六花テーマを作って愛用したらそのまま俺への愛が重くなった件について   作:白だし茶漬け

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仕事のシナリオ関係で遅くなりました。

まーじで小説の書き方を忘れつつあります...


貴方を守るから

「……うっ」

 

彼方は目が覚めると、そこには白い天井があった。

知らない天井、知らない白い壁、知らない布団の中で、知っている人物が彼方の覚醒を見届けていた。

 

「チェイム……?」

「彼方様……!」

 

ドラゴンメイド・チェイムが彼方の目覚めに安堵する。

彼方は体を起き上がりながら、彼方は自分が気絶する前の出来事を思い返す。

 

「っ……」

 

身体の痛みが彼方を襲う。彼方の身体中には包帯が巻かれ、ほぼ素肌が見えなくなっていた。

 

痛みで意識が覚醒した彼方は自分に何が起こったのかを思い返す。

 

「確か……俺は花衣くんに負けて……」

「ええ。ですが焔様とディアベルスター様が貴方を守ってくれたんですよ」

「焔くんとディアベルスターが?」

 

彼方にそんな記憶は無かったが、ここで嘘を言う必要は無いので、彼方はその言葉を信じた。

 

「ところでここは?」

「スペクトラにあったハーキュリーベースでございます」

「そういえばデュエル中、ハーキュリーベースが頭上に……」

 

少しづつ記憶を取り戻しつつある彼方は、 自分が負けたデュエルの最期を思い返す。

 

 

 

 

「終わりだ」

 

 花衣君の声は、静かで、どこか苦しげで……けれど、抗いようのない決意を帯びていた。

 それでも、俺は──目を逸らさなかった。

 

「……だが、まだ次がある」

 

 焔君がいる。十代さんも、ネオスも。

 そして、まだ花衣君の中にも……微かに、光が残っている。

 

 例え俺のターンが終わっても、物語は終わらない。

 それを信じるだけの理由が、このデュエルにはあった。

 

「焔君……あとは頼んだぞ」

 

 呟いたその時、全ての剣が一斉に放たれる。

 

 ──漆黒の閃光が、俺の体を貫いた。

 

 視界が白く塗り潰されていく中で、誰かの声が遠くで響いていた。

 

「彼方ああああああああああ!!」

 

その時、彼方の背後から燃え盛る豪炎が前に現れ、黒くそびえ立つ氷の壁を打ち砕き、迫りくる黒い氷の軍勢を阻んだ。

豪炎は焔が持つ不知火の刀から激しく燃え盛り、花衣の攻撃を防いでいた。

 

「十代今だっ!早くっ!!」

「よしっ!ネオス!」

 

フィールドにいたネオスは、ユニバース・ネオスから元の姿に戻り、倒れかけた彼方を抱きかかえ、焔が砕けた風穴に向かって飛び、上空に点在するハーキュリーベースへと飛び立った。

 

「焔!お前も戻れ!」

「うし!」

「こっちだ!」

 

ディアベルスターの魔法弾がアエテルヌム・カイに襲い掛かるところを、ティアドロップが前に立ち、魔法弾を跳ね返す。

撃ち返された魔法弾は氷の壁と衝突したとたん爆発を起こし、それが目くらましとなって焔たちを逃がした。

 

「逃げましたね。花衣様、お怪我はありませんか?」

「ああ…どうでもいいさ。何も……」

 

 

 

 

 

 

「ははっ、しぶとく生きたな―俺」

「まーじで遺言残そうとしてたよな、お前」

 

思い返した時間で焔たちが意識を取り戻した彼方の部屋に入ると、皆彼方の覚醒にまずは安堵する。

 

「目が覚めたようで何よりだ」

「十代さん……すみません、ご迷惑かけて」

「気にすんな。それよりも、アイツとんでもないほど強いな」

 

十代が言うアイツとは花衣の事であり、その力を身をもって知った彼方は少し黙り込んだ。

「……花衣さんは、やはり私達の事を拒絶しているのでしょうか」

 

ふと花音が言葉を出し、つい言ってしまった口を塞いだ。

 

「ご、ごめんなさい!でも……私達のことを否定して、六花や閃刀姫の皆さんしか受け入れない花衣さんを見ていると……私たちがやっている事は正しいのかなって」

 

その声には、戸惑いと寂しさが滲んでいた。

花音は俯きながらも、どこかでその答えを、怖れながらも待っているようだった。

「んなもん関係ねぇよ」

 

沈黙の中、焔は拳を叩き顔を上げる。

 

「俺はダチが道を踏み外しているから連れ戻すだけだ。否定とかそんなん、辞める理由にはなんねぇよ。な?空」

「急に振るな。……否定はしないが」

「はは、頼もしい限りだ」

 

絶対に曲げない意志を持つ焔と空の姿を見た彼方は、デュエルの最後に持っていた希望を感じた。

 

この2人、そして周りにいるジェニー達の力を合わせれば、必ず花衣を救い出せると確信した彼方は、花衣とのデュエルを思い出す。

 

「花衣くんの事だが、彼の新しい力は強力だ」

「具体的には?」

「花衣君のデッキコンセプト自体は変わっていない筈だ。六花と閃刀姫を組み合わせた、彼だけのデッキだ」

「そういえば……私がレイさんとデュエルした時にも、そのようなカードがありました」

 

花音もレイとのデュエルにて目の当たりにした新たなカードの存在について共有し、改めて花衣のデュエルに向けて話し合う形になった。

 

「まず、六花聖痕というカテゴリーだが、恐らくこのカードにはある共通効果がある」

 

初見では気づかなかった効果だったが、彼方はデュエルを全て思い返し、ある答えに辿り着く。

 

「六花聖痕は【X素材になると効果を与える】効果がある」

「それって、空の【RR-ブレイブ・ストリクス】の効果にもあるやつか?」

 

 

Xモンスターの中には、X素材になっている時、その間に効果を追加するモンスターが存在する。

 

 

空が【RR-ブレイブ・ストリクス】にはこれをX素材にしているモンスターの攻撃力がランクの数値分アップするという効果を持っており、更なる攻撃力を持つことができる。

 

「それが六花聖痕が全部もってるのか……だとすると結構量あるよなー」

「俺も一部しか知らないが、そうなってくると対処法は見えてくる」

「そ、それは一体なんですか?」

「X素材にされる前に除去する。これが一番だ」

 

いわゆる、着地狩りというものだ。

 

エクシーズテーマに限らず、リンクテーマにも有効な手段であり、彼方達はこの手を花衣に対して使おうとしていた。

 

だが、この手を使う為には先行を取らなければいけない。

 

確実に先行が取れない限り、この手を軸に花衣と戦うのは危険なのも、彼方達は分かっていた。

 

だがかと言って明確な対抗策が他に浮かばない中、ジェニーが声を上げる。

 

「焔くん、空くん。君達に渡したいものがあるの。……チェイム、持っているよね?」

「アレをこの子達に?」

「きっと役に立つ筈よ」

「なんだなんだ?」

 

ジェニーとチェイムは焔と空にとあるカードを手渡す。

手渡されたカードには……【カイ】という名を持ったモンスターがあった。

 

「これって……花衣?」

「の、昔の姿。ウィッチクラフトにいた時と」

「ドラゴン・メイドの館にいた時の姿です」

「へぇ……クソ生意気そうな面してるな」

「こっちは子供っぽいな」

「わ、私も見せてください!」

 

花音は花衣の幼い姿に興味津々で、覗き込むようにカイのカードを見る。

すると花音の体は少し跳ね、頬が緩む笑顔を浮かべた。

 

「きゃあ!すっごく可愛いです!!とくにおめめがクリっとしてて、肌もモチモチしてそうです!」

「でしょ~!?うちの息子は可愛いのよ~!」

 

昔の花衣の話題に花を咲かせる所をチェイムの咳き込みが入った所で遮られる。

 

「ジェニー様、今は……」

「そうね。焔君、空君。このカードは必ず力になってくれる。だから……お願い、花衣を止めて」

焔と空は手渡されたカードを見た後、互いに目を合わせる。

 

「焔、このカードもお前が使え。俺のデッキじゃこのカードは使えない」

「良いのか?これ、まぁまぁ強いと思うけど」

「使えなきゃ意味が無い。その代わり、お前のサポートに徹する」

 

空はカードを手渡し、焔には4枚のカードが渡り、カードをデッキに組み込もうとしたその時、焔はぐるりと周りを見渡した。

 

ジェニー、チェイム、アルバス、エクレシア、ディアベルスター。カードでしか見たことないモンスターと、花衣が出会ってきた者達を見て、ある事を思いついてニカッと笑った。

 

「なぁなぁ、お前らも俺のデッキに入らないか?」

「え……えぇ!?」

 

花音、そしてジェニー達本人が驚くのも無理は無い。

 

「にしし、ここにいら奴ら花衣のダチなんだろ?なら、俺ら全員で助けた方が、絶対良い!」

「……理由は?」

「何となくッ!!」

「だろうな」

 

空は呆れて息を吐いたが、落胆はしていない。むしろ、いつも通りな能天気さに頼もしさを感じ、小さく笑った。

 

「だがデッキはどうする?全部混ぜたら、回らないと思うぞ」

「ならこれから作り直す!時間はあるんだろ?」

「なら今夜は寝られなさそうだな」

 

時間が経って痛みが消えつつある彼方は上半身を起き上がらせる。

 

「全員で花衣君を止める……良いね」

「だろー?ウィッチクラフト、ドラゴンメイド、アルバスとエクレシアにディアベルスターにラビュリンス!俺のアンデット!どんなデッキになるんだろうな〜!」

「とんでもないキメラデッキになりそうだな……」

 

無謀な事だと誰もが思うところだが、それでも焔はそのデッキで挑もうとしていた。

 

「勝つだけじゃ多分ダメだからな」

「……そうだな」

 

これは祈りそのものだ。

 

友を助ける。そんな小さく、微かな祈りが希望になると確信した彼方はベットから体を抜け出し、焔の前に立つ。

 

「なら作るか。花衣君を止める為のデッキ」

「では、お夜食をご用意しますね」

「待ってろよ……絶対おめぇの事をぶん殴ってでも止めてやるからな……!」

 

 

意気込む焔は空と彼方と共に早速デッキ作りに勤しんでいた。

 

……だがしかし。

 

「うがぁぁ!!ぜんっぜん組めねぇぇ!」

「まぁそうなるよね」

「予想出来た事だな」

 

全く特色が異なるデッキを組もうとすればこうなるのは明白だ。焔はカードをばら撒き、仰向けになって倒れながら唸り声を見る2人は、やれやれと肩をすくめる。

 

「特色の違うデッキを組もうとすればそうなる」

「まぁそうだけどよー。なぁなぁ彼方ーどうすれば良いと思うよー?」

 

ダルがるみする彼方は苦笑いを浮かべながらも、焔の悩みに真剣に考える。

 

「そうだなぁ……焔くん、花衣くんとは1対1でデュエルするつもりかい?」

「当たり前だ!って言いたいんだけどよ」

 

いつもの強気な焔とは裏腹に、珍しく弱気な焔がそこにはいた。

 

「いや、お前と十代、負けかけたんだろ。なら無理だと思う」

 

珍しく弱気な焔を前にした空は息を飲んだ。

 

「意外だな。お前がそんな弱気になるなんて」

「だからお前もやるんだろうが。俺らの絆パワーで花衣の目を覚めさせてやろうぜ」

「なら早くデッキを組め」

「んな事言われてもなー!」

 

またもや床に寝転がる焔を目にした彼方はくすりと笑い、悩む焔に助け舟を出す。

 

「例えばここなら……こうすることで、ディアベルスターともシナジーがあるんじゃないかな」

「あーなるほどなぁ。じゃあさ、これ入れるのはどうだ?」

「いや、それよりもこのカードでリカバリーを取って……ここでラビュリンス展開にも繋がるな」

「へへ、なんか懐かしいな。こんな感じにデッキ組むのって」

 

男3人、和気あいあいと1つのデッキが完成する中、焔は懐かしさのあまりに笑った。

 

「確かにな。最近、命を懸けたデュエルやら何やらで、こんなに話し合ってデッキを組んだのは久しぶりだ」

「だね。俺も……こんな気持ちは忘れていたよ」

「おっと、それ忘れちゃデュエルの女神は微笑まないぜ?」

 

しんみりする中で現れたのは、遊城十代だった。

 

「どんな時でも、デュエルを楽しんだ奴が強いんだ。俺もそれを忘れかけた時、仲間が思い出してくれたんだ」

「仲間って?」

「ネオスペーシアンやHERO達、ですよね」

「あぁ」

「仲間か……」

 

焔は床に並べれられたモンスターカードを見つめる。

落胤、ラビュリンス、ディアベルスター、ウィッチクラフト、ドラゴンメイド。

 

花衣の為に集まってくれた友がここにいて、今でも花衣の隣には六花達がいる筈だと考えた焔は、夜空が浮かぶ窓に見てふと考えが過ぎった。

 

(花衣、お前……こんなにいい仲間がいるのに、どうしてそれを突き放すんだよ)

 

その答えは、今はまだ知る由もない。

 

 

 

 

 

 

 

同じ夜の空の下、花衣はカーマの町の中を彷徨いていた。

初めて見る景色だが、どこか懐かしさを花衣は感じ、いつしか町のシンボルである噴水へと足を運び、そこに腰をかけて夜空を見上げる。

 

満天の中、虚ろ目で見る花衣の傍に近づく影がある。

花衣は近づく音だけでそれが誰なのか分かっていた。

 

「……レイ」

「風邪引きますよ」

 

レイは花衣の体を温めるように体を寄り添い、腕を抱いた。

 

「まだ眠れないんですか?」

「寝たら酷い悪夢を見るんだ。夢でも皆の傷つけたくない」

 

もう何日も寝ていない花衣の精神と体はボロボロだった。

目の下のクマは濃くなり、寝ないようにと指先には噛み跡や傷で肌がボロボロになっていた。

そんな傷を隠すように、花衣の腕には白い包帯が巻かれていた。

 

「でも、花衣さんが傷ついて良い理由にはなりません」

 

そっと花衣の手を撫でるように触れたレイは虚ろ目の花衣を見つめる。

 

「私は貴方の全てを愛してます。頭の先からつま先、心や心臓、声や耳、そして……闇も全部愛しています」

愛おしく手を自分の頬に持っていくレイは妖艶な笑身を浮かべた。

 

「だから、それを否定したり、私達の邪魔する存在は全部私が消します。貴方は私の命……いや、存在する理由そのもの何ですから」

「レイ……」

「だから、一緒にお友達を倒しましょうね。そうすれば、皆幸せになれる筈ですから」

「友達……」

「私達以外要らないですよね?必要ないですね?邪魔ですよね?消したいですよね?」

 

溢れ出る闇に感化されるように、レイの感情が溢れ出る。花衣の邪魔者は全て消すという意思が宿ったかのようにレイの目に光が消える。

 

「……あぁ。お前らしか、要らない」

 

花衣は目の前にいるレイを抱きしめ、レイと強く抱き返す。そして、花衣に見えない所で悲しい笑顔を浮かべた。

 

「私が貴方の剣になります。私が……貴方を守りますから」

 

 

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