的に作ったベッドの上に寝かせて治療を始める。
まずは傷口に持ってきた薬を塗り込み、その後外傷を包帯で巻いて止血していく。
後はディアベルさんの回復力次第……薬はそれなりに効果はある物ですが、この傷では数時間は目覚めないでしょう。
ディアベルさんの治療を終え、カイとジェニーさんは広場中央に身を寄せ合い、何があったかのかとジェニーさんは言った。
けれどもカイは俯きながら泣いてしまい、ジェニーさんは背中をさすってあやした。
「よしよし……大丈夫よ。ゆっくり話せばいいんだから」
「ぐずっ……ねぇっ、母さん。おれ……おれの……」
「おれのなかに、何があるの?」
カイは泣きながら、自分の核心を私達に突きつけた。
オリカをまとめた章が欲しい?
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欲しい!
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別に( *¯ ³¯*)