六花テーマを作って愛用したらそのまま俺への愛が重くなった件について 作:白だし茶漬け
誰かに自分を見られるのは好きじゃない。自分自身に魅力を感じられるところが無いと思っているから。
目つきが悪いのは生まれつき目が悪いからで、いつも睨まれていると誤解される。
いつも怒っている、不機嫌と言われたことも多い。ただ、何を話せばいいか分からず、口ごもってしまうだけなのに。
正解が分からない物は苦手だ。どう接すればいいか分からない。何が間違っているのかが分からないから。
昔から、何かを言うのは苦手だった。何か言えば、相手を傷つけてしまったから。
全て、本当の事なのに。だからあまりクラスに馴染めなかった日が続いた通学路、1人の女の子が複数の男子に虐められた現場を見た。
彼女は取り上げられた大事な本と羽をとりあげられ、それを見た男子は面白がっていた。
それを見て無性にイラついた俺は、彼らに近づき、このクソ程悪い目つきでにらむと、呆気なく男子はその場から立ち去った。
それが、雀との出会い。今、このデュエルフィールドで相手として立っている。
綺麗で、凛々しくて、最推しの彼女、トバリだ。
漆黒のドレスを身にまとい、深紅の左目を輝かせながら己の存在感を示すような佇まいは、過去に知っている雀とは別人のようだった。
「貴様は土の味を思い知る事になるだろう。我が漆黒の愚風によってな」
颯爽と勝利宣言を掲げたトバリにコメントは盛り上がりを見せ、配信が白い文字で埋め尽くされる。リスナーの俺だったらそれに便乗してトバリを応援していただろう。
だが……このデュエルだけは負けるわけにはいかない。
「負けるのはお前だ」
負けじと勝利宣言をし、デュエル開始のコイントスがフィールドに表示された。
コインはこちらから見て裏、つまり先行後攻の権利はトバリに与えられた。
「ディザスター・フェイト……やはり運命は我に味方しているようだな」
先行を取られてしまい、少しこちらの不利にはなったが勝ち目がない訳では無い。
いくら先行向けの展開だったとしても、後攻での対策カードも揃えてある。
BF相手なら無効系統のカードは絞られてくるが、それは汎用カードを除外した場合だ。結局、この5枚の手札が勝負を左右するのは間違いない。
「では始めるぞ。我らの戦いの義を!」
「「デュエル!!」」
機羽 空 VS 黒翼 トバリ
「我のターン! 手札の【BF-毒風のシムーン】の効果を使い、我の【BF】1体を捧げる事で【黒い旋風】をデッキから場に置き、【シムーン】を召喚する」
BFにおける最適な初動カードを引いていたか。あながち運命が味方してくれている言葉は間違っていないかもしれない。
「【シムーン】を特殊召喚した事により、【黒い旋風】の効果発動! デッキから【幻耀のスズリ】を手札に加える」
「……今、カードを
決して大きな声では無いが、トバリにとってこの言葉はまるで槍のように突き刺さるだろう。
トバリの顔がひきつり、後ずさりをし始め、コメント欄も『まさか……』や『ざわざわ』とあるカードの存在を予感していた。
「俺は手札から【ドロール&ロックバード】を捨てて効果を発動。お前はカードを手札に加える事は出来ない」
手札のドロール&ロックバードがカードから飛び出すようにして現れ、魔法使いと鳥の合体魔法がトバリの周りを包み込む。
「ぐっ……! 我が声が下僕達に届かんだと……!? おのれさすらいの魔法使いめぇ!」
これでアイツはドローもサーチも許されない。手札からモンスターをサーチする事を要としているBFは苦しい展開にはなるだろう。
だが、BFは墓地シンクロが得意なテーマだ。ドローとサーチが制限されたとしても、恐らく展開を伸ばしてくるのは間違いない。
現に、トバリは苦しみながらも、問題ないように笑っていた。
「クックック……この程度で我の漆黒の翼は折れぬ! 【スズリ】を通常召喚し、手札の【ヴァータ】と【オロシ】の効果を使い、特殊召喚!」
これでモンスターが一気に4体まで増え、シンクロ召喚の準備も整っただろう。
だが、トバリの目はそれ以外を目指している目をしていた。
「我は【シムーン】【オロシ】【スズリ】を使い、リンク召喚!!」
「BFでリンク召喚だと!?」
俺と同じ反応をしたコメントが配信を埋めつくし、トバリはまるでこれを狙っていたかのように微笑む。
わざわざここでリンクモンスターを出すリターンが無い。なのにそれを承知のリンク召喚……という事は。
この後出すモンスターは恐らく、俺達が見た事ないものだ。
「刮目せよ! 我の新たな下僕を!」
フィールド中央に黒い竜巻が巻き起こり、トバリの左眼が紅く光る。
ソリッドビジョンの為か風圧こそ感じられないが、確かな威圧感がそこにはあった。
「黒より深い漆黒から出てし虚空の翼を持つ眷属よ……今こそ我の元に現れ出てよ!」
黒い竜巻の中から、漆黒の翼を持ったモンスターが姿を現した。
「リンク3【
【
LINK3/闇属性/鳥獣族/ATK2100
見た事も無いモンスターは黒い竜巻を切り裂き、漆黒の翼とそれを模した機械の翼を持った人型の形をしていた。
BFと言うより、その姿はRRにも似ても似つかないものだった。
(それにあの姿……トバリに似てるような気がするな)
スラリとした手足の関節、ドレスを模した装甲と黒と赤のオッドアイ……雰囲気こそはトバリと似ていた。
「これは……レゾンカードか」
「その通り! 貴様と同じで我も2枚持っていたのだ」
「それ程までに本気ってことか」
「とくと見よ。我の深淵を! 【ヴェール・ヴィータ】の効果発動! デッキから【常闇の颶風】をセットする!」
デッキからセットする効果は【ドロール&ロックバード】の効果では止められない。
まずいな……【常闇の颶風】を発動された今、トバリの展開は止まらない。
「そして【常闇の颶風】を発動! 我の進撃はもう止まらん! 【ヴァータ】の効果により、デッキから【BF-精鋭のゼピュロス】と【チヌーク】を墓地に送り、EXデッキから【ブラックフェザードラゴン】を特殊召喚!」
「得意のデッキシンクロか……相変わらず、やりたい放題だ」
「まだだ! 【常闇の颶風】の効果! 墓地から【ヴァータ】を特殊召喚する!」
まずいな……これで最初の【ドロール&ロックバード】の効果はほぼ意味を無くしてしまい、俺の手札に手札誘発のカードはもう無い……。
ここから先はトバリの独壇場になる事は確定した。
「墓地の【精鋭のゼピュロス】の効果を発動。【黒い旋風】を手札に戻し、墓地から特殊召喚し、再び【黒い旋風】を発動! 更に手札から【BF-下弦のサルンガ】を特殊召喚!」
『BF』の召喚と特殊召喚に反応して墓地からの蘇生……これがトバリのレゾンカードだ。
まるで突風……いや、暴風の様に怒涛の展開をするトバリのプレイスタイルを加速させている。
しかもあのカードにはターン1の制限はなく、特殊召喚すればするほどモンスターが出てくる。
もう止める術は無い。トバリはどこまでも飛んでいくだろう。
「【ゼピュロス】と【サルンガ】でシンクロ召喚! さぁ
、闇風から舞い降りろ! シンクロチューナー【BF-魔風のボレアース】!!」
「……シンクロチューナーか」
「【ボレアース】はレベル6だが、効果を使う事でレベルを変動させる! 我はデッキからレベル2の【BF-鉄鎖のフェーン】を墓地に送り、レベルを2にする!」
これでレベル8とレベル2のモンスターが揃った。
もう止められない、止まらない。配信のコメントの量がさらに多くなり、トバリは決めポーズをしてリスナー達の気持ちを昂らせた。
「気高き誇りをその翼に顕現させ、我の力の糧になれ!! 現れよ! 【ブラックフェザー・アサルト・ドラゴン】!」
ブラックフェザー・アサルト・ドラゴン
レベル10/シンクロ/闇属性/鳥獣族/ATK3200/DEF2800
「【ブラックフェザー】が特殊召喚された事により、墓地から【突風のオロシ】を特殊召喚!」
これで墓地の【ブラックフェザー・ドラゴン】と【ボレアース】を除外すれば2体目の【ブラックフェザー・アサルト・ドラゴン】を出せる。
それだけだったらまだ何とかなる。
……だが、妙な胸騒ぎがまだ俺をざわめかせていた。
その理由は未だに【ヴェール・ヴィータ】に大きな動きが無いからだ。
【常闇の颶風】を出すだけのリンク3モンスターでは無いはずだ。
そんな胸のざわめきを晴らすかの様に、ヴェール・ヴィータの左眼が赤く輝き出した。
「【邂逅のヴェール・ヴィータ】の効果発動!」
「ここで使ってきたか……!」
「墓地の鳥獣族モンスターを2体を効果を対象にし、そのモンスターを効果を無効にして特殊召喚する。我が甦らせるのは、【ブラックフェザー・ドラゴン】と【BF-魔風のボレアース】」
「さっきアサルトのシンクロ素材にしたモンスターをここで……?」
「いいや、その後この2体を任意のレベルにする事が出来る! 我が指定するレベルは5だ!」
「レベル5が2体……っ、そういう事か」
これで2体のレベル合計は10。ブラックフェザー・アサルト・ドラゴンのレベルは……10。
「気づいた様だな。そうだ! これでもう一度【ブラックフェザー・アサルト・ドラゴン】を再び召喚!!」
また一際でかい黒の旋風が吹き荒れ、2体目の【ブラックフェザー・アサルト・ドラゴン】がフィールドに現れた。しかも、さっきのモンスターは墓地に行ったまま……という事はつまり。
「【ブラックフェザー・アサルト・ドラゴン】にはもう1つ呼び出す方法がある! それは【ブラックフェザー・ドラゴン】とSモンスターのチューナーを除外する事で特殊召喚出来る!」
トバリは墓地から【ブラックフェザー・ドラゴン】とSチューナーである【ボレアース】を除外し、3体目の【ブラックフェザー・アサルト・ドラゴン】を特殊召喚した。
これで場には3体の【ブラックフェザー・アサルト・ドラゴン】が現れてしまった。
しかも忘れてはいけないのはこのターン、トバリはドローもしておらず、サーチは最初の1回だけしかやっていない。ここまでの展開力の要はやはり、あの【常闇の颶風】だ。
「これが……お前のレゾンカードか」
「まだだ【常闇の颶風】の効果で墓地から【シムーン】を特殊召喚する」
そういえば、フィールドにはレベル1チューナーの【オロシ】がいたな。【シムーン】のレベルは6……レベル7のBFシンクロモンスターと言えば……。
「我はレベル6の【シムーン】とレベル1の【オロシ】でシンクロ召喚! レベル7【BF-アーマード・ウィング】!!」
BF-アーマード・ウィング
レベル7/シンクロ/闇属性/鳥獣族/ATK2500/DEF2000
「……なるほど、イグニッションの対策か」
フルアーマーの方ではなく、アーマードの方を出してきた理由は戦闘に関しての判断だろう。
アーマード・ウィングには戦闘破壊が出来ず、戦闘ダメージを0にする効果がある。
【イグニッション・ファルコン】は、モンスターカードの発動出来ない効果と同時に、バトルフェイズ中に攻撃しなければ2000のダメージを与える効果もある。
それを嫌っての【アーマード・ウィング】だと思うが……
「我はこれでターンエンド。だが、【シムーン】の代償として我がライフは1000失い、【黒い旋風】は墓地に送られる……」
黒翼 トバリ 残りライフ8000→7000
1ターン目終了
黒翼トバリ
残りライフ 7000
デッキ28: 手札0 墓地:9 除外:2
□□⑥□□
②③④⑤□
① □
□□□□□
□□□□□
機羽 空
残りライフ 8000
デッキ:35 手札4 墓地:1 除外:0
①:NW-邂逅のヴェール・ヴィータ
②③④:ブラックフェザー・アサルト・ドラゴン
⑤:BF-アーマード・ウィング
⑥:常闇の颶風
手札を使い切ってのこの盤面……。
俺がモンスターの効果を使えば、【ブラックフェザー・アサルト・ドラゴン】の効果で700のダメージを受け、これが3回連続で発動され、1回で2100のダメージを受ける。
つまり、俺はモンスターの効果を3回までしか使えない事になる。
後は戦闘破壊無効のモンスターと……あのレゾンカードだな。どんな効果があるのか1度デュエルディスクを使ってあの【ヴェール・ヴィータ】の効果を確認する。
NW-邂逅のヴェール・ヴィータ
LINK3/闇属性/鳥獣族/ATK2100 ↖️↑↗️
闇属性・鳥獣族モンスター2体以上
・このカードは『BF』モンスターまたは『RR』モンスターとしても扱う。
このカード名の①③の効果はそれぞれ1ターンに1度しか発動出来ない。
①このカードの特殊召喚に成功した場合発動できる。デッキから『常闇の颶風』か『ЯRUM』をセットする。
②:このカードのリンク先のモンスターが1体以下の状態で相手が魔法・罠カードを発動した場合、発動できる。
自分フィールドのX素材、またはフィールドの『黒羽』『楔』カウンターを合計2つ取り除く事で、その効果を無効にする。
③:墓地の闇属性・鳥獣族モンスターを2体対象にして発動できる。対象のモンスターを効果を無効にして特殊召喚し、その後任意のレベルに変更する。
「……②の効果が厄介だな」
ヴェール・ヴィータのリンク先にモンスターはいない。つまり、魔法・罠カードを安全に使いたければ、あのリンク先にモンスターを2体以上出さなければいけない。
だが、そうする為には是が非でもモンスター効果を使わなければならず、ブラックフェザーの効果が起動し、2100のダメージを受けてしまう。
モンスター効果を発動する度にジリ貧どころか負けるこの状況であのカードの存在は厄介だ。
「俺のターン、ドロー。……花衣のようにはいかないな」
この場でリコンタスト・オーバーフローを引ければ、この盤面を一気にひっくり返す事も出来たんだが、花衣の引きの強さは俺にはない。
カウンターを乗せられる事を回避するのは不可能……ならば、モンスター効果を3回以内であの盤面を突破するしかない。
「俺は手札の【ブルーム・ヴァルチャー】の効果発動! このカードと手札の【レイダーズ・ウィング】をお前のリンク先に特殊召喚!」
機羽空 残りライフ8000→5900
黒羽カウンター 0→1×3
「これで1回目……」
「我は墓地の【サルンガ】を除外し、【レイダーズ・ウィング】を破壊する!」
フィールドにいたレイダーズ・ウィングが破壊されてしまい、これでリンク先のモンスターは1体になってしまい、ヴェール・ヴィータの無効条件は揃った。
「その亡霊の翼を持つ鳥はX素材になった時、相手の対象にはならない効果を受け継がせるからな……早めに破壊させて貰った」
「よく見てるじゃないか。だが、ここで使わせるが俺の目的だ」
「何……?」
「俺は手札の【RR-ミミクリー・レイニアス】を通常召喚し、俺はこの2体のモンスターでX召喚! 来い! 【フォース・ストリクス】!」
フィールド上空から光の渦が現れ、渦の向こうかフォース・ストリクスがその姿を現した。
「【フォース・ストリクス】の効果発動。x素材を一つ取り除き、デッキから【RR-トリビュート・レイニアス】を手札に加える」
機羽 空 残りライフ5900→3800
黒羽カウンター 1→2×3
「手札から魔法カード【RUM-スキップフォース】を発動。【フォース・ストリクス】を対象に、ランクが2つ上のXモンスターをX召喚する」
「ランク6? ……【レヴォリューション・ファルコン】を呼び出し、盤面を蹂躙するつもりか!」
そう、レヴォリューション・ファルコンには特殊召喚したモンスターと戦闘する時、攻撃力と守備力を0にする効果がある。それを使う事が出来れば、この盤面を一掃できる。
「ふん、だがその目論見もここまでだ! 【ヴェール・ヴィータ】よ! 我らの漆黒の羽を糧とし、その力を亡き者にしろ!」
フィールドのヴェール・ヴィータが赤い眼を輝かせ、黒い翼を羽ばたかせる。
翼の羽がスキップフォースのカードを串刺しにし、その効果が発動される事無く、カードは破壊されてしまった。
「これでお前の目論見は消え去った!」
「残念だが、そうはいかない。その効果にチェーンし、速攻魔法【RUM-ファントム・フォース】を発動」
「何!?」
「墓地の【レイダーズ・ウィング】を除外し、【フォース・ストリクス】をランクが一つ上のXモンスターにランクアップさせる」
ヴェール・ヴィータの無効効果にターン1の制約は無いが、同一チェーン上では1回だけだ。
その為、こうして速攻魔法等でチェーンを被せれば、魔法カードは問題なく使える。
最も、これはかなり無理矢理の突破方法だ。ファントム・フォースはその気になればランク13のXモンスターさえ出せる強力なカードであり、本来ならここで使う予定は無かった。
手札も1枚になり、後のリソースは次のターンのドローにかかっていた。
「それでもここを突破しなければ意味は無い。俺は【フォース・ストリクス】を素材にし、ランク5【RR-ブレイズ・ファルコン】を特殊召喚!」
フォース・ストリクスがヴェール・ヴィータの放った黒羽を避け、フィールドを縦横無尽に翼を広げて空を飛んでいく。
まるで映画のワンシーンかのような工房に配信のコメントはソリッドビジョンのデュエルに興奮が抑えきれない内容で溢れかえった。
攻撃を避けたフォース・ストリクスは自身の体を紅の光に包み込み、その姿をブレイズ・ファルコンに変えた。
「【RR-ブレイズ・ファルコン】の効果発動。x素材を一つ取り除き、相手フィールドに特殊召喚されたモンスターをすべて破壊する!」
機羽 空 残りライフ3800→1700
ブレイズ・ファルコンの体は炎を纏い、トバリのモンスターに向かって一気に突進していく。ブラックフェザーたちは黒い竜巻を巻き起こし、反撃を試みるが、ブレイズ・ファルコンは全く動じる様子を見せない。風を受けてさらに燃え上がるその姿は、まるで灼熱の火柱のようだった。
その勢いで、3体のブラックフェザーを貫通し、破壊の余波を広げ、残りのモンスターたちを破壊され、フィールドに残ったのはモンスターが残した黒羽だけとなった。
「【ブレイズ・ファルコン】の効果で破壊した場合、破壊したモンスターの数×500のダメージを受けてもらうぞ」
黒翼 トバリ 残りライフ7000→4500
「ぐっ……」
「まだだ! 【ブレイズ・ファルコン】自身の攻撃は残っている! そのままダイレクトアタックだ!」
燃え盛るブレイズ・ファルコンはそのままトバリに向かって真っ直ぐ突撃していく。
「っ……!」
トバリはあまりの勢いに思わず小さな悲鳴を上げながら尻もちをついてしまう。それを見た俺はこれが実害が無いソリッドビジョンだと言うことを忘れてしまい、思わずデュエルディスクにあるブレイズ・ファルコンのカードをディスクから外した。
その直後、フィールドにいたブレイズ・ファルコンの姿がポリゴン状になって消え、ディスクからエラー音が鳴り響く。
『ERROR! ERROR! デュエル中、特定のタイミング以外ではカードをフィールドから離さないでください』
「……すまない、手が滑ってしまった」
慌ててカードを元の位置に戻し、不正がない事をディスクのAIが認識し、バトルは無事に終わった処理としてトバリのライフは減った。
黒翼 トバリ 残りライフ4500→3500
(……何してるんだ。俺は)
自分の咄嗟の行動に俺自身が戸惑っていた。これはソリッドビジョンだ。ただのAR。実態なんて持ってない。
ポルーションの様なデュエルでも無く、単なる普通のデュエルだ。
だからトバリ……雀に危険が及ぶなんて事は無いんだ。それなのに、俺は雀のあの怯えた目を見た瞬間、カードを取り上げてしまった。
……いや、ダメージ関係なしに俺はあいつの怯えた顔を見て、怖くなった。俺が……アイツを傷つけてしまっているようで。
「あっ……ふ、ふはは! な、中々やるでは無いか。それでこそ眷属だ」
長い沈黙を破ろうとトバリは気丈に振る舞うが、さっきの尻餅が配信に乗ってしまい、コメント欄には『ギャップ萌え助かる』『いつものきた』等のコメントが相次ぎ、トバリはそのコメントを見ると頬を膨らませる。
「い、今のはその……演技だ! そう! 恐怖に怯えた姿を見せる事で油断をさせる事でなぁ……えーと……」
「……続けていいか?」
「あぁ、どうぞ? まぁそれ以上は何も出来ないと思うがな!」
確かに、俺の手札はトリビュート・レイニアス1枚。だが何も出来ない訳では無い。
「墓地の【ミミクリー・レイニアス】の効果発動。このカードを除外し、デッキから永続魔法【RR-ルースト】を手札に加え、そのまま効果を発動する。墓地、除外されているRRモンスターをデッキに戻し、1枚ドローする」
レイダーズ・ウィング、フォース・ストリクス、ミミクリー・レイニアスで3枚は揃っている。このワンドローでこのターンを乗り切るカードが欲しいところだ。
デッキからカードを1枚引き、引いたカードはRR-レディネスだった。
これは戦闘破壊とダメージ無効を同時に行ってくれるカードだ。これは大きい。
「俺はカードを一枚伏せてターンエンド」
2ターン目終了
黒翼トバリ
残りライフ 3500
デッキ28: 手札0 墓地:8 除外:3
□□①□□
□□□□□
□ □
□□②□□
□□③□□
機羽 空
残りライフ 1700
デッキ:36 手札:1 墓地:1 除外:0
①:常闇の颶風
②:RR-ブレイズ・ファルコン
③:伏せカード
「私のモンスターが……全滅?」
ここまでひっくり返せれば充分だ。しかもこのターンを凌ぎきれる事は確定している。
問題は妨害手段は残っておらず、トバリの展開を止められない点だ。
「……負けない」
「ん?」
「私は絶対に負けないから」
素の口調だが言葉に芯があり、鋭い目で俺を射抜くように見つめていた。背筋が氷の手に撫でられたかのように冷たくなり、一瞬手が固まる。
あれは本当に雀なのかと疑う程に強い目はリスナーの手を止めさせたのか、この一時だけコメントが止まり、続くコメントには困惑の文字が浮かんでいた。
『なんか今日のトバリめっちゃカッコ怖い』
『マジモンの闇の支配者に見えてきた』
(……俺もそう見えているさ)
今のトバリはまさにこの場に限らず、この配信を見ているリスナー全員の空気を支配していた。
どうしてか、あのトバリを見てしまった俺は頭の中でこんな言葉を思い浮かべてしまった。
……負けるかもしれないと。
NW-邂逅のヴェール・ヴィータ
LINK3/闇属性/鳥獣族/ATK2100 ↖️↑↗️
闇属性・鳥獣族モンスター2体以上
・このカードは『BF』モンスターまたは『RR』モンスターとしても扱う。
このカード名の①③の効果はそれぞれ1ターンに1度しか発動出来ない。
①このカードの特殊召喚に成功した場合発動できる。デッキから『常闇の颶風』か『ЯRUM』をセットする。
②:このカードのリンク先のモンスターが1体以下の状態で相手が魔法・罠カードを発動した場合、発動できる。
自分フィールドのX素材、またはフィールドの『黒羽』『楔』カウンターを合計2つ取り除く事で、その効果を無効にする。
③:墓地の闇属性・鳥獣族モンスターを2体対象にして発動できる。対象のモンスターを効果を無効にして特殊召喚し、その後任意のレベルに変更する。
オリカをまとめた章が欲しい?
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欲しい!
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別に( *¯ ³¯*)