六花テーマを作って愛用したらそのまま俺への愛が重くなった件について   作:白だし茶漬け

178 / 196
退魔天使エクソシスター……なんかそれ系のゲームとか本とかありそうな感じ。

あと1ターンなげぇぞ焔くぅぅん!まぁ60枚デッキはそんなもんです。はい。



焔の豪炎

 親父の提案によって始まった3対1の変則デュエル。

 俺の60枚デッキに対し、親父達が使っているのは墓地メタのエクソシスター、戦闘ダメージ反射の御巫、そして装備魔法によって強化される炎の剣士デッキだ。

 

 全員初心者が故にそれ程展開はしていないが、実質3倍差の戦力差にドギマギしている。

 

 今の所の盤面はこんな感じだ。

 

 1ターン目終了

 

 大和     燐     火々璃

 ライフ:8000 ライフ:8000 ライフ:8000

 手札:2    手札:3    手札:2  

 □⑩⑪⑫⑬   □□⑥⑦□⑤  ①②③□□

 □□⑨□□   □□⑧□□    □□④□□

 

 □□□□□

 □□□□□

 焔

 ライフ:8000

 手札:5

 

 

 ①②③:伏せカード

 ④:エクソシスターズ・マニフィカ

 

 ⑤:天御巫の闔

 ⑥:御巫舞踊-迷わし鳥

 ⑦:伏せカード

 ⑧:珠の御巫フゥリ

 

 ⑨:極炎の剣士

 ⑩:炎の剣域

 ⑪:飛龍炎サラマンドラ

 ⑫:天子の指輪

 ⑬:伏せカード

 

 

 ざっと見の6妨害の盤面だ。まずはエクソシスターの墓地メタ。

 

 マニフィカの効果を使ってカスピテルを出されたら、墓地のモンスターを特殊召喚出来ない。これが俺のデッキにとって最も最悪な状況だ。

 これをどうにかしない限り、俺の勝ち目は無い。

 

 3枚の伏せカードのうち、1枚は前のターンでサーチした『エクソシスター・バディス』なのは間違いない。あれを使って『エクソシスター・アソフィール』って奴を召喚されたら、墓地のカード効果は使えなくなる。

 ……が、これに関しては少しだけ突破法がある。

 

 次は御巫の伏せカードだが、あれは『神隠し』で確定だ。俺のモンスターを装備魔法として取られるのは厄介だ。

 

 んでもって極炎の剣士の効果だ。装備魔法を装備しているから、あいつは相手ターンにモンスターを破壊できる効果を持っている……。

 

(まっ、ドローしてから考えるか)

 

 今の手札で何とかできるかと言われたら行けるかもしれない程度だ。とにかくドロー。これに限る。

 デッキからカードをドローし、出てきたのはモンスターカードだが、ここで欲しかったカードでもある。問題はババアの伏せカード3枚の存在だが……やらなきゃならない。

 

「俺は手札の『ホルスの栄光-イムセティ』の効果発動! こいつと手札1枚を墓地に送って、デッキから『王の棺』を手札に加えて、そのまま1枚ドロー!」

 

 王の棺を持ってこれたおかげでホルスモンスターを最大限に引き出す事が出来る。……が、マニフィカがどうしても邪魔になっていく。

 

 王の棺は永続魔法だ。出した瞬間マニフィカの効果で除外されたらこの流れは無駄になる。

 

 それに魔法カード無効の天子の指輪の存在もある。だがあれは任意じゃなくて、最初に使った魔法カードだけを無効に出来るものだ。マニフィカとあれをどうにかする方法は手札にはある。そのカードを、俺は手に取った。

 

「俺はフィールド魔法『アンデット・ワールド』を発動!!」

 

 アンデット・ワールドが発動した瞬間、親父の天子の指輪が発動したのか指輪が光り輝き始めた。いきなりカードの効果が発動したことに親父は驚きを隠せず、鳩が豆鉄砲を喰らったかのような顔をした。

 

「あれ、俺『天子の指輪』の効果使うつもりなかったんだが」

「残念だったな。それ強制効果なんだよ。んで、このカードが破壊されたわけじゃねぇから、『アンデット・ワールド』の効果は生きてる!」

「……分かんないな」

 

 早速コンマイ語に狙撃された親父は頭を搔いて苦笑いを浮かべた。

 まぁ気持ちは分かる。俺もほとんどのカード処理とか分かんねぇし。けどまぁ、その隙を今回は付けさせて貰う。

 

 悪く思うなよ親父……こっちにはこっちで譲れねぇもんがある。その為にはどんな隙でも使ってやる。

 

「更に手札1枚捨てて速攻魔法発動! 『超融合』! これでてめぇらのモンスターで融合してやらぁ!」

 

 そして『超融合』にはやばい効果がある。その効果とは、相手モンスターを巻き込んでの融合だ。

 

 しかも俺のフィールドには『アンデット・ワールド』が存在し、全てのモンスターはアンデット族になっている。そして俺のEXデッキにはそのアンデットを素材として融合するモンスターがいる。

 

「俺はババアの『ミカエリス』と燐の『珠の御巫フゥリ』を融合!」

「わ、私のモンスターで融合!? そんなのズルいじゃん」

「うっせぇ! 行くぞ超融合!」

 

 超融合が発動し、ミカエリスとフゥリが超融合の穴へと吸い込まれていき、穴の向こうから禍々しいドラゴンが俺のフィールドにやってきた。

 

「こぉい! 『冥界龍 ドラゴネクロ』!」

 

 冥界龍 ドラゴネクロ

 レベル8/闇属性/ドラゴン族/ATK3000/DEF 0

 

 さぁてと、これでミカエリスと御巫は居なくなったがババアの伏せカードの3枚が気になる。

 1枚ばバディスで間違いない。あと2枚はなんだ? 

 警戒するも布施カードを除去するカードはねぇし……。

 

「だァァ! 考えるのなんて俺らしくねぇ! 永続魔法【王の棺】を発動! これでてめぇら全員ぶっ飛ばしてやる!」

「させるか! 罠発動! 【エクソシスター・バディス】! 800ライフ払って【ステラ】と【エリス】を特殊召喚!」

 

 火々璃 LP8000→7200

 

 フィールドにステラとエリスが呼び出され、これで俺が墓地のカードが離れた場合、あのエクソシスター達は自身の効果で一体でのX召喚が可能になる。

 しかも極炎の剣士の効果もあってバトルフェイズに入ってエクソシスター達に攻撃を仕掛けても、ドラゴネクロは破壊されるのは間違いない。

 

 破壊されるのが分かっているのなら、それを踏まえて乗り越えるだけだ。

 

「俺は【ホルスの栄光-イムセティ】を墓地から特殊召喚!」

「性懲りも無く墓地に触れたね? なら【ステラ】と【エリス】の効果発動!」

 

 効果のトリガーに触れた事によってエクソシスター2体の背後にまた新しい光が現れ、その背後には弓を持ったチビなエクソシスターがステラと場所を変わるようにフィールドに現れ、ステラは白い槍を持ち、このフィールドに姿を現した。

 

「行ってきな! 【カスピテル】、【アソフィール】!」

 

 エクソシスター・カスピテル

 ランク4/光属性/戦士族/ATK2300/DEF 800

 

 エクソシスター・アソフィール

 ランク4/光属性/戦士族/ATK2100/DEF1800

 

「この2体の効果発動! X召喚した時、【カスピテル】の効果で誰も墓地から特殊召喚出来ないし、【アソフィール】は墓地のカード効果も使えないよ」

「だーれがそれを許すかよ! 速攻魔法【禁じられた一滴】! 発動のコストで【アンデットワールド】と【ドラゴネクロ】を墓地に送る!」

 

 エクソシスター達の頭上に黒い翼の天使……なんだっけあいつ、【失楽の堕天使】だっけ。まぁそいつが銀のコップを【カスピテル】と【アソフィール】の頭上に一滴の水をかけると、2人の輝きは消え失せ、2人とも膝を崩してへたりこんだ。

 

 その姿を嘲笑う【失楽の堕天使】は役目を終えてフィールドから消え去り、効果が無効になった事にババアは目を丸くさせていた。

 

「はぁぁ!? 何よあの堕天使!?」

「残念だったなババア! ざまぁねぇな」

「きーっ! 腹立つ息子だねぇ!」

 

 これで俺のターンにX召喚出来る手段は残ってねぇだろう。あと2枚の伏せカードが気になるが、行けるところまで行くしかねぇ。

 

「俺は魔法カード【隣の芝刈り】を発動! 親父、デッキ枚数はいくつだ?」

「32枚だ」

 

 今の俺のデッキ枚数は52枚。【隣の芝刈り】は親父のデッキ枚数と同じ枚数分墓地に送る事が出来る制限カードだ。俺も親父のデッキ枚数は20。

 

 つまり、20枚のカードを墓地に送らせることができる。こればっかりは運ゲーだ。花衣の様に奇跡的なドローは無理だが、数うっちゃ当たる戦法なら俺の方が得意だ。

 

 数で押し切る。それが俺のやり方だ。

 

「【隣の芝刈り】の効果で俺は20枚デッキからカードを墓地に送る!」

 

 勢いよくカード達が墓地に送られ、送られたカードは中々良い。これなら伏せカード事を気にしなくても問題は無い。

 

「よーし、良い感じだ。俺は墓地の【ドゥムアテフ】と【ケベンセヌフ】を特殊召喚!」

 

 フィールドの王の棺から2体のモンスターが現れ、一気に俺の盤面が埋まりつつある。

 ホルスモンスターは【王の棺】という永続魔法さえあれば、墓地からいきなり特殊召喚出来る激ヤバカード群だ。なんの制約もつかないから出張パーツとして力を発揮し、凄まじい汎用性を兼ね備えている。

 いや、まじでイカれてる。誰だこれ考えたやつ。ありがとうと言いたい。

 

 しかもホルスは全員レベル8だから、簡単にランク8のXモンスターが出せるのもいい。そしてアンデッドにはランク8Xモンスターが存在する。

 

「俺はイムセティとドゥムアテフでエクシーズ召喚! こおい 【真血公ヴァンパイア】!」

 

 真血公ヴァンパイア

 ランク8/闇属性/アンデット族/ATK3000/DEF2800

 

「【ヴァンパイア】の効果発動! X素材を1つ取り除き、お互いのデッキからカードを4枚墓地に送る!」

 

 このルールでは全員に効果が適用される。上手く行けば相手の汎用カードを潰せる他、ヴァンパイアにはもう1つ効果がある。

 

「更に、墓地に行ったカードの中にモンスターがいれば、その内の一体を俺のフィールドに特殊召喚する! これはお前らのモンスターでも有効!」

 

 墓地に送られたモンスターの中には単体でも強いモンスターがいた。その中の1枚を手に取り、フィールドにカードを叩きつけた。

 

「俺が選ぶのは【クシャトリラ・ユニコーン】!」

 

 フィールドに赤い装甲を纏ったモンスターが現れ、今からでもモンスターを倒そうと片手の斧を振り回していた。

 

「それ私のモンスター! 泥棒!!」

 

 このモンスターの元々の持ち主は燐のものだが……あいつ御巫以外にこれ入れてるのかよ。

 強かになっていくことが少し嬉しく思う。単純に強え奴と戦うのは好きだ。それが女でも男でも関係ない。

 

 同じ土俵に立てば、みんな平等だ。めんどくせぇ考えなんかいらない。今出来ることを全力でやり尽くす。

 

(だから燐、お前もやれること全力でやれ)

 

 今のお前の全力と戦うことが今一番の望みなんだからな。

 

「更に墓地の【馬頭鬼】の効果発動! こいつを墓地から除外して、墓地の【シノビネクロ】を特殊召喚!」

 

 シノビネクロはレベル2のチューナーモンスターだ。これで残っているケベンセネヌを使えばレベル10シンクロが出来る。……が、親父はそれを許さなかった。

 

「【極炎の剣士】の効果発動。相手モンスター1体を破壊する。そちらの【ケベンセネフ】……は無理なのか。なら【シノビネクロ】を破壊させてもらい、500ダメージを受けてもらう」

 

 極炎の剣士の炎がシノビネクロを燃やし、その炎は俺の所まで届く。炎は俺の肌を焦がし、急いで炎を振り払ったが、腕の熱さは残り続けた。

 

 焔 残りライフ8000→7500

 

「あっつ! けどこんなもんじゃひるまねぇぞ!」

「当たり前だ。これぐらい耐えなければそもそも行かせない」

「なら突っ走る! 墓地の【ヴェンデット・コア】の効果! こいつ以外のアンデットを墓地から除外して墓地から特殊召喚!」

 

 そしてこいつの蘇生コストに除外したのは【シノビネクロ】だ。それによってこいつの効果のトリガーとなった。

 

「【シノビネクロ】が他のカードのコストで除外された時、こいつは除外から特殊召喚される!」

「折角破壊したのにな……」

 

 親父はいい歳として子供の様にしょんぼりした顔を浮かべていた。まぁ攻める手緩めねぇけど。

 

「俺はレベル8の【ケベンセネフ】とレベル1【ヴェンデット・コア】にレベル2チューナーの【シノビネクロ】でシンクロ召喚!」

 

 合計レベルは11。そしてここまで俺にはなんの制約も無い。3体のモンスターが光の輪を潜り、一筋の光が繋がれた先に、黒緑の稲妻を帯びながら降り立つ巨大なモンスターが、巨体な鈍器の様な拳を震わせた。

 

「剛力粉砕! 一気に潰すぞ! 【サイコ・エンド・パニッシャー】!!」

 

 サイコ・エンド・パニッシャー

 星11/光属性/サイキック族/ATK3500/ATK3500

 

「で、でかい……」

「まだまだ終わらねぇぞ! 墓地にいる2枚目の【馬頭鬼】を除外して今度は【霊道士チャンシー】を墓地から特殊召喚! 効果で更にデッキから【妖刀ー不知火】を墓地に送る」

 

 これで準備は整った。サイコ・エンド・パニッシャーは強力なモンスターだが、今の俺のライフじゃ効果を最大限活かせられない。

 じゃあどうするか、答えは1つ。自分からライフを減らしにいくしかない。

 

「墓地の【亡龍の戦慄-デストルドー】の効果! ライフ半分払って、レベル6以下のモンスター1体のレベル分下げてこいつを特殊召喚する! 俺が選ぶのはレベル6の【チェンシー】だ!」

 

 焔 残りライフ7500→3750

 

 亡龍の戦慄-デストルドー

 レベル7→1

 

「これで全員ぶっ飛ばす準備が出来たぁ! 俺はレベル6の【チェンシー】にレベル1の【デストルド】でシンクロ召喚!」

 

 7つの光の輪が作った光の柱は地面を抉り、この場で大きな揺れを生み出し、揺れは少しづつ大きくなっていく。次の瞬間柱の穴から突然、青い炎を纏った黒竜が姿を現し、燐達に向けて燃える業火の目を向けさせていた。

 

「気炎万丈! 屍の炎を纏って行ってこい! 【真紅眼の不屍竜】(レッドアイズ・アンデットネクロ・ドラゴン)】!」

 

 真紅眼の不屍竜

 星7/闇属性/アンデット族/攻2400/守2000

 

「こいつの攻撃力は互いのフィールドと墓地のアンデットモンスター1体につき攻撃力が100アップする。場には……2体、墓地に4体いるから、600アップだ!」

 

 真紅眼の不屍竜 ATK2400→3000

 

「行くぜバトルフェイズ! この瞬間【サイコ・エンド・パニッシャー】の効果発動! 自分と相手のライフの差分、攻撃力をアップさせる!」

 

 俺のライフは3750。そして燐達のライフは8000だ。

 この場合は1人を対象とするから、その差は4250。その差分の攻撃力がサイコ・エンド・パニッシャーに加わると、サイコエンドの雷の量が多くなり、今にも思い切りぶん殴りたいと思っているようだった。

 

 サイコ・エンド・パニッシャー ATK3500→7750

 

「攻撃力7750って……」

「ダイレクトアタックしたらすぐに終わるな。……容赦はしねぇぞ。燐!」

 

 圧倒的な攻撃力を前に、壁モンスターを失った燐はサイコ・エンド・パニッシャーの攻撃に怯えていた。

 ダメージは俺と親父にしか与えないようにと妲己に釘を指したが、どう考えてもダメージが来そうで心配になってきた。

 

「おい! 燐に怪我とかさせねぇよな!?」

「心配ない! お主とそこの親父だけにだめーじは与えるようにしておる」

「けどサイコエンド! なるべく弱くな! そっとな!」

 

 伝わるかどうか分かんねぇが、やけくそ気味にサイコエンドにそう叫ぶと、サイコエンドは少しだけ頷き、威力を弱めにしてくれた。

 顔がいかつい割に話をよく聞くタイプだったのが幸いした。というか話せるのかよ。

 

「まぁとにかくバトルだ! 【サイコ・エンド・パニッシャー】で燐にダイレクトアタックだ!」

 

 燐の場には壁モンスターが居ない。しかも【サイコエンド】自身の効果で相手カードの効果を受けない効果があり、ほぼ確実に攻撃が通る。

 これで燐にダメージが入ると思った矢先、ババアの伏せカードがオープンされた。

 

「罠発動! 【聖なるバリアミラーフォース】!」

「なーにー!?」

 

 伏せカードのミラフォに思わず叫んでしまった。まずい、【サイコエンド】はミラフォには耐えるが、他のモンスターは別だ。

 

 攻撃は止められず、燐の周りに虹色のバリアが張られる。バリアに向かって稲妻が落ちると、バリアはその稲妻を跳ね返し、【サイコエンド】以外のモンスターは稲妻に撃たれて破壊されてしまった。

 

 燐 残りライフ8000→500

 

「嘘だろおい……」

 

 まさかの伏せカードに状況は一変し、俺のフィールドには【サイコエンド】しか残ってない。

 これはまずい、今攻撃力7500の【サイコエンド】をぼったちさせてしまえば、凛の御巫のダメージ肩代わりで俺は負ける。

 してやられたと歯ぎしりをし、ババアを睨みつけると、ババアはウザイ程憎たらしい笑顔を向けて煽っていた。

 

「ちっ……最悪だ」

「突っ走るからこうなるんだよ。アンタ、もうちょい周りを見た方がいいよ」

「うっせぇ! まだ終わってねぇよ。メインフェイズ2に入って、墓地の【トランザクション・ロールバック】の効果発動! ライフを半分払って、俺の墓地の罠の効果を使う」

 

 焔 残りライフ3750→1875

 

「俺が使う罠は【活路への希望】! 俺のライフとババアのライフを参照して、2000の差につき1枚ドローする」

 

 8000との差はおよそ6000。つまり3枚ドローだ。

 デッキの上から3枚カードを引き、引いたカードの中には俺のレゾンカードである【炎舞の陣】があった。

 

「来たァァ! 俺はリンクマジック【不知火ー炎舞の陣】を発動!」

 

 発動した瞬間、俺の周りに九本の火柱が並び立ち、激しく燃え盛る陣が完成する。切り札が出た事でさっきの破壊から心が立ち直り、まだ逆転のチャンスはあると心は叫び出していた。

 

「【炎舞の陣】の効果! デッキの上から3枚めくり、その中から1枚を手札に、1枚は墓地に、1枚は除外する!」

 

 もう一度デッキの上からカードを三枚めくり、その内容を確認する。良い感じに手札に来させたいカードと墓地に行かせたいカードがあり、まずは手札に持ってくるカードを手に取った。

 

「俺が手札に加えるのは【神秘の中華鍋】! 墓地に落とすのは【逢華妖麗譚-魔妖不知火語】、除外するのは【不知火の宮司】だ!」

「流石レゾンカード、強いな」

「まだまだ! 除外された【宮司】の効果で、表側のカードを1枚破壊する! 親父、アンタの【極炎の剣士】を破壊させて貰うぜ」

 

 除外された宮司の幻影から呪文のような詠唱が響き、炎舞の陣の炎が【極炎の剣士】を飲み込み、破壊した。

 

「だけど墓地に送られた【サラマンドラ】の効果は発動する。デッキから【鎖付き飛龍炎刃】を手札に加える」

(あれ罠カードだろ? 今更なんで手札に加えたんだ?)

 

 単純なプレミかそれとも加えられるカードがそれしか無かったのか。とにかくあのカードは今の所気にしなくても大丈夫だ。今の所問題なのはサイコエンドをどうにかすることが先決だ。

 

 

「俺はカードを3枚伏せてターンエンド」

 

 2ターン目終了

 

 大和     燐     火々璃

 ライフ:8000 ライフ:500 ライフ:8000

 手札:3    手札:3    手札:2  

 □⑥□□⑦   □□□④□⑤  ①□□□□

 □□□□□   □□□□    □②□③□

 

 □□⑧□□

 ⑬⑨⑩⑪⑫

 焔

 ライフ:1875

 手札:0

 

 

 ①:伏せカード

 ②:エクソシスターズ・アソフィール

 ③:エクソシスター・カスピテル

 

 ④:伏せカード

 ⑤:

 

 ⑥:炎の剣域

 ⑦:伏せカード

 

 ⑧:サイコ・エンド・パニッシャー

 ⑩:不知火ー転生の陣

 ⑬:王の棺

 ⑨⑪⑫:伏せカード

 

 燐のライフは削り切れなかったが、親父とババアの盤面はあまり変わってないが、ババアに関しては特に問題は無い。

 エクソシスターは墓地メタがヤバいが、その分リソース確保が難しいテーマだ。俺の墓地を完全に封殺したければ、このターン動いたらリソースが確保出来ないはずだ。

 

「アタシのターン、ドロー! 【カスピテル】の効果、X素材を1つ取り除いて、【エクソシスター・マルファ】を手札に加えるよ」

(さぁどう来るんだ……?)

「アタシはこのままバトルフェイズに入る!」

「はっ!?」

 

 何も展開せずそのままバトルフェイズに入るって事は……あの伏せカードは拮抗勝負か? 

 拮抗勝負は、発動すれば自分の場の枚数と同じになるように相手はカードを裏側で除外しなければならない汎用性の高い除去カードだ。

 

 しかも罠の癖に場にカードが無ければ手札から発動できて効果耐性も無視出来るから相当厄介な部類のカードだ。

 

「けど、バトルフェイズに入ったなら【サイコエンド】の効果発動! ライフの差分、攻撃力アップ! ババアとのライフを参照する!」

 

 サイコ・エンド・パニッシャー ATK7500→13625

 

 拮抗勝負を出されたら折角の盤面が台無しになると思ったが、ババアはあの伏せカードを発動せず、代わりに親父が伏せカードを発動していた。

 

「罠発動【単一化】! 【サイコエンド】を対象にして、全てのモンスターの攻撃力を同じにする!」

「げぇ!? 嘘だろオイ!」

 

 エクソシスター・アソフィール ATK2100→13625

 エクソシスター・カスピテル ATK2300→13625

 

 まさかの自爆特攻か……! まずい、あの2体のモンスターの攻撃力を許したらこっちがやられる。

 

「やるしかねぇ! 速攻魔法【神秘の中華なべ】! 【サイコエンド】をリリースして、その攻撃力分のライフを回復するぜ!」

 

 サイコエンドがフィールドに出てきたでかい中華鍋の中に入り、塩コショウやら野菜やら米と一緒に炒められ、すげぇ美味そうなチャーハンに姿が変わった。

 出来上がったチャーハンは一人前のサイズで俺の手に渡り、如何にもこれを食えと言われたような気がした。

 

 恐る恐るチャーハンを食べると……めちゃくちゃ美味かった。

 

「なんかピリピリするな……」

 

 チャーハン食べてるとは思えないほど口の中がバッチバッチしてそういう菓子を食べているような気分にもなった。多分サイコエンドの稲妻が隠し味なんだと思いながら間食し、俺のライフは一気に回復した。

 

 焔 残りライフ:1875→15500

 

「けれども攻撃は終わんないよ! 行ってきな! 【アソフィール】!」

「させっかよ! 永続罠【光の護封霊剣】! 1000ライフ払ってその攻撃を無効にする!」

 

 焔 残りライフ:15500→14500

 

 アソフィールの弓を御符霊剣が生み出したバリアで防ぎ、ほっと安堵の息を漏らす。

 

「まだだよ! 【カスピテル】も行ってきな!」

「その攻撃も【光の護封霊剣】で無効にする!」

 

 焔 残りライフ:14500→13500

 

 だが、攻撃は止まらない。今度はカスピテルが青白く輝く槍を俺目掛けて力強く投げ飛ばし、槍は光の護封霊剣のバリアに阻まれ、俺に攻撃は届かなかった。

 

「めんどくさいカードだねぇ……よし、全部ぶっ飛ばそうか」

「はぁ?」

 

 ババアがエクストラデッキから1枚のカードを取り出した瞬間、上空からこっちに近づいている何かがあった。

 その何かはロボット様な見た目で羽のようなローブのようなブースターがあり、そのロボットの顔を見て俺は絶句した。

 

「……マジかよ」

 

 Xモンスターの中で有名な物であり、語呂の良さからわくわくアーゼウスとかいうとんでもねぇ超兵器が生まれた、そのモンスターの名前は……。

 

「【エクソシスター・アソフィール】に重ねて【天霆號アーゼウス】を召喚!!」

 

 天霆號アーゼウス

 ランク12/光属性/機械族/攻3000/守3000

 

 フィールドに小さな町半分ぐらいは埋め尽くす程の巨大なモンスターがババアの前に立ち、俺を見下ろしていた。

 というか不味い、アーゼウスの効果って確か……! 

 

「【アーゼウス】の効果発動! X素材を2つ取り除いて、このカード以外の全てのカードを墓地に送るよ!」

「え、全てって私も!?」

「まぁこっちは良いんだけど……」

「クソババァぁぁあ!!」

 

 ババアが効果の発動を宣言した瞬間、アーゼウスの背後と掌が光だし、如何にもでかいビームをぶっぱなす勢いだった。

 

 その勢いは誰にも止められず、アーゼウスは全身からビームを思うがままに解き放ち、目の前が白く染まってビームが地面を抉る音と、カードが破壊される音が鳴り響いた。

 

 あまりの衝撃で踏ん張りが効かずに俺は吹き飛ばされ、すぐ側に居た燐は親父に抱かれて何とか踏ん張っていた。

 妲己は身の危険を瞬時に察知したのか、ちゃっかりとデュエルフィールドの端っこで高みの見物を決め込んでいた。

 

 長かった様にも思えたビームの一斉射撃がようやく終わり、デュエルフィールドは無数のクレーターを生み出してほぼ更地に変わった。

 

「ん〜豪快だね〜。アタシ好みね」

「やりやがったあのババア……」

 

 最悪だ。折角何枚もドローしたカードが墓地に送られ、切り札の炎舞の陣も墓地に消え去ってしまった。

 

「大丈夫か? 燐」

「だ、大丈夫だから離れて! もう、お母さんのバカ!」

「アッハッハ、ごめんね〜」

 

 あっちはあっちでどうやら無事な様だ。ほっとしたのも束の間、ちゃっかりババアは自分のターンがまだ終わってない事をいい事に、手札のカードをフィールドに置いた。

 

「まだアタシのターンは終わってないわよ。手札から【エクソシスター・マルファ】を召喚して、カードを1枚伏せてターンエンド」

 

 5ターン目終了

 

 大和     燐     火々璃

 ライフ:8000 ライフ:500 ライフ:8000

 手札:3    手札:3    手札:3  

 □□□□□   □□□□□  □□③□□

 □□□□□   □□□□□  □①□②□

 

 □□□□□

 □□□□□

 焔

 ライフ:13500

 手札:0

 

 ①:天霆號アーゼウス

 ②:エクソシスター・マルファ

 ③:伏せカード

 

 思わず目を背けたくなるような最悪な盤面にため息をつき、次の燐と親父のターンどうしようかと頭を悩ませた。次のターンは燐……モンスターが居ないからマシに凌げるかと思うが……。

 

「私のターン、ドロー。……バカ兄貴、ここで終わらせるつもりで行くから」

「あぁ?」

「装備魔法【御巫の火叢舞】を発動! 墓地の【フゥリ】を特殊召喚して、装備! 更に兄貴の墓地から【サイコエンド・パニッシャー】を効果を無効にしてそっちに特殊召喚!」

 

 墓地の中で1番攻撃力が高い奴を選んだか。だがこれだけじゃ俺のライフは削りきれない。

 だが燐から感じるプレッシャーは消えていない。いつも見せている表面的な厳しさでは無く、本気で倒そうとする刀のような鋭い目になっていた。

 

「装備魔法【諸刃の剣】を【サイコ・エンド・パニッシャー】に装備! 攻撃力を2000アップさせる!」

 

 サイコ・エンド・パニッシャー ATK3500→5500

 

「やべっ……!」

 

 御巫は戦闘ダメージを相手に肩代わりする効果がある。つまり、高い攻撃力のモンスターに突っ込めば、その分相手にダメージを与えられるということだ。

 

 しかもさっき使った【諸刃の剣】はもっとヤバい。装備魔法の中で2000とかなりの攻撃力をあげさせるが、デメリットとして、自分にも同じ戦闘ダメージを受けてしまう。……が、御巫はそのダメージすら跳ね返してしまう。

 

 今サイコエンドに攻撃されたら5500の2倍、11000のダメージを食らってしまう。この一撃を貰う訳にはいかない。

 

「墓地の【SR三つ目のダイス】の効果発動! こいつを除外してその攻撃を無効にする!」

「カウンター罠【神の通告】を発動! その効果を無効にするよ!」

 

 火々璃 残りライフ8000→6500

 

 カードイラストの神の爺さんが眩しい光を放ち、三つ目のダイスが消え去り、フウリがサイコエンドに攻撃仕掛け、サイコエンドが迎え撃とうと拳を突き上げ、凄まじい雷をフウリに襲いかかる。

 

 だが、フウリの周りに靡く緑の風が攻撃を弾き返し、それは俺に向かって襲いかかり、雷に体が当たる。

 

「ぐわぁぁぁぁァ!!」

 

 焔 残りライフ13500→2500

 

 雷が体を焼き付くし、全身や体の中身がぐちゃぐちゃにされるような激痛が走り、視界が揺れる。混乱と恐怖が押し寄せ、意識が遠のいていく。脚がもつれ、そのま地面に崩れ落ちる。

 

 最後に目に映ったのは、自分の攻撃でこの光景を引き起こした焦燥感で血の気が引いていた燐の顔だけだった。

 

「お兄ちゃんっ!」

「やめろ燐。手を貸すな」

「そうだよ燐。これはあの子が選んだ道なんだから」

 

 虚ろな視線の中、駆け寄る燐を親父は止めた。燐はそれでも行こうとするが、ババアに腕を掴まれてしまい、その歩みを止めてしまう。

 

「立て焔! お前の覚悟と力はそんなものか! 立て!」

「い……われ……なく……ても」

 

 うるせぇよ……んな事分かってんだよ。

 

 動け、動け、動けよ俺の体……! 

 

 ここで終わらせねぇ、終わらせたくない。ここで終わったら助けたいヤツらを助けられねぇだろ! 

 ちぎれる程に痛い腕と足を使って体を起き上がらせ、持たれ着く様に何とかフィールドまで足を運ばせた。

 

「がはっ……畜生っ、まだ…………負け……てねぇ」

 

 息も絶え絶えで掠れた声しか出ない。体の中身まで激痛が走り、ついさっきの盤面まで忘れてしまいそうな程に痛い。

 

(今誰のターンだ……?)

 

 俺じゃないのは確かだ。…………あぁ、思い出した。確か燐のターンだ。燐はバトルフェイズを終えてメインフェイズ2に入っているが、このまま続けていいのかと言っているような目で慌てふためいていた。

 

「ね、ねぇ。お兄ちゃんの手当しないと! こんなのやってる場合じゃないよ!」

「ダメだ。これは焔が決めたことだ。途中で投げ出すのは許されない」

「じゃあサレンダーする! あんなボロボロなんだよ!?」

 

 サレンダー。デュエルに置いてはデッキの上に手を置くことで降参。つまり負けを認める行為の事だ。

 燐は俺の重症を見てサレンダーをする事でデュエルを終わらせようとし、デッキの上に右手を置こうとしていた。

 

「やめろっ!!」

 

 俺の叫び声に燐は肩を上げて驚き、その手を止めてくれた。

 

「サレンダーなんか……したらっ……マジでっ……ぶん殴るぞ」

「なんで……? 馬鹿なの!? そんな怪我じゃデュエルなんか出来ないし、どうしてそこまでするの!?」

 

 溢れ出す感情が涙として現れ、燐は感極まって泣きながらそう叫んだ。

 あれって心配してくれて泣いてくれてるのか……? だとしたら兄冥利に尽きるなと、自分勝手ながら嬉しく思う。

 

 思えば目を合わせたら特に何の脈絡も無く喧嘩してたせいで、会話らしい会話とかしてないし、共通でやれるカードゲームをしているのに今日まで一度もして来なかった。

 

「お前と……本気のデュエルをしたいからだ」

 

 だからこのタイミングでデュエルをしたかった。本気で、手加減無しのガチデュエル。それがこんな形になったがそれを叶えたんだ。だからこそ、サレンダーなんて中途半端な終わり方は絶対に許さない。

 

 俺もこんな怪我で心配掛けさせる駄目な兄でいたくない。

 

 立て、自分の為にも、アイツの為にも、と奮い立たせ、膝を付いた両足を真っ直ぐ伸ばした。

 

「負けそうになっても、良いカードが引けなくても、目の前の勝負から逃げる事はしたくねぇ!!」

 

 命がすり減る窮地に追いやられたせいなのか、アドレナリンがどばどばで心做しか傷の痛みが無くなってきた。

 

「勝負てのは、逃げなきゃ絶対に勝てるんもんなんだよ。本当の負けって言うのは勝負から逃げる事だ。今日負けても明日勝つ。それだけだ」

 

 死にかけの顔から溢れ出す勝ち気の笑みに親父は満足したのか、親父は小さく笑った。

 

「……燐、焔に本気で応えるんだ」

「でも……」

「これは焔の為でもある。お兄ちゃんの体が心配で危険な目に合わせたく無かったら勝つんだ」

 

 親父は優しく諭しながら涙目の燐の頭を撫でていて父親らしいっちゃらしいが……状況とか笑顔の含みのありそうな笑顔がどうしても思い浮かべた事を口にしてしまう。

 

「親父、なーんか悪役みたいな感じになってるぞ」

「えぇ!? そ、そんなに悪者に見える?」

 

 なんつーか、喋り方がそれっぽいんだよなぁ。

 こう、後ろから手下を操って自分は手を汚さない黒幕みたいなポジション。

 自分で言っててなんかしっくり来るのが息子としてなんか嫌だなと思いつつ、親父のさっきまでの風貌が完全に無くなり、燐に対しての態度を変えた。

 

「り、燐。その……無理はしなくていいぞ? ほら、これはお父さんが始めたデュエルだし……燐はなんにも悪くないから! ね? 火々璃!」

「アンタ、そういう含みのある笑顔とか直した方がいいよ」

「ええ!? いやいやいや、含んでないし!? 純粋な笑顔なんだけど!?」

 

 試しに親父はさっき燐に向けた笑顔を俺やババアに向けた。笑顔っちゃ笑顔だが、妙に目を細めては若干したり顔になっていて、やっぱ悪役顔だなと全員そう心で頷いた。

 

 殺伐した雰囲気から一変、家での日常茶飯事な空気に変わりつつあり、空気が和やかに変わる。

 静観を決め込んでいた妲己も空気の変わり様に目を丸くさせると、この空気感が可笑しいと思ったのか袖で口を隠しながら笑っていた。

 

「くくっ、お主らは真面目に戦う気があるのか?」

「真面目じゃ無かったら息子が異世界に行くなんて話、信じないさ」

「あぁ、それもそうじゃな」

「親としては指をくわえて行かせる訳には行かないからね。だから本気で戦う」

 

 親父の空気がまた変わった。こういう切り替えの速さが逆にあの人の怖ぇところでもあり、尊敬する所だ。

 

 だが、燐はまだ悩んでいた。顔を俯かせ、自分がやった行動を自分自身で許せていなかった。

 

「……カード2枚伏せて、ターンエンド」

 

 

 6ターン目終了

 

 大和     燐     火々璃

 ライフ:8000 ライフ:500 ライフ:6500

 手札:3    手札:0    手札:3

 □□□□□   □⑧⑤⑥⑦  □□□□□

 □□□□□   □□④□□  □①□②□

 

 □□⑨□□

 □□□□□

 焔

 ライフ:2500

 手札:0

 

 ①:天霆號アーゼウス

 ②:エクソシスター・マルファ

 

 ④:珠の御巫フゥリ

 ⑤:御巫の火叢舞

 ⑥⑦:伏せカード

 ⑧:諸刃の剣(サイコエンドに装備)

 

 ⑨:サイコ・エンド・パニッシャー

 

 

 さて、俺の場にモンスターがいるが効果自体は無効にされている。

 しかも相手は炎の剣士……確か攻撃力を倍にさせて複数回攻撃とかしてくるから、このサイコエンドパニッシャーを何とかしないと俺は負ける。

 

「俺のターン、ドロー」

「この瞬間、墓地の2枚目の【トランザクション・ロールバック】の効果発動!」

「いきなり仕掛けたか」

「こいつの効果でライフを半分払い、俺の墓地から【デストラクト・ポーション】の効果を使用! 【サイコ・エンド・パニッシャー】を破壊してその分のライフを回復!」

 

 炎山焔 残りライフ2500→1250→6750

 

「わざわざ自分のモンスターを破壊してまでライフを増やしたのか?」

「……あ、お父さん。確かお兄ちゃんの墓地には【光の護封霊剣】があったはず。確か、墓地から除外したら

 直接攻撃は無理なカード」

「火々璃の攻撃を防いだあのカードか。なるほど、だからわざと自分のモンスターを破壊したのか」

「燐、凄いわね〜アタシなんか使われたのに存在忘れてたわ」

 

 燐の言う通り、俺の墓地には永続罠の【光の護封霊剣】がある。このターンを凌ぐ事が出来れば墓地のカード達を使えばまだ逆転の可能性はある。

 使うデッキがデッキだからこのターンは耐えられると思った矢先、親父は悪者らしい小さな笑みを浮かべた。

 

「なら戦い方を変えるしかないな」

「は?」

「まずはカードを2枚伏せて魔法カード【手札抹殺】を発動。手札を全て捨てて、その分ドローする」

 

 さっき2枚伏せたから親父の手札は今は1枚だ。1枚墓地に送り、新たなカードを引いた親父はすかさずさっき伏せたカードを開いた。

 

「伏せカード発動! 【龍の鏡(ドラゴンズ・ミラー)】! 俺は墓地の【真紅眼の黒星竜(レッドアイズ・ブラックメテオドラゴン)】と【真紅き魂(レッドアイズ・ソウル)】を除外して、融合召喚!」

「そんなカードいつの間に……って、さっきの【手札抹殺】か?」

「いいや、もっと前にお前が墓地に送ってくれたのさ」

「俺が? ……そうか、【ヴァンパイア】の効果!」

 

 親父は静かに頷き、数ターン前の出来事を思い出した。そういえばあの時、端目で確かに見た記憶がある。親父が落ちた墓地の中にはレッドアイズモンスターが確かにあった。

 

 燐の【クシャトリラ】に気を置きすぎたせいで記憶から抜け落ちていた。

 まずい、レッドアイズになったら話は別になる。

 

「言っただろ。攻め方を変えるって。俺が呼び出すのはコイツだ! 現れろ! 【流星竜メテオ・ブラック・ドラゴン】!!」

 

 流星竜メテオ・ブラック・ドラゴン

 星8/闇属性/ドラゴン族/攻3500/守2000

 

 マグマを纏った黒龍、【流星竜メテオ・ブラック・ドラゴン】がフィールドに現れ、燃え滾る眼で俺を睨み、威嚇の咆哮を轟かせる。

 

 流石ドラゴン、迫力満点どころか気が抜いたら吹き飛ばされそうな程の力強い咆哮で、まるで音が殴ってくるかのような勢いだ。

 

「【流星竜メテオ・ブラック・ドラゴン】の効果! デッキから【真紅眼の黒竜(レッドアイズ・ブラックドラゴン)】を墓地に送り、その攻撃力の半分の1200ダメージを与える!」

(墓地に効果ダメージを防ぐ手段がねぇ……!)

 

【流星竜メテオ・ブラック・ドラゴン】の降り注ぐマグマ弾が俺の周りに降り注ぎ、マグマの滾る熱さで息苦しくなっていく。だが、まだ行ける。この程度なら……何とか持ち堪える。堪えろと自分の中で奮い立たせ、何とか猛攻を耐え凌ぐ。

 

 炎山焔 残りライフ6750→5550

 

「まだだ! 手札から【超獸の咆哮(デカネローグ)】発動! 【流星竜メテオ・ブラック・ドラゴン】と燐の伏せカード1枚を破壊する! ……良いかい?」

「ん、大丈夫」

 

 どこからともなくどデカいビームが【流星竜メテオ・ブラック・ドラゴン】と燐の伏せカードを破壊した。

 なんでこの土壇場で破壊してんだと思ったが、そういえばあのモンスターにはもう1つ効果があった事を思い出した。

 

「【流星竜メテオ・ブラック・ドラゴン】がフィールドから墓地に送られた時、墓地から【真紅眼の黒竜(レッドアイズ・ブラックドラゴン)】を特殊召喚する」

 

 ビームに撃たれた筈の【流星竜メテオ・ブラック・ドラゴン】はマグマの鎧を脱ぎさり、【真紅眼の黒竜(レッドアイズ・ブラックドラゴン)】としてフィールドに降り立った。

 

「更に墓地の【置換融合】の効果発動。【流星竜メテオ・ブラック・ドラゴン】を墓地からEXデッキに戻し、1枚ドローする」

「ちゃっかりしてんなぁ」

「更に魔法カード【死者蘇生】発動! 俺は墓地から2枚目の【真紅き魂(レッドアイズ・ソウル)】を特殊召喚! そして、【真紅き魂(レッドアイズ・ソウル)】の効果を発動!」

 

 墓地から蘇生された【真紅眼の黒竜(レッドアイズ・ブラックドラゴン)】の形を象った幻から紅く輝く光弾を俺に放った。

 紅い光弾は俺の体に触れた瞬間爆発し、爆発の衝撃で思い切り後ろに吹き飛ばされてしまった。

 

「【真紅き魂(レッドアイズ・ソウル)】はデュエル中に1回だけ、【真紅眼の黒竜(レッドアイズ・ブラックドラゴン)】の攻撃力分のダメージを与えられる」

 

 炎山焔 残りライフ5550→3150

 

「モンスター版【黒炎弾】見たいなもんか……」

「そして伏せていた魔法カード【黒炎弾】を発動」

「持ってたのかよ!」

 

 今度は本場の【真紅眼の黒竜(レッドアイズ・ブラックドラゴン)】が黒炎弾を放ち、吹き飛ばされた倒れ込んだ俺にとどめを刺す様に放ち、黒炎弾の衝撃で全身がひび割れたかのような激痛とダメージが襲いかかる。

 

 炎山焔 残りライフ3150→750

 

「【黒炎弾】を発動したターン【真紅眼の黒竜(レッドアイズ・ブラックドラゴン)】は攻撃出来ない。【真紅き魂(レッドアイズ・ソウル)】もそれとして扱う。だが、こうすれば問題解決だ」

「どういう事だ……?」

「俺は【真紅眼の黒竜(レッドアイズ・ブラックドラゴン)】と【真紅き魂(レッドアイズ・ソウル)】でエクシーズ召喚!!」

 

 2匹のレッドアイズがエクシーズ召喚で出てくる穴に向かって飛び込んでいき、凄まじい爆発と共に鉄の鎧を待った黒竜が俺の前に姿を現した。

 

「現れろ、ランク7! 【真紅眼の鋼炎竜(レッドアイズ・フレアメタルドラゴン)】」

 

 真紅眼の鋼炎竜

 ランク7/闇属性/ドラゴン族/ATK2800/DEF2400

 

「このタイミングでコイツが出てくるのかよ……!!」

「こいつは【真紅眼の黒竜(レッドアイズ・ブラックドラゴン)】としては扱わない。このままダイレクトアタック!」

 

 このダイレクトアタックが今この場で終わるが……どっちにしようと次の俺のターンは終わってしまう。

 何故なら、俺は次のターン効果が実質使えないからだ。

 

「……クソぉぉぉ! 墓地の【光の護封霊剣】の効果! 墓地から除外してダイレクトアタックを出来なくさせる!!」

 

真紅眼の鋼炎竜(レッドアイズ・フレアメタルドラゴン)】のダイレクトアタックは【光の護封霊剣】のバリアによって阻まれ、俺のライフを守ることは出来た。

 だが、その後の効果が問題だ。

 

「【真紅眼の鋼炎竜(レッドアイズ・フレアメタルドラゴン)】の効果。相手がカード効果を発動する度、500のダメージを与える」

 

 炎山焔 残りライフ750→250

 

真紅眼の鋼炎竜(レッドアイズ・フレアメタルドラゴン)】の口から真紅の炎を纏った火炎弾でバリアを突き抜け、俺の体に直撃した後爆発した。

 身を焦がす程の灼熱と衝撃でまた吹き飛ばされ、正直立っているのがやっとな程だ。

 

 呼吸は乱れ、左腕の感覚がもう無く、動かす事すら出来なかった。

 

「俺はこれでターンエンドだ」

 

 6ターン目終了

 

 大和     燐     火々璃

 ライフ:8000 ライフ:500 ライフ:6500

 手札:0    手札:0    手札:3

 □□□□□   □□⑤⑥□  □□□□□

 □□⑦□□   □□④□□  □①□②□

 

 □□□□□

 □□□□□

 焔

 ライフ:250

 手札:0

 

 ①:天霆號アーゼウス

 ②:エクソシスター・マルファ

 

 ④:珠の御巫フゥリ

 ⑤:御巫の火叢舞

 ⑥:伏せカード

 

 ⑦:真紅眼の鋼炎竜(レッドアイズ・フレアメタルドラゴン)

 

 

「……嘘だろ」

 

 フィールドには何も無い。手札も無い。しかも……カードの効果が使えない。盤面になってしまった。

 

 墓地メタのエクソシスター、戦闘を仕掛ければ逆にダメージを与えられる御巫。そしてバーン効果で俺の行動を縛ってくるレッドアイズ。

 

「……ぜってぇ負けねぇ」

 

 それでも俺は諦めない。俺の心の豪炎が熱く、激しく燃え盛る間は絶対に……!

オリカをまとめた章が欲しい?

  • 欲しい!
  • 別に( *¯ ³¯*)
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。